不動産投資で借入を増やすのは危険?融資を活用して資産を拡大する貸借対照表の考え方
- MIRAIU

- 8月11日
- 読了時間: 31分
不動産投資で借入を増やすのは危険?融資を活用して資産を拡大する貸借対照表の考え方
不動産投資で規模を拡大しようとすると、避けて通れないのが借入です。
1棟目を購入する。
2棟目を購入する。
さらに3棟目、4棟目へ進む。
物件数が増えるにつれて、不動産という資産が増える一方で、金融機関からの借入金も増えていくことがあります。
例えば、
総資産3,000万円・借入2,000万円。
↓
総資産7,000万円・借入5,000万円。
↓
総資産1億5,000万円・借入1億円。
数字だけを見ると、
「借金がどんどん増えていて危険なのでは?」
と感じるかもしれません。
しかし、不動産賃貸業では借入金だけを見るのではなく、
その借入によって何を取得し、どれだけの収益を生み出しているのか
を見ることが重要です。
融資によって収益不動産を取得する。
家賃収入が増える。
利益を出す。
ローンを返済する。
現預金を残す。
残債を減らす。
純資産を積み上げる。
この循環を作ることができれば、借入を利用しながら資産形成を進められる可能性があります。
ただし、
「借りられるだけ借りればいい」
という話ではありません。
物件を買うたびに現預金が減る。
返済額が増える。
修繕費が増える。
利益が出ない。
純資産が悪化する。
この状態で借入だけを増やせば、規模拡大どころか資金繰りを悪化させる可能性があります。
そこで重要になるのが、
貸借対照表(BS)を見ることです。
今回は、不動産投資で融資を活用して資産を拡大するために知っておきたい、資産・負債・純資産・現預金・借入の考え方を詳しく解説します。
▪️貸借対照表を見ると会社の財務状態が分かる
貸借対照表は、大きく分けると、
資産
負債
純資産
の3つで構成されています。
不動産賃貸法人であれば、資産には、
現預金。
土地。
建物。
その他の資産。
などがあります。
負債には、
金融機関からの借入金。
未払金。
その他の債務。
などがあります。
そして、
資産から負債を差し引いた部分が純資産
という基本構造になっています。
▪️不動産を融資で買うと「資産」と「負債」が同時に増える
例えば自己資金500万円を使い、金融機関から4,500万円を借りて、5,000万円の収益物件を購入したとします。
単純化すると、
資産側には5,000万円の不動産。
負債側には4,500万円の借入金。
が加わります。
つまり融資による物件購入では、
借入だけが増えているわけではありません。
借入によって、
家賃を生み出す収益資産も取得している
ということです。
▪️借入額だけを見て危険とは判断できない
例えばA社とB社があるとします。
A社。
借入1億円。
B社。
借入3,000万円。
借入額だけなら、A社の方が危険に見えます。
しかしA社が、
収益不動産1億5,000万円。
現預金3,000万円。
年間家賃2,000万円。
高稼働。
十分な利益。
を持っている。
一方B社が、
収益不動産2,500万円。
現預金100万円。
年間家賃200万円。
空室多数。
年間CFマイナス。
ならどうでしょうか。
単純に、
借入が少ないB社の方が安全
とは言えません。
重要なのは、
借入額。
資産価値。
家賃収入。
利益。
現預金。
年間返済額。
を合わせて見ることです。
▪️借入には「資産を先に取得できる」という特徴がある
例えば5,000万円の収益物件を現金だけで購入しようとした場合、5,000万円を貯める必要があります。
しかし融資を利用できれば、一定の自己資金で5,000万円の収益資産を取得できる可能性があります。
そして購入した物件から、
毎月家賃が入る。
ローンを返済する。
元金が減る。
利益が残る。
という状態を作ることができます。
これが、不動産投資で融資を利用する大きな特徴です。
▪️融資を使う最大の目的は「借金を増やすこと」ではない
ここを間違えてはいけません。
融資を利用する目的は、
借入金額を大きくすることではありません。
目的は、
自分の資金だけでは取得できない収益資産を取得し、その資産から利益と現金を生み出すこと
です。
だから、
借入1億円。
総資産1億円。
より、
借入1億円。
収益資産1億5,000万円。
現預金2,000万円。
十分な利益。
という状態の方が財務的な余力は大きい可能性があります。
▪️資産を増やしても純資産が増えるとは限らない
例えば、
物件を3棟購入。
総資産1億円から3億円へ。
となれば、かなり規模が大きくなったように見えます。
