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不動産投資ローンの繰上返済はどっち?期間短縮型・返済額軽減型を利息とキャッシュフローで比較

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月15日
  • 読了時間: 30分

▪️不動産投資ローンを繰上返済するなら「方法」まで考える


 


不動産投資で現金が増えてくると、

「ローンを少し繰上返済した方がいいのでは?」

と考えることがあります。


 


例えばローン残高2,500万円、手元現金800万円。

このうち300万円を繰上返済すれば、借入残高を2,200万円程度まで減らせます。


 


ここまでは分かりやすい話です。

しかし、一部繰上返済には複数の考え方があります。


 


代表的なのが、

返済期間を短くする期間短縮型。

返済期間を変えず、毎月返済額を下げる返済額軽減型。

です。

一般的な一部繰上返済では、このように返済期間を短縮する方法と毎月返済額を軽減する方法があります。ただし、利用できる方式や条件は金融機関・融資商品によって異なります。(JHF)


 


同じ300万円を返済しても、どちらを選ぶかによってその後の賃貸経営は変わります。

期間短縮型なら、毎月返済額を大きく変えずに完済時期を早めやすくなります。


 


返済額軽減型なら、完済時期を大きく変えずに毎月のローン負担を下げやすくなります。

つまり、

「300万円返すかどうか」だけではなく、「300万円返した後、何を改善したいのか」まで考えることが重要です。


 


▪️期間短縮型とは?


 


期間短縮型は、一部繰上返済によって元金を減らし、毎月返済額を基本的に大きく変えず、残りの返済期間を短くする考え方です。

例えば残り20年のローンへ300万円を繰上返済し、その後も同程度の毎月返済を続けることで、完済時期を早めます。


 


元金を早い段階で減らすため、その元金に対して将来発生する予定だった利息も減らせます。

そのため、同じ金額を繰上返済する場合、一般的には返済額軽減型より期間短縮型の方が利息軽減効果を大きくしやすいとされています。(SMBC)


 


ただし、毎月返済額そのものは大きく下がらないため、賃貸経営の毎月キャッシュフローを改善したい場合には目的が合わないことがあります。

期間短縮型は「毎月を楽にする」というより、「借金を早く終わらせる」ことを重視する方法です。


 


▪️返済額軽減型とは?


 


返済額軽減型は、一部繰上返済によって元金を減らし、残りの返済期間を基本的に維持しながら毎月返済額を小さくする考え方です。

例えば毎月12万7,000円だった返済が、繰上返済によって11万円台まで下がれば、毎月1万円以上のキャッシュフロー改善につながります。


 


期間短縮型と比べると利息軽減効果は小さくなりやすい一方、毎月の固定的な返済負担を下げられることが大きな特徴です。(レゾナバンク)

不動産投資では、

空室。

家賃下落。

修繕。

金利変動。


 


などによってキャッシュフローが変わります。

毎月返済を小さくすることで、こうした変化へ対応できる余白を増やせる可能性があります。

返済額軽減型は「早く完済する」というより、「毎月の賃貸経営を強くする」ために使いやすい方法です。


 


▪️3,000万円のローンで300万円を繰上返済したらどうなる?


 


ここから具体的な数字で比較します。

分かりやすくするため、

借入額3,000万円。

年2.0%。

25年返済。

元利均等返済。

金利は変わらない。


 


という条件で単純試算します。

この場合、毎月返済額は約12万7,000円です。


 


5年間返済すると、ローン残高はおよそ2,514万円まで減ります。

そこで300万円を一部繰上返済すると、残高は約2,214万円になります。

同じ300万円を返しても、ここから期間短縮型を選ぶか返済額軽減型を選ぶかで結果が変わります。


 


なお、実際の計算方法、繰上返済日、手数料、端数処理などによって結果は異なります。以下は仕組みを理解するための概算です。


 


▪️期間短縮型なら完済時期を約3年早められるイメージ


 


先ほどの条件で、5年後に300万円を繰上返済するとします。

その後も毎月約12万7,000円の返済を続ける期間短縮型なら、残り20年だった返済期間を概算で約17年程度まで短縮できるイメージです。


 


つまり、完済時期を約3年前倒しできる計算になります。

さらに元金を早く減らしているため、将来の利息負担も減ります。


 


今回の単純試算では、繰上返済をしなかった場合と比較して、将来支払う利息を100万円以上圧縮できる計算になります。

もちろん、実際の効果はローン残高、金利、残存期間、繰上返済時期によって変わります。

期間短縮型は、返済期間がまだ長く残っている段階ほど、元金を早く減らす効果を生かしやすくなります。


 


