不動産投資は確定申告でいくら得する?青色申告と経費計上の基本
- MIRAIU

- 8月14日
- 読了時間: 22分
■ 不動産投資は「家賃が入った金額」にそのまま税金がかかるわけではない
不動産投資を始めると、毎月家賃が入ってきます。
家賃5万円なら年間60万円。
家賃10万円なら年間120万円。
一棟アパートで月30万円なら年間360万円です。
では年間360万円の家賃収入があれば、360万円すべてに対して税金がかかるのでしょうか。
基本的な考え方は違います。
不動産所得では、家賃などの収入から必要経費を差し引いて所得を計算します。
例えば年間家賃120万円。
必要経費50万円。
単純化すると、
120万円-50万円=70万円。
この70万円が不動産所得を考えるうえでの基礎になります。
不動産投資の税金を考えるときは「家賃収入」と「不動産所得」を分けて考えることが重要です。
■ 不動産所得は「収入-必要経費」で考える
不動産所得を非常に単純化すると、
家賃などの収入。
そこから不動産賃貸に必要な経費を差し引く。
という流れです。
年間家賃180万円。
必要経費80万円。
なら、
180万円-80万円=100万円。
年間家賃180万円でも、不動産所得が180万円になるわけではありません。
ただし何でも経費にできるわけではありません。
不動産賃貸に必要だった支出なのか。
家事上の支出ではないか。
資産として扱う必要がないか。
などを確認する必要があります。
「お金を使った=全部経費」ではなく、不動産所得を得るために必要な支出かどうかが基本になります。
■ 不動産投資ではどんな支出が経費になる?
賃貸経営ではさまざまな支出が発生します。
例えば、
管理会社へ支払う管理費。
入居者募集に関係する費用。
建物や設備の修繕費。
固定資産税など、不動産賃貸に関係する一定の税金。
火災保険料などのうち、その年の必要経費として扱う部分。
借入金利子のうち必要経費として扱える部分。
税理士などへの報酬。
物件確認など不動産賃貸に直接関係する費用。
減価償却費。
などがあります。
ただし実際に必要経費へ計上できるか、どの年に計上するかは支出内容によって異なります。
例えば建物を大きく改良し、価値や耐用年数を高めるような工事は、その年に全額を修繕費として処理するのではなく資産として扱う場合があります。
経費を増やすこと自体を目的にするのではなく、賃貸経営に必要な支出を正しく記録することが基本です。
■ ローン返済額のすべてが経費になるわけではない
初心者が間違えやすいポイントの一つです。
例えば毎月5万円のローン返済。
年間60万円。
実際には銀行へ60万円を支払っています。
だから、
「60万円全部を経費にできる」
と思うかもしれません。
しかしローン返済には、
元金。
利息。
があります。
元金返済は借りたお金を返している部分です。
原則として、元金返済そのものを必要経費として差し引くわけではありません。
一方、賃貸用不動産の借入れに対応する利息部分は、一定のルールのもと必要経費として扱います。
この違いがあるため、
実際の手残りと税金計算上の所得は一致しないことがあります。
■ キャッシュフローと不動産所得は別物
年間家賃120万円。
ローン返済60万円。
管理・税金・保険・修繕など30万円。
現金だけを見ると、
120万円-60万円-30万円=30万円。
年間30万円残るように見えます。
しかし税金計算では、ローン返済60万円をそのまま全額必要経費にするわけではありません。
反対に、実際にはその年に現金を支払っていなくても、減価償却費という形で必要経費になるものがあります。
そのため、
銀行口座に残った金額。
税金計算上の所得。
この二つは違う数字になります。
不動産投資では「現金がいくら残ったか」と「所得がいくら出たか」の両方を見る必要があります。
キャッシュフローについてはこちらでも詳しく整理しています。
不動産投資でキャッシュフローはいくら残ればいい?家賃収入より大切な手残りの考え方
■ 減価償却が不動産投資の税金を分かりにくくする
不動産投資の確定申告で重要になるのが減価償却です。
建物など一定の資産は、購入した年に取得金額をすべて経費にするのではなく、決められた期間にわたって費用化していきます。
例えば建物部分について、税務上のルールに従って毎年一定額を減価償却費として計上します。
ここが不動産投資の特徴です。
ローン元金は現金が出ていくのに、そのまま必要経費にはなりません。
減価償却費は、その年に同額の現金が出ていなくても費用として計上されます。
だから、
キャッシュフローは黒字。
税金計算上の不動産所得は小さい。
という状態になることがあります。
減価償却を理解すると、不動産投資の「現金」と「利益」がなぜ違うのかが分かりやすくなります。
減価償却については⑭で詳しく整理します。
■ 「経費を増やせば得する」という考え方には注意する
税金を減らすために経費を使おう。
こう考える人もいます。
しかし10万円の経費を使ったからといって、10万円得するわけではありません。
例えば本来必要のないものへ10万円使った。
税負担が仮にその一部減った。
それでも手元から10万円の現金は出ています。
不動産投資の目的は経費を増やすことではありません。
家賃収入を得る。
必要な経費を支払う。
税金を支払う。
ローンを返済する。
そのうえで現金を残す。
ここが重要です。
節税のために支出を増やすのではなく、必要な支出を正しく経費として処理するという順番で考えます。
■ 青色申告と白色申告は何が違う?
