不動産投資は「残債を減らすゲーム」?家賃でローンを返しながら純資産を増やす仕組みを徹底解説
- MIRAIU

- 8月11日
- 読了時間: 28分
不動産投資は「残債を減らすゲーム」?家賃でローンを返しながら純資産を増やす仕組みを徹底解説
不動産投資を始めると、多くの人が最初に気にするのが毎月のキャッシュフローです。
家賃収入が50万円。
ローン返済が30万円。
その他の経費を差し引いて10万円残る。
このように、
「毎月いくら手元に残るのか」
を見ることはもちろん重要です。
しかし、不動産投資を10年、20年という長期で考えるなら、もう一つ見ておきたい数字があります。
それが、
ローンの残債です。
毎月のローン返済には、一般的に利息だけではなく元金返済も含まれています。
元金が返済されれば、その分だけ借入残高は減っていきます。
つまり不動産投資では、
家賃を受け取りながら現金を残す
だけではなく、
家賃収入を原資として借入元金を返済し、残債を減らしていく
という資産形成も同時に進んでいます。
ただし、
「残債が減れば必ず資産家になれる」
というほど単純ではありません。
物件価格が大きく下落する。
修繕費が増える。
空室が続く。
現預金がなくなる。
こうした状態なら、残債が減っていても経営が苦しくなる可能性があります。
だから重要なのは、
キャッシュフロー・残債・物件価値・現預金・純資産をセットで見ること。
今回は、不動産投資で資産を増やしていくうえで重要な「残債を減らす」という考え方を、決算書や融資との関係まで含めて詳しく解説します。
▪️不動産投資のローン返済は「元金」と「利息」に分かれる
まず基本から確認しましょう。
例えば毎月30万円のローン返済があるとします。
この30万円すべてが同じ性質のお金ではありません。
大きく分けると、
元金返済
と、
支払利息
があります。
元金返済とは、借りたお金そのものを返している部分です。
一方、利息は金融機関へ支払う借入コストです。
例えば30万円の返済のうち、
元金25万円。
利息5万円。
だったとします。
この場合、毎月25万円ずつ借入残高が減っていくことになります。
▪️年間300万円の元金返済なら残債も約300万円減る
先ほどの例で、
毎月25万円の元金を返済しているとします。
単純化すると、
25万円×12ヶ月=300万円。
年間約300万円の借入元金が減ります。
例えば年初の残債が5,000万円なら、
1年後には約4,700万円。
というイメージです。
もちろん実際の返済額や元金・利息の内訳は融資条件によって異なります。
それでも、
ローン返済を続けることで残債が減っていく
という基本構造は非常に重要です。
▪️残債が減ると何が起こるのか?
ここからが不動産投資の面白いところです。
例えば、
物件の現在価値5,000万円。
ローン残債4,500万円。
だったとします。
単純化すれば、
5,000万円-4,500万円=500万円。
物件価値と借入の差は500万円です。
その後、家賃収入から返済を続け、
数年後に、
物件価値4,800万円。
残債3,500万円。
になったとします。
すると、
4,800万円-3,500万円=1,300万円。
物件価値は200万円下がっています。
しかし残債は1,000万円減っています。
その結果、
物件価値と残債の差は500万円から1,300万円へ広がっています。
これが、不動産投資で残債を見る意味の一つです。
▪️毎月のCFだけでは見えない資産形成がある
例えば2つの物件があるとします。
A物件は毎月CF+10万円。
B物件は毎月CF+3万円。
これだけを見ると、
A物件の方が圧倒的に優秀に見えます。
しかし、
融資期間。
金利。
元金返済額。
将来の売却価格。
修繕費。
土地価値。
まで含めると評価が変わることがあります。
B物件では毎月の手残りが少なくても、多くの元金が返済されている可能性があります。
