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不動産投資はあえて赤字にした方が得?減価償却・節税・キャッシュフローの正しい考え方

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月12日
  • 読了時間: 14分

不動産投資をしていると、

「減価償却を使えば節税できる」

「利益を出すより赤字にした方が得」

「あえて赤字決算にして税金を抑えた方がいい」

という話を聞くことがあります。

確かに、不動産投資では帳簿上の利益と実際に手元へ残る現金が一致しないことがあります。

その代表的な理由が減価償却です。

しかし、

「赤字にすれば税金が減る=赤字にした方が得」

と単純に考えるのは危険です。

これから融資を使って2棟目、3棟目と物件を増やしたい大家にとっては、税金だけでなく、

現預金

キャッシュフロー

純資産

借入残高

銀行からの見え方

まで考える必要があります。

今回は、不動産投資で「あえて赤字にする」という考え方について、減価償却・節税・現金・融資の4つの視点から整理します。

 

※税務処理は個人・法人、物件や支出内容によって変わるため、具体的な申告・節税判断は税理士等への確認が前提や。国税庁でも、不動産所得の必要経費には固定資産税・保険料・減価償却費・修繕費などが挙げられており、資産価値を増加させる支出等は通常の修繕費とは扱いが異なる場合がある。



▪️そもそも「赤字」とは何なのか


 


不動産投資でいう赤字には、注意したいポイントがあります。

帳簿上の赤字と、

実際に現金が減っている状態は、

必ずしも同じではありません。

例えば年間の家賃収入が600万円あったとします。

そこから、

管理費

固定資産税

修繕費

火災保険料

借入金利息

減価償却費

などを差し引いて所得や利益を計算します。

これらを差し引いた結果、帳簿上マイナスになれば赤字です。

しかし、その経費のすべてがその年に同額の現金支出を伴っているとは限りません。

ここを理解するうえで重要になるのが減価償却です。

 


▪️減価償却があると「赤字なのに現金が残る」ことがある


 


建物などの減価償却資産は、原則として購入した年に取得額の全額を経費にするのではなく、耐用年数などに応じて複数年に分けて費用化していきます。

例えば建物部分の取得価額が2,000万円だったとします。

その2,000万円を物件購入時に支払ったとしても、一定のルールに基づき、その後の複数年にわたって減価償却費を計上していくことになります。

つまり翌年以降は、

その年に同額の現金を支払っていなくても、減価償却費という費用が計上される

ことがあります。

例えば、

家賃収入 600万円

現金支出を伴う経費 300万円

減価償却費 350万円

だったとします。

単純化すると帳簿上は、

600万円 − 300万円 − 350万円 = ▲50万円

です。

赤字です。

しかし減価償却費350万円がその年に同額の現金支出を伴っていないとすれば、実際のお金の動きは帳簿上の▲50万円とは違って見えます。

これが「帳簿上は赤字なのに現金は残っている」という状態が起こる代表的な仕組みです。

不動産投資で黒字なのに現金が増えない逆のケースについてはこちらでも解説しています。

 


▪️赤字なら税金がゼロになるとは限らない


 


帳簿上の所得や利益が小さくなれば、それに連動する税負担が小さくなる場合があります。

そのため減価償却を活用しながら、キャッシュフローを確保する考え方は不動産投資でも重要です。

ただし、

赤字にすれば税金が全部なくなる。

と考えるのは危険です。

個人なのか法人なのか。

他にどのような所得があるのか。

どの税金について考えているのか。

などによって扱いは異なります。

税金だけを見て無理に赤字を作るのではなく、

「税引後で最終的に現金と資産がいくら残るのか」

を見ることが大切です。

 


▪️100万円使って30万円節税しても70万円は減っている


 


節税を考えるときに忘れたくないのが、この考え方です。

例えば節税したいからという理由だけで、必要性の低いものへ100万円を使ったとします。

仮にその支出によって税負担が30万円減ったとしても、

100万円支出して、

30万円税金が減った。

ということです。

単純化すれば70万円分の現金は減っています。

もちろん、その100万円で物件の価値が上がったり、家賃が増えたり、将来必要な設備を取得できたりするなら意味は変わります。

問題なのは、

「税金を払いたくない」という理由だけで現金を使うことです。

不動産投資では税金を減らすことより、税引後にいくら現金を残せるかを見る方が重要です。

 


▪️修繕費なら何でも一括で経費になるわけではない


 


築古物件を所有していると、修繕にまとまったお金を使うことがあります。

外壁。

屋根。

給排水設備。

内装。

設備交換。

ここでも注意が必要です。

一般的な維持管理や原状回復に該当するものと、資産価値を高めたり使用可能期間を延ばしたりする支出では、税務上の扱いが異なる場合があります。

そのため、

「今年利益が出そうだから300万円リフォームして全部経費にしよう」

と自己判断するのは危険です。

実際の処理については、税理士などの専門家へ確認することが重要です。

 


▪️節税より手元現金を残した方がいい場面もある


 