しかし同時に、
借入8,000万円から2億9,000万円へ。
現預金2,000万円から500万円へ。
年間CFもほとんどない。
という状態ならどうでしょうか。
総資産は3倍になっています。
しかし、
会社そのものが3倍強くなったとは言えません。
不動産投資では、
総資産を増やすことと純資産を増やすことを分けて考える
必要があります。
▪️物件数が増えても現金が減っていたら注意する
1棟。
3棟。
5棟。
10棟。
物件数が増えていくと、
「順調に規模拡大している」
ように感じます。
しかし毎回、
頭金。
仲介手数料。
登記費用。
融資手数料。
不動産取得税。
火災保険。
リフォーム。
などで現金を使います。
物件数は増えているのに、
現預金2,000万円。
↓
1,200万円。
↓
700万円。
↓
300万円。
と減っているなら注意が必要です。
次の物件を買うほど会社の安全資金が減っている
可能性があるからです。
▪️借入を増やすなら現預金も確認する
不動産賃貸業では、予想していなかった支出が発生します。
給湯器故障。
エアコン交換。
漏水。
退去修繕。
外壁。
屋根。
空室。
家賃滞納。
さらに毎年、
固定資産税。
保険。
なども支払います。
だから借入を増やして物件を取得する場合でも、
購入後にいくら現預金が残るのか
を必ず確認したいところです。
現預金と融資についてはこちら。
不動産投資で銀行が見る「現預金」はいくら必要?融資を受けやすい大家の決算書を徹底解説
▪️自己資金を入れすぎることにも注意する
例えば手元に2,000万円あるとします。
5,000万円の物件を購入するとき、
自己資金を1,800万円投入。
借入3,200万円。
購入後の現預金200万円。
となれば、借入額は少なくできます。
しかし購入直後に、
外壁300万円。
空室修繕100万円。
設備交換50万円。
が発生したらどうでしょうか。
返済負担は軽くても、
手元資金が足りません。
つまり、
借入を減らせば必ず安全になるわけではない
ということです。
▪️借入と現預金を両方持つ考え方
例えば、
借入を少し多めに利用する。
その代わり現預金を厚く残す。
という考え方もあります。
もちろん借入が増えれば支払利息も増えるため、無条件に有利ではありません。
しかし不動産賃貸業では、
突然の修繕。
空室。
次の物件購入。
などに現金が必要です。
だから、
借入残高だけを最小化するのではなく、十分な手元流動性を確保する
ことも重要になります。
▪️融資を受ける前に「購入後のBS」を考える
物件購入前に、
現在のBS。
だけを見るのではなく、
この物件を買った後のBS
を考えてみます。
例えば購入前、
現預金2,000万円。
不動産8,000万円。
借入6,000万円。
だったとします。
新たに5,000万円の物件を、
自己資金1,000万円。
借入4,000万円。
で購入する。
すると単純化すれば、
不動産は増える。
借入も増える。
現預金は減る。
という変化が起きます。
ここで、
購入後の現預金で十分に経営できるか
を確認します。
▪️「融資が出たから買う」は危険
金融機関から、
「この物件なら融資できます」
と言われると、購入できる安心感が生まれます。
しかし、
融資が出る物件=自分が買うべき物件
とは限りません。
金融機関が融資してくれるか。
自分の会社が購入後も安全か。
これは別の問題です。
購入後、
年間CFはいくらか。
利益はいくらか。
現預金はいくら残るか。
大規模修繕はないか。
空室が増えても返済できるか。
まで確認します。
▪️借入を増やす前に年間CFを確認する
例えば、
家賃月100万円。
ローン返済月70万円。
なら、
月30万円。
年間360万円残るように見えます。
しかし実際には、
固定資産税100万円。
保険30万円。
管理費50万円。
修繕100万円。
空室損50万円。
その他経費30万円。
が発生するかもしれません。
すると年間360万円という単純な手残りは大きく変わります。
だから、
家賃-ローン返済だけを見て次の借入を増やさない
ことが重要です。
▪️CFがプラスでも預金残高が増えていないなら原因を探す
年間CF+300万円。
と言っているのに、
前年の預金残高1,000万円。
今年の預金残高900万円。
なら、
実際には100万円減っています。
この場合、
「CF+300万円だから順調」
で終わらせてはいけません。
税金。
保険。
修繕。
設備交換。
物件取得費。
法人経費。
どこに現金が出ていったのか確認します。
実際の預金残高はごまかせません。
計算上のCFだけではなく、
