不動産投資の決算書はどこを見る?PL・BS・キャッシュフローから次の融資につなげる方法
- MIRAIU

- 8月12日
- 読了時間: 16分
不動産投資を続けて物件数が増えてくると、毎年の確定申告や法人決算で決算書を見る機会も増えてきます。
しかし、
「黒字なら問題ない」
「売上が増えているから順調」
「税金を払っているから銀行評価も悪くないだろう」
と考えてしまうこともあります。
実際には、不動産投資の財務状態は利益だけでは判断できません。
特に次の物件を購入するために融資を受けたいのであれば、
PLだけでなく、BS・現預金・借入残高・返済額まで一緒に見ることが重要です。
決算書を見る目的は、単に今年いくら儲かったのかを確認することだけではありません。
自分の賃貸経営が、
前年より強くなったのか。
現金が増えたのか。
借入が減ったのか。
純資産が増えたのか。
そして、
次の融資につながる財務状態になっているのか。
ここまで確認する必要があります。
今回は、不動産投資の決算書で大家が確認しておきたいポイントを、PL・BS・キャッシュフローの関係から整理します。
▪️まずPLとBSの違いを理解する
決算書を見るとき、最初に理解しておきたいのがPLとBSです。
PLは損益計算書。
一定期間に、
どれだけ売上があったのか。
どれだけ経費がかかったのか。
最終的にいくら利益が残ったのか。
を見るものです。
不動産賃貸業なら、主な売上は家賃収入になります。
そこから、
管理費
修繕費
固定資産税
火災保険料
減価償却費
借入金利息
その他の経費
などを差し引き、利益を確認します。
一方のBSは貸借対照表です。
こちらはある時点で、
現預金はいくらあるのか。
不動産などの資産はいくらあるのか。
借入金はいくら残っているのか。
純資産はいくらあるのか。
を見るものです。
簡単にいえば、
PLは「1年間の成績」、BSは「現在の財務体力」を見るものです。
不動産投資では、この両方を見る必要があります。
▪️PLで最初に見るのは家賃収入だけではない
不動産投資のPLを見ると、最初に家賃収入へ目が行きます。
前年より家賃収入が増えていれば、
「今年はよかった」
と感じるでしょう。
しかし、売上だけでは経営状態は分かりません。
例えば、
年間家賃収入1,000万円
だったとしても、
修繕費300万円
管理費100万円
固定資産税100万円
保険料50万円
その他の経費
が大きければ、利益は思ったほど残りません。
反対に家賃収入が700万円でも、経費を適切に管理できていれば利益率が高いこともあります。
そのためPLを見るときは、
売上
経費
営業利益
最終利益
を合わせて確認します。
「いくら家賃が入ったか」ではなく「家賃収入から最終的にいくら利益を残せたか」が重要です。
▪️黒字でも現金が増えるとは限らない
ここが不動産投資の決算書を見るうえで非常に重要なポイントです。
PLで300万円の利益が出ていたとしても、銀行口座の現金が300万円増えるとは限りません。
大きな理由の一つがローン返済です。
例えば、
年間利益300万円。
年間のローン元本返済200万円。
だったとします。
元本返済の200万円は現金として出ていきます。
しかし、借入金の元本返済は基本的に経費としてPLにそのまま計上されるものではありません。
そのため、
利益は300万円出ている。
しかし現金はそれほど増えていない。
という状態が起こります。
PLの利益と実際のキャッシュフローは別物です。
この仕組みについてはこちらでも詳しく解説しています。
不動産投資で黒字なのに現金が増えないのはなぜ?大家が見落とすキャッシュフローの仕組み
▪️減価償却も利益と現金を分ける原因になる
不動産投資では減価償却費も重要です。
例えば建物を購入した場合、購入費用の全額をその年の経費にするのではなく、一定期間に分けて費用化していきます。
この減価償却費は、
帳簿上では経費。
しかし毎年その金額が現金として出ていくわけではない。
という特徴があります。
例えば減価償却費が年間200万円あれば、その分PL上の利益は小さくなります。
しかし、その200万円を毎年誰かに支払っているわけではありません。
このため、
利益は少ない。
しかし現金は残っている。
という状態も起こります。
つまり不動産投資では、
ローン元本返済。
減価償却。
この2つによって、
「利益」と「現金」の動きが大きくズレることがあります。
