top of page

大家業とは何をする仕事?入居募集・修繕・管理から利益を残す賃貸経営の実務

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月14日
  • 読了時間: 21分

■ 大家業は「家賃を受け取る仕事」だけではない


 

不動産投資を始めると、入居者から毎月家賃が入ってきます。

そのため大家業というと、「物件を買って貸せば、あとは毎月家賃を受け取る仕事」というイメージを持つ人もいるかもしれません。

確かに、入居中で設備トラブルもなければ、何か月もほとんどすることがない物件もあります。

しかし長く賃貸経営を続けていると、空室、修繕、退去、家賃設定、保険、税金など、さまざまな判断が必要になります。

重要なのは、大家がすべての作業を自分ですることではありません。

管理会社へ任せられる仕事もあれば、仲介会社や修繕業者へ依頼できる仕事もあります。

それでも最後に、

この家賃で募集するのか。

この修繕へ30万円使うのか。

設備を交換するのか。

この物件を持ち続けるのか。

を決めるのは所有者である大家です。

大家業とは、すべての作業を自分でする仕事ではなく、自分の物件から長期的に利益を残すために判断する仕事だと考えると分かりやすくなります。


 

■ 大家の仕事①|購入前に「賃貸経営として成立するか」を判断する


 

大家業は、物件を購入してから始まるわけではありません。

むしろ最初の大きな仕事は、購入前の判断です。

例えば500万円の中古戸建。

想定家賃5万円なら年間家賃60万円なので、表面利回りは12%です。

数字だけなら悪くありません。

しかし購入後に100万円のリフォームが必要なら、物件価格だけで判断することはできません。

購入諸費用も必要です。

固定資産税や保険もあります。

空室になれば、その期間の家賃収入は0円です。

だから購入前に、

いくらで買うのか。

いくら修繕に必要なのか。

いくらで貸せるのか。

毎年どんな支出があるのか。

購入後に現金はいくら残るのか。

まで考えます。

物件を買うこと自体は大家業のスタート地点です。

購入後に利益を残せる物件なのかを判断することが、最初の経営判断になります。

物件購入前に確認したいポイントはこちらで詳しく整理しています。

不動産投資で失敗する人は物件購入前に何を見落とす?初心者が確認したい7つのチェックポイント


 

■ 大家の仕事②|入居者が決まる家賃を考える


 

物件を購入したら、次に必要なのが入居募集です。

ここで大家が考えることの一つが家賃です。

できるだけ高く貸したい。

これは大家なら自然な考えです。

しかし家賃を高くしすぎて何か月も空室になれば、結果として収入が減ることがあります。

例えば家賃5万円なら年間60万円。

5万5,000円なら年間66万円。

満室なら年間6万円の差です。

ところが5万5,000円にしたことで空室が2か月長くなれば、その期間だけで11万円の家賃を受け取れません。

もちろん実際には、その後何年間入居してもらえるかによって結果は変わります。

だから「高く貸すか、安く貸すか」ではなく、周辺相場、競合物件、設備、駐車場、物件の強みなどを見ながら募集家賃を決めます。

大家の仕事は最高家賃を狙うことではなく、空室期間まで含めて最終的な収入を残すことです。


 

■ 入居募集は仲介会社へ任せても「反響」は確認する


 

実際の入居募集は、不動産仲介会社や管理会社へお願いすることが一般的です。

大家自身が毎回入居希望者を案内する必要はありません。

しかし募集を始めて一か月、二か月経っても決まらない場合は、状況を確認します。

問い合わせはあるのか。

内見は入っているのか。

内見後に断られているのか。

そもそも物件情報を見てもらえていないのか。

ここが分かれば、次の対策が変わります。

問い合わせが少ないなら、家賃や募集条件、写真などを確認します。

問い合わせはあるのに内見されないなら、掲載内容に改善できる部分があるかもしれません。

内見されているのに決まらないなら、室内状態や競合物件との差を考えます。

単純に、

「決まらないから家賃を5,000円下げる」

ではありません。

募集のどこで止まっているのかを確認してから対策を決めることも、大家の仕事です。


 

■ 大家の仕事③|修繕するか、交換するか、何もしないかを決める


 

