不動産投資の減価償却とは?節税効果と売却時に戻ってくる税金の関係
- MIRAIU

- 8月14日
- 読了時間: 22分
■ 減価償却は「現金が出ていないのに経費になる」不動産投資特有の数字
不動産投資の税金について調べると、必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。
減価償却です。
「減価償却が大きい物件は節税になる」
「築古物件は減価償却が取れる」
「減価償却で税金を抑えられる」
こうした話を聞くことがあります。
しかし減価償却を、
税金を安くしてくれるお金。
とだけ理解すると、不動産投資の判断を間違える可能性があります。
減価償却費は、不動産を購入した年に建物価格をすべて必要経費にするのではなく、税務上のルールに従って一定期間に分けて費用化していくものです。
そして大きな特徴があります。
減価償却費を計上する年に、同額の現金が出ていくわけではありません。
ここが修繕費や管理費とは大きく違います。
■ まず「土地」と「建物」を分けて考える
例えば中古戸建を1,000万円で購入したとします。
この1,000万円すべてを減価償却するわけではありません。
不動産には、
土地。
建物。
があります。
土地は使用することで時間とともに価値がなくなる資産とは考えられていないため、基本的に減価償却の対象にはなりません。
一方、建物は時間の経過や使用によって価値が減っていく資産として扱われるため、減価償却の対象になります。
例えば購入価格1,000万円のうち、
土地600万円。
建物400万円。
とします。
減価償却を考える中心になるのは、この建物400万円です。
ただし実際の土地・建物価格の区分は、売買契約や固定資産税評価などさまざまな要素が関係します。
「物件を1,000万円で買ったから1,000万円を減価償却できる」という考え方ではないことが最初のポイントです。
■ 建物400万円を購入した年に全部経費にはしない
建物400万円。
購入した年に、
家賃収入120万円。
建物購入費400万円。
だから不動産所得は280万円の赤字。
という計算にはなりません。
建物は購入後も何年間か使用する資産です。
そのため建物価格を一定期間に分けて必要経費として計上していきます。
例えば税務上の計算によって年間40万円の減価償却費になるとします。
その場合、
1年目40万円。
2年目40万円。
3年目40万円。
というように費用化していきます。
※実際の減価償却費や期間は建物の構造、築年数、取得時期などによって異なります。
建物購入に使った金額を、税務上のルールに従って複数年へ配分するのが減価償却の基本です。
■ なぜ減価償却が「節税」と言われるのか
例えば年間家賃120万円。
管理費や固定資産税、保険、ローン利息などの必要経費が40万円。
減価償却を考えなければ、
120万円-40万円=80万円。
単純化すると80万円の所得です。
ここで減価償却費が年間40万円あったとします。
120万円-40万円-40万円=40万円。
税金計算上の所得は40万円まで小さくなります。
しかし減価償却費40万円について、その年に新しく40万円を銀行口座から支払ったわけではありません。
このため、
現金は残っているのに、税金計算上の所得を小さくできる。
という状態が起こることがあります。
これが減価償却が不動産投資で注目される大きな理由です。
■ 「40万円経費=40万円得する」ではない
ここは重要です。
減価償却費40万円を計上した。
だから40万円儲かった。
という意味ではありません。
減価償却費によって課税対象となる所得が小さくなることで、結果として税負担が変わる可能性があるということです。
実際にどれだけ税負担へ影響するかは、
他の所得。
所得税率。
住民税。
不動産所得の状況。
損益通算の可否。
などによって変わります。
減価償却費そのものが現金として戻ってくるわけではありません。
「減価償却40万円=40万円節税」
と考えないことが重要です。
■ キャッシュフローと税金計算がズレる理由
不動産投資では、
実際に残った現金。
税金計算上の所得。
