不動産投資で現金を残すべき理由とは?空室・修繕に強い資金管理
- MIRAIU

- 8月14日
- 読了時間: 17分
■ 不動産投資では「いくら儲かったか」より「いくら残っているか」が重要
家賃5万円の物件を所有している。
毎月5万円が振り込まれ、年間では60万円の家賃収入になります。
この数字だけを見ると、毎年60万円ずつ資産が増えていくように感じるかもしれません。
しかし不動産投資では、家賃収入のすべてが利益になるわけではありません。
固定資産税、火災保険、管理費、ローン返済。そして設備が故障すれば修繕費も必要です。
さらに入居者が退去すれば、次の入居者が決まるまで家賃収入は止まります。
だから賃貸経営では、年間家賃がいくらあるかだけでなく、さまざまな支出を払ったあとに現金がいくら残っているかを見る必要があります。
不動産投資で長く生き残るために重要なのは、利益を大きく見せることではなく、想定外が起きても対応できる現金を残すことです。
■ 500万円持っているから500万円の物件を買っていいとは限らない
例えば自己資金500万円を持っている人が、500万円の中古戸建を見つけたとします。
現金なら購入できる。
ローンも必要ない。
一見すると非常に安全な投資に見えます。
しかし実際には、物件価格以外にも仲介手数料、登記費用、保険などの購入諸費用が必要です。
さらに購入後にリフォームが必要なら、その費用も発生します。
仮に物件価格500万円、購入諸費用40万円、リフォーム60万円なら、賃貸を始めるまでに600万円必要です。
自己資金500万円では足りません。
仮に諸費用やリフォームを抑えて500万円以内に収められたとしても、手元の現金をほぼ使い切ってしまえば、その後の修繕や空室へ対応する余力がなくなります。
「買える金額」と「買った後も安全に運営できる金額」は別です。
自己資金についてはこちらでも詳しく整理しています。
不動産投資の自己資金はいくら必要?頭金だけでなく修繕・空室に備える資金計画
■ 購入直後に50万円必要になったらどうするか
不動産投資で怖いのは、修繕が発生すること自体ではありません。
現金がないタイミングで修繕が発生することです。
例えば500万円の物件を購入し、手元資金がほぼ0円になった直後に給湯器が故障したとします。
交換費用20万円。
さらに数か月後に雨漏りが見つかり、修繕費30万円。
合計50万円です。
入居者がいるなら、「現金が貯まるまで半年待ってください」と簡単には言えません。
生活に必要な設備や建物を守るための修繕なら、早く対応する必要があります。
手元に100万円、150万円の現金が残っていれば、その中から対応できます。
しかし現金がほとんどなければ、追加で借りる、別の貯蓄を取り崩す、必要な修繕を先延ばしにするといった選択を迫られる可能性があります。
現金を残す意味は、利益を眠らせることではなく、大家が必要なときに判断できる余力を持つことです。
■ 空室と修繕は別々に来るとは限らない
資金計画では、
年間修繕費10万円。
空室期間1か月。
というように、それぞれを別々に計算することがあります。
しかし実際の賃貸経営では、複数の支出が同時に発生することがあります。
家賃5万円の戸建で退去。
次の入居者が決まるまで3か月。
家賃損失15万円。
退去後の原状回復20万円。
さらに給湯器交換20万円。
合計すると55万円です。
通常の月なら家賃5万円が入ってくる物件でも、退去が一度発生しただけで数十万円単位の資金が必要になる可能性があります。
だから「年間平均で黒字だから大丈夫」だけでは十分ではありません。
一度に50万円程度の支出が発生しても賃貸経営を続けられるかという視点で現金を残しておくことが重要です。
■ 家賃5万円でも一戸だけなら退去した瞬間に収入は0円
戸建投資では、一世帯が家賃を支払ってくれます。
入居中なら稼働率100%です。
しかし退去すれば、その瞬間に稼働率0%になります。
家賃5万円なら毎月5万円入っていた収入が0円です。
一棟アパートなら一室退去しても他の部屋から家賃が入る可能性がありますが、一戸の戸建ではそうはいきません。
だから戸建投資では、特に空室期間へ備える現金が重要になります。
例えば3か月空室なら15万円。
半年なら30万円。
ローンがある場合は、家賃が入らなくても返済は続きます。
その間にも固定資産税や保険などの支出があります。
満室時の利益だけでなく、家賃が入らない期間でも持ち続けられるかを確認することが資金管理の基本です。
戸建の空室と資金計画についてはこちらで詳しく整理しています。
築古戸建投資で空室になったら家賃収入ゼロ?1戸投資の弱点と現金を残す資金計画
■ 現金はいくら残せば正解なのか
ここで気になるのが、
「結局いくら現金を残せばいいのか」
という問題です。
これは物件によって変わるため、一律に100万円、200万円と決めることはできません。
