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不動産投資は黒字と赤字どちらがいい?節税・現金・融資から考える理想の決算

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月12日
  • 読了時間: 17分

不動産投資を続けていると、

「黒字を出した方がいいのか」

「減価償却を使って赤字にした方がいいのか」

迷うことがあります。

黒字になれば税金が増える可能性があります。

一方で赤字にすれば、一定の要件を満たすことで欠損金を翌年度以降へ繰り越せる場合があります。

さらに不動産投資では減価償却があるため、

帳簿上は赤字。

しかし手元の現金は増えている。

という状態になることもあります。

それなら、

「できるだけ赤字にした方が得なのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、これから銀行融資を使って物件を増やしていきたい場合は、税金だけで決算を考えるのも危険です。

重要なのは、

黒字か赤字か。

だけではありません。

現金はいくら残ったのか。

借入はいくら減ったのか。

純資産はいくら増えたのか。

賃貸経営そのものは利益を生んでいるのか。

そして次の融資につながる財務状態なのか。

まで見ることです。

今回は、不動産投資では黒字と赤字のどちらを目指すべきなのかを、節税・キャッシュフロー・純資産・銀行融資の視点から考えていきます。

 


▪️そもそも黒字と赤字は何を表しているのか


 


非常に単純化すると、

収益より費用が少なければ黒字。

収益より費用が大きければ赤字。

となります。

例えば、

年間家賃収入 600万円

経費 400万円

なら、

600万円 − 400万円 = 200万円

となり、単純化すれば200万円の利益です。

一方で、

年間家賃収入 600万円

経費 700万円

なら、

600万円 − 700万円 = ▲100万円

となります。

しかし不動産投資では、ここから少し話が複雑になります。

その代表的な理由が減価償却です。

 


▪️不動産投資では「赤字=現金が減った」ではない


 


建物などの減価償却資産は、原則として取得費の全額を購入した年に費用にするのではなく、一定のルールに従って複数年にわたり費用化します。

そのため、

その年に同額の現金を支払っていない。

しかし帳簿上では減価償却費が発生する。

という状態があります。

例えば、

家賃収入 600万円

現金支出を伴う経費 250万円

減価償却費 400万円

だったとします。

帳簿上では、

600万円 − 250万円 − 400万円 = ▲50万円

です。

50万円の赤字です。

しかし減価償却費400万円が、その年に400万円の現金支出を伴っているわけではありません。

そのため、

帳簿上は赤字なのに、実際には現金が残っている

ということがあります。

 


▪️反対に「黒字=現金が増えた」とも限らない


 


今度は反対です。

帳簿上300万円の利益が出ていたとします。

数字だけを見ると、

「今年は300万円儲かった」

と思いたくなります。

しかし不動産投資にはローン返済があります。

例えば年間300万円を返済していて、そのうち250万円が元本返済だったとします。

元本返済は現金が出ていきますが、同額が経費になるわけではありません。

さらに、

固定資産税。

大きな設備投資。

物件取得の自己資金。

などによっても現金は動きます。

そのため、

帳簿上は黒字なのに、銀行口座の現金がほとんど増えていない

ということもあります。

黒字なのに現金が増えない仕組みはこちら。

 


▪️では赤字の方が節税できて得なのか


 


赤字になれば、利益に対して発生する税負担が小さくなる場合があります。

法人で欠損金が発生した場合には、一定の要件を満たせば翌年度以降の所得から控除できる仕組みもあります。

そのため、

「どうせなら赤字にした方が得」

と考えたくなるかもしれません。

しかし、ここで重要なのは赤字の原因です。

例えば、

減価償却によって帳簿上赤字になった。

というケースと、

空室が増えて家賃収入そのものが減った。

というケースでは意味が違います。

さらに、

節税するために必要のない100万円を使った。

という場合、税負担が減ったとしても現金そのものは出ていきます。

税金が減ることと、資産が増えることは同じではありません。

「あえて赤字にする」という考え方はこちらでも詳しく解説しています。

 


▪️繰越欠損金があるから赤字が正解とも限らない


 


法人の不動産投資では、一定の要件を満たす欠損金を翌年度以降へ繰り越せる場合があります。

将来利益が出たときに、その欠損金を利用できる可能性があるため重要な制度です。

しかし、

欠損金が500万円ある。

ということと、

現金が500万円ある。

ということはまったく違います。

さらに将来も利益が出なければ、欠損金を十分に活用できない可能性もあります。

だからこそ、

「欠損金を作ること」を目的にするのではなく、「事業を成長させた結果として発生した欠損金を適切に活用する」

という順番で考えることが重要です。

繰越欠損金については直近③の記事で詳しく解説しています。

 