この二つが一致しません。
その代表的な理由が、
ローン元金。
減価償却費。
です。
例えば年間家賃120万円。
実際に支払った管理費・税金・保険など30万円。
ローン返済60万円。
単純な現金収支なら、
120万円-30万円-60万円=30万円。
年間30万円残ります。
しかしローン返済60万円のうち元金部分は、原則としてそのまま必要経費になるわけではありません。
一方で減価償却費は、その年に同額の現金支出がなくても必要経費になります。
だから、
現金は30万円残ったのに、税金計算上の所得は別の数字になる。
ということが起きます。
不動産投資ではこの二つを分けて管理する必要があります。
キャッシュフローについてはこちらでも詳しく整理しています。
不動産投資でキャッシュフローはいくら残ればいい?家賃収入より大切な手残りの考え方
■ 建物の構造によって法定耐用年数が違う
減価償却を考えるうえで重要なのが建物の構造です。
建物には税務上、構造や用途などに応じた法定耐用年数があります。
例えば住宅用建物でも、
木造。
鉄骨造。
鉄筋コンクリート造。
などによって耐用年数が異なります。
そのため同じ建物価格1,000万円でも、構造が違えば毎年計上される減価償却費が同じになるとは限りません。
さらに中古物件では築年数も関係します。
ここから、
「築古物件は短期間で減価償却できる」
という話につながります。
しかし短期間で減価償却できることだけを見て、投資価値が高いと判断するのは危険です。
減価償却期間は税務上の数字であり、その物件が実際に何年間収益を生むかとは別の話です。
■ 築古戸建で減価償却が注目される理由
築古戸建投資では、建物がすでに法定耐用年数を経過していることがあります。
中古資産の耐用年数には税務上の計算方法があり、条件によって新品の建物より短い期間で減価償却することがあります。
例えば建物価格400万円。
一定の条件で短期間に減価償却することになれば、年間の減価償却費が大きくなる可能性があります。
その結果、保有中の不動産所得を小さくする効果も大きくなることがあります。
これが、
「築古戸建は減価償却が大きい」
と言われる理由の一つです。
ただし、
築古だから必ず得。
短期償却だから必ず節税になる。
という意味ではありません。
築古物件では税務上のメリットと、修繕・空室・出口のリスクを一緒に見る必要があります。
■ 減価償却だけで築古物件を買うと危険
例えば築古戸建500万円。
建物部分が大きく、短期間で減価償却できる。
税金だけを見ると魅力的に見えるかもしれません。
しかし実際の賃貸経営では、
屋根修繕50万円。
給湯器交換15万円。
水回り修繕30万円。
数か月の空室。
家賃下落。
といったことが起こる可能性があります。
減価償却によって税負担が小さくなっても、それ以上の修繕費が発生すれば現金は減ります。
不動産投資で最も重要なのは「減価償却費がいくら取れるか」ではなく「最終的に現金と資産がいくら残るか」です。
現金を残す考え方についてはこちらでも詳しく整理しています。
不動産投資で現金を残すべき理由とは?空室・修繕に強い資金管理
■ 建物価格を大きくすれば得するという単純な話ではない
土地600万円。
建物400万円。
より、
土地300万円。
建物700万円。
の方が建物価格が大きいため、減価償却費も大きくなる可能性があります。
そこで、
「売買価格のうち建物価格をできるだけ大きくすればいい」
と考える人もいるかもしれません。
しかし土地と建物の価格を自由に決めればよいわけではありません。
契約内容。
固定資産税評価。
消費税。
取引の実態。
その他の合理的な根拠。
などを踏まえて考える必要があります。
減価償却を大きくすることだけを目的に、根拠なく建物価格を設定する考え方には注意が必要です。
■ 設備も建物と同じ期間とは限らない
不動産には建物本体だけでなく、さまざまな設備があります。
給排水設備。
電気設備。
エアコン。
その他の建物附属設備。
取得内容によっては建物本体とは別に資産として扱い、異なる耐用年数で減価償却する場合があります。