築年数。
設備の状態。
家賃。
ローン返済。
戸数。
想定する修繕。
自分自身の収入や資産状況。
これらによって必要な余力は違います。
ただし一つの考え方として、購入直後に想定される修繕と、数か月の空室が同時に起きても対応できるかを確認します。
例えば家賃5万円。
空室3か月なら15万円。
想定する設備交換30万円。
その他の予備費20万円。
この場合なら65万円です。
だから65万円が絶対の正解という意味ではありません。
重要なのは、「何となく100万円残す」のではなく、自分の物件で何が起こり得るかを数字にして必要な現金を考えることです。
■ 現金を残しすぎても投資は進まない
一方で、現金は多ければ多いほどいいという話でもありません。
500万円持っていて、将来が怖いから490万円を現金で残し、10万円しか投資しない。
これでは不動産投資そのものが進みません。
現金には、守るためのお金と次へ進むためのお金という二つの役割があります。
空室や修繕へ備える資金。
次の物件を購入するための資金。
この二つを考えながら配分します。
例えば500万円の自己資金があるなら、物件購入へどこまで使うのか、購入後にいくら残すのかを先に決めてから物件を探す方法もあります。
そうすれば500万円持っているから500万円の物件を見るのではなく、「購入後に150万円残したいから、総投資額350万円前後で考える」という判断もできます。
現金を残す目的は投資を止めることではなく、次の一手を打てる状態を維持することです。
■ 現金購入と融資では「残る現金」が変わる
現金購入ならローン返済がありません。
毎月の固定支出を抑えやすく、精神的にも分かりやすい方法です。
しかし購入時に大きな現金が出ていきます。
一方、融資を利用すれば利息や毎月の返済が発生しますが、自己資金の一部を手元に残せる場合があります。
例えば500万円の物件を現金で買えば500万円が出ていきます。
一部を融資で賄い、自己資金200万円で購入できれば、単純には300万円を手元に残せます。
もちろん融資条件や返済額を考えなければならないため、融資を使えば必ず有利という意味ではありません。
重要なのは、金利だけを見ることでも、借金を嫌ってすべて現金で買うことでもありません。
購入後にどれだけ現金が残り、毎月の返済後にも十分なキャッシュフローが残るかを比較することです。
■ 一つの物件だけでなく投資方法そのものを比較する
築古戸建、区分マンション、一棟アパートでは、必要な自己資金も修繕規模も違います。
一戸だけなら退去時に家賃収入は0円になりますが、必要な購入資金を抑えられる物件もあります。
一棟物件なら複数の家賃収入を得られる一方、大規模修繕ではまとまった資金が必要になる可能性があります。
つまり「現金をいくら残すべきか」は、どの不動産投資を選ぶかによっても変わります。
自分の自己資金だけで一つの物件に決めてしまう前に、複数の投資方法や物件を比較してみることも大切です。
自分に合った不動産投資の選択肢を確認したい方はこちら
■ 現金を残す仕組みは購入した後からが本番
購入時に100万円残した。
それで終わりではありません。
物件を運営し始めたら、毎月入ってくる家賃から再び現金を積み上げます。
家賃5万円が入ったから5万円すべて使うのではなく、将来の修繕や空室へ備える分を残します。
こうして手元資金が増えていけば、設備故障へ対応しながら次の物件購入も考えられるようになります。
一戸目で残した現金。
一戸目から生まれるキャッシュフロー。
そこへ新しい自己資金を加える。
この積み重ねによって、次の投資へ進める状態を作ります。
不動産投資の資金管理は「買うまで」ではなく、「買った後に現金を増やし直すところ」まで続きます。
■ 物件ごとに「最低限残す現金」を決める
現金を残すといっても、毎月いくら残せばいいのか分からないままでは管理しにくくなります。
そこで一つの方法が、物件ごとに最低限残しておく金額を決めることです。
例えば築古戸建一戸なら、修繕や空室に備えて100万円を一つの基準として設定する。
100万円ある状態で給湯器交換に20万円使えば、残り80万円です。
その後に入ってくる家賃から少しずつ積み立て、再び100万円まで戻していきます。
もちろん100万円がすべての物件に適した金額という意味ではありません。
築年数が古く、屋根や水回りの修繕が近い物件なら、より多く残した方がいい場合があります。
反対に大きな修繕を終えたばかりで、借入も少ない物件なら別の基準でも構いません。
重要なのは、余った現金を何となく残すのではなく「この金額までは物件のお金」と決めておくことです。
■ 修繕で使った現金は、その後の家賃から戻していく
予備資金100万円。
そこから50万円の修繕を行った。
残金50万円。
ここで「まだ50万円あるから大丈夫」と終わらせるのではなく、その後の家賃から予備資金を戻していきます。
