不動産投資の新設法人はどう育てる?融資が出ない時期から銀行評価を積み上げる方法
- MIRAIU

- 8月11日
- 読了時間: 31分
不動産投資の新設法人はどう育てる?融資が出ない時期から銀行評価を積み上げる方法
不動産投資を本格的に始めると、
「法人を作って物件を増やしていきたい」
と考える人も多いでしょう。
しかし、法人を設立したからといって、すぐに金融機関から希望通りの融資を受けられるとは限りません。
設立したばかりの法人には、
決算実績がない。
家賃売上がない。
利益実績がない。
法人名義の資産が少ない。
現預金が少ない。
返済実績がない。
といった特徴があります。
金融機関から見れば、
「この会社が本当に安定して返済できるのか」
を判断する材料がまだ少ない状態です。
そこで重要になるのが、
新設法人を時間をかけて育てる
という考え方です。
最初から大きな融資を狙うのではなく、
家賃売上を作る。
利益を出す。
現預金を残す。
借入があれば約定通り返済する。
決算実績を積み上げる。
そして少しずつ、
「融資を受けても返済できる会社」
という実績を作っていく。
今回は、不動産投資の新設法人をどのように育て、次の融資につながる財務を作っていくのかを詳しく解説します。
▪️法人を作っただけでは信用は完成しない
株式会社や合同会社を設立すれば、法人として不動産を購入したり、金融機関へ融資相談したりできるようになります。
しかし、
法人登記が完了した=金融機関から高く評価される
ということではありません。
金融機関が確認したいのは、
会社名。
法人形態。
だけではなく、
何を事業としているのか。
どれだけ売上があるのか。
利益は出ているのか。
現預金はいくらあるのか。
既存借入はいくらあるのか。
返済できているのか。
純資産はどうなっているのか。
代表者にはどのような経験があるのか。
といった部分です。
つまり、
法人という箱を作ることと、その法人に信用を積み上げることは別
と考えた方が分かりやすいでしょう。
▪️新設法人には過去の決算書がない
設立したばかりの法人には、当然ながら過去3期分の決算書などはありません。
例えば10年間賃貸業を続けている会社なら、
過去の家賃売上。
利益。
現預金。
借入返済。
純資産。
などを確認できます。
一方、新設法人ではその履歴がありません。
だから金融機関によっては、
法人だけではなく、
代表者個人の属性や資産状況、不動産投資経験などを含めて判断する
場合があります。
新設法人で融資を受ける場合、
「会社を作ったから会社だけで評価してもらえる」
とは限らない点を理解しておく必要があります。
▪️最初の目標は「大きく借りること」ではない
新設法人を作ると、
1棟目。
2棟目。
3棟目。
と早く増やしたくなることがあります。
しかし最初から、
「いくら借りられるか」
だけを追いかける必要はありません。
最初に作りたいのは、
正常に事業を運営している実績
です。
家賃が入る。
必要経費を支払う。
ローンを返済する。
税金を支払う。
利益を出す。
現金を残す。
決算を迎える。
この当たり前の流れを積み上げることが、次の融資相談の材料になります。
▪️新設法人でも小さく賃貸実績を作る方法はある
希望する規模の融資が出ない場合、
「融資が出るまで何もしない」
という方法だけではありません。
自己資金の範囲で取得できる小規模物件。
戸建賃貸。
小さな土地活用。
駐車場。
既存不動産の活用。
など、状況によっては小さく事業実績を作る方法があります。
重要なのは、
無理に物件を買うことではなく、法人に売上と利益の履歴を作ること
です。
▪️現金購入なら借入なしで実績を作れる
例えば法人に500万円の資金があるとします。
その資金の一部で小規模な中古戸建を取得し、
必要な修繕を行い、
入居者を募集する。
家賃5万円で入居が決まれば、
年間家賃収入は単純計算で60万円です。
大きな売上ではありません。
しかし法人には、
不動産を取得した。
修繕した。
入居者を募集した。
家賃を受け取った。
経費を管理した。
決算を行った。
という実績が残ります。
これは、
何も事業をしていない新設法人とは違う状態
です。
▪️ただし現金を使い切ってはいけない
ここは非常に重要です。
新設法人で融資が出ないからといって、
法人の現預金をほぼ全部使って物件を購入する。
これは慎重に考える必要があります。
例えば現預金500万円。
物件価格400万円。
諸費用50万円。
修繕50万円。