1年前より現金が増えたのか
を見ることが重要です。
▪️借入を増やすなら返済比率も重くなる
新しい物件を購入すれば、
家賃収入が増える。
同時にローン返済も増える。
という状態になります。
例えば、
年間家賃1,000万円。
年間返済400万円。
だった会社が、
新しい物件を購入して、
年間家賃1,500万円。
年間返済800万円。
になったとします。
売上は500万円増えています。
しかし返済額は400万円増えています。
さらに管理費や修繕費も増えます。
だから、
売上が増えた=返済余力が増えた
とは限りません。
▪️空室が出ても返済できるか確認する
満室想定だけで融資を組むと危険です。
例えば満室家賃100万円。
返済70万円。
なら、一見すると余裕があります。
しかし空室が発生して家賃80万円。
返済70万円。
となれば、残り10万円です。
そこから管理費、固定資産税、修繕などを支払います。
だから購入時には、
満室時だけではなく、一定の空室が発生した場合でも返済できるか
を確認します。
▪️金利が上がっても耐えられるか
借入額が増えるほど、金利変動の影響も大きくなります。
例えば借入1,000万円と1億円では、同じ金利上昇でも支払利息への影響額は大きく異なります。
特に変動金利を利用する場合、
現在の返済額だけではなく、
金利が上昇した場合の収支
も確認しておきたいところです。
借入を増やすほど、
余裕のある収支設計
が重要になります。
▪️借入を増やした後は残債を減らしていく
融資を使って物件を購入した後は、
毎月ローンを返済します。
その返済には元金部分が含まれているため、時間の経過とともに残債が減っていきます。
例えば、
購入時残債5,000万円。
5年後4,200万円。
10年後3,200万円。
というように返済が進めば、不動産価値が大きく下落しない限り、
物件価値と残債の差が広がっていく
可能性があります。
残債と純資産について詳しくはこちら。
不動産投資は「残債を減らすゲーム」?家賃でローンを返しながら純資産を増やす仕組みを徹底解説
▪️借入を使って買った後に「利益」を残す
借入によって資産を増やしても、
毎年赤字。
では財務は強くなりにくくなります。
家賃売上から、
管理費。
修繕費。
固定資産税。
保険。
支払利息。
減価償却費。
その他経費。
を差し引き、利益を残す。
法人なら、その利益を積み上げることで利益剰余金の改善につながります。
つまり、
借入で資産を増やし、利益で純資産を育てる
という考え方です。
▪️利益剰余金がマイナスなら改善していく
法人設立直後。
大規模修繕。
取得時の費用負担。
赤字決算。
などによって、利益剰余金がマイナスになる場合があります。
重要なのは、その後です。
家賃売上を伸ばす。
利益を出す。
利益を会社に残す。
これを繰り返し、
マイナスの利益剰余金を少しずつ埋めていく
という考え方があります。
赤字を放置するのではなく、
毎期の利益によってBSを改善していく
ことが重要です。
▪️債務超過なら借入拡大より改善を優先する場合もある
資産より負債が大きく、純資産がマイナスになっている状態が債務超過です。
この状態で、
「さらに借りて物件を増やせば売上が増える」
と考えることもできます。
しかし、購入する物件の収益力が低ければ、さらに財務を悪化させる可能性があります。
債務超過の法人では特に、
利益。
現預金。
既存物件の収益力。
借入残高。
実際の不動産価値。
を確認し、
既存法人を改善することと新規取得のどちらを優先するか
を慎重に判断します。
債務超過と融資についてはこちら。
不動産投資で債務超過になると融資はどうなる?貸借対照表(BS)の見方と改善方法を徹底解説
▪️借入返済だけでは利益剰余金は増えない
ここは間違えやすいところです。
毎月ローンを返済して、
年間300万円元金が減った。
だから、
利益剰余金も300万円増える
わけではありません。
元金返済は借入金という負債を減らしますが、同時に現預金も減ります。
利益剰余金を増やすには、
会社として利益を出して蓄積する
ことが基本になります。
だから強いBSを作るには、
残債を減らす。
利益を出す。
現預金を残す。
この3つを分けて確認する必要があります。
▪️不動産の簿価と実際の価値は違う
貸借対照表に記載されている不動産の金額が、
現在その物件を売却できる価格。
とは限りません。
不動産には、
決算書上の簿価。
固定資産税評価。
金融機関の担保評価。
市場での売却価格。
など、さまざまな見方があります。
だからBSを見るときも、
帳簿上の純資産だけでなく、不動産を現在売却したらどれくらいの価値があるのか
