不動産投資で融資が続く決算書とは?銀行が見るポイントと財務改善の考え方を徹底解説
- MIRAIU

- 8月10日
- 読了時間: 23分
不動産投資で物件を増やしていくためには、何が一番重要なのでしょうか。
高利回りの物件を探すこと。
安く買うこと。
満室にすること。
もちろん、どれも重要です。
しかし、融資を利用して2棟目、3棟目、5棟目と規模を拡大していくのであれば、もう一つ避けて通れないものがあります。
それが、
「決算書」
です。
最初の物件を購入するときは、年収や勤務先、自己資金など、個人の属性が融資審査に大きく影響する場合があります。
しかし、法人で不動産賃貸業を続けて決算を重ねていけば、金融機関が確認できる情報も増えていきます。
どれだけ家賃収入があるのか。
どれだけ借入金があるのか。
現預金はいくら残っているのか。
利益は出ているのか。
純資産は積み上がっているのか。
所有している不動産は安定して収益を生んでいるのか。
こうした経営状況が数字として表れるのが決算書です。
不動産投資を長期的に拡大したいのであれば、
「今回の物件を買うために融資を受ける」
だけではなく、
「今回の物件を買ったあとも次の融資につながる経営をする」
という視点が重要になります。
この記事では、不動産賃貸業の決算書について、金融機関がどのような部分を見るのか、そして物件を増やしていくためにどのような財務状態を意識すべきなのかを分かりやすく解説します。
▪️結論|不動産投資は「買った後の決算」が次の融資につながる
不動産投資を始めたばかりのころは、
「この物件に融資が出るのか?」
ということばかり考えがちです。
しかし、規模を拡大していくなら、もう一歩先まで考える必要があります。
それが、
「この物件を買ったあと、自分の財務状態はどうなるのか?」
という視点です。
例えば、
利回りが高い。
価格も安い。
満室稼働している。
一見すると魅力的な物件でも、
多額の借入が必要。
購入後すぐに大規模修繕が必要。
購入によって現預金がほとんどなくなる。
法人全体の借入負担が急激に大きくなる。
といった状態になれば、次の融資に影響する可能性があります。
反対に、
安定した家賃収入。
無理のない返済。
十分な現預金。
利益の蓄積。
純資産の増加。
などを積み重ねていけば、法人としての財務基盤を強くしていくことができます。
つまり不動産投資では、
「今、この物件を買えるか」
だけではなく、
「買ったあとも金融機関から評価される経営を続けられるか」
まで考えることが重要です。
▪️そもそも決算書とは?
決算書と聞くと難しく感じるかもしれません。
しかし、不動産賃貸業を経営するのであれば、最低限の仕組みは理解しておきたいところです。
特に重要なのが、
・貸借対照表(BS)
・損益計算書(PL)
です。
簡単にいえば、
貸借対照表は、
「会社が現在どのような資産と負債を持っているのか」
を見るものです。
損益計算書は、
「一定期間にどれだけ売上があり、どれだけ費用を使い、最終的にどれだけ利益が出たのか」
を見るものです。
不動産賃貸業であれば、
家賃収入。
管理費。
修繕費。
固定資産税など。
保険料。
借入金利息。
減価償却費。
その他の経費。
などが数字として表れてきます。
決算書を見ることで、
「この会社は儲かっているのか」
だけではなく、
「借入金に対して資産は十分あるのか」
「現金は残っているのか」
「返済を続けられそうなのか」
「利益を積み上げられているのか」
といったことまで見えてきます。
▪️PLだけ見ていても不十分
決算書を見ると、
黒字。
赤字。
に目が行きがちです。
もちろん利益は重要です。
しかし、不動産賃貸業では、
「黒字だから財務状態が強い」
とは限りません。
例えば、
毎年利益は出ている。
しかし借入金が非常に多い。
現預金がほとんどない。
純資産も少ない。
このような状態であれば、金融機関が慎重に判断する可能性があります。
反対に、一時的な費用によって利益が小さくなった年でも、
十分な資産がある。
現預金がある。
過去から純資産を積み上げている。
家賃収入が安定している。
一時的な費用の理由を説明できる。
といった状況なら、単純な赤字・黒字だけではなく、その背景まで含めて判断される場合があります。
だからこそ、
PLだけ。
BSだけ。
ではなく、両方を見る必要があります。
▪️銀行が確認するポイント① 純資産
貸借対照表は、大きく、
資産。
負債。
純資産。
に分かれています。
非常に簡単にすると、