不動産所得の申告では、一定の要件を満たし事前に必要な手続きを行うことで青色申告を利用できます。
青色申告には、要件に応じた青色申告特別控除などの制度があります。
ただし、
青色申告にしたら自動的に大きく節税できる。
不動産を一戸持てば必ず最大の控除を受けられる。
という単純なものではありません。
帳簿の付け方。
申告方法。
不動産貸付けの規模。
その他の要件。
などによって扱いが変わります。
また青色申告を利用するには、原則として事前の申請が必要になります。
青色申告は「青色を選ぶだけ」の制度ではなく、必要な手続きと記帳を行ったうえで利用する制度です。
■ 青色申告特別控除は一律ではない
青色申告と聞くと、
「65万円控除できる」
という数字を聞くことがあります。
しかし青色申告特別控除は、誰でも自動的に65万円になるわけではありません。
不動産所得の場合、
貸付けの規模。
記帳方法。
期限内申告。
電子申告など一定の要件。
によって適用できる控除額が変わることがあります。
特に不動産貸付けが税務上の事業的規模に該当するかどうかは、青色申告の取扱いを考えるうえで重要になることがあります。
「不動産投資=65万円控除」と決めつけず、自分の貸付規模と申告方法で確認する必要があります。
■ 5棟10室という基準を聞く理由
不動産賃貸の税金について調べると、
5棟10室。
という言葉を見ることがあります。
これは不動産貸付けが事業として行われている規模かを判断する際の形式的な目安として知られています。
独立家屋ならおおむね5棟以上。
アパートなどの貸室ならおおむね10室以上。
といった考え方です。
ただし税務上の判断は個別事情によって変わる可能性があります。
また事業的規模かどうかによって、不動産所得に関する税務上の取扱いの一部が変わります。
戸数を増やすと家賃収入だけでなく、税務上の扱いも確認する項目が増えていきます。
■ 家賃5万円の戸建1戸でも帳簿を付ける習慣を作る
最初の一戸。
家賃5万円。
年間家賃60万円。
まだ規模が小さいから適当に管理しても大丈夫。
そう考えると、物件が増えたときに大変になります。
家賃入金。
管理費。
修繕費。
固定資産税。
保険。
ローン利息。
交通費などの関連支出。
領収書。
請求書。
契約書。
一戸目から整理しておけば、二戸目、三戸目と増えても管理しやすくなります。
特に複数の銀行口座やクレジットカードを私生活と混ぜると、後から不動産関連の支出だけを探す作業が増えます。
不動産投資では物件数が少ないうちから、お金の流れを記録する仕組みを作っておくことが重要です。
■ 修繕費は金額だけで判断しない
給湯器交換15万円。
クロス工事20万円。
外壁工事100万円。
これらを支払ったからといって、すべてその年の修繕費として必要経費になるとは限りません。
通常の維持管理や原状回復として扱われるもの。
建物の価値を高めるもの。
使用可能期間を延ばすもの。
工事内容によって税務上の処理が変わる場合があります。
大きな工事になるほど、
修繕費としてその年に処理するのか。
資本的支出として資産計上するのか。
という判断が重要になります。
「いくら払ったか」だけではなく「何のために、どのような工事をしたか」を残しておくことが大切です。
■ 火災保険を数年分まとめて払った場合も考え方がある
不動産を購入すると、火災保険を複数年分まとめて支払うことがあります。
例えば5年分を一括で支払った。
現金は契約時にまとめて出ていきます。
しかし税務上、その年に支払った全額をそのまま必要経費として処理するとは限りません。
契約期間などに応じて、その年に対応する部分を必要経費として計上していく考え方があります。
ここでも、
現金を支払った時期。
必要経費になる時期。
が一致しない場合があります。
不動産投資では「今年払ったから今年全部経費」とは限らない支出があることを知っておくと、確定申告を理解しやすくなります。
■ 固定資産税も賃貸経営では重要な経費になる
不動産を所有すると固定資産税などが発生します。
家賃が入っている月。
空室の月。
家賃滞納がある月。
基本的に所有している限り負担が発生します。