▪️返済額軽減型なら毎月返済を約1万5,000円下げられる


 


同じ条件で、今度は返済額軽減型を考えます。

5年後の残債約2,514万円から300万円を繰上返済し、残り20年間で返済するとします。


 


単純試算では、毎月返済額は約12万7,000円から約11万2,000円になります。

差は月約1万5,000円です。


 


年間なら約18万円。

10年間続けば、毎月の資金繰りには大きな違いになります。


 


期間短縮型より利息削減効果は小さくなりますが、空室や修繕へ使える毎月の余白を増やせます。

賃貸経営では「総利息をいくら減らしたか」だけでなく、「毎月いくら現金が残るようになったか」も重要です。


 


キャッシュフローについてはこちら。


 


▪️同じ300万円でも目的がまったく違う


 


期間短縮型では、毎月返済額を大きく下げず、完済を早めます。

返済額軽減型では、返済期間を大きく変えず、毎月返済を下げます。


 


つまり、

期間短縮型は将来の借金を減らすことを優先。

返済額軽減型は現在のキャッシュフローを増やすことを優先。

という違いがあります。


 


どちらかが絶対に正しいわけではありません。

すでに十分なキャッシュフローがあり、手元現金にも余裕があるなら、期間短縮型で残債を早く減らす考え方があります。


 


一方、毎月返済が重く、空室が一つ発生すると資金繰りが厳しくなる物件なら、返済額軽減型で固定的な支出を下げる意味があります。

何を改善したいのかによって、同じ繰上返済でも選ぶ方法が変わります。


 


▪️利息をできるだけ減らしたいなら期間短縮型を比較する


 


例えば繰上返済の目的が、

「毎月返済は今のままで問題ないから、できるだけ早くローンを終わらせたい」

というものであれば、期間短縮型を検討しやすくなります。


 


借入残高を早い段階で減らし、その後も同程度の返済を続けるため、完済時期を前倒しできます。

特に残り返済期間が長ければ、その元金に対して将来支払う予定だった利息も長期間分残っています。


 


元金を早く返せば、その部分の利息負担を抑えやすくなります。

「300万円返した結果、総支払額はいくら減るのか」を確認すると期間短縮型の効果が分かりやすくなります。


 


▪️毎月のキャッシュフローを増やしたいなら返済額軽減型を比較する


 


一方、

「ローン残高も減らしたいが、毎月返済を少しでも小さくしたい」

という場合は返済額軽減型を比較します。

例えば月12万7,000円から11万2,000円へ下がれば、約1万5,000円の改善です。


 


年間18万円なら、5年で90万円です。

この90万円を使わずに修繕積立として残せば、設備交換や退去へ備えられます。


 


毎月の返済が下がれば、空室が発生したときの損益分岐点も変わります。

不動産投資では、完済を早めることだけでなく、途中で資金不足にならないことも重要です。

返済比率についてはこちら。


 


▪️手元現金500万円から300万円を返して大丈夫?


 


繰上返済の方法を考える前に、さらに重要なことがあります。

そもそも300万円を返してよいのか。


 


例えば手元現金500万円から300万円を繰上返済するとします。

ローン残高は300万円減ります。


 


しかし手元現金は200万円になります。

その直後に外壁修繕150万円、退去後の原状回復50万円が重なれば、200万円がほぼなくなります。


 


さらに別の設備故障や空室が発生すれば、追加資金が必要です。

残債が減っても、現金がなくなれば賃貸経営は強くなったとは限りません。


 


繰上返済をする前には、返済後のローン残高だけではなく、返済後の預金残高を必ず確認します。

現金を残すか繰上返済するかについてはこちら。


 


▪️現金800万円から300万円返す場合は見え方が変わる


 


同じ300万円の繰上返済でも、手元現金500万円の人と1,500万円の人では意味が違います。

例えば現金800万円から300万円返済すれば、500万円残ります。


 


毎月のローン返済や修繕予定から見て500万円あれば十分な余力があるなら、繰上返済を検討しやすくなります。

一方、800万円あっても半年後に500万円の大規模修繕が予定されているなら話は変わります。


 


預金額だけではなく、これから必要になる現金まで引いてから繰上返済余力を考えます。


 


自己資金と現金余力についてはこちら。


 


▪️繰上返済する金額は「全部かゼロか」ではない


 


手元に500万円あるからといって、

500万円すべて返済する。

まったく返済しない。


 


この二択で考える必要はありません。

例えば500万円のうち100万円だけ繰上返済し、400万円を残す方法もあります。


 


