top of page

不動産投資の減価償却とは?節税効果・キャッシュフロー・売却時の税金を整理

執筆者の写真: MIRAIU
MIRAIU
8月14日
読了時間: 7分

更新日:9月29日

※本記事には広告・PRを含みます。


不動産投資では、『減価償却が大きい物件は節税できる』『築古なら短期間で償却できる』という説明を見かけます。しかし、減価償却は税金を消すお金ではなく、建物などの取得価額を耐用年数に応じて費用配分する税務上の仕組みです。


現金の動きと税務上の利益がずれるため、購入時だけでなく、保有中のキャッシュフローと売却時の譲渡所得まで一体で確認します。


▪️1 土地と建物を分ける

土地は時間の経過で価値が減る資産として減価償却するものではありません。建物や一定の設備について、取得価額を耐用年数に応じて費用化します。


そのため中古物件では、購入価格のうち土地と建物をどう配分するかが重要です。契約書、固定資産税評価、鑑定等の合理的な資料を確認します。


建物割合を恣意的に大きくすればよいという話ではなく、根拠を説明できる配分が必要です。



建物取得価額を決めるときは、売買契約書の内訳、固定資産税評価額、消費税額など取引資料を確認します。物件ごとに合理的な区分方法を選び、後から説明できる資料を残します。


▪️2 中古資産の耐用年数を確認する

中古建物では、法定耐用年数をそのまま使うケースだけでなく、中古資産の耐用年数の計算方法が関係する場合があります。


築年数が古いから必ず短期間で全額償却できるわけではありません。構造、取得時期、事業供用、資本的支出など個別条件を確認します。


耐用年数は税務上の費用配分期間であり、建物が実際に何年使えるか、投資として何年収益を生むかとは別です。



中古資産の耐用年数計算では、法定耐用年数をすでに超えているかどうかで扱いが変わります。自己判断で年数を決めず、構造と築年数を確認して税務上の耐用年数を計算します。


設備を区分する場合は、給排水・電気・空調などの取得価額をどこまで分けるかも論点になります。細分化すれば常に得という話ではなく、記帳と売却時の管理まで考えます。


設備を建物本体と別資産として管理する場合は、それぞれの取得価額・耐用年数・除却時の処理も記録します。売却時や大規模修繕時に過去の資産区分を追えるよう、固定資産台帳を整えておくと確認しやすくなります。


▪️3 減価償却は現金が出ない経費として見る

減価償却費を計上する年に、その金額の現金が新たに出ていくわけではありません。そのため税務上の利益を下げながら、現金が手元に残る場合があります。


一方で、ローン元金返済は現金が出ていくのに経費ではありません。この違いが、帳簿上の利益とキャッシュフローが一致しない大きな理由です。


節税額だけを見るのではなく、返済後キャッシュフローと納税資金の両方を確認します。


▪️4 修繕費と資本的支出を混同しない

建物に工事をした場合、すべてをその年の修繕費として経費にできるとは限りません。内容によっては資本的支出として資産計上し、減価償却する場合があります。


原状回復なのか価値・耐用年数を高める工事なのかなど、実際の内容を税理士・国税庁資料で確認します。


築古再生では工事額が大きくなりやすいため、購入前から工事項目ごとの税務処理を想定しておくと資金計画を作りやすくなります。


節税効果を比較するときは、減価償却前利益、減価償却後所得、実際の納税額、返済後キャッシュフローを別々に並べます。『税金が減った額』だけを見ると、元金返済で現金が減っていることを見落とす場合があります。


法人で保有する場合は法人税等、個人なら所得税・住民税など、課税の仕組みが異なります。保有主体を変えれば同じ物件でも税引後手残りが変わります。


個人では給与所得など他所得との関係、法人では法人全体の損益との関係で税効果が変わります。同じ物件でも所有主体が違えば『節税効果』は同じにならないため、保有形態ごとに確認します。


▪️5 売却時は取得費・帳簿価額との関係を見る

保有中に建物を減価償却すると、税務上の取得費・帳簿価額は減っていきます。売却時の譲渡所得や法人の売却損益を計算するときは、この影響を無視できません。


『減価償却で減らした税金がそのまま全部戻ってくる』という言い方は単純化しすぎです。個人か法人か、保有期間、売却価格、取得費、譲渡費用などで税額は変わります。


売却前には税理士へ試算を依頼し、売却代金から残債・税・諸費用を差し引いた最終手残りを確認します。



帳簿価額は、取得価額からこれまで計上した減価償却累計額等を差し引いた残高です。売却価格と帳簿価額の差がそのまま最終税額になるわけではありませんが、売却損益を考える重要な基礎になります。


個人の不動産売却では土地建物の譲渡所得として保有期間等により税率区分が変わるため、売却年の条件を確認します。法人では通常の法人所得へ含まれるため、個人と同じ計算ではありません。


売却価格を決めるときは、税引前の売却益ではなく、仲介手数料・抵当権抹消等の費用・残債返済・税金を差し引いた後の手残りを見ます。減価償却による取得費減少の影響もこの中で確認します。


▪️6 節税より投資そのものの収益を見る

減価償却が大きくても、空室が多い、修繕費が重い、返済後キャッシュフローが赤字なら良い投資とは言えません。


家賃、空室、修繕、融資、税、売却までを合わせて確認し、税効果がなくても投資として成立するかを見ます。


減価償却は物件選びの主目的ではなく、収益と税務を正しく把握するための一要素として使うのが基本です。


不動産投資は税効果だけでなく、収支・資金管理・出口を理解してから比較することが大切です。



購入から売却までの投資全体では、税引後キャッシュフローの累計に売却後手残りを加えて評価します。保有中の節税が大きくても、売却税や修繕で最終手残りが小さくなるなら投資効果は限定されます。


税制だけを理由に売却時期を決めると、相場や修繕時期を見落とすことがあります。物件価格・家賃推移・大規模修繕予定と税務を同じ時間軸で比較します。


▪️7 確認する順番

①土地・建物区分、②建物取得価額、③耐用年数・減価償却、④税引前利益・CF、⑤帳簿価額・譲渡所得、⑥売却税・残債、⑦購入・保有・売却判断、この順で確認します。


①〜③では、減価償却できる金額と期間を正しく確認します。短期償却だけを投資メリットにせず、土地・建物区分の根拠も残します。


④〜⑥では、税務上の利益と現金の動き、売却時の取得費・譲渡所得を整理します。『節税=得』だけで判断しません。


最後に⑦で、保有中と売却時の税引後手残りを見て投資判断します。税金は収益の一部として扱うことが大切です。


▪️⑧ Q&A

Q. 減価償却が大きいほど得ですか?


A. 一律ではありません。収益・返済・将来売却税まで含めて判断します。


Q. 土地も減価償却できますか?


A. 一般に土地は減価償却資産ではありません。建物等と分けて確認します。


Q. 売却すると節税分を全部返すことになりますか?


A. そのような単純な仕組みではありません。取得費・帳簿価額・売却価格等から税額を計算します。


▪️⑨ まとめ

不動産投資の減価償却は、建物等の取得価額を期間配分する税務上の仕組みです。現金支出、ローン元金、修繕費とは別に考えます。


購入時の節税効果だけでなく、保有中のキャッシュフローと売却時の税・残債まで試算して、投資全体の手残りを確認しましょう。


▪️関連記事






最新記事

すべて表示
miramaru kusakari 3.png
bottom of page