資産-負債=純資産
です。
例えば、
資産5,000万円。
負債4,000万円。
であれば、差額は1,000万円です。
一方、
資産4,000万円。
負債5,000万円。
となれば、純資産はマイナスになります。
会計上、純資産がマイナスになっている状態を「債務超過」といいます。
金融機関が融資判断をするときには、利益だけでなく、このような財務状態も確認します。
不動産投資では多額の融資を利用するケースが多いため、
「借りられるだけ借りればいい」
という考え方だけでは危険です。
重要なのは、
借入によって取得した資産。
現在残っている借入金。
積み上がった利益。
現預金。
法人全体の収益力。
などを含めたバランスです。
▪️なぜ債務超過に注意する必要があるのか
債務超過になったからといって、必ず融資を受けられなくなると一律に決まっているわけではありません。
金融機関。
融資商品。
所有物件。
経営状況。
代表者の属性。
今後の事業計画。
などによって判断は異なります。
しかし、
「資産より負債が大きい」
という状態は、金融機関が財務面を確認するときに重要なポイントの一つになります。
不動産賃貸業の場合は特に、
物件の購入価格。
金融機関が見る不動産評価。
借入金額。
減価償却。
利益の蓄積。
現預金。
などが絡み合います。
物件を増やすことだけを優先し、法人全体のBSを確認していなければ、
「所有物件は増えたのに、次の融資が難しくなった」
という状況になる可能性もあります。
そのため物件を購入するときには、
購入後の年間収支だけではなく、
「購入後の貸借対照表はどうなるのか?」
という視点も持っておきたいところです。
▪️銀行が確認するポイント② 現預金
不動産賃貸業では、手元の現預金も重要です。
なぜなら、不動産経営では突然大きなお金が必要になることがあるからです。
例えば、
給湯器が壊れた。
エアコンが故障した。
屋根から雨漏りした。
退去が重なった。
外壁工事が必要になった。
給排水設備に問題が発生した。
こうしたことは、長期間賃貸経営をしていれば起こる可能性があります。
帳簿上は利益が出ていても、
手元資金がほとんどない。
となれば、突発的な支出への対応力は低くなります。
そのため、
「頭金を多く入れれば借入が減るから、自己資金を全部使おう」
という判断にも注意が必要です。
物件購入後にどれだけ現金を残せるのか。
突発的な修繕へ対応できるのか。
空室が出ても返済を続けられるのか。
次の物件取得に必要な資金を準備できるのか。
こうした部分まで考える必要があります。
▪️自己資金は「使えば使うほど良い」とは限らない
例えば、
自己資金1,000万円。
物件購入時に900万円を使う。
手元には100万円しか残らない。
この状態で高額な修繕が発生すれば、資金繰りが一気に苦しくなる可能性があります。
一方で、融資条件とのバランスを取りながら500万円を使い、
500万円を手元に残す。
という考え方もあります。
もちろん、どちらが正しいかは、
物件価格。
金利。
融資期間。
毎月の返済額。
法人の財務状態。
今後の修繕予定。
次の物件購入計画。
などによって変わります。
重要なのは、
「借金を少なくすること」
だけを目的にしないことです。
不動産賃貸業では、
借入残高。
返済額。
現預金。
家賃収入。
修繕予定。
今後の投資計画。
をまとめて考える必要があります。
▪️銀行が確認するポイント③ 利益
当然ながら利益も重要です。
法人として、
毎年安定して利益を出している。
利益を会社に残している。
という状態が続けば、純資産を積み上げる要因になります。
一方で、
毎年大きな赤字。
利益剰余金も減少。
現預金も減少。
という状態が続けば、財務状態は弱くなっていきます。
不動産投資では、
「できるだけ税金を払いたくない」
と考えることもあるでしょう。
しかし、
税負担を抑えること。
融資を受けやすい財務状態を目指すこと。
この2つが必ず同じ方向になるとは限りません。
▪️節税と融資は分けて考える必要がある
例えば、
可能な限り経費を計上する。
利益をほとんど残さない。
税負担を小さくする。
という考え方があります。
税金だけを見れば魅力的に感じるかもしれません。
しかし、融資を受けて物件を増やしていきたいのであれば、
「この会社には継続的に利益を生み出す力があるのか」
という視点も重要になります。
反対に、
利益を出す。
必要な税金を支払う。
利益を会社に残す。
純資産を積み上げる。