1年後にさらに現金が増えれば、追加で100万円返済することも考えられます。

金融機関や商品によって最低返済額、利用方法、手数料などは異なるため、実際の条件は確認が必要です。金融機関・ローンによって繰上返済の最低額や手数料が異なることも案内されています。(全国銀行協会)


 


一度に大きく返すより、現金余力を確認しながら段階的に返す方が合うケースもあります。


 


▪️繰上返済手数料があるなら効果から差し引く


 


例えば100万円を繰上返済して、将来の利息を15万円減らせるとします。

しかし繰上返済のために手数料が必要なら、その費用を含めて考えます。


 


さらに振込費用や契約上必要な費用がある場合も確認します。

一方、インターネット手続きなどで手数料がかからない商品もあります。

条件は金融機関や融資商品によって異なります。


 


「繰上返済で利息10万円削減」ではなく、「必要な費用を引いたあと実際にいくら改善するのか」を確認します。


 


ローン諸費用についてはこちら。


 


▪️金利が高いローンほど繰上返済効果は大きくなりやすい


 


同じ1,000万円の残債でも、金利1%と4%では将来支払う利息が違います。

そのため、その他の条件が同じなら、金利が高いローンの元金を早く減らす方が利息軽減効果は大きくなりやすくなります。


 


複数の物件を所有している場合、

A物件は残債1,500万円、金利1.5%。

B物件は残債1,000万円、金利3.5%。


 


ということもあります。

この場合、残債が大きいA物件を先に返すとは限りません。

金利、残り返済期間、毎月キャッシュフロー、担保条件などを合わせて比較します。


 


「一番借金が多い物件」ではなく、「どのローンを返すと経営全体が最も改善するか」で考えます。


 


▪️金利上昇が不安なら繰上返済だけでなく現金も残す


 


変動金利を利用していると、将来の金利上昇が気になることがあります。

そこで、

「金利が上がる前に500万円返してしまおう」

と考えるかもしれません。


 


確かに残債を減らせば、その後の金利変動による影響を受ける元金も小さくなります。

しかし500万円を返済して現金がほとんど残らなくなれば、空室や修繕へ対応する力は弱くなります。


 


金利リスクへ備える方法は、残債を減らすことだけではありません。

現預金を十分に残すことも、賃貸経営を守る方法の一つです。

金利上昇時のキャッシュフローについてはこちら。


 


▪️複数物件があるなら「1棟だけ完済」を狙う方法もある


 


例えば3棟所有しているとします。

A物件の残債500万円。

B物件の残債2,000万円。

C物件の残債3,000万円。


 


まとまった現金がある場合、3棟へ少しずつ繰上返済する方法もあります。

一方、A物件の500万円をすべて返済し、ローンを完済する方法も考えられます。


 


A物件の毎月返済が5万円だったなら、完済後は年間60万円の返済がなくなります。

その60万円を再び現金として積み上げたり、B物件やC物件の返済へ回したりできます。


 


ただし500万円の現金が一度に減るため、手元資金とのバランスは必要です。

複数物件では「総残債をいくら減らすか」だけではなく、「どのローンを消すと毎月の経営がどう変わるか」を見る方法があります。


 


▪️期間短縮型で完済を早めるとその後の家賃収入が変わる


 


例えば返済期間を3年短縮できたとします。

通常なら20年後までローン返済があるところ、17年後に完済できるイメージです。


 


その後も物件を保有し、家賃収入が続いていれば、ローン返済がなくなった分だけ毎月の現金収支は大きく変わります。

もちろん、その時点でも管理費、税金、修繕などは必要です。

建物も古くなっているため、家賃が購入時と同じとは限りません。


 


それでも、

ローン完済後の賃貸経営を早く作りたい人にとって、期間短縮型には意味があります。


 


▪️ただし完済時期だけを見て繰上返済しない


 


「あと500万円返せば10年早く終わる」

と言われると魅力的に感じます。

しかし、不動産投資はローンを完済することだけが目的ではありません。


 


その500万円を残しておけば、

大規模修繕。

空室対策。

次の物件の自己資金。

法人の運転資金。


 


などへ使える可能性があります。

繰上返済によって確実に減らせる利息と、現金を持っていることで得られる経営上の余力を比較します。

「完済が何年早まるか」と同時に、「そのために現金をいくら失うか」を確認することが重要です。


 


▪️次の物件を買いたいなら繰上返済前に一度考える


 


今後さらに物件を増やしたい人にとって、現金は次の購入にも使います。

例えば500万円を繰上返済すれば残債は減ります。


 