▪️融資を使って増やすなら黒字にも意味がある


 


これから銀行融資を使って2棟目、3棟目と物件を増やしたい場合、決算は税金だけの問題ではありません。

金融機関によって融資判断の方法は異なりますが、

収益力。

現預金。

借入状況。

純資産。

返済実績。

所有物件の状況。

など、さまざまな情報が関係します。

そのため、

「節税したいから毎年赤字にする」

という考え方だけで決算を作るのは慎重に考える必要があります。

もちろん、

黒字なら必ず融資が出る。

赤字なら融資が出ない。

という単純な話でもありません。

重要なのは、

なぜその決算になったのかを説明できることです。

赤字決算と融資の関係についてはこちら。

 


▪️大家が本当に増やしたいのは「利益」だけではない


 


不動産投資を長期で考えるなら、

今年いくら利益が出たか。

だけを見るのでは足りません。

例えば、

現預金 +200万円

借入残高 ▲300万円

純資産 +250万円

という状態なら、1年間で財務状態が改善している可能性があります。

反対に利益が500万円出ていても、

現預金 ▲300万円

借入残高 増加

純資産 減少

という状態なら、なぜそうなったのかを確認する必要があります。

大家が長期的に増やしたいのは、

税引後の現金と純資産です。

純資産と現金の関係はこちらでも詳しく解説しています。

 


▪️「黒字だけど現金がない」が一番危険なこともある


 


決算書上は利益が出ている。

家賃収入も入っている。

それでも銀行口座に現金がほとんどない。

この状態には注意が必要です。

不動産を所有していると、

給湯器が壊れる。

エアコンが壊れる。

退去が発生する。

外壁修繕が必要になる。

固定資産税を支払う。

など、突然まとまった現金が必要になることがあります。

帳簿上500万円の利益があっても、銀行口座に50万円しかなければ、100万円の修繕が発生したときに困ります。

会社や賃貸経営を守るのは、最終的には手元の現金です。

現預金と融資についてはこちら。

 


▪️「赤字だけど現金がある」なら安心なのか


 


これも一概には言えません。

例えば減価償却によって赤字になっている一方で、

家賃収入は安定。

返済後も現金が残る。

借入残高も減っている。

という状態なら、帳簿上の赤字だけでは経営状態を判断できません。

しかし、

新しい借入をして現金が増えただけ。

物件を売却して現金が増えただけ。

という可能性もあります。

だから、

年末の銀行口座残高だけを見て、

「現金が増えたから大丈夫」

とも言えません。

現金がなぜ増えたのかまで確認することが重要です。

 


▪️理想は「税金を払わない大家」ではない


 


税金をできるだけ少なくしたい。

これは自然な考えです。

しかし不動産投資で長期的に資産を増やすなら、

税金をゼロにすること自体を最終目標にしない

ことも重要です。

例えば、

利益が出る。

適切に税金を支払う。

それでも現金が残る。

借入残高が減る。

純資産が増える。

そして次の物件を買える。

という状態なら、不動産経営は前へ進んでいます。

逆に税金はほとんど発生していなくても、

現金が減る。

借入が増える。

空室が増える。

純資産も減る。

という状態なら、節税できていることだけでは安心できません。

目指したいのは「税金ゼロ」ではなく「税引後でもお金が残る経営」です。

 


▪️残った現金を次の収益資産へつなげる


 


不動産投資で現金が残るようになったら、その現金をどう使うかも重要です。

すべて使ってしまうのではなく、

修繕予備費を残す。

空室への備えを残す。

税金を確保する。

そのうえで次の物件の自己資金を作る。

という順番で考えます。

黒字か赤字かより、「今年残した現金を来年どう使うか」の方が長期的な資産形成では重要になることがあります。

次の不動産投資や収益物件の選択肢を比較したい方はこちら。


▪️理想の決算は大家のステージによって変わる


 


不動産投資では、すべての大家に共通する一つの「理想の決算」があるわけではありません。

例えば、

1棟目を購入したばかりの大家。

10戸を運営している大家。

50戸を運営している大家。

借入を増やして規模拡大したい大家。

返済を進めて守りを固めたい大家。

では、優先するものが違います。

規模拡大を目指す段階なら、

次の融資。

自己資金。

現預金。

返済余力。

などが重要になります。

一方で借入を減らす段階なら、

元本返済。

純資産。

安定した家賃収入。

などをより重視することもあります。

自分が今どのステージにいるのかによって、決算を見るポイントも変わります。

 