一棟物件などでは、建物本体と設備をどのように扱うかによって毎年の減価償却費が変わる可能性があります。
ただし取得時の内訳や実際の設備内容などによって判断する必要があります。
減価償却は「建物価格÷年数」だけですべて終わるとは限らず、取得した資産の内容を確認する必要があります。
■ 減価償却が終わると税金計算が変わることがある
年間家賃120万円。
その他必要経費40万円。
減価償却費40万円。
減価償却期間中なら単純化すると、
120万円-40万円-40万円=40万円。
しかし減価償却が終了した後、他の条件が同じなら、
120万円-40万円=80万円。
所得が増えます。
家賃収入が増えたわけではありません。
現金支出が減ったわけでもありません。
減価償却費という必要経費がなくなったことで、税金計算上の所得が増えるのです。
これを知らずに、
「毎年同じ家賃だから税金も同じくらいだろう」
と考えていると、減価償却終了後に税負担が変わる可能性があります。
■ デッドクロスという言葉を知っておく
不動産投資では、
ローン元金返済が増える。
減価償却費が減る、または終了する。
その結果、
現金はそれほど残っていないのに、税金計算上の所得が大きくなる。
という状態が問題になることがあります。
一般にデッドクロスと呼ばれることがあります。
ローン元金は現金として出ていきます。
しかし元金返済そのものは原則として必要経費にはなりません。
一方、減価償却費は現金支出を伴わない必要経費です。
このバランスが変化すると、
税金は増えた。
ローン返済も続いている。
手元現金は思ったほど増えない。
という状態になる可能性があります。
融資を使った不動産投資では、購入時だけでなく減価償却終了後の収支まで考えておくことが重要です。
ローン返済についてはこちらでも詳しく整理しています。
不動産投資でローン返済比率は何%が安全?家賃収入が残る借入額と返済額の考え方
■ 減価償却は売却するときにも影響する
ここが今回の記事で最も重要なポイントの一つです。
減価償却は保有中の税金だけの話ではありません。
将来、その不動産を売却するときにも関係します。
不動産を売却した場合、譲渡所得を計算する際に取得費を使います。
建物については、保有期間中の減価償却相当額が取得費の計算へ影響します。
つまり建物を毎年減価償却していくと、売却時に使う取得費もその影響を受けます。
その結果、同じ価格で売却した場合でも、減価償却を重ねた建物では譲渡所得が大きくなることがあります。
保有中に減価償却で所得を小さくできても、売却時の税金まで含めると見え方が変わる可能性があります。
■ 「売却時に税金が戻ってくる」の意味を間違えない
減価償却について、
「節税した税金を売却時に返す」
「売却すると税金が戻ってくる」
というような表現を聞くことがあります。
しかし実際には、過去に減らした税金と同じ金額をそのまま返金するような仕組みではありません。
減価償却によって建物の取得費が減少し、その結果として売却時の譲渡所得が大きくなる可能性がある、という関係です。
さらに売却時の税率などは、
所有期間。
譲渡所得。
取得費。
譲渡費用。
個別の条件。
などによって変わります。
減価償却は「永久に税金が消える仕組み」ではなく、保有中と売却時を通して考える必要がある制度です。
■ 500万円で買って500万円で売っても利益0円とは限らない
分かりやすく単純化して考えます。
土地と建物を合計500万円で購入。
数年間保有。
その間に建物を減価償却。
その後500万円で売却。
購入価格と売却価格が同じだから、
利益0円。
税金も0円。
と思うかもしれません。
しかし譲渡所得の計算では、単純に、
売却価格-購入価格。
だけを見るわけではありません。
建物の取得費は減価償却の影響を受けます。
さらに購入時や売却時の費用なども関係します。
そのため、
買った金額と同じ金額で売れたから税務上の利益も必ず0円、とは限りません。
ここが減価償却を理解していないと驚きやすいポイントです。
■ 売却価格だけで出口を考えない
築古戸建を500万円で購入。
家賃5万円。
年間60万円。
10年間貸す。
最後に500万円で売却できた。
これだけを見ると、