だから、
「毎月いくら残ったか」だけで不動産投資の成果を判断しない
ことが重要です。
▪️ただし元金返済は「利益」ではない
ここは混同しやすいポイントです。
ローン元金を300万円返済したから、
利益が300万円増えた
という意味ではありません。
会計上、借入元金の返済は基本的に損益計算書の経費にはなりません。
借入金という負債が減る取引です。
一方、支払利息は費用として損益計算書に計上されます。
そのため、
PLでは黒字なのに現金が思ったほど増えない
という現象が起こることがあります。
▪️黒字なのに現金が増えない理由
例えば年間で、
家賃収入1,000万円。
経費700万円。
利益300万円。
だったとします。
数字だけなら、
「300万円儲かった」
ように見えます。
しかし実際には、このほかに借入元金を年間250万円返済しているかもしれません。
さらに、
固定資産税。
火災保険。
設備交換。
大規模修繕。
などのタイミングによって現金は動きます。
つまり、
利益と現金収支は同じではありません。
不動産投資ではPLだけではなく、貸借対照表や実際の資金繰りまで確認する必要があります。
▪️「残債が減っているから大丈夫」も危険
反対に、
「毎年残債が減っているからCFは少なくても問題ない」
と考えすぎるのも危険です。
例えば、
年間元金返済300万円。
しかし年間CFはほぼゼロ。
手元現金100万円。
そして翌年、
外壁修繕300万円。
給湯器交換50万円。
退去修繕30万円。
が重なったらどうでしょうか。
残債は順調に減っていても、
目の前の支払いができなければ資金繰りは苦しくなります。
だから残債を減らすことと同じくらい、
現預金を残すこと
が重要です。
▪️不動産投資は「残債を減らすゲーム」だけではない
長期保有によって残債を減らす考え方は、不動産投資において非常に重要です。
しかし実際の経営では、
残債を減らす
だけでは足りません。
理想は、
家賃売上を安定させる。
↓
必要経費を支払う。
↓
ローンを返済する。
↓
現金を残す。
↓
残債も減る。
↓
利益を積み上げる。
↓
純資産を厚くする。
という状態です。
つまり、
「残債が減る」と「現金が残る」を同時に進める
ことが重要になります。
▪️不動産投資では家賃が借入返済を支えてくれる
不動産投資の特徴の一つは、購入した不動産そのものが家賃収入を生み出すことです。
例えば5,000万円の収益物件を融資で購入した場合、
入居者から家賃を受け取る。
↓
その家賃から管理費・修繕費などを支払う。
↓
金融機関へローン返済する。
↓
その返済の一部によって借入元金が減る。
という流れになります。
つまり、
収益資産が生み出した売上によって、その資産を取得するための借入が返済されていく
という構造です。
これが不動産投資で融資を活用する大きな特徴です。
▪️借入は悪ではないが「返せる借入」であることが前提
借入金が大きいことだけを見て、
「危険だ」
と判断することはできません。
例えば借入1億円でも、
家賃収入が十分にあり、
高稼働。
年間CFもプラス。
現預金も十分。
返済も順調。
なら、事業として成立している可能性があります。
一方、
借入3,000万円でも、
空室が多い。
家賃が下落。
修繕費が重い。
現金がない。
年間CFがマイナス。
なら危険です。
重要なのは借入額そのものではなく、
その借入によって取得した資産が、返済を支えられるだけの収益を生んでいるか
です。
▪️借入を使うことで資産拡大のスピードは変わる
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例えば現金1,000万円を持っているとします。
現金だけで不動産を購入するなら、基本的には1,000万円の範囲で物件を探すことになります。
一方、金融機関から融資を受けることができれば、より大きな収益資産を取得できる可能性があります。