年間家賃120万円。
固定資産税10万円。
なら、収支を考えるときにこの10万円を無視することはできません。
確定申告だけでなく、購入前のキャッシュフロー計算にも入れておく必要があります。
物件価格と家賃だけで利回りを計算すると、こうした所有コストが抜けます。
税金は確定申告のときだけ考えるものではなく、物件を買う前から年間支出として計算しておくものです。
■ 家賃滞納がある場合は「入金額だけ」で考えない
賃貸経営をしていると、家賃が予定日に入らないことがあります。
例えば年間家賃72万円の契約。
しかし年末時点で6万円が未払い。
銀行口座へ入ったのは66万円。
この場合、
「66万円しか受け取っていないから収入は66万円」
と単純に判断できるとは限りません。
不動産所得の収入をいつ計上するかには税務上の考え方があります。
未収家賃がある場合は、入金日だけではなく家賃が発生した時期などを確認して処理する必要があります。
確定申告では銀行口座に入った金額を足すだけではなく、未収家賃なども含めて整理する必要があります。
家賃滞納への対応はこちらで詳しく整理しています。
不動産投資で家賃滞納が起きたらどうする?大家が最初に確認したい対応と資金管理
■ 空室がある年でも発生する経費がある
一年間ずっと満室とは限りません。
退去。
原状回復。
募集。
数か月空室。
次の入居。
このような年もあります。
空室期間は家賃収入が減ります。
しかし、
ローン利息。
固定資産税。
保険。
管理関連費用。
修繕費。
など、状況に応じて支出は発生します。
だから不動産所得も毎年同じにはなりません。
満室だった年。
大きな修繕があった年。
長期空室があった年。
それぞれ所得が変わります。
不動産投資の確定申告は、毎年の賃貸経営の結果を数字で確認する機会でもあります。
空室率についてはこちらでも詳しく整理しています。
不動産投資で空室率は何%まで耐えられる?家賃収入が減っても赤字にならない収支計算
■ 赤字になれば税金が必ずその分戻るわけではない
不動産所得が赤字になった場合、
「赤字になった金額だけ税金が戻ってくる」
という意味ではありません。
また不動産所得の赤字であれば、どのような内容でも他の所得と自由に相殺できるわけではありません。
損益通算にはルールがあります。
借入金利子の一部など、損益通算の対象から除かれる場合もあります。
さらに税率や他の所得状況によって結果は変わります。
そのため、
100万円赤字になった。
だから100万円得した。
という考え方はできません。
不動産投資では税金を減らすために赤字を作るのではなく、賃貸経営として利益と現金を残すことを基本に考えます。
■ 税金だけで物件を選ぶと投資判断を間違えることがある
節税になる物件です。
減価償却が取れます。
税金を抑えられます。
こうした説明を聞くことがあります。
税務上のメリットが物件選びの一つの要素になることはあります。
しかし、
空室が多い。
修繕費が大きい。
ローン返済が重い。
売却しにくい。
家賃が下がっている。
このような物件なら、税金だけを理由に購入するのは危険です。
不動産投資の基本は、
家賃収入。
経費。
ローン返済。
キャッシュフロー。
空室。
修繕。
出口。
そして税金。
これらをまとめて見ることです。
節税は投資の目的ではなく、収益性を判断する中の一項目として考える方が安全です。
■ 不動産全体の判断は「税金」だけで終わらない
不動産を所有すると、確定申告以外にもさまざまな判断が出てきます。
賃貸を続ける。
空室を改善する。
修繕する。
売却する。
相続する。
使っていない土地を活用する。
空き家を整理する。
税金だけを見て保有を続けるより、不動産そのものを今後どうするかまで考えることが重要です。
MIRAIUでは、不動産投資だけでなく、空き家・土地・相続・売却など、不動産を所有する中で発生するさまざまな判断をまとめています。
空き家・土地・相続・不動産投資など、不動産についてまとめて確認したい方はこちら
■ 確定申告は「税金を払う作業」ではなく経営数字を確認する作業でもある
一年間の家賃はいくらだったか。