合計500万円。
これでは購入後の現金がほとんどありません。
その直後に、
給湯器交換。
雨漏り。
退去。
追加修繕。
固定資産税。
などが発生すれば、法人の資金繰りが苦しくなります。
だから現金購入でも、
購入後にいくら現預金を残せるか
を確認することが重要です。
▪️安い物件を買えばいいわけではない
融資が使えない時期には、現金で買える価格帯へ目が向きやすくなります。
しかし、
安い=良い物件。
ではありません。
例えば300万円の戸建でも、
修繕300万円。
賃貸需要が弱い。
家賃3万円。
長期空室。
再販しにくい。
という物件なら、法人の財務を強くするどころか現金を減らす可能性があります。
新設法人の実績作りだからこそ、
価格ではなく収益性を見る
ことが重要です。
▪️最初の1棟は「決算書を育てる物件」という視点も持つ
新設法人の最初の物件では、
表面利回り。
価格。
築年数。
だけではなく、
この物件を持つことで法人の決算書がどう変わるか
も考えてみましょう。
例えば、
年間家賃72万円。
年間経費20万円。
一定の利益が残る。
現金も残る。
安定入居。
という物件なら、規模は小さくても法人にプラスの実績を作れる可能性があります。
反対に、
年間家賃100万円。
修繕・管理・その他経費120万円。
なら、売上はあっても利益は残りません。
売上を作ることと良い決算を作ることは別です。
▪️1期目の決算は非常に重要
新設法人が初めて決算を迎えると、
それまで実績ゼロだった会社に、
1期分の経営履歴
ができます。
売上はいくらだったか。
営業利益はどうだったか。
最終利益はどうだったか。
現預金はいくら残ったか。
借入はいくらあるか。
純資産はいくらか。
金融機関へ融資相談するときにも、説明できる数字が増えます。
だから1期目は、
「とりあえず決算を終わらせる」
ではなく、
次の融資につながる会社を作る最初の1年
という意識を持つことが重要です。
▪️売上だけ大きくても意味がない
例えば、
A社。
年間家賃売上500万円。
利益▲100万円。
B社。
年間家賃売上300万円。
利益+80万円。
単純に売上だけならA社の方が大きい会社です。
しかし、
利益。
現預金。
借入。
純資産。
まで見ると評価は変わります。
新設法人では特に、
「売上を大きく見せること」より「小さくても利益を残すこと」
を意識した方が、財務を育てやすい場合があります。
▪️利益を出して利益剰余金を積み上げる
法人で利益を出し、その利益を会社内部に残していけば、利益剰余金の積み上げにつながります。
例えば、
1期目+50万円。
2期目+100万円。
3期目+150万円。
と利益を積み上げていく。
大きな数字ではなくても、
毎期黒字を積み重ねている
という履歴になります。
反対に、
1期目▲200万円。
2期目▲100万円。
3期目▲300万円。
と赤字が続けば、純資産を悪化させる要因になります。
▪️赤字になったら「なぜ赤字なのか」を確認する
不動産賃貸業では、
物件取得。
大規模修繕。
減価償却。
一時的な空室。
などによって赤字になることもあります。
だから、
赤字=すべて悪い
とは限りません。
重要なのは、
なぜ赤字になったのか。
来期は改善できるのか。
現金収支はどうなのか。
家賃売上は安定しているのか。
を経営者自身が理解していることです。
不動産賃貸業の赤字と融資についてはこちら。
不動産賃貸業が赤字決算になったら融資は止まる?銀行への説明と財務改善のポイントを徹底解説
▪️現預金は新設法人の重要な体力になる
新設法人では、
まだ利益の蓄積が少ない。
保有資産も少ない。
ということがあります。
その中で現預金までほとんどなければ、
突発的な支出に対応できません。
例えば、
現預金500万円の会社。
現預金30万円の会社。
では、同じ家賃売上でも資金余力が違います。
もちろん多ければ必ず融資が出るわけではありません。
それでも、
会社を継続するための体力として現預金を確保する
ことは非常に重要です。
現預金と融資についてはこちら。
不動産投資で銀行が見る「現預金」はいくら必要?融資を受けやすい大家の決算書を徹底解説
▪️利益が出たらすぐ次の物件に全部使わない
例えば1年間で200万円の現金を残せたとします。
すると、
「この200万円を頭金にして次を買おう」
と考えたくなります。
しかし200万円をすべて使えば、会社の現預金はまた薄くなります。
不動産賃貸業では、
固定資産税。
保険。
修繕。
空室。
