不動産投資の決算書を銀行にどう説明する?融資を受けやすい経営者になるためのポイント
- MIRAIU

- 8月10日
- 読了時間: 16分
不動産投資の決算書を銀行にどう説明する?融資を受けやすい経営者になるためのポイント
不動産投資で物件を増やしていくなら、決算書を作るだけでは十分ではありません。
重要なのは、
「この決算書を自分で説明できるか」
です。
金融機関との融資面談で、
「詳しいことは税理士に任せています」
「減価償却がいくらなのか分かりません」
「なぜ赤字になったのか分かりません」
という状態では、金融機関側も次の融資判断をしにくくなります。
税務申告を税理士へ依頼していたとしても、会社を経営しているのは経営者本人です。
特に融資を活用して物件を増やしたい大家にとって、決算書を説明する能力は融資戦略の一部と考えておきたいところです。
▪️銀行は決算書から何を見ている?
金融機関によって審査基準は異なりますが、決算書を見る際には単純な黒字・赤字だけではなく、
・売上高
・営業利益
・経常利益
・当期純利益
・現預金
・借入金
・純資産
・減価償却費
・返済能力
・保有不動産の状況
など、複数の数字を確認します。
不動産賃貸業の場合は、借入金が大きくなりやすいため、貸借対照表の状態も非常に重要です。
資産以上に負債が膨らみ、純資産がマイナスになると「債務超過」になります。
前の記事では、この債務超過と融資の関係について詳しく解説しています。
不動産投資で債務超過になると融資はどうなる?銀行が見る決算書のポイント
▪️「赤字です」で終わらせない
例えば決算書に100万円の赤字が出ていたとします。
これだけなら、
「100万円の赤字」
です。
しかし中身を見ると、
・減価償却費が150万円あった
・物件取得に伴う一時的な費用があった
・大規模修繕を実施した
・期中に物件を取得したため家賃収入が通年ではなかった
という可能性があります。
同じ100万円の赤字でも、なぜ赤字になったのかによって意味は大きく変わります。
だからこそ経営者自身が、
「今期はこの費用が発生しました」
「来期にはこの費用は発生しません」
「新しく取得した物件の家賃収入が次期から通年で入ります」
と説明できることが重要です。
▪️減価償却は必ず理解しておく
不動産賃貸業の決算では、減価償却費が利益を大きく左右することがあります。
減価償却費は費用として計上されますが、その年度に同額の現金が出ていくわけではありません。
そのため、
会計上の利益
と
実際のキャッシュフロー
に差が生まれることがあります。
銀行へ決算内容を説明するときも、
「当期純利益はいくらか」
だけではなく、
「減価償却費はいくら計上されているのか」
まで把握しておきたいところです。
地方不動産投資の考え方については、こちらでも詳しくまとめています。
地方不動産投資完全ガイド
▪️借入金は「残高」だけではなく返済状況を見る
不動産投資では数千万円、規模が大きくなれば億単位の借入になることもあります。
借入金が多いこと自体が、直ちに悪いわけではありません。
重要なのは、
その借入によってどれだけ収益を生み出しているか
です。
例えば3,000万円を借りていても、賃貸物件から安定した家賃収入があり、元金返済後にもキャッシュが残っているのであれば意味は大きく変わります。
そして毎月元金を返済すれば、借入残高は少しずつ減っていきます。
家賃を受け取る
↓
返済する
↓
借入元金が減る
↓
長期的に実質的な資産形成が進む
不動産投資が長期戦と言われる理由の一つです。
▪️次期の改善策まで説明する
銀行との面談で重要なのは、過去の数字だけではありません。
例えば債務超過だったとしても、
「現在の純資産はマイナスですが、次期は家賃収入が通年で入ります」
「空室を埋めることで年間売上を○万円増やします」
「一時的な取得費用が減少します」
など、次期にどう改善するのかまで説明できれば、話の内容は変わってきます。
不動産賃貸業で非常に分かりやすい改善ルートは、
家賃売上を伸ばす
↓
利益を出す
↓
利益剰余金を積み上げる
↓
債務超過を解消する
という流れです。
決算書は過去の結果ですが、融資は未来に対して行われます。
だからこそ、
「現在どうなっているか+これからどうするか」
をセットで説明できる状態を作っておくことが重要です。
▪️税理士任せにしすぎない
もちろん税務や会計の専門的な判断は、税理士へ確認することが大切です。
しかし、
「年間家賃はいくらか」
「借入残高はいくらか」
「年間返済額はいくらか」
「減価償却費はいくらか」
「純資産はいくらか」
「今期なぜ利益または損失が出たのか」
といった基本的な数字は、経営者自身でも把握しておきたいところです。
物件数が増えるほど、この差は大きくなります。
▪️銀行に説明できる決算書を作る
融資を受けて不動産を増やしていくなら、目標は単に「黒字にすること」ではありません。
銀行に説明できる会社を作ること。
赤字なら赤字になった理由。
借入が増えたなら増えた理由。
物件を購入したなら、その物件によって増える家賃。
修繕したなら、その修繕によって改善する収益性。
そして次期にどう数字を改善するのか。
これらを自分の言葉で説明できるようになると、決算書は単なる税務申告の書類ではなく、次の融資につなげる経営資料になります。
不動産投資で規模拡大を目指すなら、
「物件を買う力」と同時に「決算書を読む力」を身につける。
この2つを意識しておきましょう。
▪️銀行面談では何から説明する?