という経営を続けることで、財務基盤を強くしていく考え方もあります。
つまり、
「税金をいくら減らせるか」
だけで決算を考えるのではなく、
「今後どのような会社にしたいのか」
まで含めて考えることが重要です。
▪️銀行が確認するポイント④ キャッシュフロー
不動産投資では、
利益が出ていること。
現金が増えていること。
この2つは同じではありません。
例えば、減価償却費は会計上の費用ですが、その年に同額の現金が出ていくわけではありません。
一方、借入金の元本返済では現金が出ていきますが、元本部分は原則として費用ではありません。
そのため、
帳簿上は黒字なのに現金が増えない。
ということもあります。
逆に、
利益はそれほど大きくない。
しかしキャッシュフローは確保できている。
という場合もあります。
不動産賃貸業では、
PL上の利益。
税引後利益。
減価償却費。
借入金の元本返済。
実際の現金残高。
を分けて考えることが重要です。
▪️「家賃-ローン返済額」だけでは本当の利益は分からない
例えば、
家賃収入50万円。
ローン返済30万円。
だから、
「毎月20万円儲かっている」
とは限りません。
ここから、
管理費。
固定資産税など。
保険。
修繕。
共用部の費用。
空室損。
入居募集費用。
税金。
などが発生する場合があります。
さらに将来的には、
屋根。
外壁。
給湯設備。
水回り。
エアコン。
などの大きな修繕が必要になる可能性もあります。
だからこそ、毎月の通帳残高だけを見るのではなく、
決算書を通して、
「1年間で本当にどれだけ利益が残ったのか」
「現金はいくら増えたのか」
「借入金はいくら減ったのか」
を確認することが重要になります。
▪️銀行が確認するポイント⑤ 借入金と返済能力
不動産投資では、借入金そのものが悪いわけではありません。
融資を活用することで、自己資金だけでは購入できない不動産を取得できることは、不動産投資の大きな特徴です。
重要なのは、
「いくら借りているのか」
だけではなく、
「その借入を事業収益から返していけるのか」
です。
例えば、
満室なら問題なく返済できる。
しかし2室空いた瞬間に赤字になる。
という物件。
一方で、
多少の空室が発生しても返済を続けられる。
修繕費が発生しても一定の現金が残る。
という物件。
同じ借入金額でも安全性は違います。
金利上昇。
修繕。
退去。
家賃下落。
長期空室。
などが発生しても返済を続けられる余力があるか。
ここまで考えて物件を選ぶことが、長期的な融資戦略につながります。
▪️次の物件を買う前に「法人全体」で見る
2棟目以降で特に重要になるのが、
一つの物件だけで判断しないことです。
A物件は月10万円プラス。
B物件は月5万円プラス。
C物件は月3万円プラス。
だから全部問題ない。
とは限りません。
法人全体で、
借入総額。
年間返済額。
現預金。
純資産。
年間利益。
今後の修繕。
物件の収益力。
空室率。
などを確認する必要があります。
規模が大きくなるほど、
「良い物件を買う」
という投資家の視点だけではなく、
「会社全体をどう強くするのか」
という経営者の視点が重要になってきます。
▪️不動産投資を本格的に学びたい場合
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不動産投資では、
物件選び。
融資。
収支計算。
賃貸経営。
リフォーム。
出口戦略。
など、購入前後で確認すべきことが数多くあります。
特にこれから不動産投資を始める場合は、
「高利回りだから」
「価格が安いから」
だけで判断するのではなく、借入とのバランスや長期的な資産形成まで考えることが重要です。
不動産投資について情報収集したい方は、複数の選択肢を比較しながら自分に合った方法を検討してみましょう。
▶ 不動産投資について詳しく確認する
▪️銀行が確認するポイント⑥ 減価償却
不動産投資の決算を理解するうえで、避けて通れないのが減価償却です。
建物などの固定資産は、購入した年に取得費の全額を費用にするのではなく、税務上定められた考え方に基づいて複数年にわたって費用化していくのが基本です。
この毎年計上される費用が減価償却費です。
不動産投資では、
物件価格。
土地と建物の割合。
建物の構造。
築年数。
取得時点の状況。
などによって減価償却の金額が大きく変わる場合があります。
そして減価償却費が変われば、
利益。
法人税など。
貸借対照表上の建物簿価。
純資産の積み上がり。
にも影響します。