▪️物件を増やしたい時期ほど「利益と現金」の両方を見る


 


これから物件を増やしたい場合、

利益だけ。

現金だけ。

のどちらか一方を見るのではなく、両方を見ることが重要です。

例えば、

利益 300万円

現預金 +250万円

借入残高 ▲300万円

純資産 +300万円

という状態なら、複数の数字が改善しています。

一方で、

利益 300万円

現預金 ▲200万円

借入残高 +2,000万円

という状態なら、

なぜ現金が減ったのか。

なぜ借入が増えたのか。

その借入で何を取得したのか。

を確認する必要があります。

利益・現金・借入・純資産をセットで見ることで、経営の実態が見えやすくなります。

 


▪️黒字を出すために必要な修繕を先送りしない


 


「銀行融資のために黒字にしたい」

という考え方が強くなりすぎると、必要な修繕まで先送りしたくなることがあります。

しかし、

雨漏り。

給排水設備。

外壁。

屋根。

空室の原状回復。

など、本当に必要な修繕を放置すれば、後からさらに大きな支出になる可能性があります。

さらに物件の状態が悪くなれば、

空室期間が延びる。

家賃を下げる。

入居者から選ばれにくくなる。

ということも考えられます。

決算上の利益を守るために、物件そのものの収益力を落としてしまっては意味がありません。

 


▪️修繕費は「いくら使うか」より「何が変わるか」で考える


 


築古物件では、修繕費を完全になくすことは難しいものです。

だからこそ、

100万円使うか。

200万円使うか。

だけではなく、

その工事によって何が改善するのか。

を考えます。

例えば、

空室期間を短縮できる。

家賃を維持できる。

長期入居につながる。

将来の大規模修繕を防げる。

のであれば、支出にも意味があります。

反対に高額なリフォームをしても家賃や入居率がほとんど変わらないなら、費用対効果を再検討する必要があります。

修繕は経費ではなく「収益を守るための投資」という視点も必要です。

築古物件のリフォーム・リノベーションを検討している方はこちら。

 


▪️減価償却が終わった後の黒字も考えておく


 


不動産投資では、減価償却が大きい期間だけを見るのではなく、その後も考えておく必要があります。

例えば毎年200万円の減価償却費を計上していた物件で、その減価償却が終了したとします。

他の条件が同じなら、帳簿上の利益は増える可能性があります。

すると税負担にも影響します。

さらに築年数が進めば、

給湯器。

外壁。

屋根。

水回り。

共用設備。

などの修繕が増える可能性もあります。

つまり、

減価償却が減る。

利益が増える。

税負担に影響する。

同時に実際の修繕費は増える。

という時期が来ることもあります。

購入した年だけではなく、5年後・10年後の利益と現金まで考えることが重要です。

 


▪️黒字でも借入を増やしすぎれば安全とは限らない


 


黒字決算が続いているからといって、借入をどこまでも増やしていいわけではありません。

例えば新しい物件を購入するたびに、

家賃収入 +300万円

ローン返済 +250万円

修繕・管理費 +80万円

となれば、売上は増えていても実際の現金余力は小さくなる可能性があります。

物件を増やすときは、

総家賃。

総資産。

だけではなく、

新しい借入によって年間キャッシュフローがいくら増えるのか

を確認する必要があります。

借入と資産拡大の考え方はこちら。

 


▪️ローン返済が進めば純資産が増える可能性がある


 


不動産投資の面白いところは、入居者から受け取った家賃の一部を使ってローンを返済できることです。

例えば年間300万円の元本返済が進めば、単純化すると借入残高は300万円減ります。

物件価値が同じだと仮定すれば、その分だけ資産と負債の差は改善します。

もちろん実際の不動産価格は変動します。

それでも、

家賃を受け取る。

ローンを返す。

残債を減らす。

純資産を積み上げる。

という流れは、不動産投資で資産を形成する基本的な考え方の一つです。

ローン返済と純資産についてはこちら。

 


▪️税金を払った後にいくら残るかを毎年確認する


 


大家が毎年確認したいのは、

税引前利益だけではありません。

最終的には、

税金を払った。

ローンを返した。

修繕費も払った。

それでも現金がいくら増えたのか。

を見る必要があります。

例えば年間家賃収入が1,000万円あっても、年末の現金が前年より50万円しか増えていないなら、

どこへ950万円が流れたのか。

を確認します。

管理費。

修繕費。

金利。

元本返済。

税金。

その他の支出。

に分けていけば、お金が残らない原因が見えてきます。

売上を増やすこと以上に「残る割合」を改善することが重要になる場合もあります。

 