設備故障。
などがあります。
だから、
会社を守る現金と次の投資資金を分ける
という考え方も必要です。
▪️法人の預金残高を毎年増やせているか
新設法人を育てるなら、
毎年の決算書だけではなく、
実際の銀行預金残高
も確認しましょう。
例えば、
設立時500万円。
1期目終了600万円。
2期目終了800万円。
3期目終了1,100万円。
なら、一定の現金蓄積ができています。
一方、
設立時500万円。
1期目300万円。
2期目150万円。
3期目50万円。
なら、事業を続けるほど現金が減っています。
物件数が増えていても、
現金が減り続けているなら原因を確認する必要があります。
▪️融資を受けたら「返済実績」を作る
新設法人で融資を受けられた場合、その後に重要なのが返済です。
毎月の約定返済を続ける。
家賃を安定させる。
金融機関との約束を守る。
必要な資料を提出する。
こうした積み重ねが続きます。
融資は、
借りた瞬間に終わるものではありません。
借りた後に正常な経営と返済を続けることが、次の融資相談へつながります。
▪️最初の金融機関との関係を大切にする
新設法人では、最初に融資してくれる金融機関が重要な存在になることがあります。
融資を受けた後も、
決算が終わったら報告する。
物件の入居状況を説明する。
今後の投資方針を伝える。
必要な資料を整理する。
など、継続的に会社の状態を伝えることができます。
単に、
「次の物件が出たときだけ融資をお願いする」
のではなく、普段から自社の状況を説明できるようにしておくことが重要です。
▪️決算書を自分で説明できるようにする
融資相談で、
「詳しいことは税理士に聞かないと分かりません」
だけでは、自社の経営状態を十分に説明できません。
最低限、
年間家賃売上。
利益。
現預金。
借入残高。
年間返済額。
保有不動産。
純資産。
くらいは把握しておきたいところです。
さらに、
なぜ利益が増えたのか。
なぜ赤字になったのか。
なぜ現金が減ったのか。
まで説明できれば、
自分自身が会社の財務を理解して経営している
ことにもつながります。
▪️1期目より2期目、2期目より3期目を強くする
新設法人は最初から完璧な決算書を作れるとは限りません。
重要なのは、
毎年改善しているか
です。
例えば、
1期目。
家賃売上200万円。
利益+20万円。
現預金300万円。
2期目。
家賃売上400万円。
利益+80万円。
現預金500万円。
3期目。
家賃売上600万円。
利益+150万円。
現預金800万円。
というように、
売上。
利益。
現預金。
が少しずつ増えていけば、会社の経営実績も積み上がります。
▪️純資産も毎年確認する
売上と利益だけではなく、
純資産
も確認します。
利益を積み上げることで、純資産を厚くしていく。
借入が増えたとしても、それ以上に収益資産と利益を積み上げる。
この考え方が重要です。
特に赤字が続いて純資産がマイナスになれば、債務超過になる可能性があります。
債務超過と融資についてはこちら。
不動産投資で債務超過になると融資はどうなる?貸借対照表(BS)の見方と改善方法を徹底解説
▪️融資を受けるためだけに無理に黒字を作らない
融資を意識すると、
「何が何でも黒字にしなければ」
と考えることがあります。
しかし決算書は、
実際の経営状態を正しく把握するためのもの
でもあります。
必要な修繕を先送りする。
本来必要な支出を無理に削る。
数字だけを良く見せようとする。
これでは長期的な賃貸経営に悪影響が出る可能性があります。
大切なのは、
実態として利益が出る事業構造を作ること
です。
▪️減価償却と現金収支は分けて考える
不動産賃貸業では減価償却費があります。
減価償却費は会計上の費用ですが、その年に同額の現金が出ていくわけではありません。
そのため、
決算上の利益。
実際の現金収支。
には違いが生まれます。
新設法人を育てる場合も、
PLの利益だけでなく実際に現金が残っているか
を確認することが重要です。
減価償却と銀行評価についてはこちら。
不動産投資の減価償却で融資が不利になる?節税と銀行評価を両立する考え方を徹底解説
▪️節税だけを優先しすぎない
不動産投資では、
減価償却。
各種経費。
修繕費。
などによって課税所得を抑えられる場合があります。
税金を適切に抑えることは重要です。
しかし、
毎年できるだけ利益をゼロにする
ことだけを目標にすると、今後融資を利用して規模を拡大したい場合に別の問題が出る可能性があります。