決算書を持って金融機関へ行ったとき、
最初から細かい勘定科目を一つずつ説明する必要はありません。
まずは、
会社全体の状況を簡潔に説明すること
が重要です。
例えば、
今期の家賃収入。
当期利益または損失。
所有物件数。
入居状況。
借入残高。
現預金。
純資産。
このあたりを自分で把握しておきます。
そのうえで、前年から大きく変化した数字があれば理由を説明します。
▪️赤字なら「赤字の理由」から説明する
例えば当期純損失が100万円だったとします。
そこで、
「赤字になってしまいました」
だけで終わらせるのではなく、
なぜ赤字になったのかを分解します。
例えば、
減価償却費150万円。
物件取得に伴う一時的な費用80万円。
大規模修繕100万円。
そして取得した物件の家賃は期中からしか入っていない。
こうした事情があるなら、
通常の賃貸経営そのものが赤字なのか、一時的な費用による赤字なのか
を分けて説明できます。
もちろん、実際の決算内容と一致する説明をすることが前提です。
▪️次に「来期どうなるか」を説明する
過去の決算は変えられません。
しかし、銀行が融資を検討するときには、
今後返済できるのか
も重要になります。
そこで、
来期の家賃収入見込み。
現在の入居率。
新しく入居した部屋。
修繕完了後の募集状況。
一時的な費用がなくなるのか。
年間返済額。
などを整理します。
例えば、
前期家賃収入500万円。
↓
新規取得物件が通年稼働。
↓
来期家賃収入700万円見込み。
という状態なら、その根拠を説明できるようにしておきます。
▪️「予定です」だけではなく根拠を準備する
銀行へ、
「来年は売上が増えます」
と言うだけでは弱いでしょう。
例えば、
現在の賃貸借契約。
レントロール。
入居率。
家賃一覧。
新規契約。
管理会社の資料。
など、客観的に確認できる資料があれば説明しやすくなります。
不動産賃貸業の場合、
入居状況がそのまま将来の売上予測につながりやすい
という特徴があります。
だから物件数が増えてきたら、レントロールを常に最新状態にしておきたいところです。
▪️物件ごとの収益を説明できるようにする
法人全体では黒字でも、
実際には、
A物件 年間+200万円。
B物件 年間+150万円。
C物件 年間▲50万円。
という可能性があります。
この場合、
C物件をどうするのか。
家賃を改善するのか。
空室を埋めるのか。
修繕するのか。
売却するのか。
を考える必要があります。
金融機関との面談以前に、
経営者自身が物件別収益を把握する
ことが重要です。
▪️銀行に持っていきたい資料
決算書だけでは、賃貸経営の現在地が分かりにくい場合があります。
そこで、
・直近の決算書
・確定申告書
・所有物件一覧
・レントロール
・借入一覧
・金融機関別残高
・毎月返済額
・入居状況
・大規模修繕履歴
・今後の修繕予定
・売却予定
・次に購入したい物件の資料
などを整理しておくと便利です。
特に、
「物件一覧+家賃+残債+返済額」
を一枚にまとめておくと、自分自身の経営判断にも使えます。
▪️銀行から「借入が多いですね」と言われたら?