賃貸経営を続けていると、設備はいつか故障します。

給湯器。

エアコン。

水栓。

トイレ。

換気扇。

築古物件なら屋根や外壁など、大きな修繕が必要になる場合もあります。

故障した設備を修理する。

新品へ交換する。

応急処置で対応する。

どれを選ぶかによって支出は変わります。

例えば給湯器の交換に20万円必要だとします。

入居者がお湯を使えない状態なら、基本的には早い対応が必要です。

一方、まだ使用できる設備を「古いから」という理由だけで高級設備へ交換するなら、その支出が本当に必要なのか考えます。

30万円使って家賃が変わらないのであれば、その30万円を回収する方法はありません。

ただし設備を新しくすることで入居が早く決まったり、長期入居につながったりするなら意味を持つ場合もあります。

修繕費は単純に安くするのではなく、その支出が家賃・入居率・物件維持にどうつながるのかを考えて使います。


 

■ 30万円の修繕を「高い」で終わらせない


 

管理会社から30万円の見積りが届いた。

ここで、

「高いからやらない」

と判断するのも、

「管理会社が言っているから全部やる」

と判断するのも極端です。

まず何の工事なのか確認します。

今すぐ必要なのか。

入居募集のためなのか。

将来の故障を防ぐためなのか。

単なる見た目の改善なのか。

緊急性が低い高額工事なら、別の業者から見積りを取る方法もあります。

反対に入居中の漏水などであれば、数万円を節約するために何日も対応を遅らせる方が問題になることもあります。

大家に必要なのは修繕の専門技術ではなく、「何のためにお金を使うのか」を理解して判断することです。


 

■ 大家の仕事④|入居者に長く住んでもらえる状態を作る


 

賃貸経営では、新しい入居者を決めることだけが重要ではありません。

すでに住んでいる入居者に長く住んでもらうことも重要です。

例えば家賃5万円の戸建。

入居者が退去すると、次の入居者が決まるまで家賃収入はありません。

さらに退去後には、清掃やクロスなどの原状回復が必要になる場合があります。

仮に空室2か月で10万円。

原状回復20万円。

合計30万円です。

新しい入居者を決めるために募集費用が発生する場合もあります。

だから毎月の家賃を数千円高くすることだけでなく、長く住んでもらうことにも経済的な価値があります。

もちろん入居者からの要望をすべて受け入れる必要はありません。

しかし給湯器が壊れた、漏水している、生活に必要な設備が使えない。

こうした問題へ適切に対応することは、物件を守るだけでなく長期入居にもつながります。

大家業では「入居者を決める」だけではなく、「退去を減らす」という視点も利益を残すために重要です。

戸建賃貸の長期入居についてはこちらで詳しく整理しています。

戸建賃貸はなぜ長期入居になりやすい?地方で選ばれる物件と空室を減らす大家の戦略


 

■ 大家の仕事⑤|管理会社を使いながら最終判断は自分で持つ



本業をしながら不動産投資をする場合、すべてを自主管理するのは簡単ではありません。

家賃管理、入居者対応、修繕受付、退去対応などを管理会社へ任せれば、大家の負担は大きく減ります。

これは大家業を続けるための有効な方法です。

ただし管理を委託しても、経営判断まで完全に手放す必要はありません。

家賃を下げるのか。

30万円の修繕をするのか。

退去後にどこまでリフォームするのか。

管理会社から提案を受けたら、その理由を確認して最終的に大家が判断します。

つまり、

実務は任せる。数字は確認する。重要な判断は大家が行う。

この役割分担ができれば、大家自身の時間を減らしながら賃貸経営を続けやすくなります。

管理会社へ任せる場合に大家が確認したいポイントはこちらで詳しく解説しています。

不動産投資は管理会社に任せれば安心?大家が自分で確認すべき7つのポイント


 

■ 大家業を始める前に「どこまで自分でやるか」を決める


 

大家業には、自主管理と管理委託があります。

どちらが正解というわけではありません。

自宅から近い戸建を一戸所有している。

修繕業者とのつながりもある。

時間にも余裕がある。

このような人なら、自主管理で費用を抑えながら経験を積む方法もあります。

一方、本業が忙しい、物件が遠い、戸数を増やしたいという場合は、管理会社へ任せる方が続けやすいかもしれません。

重要なのは、物件を購入してから考えるのではなく、購入前から管理方法まで収支へ入れることです。

管理費を払ったら利益がほとんど残らない物件なら、本当にその投資を続けられるのか確認する必要があります。

物件価格だけでなく、購入後の管理方法まで含めて不動産投資を選ぶことが重要です。


 