税金。
利益。
現預金。
銀行評価。
これらを総合的に考える必要があります。
▪️新設法人ほど「次の融資」から逆算する
例えば3年後に、
5,000万円の収益物件を購入したい。
という目標があるとします。
なら、
今の法人に何が必要なのか。
家賃売上。
利益。
現預金。
純資産。
賃貸実績。
返済実績。
これらを逆算して考えます。
「良い物件が出たら銀行へ行く」
ではなく、
「良い物件が出たときに相談できる法人を先に作っておく」
という考え方です。
▪️借入を増やす前に貸借対照表を見る
新設法人で融資が出るようになると、物件取得のスピードを上げたくなることがあります。
しかし、
借入が増える。
不動産も増える。
家賃も増える。
それだけでは十分ではありません。
現預金。
利益。
純資産。
返済余力。
も同時に確認します。
融資を使った資産拡大についてはこちら。
不動産投資で借入を増やすのは危険?融資を活用して資産を拡大する貸借対照表の考え方
▪️1棟買うごとに法人が強くなっているか確認する
例えば2棟目を購入した結果、
家賃売上+500万円。
利益+150万円。
現預金も増加。
元金返済も順調。
なら、法人の収益力が高まっています。
一方、
家賃売上+500万円。
利益▲100万円。
現預金▲300万円。
修繕予定+500万円。
なら、
物件数は増えても法人が強くなっているとは限りません。
だから新設法人の拡大では、
1棟買うたびに決算書がどう変わったか
を確認することが重要です。
▪️不動産投資は法人の年齢だけで決まらない
「3期終われば必ず融資が出る」
「設立○年なら融資できる」
という単純なものではありません。
金融機関や融資商品、物件、代表者などによって判断は異なります。
3期経過していても、
赤字続き。
現預金不足。
債務超過。
なら厳しく見られる可能性があります。
反対に、設立から長期間経過していなくても、代表者の実績や資産状況、物件内容などを含めて融資を検討してもらえる場合もあります。
重要なのは、
年数を待つだけではなく、その期間に何を積み上げるか
です。
▪️法人形態だけで融資の可否は決まらない
株式会社。
合同会社。
どちらを選ぶか悩む人もいるでしょう。
しかし、
株式会社なら必ず融資に有利。
合同会社なら融資を受けられない。
という単純な話ではありません。
金融機関によって考え方は異なりますし、
代表者。
決算内容。
現預金。
事業実績。
物件収益力。
担保評価。
など、多くの要素が関係します。
法人形態だけで融資戦略を決めないことが重要です。
▪️資本金も「多ければ絶対有利」ではない
資本金は法人の基本情報の一つです。
しかし、
資本金を大きく設定した。
だから融資が必ず通る。
というものではありません。
資本金だけでなく、
その後の事業実績。
利益。
現預金。
借入。
純資産。
を含めて法人全体を見る必要があります。
設立時の見た目より、設立後の経営内容を育てる。
これが長期的には重要です。
▪️不動産投資の法人は「時間」を使って信用を積み上げる
法人を設立した初日と、
3年間賃貸経営を続けた後では、
会社に蓄積されている情報量が違います。
決算書。
家賃入金履歴。
返済履歴。
預金残高。
保有資産。
納税実績。
こうしたものが少しずつ積み上がります。
つまり新設法人にとって、
時間そのものも経営資源の一つ
です。
焦って一気に拡大するのではなく、
毎年会社を少しずつ強くしていくことが、結果として次の融資につながる可能性があります。
▪️不動産投資を始めるなら「法人を作ること」をゴールにしない
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法人設立はスタート地点です。
本当に重要なのは、
その法人で何を買うのか。
どれだけ家賃を作るのか。
どれだけ利益を残すのか。
どれだけ現金を蓄積するのか。
どのように金融機関との取引実績を作るのか。
です。
これから不動産投資を始める場合も、
物件購入だけでなく、その後の法人財務まで考えておく
ことが重要です。
不動産投資について詳しく確認したい方はこちら。
▪️地方の小規模物件から実績を作る方法もある
地方では都市部と比較して、低価格帯の戸建や小規模物件が見つかることがあります。
ただし価格だけで判断せず、
賃貸需要。
修繕費。
家賃相場。
固定資産税。
管理。
将来の売却。
まで確認する必要があります。
低価格だから買うのではなく、
法人に利益を残せる資産か