その資産が家賃を生み、
借入を返済し、
残債が減っていく。
この仕組みを適切に利用できれば、自己資金だけで物件を購入するより資産形成の速度が上がる可能性があります。
ただし当然ながら、借入を使えば返済義務も発生します。
だから、
「借りられるだけ借りる」のではなく、「返済できる収益資産に借入を使う」
ことが重要です。
不動産投資について詳しく確認したい方はこちら。
▪️借入を増やす前に年間現金収支を確認する
次の物件を買う前に確認したいのが、
現在保有している物件から本当に現金が残っているか
です。
例えば毎月、
家賃50万円。
ローン返済35万円。
なら、
「毎月15万円残る」
ように見えます。
しかし年間では、
固定資産税50万円。
火災保険20万円。
修繕100万円。
空室損50万円。
その他経費30万円。
が発生するかもしれません。
そうなると、
家賃-ローン返済だけでCFを判断することはできません。
次の借入を増やす前に、
1年間の家賃収入。
ローン返済。
固定資産税。
保険。
管理費。
修繕。
空室損。
その他支出。
を確認し、
年間で本当にいくら現金が増えたのか
を見る必要があります。
▪️次へ進む前に「現金が増えているか」を確認する
物件を買う。
満室にする。
家賃を受け取る。
ローンを返す。
そして1年経過した。
このとき、
銀行預金はいくら増えたのか。
ここを確認します。
例えば年間CF+200万円の計算だったのに、
実際の預金残高は前年より50万円しか増えていない。
なら、
150万円はどこかへ出ています。
修繕。
税金。
保険。
設備。
募集費。
その他支出。
原因を確認します。
この確認をせず、
「家賃-ローンはプラスだから大丈夫」
と次の物件を購入すると、物件数が増えるほど資金繰りが苦しくなる可能性があります。
▪️現預金は次の融資にも関係する
不動産賃貸業では、
現預金は単なる余ったお金ではありません。
突然の修繕。
空室。
家賃滞納。
金利上昇。
設備故障。
などに対応するための安全資金でもあります。
さらに次の物件を購入するときには、
頭金。
諸費用。
リフォーム費。
などが必要になる場合があります。
だから、
残債を減らしながら現預金も増やす
という状態を目指したいところです。
現預金と融資についてはこちら。
不動産投資で銀行が見る「現預金」はいくら必要?融資を受けやすい大家の決算書を徹底解説
▪️繰上返済をすればもっと早く残債を減らせる?
現金が貯まってくると、
「繰上返済した方がいいのでは?」
と考えることがあります。
確かに繰上返済をすれば、
残債を早く減らせる。
将来の利息負担を減らせる。
というメリットがあります。
しかし不動産投資では、
現金を金融機関へ返してしまう
という側面もあります。
例えば現預金1,000万円から800万円を繰上返済すれば、
残債は800万円減ります。
しかし手元現金は200万円になります。
その直後に大規模修繕500万円が発生すれば、別途資金調達が必要になる可能性があります。
だから、
残債を減らすことと現預金を残すことのバランス
が重要です。
詳しくはこちら。
不動産投資で現金を残すべき?繰上返済するべき?次の融資につながる資金戦略を徹底解説
▪️残債が減っても物件価値がそれ以上に下がれば純資産は増えない
例えば購入時、
物件価格5,000万円。
借入4,500万円。
だったとします。
10年後、
残債3,000万円。
まで減った。
これだけなら非常に良い状態に見えます。
しかし物件価値が2,500万円まで下がっていたら、
物件価値2,500万円-残債3,000万円=▲500万円。
となります。
つまり、
残債だけを見ても本当の資産状態は分かりません。
不動産の現在価値も同時に確認する必要があります。
▪️土地と建物では価値の動き方も違う
不動産は、
土地。
建物。
