複数物件を持つ大家の現金管理|物件別予備費・修繕積立・納税資金を分ける方法

更新日:9月17日
物件が1棟から2棟、3棟と増えると、通帳残高だけでは『本当に使ってよい現金』が分かりにくくなります。家賃は入っていても、次回修繕や税金、空室時の返済に備えるお金が混ざっているからです。
この記事は繰上返済と買い増しの比較ではなく、複数物件を持った後の現金管理に絞ります。物件別予備費、修繕積立、納税資金、全物件共通の運転資金を分けると、黒字に見えて実は資金不足という状態を見つけやすくなります。
▪️使ってよい現金と使わない現金を最初に分ける
口座に300万円あるから300万円を投資へ回せる、とは限りません。固定資産税、保険料、管理費、ローン返済、退去後修繕など、近い将来に使う予定のお金を先に分けます。
まず今後12か月でほぼ確実に出る支出と、時期は読めないものの備えが必要な支出を分けます。前者は納税・保険・定期支出、後者は給湯器やエアコン、漏水などの突発修繕です。
▪️物件ごとの予備費を分けると赤字物件が見えやすい
複数物件の家賃を一つの口座へ集めると、好調な物件の現金で不調な物件を補っていても気づきにくくなります。物件ごとに家賃、ローン、管理費、税金、修繕費を記録し、返済後にいくら残ったかを追います。
口座そのものを物件ごとに分ける必要はありません。表計算でもよいので、物件別の現金残高と将来必要な予備費が見える状態にすることが重要です。
▪️修繕積立は築年数と設備から逆算する
同じ家賃収入でも、築浅戸建と築古アパートでは必要な予備費が違います。屋根、外壁、給湯器、エアコン、ポンプなど、交換時にまとまった費用が出る設備を一覧にします。
年間収支が黒字でも、大規模修繕を一度入れると数年分の利益が消えることがあります。修繕前の現金をそのまま利益と見ず、将来支出分を残した後の金額で見る方が実態に近くなります。
▪️納税資金は日常の運転資金と混ぜない
固定資産税や所得税・住民税など、納税時期が来れば支払う必要があるお金は、日常の運転資金と分けて考えます。税額は所有形態や所得状況で異なるため、前年実績や税理士の試算を使って準備額を決めます。
納税直前に修繕資金や次の投資資金を取り崩すと、資金計画全体が崩れます。毎月の家賃から一定額を納税用として別管理すれば、支払時期の負担を平準化しやすくなります。
▪️全物件共通の運転資金を別枠で持つ
物件別予備費だけでなく、複数物件全体を守る共通資金も持ちます。複数戸で同時に退去が出た、想定外の修繕が重なった、返済だけは続く、といった場面では物件横断の現金が役立ちます。
必要額は、毎月の固定支出、空室戸数、築年数、保険でカバーできないリスクなどから逆算します。『何か月分なら絶対安全』という一律の数字ではなく、自分の物件構成で決めます。
▪️月次では3つの数字だけ確認する
毎月見る数字を増やしすぎると続きません。最低限、①物件別の返済後CF、②物件別予備費の残高、③全物件共通の現金残高を確認します。
前月より現金が減っているなら、空室、修繕、家賃下落、一時支出のどれが原因かを分けます。原因が分かれば、募集条件や修繕時期など次の行動につなげやすくなります。
▪️まとめ|現金は残高ではなく役割で分ける
複数物件を持つときは、現金をひとまとめにせず、物件別予備費・修繕積立・納税資金・共通運転資金へ役割分けすると資金不足を見つけやすくなります。
繰上返済や買い増しを考えるのは、その後です。まず守るお金を明確にし、残った余剰資金だけを次の投資判断へ回します。
Q. 口座は物件ごとに分けた方がいいですか?
A. 必須ではありません。口座を分けなくても、物件別の収入・支出・予備費を帳簿や表計算で追えるなら管理できます。物件数が増えて把握しにくくなったら口座分けを検討します。