一方、500万円を残していれば、次の収益物件を購入するときの自己資金や諸費用として使える可能性があります。

金融機関が次回融資で何を重視するかは一律ではありません。

現預金、既存借入、物件収支、返済実績など、複数の要素を見て判断されることがあります。


 


そのため、

「借金を減らせば次も借りやすくなる」と単純には考えないことが重要です。

現預金と融資についてはこちら。


 


▪️残債を減らすことと純資産を増やすことは似ているが現金は減る


 


例えば資産価値2,500万円の物件に、ローン残高2,000万円があるとします。

単純化すれば、差額は500万円です。


 


そこへ現金300万円を使って繰上返済し、残債を1,700万円まで減らせば、物件価値が変わらない前提では借入との差額は大きくなります。

一方、自分の銀行口座からは300万円なくなっています。


 


つまり貸借対照表全体で考えると、

現金が減る。

負債も減る。


 


という動きです。

不動産だけを見れば残債は減りますが、経営全体では現預金も同時に減っていることを忘れないようにします。

残債と純資産についてはこちら。


 


▪️繰上返済は「借金が嫌だから」ではなく数字で決める


 


借金が3,000万円あると、心理的には早く減らしたくなることがあります。

反対に、

「不動産投資は借金を使った方が得だから絶対に返さない」

と考える人もいます。


 


どちらも一つの考え方ですが、物件によって最適な判断は変わります。

金利が高い。

返済期間が長い。

手元現金が十分ある。

次の購入予定がない。


 


という状態なら、繰上返済の意味は大きくなるかもしれません。

一方、

現金が少ない。

大規模修繕が近い。

空室が多い。

次の物件購入を予定している。


 


という状態なら、現金を残す価値が大きくなる可能性があります。

繰上返済は「借金への考え方」で決めるのではなく、利息・キャッシュフロー・現金・残債を数字で比較して決めます。


 


▪️まず確認するのは「繰上返済後に何を改善したいか」


 


期間短縮型か返済額軽減型かで迷ったら、最初に目的を決めます。

完済時期を早めたいのか。

利息をできるだけ減らしたいのか。

毎月返済を下げたいのか。

空室への耐久力を高めたいのか。

次の物件購入へ備えたいのか。


 


目的が違えば、選ぶ方法も変わります。

期間短縮型と返済額軽減型のどちらが優れているかではなく、自分の賃貸経営で何を改善したいかが判断の出発点です。


▪️繰上返済は早い時期ほど利息軽減効果を出しやすい


 


同じ300万円を繰上返済する場合でも、ローン開始から5年後に返すのと、完済直前に返すのでは効果が違います。

返済期間が長く残っている段階で元金を減らせば、その元金に対して今後発生する予定だった利息を長い期間にわたって減らせます。


 


そのため、一般的には残りの返済期間が長い段階で繰上返済する方が、利息軽減効果を得やすくなります。住宅金融支援機構も、一部繰上返済によって返済期間を短縮する方法と毎月返済額を減らす方法を案内しています。 (JHF)

ただし、

「早く返した方が利息が減る」ことと、「早く返す方が不動産経営として正しい」ことは別です。


 


購入直後は修繕や空室への備えとして現金が必要になることがあります。

利息を100万円減らすために手元現金をほとんど使い切り、その後の修繕資金が足りなくなるなら、経営全体では安全とは言えません。


 


繰上返済のタイミングは、利息軽減効果と手元現金の両方を見て決めます。


 


▪️期間短縮型と返済額軽減型では利息削減額も違う


 


前半と同じ条件で比較してみます。

借入3,000万円。

年2.0%。

25年返済。

元利均等返済。

5年間通常返済した後、300万円を繰上返済するケースです。


 


5年後の残債は約2,514万円です。

ここから300万円を返済すると、残債は約2,214万円になります。


 


期間短縮型を選び、毎月約12万7,000円の返済を続ける場合、概算では残り約20年だった返済期間を約17年程度まで短縮できます。

今回の単純試算では、繰上返済しない場合と比べ、将来の利息負担を約135万円減らせる計算です。


 


一方、返済額軽減型を選び、残り20年間で返済する場合、毎月返済は約11万2,000円まで下がります。

この場合の利息軽減額は、単純試算で約64万円です。


 


同じ300万円でも、利息削減を優先するなら期間短縮型、毎月CFを優先するなら返済額軽減型という違いが数字にも表れます。

期間短縮型は一般的に利息軽減効果を大きくしやすいという特徴があります。 (SMBC)


 


なお、実際の返済額や利息は、繰上返済日、金利、返済方式、手数料などによって変わります。


 


▪️期間短縮型が向いていると考えやすいケース


 