不動産投資では突然大きなお金が必要になります。

給湯器が故障する。

エアコンが壊れる。

退去が続く。

屋根から雨漏りする。

外壁修繕が必要になる。

固定資産税の支払いが重なる。

このようなときに経営を支えるのが現預金です。

節税を優先して現金を使いすぎてしまうと、突然の修繕に対応できなくなる可能性があります。

さらに次の物件を購入したいときにも自己資金が不足します。

節税によって税金を減らすことより、現預金を厚くする方が経営上重要な時期もあります。

利益より現預金を見る考え方についてはこちら。

 


▪️次の物件を考えているなら節税だけで判断しない


 


1棟を長期間所有することが目的なら、税負担を抑えながらキャッシュフローを確保する戦略も考えられます。

しかし、

2棟目。

3棟目。

5棟目。

と融資を利用しながら規模を拡大したい場合は話が変わります。

次の融資では、自分の収益状況や資産・負債などを金融機関へ説明する場面が出てきます。

そのとき、

節税のために毎年大きな赤字。

現預金も少ない。

純資産も薄い。

という状態が、必ずしも次の融資に有利とは限りません。

節税と規模拡大は、常に同じ方向を向いているわけではありません。

 


▪️不動産投資の赤字は「理由」が重要


 


同じ100万円の赤字でも中身によって意味は変わります。

例えば、

減価償却費が大きく帳簿上赤字になった。

大規模修繕を実施したため一時的に赤字になった。

新しい物件取得に伴う支出があった。

空室が増えて本業そのものが赤字になった。

家賃を下げても入居が決まらず赤字になった。

これらをすべて同じ「赤字」として考えることはできません。

大切なのは、

なぜ赤字なのか。

現金はいくら残っているのか。

来期はどうなるのか。

を説明できることです。

赤字という結果より、その赤字を生んだ原因を見る必要があります。

 


▪️赤字でも純資産が増えるケースがある


 


ここも不動産投資の面白いところです。

帳簿上の利益だけを見ていると、

「赤字だから資産形成できていない」

と思うかもしれません。

しかし実際にはローン返済によって借入元本が減っています。

例えば年間で300万円の元本を返済したとします。

現金は300万円出ていきます。

一方で負債も300万円減っています。

所有不動産の価値など他の条件が同じなら、負債が減ることで資産と負債の差は変化します。

だからこそ不動産投資では、

利益。

現金。

借入残高。

純資産。

を一緒に見る必要があります。

純資産と現金の違いについてはこちらでも詳しく解説しています。

 


▪️「節税できる物件」だけで選ばない


 


築古不動産では、減価償却を理由に購入を検討することがあります。

しかし物件を選ぶ本来の目的は節税だけではありません。

家賃が入るのか。

空室になったとき次の入居者が決まるのか。

修繕費はいくら必要なのか。

融資条件はどうなのか。

毎月現金が残るのか。

将来売却できるのか。

これらの方が長期的な経営には重要です。

節税できてもキャッシュフローが悪い物件なら、本当に良い投資なのかは別問題です。

地方不動産の物件選びについてはこちらも参考になります。

 


▪️次の投資先を探すなら「税引後の現金」で比較する


 


物件を比較するときは、表面利回りだけでなく、融資返済や運営費を含めて実際にいくら現金が残るのかを見ることが重要です。

さらに税金まで考えれば、同じ利回りでも最終的に残る金額は変わります。

これから不動産投資を始める方や、次の物件を探している方は、複数の投資方法を比較してみるのも一つの方法です。

不動産投資の情報や投資先の選択肢を確認したい方はこちら



▪️節税目的で現金を減らしすぎると次の物件が遠ざかる


 


不動産投資で規模を拡大したい場合、手元現金にはもう一つ重要な役割があります。

それが次の物件の取得資金です。

例えば500万円の現金を持っている大家がいたとします。

節税や設備投資を優先して300万円を使えば、残る現金は200万円です。

その直後に条件の良い収益物件が出てきても、

頭金。

諸費用。

修繕予備費。

などを用意できず、購入を見送ることになるかもしれません。

税金を抑えることも重要ですが、規模拡大を目指すなら、

現金を残すこと自体が次の投資戦略になります。

 


▪️減価償却は永久に続くわけではない


 


減価償却を活用すると、一定期間は帳簿上の利益を圧縮できることがあります。

しかし減価償却できる期間には限りがあります。

償却が進み、計上できる減価償却費が小さくなったり終了したりすれば、家賃収入が同じでも所得や利益が増える可能性があります。

すると税負担も変化する可能性があります。

物件購入時には、

今年いくら減価償却できるのか。

だけではなく、

何年間続くのか。

償却後の収支はどうなるのか。

まで考える必要があります。

入口の節税効果だけでなく、5年後・10年後のキャッシュフローまで考えて物件を選ぶことが重要です。

 


▪️赤字を作るためだけの物件購入は危険


 


決算前になると、

「何か買った方がいいのではないか」

と考えることがあります。

しかし不動産投資では金額が大きいため、税金だけを理由に購入すると本来必要のない支出を抱える可能性があります。

例えば節税効果が期待できても、

入居需要が弱い。

修繕費が高い。

借入条件が悪い。

出口が弱い。

キャッシュフローがほとんど残らない。

という物件なら、長期的に見て資産形成につながるとは限りません。

節税は物件購入の目的ではなく、良い投資をした結果として考えるくらいが安全です。

 