家賃を10年間受け取った。
購入価格と同じ500万円で売れた。
非常に良い投資に見えます。
しかし実際の出口では、
売却費用。
ローン残高。
修繕費。
保有中の税金。
減価償却後の取得費。
売却時の税金。
まで考える必要があります。
不動産投資の出口は「いくらで売れるか」だけではなく「売った後にいくら残るか」で判断します。
築古戸建の出口戦略はこちらでも詳しく整理しています。
築古戸建投資の出口戦略|10年後に売る・貸し続ける・解体する判断基準
■ 確定申告と減価償却はセットで理解する
毎年の確定申告では、
家賃収入。
管理費。
修繕費。
固定資産税。
保険。
ローン利息。
減価償却費。
などを整理します。
その中でも減価償却は、現金の動きだけを見ていても分かりにくい経費です。
銀行口座から40万円出ていない。
それでも減価償却費40万円が計上されている。
この仕組みを理解すると、
なぜ不動産所得とキャッシュフローが違うのか。
なぜ減価償却終了後に税負担が変わるのか。
なぜ売却時の税金にも影響するのか。
がつながってきます。
減価償却だけを単独で見るのではなく、毎年の確定申告から将来の売却まで一つの流れとして考えることが重要です。
確定申告・青色申告についてはこちらで詳しく整理しています。
不動産投資は確定申告でいくら得する?青色申告と経費計上の基本
■ 税金だけでなく不動産全体の選択肢を見る
減価償却を考えると、
保有を続けるべきか。
売却するべきか。
修繕して貸し続けるべきか。
という判断にもつながります。
さらに不動産を所有していれば、
空き家。
土地。
相続。
管理。
売却。
など、税金以外の問題が出てくることもあります。
MIRAIUでは、不動産投資だけでなく、空き家・土地・相続・売却など、不動産所有に関するさまざまな判断をまとめています。
空き家・土地・相続・不動産投資など、不動産についてまとめて確認したい方はこちら
■ 減価償却は「節税額」より投資全体で判断する
減価償却費が年間100万円取れる。
この数字だけを見れば魅力的に感じるかもしれません。
しかし、
年間キャッシュフローがマイナス50万円。
大規模修繕が近い。
空室率が高い。
ローン残高が減らない。
出口で売却しにくい。
こうした物件なら、減価償却だけを理由に所有する意味は薄くなります。
反対に減価償却費がそれほど大きくなくても、
安定した家賃。
低い空室率。
十分なキャッシュフロー。
少ない修繕。
売却しやすい立地。
が揃っていれば、長期的には良い投資になる可能性があります。
税金は不動産投資の重要な数字ですが、税金だけで投資の成功は決まりません。
■ 減価償却の計算は物件ごとに確認する
実際の減価償却費は、
取得価格。
土地と建物の内訳。
建物構造。
築年数。
取得時期。
設備の内訳。
過去の利用状況。
などによって変わります。
中古物件では特に計算が複雑になる場合があります。
また売却時の譲渡所得や税額も、所有期間など個別条件によって異なります。
そのため具体的な減価償却費や申告、売却時の税務判断については、税理士などの専門家へ確認することが重要です。
ネット上の「築古なら4年で償却できる」「これだけ節税できる」という数字を、そのまま自分の物件へ当てはめないようにします。
■ 減価償却まで分かると物件を見る数字が一つ増える
物件価格。
家賃。
利回り。
ローン返済。
キャッシュフロー。
空室率。
修繕費。
ここまで見る。
さらに、
土地価格。
建物価格。
減価償却期間。
年間減価償却費。
減価償却終了後の所得。
売却時の取得費。
まで見る。
すると物件購入時に見えていなかった将来の数字まで考えられるようになります。
減価償却は「節税テクニック」ではなく、不動産投資の保有期間と出口を数字で考えるための重要な要素です。
■ 減価償却後に税負担が増えても家賃は増えない
減価償却期間中は、減価償却費によって不動産所得が抑えられることがあります。
しかし減価償却が終了すると、その経費がなくなります。
例えば、
年間家賃120万円。
その他必要経費40万円。
減価償却費40万円。
なら、単純化すると不動産所得は40万円です。