毎月のキャッシュフローにすでに十分な余裕がある人は、期間短縮型を検討しやすくなります。

例えば家賃30万円に対してローン返済12万円で、その他の経費を差し引いても毎月十分な現金が残る物件です。


 


さらに手元現金も十分あり、近い将来に大規模修繕の予定もない。

次の物件購入も急いでいない。


 


このような状態なら、毎月返済を下げる必要性はそれほど高くないかもしれません。

そこで期間短縮型を使い、完済時期と総利息を減らす考え方があります。


 


「今の資金繰りは十分強いから、将来の残債を早く減らしたい」という人と相性が良い方法です。


 


▪️返済額軽減型が向いていると考えやすいケース


 


反対に、毎月のローン返済がキャッシュフローを圧迫している物件では、返済額軽減型を比較する意味があります。

例えば家賃20万円、ローン返済12万7,000円だったとします。


 


300万円の繰上返済によって返済が約11万2,000円になれば、毎月約1万5,000円の改善です。

年間では約18万円になります。


 


この18万円を修繕積立として残せば、5年間で約90万円です。

空室が一室発生したときにも、ローン返済そのものが小さい方が資金繰りへの負担は軽くなります。


 


「総利息を最小化すること」より「毎月赤字になりにくい経営」を優先するなら、返済額軽減型を比較します。


 


▪️空室が増えている物件なら返済額軽減型に意味がある場合もある


 


例えば購入当初は満室だったものの、現在は空室が増え、家賃収入が月25万円から20万円へ下がったとします。

ローン返済が月15万円なら、返済後には5万円しか残りません。


 


そこで一部繰上返済によって返済額を月12万円まで下げられれば、返済後には8万円残ります。

毎月3万円の差です。


 


年間なら36万円になります。

もちろん、空室そのものを改善することが本来の対策です。


 


しかし募集条件の見直しやリフォームと並行して、固定的なローン返済を下げることで資金繰りを改善できる場合があります。

返済額軽減型は空室を解決する方法ではありませんが、空室改善まで耐える時間を作る方法にはなり得ます。

空室率とキャッシュフローについてはこちら。


 


▪️売却予定が近いなら期間短縮だけを目的にしない


 


例えば3年後に物件を売却する予定だったとします。

その物件へ300万円を繰上返済すれば、売却時の残債はその分小さくなります。


 


しかし売却時には、売却代金を使ってローンを完済することになります。

この場合、300万円を今返すのか。

3年間現金として保有し、売却時に残債を精算するのか。


 


両方を比較します。

今返せば、その300万円に対して今後支払う利息を減らせます。

一方、現金を残せば売却までの修繕、空室、税金などへ対応できます。


 


出口が近い物件では、「完済時期を何年早められるか」より、売却までに減る利息と失う現金余力を比較する方が重要です。


 


▪️売却価格より残債が大きいなら繰上返済を検討する意味もある


 


例えば現在のローン残高が2,500万円。

物件の想定売却価格が2,200万円だったとします。


 


単純化すると、この状態では売却価格だけでローンを完済できない可能性があります。

将来売却したいのであれば、保有期間中に残債を減らしておくことに意味があります。


 


300万円を繰上返済して残債を2,200万円程度まで下げれば、売却価格との距離は縮まります。

ただし実際の売却では仲介手数料などの費用も考える必要があります。


 


出口を考えるなら、「あと何年で完済するか」だけではなく、「想定売却価格より残債を下げられるか」という視点も重要です。

返済期間と残債についてはこちら。


 


▪️フルローンで購入した物件ほど残債を確認する


 


フルローンやオーバーローンでは、購入時の借入額が大きくなります。

さらに35年など長期返済を利用していれば、購入から数年経っても大きなローン残高が残る可能性があります。


 


毎月のキャッシュフローが十分あるなら、一定期間現金を積み上げ、その一部を繰上返済して残債を減らす方法もあります。

例えば毎年100万円ずつ現金を積み上げ、3年で300万円。

そのうち200万円を繰上返済し、100万円は追加の安全資金として残す。


 


このように、全額を返済へ回さずバランスを取る方法もあります。

フルローンでは現金を残せるメリットを失わない範囲で、将来の残債を管理していくことが重要です。

フルローン・オーバーローンについてはこちら。


 


▪️金利が上がったから即全額繰上返済とは限らない


 


変動金利で金利が上昇すると、繰上返済したくなることがあります。

例えば残債2,000万円、手元現金1,000万円。

ここから800万円を一気に返せば、金利上昇の影響を受ける残債は大きく減ります。


 


しかし現金は200万円しか残りません。

その状態で100万円の修繕と複数室の退去が重なれば、別の問題が起きます。


 