■ 大家業を始める方法は築古戸建だけではない



大家業といっても、投資方法は一つではありません。

築古戸建。

区分マンション。

一棟アパート。

それぞれ必要な自己資金、修繕規模、管理方法、空室リスクが違います。

例えば戸建なら一世帯が退去すると家賃収入は0円になります。

一棟アパートなら一室退去しても他の部屋から家賃が入る可能性がありますが、建物全体の修繕規模は大きくなります。

区分マンションなら共用部分の管理を自分でする必要は少ない一方、管理費や修繕積立金なども考える必要があります。

だから「大家になりたい」と考えたとき、最初に見つけた物件だけで判断する必要はありません。

自分の自己資金、使える時間、目標に合わせて投資方法を比較します。

自分に合った不動産投資の選択肢を確認したい方はこちら


 

■ 大家の仕事⑥|家賃収入ではなく「手残り」を見る


 

家賃5万円が毎月入っている。

年間なら60万円です。

しかし60万円すべてが大家の利益ではありません。

管理費。

固定資産税。

火災保険。

修繕費。

ローン返済。

空室期間。

物件によってさまざまな支出があります。

だから大家が見る数字は「今月家賃が入ったか」だけではありません。

一年間でいくら家賃が入り、いくら支出し、最後にいくら現金が残ったのか。

ここを確認します。

例えば年間家賃60万円でも、さまざまな支出を差し引いた後に20万円残る物件と5万円しか残らない物件では、同じ家賃5万円でも中身が違います。

さらに将来の修繕へ備えて現金を残す必要もあります。

大家業では売上である家賃より、最終的に残る現金を見ることが重要です。


 

■ 利益が出たから全部使っていいわけではない


 

一年間で30万円の現金が残った。

すると、その30万円が自由に使える利益のように感じるかもしれません。

しかし翌年に給湯器交換20万円が発生する可能性があります。

その翌年には退去して、原状回復へ30万円必要になるかもしれません。

不動産では、修繕費が毎月均等に発生するわけではありません。

何年間も大きな支出がなく、ある年に50万円、100万円とまとまって必要になることがあります。

だから家賃から残った現金の一部を、将来の空室や修繕へ備えて蓄積します。

この現金があれば、急な故障が起きても慌てて借入をしたり、必要な修繕を先延ばしにしたりする可能性を減らせます。

大家業では「今いくら儲かったか」と同じくらい、「何か起きても対応できる現金があるか」が重要です。

自己資金と購入後の現金についてはこちらで詳しく整理しています。

不動産投資の自己資金はいくら必要?頭金だけでなく修繕・空室に備える資金計画



■ 物件が増えるほど大家自身が作業する必要はなくなる



一戸目なら、自分で物件を見に行く。

自分で業者へ電話する。

募集会社とも直接やり取りする。

こうした経験は、賃貸経営を理解するうえで役立ちます。

しかし物件が増えて五戸、十戸となれば、同じやり方では時間が足りなくなる可能性があります。

そこで管理会社、仲介会社、修繕業者などへ任せる範囲を増やしていきます。

大家自身は作業を減らし、その代わり数字と重要な判断を見る。

この形へ変えていけば、本業を続けながら物件数を増やすことも考えやすくなります。

大家業は「何でも自分でできる人」が有利なのではなく、必要な仕事を任せながら利益が残る仕組みを作れるかが重要です。


 

■ 大家業は小さな判断の積み重ねで利益が変わる


 

家賃を5万円にするか、5万3,000円にするか。

退去後にクロスを全部張り替えるか、必要な部分だけにするか。

古い設備を交換するか、もう少し使うか。

管理会社へ任せるか、自主管理するか。

一つひとつの判断だけを見ると、数千円、数万円の違いかもしれません。

しかしそれが5年、10年と積み重なると、最終的な手残りには大きな差が生まれます。

だから大家業では、一回の大きな利益を狙うことだけが重要ではありません。

必要なところへお金を使い、不要な支出を減らし、空室期間を短くし、入居者に長く住んでもらう。

その積み重ねが賃貸経営の利益になります。

「物件を持っている人」から「物件を経営する人」へ考え方を変えると、大家が何を見るべきかが分かりやすくなります。


 

■ 大家業の情報を一つずつ整理してから始める


 

不動産投資では、購入、融資、空室、修繕、管理、相続、売却など、考えるテーマが多くあります。

最初からすべてを完璧に理解する必要はありません。

分からないことが出たときに調べ、必要な部分から理解していけば構いません。

大切なのは、分からないまま大きなお金を動かさないことです。

MIRAIUでは、不動産投資だけでなく、空き家、土地、相続、売却、管理など、不動産を所有する中で出てくるさまざまな判断について整理しています。

空き家・土地・相続・不動産投資など、不動産の判断に迷ったときはこちら


 