を把握しておくことが重要です。
詳しくはこちら。
不動産投資の決算書にある「不動産価格」は本当の資産価値?簿価・時価・銀行評価の違いを徹底解説
▪️含み益がある物件は財務の見え方が変わる
例えば決算書上の簿価3,000万円。
現在の市場価値5,000万円。
残債2,000万円。
という物件なら、帳簿上にはその市場価値5,000万円がそのまま表示されているわけではありません。
しかし実態としては、
市場価値5,000万円。
残債2,000万円。
という差があります。
金融機関がどのように評価するかは個別に異なりますが、
経営者自身は、
簿価だけでなく時価と残債の関係
も把握しておきたいところです。
▪️逆に含み損がある物件には注意する
購入価格5,000万円。
現在価値3,500万円。
残債4,500万円。
なら、
売却しても借入を完済できない可能性があります。
この状態で次々に借入を増やせば、表面的には総資産が増えても、実質的な財務余力が弱くなる可能性があります。
だから、
何棟持っているかではなく、各物件の現在価値と残債を確認する
ことが重要です。
▪️銀行は「総借入額」だけを見ているわけではない
金融機関によって審査基準は異なります。
しかし一般的には、
既存借入。
年間返済額。
家賃収入。
利益。
現預金。
不動産。
純資産。
代表者の状況。
など複数の要素を確認します。
つまり、
借入1億円だから次は無理
とも、
借入が少ないから必ず融資される
とも言えません。
金融機関にとって重要なのは、
貸したお金を継続して返済できるか
です。
▪️融資を受け続けたいなら決算書を毎年育てる
不動産投資で継続的に物件を増やすなら、
1回だけ融資を受ける。
ではなく、
次の融資につながる決算書を作る
という考え方が重要です。
例えば、
家賃売上が増える。
利益が増える。
現預金が増える。
借入元金が減る。
純資産が厚くなる。
という状態です。
物件を買うたびに、この数字が改善しているなら、法人そのものが成長しています。
融資が続く決算書についてはこちら。
不動産投資で融資が続く決算書とは?銀行が見るポイントと財務改善の考え方を徹底解説
▪️不動産投資で目指したいBSの変化
例えば最初は、
現預金500万円。
不動産3,000万円。
借入3,000万円。
純資産が薄い。
という会社だったとします。
数年間経営して、
現預金1,500万円。
不動産7,000万円。
借入5,000万円。
利益剰余金も増加。
となれば、
借入は増えています。
しかし同時に、
現預金。
不動産。
利益。
純資産。
も増えています。
つまり、
借入額だけを見れば悪化しているように見えても、BS全体では強くなっている
場合があります。
▪️反対に危険なBSの膨らみ方もある
例えば、
現預金1,000万円。
不動産5,000万円。
借入4,000万円。
だった会社が、
数年後、
現預金100万円。
不動産2億円。
借入1億9,000万円。
赤字。
となっていたらどうでしょうか。
総資産は大幅に増えています。
しかし、
現金がほとんどない。
借入負担が大きい。
利益も出ていない。
この状態では、修繕や空室などの小さな変化でも資金繰りに影響する可能性があります。
BSは大きくすればいいのではなく、中身が重要です。
▪️借入を増やすなら「利益・現金・純資産」も増やす
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融資を利用して不動産を増やすなら、
借入+5,000万円。
だけを見るのではなく、
その結果、
家賃売上はいくら増えるか。
利益はいくら増えるか。
現預金はいくら残るか。
年間元金返済はいくらか。
純資産はどう変わるか。
まで確認します。
理想は、
借入が増える以上に、会社の収益力と財務基盤が強くなる物件を取得すること
です。
不動産投資について詳しく確認したい方はこちら。
▪️地方不動産では価格の安さだけで借入を増やさない
地方不動産では、
価格が安い。
表面利回りが高い。
という物件も見つかります。
しかし、
賃貸需要。
空室期間。
修繕。
管理。
将来の売却需要。
土地価格。
まで確認する必要があります。
安いから買う。
融資が出るから買う。
ではなく、
購入後に利益と現金を生み続けられるか
を確認します。
地方不動産投資の基本はこちら。
地方不動産投資完全ガイド
▪️築古物件では借入以外の支出が大きくなることがある
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築古物件では購入後、
外壁。