不動産賃貸業では、物件を増やすほど借入金も大きくなることがあります。
そこで重要なのは、
借入金が多いか少ないか。
だけではありません。
その借入によって、
いくらの家賃が入っているのか。
年間返済はいくらなのか。
元金はどれだけ減っているのか。
返済後に現金はいくら残るのか。
を把握することです。
借金3,000万円
という数字だけでは、良い借金か悪い借金か判断できません。
3,000万円を借りて取得した不動産が安定した収益を生み、返済を続けられているなら、その事実を数字で説明します。
▪️元金返済と純資産は分けて考える
ここは非常に重要です。
ローンの元金を返済すると、
借入金という負債は減ります。
しかし返済に現預金を使えば、同時に資産も減ります。
そのため、
元金返済だけで会計上の純資産が増えるわけではありません。
一方、
利益を出せば利益剰余金を積み上げる方向に働きます。
つまり、債務超過を改善する基本的な流れは、
家賃売上を伸ばす
↓
利益を出す
↓
利益剰余金を積み上げる
↓
純資産をプラスへ戻す
です。
そして同時に、
家賃からローンを返済する
↓
借入元金が減る
↓
物件価値を維持できれば実質的な資産余力が大きくなる
という流れもあります。
この2つを混同しないことが重要です。
▪️債務超過なら最初の目標を明確にする
例えば、
純資産▲100万円。
という会社なら、
いきなり、
「次に1億円の物件を買う」
だけを考えるのではなく、
まず純資産をプラスに戻す
という目標も考えられます。
年間150万円の純利益を出せれば、他の変動を無視した単純計算では、
純資産▲100万円。
↓
純利益+150万円。
↓
純資産+50万円。
となります。
さらに翌期も利益を積み上げれば、
+200万円。
+300万円。
と純資産を厚くしていくことができます。
一発で財務を改善するのではなく、毎期利益を積み上げる。
これが基本です。
▪️物件を増やすタイミングも決算書から考える
良い物件が出た。
融資も受けられそう。
だから買う。
もちろん、それも不動産投資です。
しかし規模が大きくなるほど、
「今買えるか」だけでなく「今買うべきか」
を考える必要があります。
例えば、
現在債務超過。
現預金も少ない。
大規模修繕が控えている。
それでもフルローンで次の物件を購入する。
となれば、会社全体のリスクは大きくなる可能性があります。
反対に、
今期は物件を増やさない。
既存物件を満室にする。
利益を200万円残す。
現預金を増やす。
借入元金を減らす。
債務超過を解消する。
そして次期に物件を買う。
という戦略もあります。
▪️「買わない1年」が規模拡大につながることもある
不動産投資では、
毎年買わないと成長していない。
と思ってしまうことがあります。
しかし、
財務を整えるために買わない
という判断も立派な投資戦略です。
1年間、
家賃を積み上げる。
空室を埋める。
利益を残す。
現金を増やす。
借入を返す。
その結果、
決算書が強くなる。
そして翌年、より良い条件で融資を受けられる可能性が出てくる。
短期的には物件数が増えていなくても、
次の拡大に向けた土台を作っている
と考えることができます。
▪️逆に財務が強いなら次の物件取得を検討する
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決算書を確認して、
利益が出ている。
現預金もある。
純資産も積み上がっている。
既存物件も安定稼働。
借入返済も問題ない。
という状態なら、次の物件取得を検討するタイミングかもしれません。
ただし、
利回り。
購入価格。
修繕費。
融資条件。
空室率。
出口。
まで確認して判断することが重要です。
▶ 不動産投資について詳しく確認する
▪️築古物件を買うなら修繕費も銀行へ説明できるようにする
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例えば500万円の築古戸建を購入して、
リフォーム200万円。
という場合、
実質的な投資額は物件価格だけではありません。
なぜ200万円のリフォームが必要なのか。
リフォーム後の家賃はいくらか。
何年程度で投資額を回収できそうなのか。
まで考える必要があります。
銀行へ物件購入の相談をするときにも、
「安いから買います」ではなく、「この投資によってこれだけ収益が増えます」
と説明できる状態を目指しましょう。
▶ 不動産・中古住宅のリフォーム費用を確認する
▪️銀行とは融資を受けるときだけ付き合わない
物件を買いたい。
↓
銀行へ行く。
↓
融資をお願いする。
だけではなく、
普段から会社の状況を共有しておく方法もあります。
決算が終わったら決算書を持っていく。
新しい物件を取得したら報告する。
満室になったら報告する。
大きな修繕をしたら説明する。
今後の購入方針を相談する。
こうした積み重ねによって、
金融機関側にも会社の変化を理解してもらいやすくなります。
▪️金融機関ごとの考え方の違いも理解する
すべての銀行が同じ評価をするわけではありません。
ある金融機関では難しい。
別の金融機関では検討できる。
ということもあります。
