不動産投資ローンの返済期間は何年がいい?長期融資・短期融資をキャッシュフローと残債で比較
- MIRAIU

- 8月15日
- 読了時間: 24分
▪️不動産投資ローンの返済期間は何年がいい?
3,000万円の収益物件を購入するとき、15年返済と35年返済では毎月の資金繰りが大きく変わります。
返済期間を長くすれば毎月返済額を抑えやすくなり、家賃から現金を残しやすくなります。一方、返済期間を短くすれば毎月返済は大きくなりますが、ローン残高を早く減らしやすくなります。
そのため、
長期融資=良い
短期融資=悪い
とは単純に決められません。
不動産投資では、毎月のキャッシュフローだけを最大化すればよいわけではありません。
5年後や10年後に売却するとしたら、ローンがいくら残っているのか。空室や修繕が発生しても返済を続けられるのか。次の物件へ進むための現金を残せるのか。
ここまで考える必要があります。
返済期間は「何年で返せるか」ではなく、「毎月の現金と将来の残債をどうバランスさせるか」で決めることが重要です。
▪️金融機関によって選べる返済期間は違う
不動産投資ローンは、すべての人が自由に15年・20年・25年・30年・35年から選べるわけではありません。
金融機関や融資商品、物件、建物構造、築年数、借入者の年齢や審査結果などによって、提示される返済期間が変わることがあります。
例えば三井住友銀行のアパートローンでは融資期間を最長35年以内としていますが、対象物件の構造などによって最長期間が異なるとされています。(SMBC)
つまり、投資家が「35年で借りたい」と希望しても、必ず35年融資になるとは限りません。
まず金融機関から何年まで融資を受けられるのかを確認し、その範囲の中で資金計画を作ります。
金融機関の選び方についてはこちら。
▪️返済期間を長くすると毎月返済額は下がりやすい
例えば3,000万円を年2.0%、元利均等返済、金利が変わらない前提で借りるとします。
15年返済なら、毎月返済額は約19万3,000円です。
25年返済なら約12万7,000円。
35年返済なら約9万9,000円です。
同じ3,000万円を借りても、15年と35年では毎月約9万4,000円の差があります。
年間では約113万円です。
この差は賃貸経営では非常に大きくなります。
例えば家賃収入が月25万円なら、15年返済ではローン返済後に約5万7,000円しか残りません。
一方、35年返済なら約15万1,000円残ります。
もちろん、ここから管理費、固定資産税、保険、修繕、空室などを負担します。
長期融資は毎月の返済負担を小さくし、キャッシュフローへ余裕を作りやすいことが大きなメリットです。
▪️ただし返済期間を長くするとローン残高は減りにくい
毎月返済が小さくなることだけを見ると、35年返済の方が有利に感じるかもしれません。
しかし、10年後のローン残高を見ると印象が変わります。
同じ3,000万円、年2.0%、元利均等返済で計算すると、15年返済では10年後の残債は約1,101万円です。
25年返済では約1,976万円。
35年返済では約2,345万円残ります。
35年返済では毎月返済を抑えられる一方、10年間返済しても購入時の3,000万円から約655万円しか元本が減っていない計算になります。
15年返済では10年間で約1,899万円減っています。
長期融資はキャッシュフローを残しやすい代わりに、将来の残債が大きく残りやすいという特徴があります。
▪️同じ物件を10年後に2,000万円で売ったらどうなる?