屋根。
給湯器。
水回り。
エアコン。
給排水。
共用部。
などの修繕が発生する可能性があります。
物件価格2,000万円。
借入1,800万円。
でも、購入後に500万円の修繕が必要なら実際の資金負担は大きく変わります。
だから、
借入額だけではなく購入後の修繕まで含めて資金計画を作る
ことが重要です。
築古物件の収益改善を検討している方はこちら。
▪️次の融資を受ける前に確認したいこと
次の物件取得を検討するときは、
現在の現預金はいくらか。
年間家賃はいくらか。
年間利益はいくらか。
年間返済額はいくらか。
借入残高はいくらか。
年間元金返済はいくらか。
大規模修繕予定はいくらか。
現在の純資産はいくらか。
物件の現在価値はいくらか。
を一度整理してみましょう。
そして新しい物件を買った場合、
これらの数字がどう変化するのか
を考えます。
▪️「買える物件」より「買った後に強くなる物件」
不動産投資では、
銀行が融資してくれる。
自己資金も足りる。
売主とも合意できた。
なら物件を購入できます。
しかし、
買えることと買うべきことは違います。
本当に重要なのは、
その物件を購入した後、
会社が強くなるのか。
です。
家賃売上が増える。
利益が増える。
現預金を確保できる。
残債が減っていく。
純資産が増える。
この状態を作れる物件なら、次の融資にもつながりやすくなります。
▪️借入を増やす前に既存物件を強くする選択肢もある
新しい物件を買うことだけが規模拡大ではありません。
既存物件の、
空室を埋める。
家賃を適正化する。
不要な経費を見直す。
修繕して競争力を高める。
管理方法を改善する。
ことで利益を増やせる場合があります。
新規借入を増やさなくても、
既存資産の収益力を高めることで決算書を改善する
ことができます。
▪️まず1年間、本当に現金が残る状態を作る
新しい物件を購入する前に、
既存物件だけで1年間経営してみる。
そして、
家賃収入。
返済。
税金。
保険。
修繕。
空室。
法人経費。
すべてを支払った後、
実際に預金残高が増えたか
を確認する方法もあります。
もし現金が増えていないなら、次の物件を購入する前に原因を確認します。
不動産投資では、
拡大するスピードより、拡大しても壊れない財務を作ること
が重要です。
▪️不動産投資は「買う力」と「持ち続ける力」が違う
融資を受けて物件を購入できることは、不動産投資を拡大するうえで大きな力になります。
しかし、
物件を買えること。
物件を安全に持ち続けられること。
この2つは同じではありません。
購入時には自己資金があり、融資も通った。
ところが数年後、
空室が増える。
修繕が重なる。
固定資産税を支払う。
火災保険を更新する。
金利負担が増える。
こうした支出によって、当初想定していたCFが残らなくなることがあります。
だから購入前には、
「この物件を買えるか」ではなく「この物件を10年間持ち続けられるか」
という視点も必要です。
▪️家賃売上が増えても安心とは限らない
例えば新しい物件を購入して、
年間家賃売上1,000万円。
↓
年間家賃売上1,500万円。
になったとします。
売上だけを見れば大きな成長です。
しかし同時に、
年間返済額。
固定資産税。
保険。
管理費。
修繕費。
なども増えます。
結果として、
売上+500万円。
経費・返済等+550万円。
なら、規模は大きくなっても資金繰りは以前より苦しくなる可能性があります。
重要なのは、
売上の大きさではなく、最終的に利益と現金を残せているか
です。
▪️満室時ではなく「悪い年」を想定する
収益物件を購入するときは、満室想定の収支表を見ることが多くあります。
しかし実際の賃貸経営では、
退去が重なる。
募集期間が長くなる。
家賃を下げる。
原状回復費が増える。
設備が故障する。
という年もあります。
だから、
満室なら返済できる
だけでは十分とは言えません。
例えば、
稼働率90%。
修繕費が通常より100万円増える。
金利が上昇する。
こうしたケースでも資金繰りが成立するか確認しておくと、購入判断の安全性を高められます。
▪️物件取得直後は特に現金が減りやすい
不動産を購入すると、物件代金以外にも多くの費用が発生します。
登記費用。
仲介手数料。
融資関連費用。
火災保険。
不動産取得税。
リフォーム費。
入居募集費。
購入時には想定していなかった修繕。
そのため、
購入できた直後が最も資金に余裕があるとは限りません。
むしろ取得後しばらくしてから、不動産取得税や修繕などの支払いが重なることもあります。
新規取得では、購入日の預金残高ではなく、
購入後1年間の資金繰り