■ 大家業は「不労所得」より「仕組みを作る仕事」と考える


 

入居者が決まり、管理会社へ管理を任せ、設備トラブルもなければ、大家自身がほとんど動かない期間は確かにあります。

その状態だけを見ると、不労所得に近く感じるかもしれません。

しかし、その状態を作るまでには物件選び、家賃設定、リフォーム、募集、管理会社選びなどの判断があります。

そして問題が起きたときには、最終判断が必要です。

だから大家業は、

毎日働いて家賃を稼ぐ仕事でもない。

何もしなくても永久に家賃が入る仕事でもない。

必要な実務を外部へ任せながら、物件が利益を生み続ける仕組みを作る仕事。

この考え方が実態に近いと思います。

そして仕組みが整えば、一戸目より二戸目、二戸目より三戸目と、大家自身の作業量を大きく増やさずに運営できる可能性もあります。

そのためにも、一戸目から「全部自分でやる」ではなく、どこを自分で判断し、どこを任せるのかを考えておくことが大切です。


■ 大家の仕事⑦|退去が決まったときに「次の募集」を考える


 


退去の連絡が入ると、家賃収入が止まることに意識が向きます。

しかし大家として重要なのは、退去そのものよりも「次の入居者をどれだけ早く決められるか」です。

例えば家賃5万円の戸建で、退去後1か月で次の入居者が決まれば空室損失は5万円です。3か月かかれば15万円、半年なら30万円になります。

さらに原状回復へ20万円必要なら、空室3か月の場合は合計35万円です。

ここで重要なのは、退去後に何となくリフォームするのではなく、次の入居者を決めるために必要な工事を考えることです。

クロス全面張り替えが必要なのか。清掃だけで十分なのか。古い設備を交換した方が募集に有利なのか。逆に交換しても家賃や成約速度にほとんど影響しない設備なのか。

原状回復は「きれいにするための支出」ではなく、次の家賃収入を早く再開するための投資として考えることが重要です。


 


■ 退去後のリフォームは家賃とのバランスで考える


 


例えば家賃5万円の戸建へ100万円のリフォームを追加したとします。

その結果、家賃を5万5,000円に上げられたとしても、増える家賃は月5,000円。年間6万円です。

100万円を家賃差額だけで回収するには、単純計算で16年以上かかります。

もちろんリフォームによって空室期間が短くなったり、長期入居につながったりする可能性もあるため、家賃差額だけで判断するものではありません。

それでも「きれいにすればするほど良い」という考えだけで工事費を増やすと、利回りは簡単に下がります。

最低限必要な修繕と、収益を上げるための改善を分ける。

大家は工事金額ではなく、その支出を何によって回収するのかを考える必要があります。


 


■ 大家の仕事⑧|トラブルが起きたときに優先順位を決める


 


賃貸経営では、予定していなかったことが起こります。

給湯器が壊れた。水漏れした。エアコンが動かない。入居者から設備について連絡が来た。

こうしたとき、すべてを同じ優先順位で考える必要はありません。

生活に大きな影響がある故障や建物へ被害が広がる可能性がある漏水などは、早い対応が必要です。

一方で、緊急性が低い内容なら状況を確認してから業者を手配できます。

大家自身が設備を修理できなくても問題ありません。

必要なのは、

今すぐ対応する必要があるのか。

誰へ依頼するのか。

いくらまでならその場で進めてもらうのか。

見積りを比較する時間があるのか。

を判断できる状態にしておくことです。

管理会社へ委託する場合でも、「○万円以下なら確認なしで対応」「高額修繕は事前に見積り」といった基準を決めておけば、毎回ゼロから判断する必要がなくなります。

大家業を楽にする方法の一つは、自分が動かなくても対応できるルールを作ることです。


 


■ 物件が増える前に修繕業者とのつながりを作る


 


一戸だけなら、故障するたびに業者を探しても何とか対応できるかもしれません。

しかし物件が増えると、給湯器、水道、電気、内装など、さまざまな修繕が発生します。

そのたびに一から業者を探していれば、大家自身の時間が取られます。

そこで信頼できる管理会社や修繕業者とのつながりを少しずつ作ります。

重要なのは最安値の業者だけを探すことではありません。

連絡が取れる。現地確認が早い。見積りの内容が分かりやすい。入居中の物件でも適切に対応してくれる。

こうした部分も賃貸経営では重要です。

数万円安くても対応まで一週間かかる業者と、適正価格で翌日に動いてくれる業者なら、入居中のトラブルでは後者の方が助かる場合があります。

大家業では物件だけでなく、管理会社や修繕業者を含めた運営体制そのものが資産になります。


 