物件評価。
融資期間。
エリア。
築年数。
法人歴。
代表者属性。
自己資金。
など、重視するポイントは金融機関によって異なります。
だから、
一つの金融機関の評価=自分の会社の絶対的な評価
とは限りません。
ただし、どの金融機関へ相談する場合でも、
自社の数字を説明できることは重要です。
▪️決算書を読めると物件を見る目も変わる
決算書を勉強すると、
単に銀行対策ができるだけではありません。
例えば物件を見るときも、
表面利回り15%。
だけではなく、
減価償却はいくらか。
年間修繕はいくらか。
借入返済はいくらか。
税引後利益はいくらか。
現金はいくら残るか。
BSはどう変化するか。
まで考えられるようになります。
つまり、
決算書を読む力=不動産投資そのものを判断する力
にもつながります。
▪️資産形成では「総資産」だけを見ない
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不動産を1億円持っている。
というと大きな資産に見えます。
しかし、
借入1億2,000万円。
なら、単純に1億円の純資産があるわけではありません。
重要なのは、
資産。
負債。
純資産。
現預金。
キャッシュフロー。
を分けて見ることです。
資産形成全体を考えるときも、
「いくら持っているか」だけではなく、「差し引きいくらあるのか」
という視点を持っておきましょう。
▶ 資産形成について詳しく確認する
▪️銀行面談前のチェックリスト
金融機関へ相談する前に、
・年間家賃収入はいくらか
・営業利益はいくらか
・経常利益はいくらか
・当期純利益はいくらか
・減価償却費はいくらか
・現預金はいくらか
・借入残高はいくらか
・年間元本返済はいくらか
・純資産はいくらか
・債務超過になっていないか
・物件ごとの入居率
・物件ごとの年間収益
・大規模修繕予定
・来期の売上見込み
・次に購入したい物件
を確認してみましょう。
全部暗記する必要はありません。
資料を見ながらでも、
「この数字がなぜこうなっているのか」
を説明できれば、決算書への理解はかなり深まります。
▪️よくある質問
Q. 決算書は税理士が説明してくれるのでは?
税務や会計の専門的な内容について税理士へ相談することは重要です。
一方で、経営者自身も家賃収入、利益、借入金、現預金、純資産など基本的な数字は把握しておきたいところです。
Q. 赤字決算だと銀行へ行かない方がいいですか?
必ずしもそうとは限りません。
赤字の理由、一時的な費用、減価償却、現在の入居状況、翌期の改善見込みなどを整理しておくことが重要です。
Q. 債務超過なら融資は無理ですか?
一概にはいえません。
金融機関によって判断は異なり、物件収益、実勢価値、現預金、返済実績、代表者の状況など複数の要素が関係します。
債務超過についてはこちらで詳しく解説しています。
不動産投資で債務超過になると融資はどうなる?貸借対照表(BS)の見方と改善方法を徹底解説
Q. ローン返済が進めば純資産は増えますか?
元金返済では負債が減る一方、返済に現預金を使えば資産も減ります。
そのため、元金返済だけで会計上の純資産が同額増えるわけではありません。
純資産を積み上げる基本の一つは、利益を出して利益剰余金を増やすことです。
Q. 銀行に一番説明した方がいい数字は何ですか?
一つだけではありません。
利益、現預金、純資産、借入残高、減価償却、家賃収入、入居率などを総合的に把握し、その変化の理由を説明できるようにしておきましょう。
Q. 物件を増やしたいなら毎年購入した方がいいですか?
必ずしもそうではありません。
財務状態によっては、一度物件取得を止め、既存物件の収益改善、現金確保、利益積み上げを優先した方が次の融資につながる場合もあります。
▪️まとめ|決算書は「税理士が作る書類」から「経営者が使う資料」へ
不動産投資を始めたばかりの頃は、
物件価格。
利回り。
家賃。
融資額。
に目が向きます。
しかし物件が増えてくると、
利益。
減価償却。
借入残高。
現預金。
純資産。
債務超過。
といった会社全体の数字が重要になります。
そして融資を使ってさらに規模を拡大したいなら、
決算書を提出するだけではなく、自分で説明できるようになること。
が重要です。
赤字なら、
なぜ赤字なのか。
債務超過なら、
なぜ債務超過になったのか。
借入が増えたなら、
その借入によっていくら家賃が増えたのか。
そして、
来期どう改善するのか。
ここまで自分の言葉で説明できるようにします。
不動産賃貸業の財務改善は、一気に行うものとは限りません。
家賃売上を伸ばす。
↓
利益を出す。
↓
利益剰余金を積み上げる。
↓
純資産を増やす。
↓
借入元金も返済していく。
↓
次の融資につながる会社を作る。
この積み重ねです。
決算書は、
「去年どうだったかを見る紙」ではありません。
次に何をするべきか。
次の物件を買っていいのか。
今は利益を積むべきなのか。
どの物件を改善するべきなのか。
それを判断するための、
不動産経営の地図
として使っていきましょう。
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