という視点で判断します。
地方不動産投資についてはこちら。
地方不動産投資完全ガイド
▪️最初の物件ほど修繕費を慎重に見る
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新設法人で低価格の築古物件を購入する場合、
購入価格より修繕費が大きな問題になることがあります。
例えば、
物件300万円。
修繕300万円。
諸費用50万円。
なら、実際には650万円程度の資金が必要になります。
さらに購入後の現預金も必要です。
だから、
物件価格だけで資金計画を作らない
ことが重要です。
築古物件の収益改善を検討している方はこちら。
▪️3年間で見ると法人の変化が分かりやすい
例えば新設時、
現預金500万円。
不動産0円。
家賃売上0円。
だった法人が、
1期目。
小規模物件を取得。
家賃売上100万円。
黒字。
2期目。
現預金を増やす。
家賃売上200万円。
黒字。
3期目。
融資を利用して次の物件を取得。
家賃売上500万円。
黒字。
という流れになれば、
法人の実績そのものが積み上がっています。
もちろん実際の融資判断は金融機関ごとに異なります。
それでも、
何も実績がない法人。
数年間安定して賃貸経営を続けた法人。
では、説明できる材料の量が違います。
▪️新設法人で目指したい5つの積み上げ
不動産投資の新設法人では、
①家賃売上
収益の土台を作る。
②利益
小さくても黒字を積み上げる。
③現預金
税金・修繕・空室に耐えられる資金を残す。
④返済実績
借入がある場合は約定通り返済する。
⑤純資産
利益を積み上げ、会社の財務基盤を強くする。
この5つを毎年確認します。
大きな物件を何棟買ったかより、
去年より会社が強くなったか。
ここを見ることが重要です。
▪️新設法人は「何年経ったか」より「何を積み上げたか」
新設法人では、
「1期終われば融資が出る」
「3期終われば銀行評価が上がる」
と考えたくなります。
しかし、年数が経過するだけで会社が強くなるわけではありません。
大切なのは、その期間に、
家賃売上を作ったか。
利益を残したか。
現預金を増やしたか。
返済実績を積んだか。
純資産を厚くしたか。
という中身です。
実際、新設法人でも代表者の資産背景や投資経験、購入物件の収益性などを含めて融資が検討されるケースがあります。つまり、「新設法人だから融資は無理」と一律に考える必要はありません。
▪️銀行評価を意識するなら毎期の変化を見る
例えば、
1期目
家賃売上300万円
利益+50万円
現預金400万円
純資産+100万円
2期目
家賃売上500万円
利益+100万円
現預金600万円
純資産+200万円
3期目
家賃売上800万円
利益+180万円
現預金900万円
純資産+380万円
このように推移していれば、
単に会社が3年経過したのではなく、
3年間で会社の収益力と財務が改善した
と説明できます。
逆に3期経過していても、
赤字が続く。
現預金が減る。
借入だけ増える。
債務超過になる。
という状態なら、年数だけでは安心できません。
▪️銀行に見せたいのは「返せる会社」
不動産賃貸業で融資を受ける以上、最終的に重要になるのは返済です。
家賃売上1,000万円でも、
年間返済700万円。
修繕200万円。
その他経費200万円。
なら余裕がありません。
一方、
家賃売上700万円でも、
年間返済250万円。
経費150万円。
利益と現金が残る。
なら、返済余力があります。
つまり、
売上規模だけではなく、事業から返済原資を生み出せているか
を見る必要があります。金融機関の融資判断でも、事業から得られるキャッシュフローや返済余力は重要な要素になります。
▪️融資を受けた後こそ法人を育てる
最初の融資が出ると、
「次も買える」
と考えたくなります。
しかし、ここからが重要です。
例えば3,000万円借りて物件を購入したなら、
その3,000万円によって、
家賃売上はいくら増えたか。
利益はいくら増えたか。
現預金はいくら残ったか。
残債はいくら減ったか。
純資産はどう変化したか。
を確認します。
融資を受けた結果、会社が強くなったのか。
ここを毎年確認していきます。
▪️次の物件を買う前に既存物件を満室にする
新設法人では特に、
新しい物件を買うことだけが成長ではありません。
例えば6戸中1戸空室なら、その1室を埋める。
家賃5万円なら、
年間60万円の売上改善です。
新しい借入は必要ありません。
さらに、
家賃設定を見直す。