管理費はいくら使ったか。
修繕はいくらだったか。
ローン利息はいくらだったか。
固定資産税はいくらだったか。
減価償却はいくらだったか。
不動産所得はいくらだったか。
これらを整理すると、その物件が本当に利益を生んでいるのかが見えてきます。
表面利回り15%だった物件でも、修繕や管理費を入れると実際の収益は小さいかもしれません。
逆に購入時には地味に見えた物件でも、空室が少なく修繕費も小さければ安定した収益を生んでいる可能性があります。
確定申告の数字を翌年の賃貸経営へ戻すことで、申告作業が物件を改善するための経営資料になります。
■ 物件ごとに収支を分けると本当の利益が見えやすい
複数の物件を所有すると、家賃収入も経費も大きくなります。
例えばA物件。
年間家賃120万円。
B物件。
年間家賃180万円。
合計家賃300万円。
確定申告では全体の数字を整理しますが、賃貸経営では物件ごとの数字も確認した方が分かりやすくなります。
A物件はほとんど修繕がなく安定している。
B物件は年間50万円の修繕が発生した。
この場合、合計だけを見ると300万円の家賃収入ですが、実際の収益性は物件ごとに違います。
家賃。
管理費。
修繕費。
固定資産税。
保険。
ローン返済。
これらを物件ごとに把握しておけば、どの物件が利益を生み、どの物件に費用がかかっているのか見えやすくなります。
確定申告のためだけに数字をまとめるのではなく、物件ごとの経営成績を確認できる形にしておくことが重要です。
■ 領収書だけでなく「何のために使ったか」を残す
確定申告の時期になって大量の領収書を見る。
しかし数か月前の支払いについて、
何のために使ったのか。
どの物件の費用なのか。
思い出せないことがあります。
例えばホームセンターで3万円。
領収書だけでは、
A物件の修繕材料。
B物件の清掃用品。
自宅用の商品。
どれなのか分からなくなる可能性があります。
支払った時点で、
物件名。
用途。
工事内容。
などを記録しておけば後から整理しやすくなります。
請求書や工事前後の資料も残しておくと、大きな修繕を行ったときの内容を確認しやすくなります。
確定申告は一年後に思い出す作業ではなく、支出した時点から始まっています。
■ 不動産専用の口座を作ると管理しやすい
給与。
生活費。
クレジットカード。
家賃収入。
ローン返済。
修繕費。
すべて同じ口座を使うと、お金の流れが分かりにくくなります。
一方で不動産用の口座を分ければ、
家賃が入った。
ローンが引き落とされた。
管理費を支払った。
修繕費を振り込んだ。
という流れを確認しやすくなります。
物件数が増えれば、さらに管理する取引も増えます。
最初の一戸から不動産用のお金を分けておくと、確定申告だけでなく毎月のキャッシュフロー管理にも役立ちます。
「申告しやすい仕組み」は、そのまま「経営状態を確認しやすい仕組み」になります。
■ 利回りと税引後の手残りは同じではない
物件価格600万円。
年間家賃90万円。
表面利回り15%。
数字だけを見ると高利回りです。
しかし実際には、
固定資産税。
保険。
管理費。
修繕費。
ローン利息。
その他の必要経費。
そして所得に応じた税負担があります。
さらにローン元金も現金としては返済します。
そのため表面利回り15%だからといって、毎年物件価格の15%が手元へ残るわけではありません。
購入前には利回りを見る。
購入後には実際の経費を見る。
さらに税金まで含めて最終的な手残りを見る。
この順番が重要です。
不動産投資の利益は表面利回りではなく、すべての支出と税金を払った後にどれだけ現金が残ったかで考えます。
利回りについてはこちらでも詳しく整理しています。
不動産投資の利回りは何%あればいい?表面利回りだけで物件を選ぶと危険な理由
■ 現金を残すことと節税は両立して考える
税金をできるだけ減らしたい。
これは不動産投資をしていれば考えることがあります。
しかし税金だけを減らすために現金を使い切れば、賃貸経営が不安定になります。
例えば年末に100万円の現金が残っている。
税金を減らすため、必要性の低い工事へ80万円使った。