例えば毎月2万円を修繕・空室用として残すなら、年間24万円です。
2年間なら48万円。
こうして少しずつ100万円の基準へ戻していきます。
不動産投資では、修繕費を使わないことが目的ではありません。
必要なときには使い、その後にまた現金を積み上げる。
現金を「貯める→使う→戻す」という循環で考えると、物件を長期間運営しやすくなります。
■ 物件が増えたら現金もまとめて考える
一戸だけなら、その物件のために100万円を残すという考え方でも管理できます。
しかし三戸、五戸、十戸と増えていけば、すべての物件へ同じ金額を別々に置いておく必要があるとは限りません。
例えば戸建5戸。
すべての物件で同じ月に給湯器が故障する可能性は高くありません。
一方で、複数物件が同時に退去する可能性はあります。
台風などの災害によって複数物件へ修繕が発生することも考えられます。
だから戸数が増えたら、一戸ごとの修繕リスクと所有物件全体の予備資金を両方見ます。
A物件は屋根修繕済み。
B物件は給湯器が古い。
C物件は退去予定。
このように物件ごとの状態を把握しておけば、どこへ現金を厚く残すべきか判断しやすくなります。
物件数が増えるほど、家賃収入だけではなく「全体でいくら現金を持っているか」が重要になります。
■ ローン返済がある物件ほど空室時の現金を見る
融資を利用している物件では、空室になってもローン返済は続きます。
例えば家賃6万円。
ローン返済3万円。
入居中なら家賃から返済できます。
しかし退去して3か月空室になれば、家賃収入は0円。
その間も毎月3万円の返済が続けば、3か月で9万円です。
さらに原状回復や設備交換が発生すれば、必要な現金は増えます。
だから融資物件では、単純に毎月の返済比率だけを見るのではなく、空室時に何か月返済できるかも確認します。
家賃が止まった状態でも返済と修繕を続けられる現金があることが、融資を使った不動産投資の余力になります。
現金購入と融資の考え方についてはこちらで詳しく整理しています。
築古戸建投資は現金購入と融資どちらがいい?自己資金を残して次の物件につなげる資金戦略
■ 現金があると「急いで売る」必要がなくなる
不動産投資では、売却したいタイミングと売却に適したタイミングが一致するとは限りません。
空室になった。
大きな修繕が発生した。
ローン返済が苦しい。
現金がない。
この状態になると、早く現金化するために売却を急ぐ可能性があります。
しかし十分な手元資金があれば、修繕してもう一度貸すのか、そのまま売るのか、価格を調整しながら買主を待つのかを比較できます。
つまり現金は、購入と保有だけではなく出口戦略にも関係します。
資金に余裕があるほど「今すぐ売らなければならない」という状況を避けやすくなります。
■ 利益が出ている物件でも現金不足になることはある
年間家賃72万円。
年間支出50万円。
年間22万円の黒字。
数字だけなら利益が出ています。
しかしその22万円を毎年すべて使い、手元資金を増やしていなければ、大きな修繕が発生した年に現金不足になる可能性があります。
逆に年間の利益が15万円でも、その一部を毎年積み上げていれば数年後にはまとまった予備資金になります。
つまり、
利益率が高い。
キャッシュフローが黒字。
それだけでは十分ではありません。
黒字を現金として残せているかまで見て初めて、賃貸経営の耐久力が分かります。
■ 「現金を残す」と「現金を寝かせる」は違う
現金を残すというと、使わず銀行口座に置いておくだけなので効率が悪いと感じるかもしれません。
確かに、必要以上に大量の現金を持ち続ければ次の投資機会を逃すこともあります。
だから重要なのは、必要な予備資金と投資へ使える資金を分けることです。
例えば手元資金500万円。
そのうち150万円は既存物件の空室・修繕予備費。
残り350万円は次の物件購入へ使える資金。
このように役割を分ければ、予備資金を守りながら次の投資へ進めます。
現金を残す目的は投資を止めることではなく、守りながら投資を続けることです。
■ 次の物件が出たときに現金がある人は強い
不動産は、自分が買いたいタイミングで必ず良い物件が出るとは限りません。
一戸目を購入した半年後に、条件の良い物件が出ることもあります。
そのとき一戸目へ自己資金をすべて使っていれば、購入したくても動けない可能性があります。
反対に購入後も現金を残し、家賃からさらに資金を積み上げていれば、次の物件へ進める可能性があります。
つまり現金は、
空室へ備える守りの資金。
修繕へ備える守りの資金。
そして次の物件を購入する攻めの資金。
という複数の役割を持っています。
物件数を増やしたい人ほど、一戸目で現金を使い切らないことが重要になります。
■ 現金を残せる物件かどうかは購入前に決まる
購入後に現金を残そうと思っても、毎月の収支に余裕がなければなかなか増えません。