に分けて考えることも重要です。
建物は一般的に築年数の経過によって価値が変化します。
一方、土地は建物と同じように減価償却する資産ではなく、地域の需要や市場環境によって価格が変動します。
だから、
購入価格。
決算書上の簿価。
固定資産税評価。
金融機関評価。
実際の売却可能価格。
は、それぞれ違う可能性があります。
不動産価格と銀行評価についてはこちら。
不動産投資の決算書にある「不動産価格」は本当の資産価値?簿価・時価・銀行評価の違いを徹底解説
▪️純資産は「物件数」ではなく資産と負債の差で考える
例えば、
10棟所有。
総資産3億円。
と聞くと、大きな資産家に見えます。
しかし借入が3億円以上あれば、見え方は変わります。
一方、
総資産1億円。
借入4,000万円。
なら、資産と負債の差には大きな余力があります。
もちろん実際の決算書では他の資産・負債も含めて確認する必要があります。
それでも基本的には、
資産を増やすだけでなく、負債との差を広げる
ことが重要です。
▪️不動産投資は「買った瞬間」より10年後を見る
物件購入時は、
利回り。
価格。
融資条件。
自己資金。
に目が向きます。
しかし長期投資なら、
10年後にどうなっているか
を想像してみましょう。
10年間でいくら家賃を受け取れるか。
残債はいくら減るか。
修繕はいくら必要か。
物件価値はいくら残るか。
現預金はいくら増えるか。
売却したらいくら残るか。
ここまで考えると、購入時の表面利回りだけでは見えないものが見えてきます。
▪️売却したときに初めて残債減少の効果が見えやすくなる
例えば、
10年前に5,000万円で購入。
現在の売却価格4,500万円。
残債2,500万円。
だったとします。
単純化すると、
4,500万円-2,500万円=2,000万円。
ここから売却費用や税金などを考える必要がありますが、
長年の返済によって残債が減っているため、売却時に手元資金が残る可能性
があります。
購入価格より安く売却したからといって、必ず投資全体が失敗とは限りません。
保有期間中の家賃収入。
経費。
元金返済。
売却代金。
税金。
などを含めて、投資全体で判断する必要があります。
▪️売却資金を次の物件へ再投資する
売却によってまとまった資金が残れば、
次の物件の頭金。
購入諸費用。
リフォーム。
現預金の積み増し。
などに利用できます。
つまり、
物件を買う。
↓
家賃を得る。
↓
残債を減らす。
↓
売却する。
↓
借入を返済する。
↓
残った資金を次へ回す。
という資産形成も考えられます。
保有し続けることだけが不動産投資ではありません。
▪️地方不動産でも残債と出口をセットで考える
地方不動産は都市部より低価格で購入でき、高利回りに見える物件もあります。
しかし、
売却需要。
土地需要。
人口。
賃貸需要。
建物状態。
解体費。
などによって出口価格は大きく変わります。
だから地方物件でも、
家賃が入るから買う
だけではなく、
残債が減った将来に、いくらで売れる可能性があるのか
まで考えることが重要です。
地方不動産投資の基本はこちら。
地方不動産投資完全ガイド
▪️築古物件は修繕で現金が減ることも忘れない
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
築古物件では、ローン返済が順調でも、
屋根。
外壁。
給湯器。
水回り。
エアコン。
給排水。
共用部。
などの修繕が発生します。
年間元金返済200万円でも、大規模修繕に300万円使えば、その年の現金は大きく減る可能性があります。
だから、
残債減少額だけを資産形成の成果として見るのではなく、修繕後にいくら現金が残ったか
まで確認します。
築古物件のリフォームを検討している方はこちら。
▪️決算書ではPLとBSの両方を見る
不動産賃貸業を事業として拡大するなら、
損益計算書(PL)。