■ 大家の仕事⑨|一戸ごとの成績を確認する


 


物件が増えてくると、全体の家賃収入だけを見てしまいがちです。

例えば5戸所有して毎月25万円の家賃が入っている。

これだけを見ると順調に感じます。

しかしA物件はほとんど修繕がなく長期入居。B物件は退去が多い。C物件は毎年修繕費がかかる。

同じ家賃5万円でも、大家に残してくれる利益は違います。

だから物件ごとに、家賃収入、空室期間、修繕費、固定費などを確認します。

すると「家賃は低いけれど手がかからず利益が残る物件」や、「家賃は高いのに修繕と空室で思ったほど残らない物件」が見えてきます。

この数字は次の物件購入にも使えます。

一戸目で経験した修繕費や空室期間を、二戸目の収支計画へ反映できるからです。

大家として経験を積むほど、自分自身の実績が次の物件を判断する材料になります。


 


■ 家賃収入が増えても手元の現金が増えないことはある


 


物件を増やせば家賃収入は増えます。

しかし、家賃収入が増えることと現金が増えることは同じではありません。

毎月50万円の家賃が入っていても、ローン返済、管理費、税金、保険、修繕などで45万円出ていけば、残るのは5万円です。

逆に家賃収入が30万円でも支出が15万円なら、15万円残ります。

だから「何戸持っているか」「家賃収入がいくらあるか」だけで賃貸経営の状態は判断できません。

物件数を増やすほど、売上よりキャッシュフローを見る必要があります。

そして手元に残った現金のすべてを次の購入へ使わず、空室や修繕に耐えられる資金も残します。

大家業を長く続けるなら、家賃収入の大きさより現金が残る仕組みを作ることが重要です。


 


■ 大家の仕事⑩|持ち続けるか、売るかを判断する


 


大家業には出口があります。

購入した物件を永久に所有し続けなければならないわけではありません。

家賃が下がってきた。大規模修繕が近づいている。土地として売却した方が価値がある。次の投資へ資金を移したい。

状況によっては売却を考えることもあります。

反対にローン返済が進み、安定して長期入居しているなら、無理に売却せず家賃を受け取り続ける選択もあります。

ここでも重要なのは、購入価格だけに縛られないことです。

500万円で買ったから500万円以上で売らなければ損、とは限りません。

保有中に十分な家賃収入を得ていれば、売却価格が購入価格を下回っても投資全体では利益が残っている可能性があります。

だから購入から売却までを一つの賃貸経営として考えます。

大家の最後の仕事は、その物件をいつまで持つのが自分にとって有利なのかを判断することです。

築古戸建の出口についてはこちらでも詳しく整理しています。

築古戸建投資の出口戦略|10年後に売る・貸し続ける・解体する判断基準


 


■ 大家業で全部を自分でやろうとすると続かなくなる


 


入居募集。

家賃管理。

修繕。

清掃。

入居者対応。

確定申告の準備。

物件が一戸なら、自分でできることも多いでしょう。

しかし物件数が増えれば、全部を自分で抱えるのは難しくなります。

そこで「自分にしかできない仕事」と「他の人へ任せられる仕事」を分けます。

大家自身がやるべきなのは、必ずしも現地へ行って作業することではありません。

家賃をいくらにするか。

修繕へいくら使うか。

管理をどこまで任せるか。

次の物件を買うか。

今の物件を売るか。

こうした経営判断は大家が持ちます。

一方、入居者対応、集金、現地確認、工事などは外部へ任せられます。

大家業を拡大するなら「自分で働く」のではなく、「自分がいなくても回る部分を増やす」という考え方が重要になります。


 


■ 不動産投資を比較してから始める方法もある


 


ここまで読むと、大家業には意外と考えることが多いと感じるかもしれません。

しかし、毎日すべての仕事が発生するわけではありません。

安定して入居していれば、何か月も大きな対応がない物件もあります。

重要なのは、問題が起きたときに判断できる準備をしておくことです。

また不動産投資には、築古戸建、一棟アパート、区分マンションなど複数の方法があります。

必要な自己資金、管理方法、修繕規模も違うため、自分がどの程度大家業へ時間を使えるのかによって選択肢も変わります。

一つの物件だけを見て決めるのではなく、複数の投資方法を比較してから判断する方法もあります。

自分に合った不動産投資の選択肢を確認したい方はこちら


 