募集方法を改善する。
駐車場を活用する。
不要な経費を減らす。
修繕して競争力を上げる。
こうした改善でも法人の利益を増やせます。
既存資産から利益を増やすことも立派な財務改善です。
▪️利益を残して利益剰余金を育てる
法人で利益が出れば、その利益を会社内部に蓄積していくことができます。
例えば、
利益剰余金▲300万円。
という状態でも、
1期目+100万円。
2期目+120万円。
3期目+150万円。
と利益を積み上げれば、改善していくことができます。
つまり、
家賃売上を伸ばす
↓
利益を出す
↓
利益剰余金を改善する
↓
純資産を厚くする
という流れです。
新設法人を育てるうえでは、物件数を増やすこと以上に、この積み重ねが重要になることがあります。
▪️債務超過になったらまず改善の道筋を作る
赤字が積み重なり、
資産より負債が大きくなる。
純資産がマイナスになる。
これが債務超過です。
この状態になった場合、
「売上を増やすために、さらに物件を買う」
という方法だけを考えるのは危険です。
まず、
既存物件の家賃売上。
空室。
経費。
修繕。
借入返済。
現預金。
不動産の実際の価値。
を確認します。
そして、
今ある資産で利益を出せる状態を作る。
これが財務改善の基本になります。
債務超過について詳しくはこちら。
不動産投資で債務超過になると融資はどうなる?貸借対照表(BS)の見方と改善方法を徹底解説
▪️ローン返済が進むことにも意味がある
利益だけではなく、
残債が減っているか
も確認します。
例えば3,000万円借りて購入した物件の残債が、
3,000万円。
↓
2,700万円。
↓
2,400万円。
↓
2,100万円。
と減っていけば、借入負担は少しずつ小さくなります。
ただし、元金返済そのものが利益になるわけではありません。
ローン元金を返済すると、
借入金が減る。
同時に現預金も減る。
という動きになります。
だから、
残債が減っているから安心
ではなく、
利益。
現預金。
残債。
純資産。
をセットで確認します。
▪️「利益は出ているのに現金がない」に注意する
決算書では黒字。
しかし預金口座を見ると現金がほとんどない。
不動産賃貸業では、この状態にも注意が必要です。
利益が出ても、
ローン元金返済。
物件購入。
設備投資。
税金。
修繕。
などで現金は動きます。
だから、
PLでは利益が出ているか。
そして、
実際の預金は増えているか。
両方を確認します。
▪️「CFは出ているはずなのに現金が増えない」も確認する
例えば、
年間CF+300万円。
と計算していたとします。
しかし、
前年の預金800万円。
今年の預金750万円。
なら、実際には50万円減っています。
固定資産税。
火災保険。
修繕。
空室。
取得費。
法人経費。
どこかに現金が出ています。
だから、
想定CFより銀行口座を見る。
これは新設法人を育てるうえで非常に重要です。
▪️固定資産税・保険・修繕まで払って現金が残るか
家賃からローンを引いて、
「毎月10万円残る」
だけでは本当の年間収支は分かりません。
年間120万円残るように見えても、
固定資産税30万円。
火災保険10万円。
修繕50万円。
その他経費20万円。
なら、残る金額は大きく変わります。
特に築古物件では、年によって修繕費が大きく変動することがあります。
だから、
1年間すべての支払いを終えた後、本当に現金が残ったか。
ここまで確認します。
▪️新設法人ほど「買わない年」があってもいい
1期目に1棟。
2期目に1棟。
3期目に2棟。
と毎年買わなければ成長していないわけではありません。
例えば2期目は新規取得をせず、
既存物件を満室にする。
修繕を終わらせる。
利益を出す。
現預金を増やす。
残債を減らす。
という1年にする。
その結果、
3期目により良い条件で次の融資へ進める
可能性もあります。
焦って物件数を増やすより、財務を整える期間を作ることも重要です。
▪️現金を貯めることも法人の成長
不動産投資では、
物件を買った。
戸数が増えた。
家賃売上が増えた。
という成長は分かりやすいものです。
しかし、
現預金500万円。
↓
800万円。
↓
1,200万円。
と増えることも大きな成長です。
現金があれば、
修繕に対応できる。
空室に耐えられる。
次の自己資金に使える。
金融機関へ説明できる。
つまり、
現預金を積み上げることも次の融資への準備
になります。
▪️次の融資では前回から何が変わったか説明する