貸借対照表(BS)。
の両方を見る習慣をつけたいところです。
PLでは、
家賃売上。
経費。
支払利息。
減価償却費。
利益。
などを確認します。
BSでは、
現預金。
土地。
建物。
借入金。
純資産。
などを確認します。
そして毎年、
利益は出たか。
現預金は増えたか。
残債は減ったか。
純資産は増えたか。
を確認します。
▪️減価償却があるからPLと現金の動きはさらに違う
不動産投資では減価償却もあります。
減価償却費は会計上の費用ですが、その年に同額の現金が出ていく支出とは限りません。
一方、借入元金返済は現金が出ていきますが、基本的にはPL上の経費ではありません。
つまり不動産賃貸業では、
利益と現金の動きがズレやすい
という特徴があります。
そのため、
「黒字だから大丈夫」
「CFがあるから大丈夫」
だけではなく、PL・BS・実際の預金残高を合わせて見る必要があります。
減価償却と融資についてはこちら。
不動産投資の減価償却で融資が不利になる?節税と銀行評価を両立する考え方を徹底解説
▪️銀行融資を受け続けるなら「買った後」を重視する
不動産投資で規模を拡大したい場合、
次の1棟に融資が出るか。
だけを見るのではなく、
その1棟を買った後に会社がどうなるか
を見ることが重要です。
購入後、
家賃売上が増える。
利益が出る。
現預金が残る。
元金返済が進む。
純資産が増える。
なら、次の融資につながる土台を作りやすくなります。
逆に、
購入後に現金が枯渇。
赤字。
大規模修繕。
返済負担増加。
となれば、次の物件取得が難しくなる可能性があります。
融資を受けることがゴールではなく、融資を受け続けられる財務を作ることが重要です。
▪️次の物件を買う前に「残債減少+現金増加」を確認する
不動産投資で規模を拡大していくと、
「次はどの物件を買うか」
に意識が向きやすくなります。
しかし、その前に確認したいのが、
今持っている物件が本当に会社を強くしているか
です。
例えば1年間で、
ローン残債が300万円減った。
現預金が200万円増えた。
利益も黒字だった。
という状態なら、
借入返済を進めながら現金も蓄積できています。
一方、
ローン残債は300万円減った。
しかし現預金は200万円減った。
という場合は、
何に現金を使ったのか確認する必要があります。
修繕。
税金。
保険。
空室。
設備交換。
新しい物件の取得費。
原因によって意味は違います。
重要なのは、
「残債が減ったから順調」と一つの数字だけで判断しないこと
です。
▪️純資産を増やすには利益も重要
ローン元金の返済が進めば負債は減ります。
しかし法人の貸借対照表上の純資産を増やしていくうえでは、
利益を残すこと
も重要です。
法人が利益を出し、その利益が会社内部に蓄積されれば、利益剰余金の増加につながります。
反対に赤字が続けば、利益剰余金が減少し、純資産を悪化させる可能性があります。
だから不動産賃貸業では、
家賃売上を伸ばす
↓
利益を出す
↓
利益剰余金を積み上げる
↓
純資産を厚くする
という流れも意識する必要があります。
債務超過について詳しくはこちら。
不動産投資で債務超過になると融資はどうなる?貸借対照表(BS)の見方と改善方法を徹底解説
▪️「元金返済」と「利益剰余金」は別物
ここは非常に重要です。
年間300万円の元金返済をしたから、
利益剰余金が300万円増える
わけではありません。
元金返済は、貸借対照表上の借入金という負債を減らす動きです。
一方、利益剰余金は会社が過去に稼いで蓄積してきた利益などが反映される純資産の項目です。
そのため、
残債を減らすこと
と、
利益を積み上げること
は分けて考える必要があります。
不動産投資で強い財務を目指すなら、
残債が減る。
利益が出る。
現金が残る。
この3つが同時に進んでいる状態が理想的です。
▪️キャッシュフローが少なくても成功している物件はある?