▪️黒字・赤字より「前年より強くなったか」を見る


 


決算が完成したら、前年と比較してみましょう。

利益はいくら変わったか。

家賃収入はいくら増えたか。

現預金はいくら増えたか。

借入残高はいくら減ったか。

純資産はいくら増えたか。

入居率は改善したか。

この数字を並べると、

1年間で不動産経営が強くなったのか

が見えやすくなります。

単年度では赤字でも、現預金と純資産が増え、借入が減っていることがあります。

反対に黒字でも、現預金と純資産が減っていることがあります。

だからこそ、

黒字か赤字かは「結果の一つ」であって、経営状態のすべてではありません。

 


▪️銀行に見せるためだけの決算にしない


 


次の融資を意識すると、

「銀行にどう見られるか」

ばかり考えてしまうことがあります。

もちろん融資を使って規模を拡大するなら、金融機関との関係は重要です。

しかし決算書は銀行のためだけに作るものではありません。

自分自身が、

どの物件が儲かっているのか。

どこで現金が減っているのか。

借入はいくらあるのか。

どれだけ財務余力があるのか。

を確認するための資料でもあります。

良い決算とは、見た目を整えることではなく、実際の経営が強くなっている決算です。

 


▪️出口まで含めて黒字か赤字かを考える


 


不動産投資は、保有中の家賃収入だけで終わりではありません。

最後には、

売却する。

家族へ引き継ぐ。

建て替える。

解体する。

などの出口があります。

例えば保有中に毎年100万円のキャッシュフローが出ていても、10年後に大規模な解体費用が必要になるかもしれません。

反対に保有中の利益は小さくても、土地価値があり売却しやすい物件もあります。

そのため、

年間の黒字・赤字だけではなく、取得から出口までのトータルで考えることが重要です。

地方不動産投資の基本はこちら。

 


▪️収益を生まない不動産は保有以外の選択肢も考える


 


長期間空室になっている物件や、相続したまま利用していない不動産では、

固定資産税。

保険。

草刈り。

修繕。

管理。

などの支出だけが続くことがあります。

こうした不動産を、

「赤字だから節税になる」

という理由だけで持ち続けることが合理的とは限りません。

貸す。

修繕する。

売却する。

現状のまま手放す。

など、複数の方法を比較する必要があります。

空き家・訳あり不動産の売却方法を確認したい方はこちら

 


▪️大家が決算後に確認したい7つの数字


 


決算が完成したら、最低限次の数字を前年と比較してみましょう。

年間家賃収入。

帳簿上の利益。

減価償却費。

現預金。

年間ローン元本返済額。

借入残高。

純資産。

この7つを並べるだけでも、

なぜ黒字なのに現金が増えないのか。

なぜ赤字なのに現金が増えたのか。

借入は順調に減っているのか。

財務状態は強くなっているのか。

が見えやすくなります。

そして最後に確認したいのが、

「この状態で次の物件を買っても大丈夫か」

です。

不動産投資の決算は、過去1年間を見るだけではありません。

次の1年間をどう動くか決めるための材料でもあります。

 


▪️まとめ|理想は「黒字」でも「赤字」でもなく現金と純資産が増える経営


 


不動産投資では、

黒字だから正解。

赤字だから失敗。

とは限りません。

減価償却によって帳簿上は赤字でも、実際には現金が残っていることがあります。

反対に帳簿上は黒字でも、ローン元本返済や設備投資などによって現金が増えていないことがあります。

だからこそ見るべきなのは、

利益。

減価償却。

現預金。

借入残高。

純資産。

キャッシュフロー。

です。

節税だけを目的に赤字を作る。

融資だけを目的に黒字を作る。

どちらか一方ではなく、

税金を適切にコントロールしながら、税引後の現金を残し、借入を返済し、純資産を積み上げる。

そして財務余力ができたら、次の収益資産へ進む。

これが長期的に物件を増やしていく大家にとって重要な考え方です。

理想の決算とは「黒字か赤字か」ではなく、前年より現金と純資産が増え、次の投資へ進める決算です。

 


▪️次の物件は「利益」ではなく購入後の現金まで見る


 


次の収益物件を探すときも、

表面利回り。

年間家賃。

だけで判断しないことが重要です。

ローン返済。

管理費。

修繕。

税金。

空室。

まで考え、

購入後に実際いくら現金が残るのか

を比較します。

現在の物件で現金を残し、その現金を次の収益資産へつなげる。

この循環を作ることが、長期的な規模拡大につながります。

不動産投資の情報や次の投資先を比較したい方はこちら

 


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