2回目の融資相談では、
「また物件を買いたいです」
だけではなく、
前回融資を受けてから、
家賃売上が○万円増えました。
利益は○万円でした。
預金は○万円増えました。
残債は○万円減りました。
入居率は○%です。
という説明ができるようにします。
つまり、
前回借りたお金を使って会社がどう成長したのか
を数字で説明するということです。
▪️決算後に金融機関へ報告する
融資が必要になったときだけ金融機関へ行くのではなく、
決算が終わった。
満室になった。
大きな修繕が終わった。
家賃売上が増えた。
といったタイミングで状況を共有する方法もあります。
金融機関との関係は、
融資申込の瞬間だけで作るものではありません。
普段から会社の状況を整理しておけば、次の相談もしやすくなります。
▪️金融機関を1行だけに限定しすぎない
不動産融資への考え方は金融機関によって異なります。
同じ法人。
同じ代表者。
同じ物件。
でも、判断が異なる場合があります。
だから、
地方銀行。
信用金庫。
信用組合。
政府系金融機関。
その他の金融機関。
など、自分の事業規模やエリアに合う金融機関を確認していくことも重要です。
ただし、
手当たり次第に申し込むのではなく、自社の財務を理解したうえで相談する
ことが基本です。
▪️融資条件だけで金融機関を選ばない
金利が低い。
融資期間が長い。
自己資金が少ない。
もちろん重要です。
しかし長期的に不動産賃貸業を続けるなら、
事業を理解してもらえるか。
次の物件も相談できるか。
決算内容を見てもらえるか。
長期的に取引できるか。
という視点もあります。
1回の融資条件だけではなく、今後の取引まで考える。
これも法人を育てるうえでは重要です。
▪️新設法人で物件を増やすならBSを毎年比較する
例えば、
1期目
現預金500万円
不動産2,000万円
借入1,500万円
純資産500万円
3期目
現預金1,000万円
不動産5,000万円
借入3,500万円
純資産1,500万円
なら、
借入は2,000万円増えています。
しかし、
現預金。
不動産。
純資産。
も増えています。
一方、
現預金500万円。
↓
50万円。
借入1,500万円。
↓
5,000万円。
純資産500万円。
↓
▲200万円。
なら注意が必要です。
借入が増えたことより、その結果BSがどう変わったかを見る。
融資を使った資産拡大についてはこちら。
不動産投資で借入を増やすのは危険?融資を活用して資産を拡大する貸借対照表の考え方
▪️物件価値と残債も確認する
決算書上の数字だけでなく、
現在この物件はいくらくらいで売却できそうか。
残債はいくらか。
という視点も持っておきます。
例えば、
想定売却価格3,000万円。
残債1,500万円。
なのか、
想定売却価格3,000万円。
残債3,500万円。
なのか。
同じ家賃を生む物件でも財務状態は違います。
不動産の簿価と実際の価値についてはこちら。
不動産投資の決算書にある「不動産価格」は本当の資産価値?簿価・時価・銀行評価の違いを徹底解説
▪️法人を増やす前に今の法人を育てる
不動産投資が進むと、
「もう1社作った方が融資を受けやすいのでは?」
と考えることもあります。
複数法人を利用する方法自体はあります。
しかし、
既存法人が赤字。
現預金が少ない。
純資産が弱い。
という状態で、新しい法人を次々に作れば必ず解決するわけではありません。
まず、
今の法人で利益を出し、信用を積み上げられる状態を作る。
この視点も重要です。
▪️最終的には法人単体で評価される状態を目指す
設立直後は代表者個人の属性や資産背景が重視されるケースがあります。
しかし長期的には、
法人に家賃売上がある。
毎期利益が出ている。
現預金がある。
純資産が厚い。
返済実績がある。
収益不動産がある。
という状態を作っていきたいところです。
つまり、
「代表者が強いから貸せる法人」から「会社そのものにも返済力がある法人」へ育てていく。
これが一つの方向性になります。
▪️不動産投資の新設法人は焦らず育てる
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
新設法人で最初から大きな融資を受けられなくても、それだけで失敗ではありません。
小さな収益物件から始める。
家賃売上を作る。
利益を残す。
現預金を増やす。
返済実績を作る。
純資産を厚くする。
そして次の融資へ進む。
この流れを繰り返すことで、法人の財務基盤を少しずつ育てることができます。