金利上昇リスクを減らすために、資金繰りリスクを大きくしてしまわないことが重要です。

金利が上がったときは、

繰上返済。

固定金利への変更が可能か確認する。

借り換えを比較する。

現金を厚く残す。


 


など、複数の方法を比較します。

固定金利と変動金利についてはこちら。


 


▪️高金利ローンから先に返すとは限らない


 


複数物件を所有している場合、金利の高いローンから返済すれば利息削減だけを見ると合理的に見えます。

しかし不動産投資では、それだけで決められない場合があります。


 


例えばA物件は金利3.0%ですが、毎月10万円のキャッシュフローが残っています。

B物件は金利2.0%ですが、毎月1万円しか残っていません。


 


B物件の返済額を下げることで毎月の経営を安定させられるなら、Bへ繰上返済する意味もあります。

また、A物件だけ完済すれば共同担保や売却に関する条件が変わる可能性もあります。

金利だけでなく、毎月CF・残債・担保・出口まで含めて返済先を決めます。


 


▪️共同担保の物件を繰上返済するなら担保解除まで確認する


 


例えばAアパートの融資へ、自宅やB物件を共同担保として入れているとします。

Aアパートのローンを大きく繰上返済したからといって、共同担保が自動的に外れるとは限りません。


 


担保解除の可否や条件は金融機関との契約や判断によって異なります。

「500万円返したからB物件を売れるだろう」と自己判断せず、売却予定があるなら先に金融機関へ確認します。


 


繰上返済の目的が担保解除なら、いくら返済すれば解除を検討できるのかを確認してから実行します。

共同担保についてはこちら。


 


▪️次の融資を受けたいなら預金と借入を両方見る


 


例えば現金1,000万円、既存ローン残高3,000万円だったとします。

500万円を繰上返済すれば、

現金500万円。

ローン残高2,500万円。


 


になります。

負債は500万円減りましたが、現預金も500万円減っています。

金融機関の融資判断は、借入残高だけで一律に決まるものではありません。


 


物件収支、現預金、返済実績、収入、その他の資産・負債など、金融機関や案件によって確認される内容は異なります。

次の物件を購入したいなら、「借入を減らしたから有利」と決めつけず、自己資金として使う現金をどれだけ残すかも考えます。

金融機関の選び方についてはこちら。


 


▪️次の物件の頭金300万円と繰上返済300万円を比較する


 


例えば現在300万円の余剰資金があります。

この300万円を現在の物件へ繰上返済する方法があります。


 


一方、その300万円を次の物件の自己資金や諸費用として残す方法もあります。

現在のローンを返せば、確実に残債と将来利息を減らせます。

次の物件へ使えば、家賃収入を増やせる可能性がありますが、新しい借入、空室、修繕などのリスクも増えます。


 


どちらが正しいかは一律には決まりません。

「300万円で利息をいくら減らせるか」と「300万円を次の投資へ使う価値」を比較します。

2戸目へ進むタイミングについてはこちら。


 


▪️法人では繰上返済後の運転資金を特に確認する


 


法人に現預金1,000万円あり、そのうち600万円を繰上返済するとします。

借入は大きく減りますが、会社に残る現金は400万円です。


 


そこから固定資産税、修繕、保険、法人のその他経費などを支払う必要があります。

複数物件を所有していれば、一棟の修繕だけを考えることもできません。


 


A物件で100万円。

B物件で200万円。

C物件で空室が発生。


 


ということも考えられます。

法人では一棟のローン残高だけでなく、会社全体の運転資金を残したうえで繰上返済額を決めます。


 


▪️法人で一棟完済すると毎月の資金繰りが変わる


 


例えば残債500万円、毎月返済5万円の物件があったとします。

500万円を全額返済すれば、その物件のローン返済はなくなります。


 


毎月5万円、年間60万円のキャッシュフロー改善です。

完済後も家賃収入が続けば、その60万円を別物件の修繕や借入返済へ回せます。


 


一方、500万円の現金を一度に使います。

だからこそ、

完済後の年間60万円という改善効果と、今失う500万円の現金を比較します。


 


単純計算だけなら500万円÷60万円で約8.3年です。

もちろん実際には、利息負担、物件売却、修繕、税務なども関係します。


 


「一棟完済した」という安心感だけではなく、現金回収に何年かかるのかを見ると判断しやすくなります。


 


▪️繰上返済前にローン諸費用・違約金を確認する


 


金融機関や融資商品によって、一部繰上返済や全額繰上返済の条件は異なります。

最低返済額が設定されている場合や、手数料などが関係する場合もあります。

住宅金融支援機構の賃貸住宅融資でも、融資条件によっては一定期間内の繰上返済に違約金が設定される制度があります。 (JHF)


 


そのため、

「100万円返したら利息が20万円減る」

という試算だけでは不十分です。

実際に必要な手数料や契約上の条件を確認します。


 


繰上返済前には金融機関へ「いくら返せるか」だけでなく、「費用はいくらか」「返済後どう変わるか」を確認します。

ローン諸費用についてはこちら。


 


▪️借り換えと繰上返済はどちらを先に考える?