毎月の手残りが少ないからといって、必ずしも悪い物件とは限りません。
例えば、
毎月CF+3万円。
年間CF+36万円。
だけを見ると、それほど大きな利益には見えません。
しかし年間で元金が200万円返済されている。
土地価値が比較的安定している。
高稼働が続いている。
将来の売却価格も期待できる。
のであれば、長期的には資産形成が進んでいる可能性があります。
ただし、
年間CF+36万円だから修繕が発生した瞬間に資金不足になる
という状態なら危険です。
だからCFが少ない物件ほど、十分な現預金を別途確保しておくことが重要になります。
▪️逆に高CFでも資産形成が進まないことがある
例えば、
毎月CF+15万円。
年間180万円。
一見すると非常に優秀な物件です。
しかし、
建物劣化が激しい。
土地需要が弱い。
売却価格が下がっている。
大規模修繕が近い。
残債があまり減っていない。
なら、長期的な資産形成では注意が必要です。
つまり、
高CF=必ず良い投資
でも、
低CF=必ず悪い投資
でもありません。
CF。
元金返済。
現預金。
物件価値。
修繕。
出口。
すべてを合わせて判断する必要があります。
▪️不動産投資では「含み資産」を定期的に確認する
例えば、
物件時価6,000万円。
残債4,000万円。
なら、単純化すると差額は2,000万円です。
この差額は決算書の純資産と完全に同じものではありませんが、
自分の不動産にどの程度の資産余力があるのか
を見る一つの材料になります。
反対に、
物件時価4,000万円。
残債5,000万円。
なら、
売却しても借入を完済できない可能性があります。
だから年に一度程度でも、
現在の家賃。
周辺の売買事例。
収益物件としての価格。
土地価格。
残債。
などを確認しておくと、自分の資産状態を把握しやすくなります。
▪️含み益があっても現金がなければ経営は苦しくなる
例えば、
物件時価1億円。
残債5,000万円。
単純差額5,000万円。
非常に強い資産状態に見えます。
しかし銀行預金が50万円しかなく、
翌月に300万円の修繕費が必要ならどうでしょうか。
不動産には大きな価値があっても、
目の前の300万円を支払えない
可能性があります。
これが、
純資産と資金繰りは別
ということです。
不動産投資では、
資産を増やすこと。
残債を減らすこと。
現預金を確保すること。
この3つを同時に考える必要があります。
▪️資産があるのに倒産することもある
会社は利益が出ていても、支払いに必要な現金がなければ資金繰りが苦しくなります。
不動産賃貸業でも同じです。
高額な不動産を何棟も所有している。
しかし、
税金。
修繕。
ローン返済。
業者への支払い。
などに必要な現金が足りない。
ということは起こり得ます。
だから、
「総資産○億円」だけでは会社の安全性は判断できません。
現預金と年間の支払い予定まで確認する必要があります。
▪️借入を増やすなら「手元流動性」を残す
不動産投資で融資を活用するとき、
頭金を多く入れれば借入額を減らせます。
しかし、その分だけ手元現金も減ります。
例えば現金2,000万円を持っていて、
物件購入時に1,800万円使えば、
残る現金は200万円です。
借入は少なくできますが、その直後に修繕500万円が必要になれば資金不足になります。
一方、
一定の借入を利用しながら現金を厚く残すことで、突発支出に対応しやすくなる場合もあります。
つまり、
借入を減らすことだけが安全とは限りません。
借入額。
返済額。
金利。
現預金。
修繕予定。
をセットで考えます。
▪️金利が上がった場合もシミュレーションする
変動金利などを利用している場合、将来的に金利が上昇する可能性も考えておく必要があります。
例えば現在の年間返済額が500万円でも、
金利上昇によって支払利息が増えれば、現金収支が悪化する可能性があります。
だから物件購入時には、
現在の金利だけではなく、
金利が上昇しても返済できるか
を確認しておくことも重要です。
高稼働。
十分なCF。
現預金。
返済余力。
こうした余白が、長期保有の安全性につながります。
▪️「借金を増やせば資産家になれる」わけではない
不動産投資では融資によって大きな資産を取得できます。
だからといって、
借入を増やせば増やすほど資産家になれる
わけではありません。
例えば、
不動産1億円。
借入1億円。
なら、単純な差額はほぼありません。
さらに物件価値が8,000万円へ下落すれば、