翌年に空室と給湯器故障が重なった。
手元には十分な現金がない。
これでは本末転倒です。
必要な修繕を行う。
利用できる制度を正しく使う。
必要経費を漏れなく計上する。
そのうえで現金も残す。
このバランスが重要です。
不動産投資では「税金を最小にする」より「税金を払った後にも現金が残る経営」を目指す方が長く続けやすくなります。
現金を残す考え方はこちらでも詳しく整理しています。
不動産投資で現金を残すべき理由とは?空室・修繕に強い資金管理
■ 法人化すれば必ず税金が安くなるわけではない
物件が増えてくると、
法人を作った方が得なのか。
個人のまま続けた方がいいのか。
という疑問が出てきます。
しかし法人化すれば必ず税金が安くなる、という単純な話ではありません。
個人の所得。
不動産所得。
物件数。
今後の購入計画。
法人の維持費。
融資。
社会保険などの影響。
利益をどのように残すのか。
さまざまな条件によって判断は変わります。
一戸目から法人が適している人もいれば、個人所有を続ける方が分かりやすい人もいます。
法人化は節税という一つの言葉だけで決めず、今後の不動産投資全体の計画から判断する必要があります。
■ 確定申告の数字は2戸目を買う判断にも使える
一戸目を一年間運営した。
年間家賃60万円。
修繕費8万円。
固定資産税5万円。
その他経費7万円。
ローン返済も問題なく続けられた。
こうした実績が分かれば、次の物件を購入した場合の収支も考えやすくなります。
反対に、
想定より空室が長かった。
修繕費が多かった。
手元現金が増えていない。
ローン返済が重い。
という状態なら、二戸目を急がない方がいい場合もあります。
確定申告で一年間の数字を整理すると、
一戸目が本当に利益を出しているのか。
次の物件を買っても資金が回るのか。
を判断する材料になります。
確定申告は過去一年を整理するだけでなく、次の投資判断につなげることができます。
2戸目を買うタイミングについては⑮で詳しく整理します。
■ 売却するときは購入時からの記録が重要になる
不動産投資では、購入して終わりではありません。
5年後。
10年後。
将来的に物件を売却することがあります。
そのとき重要になるのが、
購入価格。
購入時の諸費用。
建物と土地の金額。
減価償却。
売却費用。
所有期間。
などです。
特に建物を毎年減価償却していくと、将来売却するときの税金計算にも関係します。
購入時の資料を紛失していると、後から確認するのが大変になることがあります。
売買契約書。
精算書。
領収書。
融資資料。
固定資産税関係書類。
修繕資料。
確定申告書。
これらは長期的に整理しておきます。
不動産投資の税務管理は毎年の確定申告だけではなく、将来の売却までつながっています。
■ 減価償却で税金が減っても売却まで考える
減価償却費を計上すると、その年の不動産所得を小さくできる場合があります。
そのため、
減価償却=節税。
という印象を持つことがあります。
しかし不動産投資は保有期間だけで終わりません。
将来売却する場合、減価償却によって建物の取得費が減少していることが、売却時の譲渡所得計算へ影響します。
つまり、
保有中に税負担が小さくなった。
それだけを見て得したと判断するのではなく、売却まで含めて考える必要があります。
不動産投資の税金は「買った年」「保有している年」「売った年」をつなげて見ることが重要です。
この部分は次の⑭で、
減価償却とは何なのか。
なぜ現金支出なしで経費になるのか。
売却時にどのような影響が出るのか。
まで詳しく整理します。
■ Q&A|不動産投資の確定申告でよくある疑問
Q. 家賃収入が少なくても確定申告は必要ですか?
確定申告が必要かどうかは、不動産所得だけでなく給与所得など他の所得や個人の状況によって変わります。
「家賃が少ないから必ず申告不要」と自己判断せず、自分の所得状況で確認することが重要です。
Q. ローン返済は全部経費になりますか?
ローン返済額のすべてが必要経費になるわけではありません。
元金部分と利息部分を分けて考える必要があり、賃貸用不動産に対応する利息について一定のルールで必要経費を考えます。