3,000万円で購入した物件を10年間運用し、2,000万円で売却できると仮定します。
15年返済なら、10年後の残債は約1,101万円です。
単純化すると、2,000万円で売却してローンを返済した後に約899万円の差額があります。
一方、25年返済では残債約1,976万円なので、売却価格との差は約24万円です。
35年返済では残債約2,345万円なので、売却価格2,000万円では約345万円不足します。
実際の売却では仲介手数料などの費用や税金が関係するため、この差額がそのまま手元へ残るわけではありません。
それでも、返済期間によって売却時のローン残高が大きく変わることは分かります。
返済期間を決めるときは、毎月返済だけでなく「売りたい時点で残債はいくらか」を確認することが重要です。
▪️長期融資のメリット① 空室に耐えやすくなる
例えば家賃25万円に対してローン返済が19万円なら、返済後には約6万円しか残りません。
そこから管理費や固定資産税、保険などを負担すれば、通常時でも余裕は大きくありません。
さらに1室退去して家賃収入が20万円へ下がれば、ローン返済だけでほとんどの家賃がなくなります。
一方、返済額が10万円程度なら、家賃収入が25万円から20万円へ下がっても、返済後に約10万円残ります。
長期融資によって毎月返済額を抑えることは、空室発生時の資金繰りを安定させる効果が期待できます。
空室率とキャッシュフローについてはこちら。
▪️長期融資のメリット② 修繕のための現金を残しやすい
賃貸経営では、ローン返済だけを続けられればよいわけではありません。
築古アパートなら給湯器、エアコン、外壁、屋根、防水、原状回復などでまとまった支出が発生することがあります。
例えば15年返済と35年返済で毎月約9万円の返済差があるとします。
この9万円をすべて使わず修繕資金として積み立てれば、年間では100万円を超える現金を確保できます。
3年間積み上げれば、数百万円規模の修繕にも対応しやすくなります。
長期融資の価値は、返済を先送りすることではなく、毎月残した現金を賃貸経営の安全資金として確保できることにあります。
自己資金と現金余力についてはこちら。
▪️長期融資のメリット③ 次の物件へ進みやすくなる場合がある
不動産投資で規模を拡大する場合、毎月キャッシュフローを積み上げることには大きな意味があります。
例えば短期返済では毎月5万円しか残らないものの、長期返済なら毎月14万円残るとします。
差は月9万円、年間108万円です。
3年間なら単純計算324万円の差になります。
その現金を修繕へ備えながら積み上げられれば、次の物件の諸費用や自己資金へ使える可能性があります。
ただし、長期融資では既存ローンの残高も多く残ります。
次の融資では、現金が増えていることだけでなく、現在いくら借入が残っているのかも見られる可能性があります。
物件数を増やしたいから長期融資にするのではなく、「現金を増やしながら既存ローンも安全に管理できるか」で判断します。
2戸目へ進むタイミングについてはこちら。
▪️長期融資のデメリット① 支払利息は大きくなりやすい
返済期間を長くすると、毎月返済額は小さくなります。
その一方、借入残高が長期間残るため、同じ金利が続く前提なら支払利息の総額は大きくなりやすくなります。
3,000万円、年2.0%、元利均等返済で金利が変わらず最後まで返済した場合を単純計算すると、15年返済の総返済額は約3,475万円です。
25年返済では約3,815万円。
35年返済では約4,174万円になります。
15年と35年では、総返済額に約699万円の差があります。
つまり、35年返済は毎月の資金繰りを楽にする代わりに、長期間借り続けるコストを負担する形になります。
長期融資では「毎月いくら安いか」だけではなく、「最後まで返した場合に総額いくら支払うか」も確認します。
▪️ただし総支払額が少ないから短期融資が正解とも限らない
15年返済の方が支払利息を抑えやすいなら、すべて15年で借りればよいように見えます。
しかし、不動産投資では現金不足によって経営が苦しくなることがあります。
例えば毎月返済を9万円増やして年間108万円多く返済し、その結果として手元現金がほとんど増えなかったとします。
その状態で200万円の大規模修繕が発生すれば、別の借入や個人資金からの補填が必要になる可能性があります。
一方、長期融資で年間108万円を現金として残し、数年間積み上げていれば、自分の資金で対応できるかもしれません。
利息を減らすことと、手元現金を増やすことのどちらが現在の賃貸経営に重要なのかを考える必要があります。
▪️短期融資のメリット① ローン残高を早く減らせる
短期融資の大きなメリットは、元本を早く返済できることです。
同じ3,000万円を借りても、15年返済なら10年後の残債は約1,101万円です。
35年返済では約2,345万円残ります。
差は約1,244万円です。
この違いは、物件を売却するときに大きく影響します。