まで考えておくことが重要です。
▪️借入を増やすほど「固定費」も意識する
物件を増やせば家賃収入も増えます。
一方で、
ローン返済。
管理費。
税金。
保険。
共用部費用。
など、継続的に発生する支出も増えます。
満室時には問題がなくても、家賃収入が落ちたときにも支払いは続きます。
だから規模拡大では、
売上が増える速度だけでなく、固定的な支出が増える速度
も確認する必要があります。
▪️短期間で買い進めるほど財務状態を確認する
半年で1棟。
1年で1棟。
というペースなら、各物件の実績を確認してから次へ進みやすくなります。
一方、短期間で何棟も購入すると、
最初の物件の本当の年間収支が分からないまま次の借入を増やすことがあります。
購入直後は満室でも、
1年後に修繕が発生する。
退去が出る。
税金が来る。
ということがあります。
だから短期間で買い進める場合ほど、
机上のCFではなく実際の預金残高と年間収支を細かく確認する
ことが重要です。
▪️利益が出ても全部使わない
不動産賃貸業で利益が出た場合、その資金をすぐ次の物件購入に使いたくなることがあります。
しかし、
利益が出た。
↓
すべて次の頭金に使う。
↓
現預金が再び減る。
を繰り返すと、物件数は増えても会社の現金がなかなか厚くなりません。
一定の現預金を会社に残し、
次の投資に使うお金と会社を守るお金を分ける
という考え方も重要です。
▪️現金を残すことは「何もしない」ことではない
銀行預金に現金を置いておくと、
「投資に回さないともったいない」
と感じることがあります。
しかし不動産賃貸業における現預金には、
修繕への対応。
空室への対応。
税金の支払い。
金利上昇への備え。
次の物件取得。
金融機関との交渉。
など、多くの役割があります。
現金は収益を直接生まなくても、賃貸経営を継続するための重要な資産です。
▪️決算書が弱いときほど焦って拡大しない
赤字。
現預金不足。
利益剰余金のマイナス。
債務超過。
こうした状態を見ると、
「もっと物件を増やして家賃売上を増やさなければ」
と考えることがあります。
実際、収益性の高い物件を取得することで改善できるケースもあるでしょう。
しかし新しい物件にも、
取得費。
借入。
返済。
修繕。
空室リスク。
があります。
だから財務が弱いときほど、
新しい借入で問題を隠すのではなく、既存物件の収益力を確認する
ことが重要です。
▪️既存物件の満室化は財務改善につながる
例えば6戸のアパートで1室空室なら、
新しい物件を買わなくても、その1室を決めることで家賃売上を増やせます。
さらに、
長期空室を改善する。
適正家賃へ見直す。
駐車場を活用する。
不要な固定費を削減する。
募集方法を改善する。
こうした施策によって、
既存資産から生まれる利益を増やす
ことができます。
新規借入を増やさずに利益を増やせれば、財務改善にもつながります。
▪️利益を積み上げることでBSを改善する
法人で毎年利益を出していけば、その利益は税金や配当等の影響を受けながら会社の純資産へ反映されていきます。
例えば、
1年目+100万円。
2年目+200万円。
3年目+300万円。
と利益を積み上げれば、赤字を抱えている法人でも少しずつ改善していく可能性があります。
派手ではありません。
しかし、
家賃売上を伸ばす → 利益を出す → 利益剰余金を改善する → 純資産を厚くする
という積み重ねは、賃貸法人の財務改善において重要です。
▪️借入返済が進むことも長期では大きい
毎月のローン返済は資金繰り上の負担です。
一方で、その中の元金部分は借入残高を減らしています。
例えば年間300万円ずつ元金返済が進めば、
5年間で約1,500万円。
10年間で約3,000万円。
実際には返済方式などによって金額は変わりますが、長期保有では大きな差になります。
だから、
毎月のCFだけではなく、年間でいくら元金が減ったか
も確認しておきたい数字です。
▪️ただし元金返済が進んでも現金不足には注意する
残債が毎年300万円減っている。
これは長期的には大きな意味があります。
しかし、
年間CF+50万円。
現預金200万円。
大規模修繕予定500万円。
なら、直近の資金繰りには注意が必要です。
残債が減ることと、現金が残ることは別です。
不動産賃貸業では、
長期的な資産形成。
短期的な資金繰り。
この両方を見る必要があります。
▪️決算書の数字と実態を両方確認する
貸借対照表に、
土地。
建物。
現預金。
借入金。
純資産。
が記載されています。
しかし経営判断では、決算書だけで終わらせず、
実際の不動産価値。
実際の預金残高。
