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不動産投資で黒字なのに現金が増えないのはなぜ?大家が見落とすキャッシュフローの仕組み

執筆者の写真: MIRAIU
MIRAIU
8月12日
読了時間: 5分

更新日:9月28日

不動産投資で決算は黒字なのに現金が増えない理由を、ローン元金、減価償却、修繕、税金、BS・PLの見方から整理。次の融資につなげるための確認順も解説します。


▪️1 黒字でも現金が増えないのは「利益」と「資金移動」が違うから

不動産投資では、決算書に利益が出ていても銀行口座の残高が増えるとは限りません。家賃収入から経費を引いた会計上の利益と、実際に口座から出入りする現金は別の動きをするためです。


まずは利益率だけでなく、家賃・返済・空室・修繕をまとめて見る考え方を確認してください。詳しくは 不動産投資の利回り・キャッシュフロー全体 で整理しています。手残りが減った理由を一つずつ分けることが出発点です。


▪️2 ローン元金返済は現金が出るのに必要経費にはならない

毎月のローン返済には元金と利息が含まれます。利息は必要経費になり得ますが、元金返済は借入金を返しているだけなので、現金は減ってもそのまま経費になるわけではありません。


国税庁は不動産所得を「総収入金額-必要経費」で計算し、必要経費の例として固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などを示しています。 国税庁「不動産収入を受け取ったとき」 を基準に、返済額全体を経費と考えないことが大切です。


▪️3 減価償却は利益と現金のズレを逆方向にも作る

減価償却費は、その年に同額の現金を支払っていなくても費用として計上されるため、利益を押し下げます。そのため赤字でも現金が残る年があれば、黒字でも元金返済が大きく現金が減る年もあります。


減価償却と融資評価を一緒に見る場合は 減価償却と銀行評価の考え方 も確認してください。節税だけでなく、返済後に現金がどれだけ残るかまで並べて見る必要があります。


▪️4 修繕・設備交換・税金は「発生する時期」まで見る

給湯器やエアコン、外壁、屋根などの支出は毎月均等に発生しません。数年間ほとんど出費がないあとに大きな修繕が重なることもあるため、単年の利益だけでは資金繰りを判断しにくくなります。


固定資産税や所得税・法人税等も、家賃が入った月と同じタイミングで支払うとは限りません。毎月の手残りから将来支払う税金と修繕積立を先に分けておくと、口座残高を実力以上に多く見積もりにくくなります。


▪️5 PLだけでなくBSと通帳残高を並べて確認する

損益計算書の利益だけを見ると、元金返済や物件購入による現金減少を見落としやすくなります。貸借対照表の借入残高と現預金、実際の通帳残高を並べると、何に現金を使ったのかが見えやすくなります。


借入残高が減っているなら、現金の一部は純資産の増加につながっている可能性があります。ただし、税金や修繕を払えないほど現預金が薄くなれば経営は不安定になるため、資産が増えていることと資金繰りが安全であることは分けて考えます。


▪️6 次の物件を買うなら現預金の最低ラインを先に決める

物件を増やす段階では、自己資金を全部次の頭金へ回さないことが重要です。空室、原状回復、設備故障、税金が重なっても既存物件を守れる現金を残したうえで、次の投資額を決めます。


必要な現預金は戸数、築年数、借入条件、家賃規模で変わるため一律の正解はありません。少なくとも今後1年の返済額、税金、想定修繕、空室時の固定費を一覧にしてから投資余力を判断すると安全です。


▶ 黒字でも危ないケースと健全なケースを分ける


黒字でも、毎年の元金返済と修繕で現金が減り続け、税金の支払いにも困る状態なら注意が必要です。逆に大規模修繕や頭金の支払いで一時的に現金が減っても、その後の家賃収入で回復できる計画があるなら意味は異なります。


判断するときは「今年いくら減ったか」だけでなく、「なぜ減ったか」「来年も続くか」「現金以外の資産と負債はどう変わったか」を確認します。原因が説明できる状態にしておくことが、次の融資や購入判断にもつながります。


▪️7 現金が増えないときは7つの順番で原因を確認する

①年間家賃収入、②運営経費、③ローン利息、④ローン元金返済、⑤減価償却、⑥税金・修繕・設備投資、⑦期首と期末の現預金を順番に並べます。最初から利益だけを見るのではなく、現金がどこで減ったかを時系列で追うと原因を切り分けやすくなります。


元金返済が大きい場合は、返済期間が短すぎないか、家賃に対して年間返済額が重くないかを確認します。返済そのものが悪いのではなく、物件が生む現金とのバランスが重要です。


修繕や設備投資が原因なら、単発の支出なのか毎年続く構造的な支出なのかを分けます。単発なら翌年以降に改善する可能性がありますが、慢性的な赤字なら家賃・管理・借入条件まで見直します。


最後に、現預金が減っていても借入残高や資産価値がどう変わったかを確認します。現金だけ、利益だけ、残債だけの一つの数字で判断せず、三つを一緒に見ると経営状態をつかみやすくなります。


▪️⑧ Q&A

Q. 黒字なら必ず現金も増えますか?


A. 増えるとは限りません。ローン元金返済や設備投資など、利益を直接減らさなくても現金が出ていく項目があるためです。



Q. 減価償却が大きいほど資金繰りは良くなりますか?


A. 一概には言えません。減価償却はその年の現金支出を伴わない費用ですが、実際の返済額や修繕費、税金まで合わせて確認する必要があります。



Q. 次の物件を買う前に何を確認すべきですか?


A. 既存物件の年間返済、税金、空室、想定修繕を払ったあとに現金が残るかを確認します。購入後も運転資金を残せることが前提です。


▪️⑨ まとめ

不動産投資で黒字なのに現金が増えないこと自体は珍しい現象ではありません。ローン元金、減価償却、税金、修繕、設備投資の動きを分ければ、会計上の利益と通帳残高がずれる理由を説明できます。


重要なのは、黒字か赤字かだけで経営を評価しないことです。利益・現預金・借入残高を毎年同じ順番で確認し、次の支出に耐えられる現金を残してから資産拡大を考えます。


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