▪️赤字とキャッシュフロー赤字は分けて考える


 


ここまでで最も重要なのがこの違いです。

帳簿上赤字。

しかし現金は増えている。

という状態と、

帳簿上赤字。

さらに現金も減っている。

という状態は全く違います。

例えば減価償却によって帳簿上赤字でも、

家賃が安定して入っている。

ローンを返済できている。

修繕費を確保できている。

現預金も増えている。

のであれば、実際の資金繰りは安定している可能性があります。

反対に、

空室が多い。

家賃収入が減っている。

返済負担が大きい。

修繕費が払えない。

現預金も減っている。

という状態なら、単なる節税目的の赤字とは意味が違います。

「赤字か黒字か」より「現金が増えているか減っているか」を必ず確認しましょう。

 


▪️銀行融資を増やしたいなら決算書全体を見る


 


次の物件を融資で購入したい場合は、節税額だけを見るのではなく決算書全体を確認しておきたいところです。

PLでは、

売上。

経費。

利益。

BSでは、

現預金。

不動産などの資産。

借入金。

純資産。

さらに実際の資金繰りでは、

毎月のキャッシュフロー。

年間元本返済額。

修繕予定。

などを確認します。

利益だけを極端に小さくすることが、必ずしも次の融資にとって最善とは限りません。

税金を抑えることと、次の融資を受けられる財務状態を作ることのバランスが重要です。

決算書と次の融資についてはこちらでも詳しく解説しています。

 


▪️利益・現金・純資産の3つを毎年比較する


 


不動産投資をしているなら、決算後に最低でも3つの数字を前年と比較してみましょう。

利益。

現預金。

純資産。

例えば帳簿上100万円の赤字だったとしても、

現預金+200万円。

借入残高▲300万円。

純資産+200万円。

という状態なら、赤字という一つの数字だけでは経営状態を判断できません。

逆に黒字300万円でも、

現預金▲200万円。

借入残高ほぼ変わらず。

純資産も増えていない。

のであれば、なぜ現金が減っているのか確認する必要があります。

決算書は黒字か赤字かを見るものではなく、経営全体が強くなっているかを見るために使うものです。

 


▪️税金を払うことが必ずしも損ではない


 


節税を考えていると、

「税金はできるだけゼロにした方が得」

と感じることがあります。

しかし利益を残し、その利益から適切に税金を払い、それでも現預金と純資産が増えているのであれば、経営そのものは成長しています。

例えば、

利益500万円。

税金を支払った後でも現金が300万円増えた。

借入残高も200万円減った。

という状態なら、財務基盤は前年より強くなっている可能性があります。

税金をゼロにすることだけが経営のゴールではありません。

最終的に手元へ残る現金と純資産を増やすことが、不動産投資ではより重要です。

 


▪️節税・融資・投資を別々に考えない


 


不動産投資では、

節税は税理士。

融資は銀行。

物件は不動産会社。

と、それぞれ別々に考えてしまいがちです。

しかし大家側では、すべてつながっています。

物件を買う。

家賃が入る。

減価償却する。

利益が決まる。

税金を払う。

ローンを返す。

現金を残す。

決算書ができる。

その決算書を使って次の融資を相談する。

そして次の物件を購入する。

この循環です。

節税だけを最大化するのではなく、この循環全体を強くすることが資産拡大につながります。

 


▪️次の物件を探すときはキャッシュフローを優先する


 


次の収益物件を探すときも、

減価償却が大きく取れる。

節税できそう。

という理由だけで判断する必要はありません。

まず確認したいのは、

購入価格。

家賃収入。

ローン返済。

運営費。

修繕費。

空室リスク。

そして最終的に残るキャッシュフローです。

そのうえで減価償却や税負担を考える。

この順番の方が、不動産経営として判断しやすくなります。

次の投資先や不動産投資の選択肢を比較したい方はこちら

 


▪️まとめ|「赤字にすること」ではなく「現金と純資産を増やすこと」が目的


 


不動産投資では減価償却によって、

帳簿上は赤字。

しかし実際には現金が残っている。

という状態になることがあります。

その結果、税負担を抑えながらキャッシュフローを確保できるケースもあります。

しかし、

赤字なら得。

黒字なら損。

という単純な話ではありません。

見るべきなのは、

なぜ赤字なのか。

現金はいくら残っているのか。

ローンはいくら減ったのか。

純資産はいくら増えたのか。

次の融資につながる状態なのか。

です。

税金を減らすために必要のない現金を使えば、資金繰りは弱くなります。

反対に適切な減価償却によって帳簿上の利益を抑えながら、家賃収入から現金を残せるケースもあります。

だからこそ、不動産投資で目指したいのは、

「赤字を作ること」ではありません。

税引後の現金を残し、借入を返済し、純資産を積み上げ、次の物件へ進める財務状態を作ることです。

この視点を持てば、節税だけに振り回されず、長期的な資産形成として不動産投資を考えられるようになります。

 


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