利益より現預金が重要になる理由はこちらでも解説しています。
▪️BSではまず現預金を見る
次にBSです。
不動産投資で融資を増やしたいのであれば、現預金は特に確認しておきたい数字です。
例えば、
年間利益300万円。
所有物件10戸。
家賃収入1,000万円。
という状態でも、決算時の現預金が50万円しかなければどうでしょうか。
給湯器交換。
外壁修繕。
複数戸の退去。
固定資産税。
火災保険。
こうした支出が重なっただけでも資金繰りが厳しくなる可能性があります。
反対に利益を確保しながら、毎年現預金も積み上がっているのであれば、経営の安定性は高まりやすくなります。
不動産経営では利益を出すことと同時に、現金を残すことが重要です。
銀行が現預金をどのように見るのかはこちら。
▪️BSでは借入残高の変化も見る
不動産投資では物件を購入すると借入金が増えます。
そのため、
借入が増えた。
という一点だけで悪いと判断する必要はありません。
重要なのは、
その借入でどのような資産を取得したのか。
そこからどれだけ家賃を生んでいるのか。
毎年どれだけ借入残高が減っているのか。
です。
例えば年初に借入残高が8,000万円あり、年末に7,700万円になっていれば、年間300万円の元本を返済したことになります。
現金は300万円出ています。
しかし同時に負債も300万円減っています。
物件価値が大きく変わっていなければ、純資産はその分積み上がっていると考えることもできます。
ローン返済は単なる支出ではなく、負債を減らして純資産を積み上げる動きでもあります。
残債と純資産についてはこちらも参考になります。
▪️純資産が前年より増えているかを見る
決算書を見るときは、純資産の変化も確認します。
簡単に考えると、
資産 − 負債 = 純資産
です。
毎年利益を残し、借入を返済していけば、純資産は少しずつ積み上がっていきます。
例えば、
前年純資産1,000万円。
今年純資産1,300万円。
なら、単純化すれば1年間で300万円財務体力が厚くなったと見ることができます。
反対に毎年赤字が続けば、純資産が減少していく可能性があります。
物件数が多くても、借入額が非常に大きく、純資産が薄い状態では経営の余裕が小さくなることがあります。
何棟持っているかより、純資産が毎年どう変化しているのかを見ることが大切です。
純資産が増えても現金不足になる理由はこちらでも詳しく解説しています。
▪️融資を受けたいなら利益だけを作ればいいわけではない
次の物件を購入するために銀行融資を検討する場合、
「とにかく黒字決算にすればいい」
と考えることがあります。
もちろん利益を出すことは重要です。
しかし、決算書全体では他の数字も動いています。
利益は出ている。
しかし現預金は減っている。
借入残高は急増している。
純資産はほとんど増えていない。
という状態なら、利益だけを見て財務状態が強くなったとは判断できません。
反対に、
利益を残している。
現預金が積み上がっている。
借入残高が計画的に減っている。
純資産も増えている。
という状態なら、次の融資を相談するときにも経営状況を説明しやすくなります。
次の融資につなげたいなら、PLだけではなくBSも育てていく意識が重要です。
▪️新しい物件を探すときも「購入後の決算書」を考える
次の物件を探すときは、表面利回りや購入価格だけで判断しないことも大切です。
購入すると、
借入はいくら増えるのか。
毎月の返済はいくら増えるのか。
手元現金はいくら減るのか。
年間利益はいくら増えるのか。
キャッシュフローはいくら残るのか。
購入後のBSはどうなるのか。
ここまで考えることで、物件選びの見え方が変わります。
融資を活用して不動産投資を拡大する考え方はこちら。
▪️不動産投資の選択肢を広げたい方へ
物件を増やしていくときは、目の前の1件だけでなく複数の投資先や運用方法を比較することも重要です。
利回り。
立地。
融資条件。
自己資金。
キャッシュフロー。
出口。
これらを比較し、自分の財務状態に合う投資方法を考えていきましょう。
不動産投資の情報や選択肢を比較したい方はこちらから確認できます。
▪️決算書は単年度ではなく前年と比較する
決算書を見るときに重要なのが、今年だけを見るのではなく前年と比較することです。
例えば今年の利益が300万円だったとします。
300万円という数字だけを見ても、良いのか悪いのかは分かりません。
前年利益が100万円なら、大きく改善しています。