例えば10年後に2,500万円で売却する場合、15年返済なら残債を返済した後にも大きな差額を確保できる可能性があります。
35年返済では売却価格と残債の差が小さくなります。
将来売却して現金化したい人にとって、残債が早く減ることは大きなメリットです。
▪️短期融資のメリット② 完済後の家賃収入が大きくなる
例えば家賃収入月20万円、ローン返済月15万円の物件を15年で完済したとします。
ローン返済中は毎月15万円が出ていきますが、完済後はその返済がなくなります。
家賃収入から管理費、税金、修繕などを差し引く必要はありますが、ローン返済がなくなることで毎月の現金収支は大きく改善します。
35年返済なら毎月返済は小さいものの、長期間ローン返済が続きます。
「今のキャッシュフローを重視する長期融資」と「早い完済後の収入を重視する短期融資」では、目指している資金の残し方が違います。
▪️短期融資のデメリットは毎月の返済負担が大きいこと
短期融資で最も注意したいのは、毎月返済額です。
家賃25万円に対して返済19万円なら、返済後には6万円しか残りません。
1室退去して家賃が5万円下がれば、家賃20万円に対して返済19万円です。
そこから管理費、固定資産税、保険、修繕を支払う必要があります。
この状態では一時的に持ち出しが発生する可能性があります。
返済期間が短ければ残債は早く減りますが、その途中で資金繰りが続かなければ意味がありません。
不動産投資では「早く返せる返済期間」より、「空室があっても返し続けられる返済期間」を優先する考え方も重要です。
ローン返済比率についてはこちら。
▪️15年・25年・35年は何を重視するかで意味が変わる
15年返済は、毎月返済額が大きくても十分な家賃収入と現金余力があり、ローンを早く減らしたい人に向きやすい考え方です。
25年返済なら、毎月返済と残債減少の中間を取りやすくなります。
35年返済は、毎月のキャッシュフローをできるだけ確保し、空室や修繕への現金余力を重視する人にとって検討しやすくなります。
ただし、35年借りられるから35年が正解という意味ではありません。
返済期間に絶対的な正解はなく、投資家が「現在の現金」と「将来の残債」のどちらをどの程度重視するかで判断が変わります。
▪️築古物件では希望する長期融資が出るとは限らない
築古戸建や築年数の進んだアパートでは、投資家が長期返済を希望していても、金融機関から短い融資期間を提示される場合があります。
実際の最長期間は金融機関の融資方針や対象物件などによって異なり、金融機関の商品でも物件構造等によって利用できる最長期間が変わる例があります。(SMBC)
例えば500万円の築古戸建について、20年なら十分なキャッシュフローが残るものの、10年融資しか受けられず毎月返済が大きくなることも考えられます。
この場合、「500万円だから安い」という理由だけで買わないことが重要です。
融資期間まで含めて毎月いくら残るのかを計算し、その条件でも賃貸経営が成立するかを確認します。
▪️返済期間が短いせいで収支が悪いなら物件価格も見直す
例えば1,000万円の築古物件を購入したいものの、金融機関から15年融資しか提示されなかったとします。
その条件では毎月返済が大きく、想定家賃からほとんど現金が残らない。
この場合、返済期間だけを何とか延ばそうと考えるのではなく、購入価格そのものを見直す方法もあります。
950万円ならどうか。900万円ならどうか。自己資金を少し入れればどうか。
別の金融機関なら違う融資条件になるのか。
複数の方法を比較します。
「長期融資が出ないから悪い物件」ではありませんが、「短期融資では収支が成立しない価格」で購入することには注意が必要です。
▪️返済期間を決めるときは保有予定期間を先に考える
物件を30年間持ち続けたい人と、10年程度で売却したい人では、返済期間の考え方が変わります。
10年後に売却する予定なのに35年返済を選ぶなら、10年後のローン残高を必ず確認します。
反対に、長期間保有して家賃収入を受け取りながらゆっくり返済したいのであれば、毎月のキャッシュフローを優先する考え方もあります。
返済期間は「何年で借りられるか」から考えるのではなく、「この物件を何年間持つのか」から逆算すると判断しやすくなります。
▪️長期融資でも途中で繰上返済する方法がある
35年返済を選んだからといって、必ず35年間かけて返済しなければならないとは限りません。
賃貸経営が安定し、手元現金にも十分な余裕ができた段階で、一部繰上返済を検討できる場合があります。
例えば35年融資で毎月の返済負担を抑えながら、数年間かけて500万円の現金を積み上げたとします。
そのうち200万円を繰上返済し、残り300万円を修繕や空室への備えとして残すという考え方もあります。
これなら購入直後から短期返済で資金繰りを厳しくするのではなく、経営が安定してから借入を減らしていくことができます。
ただし、繰上返済の手数料や、その後の返済額・返済期間がどう変わるかは金融機関や契約によって異なります。
最初は長期融資で現金を残し、余裕ができたら元本を減らすという方法も選択肢の一つです。