資産8,000万円。
負債1億円。
となります。
重要なのは、
借入を使って「価値と収益力のある資産」を取得すること
です。
▪️良い借入と危険な借入の違い
不動産投資における借入を考えるとき、
金額の大きさだけではなく、
その借入が何を生み出しているか
を見ると分かりやすくなります。
例えば、
借入によって高稼働の収益物件を取得。
家賃が安定。
経費を払っても利益が出る。
返済後も現金が残る。
残債も毎年減る。
なら、その借入は資産形成に貢献しています。
反対に、
空室。
赤字。
修繕続き。
返済後CFマイナス。
売却価格も残債以下。
なら、借入が経営を苦しくしている可能性があります。
▪️借入を使うなら「次の融資」まで考える
不動産投資を拡大したい人にとって重要なのは、
今回の融資が通るか
だけではありません。
今回の物件を買った後、
決算書がどうなるのか。
現預金はいくら残るのか。
年間利益はいくら増えるのか。
借入総額はいくらになるのか。
年間返済額はいくらになるのか。
次の金融機関からどう見えるのか。
まで考えます。
つまり、
1棟買うたびに融資余力を使い切るのではなく、次へつながる買い方をする
ということです。
▪️融資が続く会社は「買った後」が強い
例えば新しい物件を購入して、
家賃売上+600万円。
経費+200万円。
支払利息+100万円。
利益+300万円。
現預金も増加。
残債も順調に減少。
となれば、その物件によって会社全体の収益力が上がっています。
一方、
家賃売上は増えた。
しかし返済負担と修繕で現金が減った。
利益も赤字。
となれば、売上規模は拡大しても財務は悪化している可能性があります。
売上を増やすことと会社を強くすることは同じではありません。
融資が続く決算書についてはこちら。
不動産投資で融資が続く決算書とは?銀行が見るポイントと財務改善の考え方を徹底解説
▪️法人では毎年「5つの数字」を確認する
不動産賃貸法人を経営しているなら、最低限、
①家賃売上
前年より増えているか。
②利益
黒字になっているか。
③現預金
実際に増えているか。
④借入残高
年間でどれだけ減ったか。
⑤純資産
前年より厚くなっているか。
この5つを毎年比較すると、会社が強くなっているのか分かりやすくなります。
物件数だけを増やすのではなく、
5つの数字を改善しながら物件を増やす
ことが重要です。
▪️赤字でもCFが出ているケースはある
不動産投資では減価償却費があるため、
決算書上は赤字。
しかし実際の現金収支はプラス。
というケースがあります。
だから、
赤字=即危険
と単純に判断することはできません。
ただし、今後も融資を受けながら規模拡大したい場合、金融機関が決算内容をどのように評価するかは重要です。
赤字の理由。
減価償却。
一時的な修繕。
家賃収入。
返済状況。
現預金。
などを説明できるようにしておきます。
赤字決算と融資についてはこちら。
不動産賃貸業が赤字決算になったら融資は止まる?銀行への説明と財務改善のポイントを徹底解説
▪️売却は「負け」ではなく財務改善になることもある
長期間保有した物件で、
残債が大きく減った。
売却価格が残債を大きく上回る。
今後大規模修繕が必要。
利回りが低下。
という状況なら、売却を検討することもできます。
例えば、
売却価格5,000万円。
残債2,500万円。
なら、売却費用や税金などを差し引く必要はありますが、まとまった資金が残る可能性があります。
その資金を、
現預金として残す。
次の物件へ再投資する。
借入を減らす。
既存物件を修繕する。
などに使えます。
つまり、
残債を減らしてから売却する
という出口も、不動産投資の資産形成戦略の一つです。
▪️売れにくい物件は早めに出口を考える
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
すべての不動産が将来簡単に売却できるとは限りません。
特に、
長期空き家。
再建築に問題がある物件。
老朽化した建物。
残置物が多い物件。
権利関係が複雑な不動産。
などでは、一般的な売却が難しいことがあります。
その場合、
「残債がなくなるまで持つ」
だけではなく、
維持費。
固定資産税。
修繕費。
管理負担。
将来の解体費。
まで含めて保有と売却を比較する必要があります。
空き家・訳あり不動産の買取を検討している方はこちら。
▪️残債ゼロが最終ゴールとは限らない