ところが減価償却が終了すると、
120万円-40万円=80万円。
不動産所得は80万円になります。
しかし家賃は120万円のままです。
さらにローン返済が続いていれば、現金は引き続き出ていきます。
つまり、
家賃収入は変わらないのに、税金計算上の所得だけが増える。
ということが起こり得ます。
物件を購入するときは、最初の数年間だけではなく、減価償却が終わった後の収支も確認しておくことが重要です。
■ 2戸目を買う前にも減価償却後の収支を確認する
一戸目から毎年50万円のキャッシュフローが出ている。
その数字だけを見て、
「もう一戸買える」
と判断するのは早い場合があります。
一戸目の減価償却があと何年残っているのか。
ローン残高はいくらなのか。
今後大きな修繕が必要ではないか。
減価償却終了後の税引後キャッシュフローはいくらになるのか。
ここまで確認してから二戸目を考えます。
一戸目と二戸目の減価償却終了時期が近ければ、将来まとめて税負担が変わる可能性もあります。
物件数が増えるほど、
「今いくら儲かっているか」だけでなく「数年後にいくら残るか」を見ることが重要になります。
次の⑮では、一戸目の収支から二戸目を買うタイミングを判断する考え方を詳しく整理します。
■ 複数物件では減価償却の終了時期も一覧にする
一戸だけなら減価償却の状況を把握することはそれほど難しくありません。
しかし、
戸建3戸。
アパート2棟。
区分マンション1室。
というように物件が増えてくると、それぞれ取得時期も建物価格も異なります。
A物件はあと1年。
B物件はあと5年。
C物件はあと10年。
さらに設備について別の減価償却期間がある。
こうなると、頭の中だけで管理するのは難しくなります。
物件ごとに、
取得年月。
土地価格。
建物価格。
年間減価償却費。
残りの償却期間。
ローン残高。
年間キャッシュフロー。
を整理しておくと、将来の税負担や売却時期を考えやすくなります。
物件数が増えるほど、減価償却は節税のための数字ではなく資産管理の数字になっていきます。
■ 売却するか貸し続けるかは税引後で比較する
10年間所有した物件。
現在も家賃5万円で入居中。
年間家賃60万円。
ローン残高は少ない。
この状態なら、
そのまま貸し続ける。
今売却する。
どちらがいいのか迷うことがあります。
ここで比較したいのは売却価格だけではありません。
貸し続けた場合、
今後得られる家賃。
修繕費。
固定資産税。
空室リスク。
税金。
将来の売却価格。
を考えます。
売却する場合は、
売却価格。
売却費用。
ローン残高。
取得費。
譲渡所得に対する税金。
などを考えます。
「500万円で売れるから売る」ではなく、保有と売却のどちらが税引後で多く残るのかを比較することが重要です。
■ 節税できた金額より純資産が増えたかを見る
不動産投資を10年間続けた。
その間に減価償却によって税負担を抑えられた。
それ自体は意味があります。
しかし最終的に確認したいのは、
いくら節税できたか。
だけではありません。
10年間でローン元金はいくら減ったか。
手元現金はいくら増えたか。
物件はいくらで売れるのか。
売却した場合の税金はいくらなのか。
これらを合計して、
自分の純資産がどれだけ増えたのか。
を見ることが重要です。
税金を50万円減らしても、物件価値が200万円下がり、修繕に150万円使っていれば投資全体の評価は変わります。
反対に税金を支払いながらでも、ローン残高が大きく減り、安定した家賃収入が続いていれば資産形成が進んでいる可能性があります。
不動産投資の目的は節税額を最大化することではなく、長期的に現金と純資産を増やすことです。
■ Q&A|不動産投資の減価償却でよくある疑問
Q. 土地も減価償却できますか?
基本的に土地は減価償却の対象になりません。
建物や一定の設備など、時間の経過や使用によって価値が減少すると考えられる資産について減価償却を行います。
Q. 築古戸建なら必ず短期間で減価償却できますか?
中古資産では築年数などによって耐用年数を計算しますが、すべての築古戸建を同じ年数で処理できるわけではありません。