■ まとめ|大家業は「作業する仕事」ではなく「賃貸経営を続ける仕事」


 


大家業にはさまざまな仕事があります。

物件購入。

入居募集。

家賃設定。

修繕。

入居者対応。

資金管理。

退去対応。

売却判断。

こうして並べると大変そうに見えます。

しかし、大家自身がすべての作業をする必要はありません。

仲介会社へ募集を任せる。

管理会社へ入居者対応を任せる。

修繕業者へ工事を任せる。

税務は専門家へ相談する。

任せられる実務は外部へ任せながら、大家は数字と重要な判断を見る。

そして家賃が入ったら終わりではなく、その中から将来の修繕や空室へ備えて現金を残します。

賃貸経営が安定すれば、大家自身が毎日働かなくても家賃が入る状態を作ることは可能です。

ただし、その状態は「何もしないから生まれる」のではありません。

物件選び、募集、管理、修繕、資金管理を整えた結果として生まれます。

大家業とは、物件を所有するだけではなく、家賃収入が長く残る仕組みを作り続ける仕事です。


 


■ 関連記事


 


不動産投資はほったらかしで儲かる?初心者が「賃貸経営」を始める前に知るべき現実


不動産投資の自己資金はいくら必要?頭金だけでなく修繕・空室に備える資金計画


不動産投資は管理会社に任せれば安心?大家が自分で確認すべき7つのポイント


不動産投資で失敗する人は物件購入前に何を見落とす?初心者が確認したい7つのチェックポイント


不動産投資で現金を残すべき理由とは?空室・修繕に強い資金管理


築古戸建投資で空室になったら家賃収入ゼロ?1戸投資の弱点と現金を残す資金計画


戸建賃貸の家賃はいくらが正解?5万円と5.5万円で迷ったときの家賃設定と空室判断


築古戸建はリフォームにいくらかける?高利回りを崩さない修繕費と家賃設定の考え方


戸建賃貸はなぜ長期入居になりやすい?地方で選ばれる物件と空室を減らす大家の戦略


築古戸建投資は現金購入と融資どちらがいい?自己資金を残して次の物件につなげる資金戦略


安い築古戸建ほど危険?再建築不可・接道・土地価値を購入前に確認する方法


築古戸建投資の出口戦略|10年後に売る・貸し続ける・解体する判断基準


はじめての不動産投資|初心者が物件を買う前に知っておきたい基本


地方不動産投資を始める前に知っておきたい考え方


MIRAIU|空き家・土地・相続・不動産投資など不動産の判断をまとめて確認


 
 

最新記事

すべて表示
不動産投資は総資産より純資産を見る?物件価格・ローン残高から本当の資産額を計算する方法

「不動産を1億円分持っています」 と聞くと、 「資産1億円の人なんだ」 と思うかもしれません。 しかし、その物件を買うために1億2,000万円のローンが残っていたらどうでしょうか。 反対に、 物件価値1億円。 ローン残高3,000万円。 なら、同じ「1億円の物件を持っている人」でも状態は大きく違います。 不動産投資では、 何億円の物件を持っているか だけでは、資産形成がどこまで進んでいるのか分かり

 
 
賃貸管理会社を契約前に見極めるには?管理物件・募集図面・報告体制の確認方法

不動産投資で管理会社を探している。 何社か問い合わせて、 管理料。 入居率。 管理戸数。 募集方法。 などを聞いた。 候補は2〜3社まで絞れた。 それでも最後に、 「結局どこへ任せればいい?」 と迷うことがあります。 A社は大手。 B社は地場。 C社は管理専門。 どの会社もホームページを見ると、 「高い入居率」 「迅速な対応」 「オーナー目線」 と書かれている。 説明を聞いても、どこも良さそうに感

 
 
管理会社の入居率98%・99%は高い?契約前に確認したい空室実績の見方

不動産投資で管理会社を探している。 ホームページを見ると、 「入居率98%」 「入居率99%以上」 「高稼働を維持」 という実績が掲載されている。 大家としては、 「99%ならほとんど空室ないやん」 「この会社に任せればすぐ決まりそう」 と思うでしょう。 確かに入居率は、管理会社を比較するときの重要な数字の一つです。 しかし、 入居率99%だから、自分の物件も99%で運営できる とは限りません。

 
 
miramaru kusakari 3.png
bottom of page