だから減価償却は、
「税金を減らすためのもの」
だけではありません。
長期的な不動産経営と決算書を考えるうえで重要な数字です。
▪️減価償却を大きく取れば得とは限らない
減価償却費が大きければ、その年の課税所得を抑える方向に働くことがあります。
そのため、
「できるだけ減価償却を大きく取りたい」
と考える人もいるでしょう。
しかし、融資を利用して規模を拡大していくのであれば、税金だけで判断しないことが重要です。
減価償却費が大きくなれば、会計上の利益は小さくなります。
また、減価償却によって建物の帳簿価額も減少していきます。
その結果として、法人全体の財務状態にも影響します。
だからこそ、
今年の税金。
来年の融資。
5年後の財務状態。
将来の売却。
まで含めて考える必要があります。
▪️中古物件の減価償却年数は自己判断で決めない
築古不動産では、減価償却期間についてさまざまな情報を目にします。
しかし、
「融資を受けたいから償却期間を長くする」
「利益を減らしたいから短くする」
というように、好きな期間を自由に設定できるわけではありません。
中古資産の耐用年数については税務上のルールがあり、個別事情によって取り扱いの検討が必要になる場合もあります。
税務上認められる処理と、
銀行に良く見せるための処理。
を混同しないことが大切です。
不動産の取得価格が大きくなれば、減価償却による影響も大きくなる可能性があります。
税理士などの専門家と相談しながら、適切な会計・税務処理を行いましょう。
▪️銀行が確認するポイント⑦ 修繕費
不動産賃貸業では修繕費も大きな支出になります。
例えば、
外壁塗装。
屋根修繕。
給湯器交換。
エアコン交換。
水回り修繕。
退去後の原状回復。
などです。
小規模な修繕が続く年もあれば、大規模修繕によって一時的に大きな費用が発生する年もあります。
そのため決算書を見ると、
前年は黒字。
今年は大きな修繕があり利益が減少。
翌年は再び黒字。
ということもあります。
重要なのは、
「赤字だからダメ」
と単純に考えないことです。
▪️一時的な赤字なら「なぜ赤字になったのか」を説明できるようにする
例えば、
通常なら年間300万円の利益が出る法人。
しかし今年は外壁・屋根などに400万円の支出が発生した。
結果として赤字になった。
この場合、
毎年の賃貸経営そのものが赤字なのか。
将来の維持管理のために一時的な支出が発生したのか。
では意味が違います。
金融機関へ決算書を提出するときも、
「今年は赤字でした」
だけで終わるのではなく、
何が原因だったのか。
来期も発生する費用なのか。
修繕によって物件がどう改善したのか。
今後の収益はどうなる見込みなのか。
を説明できるようにしておくことが重要です。
▪️銀行に良く見せるためだけに勘定科目を変えない
ここは非常に重要です。
例えば、大きな修繕によって利益が減ったからといって、
「経常利益を黒字に見せたい」
という理由だけで、本来とは異なる会計処理をするべきではありません。
修繕費に該当するのか。
資本的支出として資産計上する必要があるのか。
どの区分で表示するのが適切なのか。
については、取引の実態や会計・税務上の取り扱いに基づいて判断する必要があります。
決算書は銀行に見せる資料であると同時に、
会社の経営状態を正しく表す資料です。
融資対策を優先するあまり、不適切な処理をしてしまえば本末転倒です。
▪️修繕費は「使った金額」だけでなく今後の収益まで考える
不動産投資では、修繕費をできるだけ削れば良いわけでもありません。
例えば、
100万円をかけて空室をリフォーム。
↓
家賃5万円で入居。
↓
年間60万円の家賃収入。
というケースなら、修繕によって収益を回復できる可能性があります。
一方で、
500万円をかけて豪華にリフォーム。
↓
家賃は5,000円しか上がらない。
となれば、投資した資金を回収するまで長期間かかります。
重要なのは、
「修繕費を使ったか」
ではなく、
「その修繕によって収益力がどう変化したか」
です。
▪️賃貸物件の修繕・リフォーム費用を比較する
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築古物件を購入する場合、購入価格だけでなく修繕費まで含めた総投資額を確認することが重要です。
物件500万円。
リフォーム500万円。
なら、実質的な投資額は1,000万円規模になります。
反対に、必要な部分を見極めて修繕費を抑えられれば、キャッシュフローや手元資金を残しやすくなる可能性があります。