不動産投資では、
「すべてのローンを完済すれば成功」
という考え方もあります。
もちろん無借金になれば返済負担はなくなります。
しかし、資産拡大を続ける人の場合、
返済途中の物件を保有しながら新しい融資を利用することもあります。
重要なのは、
借入ゼロ。
ではなく、
資産・負債・利益・現金のバランスが取れていること
です。
借入があっても、
返済能力が十分。
現金もある。
利益も出る。
純資産も厚い。
なら、財務的に安定している可能性があります。
▪️資産形成では「総資産」より純資産を見る
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
不動産投資を続けていると、
「総資産1億円」
「総資産3億円」
という数字に目が向きます。
しかし本当に確認したいのは、
その資産に対して負債がいくらあるのか
です。
総資産3億円。
負債2億8,000万円。
と、
総資産2億円。
負債8,000万円。
では財務状態が大きく異なります。
だから資産形成では、
資産-負債
という純資産の考え方が重要になります。
資産形成について詳しく確認したい方はこちら。
▪️よくある質問
Q. ローン元金を返済すれば純資産はその分増えますか?
単純に「元金返済額=会計上の純資産増加額」という関係ではありません。
元金返済によって借入金という負債は減りますが、同時に現預金も減少します。
会計上の純資産は利益などによって変動します。
一方で、不動産の時価と残債の差を見る場合には、残債減少によって実質的な資産余力が大きくなることがあります。
Q. キャッシュフローと元金返済はどちらが重要ですか?
どちらも重要です。
元金返済によって残債が減っていても、現預金がなければ修繕や空室に対応できません。
反対にCFだけを見て物件価値や残債を確認しないのも危険です。
Q. CFがほとんど出ない物件でも保有する意味はありますか?
物件価値、元金返済、将来の売却価格などによっては資産形成が進んでいる場合があります。
ただし、修繕や空室に耐えられる現預金が必要です。
Q. 繰上返済をした方が純資産形成は早くなりますか?
繰上返済によって残債は早く減りますが、同時に手元現金も減ります。
次の物件取得や修繕予定なども含めて判断する必要があります。
Q. 借入は多いほど有利ですか?
いいえ。
借入によって収益力のある資産を取得し、返済後も現金が残ることが重要です。
借入額だけを最大化する考え方は危険です。
Q. 物件を何年持てば資産形成できますか?
融資期間、元金返済額、物件価格、家賃収入、修繕費、売却価格などによって異なります。
購入時に5年後・10年後の残債と想定売却価格をシミュレーションしておくと判断しやすくなります。
Q. 物件価格より残債が多い場合は危険ですか?
売却時に借入を完済できない可能性があるため注意が必要です。
ただし家賃収入や返済状況、保有目的などを含めて総合的に判断する必要があります。
▪️まとめ|不動産投資は「現金を残しながら残債を減らすゲーム」
不動産投資では、
毎月いくらCFが出たか。
だけに注目しがちです。
しかし長期的な資産形成では、
ローン残債が毎年どれだけ減っているか
も重要です。
家賃収入を得る。
↓
必要経費を支払う。
↓
ローンを返済する。
↓
元金が減る。
↓
現金も残す。
↓
利益を出す。
↓
利益剰余金を積み上げる。
↓
純資産を厚くする。
この循環ができれば、不動産賃貸業は時間の経過とともに財務が強くなっていく可能性があります。
ただし、
残債が減っているだけでは不十分です。
固定資産税。
火災保険。
修繕。
空室。
設備交換。
金利。
こうした支出を含めても現金が残っているかを確認する必要があります。
そして次の物件を買う前に、
利益は出ているか。
現預金は増えているか。
残債は減っているか。
物件価値は維持されているか。
純資産は厚くなっているか。
を確認する。
不動産投資で目指したいのは、
借入を増やすことでも、物件数を増やすことでもありません。
融資を活用して収益資産を取得し、
家賃によって返済を進め、
現金を残し、
利益を積み上げ、
時間とともに純資産を増やしていくこと。
そして、その財務基盤を使って次の融資につなげる。
この循環を作ることが、長期的に不動産を増やしていくための重要な考え方です。
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