 


例えば残債2,000万円、金利3.5%のローンを利用しているとします。

手元に300万円あり、繰上返済を検討しているケースです。


 


300万円を返して残債1,700万円へ減らす方法があります。

一方、より低い金利で借り換えできるなら、2,000万円全体に対する金利を下げられる可能性があります。


 


もちろん借り換えには審査や諸費用が必要です。

そのため、

繰上返済した場合。

借り換えた場合。

借り換え後に一部繰上返済した場合。


 


それぞれを比較します。

金利が高いローンでは、手元現金だけで返済する前に借り換え余地を確認する方法もあります。

借り換えについてはこちら。


 


▪️繰上返済後も現金が増える仕組みを作る


 


300万円を繰上返済して終わりではありません。

例えば返済額軽減型によって毎月1万5,000円の返済が減ったなら、その1万5,000円をそのまま使わない方法があります。


 


毎月1万5,000円を別口座へ積み立てれば、年間18万円です。

5年で90万円。

10年で180万円です。


 


この現金を修繕予備費として残すことも、次回の繰上返済へ使うこともできます。

返済額軽減型は、下がった返済額をそのまま貯め続けることで、キャッシュフロー改善と次の返済余力を同時に作れます。


 


▪️期間短縮型でも現金積立は続ける


 


期間短縮型では、毎月返済がほとんど変わらないため、繰上返済した直後のキャッシュフローは大きく改善しません。

そのため、返済したことで安心して現金積立を止めないことが重要です。


 


ローン残高は減っていても、外壁や屋根、給湯器、エアコンなどはローン残高とは関係なく修繕時期が来ます。

残債を減らす資金と、物件を守る修繕資金は別々に考えます。


 


▪️繰上返済する前に確認したい7つの数字


 


まず現在のローン残高を確認します。

次に適用金利と残り返済期間を確認します。


 


毎月返済額はいくらか。

繰上返済後の返済額または短縮される期間はいくらか。

将来の利息はいくら減るのか。

繰上返済に必要な費用はいくらか。


 


そして最も重要なのが、

繰上返済後に手元現金がいくら残るのか。

です。


 


例えば300万円返して利息100万円を減らせても、現金が50万円しか残らないなら慎重に考えます。

逆に300万円返した後も現金1,000万円残るなら、判断は大きく変わります。


 


繰上返済はローンの計算だけではなく、返済後の預金残高まで入れて判断します。


 


▪️Q&A|不動産投資ローンの繰上返済でよくある疑問


 


Q. 期間短縮型と返済額軽減型はどちらが得ですか?


 


同じ金額を同じ時期に繰上返済する場合、一般的には期間短縮型の方が利息軽減効果を大きくしやすくなります。一方、返済額軽減型は毎月返済を下げられるため、キャッシュフロー改善を重視する場合に意味があります。 (JHF)


 


Q. 現金があればできるだけ繰上返済した方がいいですか?


 


必ずではありません。不動産投資では空室、修繕、税金、次の購入などにも現金が必要です。繰上返済後に十分な現金を残せるか確認します。


 


Q. 300万円だけでも繰上返済する意味はありますか?


 


借入残高、金利、残り返済期間によって効果は変わります。少額でも元金を減らせば将来の利息軽減につながる可能性がありますが、最低返済額や手数料などの条件は金融機関へ確認します。


 


Q. 変動金利なら金利上昇前に繰上返済した方がいいですか?


 


一律には決められません。残債を減らせば金利変動の影響を受ける元金を小さくできますが、現金も減ります。修繕・空室への備えと合わせて判断します。


 


Q. 物件を近いうちに売却する場合も繰上返済した方がいいですか?


 


売却までに減らせる利息、現在の手元現金、売却時の想定残債を比較します。近い将来に売却してローンを完済する予定なら、現金を先に使うメリットが小さい場合もあります。


 


▪️期間短縮型か返済額軽減型か迷ったときの考え方


 