反対に前年利益が500万円なら、200万円減っています。
現預金も同じです。
前年末500万円。
今年末700万円。
なら200万円増えています。
しかし、
前年末500万円。
今年末300万円。
なら200万円減っています。
借入残高も、
前年8,000万円。
今年7,700万円。
なら300万円減少しています。
このように、
利益。
現預金。
借入残高。
純資産。
を毎年並べることで、自分の財務状態がどちらへ進んでいるのかが分かります。
決算書は「今年の点数」を見るだけではなく、「前年からどう変化したか」を見るものです。
▪️利益が増えて現金も増える状態を目指す
不動産投資で理想的なのは、利益だけが増えることではありません。
利益が残る。
現預金も増える。
借入残高も減る。
純資産も積み上がる。
この状態を少しずつ作っていくことです。
もちろん物件を購入した年は自己資金を投入するため、現預金が一時的に減ることもあります。
大規模修繕をした年も利益や現金が大きく減ることがあります。
そのため、1年だけの数字で判断する必要はありません。
重要なのは、
なぜ数字が増えたのか、なぜ減ったのかを自分で説明できることです。
例えば現預金が500万円減っていても、新しい収益物件を購入するために使ったのであれば意味が分かります。
しかし、
黒字なのに毎年現金が減っている。
理由がよく分からない。
という状態なら、一度キャッシュフローを詳しく確認する必要があります。
▪️節税を優先しすぎると決算書が弱くなることもある
不動産投資では税金をできるだけ抑えたいと考えるのは自然です。
しかし次の融資を受けながら規模を拡大したい場合、節税だけを優先する考え方には注意が必要です。
経費を増やして利益を極端に小さくする。
毎年赤字決算にする。
こうした状態が続けば、決算書上の利益や純資産にも影響します。
もちろん必要な経費を正しく計上することは大切です。
一方で、
税金を少なくすること。
銀行から融資を受けやすい財務状態を作ること。
この2つが完全に同じ方向を向くとは限りません。
これから物件を増やしたい大家は「税金をいくら減らせるか」だけでなく「決算書がどう見えるか」も考えておく必要があります。
節税と融資の関係についてはこちら。
▪️減価償却は使い方だけでなく残存期間も見る
築古物件では減価償却費を大きく取れる場合があります。
その期間は帳簿上の利益を圧縮しながら、現金を残しやすくなることがあります。
しかし減価償却は永久に続くわけではありません。
償却期間が終了すれば、それまで計上していた減価償却費がなくなります。
すると家賃収入やその他の条件が同じでも、帳簿上の利益が増える可能性があります。
利益が増えれば税負担も変わる可能性があります。
そのため物件購入時には、
今年いくら減価償却できるのか。
だけではなく、
何年間償却できるのか。
償却終了後の利益はどうなるのか。
まで考えておくことが重要です。
減価償却と融資の関係はこちらでも解説しています。
▪️キャッシュフローは毎月確認する
PLとBSは決算時に大きく確認します。
一方でキャッシュフローは、できれば毎月確認しておきたい数字です。
例えば、
家賃収入70万円。
ローン返済40万円。
管理・修繕など10万円。
税金や保険の積立10万円。
なら、実質的に自由度の高い現金は10万円程度です。
この10万円を毎月積み上げれば年間120万円になります。
しかし、その途中で100万円の大規模修繕が発生すれば年間の現金増加は大きく変わります。
そのため、
毎月いくら入ったか。
毎月いくら出たか。
毎月いくら残ったか。
を確認しておくことが大切です。
決算書は過去を確認するものですが、キャッシュフロー管理はこれからの資金繰りを守るためのものです。
▪️家賃収入を使い切らない大家は財務が強くなりやすい
家賃収入が増えると、自由に使えるお金が増えたように感じることがあります。
しかし家賃は、そのまま利益ではありません。
そこからローン返済。
税金。
修繕。
保険。
管理費。
原状回復。
などを支払う必要があります。
特に物件を増やしたい時期は、残ったキャッシュフローをすべて生活費に回すのではなく、次の取得資金や修繕資金として蓄積する考え方が重要です。
現預金が増えれば、突然良い物件が出たときにも動きやすくなります。
金融機関へ融資を相談するときにも自己資金を用意しやすくなります。