不動産投資について詳しく確認したい方はこちら。
▪️築古物件で実績を作るなら修繕まで計算する
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
低価格の築古戸建などは、新設法人でも検討しやすい場合があります。
しかし、
購入価格300万円。
だから300万円で始められる。
とは限りません。
水回り。
給湯器。
屋根。
外壁。
内装。
エアコン。
などに費用がかかる可能性があります。
購入費と修繕費を合わせても十分な利益を確保できるか確認することが重要です。
リフォームについて詳しく確認したい方はこちら。
▪️収益性の低い物件を持ち続けない
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新設法人の実績を作るために取得した物件でも、
長期空室。
大規模修繕。
家賃下落。
管理負担。
などによって収益性が悪化することがあります。
その場合、
保有。
リフォーム。
売却。
などを比較します。
「最初に買った物件だから持ち続ける」必要はありません。
空き家・訳あり不動産の売却を検討している方はこちら。
▪️資産形成は法人の大きさだけで判断しない
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総資産1億円。
借入9,500万円。
現預金100万円。
純資産がほとんどない。
という法人と、
総資産5,000万円。
借入2,500万円。
現預金1,000万円。
利益も出ている。
という法人。
単純に総資産だけでは比較できません。
重要なのは、
資産・負債・現預金・利益・純資産のバランスです。
資産形成について詳しく確認したい方はこちら。
▪️よくある質問
Q. 新設法人では融資を受けられませんか?
新設法人だから一律に融資を受けられないわけではありません。
実際に未決算の新設法人でも、代表者の資産背景、事業計画、購入物件の収益性や担保などを踏まえて融資された事例があります。金融機関によって審査方針は異なります。
Q. 何期決算すれば融資を受けやすくなりますか?
一律に「○期あれば大丈夫」とは言えません。
決算実績が増えることで金融機関が確認できる情報は増えますが、赤字、現預金不足、債務超過などであれば年数だけで評価が良くなるとは限りません。
Q. 最初は現金で戸建を買うのもありですか?
選択肢の一つです。
ただし実績作りだけを目的に収益性の低い物件を買うのではなく、修繕費、賃貸需要、家賃、売却可能性などを確認する必要があります。
Q. 株式会社と合同会社では融資に大きな差がありますか?
法人形態だけで融資の可否が決まるわけではありません。決算内容や代表者の属性など、複数の要素が審査材料になります。
Q. 利益と現預金ならどちらを優先すべきですか?
どちらか一方だけを見るものではありません。
利益を出して純資産を育てながら、修繕・税金・空室などに耐えられる現預金を確保することが重要です。
Q. 物件を早く増やした方が銀行評価は上がりますか?
物件数だけで評価が決まるわけではありません。
購入後に利益が減り、現預金がなくなり、借入だけが増えるのであれば、財務が強くなったとは言えません。
▪️まとめ|新設法人は「信用を積み上げる会社」に育てる
不動産投資のために法人を設立しても、その瞬間に信用が完成するわけではありません。
むしろ、
法人設立はスタートです。
最初は小さくても、
家賃売上を作る。
利益を出す。
現預金を残す。
約定通り返済する。
決算を重ねる。
利益剰余金を積み上げる。
純資産を厚くする。
これを繰り返します。
そして次の融資相談では、
「前回より会社が強くなりました」
と数字で説明できる状態を作る。
新設法人を育てるうえで重要なのは、
何棟持っているか。
何億円借りているか。
だけではありません。
その法人が毎年どれだけ強くなっているか。
ここです。
1期目より2期目。
2期目より3期目。
売上が増える。
利益が増える。
現金が増える。
残債が減る。
純資産が増える。
この積み重ねができれば、法人には少しずつ実績が蓄積されていきます。
焦って借入を増やすのではなく、
利益と現金を残しながら、次の融資につながる会社を作る。
不動産投資の新設法人では、この考え方を長期的に持つことが重要です。
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