今後の修繕予定。
現在の入居率。
現在の家賃。
現在の残債。
まで確認します。
そうすることで、
帳簿上の財務と実際の経営状態
をより正確に把握しやすくなります。
▪️毎年同じ時点でBSを比較する
決算書は1年分だけを見るより、
前年。
今年。
来年。
と比較すると変化が分かりやすくなります。
例えば、
現預金500万円→800万円。
借入5,000万円→4,700万円。
純資産200万円→400万円。
なら、一定の改善が見えます。
一方、
現預金500万円→200万円。
借入5,000万円→8,000万円。
純資産200万円→▲100万円。
なら、新規取得の内容や収益性を詳しく確認する必要があります。
決算書は点ではなく、毎年の変化を見ることが重要です。
▪️銀行へ説明できる数字を持つ
融資相談をするとき、
「順調です」
だけでは会社の状態は伝わりません。
例えば、
家賃売上は前年より○万円増加。
入居率は○%。
年間利益は○万円。
現預金は○万円。
年間元金返済は○万円。
今後予定している大規模修繕は○万円。
というように、自分の会社の数字を説明できることが重要です。
金融機関に提出するためだけではなく、
経営者自身が自社の財務を理解するためにも必要です。
▪️不動産投資では「借りられる金額」より「返せる金額」
金融機関から大きな融資枠を提示されると、その範囲まで物件を購入したくなることがあります。
しかし、
借りられる上限と、安全に返済できる上限は同じとは限りません。
家賃が10%下がったら。
空室が増えたら。
修繕が重なったら。
金利が上がったら。
それでも返済できるか。
ここまで考えて借入額を決めることで、財務に余白を持たせやすくなります。
▪️次の1棟より「その次」まで考える
不動産投資を継続して拡大するなら、
目の前の物件を買えるか。
だけではなく、
その物件を買った後も金融機関から融資を受けられる財務になるか
を考える必要があります。
自己資金を使い切る。
返済比率が大幅に上がる。
利益がほとんど出ない。
現預金がなくなる。
こうした買い方をすると、次の融資が難しくなる可能性があります。
だから、
目先の1棟より、買った後も融資が続く財務を優先する
という考え方が重要になります。
▪️物件購入を見送ることも財務戦略
良さそうな物件が出てきても、
自己資金が足りない。
現預金が薄い。
既存物件に修繕予定がある。
決算がまだ弱い。
返済比率が高い。
という場合があります。
そのとき、
買わない
という判断もあります。
半年。
1年。
既存物件の収益を改善する。
現金を貯める。
残債を減らす。
利益を積み上げる。
その後に次の物件を取得する。
規模拡大を急がないことが、結果的に長く買い続けることにつながる場合もあります。
▪️売却によってBSを改善する方法もある
すべての物件を永久に保有する必要はありません。
例えば、
収益性が低下した。
修繕負担が大きい。
今後の価格上昇が期待しにくい。
残債が十分に減った。
高値で売却できる。
という物件なら、売却も選択肢になります。
売却によって借入を返済し、現金を確保できれば、
BSを組み替える
ことができます。
▪️空き家や収益性の低い不動産は出口も考える
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不動産を所有しているだけで、
固定資産税。
管理費。
草刈り。
修繕。
保険。
などの費用が発生することがあります。
特に長期空室や老朽化した物件では、
「いつか使うかもしれない」
と保有し続けることで現金が流出する場合があります。
保有。
賃貸。
リフォーム。
売却。
解体。
などを比較し、
その不動産が今後も資産として機能するのか
を確認することが重要です。
空き家・訳あり不動産の売却を検討している方はこちら。
▪️不動産売却で資産を入れ替える選択肢
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現在の物件を売却して借入を返済し、残った資金を次の収益物件へ使う方法もあります。
例えば、
収益力の低い物件を売却。
借入を完済。
現金を確保。
その資金を自己資金として次の物件へ。
という流れです。
単純に物件数を増やすだけではなく、
収益性の低い資産から高い資産へ入れ替える
という考え方もあります。
不動産売却を検討している方はこちら。
▪️借入を使った資産形成では時間も味方になる
不動産投資では、
家賃を受け取る。
ローンを返済する。
残債が減る。
利益を積み上げる。
という流れを何年も続けます。
短期間では大きな変化がなくても、