構造や築年数、取得状況などによって異なるため、実際の計算は個別に確認する必要があります。
Q. 減価償却費が100万円なら税金が100万円安くなりますか?
そうではありません。
減価償却費は所得を計算する際の必要経費になるもので、減価償却費と同額の税金がそのまま減るわけではありません。
実際の税負担への影響は所得や税率などによって変わります。
Q. 減価償却が終わったら物件を売った方がいいですか?
減価償却終了だけで売却を決める必要はありません。
家賃収入、修繕、ローン残高、今後の税負担、売却価格、売却時の税金などを比較して判断します。
減価償却終了は出口を再検討する一つのタイミングと考えることができます。
Q. 減価償却すると売却時に必ず損しますか?
必ずではありません。
売却時の税額は売却価格、取得費、譲渡費用、所有期間などさまざまな条件によって変わります。
重要なのは保有中の税負担だけでなく、売却まで含めて投資全体で考えることです。
■ 「節税物件」ではなく「利益が残る物件」を選ぶ
不動産投資の広告や営業では、
節税。
減価償却。
税金対策。
という言葉が強く出ることがあります。
しかし物件そのものの収益性が低ければ、税務上のメリットだけで長期的な利益を残すことは難しくなります。
購入価格1,000万円。
年間家賃60万円。
修繕が多い。
空室も長い。
売却価格も下がっている。
この物件が減価償却できるからといって、良い投資になるとは限りません。
一方、
購入価格500万円。
年間家賃60万円。
空室が少ない。
修繕費も抑えられている。
ローン返済後にも現金が残る。
出口も複数ある。
こうした物件なら、減価償却以外の部分でも収益を作れます。
税金は利益が出た後に考える数字です。まずは賃貸経営そのものが成立する物件を選ぶことが基本になります。
物件購入前の確認ポイントはこちらでも詳しく整理しています。
不動産投資で失敗する人は物件購入前に何を見落とす?初心者が確認したい7つのチェックポイント
■ 不動産投資全体でどれだけ残るかを比較する
戸建。
一棟アパート。
区分マンション。
新築。
中古。
それぞれ建物価格や耐用年数、修繕リスク、融資条件、出口が異なります。
減価償却だけを比較して、
築古だから有利。
新築だから不利。
と単純に決めることはできません。
重要なのは、
購入価格。
家賃。
実質的な利回り。
空室率。
修繕費。
ローン返済。
減価償却。
税金。
売却時の手残り。
まで含めて比較することです。
保有中の節税額ではなく、購入から売却までに最終的にいくら残るのか。
ここまで見ることで、不動産投資の判断は大きく変わります。
税金・融資・家賃収入・出口まで含めて、自分に合った不動産投資の選択肢を確認したい方はこちら
■ まとめ|減価償却は「節税」ではなく購入から売却まで見る
不動産投資の減価償却は、建物などの取得金額を税務上のルールに従って複数年に分けて費用化する仕組みです。
土地は基本的に減価償却しません。
建物や一定の設備が対象になります。
減価償却の大きな特徴は、
その年に同額の現金が出ていなくても必要経費として計上されること。
です。
そのため減価償却期間中は、実際のキャッシュフローより税金計算上の所得が小さくなることがあります。
しかし減価償却には終わりがあります。
減価償却が終了すれば、家賃が同じでも不動産所得が増える可能性があります。
さらに将来物件を売却するときには、保有期間中の減価償却が建物の取得費に影響し、譲渡所得の計算にも関係します。
だから、
減価償却費が大きい。
節税できる。
という一点だけで物件を選ばないことが重要です。
購入時の収支。
保有中のキャッシュフロー。
減価償却終了後の税負担。
売却時の手残り。
ここまでつなげて考えます。
不動産投資で見るべきなのは、
「今年いくら税金が減ったか」
ではありません。
購入から売却までを通して、最終的に現金と純資産がいくら増えたのか。
減価償却をこの視点で理解すると、税金だけに振り回されない物件判断ができるようになります。
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