家賃収入を次の物件につなげる考え方はこちら。
▪️1棟目の決算書から次の融資は始まっている
これから物件数を増やしたいのであれば、最初の物件を購入した時点から次の融資を意識しておくことが大切です。
1棟目で家賃を安定させる。
利益を残す。
現預金を積み上げる。
ローンを計画的に返済する。
純資産を増やす。
そして、その実績を決算書に積み上げる。
この繰り返しによって、次の物件へ進むための財務基盤が少しずつ作られていきます。
反対に1棟目で大きく資金を使い切り、赤字と現金不足が続けば、次の取得が難しくなる可能性があります。
1棟目は最初の収益物件であると同時に、2棟目の融資につながる決算書を作るスタートでもあります。
1棟目と次の融資についてはこちら。
▪️銀行に説明できる決算書を作る
決算書の数字は、良い数字だけを並べればいいわけではありません。
例えば大規模修繕によって利益が減った年があっても、
なぜ利益が減ったのか。
その修繕によって何が改善したのか。
翌年以降の収益にどうつながるのか。
を説明できれば、単純な赤字とは意味が変わります。
新しい物件を購入して現預金が減った場合も同じです。
なぜ現金が減ったのか。
どの資産を取得したのか。
その物件からいくら家賃が入るのか。
購入後の返済状況はどうなのか。
を整理しておく。
自分自身が決算書の数字を説明できる状態にしておくことが、次の融資を相談するときにも重要です。
▪️物件を増やすほどPL・BS・キャッシュフローを一体で見る
物件が1戸、2戸の段階では、銀行口座の残高だけを見ても経営できるかもしれません。
しかし、
5戸。
10戸。
20戸。
1棟。
2棟。
と増えていけば、動くお金も大きくなります。
家賃収入が増える一方で、
ローン返済。
固定資産税。
修繕費。
保険。
管理費。
原状回復費。
も増えていきます。
だからこそ規模が大きくなるほど、
PLで利益を見る。
BSで資産と負債を見る。
キャッシュフローで現金の動きを見る。
この3方向から確認する必要があります。
不動産投資は「利益を出すゲーム」だけではなく「現金と純資産を積み上げる経営」です。
▪️次の融資につながる大家が毎年確認したい数字
決算が終わったら、最低限次の数字を前年と比較してみましょう。
年間家賃収入。
年間利益。
現預金。
借入残高。
年間元本返済額。
純資産。
年間キャッシュフロー。
この数字を毎年並べます。
例えば、
利益+300万円。
現預金+150万円。
借入残高▲200万円。
純資産+350万円。
であれば、現金を増やしながら借入も返済し、純資産を積み上げていることが分かります。
一方で、
利益+300万円。
現預金▲250万円。
借入残高▲50万円。
なら、
なぜ利益が出ているのに現金が250万円減ったのか。
を確認する必要があります。
決算書で最も重要なのは一つの数字ではなく、複数の数字がどの方向へ動いているかを見ることです。
▪️まとめ|決算書は次の物件を買うための経営資料
不動産投資の決算書を見るときは、
利益が黒字だった。
税金はいくらだった。
という確認だけで終わらせないことが大切です。
PLでは、
売上。
経費。
利益。
を確認する。
BSでは、
現預金。
不動産などの資産。
借入金。
純資産。
を確認する。
そしてキャッシュフローでは、
実際に1年間で現金がいくら増えたのか。
を確認します。
さらに前年と比較して、
利益は増えたのか。
現預金は増えたのか。
借入は減ったのか。
純資産は増えたのか。
まで見る。
この積み重ねが、次の物件を購入できる財務基盤につながっていきます。
不動産投資では、物件を買うことだけが投資ではありません。
購入した物件を運営し、現金を残し、ローンを返し、決算書を強くしていく。
そして次の融資へつなげる。
PL・BS・キャッシュフローを一体で見ることが、長期的に物件を増やしていく大家にとって重要な経営習慣です。
▪️不動産投資の次の選択肢を探す
決算書を確認して、
現預金を確保できている。
借入返済も進んでいる。
次の物件取得を検討できる。
という状態になれば、新しい投資先を比較する段階です。
ただし、利回りだけで急いで購入する必要はありません。
自分の現在の財務状態に合う投資なのかを確認しながら、次の一手を考えていきましょう。
不動産投資の情報・選択肢を確認したい方はこちら
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