購入前や大規模修繕前には、工事費の目安を確認しながら収支を計算してみましょう。
▶ 不動産・中古住宅のリフォーム費用を確認する
▪️銀行が見ているのは決算書だけではない
融資では数字が重要です。
しかし、決算書だけで全てが決まるわけではありません。
金融機関によって審査基準は異なりますが、
代表者の経験。
過去の返済実績。
所有物件。
物件の収益力。
自己資金。
事業計画。
今後の方針。
など、さまざまな情報が判断材料になる可能性があります。
そして意外と重要なのが、
「経営者自身が会社の数字を理解しているか」
ということです。
▪️税理士に任せきりにしない
法人決算は税理士へ依頼している人も多いでしょう。
もちろん、専門的な税務処理を税理士へ依頼することには大きな意味があります。
しかし、
「全部税理士に任せています」
だけでは、不動産賃貸業の経営者として十分とはいえません。
少なくとも、
年間家賃収入。
年間利益。
現預金。
借入残高。
年間返済額。
純資産。
主要物件の収益状況。
大規模修繕。
くらいは、自分で説明できるようにしておきたいところです。
▪️自分の決算書を1分で説明できるようにする
例えば金融機関から、
「今年は利益が減っていますね」
と言われたとします。
そのとき、
「税理士に聞かないと分かりません」
ではなく、
「今年はA物件の外壁修繕があったため利益が減っています。ただし一時的な支出で、家賃収入自体は前年より増えています」
と説明できれば、数字の背景を伝えられます。
あるいは、
「借入金は増えていますが、B物件を取得したためです。取得後は満室で稼働しており、年間家賃収入も増加しています」
と説明する。
決算書の数字には理由があります。
経営者自身がその理由を理解することが重要です。
▪️融資を受け続けたいなら「決算前」ではなく日頃から考える
決算月になってから、
「銀行に良く見える決算書を作ろう」
と考えても遅い場合があります。
なぜなら、決算書は1年間の経営結果だからです。
物件購入。
借入。
修繕。
経費。
現金管理。
売却。
こうした日々の経営判断が最終的に決算書へ表れます。
だから、
「決算書を作る」
というより、
「良い決算につながる経営をする」
と考えた方が分かりやすいでしょう。
▪️融資を意識するなら決算前に確認したいこと
決算が近づいてきたら、少なくとも次のような項目は確認しておきましょう。
・年間家賃収入はいくらか
・営業上の利益はどうなっているか
・現預金はいくらあるか
・借入残高はいくらか
・純資産はどうなっているか
・空室は何室あるか
・家賃滞納はないか
・大規模修繕はあったか
・翌期に予定している修繕はあるか
・売却予定の物件はあるか
・次に購入したい物件はあるか
・金融機関へ説明が必要な特殊要因はないか
この数字を毎年比較すると、
会社が強くなっているのか。
弱くなっているのか。
が見えやすくなります。
▪️融資を意識した決算で避けたいこと① 節税だけを最優先する
税金を払いたくない。
↓
利益をできるだけ小さくする。
↓
結果として利益や純資産がなかなか積み上がらない。
融資を利用して事業を拡大したい場合には、この考え方だけで決算を作るのは注意が必要です。
節税が悪いのではありません。
大切なのは、
節税。
財務。
融資。
キャッシュフロー。
を一緒に考えることです。
▪️避けたいこと② 利回りだけで物件を増やす
表面利回り20%。
だから買う。
という判断も危険です。
高利回りでも、
大規模修繕が必要。
空室率が高い。
家賃下落が続いている。
融資期間が短い。
毎月返済が大きい。
売却が難しい。
となれば、法人全体の財務を悪化させる可能性があります。
利回りは重要ですが、
「この物件を買うことで会社全体が強くなるのか」
という視点も必要です。
▪️避けたいこと③ 現金を使い切る
物件を購入するたびに手元資金をほぼゼロまで使う。
これを繰り返せば、突発的な修繕や空室への対応が難しくなります。
さらに、次の優良物件が出てきたときに自己資金を準備できない可能性もあります。
不動産投資では、
物件数。
総資産。
だけでなく、
「現金をいくら持っているか」
も重要です。
▪️避けたいこと④ 借入総額を把握していない
物件が増えてくると、
A銀行。
B信用金庫。
C銀行。
日本政策金融公庫など。
複数の借入が存在することがあります。
その場合、
借入総額。
残債。
金利。
残存期間。
年間返済額。
担保。
保証。