家賃5万円。
ローン返済4万円。
管理費や税金を考えると、ほとんど残らない。
この状態では、修繕用の現金を積み上げることも難しくなります。
だから物件購入時から、
ローン返済後にいくら残るのか。
管理費を払っても利益が残るのか。
修繕積立をしても黒字なのか。
を確認します。
現金管理は購入後のテクニックではなく、そもそも現金を残せる物件を選ぶところから始まっています。
■ 不動産投資を比較して「現金の残り方」を見る
築古戸建、区分マンション、一棟アパートでは、購入後の現金の残り方も違います。
築古戸建は比較的少額から始められる場合がありますが、一戸が退去すると家賃収入は0円になります。
一棟アパートは複数室から家賃が入る一方、屋根や外壁などの大規模修繕ではまとまった現金が必要になる可能性があります。
区分マンションでは管理費や修繕積立金など、毎月固定的に発生する支出があります。
どの投資方法にも特徴があります。
だから購入価格や表面利回りだけではなく、購入後にどれだけ現金を残せるのかまで比較することが重要です。
自分の自己資金と希望する不動産投資を比較したい方はこちら
■ 年に一度「本当に現金が増えたか」を確認する
毎月家賃が入っていると、賃貸経営が順調に進んでいるように感じます。
そこで年に一度でも、
一年間の家賃収入。
ローン返済。
修繕費。
管理費。
税金。
保険。
そして年末時点の現金残高。
を確認します。
例えば年初に100万円あった物件用現金が、年末に120万円になっているなら20万円増えています。
反対に年間家賃が60万円入っていたのに、現金残高が80万円へ減っているなら、その年は実質的に現金を20万円消費しています。
家賃収入ではなく、現金残高が前年より増えたかを見ると物件の実力が分かりやすくなります。
■ 現金が減り続ける物件は原因を確認する
家賃は入っている。
でも毎年現金が減る。
この場合は理由を確認します。
修繕が一時的に重なっただけなのか。
ローン返済が大きすぎるのか。
家賃が相場より低いのか。
管理費や固定費が高いのか。
空室期間が長いのか。
一時的な支出なら問題ないこともあります。
しかし何年も現金が減り続けるなら、その物件を持ち続ける意味を改めて考える必要があります。
修繕して家賃を上げる。
管理方法を変える。
融資条件を見直す。
売却する。
選択肢はいくつかあります。
現金残高を見ることは、その物件を持ち続けるか判断する材料にもなります。
■ 不動産投資の資金管理は「守り」だけではない
現金を残す。
修繕に備える。
空室に備える。
これだけを見ると守りの話に感じます。
しかし現金があるからこそ、次の物件へ進めます。
価格交渉がまとまった物件へすぐ動く。
修繕が必要な物件を安く購入する。
融資と自己資金を組み合わせる。
既存物件へ必要な投資をする。
こうした判断ができます。
つまり現金は、不動産投資を守るためだけのものではありません。
次の利益を作るための選択肢を持つ資金でもあります。
■ 不動産について迷ったときは全体から整理する
不動産投資では、現金だけを考えればいいわけではありません。
空室。
修繕。
管理。
融資。
売却。
相続。
土地。
さまざまな判断がつながっています。
例えば空き家を相続し、それを賃貸にするのか売却するのか判断する場合も、必要な修繕費や手元資金によって選択肢は変わります。
MIRAIUでは、不動産投資だけでなく、空き家、土地、相続、売却など、不動産を所有する中で出てくる判断をまとめています。
空き家・土地・相続・不動産投資など、不動産の判断をまとめて確認したい方はこちら
■ まとめ|現金を残すことは「次の判断を自分で選ぶ」ための資金管理
不動産投資では、毎月家賃が入ります。
しかし家賃が入っていることと、現金が十分にあることは別です。
退去。
空室。
原状回復。
給湯器。
エアコン。
屋根。
外壁。
ローン返済。
複数の支出が同じ時期に重なる可能性があります。
だから購入時に自己資金を使い切らない。
購入後も家賃から現金を残す。
修繕で使ったら、その後の家賃から戻す。
そして一定以上の現金が貯まれば、次の物件購入へ使う。
この循環を作ります。
現金を持っていれば、修繕が発生しても対応できます。
空室になっても慌てて家賃を下げる必要がなくなります。
売却を急ぐ必要も減ります。
そして良い物件が出たときには、次の投資へ進める可能性があります。
現金を残す最大の意味は、大家自身が次の判断を選べる状態を維持することです。
不動産投資で大切なのは、家賃収入を最大に見せることではありません。
購入後も現金を残し、想定外へ対応しながら利益を積み上げていく。
この資金管理ができれば、一戸目だけでなく二戸目、三戸目へ進むための土台にもなります。
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