Q. 青色申告なら必ず65万円控除できますか?
必ずではありません。
青色申告特別控除は、記帳方法、不動産貸付けの規模、申告方法など一定の要件によって取扱いが変わります。
自分の賃貸規模と申告方法で確認する必要があります。
Q. 修繕に使ったお金は全部その年の経費ですか?
工事内容によって異なります。
通常の維持管理として修繕費になる場合もあれば、建物の価値を高めるなどの理由で資産として扱う場合もあります。
金額だけではなく工事内容から判断します。
Q. 不動産所得が赤字ならその金額がそのまま戻ってきますか?
赤字額がそのまま現金で戻るわけではありません。
損益通算できるかどうか、他の所得や税率、赤字の内容などによって結果は変わります。
税金を減らすためだけに赤字を作るという考え方には注意が必要です。
■ 不動産投資は税金だけでなく最終的な手残りで比較する
不動産投資にはさまざまな方法があります。
戸建。
一棟アパート。
区分マンション。
新築。
中古。
融資を大きく使う方法。
自己資金を多く入れる方法。
それぞれ家賃収入だけでなく、
修繕費。
空室リスク。
ローン返済。
減価償却。
税金。
売却時の出口。
が違います。
だから、
節税できるからこの物件。
という選び方ではなく、
税金を支払った後にどれだけ現金が残り、長期的に資産を増やせるか。
まで比較することが重要です。
家賃収入・融資・税金・手残りまで含めて、自分に合った不動産投資の選択肢を確認したい方はこちら
■ まとめ|確定申告は不動産投資の利益を正しく確認するためにある
不動産投資では、家賃収入がそのまま利益になるわけではありません。
家賃などの収入。
必要経費。
減価償却。
ローン利息。
固定資産税。
修繕費。
保険。
こうした数字を整理して不動産所得を計算します。
そして忘れてはいけないのが、
不動産所得と実際のキャッシュフローは同じではない。
ということです。
ローン元金は現金として出ていきます。
一方で減価償却費は、同額の現金支出がなくても必要経費として計上されます。
だから不動産投資では、
税金計算上いくら利益が出たか。
実際にいくら現金が残ったか。
この二つを毎年確認します。
青色申告など利用できる制度を正しく使うことも重要です。
しかし不動産投資の目的は、経費を増やして税金をゼロにすることではありません。
家賃を受け取り、必要な経費と税金を支払い、ローンを返済して、それでも現金と資産を残していく。
これが賃貸経営の基本です。
確定申告を単なる税金の手続きで終わらせず、一年間の不動産経営を確認する機会として使うことで、次の物件購入や保有・売却の判断にもつながっていきます。
「税務上の取扱いは個別の状況によって異なるため、具体的な申告や判断については税理士などの専門家へ確認してください。」
■ 関連記事
不動産投資でキャッシュフローはいくら残ればいい?家賃収入より大切な手残りの考え方
不動産投資で現金を残すべき理由とは?空室・修繕に強い資金管理
不動産投資でローン返済比率は何%が安全?家賃収入が残る借入額と返済額の考え方
不動産投資の利回りは何%あればいい?表面利回りだけで物件を選ぶと危険な理由
不動産投資で家賃滞納が起きたらどうする?大家が最初に確認したい対応と資金管理
不動産投資で空室率は何%まで耐えられる?家賃収入が減っても赤字にならない収支計算
不動産投資の自己資金はいくら必要?頭金だけでなく修繕・空室に備える資金計画
不動産投資は管理会社に任せれば安心?大家が自分で確認すべき7つのポイント
大家業とは何をする仕事?入居募集・修繕・管理から利益を残す賃貸経営の実務
不動産投資はほったらかしで儲かる?初心者が「賃貸経営」を始める前に知るべき現実
不動産投資で失敗する人は物件購入前に何を見落とす?初心者が確認したい7つのチェックポイント
不動産投資の最初の1戸はどう選ぶ?初心者が価格・利回りより先に見るべきポイント
不動産投資の物件探しは何から始める?初心者が最初に決める7つの購入基準
築古戸建投資の出口戦略|10年後に売る・貸し続ける・解体する判断基準
空き家・土地・相続・不動産投資など、不動産についてまとめて確認する