などを一覧化しておくと、自社の財務状態を把握しやすくなります。
「毎月払えているから大丈夫」
ではなく、法人全体で確認することが重要です。
▪️物件を増やすなら「買う・育てる・売る」まで考える
不動産投資では、
買う。
↓
貸す。
だけではありません。
購入した物件を、
満室にする。
家賃収入を安定させる。
借入を返済する。
必要な修繕をする。
そして条件によっては、
売却する。
という選択肢があります。
売却によって借入金を返済し、現金や利益を確保することで、法人全体の財務状態が変わる場合もあります。
だからこそ、物件購入時点から出口まで考えておくことが重要です。
▪️「何戸持っているか」より「どんな会社になっているか」
不動産投資をしていると、
10戸。
30戸。
50戸。
100戸。
という所有戸数に目が行きます。
しかし、
100戸持っている。
借入も非常に大きい。
現金が少ない。
利益がほとんど残らない。
という状態と、
30戸でも、
安定して利益が出る。
現預金が積み上がる。
純資産が増えている。
返済余力がある。
という状態では、経営の中身が違います。
戸数を増やすこと自体を目的にするのではなく、
「物件を増やすほど会社も強くなっているか」
を見ることが重要です。
▪️資産形成は不動産だけで考えない方法もある
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不動産投資は融資を活用できる一方で、
借入。
空室。
修繕。
価格変動。
金利。
などのリスクがあります。
そのため資産形成全体を考える場合は、不動産だけに限定せず、現預金やその他の資産とのバランスを考えることも大切です。
自分の収入、資産、借入、将来の目標を整理しながら、どのような資産形成が合っているのか比較してみましょう。
▶ 資産形成について詳しく確認する
▪️よくある質問
Q. 赤字決算になると不動産融資は受けられませんか?
赤字だから必ず融資を受けられないとは限りません。
金融機関によって審査基準は異なり、赤字になった理由、資産状況、現預金、借入、物件収益なども含めて判断される場合があります。
一時的な修繕などが原因なら、その背景を説明できるようにしておくことが重要です。
Q. 債務超過になると融資は受けられませんか?
一律に決まるわけではありませんが、純資産がマイナスの状態は財務上重要なポイントになります。
物件を購入するときは、購入後の法人全体のBSまで意識しておきましょう。
Q. 減価償却は大きい方が得ですか?
一概にはいえません。
税負担、利益、資産の帳簿価額、将来の売却などにも関係するため、単純に減価償却費が大きければ良いとは限りません。
Q. 築古物件は短期間で減価償却できますか?
中古資産には耐用年数に関する税務上の取り扱いがあります。
物件ごとの状況もあるため、自己判断で償却期間を決めず、税理士などの専門家へ確認しましょう。
Q. 節税と融資ならどちらを優先するべきですか?
今後の経営方針によります。
特に融資を活用して物件を増やしたい場合は、税負担だけでなく利益、純資産、現預金など財務全体を見る必要があります。
Q. 銀行へ決算書を提出するときに何を説明すればいいですか?
前年から大きく変化した数字について、
なぜ変わったのか。
一時的なのか。
今後どうなるのか。
を説明できるようにしておくと、自社の経営状況を伝えやすくなります。
▪️まとめ|次の融資は「今の経営」の積み重ねで決まる
不動産投資で物件を増やしていくなら、
物件探し。
価格交渉。
融資交渉。
だけでは十分ではありません。
購入した物件を安定して運営し、
利益を残す。
現金を残す。
借入を返済する。
純資産を積み上げる。
必要な修繕をする。
こうした経営の積み重ねが決算書に表れます。
そして、その決算書が次の融資を検討するときの重要な資料になります。
だから、
「銀行に良く見せるために決算書を作る」
というより、
「結果として強い決算書になる経営をする」
という考え方が重要です。
物件を買う前には、
この物件を買えるか。
だけではなく、
この物件を買ったあと、
利益はいくら残るのか。
現金はいくら残るのか。
借入はいくらになるのか。
純資産はどうなるのか。
次の融資につながるのか。
まで考える。
これが、融資を活用しながら長期的に不動産賃貸業を拡大していくための基本になります。
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