期間短縮型を選ぶと、毎月返済は大きく変わらない一方、完済時期を早め、利息を減らしやすくなります。

返済額軽減型を選ぶと、返済期間は大きく変わらない一方、毎月返済を下げてキャッシュフローを改善できます。


 


そこで、

毎月の資金繰りに余裕がある。

十分な現金がある。

将来の利息を減らしたい。

早く完済したい。


 


このような場合は期間短縮型を比較します。

一方、

毎月の返済が重い。

空室時の資金繰りを強くしたい。

毎月の修繕積立を増やしたい。

収入変動へ備えたい。


 


このような場合は返済額軽減型を比較します。

「どちらが得か」ではなく、「何を改善したいか」で選ぶと判断しやすくなります。


 


▪️そして繰上返済しないという選択肢もある


 


期間短縮型。

返済額軽減型。

この二つだけが選択肢ではありません。


 


今は繰上返済しない。

という判断もあります。

例えば手元現金500万円しかなく、1年以内に300万円の大規模修繕が予定されているなら、無理にローンを返す必要はないかもしれません。


 


修繕を終え、その後さらに現金が増えてから繰上返済する方法があります。

また、次の物件購入を予定しているなら、現金を自己資金として残すことにも意味があります。

繰上返済できることと、今すぐ繰上返済するべきことは同じではありません。

現預金と融資についてはこちら。


 


▪️不動産投資の物件・融資方法を合わせて比較する


 


繰上返済は、一つのローンだけを見て判断するものではありません。

物件の家賃収入。

空室率。

修繕予定。

手元現金。

ローン金利。

残り返済期間。

今後の物件購入予定。


 


これらを合わせて考えます。

金利を減らすために現金を使い切れば、賃貸経営が弱くなることがあります。

反対に必要以上に現金を持ち続け、高い金利を何年も払い続けることも一つのコストです。


 


不動産投資の物件・運用方法を比較したい方はこちら


 


▪️まとめ|繰上返済は「いくら返すか」より「返した後どうしたいか」で決める


 


不動産投資ローンでは、まとまった現金ができたときに一部繰上返済を検討することがあります。

しかし、一部繰上返済には大きく二つの考え方があります。


 


期間短縮型。

返済額軽減型。


 


期間短縮型は、毎月返済額を大きく変えずに完済時期を早める方法です。

元金を早く減らすことで、将来支払う利息も減らしやすくなります。


 


一方、返済額軽減型は、残り返済期間を基本的に維持しながら毎月返済額を下げる方法です。

利息軽減効果は期間短縮型より小さくなりやすいものの、毎月のキャッシュフローを改善できます。 (JHF)


 


3,000万円、年2.0%、25年返済の単純試算では、5年後の残債は約2,514万円です。

ここで300万円を繰上返済すると、約2,214万円になります。


 


期間短縮型なら、概算で残り約20年を約17年程度まで短縮でき、今回の試算では将来利息を約135万円減らせます。

返済額軽減型なら、毎月約12万7,000円だった返済を約11万2,000円まで下げられ、将来利息も約64万円減る計算です。


 


同じ300万円でも結果は違います。

期間短縮型は「将来の借金を減らす」。

返済額軽減型は「現在のキャッシュフローを増やす」。


 


この違いを理解して選びます。

ただし、さらに重要なのは繰上返済後の手元現金です。


 


500万円持っていて300万円返せば、ローンは300万円減ります。

しかし現金も200万円まで減ります。


 


その直後に外壁修繕150万円が発生すれば、残る現金は50万円です。

残債が減っただけで、賃貸経営が必ず強くなるわけではありません。


 


一方、現金1,500万円あり、300万円返済しても1,200万円残るなら見え方は変わります。

繰上返済では、

いくら利息が減るか。

完済が何年早まるか。

毎月返済がいくら下がるか。

手数料はいくらか。

返済後の残債はいくらか。

そして、

返済後に現金がいくら残るか。

この数字を確認します。


 


次の物件を買う予定があるなら、現金を自己資金として使う価値も考えます。

売却予定があるなら、売却時の残債と想定売却価格を比較します。


 


変動金利なら、金利上昇への備えも考えます。

複数物件を持っているなら、どのローンへ返済すると経営全体が改善するかを見ます。


 


そして場合によっては、

今は繰上返済しない。

という判断もあります。

繰上返済の目的は、借金をゼロにする競争ではありません。


 


利息・残債・キャッシュフロー・現金余力のバランスを改善することです。

だからこそ、

「300万円あるから300万円返す」のではなく、「300万円返した後、自分の賃貸経営が今より強くなるか」で判断します。


 


これが、不動産投資ローンで繰上返済を考えるときの基本です。


 


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