5年。
10年。
15年。
と経過すると、借入残高は大きく変化する可能性があります。
その間に現預金と利益も積み上げることができれば、
時間の経過とともに財務を改善する
ことができます。
▪️純資産が増えているかを毎年確認する
総資産が増えた。
家賃売上が増えた。
物件数が増えた。
これらも重要な成長です。
しかし長期的には、
純資産が増えているか
も確認します。
純資産が毎年厚くなっていれば、会社内部に利益が蓄積されている可能性があります。
反対に、
物件数は増えている。
借入も増えている。
しかし純資産は減っている。
という状態なら、拡大方法を一度確認する必要があります。
▪️資産形成は総額より「中身」を見る
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「不動産を1億円持っている」
という数字だけでは、その人や会社の財務状態は分かりません。
不動産1億円。
借入9,500万円。
現預金100万円。
なのか、
不動産1億円。
借入4,000万円。
現預金2,000万円。
なのか。
同じ1億円の不動産を所有していても、財務状態は大きく違います。
資産形成では、
資産額・負債額・現預金・純資産をセットで見る
ことが重要です。
資産形成について詳しく確認したい方はこちら。
▪️よくある質問
Q. 不動産投資では借入が多いほど危険ですか?
借入額だけでは判断できません。
借入によって取得した不動産の収益力、物件価値、現預金、年間返済額、利益などを合わせて判断する必要があります。
Q. 現金購入と融資購入はどちらが安全ですか?
状況によって異なります。
現金購入なら返済負担はありませんが、多額の現金を使うことで手元流動性が低下する場合があります。
融資を利用すれば現金を残せる可能性がありますが、返済義務と金利負担が発生します。
Q. 借入はいくらまでなら大丈夫ですか?
一律の金額では判断できません。
家賃収入、返済額、金利、現預金、修繕予定、物件価値などによって安全な借入額は異なります。
Q. 物件を買った後に現金が減るのは問題ですか?
取得費用などによって一時的に減ることはあります。
ただし、その後も継続して現預金が減っている場合は、年間収支や修繕費などを確認する必要があります。
Q. 借入返済が進めば純資産も増えますか?
借入元金の返済そのものが会計上の純資産を直接増やすわけではありません。
ただし残債が減ることで、不動産の時価と残債の差が広がる場合があります。
会計上の純資産を厚くするには、利益を積み上げることも重要です。
Q. 債務超過でも物件を増やした方がいいですか?
一概には言えません。
収益性の高い資産取得によって改善できる場合もありますが、借入と返済負担も増えます。
既存物件の利益、現預金、不動産価値などを確認したうえで判断する必要があります。
Q. 次の物件を買うタイミングはどう判断しますか?
既存物件の年間収支が把握でき、税金・保険・修繕を支払った後も現金が残り、新しい物件を取得した後にも十分な資金余力があるかが一つの判断材料になります。
▪️まとめ|借入を増やすなら会社も同時に強くする
不動産投資では、融資を活用することで自己資金だけでは取得できない収益資産を購入できる可能性があります。
そのため、
借入そのものを悪いものと考える必要はありません。
重要なのは、
その借入が会社を強くしているか
です。
融資を受ける。
↓
収益不動産を取得する。
↓
家賃売上を増やす。
↓
利益を出す。
↓
現預金を残す。
↓
ローン元金を返済する。
↓
利益を積み上げる。
↓
純資産を厚くする。
この流れを作ることができれば、借入を活用しながら財務を改善していくことができます。
反対に、
物件数は増えた。
総資産も増えた。
しかし、
現預金が減る。
赤字が続く。
返済負担が重くなる。
純資産が悪化する。
という状態なら、規模拡大の方法を見直す必要があります。
不動産投資で大切なのは、
「いくら借りたか」だけではありません。
借入によって、
どれだけ家賃を増やしたか。
どれだけ利益を残したか。
どれだけ現金を残したか。
どれだけ残債を減らしたか。
どれだけ純資産を積み上げたか。
ここまで確認することが重要です。
そして次の物件を購入する前に、
今の会社が本当に強くなっているかを確認する。
目先の1棟に融資を付けて買うこと以上に、
買った後も融資が続く財務を作る。
それが、長期的に不動産を増やしていくための重要な考え方です。
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