▪️ただし繰上返済で現金を減らしすぎない
ローン残高が減ると安心感があります。
例えば手元現金500万円から300万円を繰上返済すれば、借金を大きく減らすことができます。
しかし、手元に残る現金は200万円です。
その直後に外壁工事150万円、複数戸の退去、設備交換などが重なれば、一気に資金余力が小さくなります。
ローン残高は減っていても、現金不足によって経営が苦しくなることはあります。
繰上返済は「返せるだけ返す」のではなく、返済後にも十分な現金を残せる範囲で考えます。
▪️長期融資とフルローンは相性が良く見えるが注意も必要
フルローンで物件価格の大部分を借り、さらに返済期間を長くすれば、購入時の自己資金と毎月返済額の両方を抑えられる可能性があります。
そのため、手元現金を多く残しながら不動産を購入できるという意味では魅力的です。
例えば3,000万円を35年で借り、購入後も500万円の現金を確保できるなら、修繕や空室への耐久力を持ちやすくなります。
一方で、借入額が大きく返済期間も長いため、ローン残高は長期間多く残ります。
購入価格より物件価値が低かったり、将来の売却価格が大きく下がったりすれば、売却時に残債が問題になる可能性があります。
「借入額を大きくする」と「返済期間を長くする」を同時に使う場合ほど、10年後・15年後の残債を確認することが重要です。
フルローン・オーバーローンについてはこちら。
▪️金利が同じでも返済期間によって金利上昇リスクの受け方が変わる
変動金利を利用する場合、返済期間が長ければ、それだけ長期間にわたって金利変動の影響を受ける可能性があります。
例えば35年返済を選び、10年後にも2,000万円以上の残債が残っている状態で金利条件が変われば、大きな借入残高に対して影響を受けます。
一方、15年返済なら10年後には残債がかなり減っているため、同じ時期に金利が上昇しても影響する元本は小さくなっています。
もちろん、短期融資では購入直後から毎月返済額が大きくなります。
長期融資では「今の返済が楽」というメリットと、「大きな残債を長期間持つ」というリスクをセットで考えます。
固定金利と変動金利についてはこちら。
▪️35年融資でも10年で売るなら10年目の数字が重要
35年ローンを組むと、「35年間持たないといけない」と感じるかもしれません。
しかし、実際の不動産投資ではローン完済前に売却することもあります。
例えば35年融資で購入し、10年間家賃収入を受け取った後に売却するという戦略も考えられます。
この場合、重要なのは35年後ではありません。
10年後にいくら残債があるのか。
そして、その時点で物件をいくらで売却できそうなのかです。
例えば10年後の残債2,300万円に対して、物件を3,000万円で売却できるなら一定の余裕があります。
一方、想定売却価格が2,000万円なら、売却代金だけでは残債を完済できない可能性があります。
長期融資を利用するなら、完済予定年より自分が売却を考える年の残債を重視します。
▪️「10年保有予定だから10年ローン」にする必要はない
10年後に売却する予定だからといって、必ず10年返済にする必要はありません。
10年ローンでは毎月返済額が非常に大きくなり、保有期間中のキャッシュフローがほとんど残らない可能性があります。
例えば20年や25年で借りて毎月の返済負担を抑え、10年後に売却してその時点の残債を完済する方法も考えられます。
重要なのは、その10年間でどれだけ現金を残せるかと、10年後の売却でローンを整理できるかです。
保有期間と返済期間は同じである必要はなく、保有中のキャッシュフローと売却時の残債を両方見ながら決めます。
▪️長期保有なら完済年齢も確認する
返済期間を長くする場合は、ローンが何歳で完済する予定になるのかも確認します。
例えば50歳で35年融資を組めば、単純には完済予定は85歳です。
実際には、金融機関や融資商品によって申込時や完済時の年齢条件が設定されている場合があります。
そのため、希望する返済期間がそのまま利用できるとは限りません。
また、投資家自身も「70歳まで保有するのか」「途中で売却するのか」「家族へ引き継ぐのか」を考える必要があります。
返済期間は物件だけではなく、自分の年齢と出口戦略にも合わせて考えます。
▪️団信を付ける場合も返済期間との関係を見る
長期融資ではローン残高が長期間残るため、団体信用生命保険の保障について確認する意味も大きくなります。
例えば35年融資で購入し、10年後にも2,000万円以上の残債があるとします。
本人に団信の保障対象となる万一のことが起きた場合、契約内容に応じてその残債へ保険で備えられる可能性があります。
一方、団信の加入条件、保障期間、年齢、疾病保障などは金融機関や商品によって異なります。
返済期間を長くする場合は、「長期間残るローンへどう備えるか」という視点でも団信を確認します。
団信についてはこちら。
▪️返済期間は物件ごとに変えてもいい
すべての物件を同じ返済期間で借りる必要はありません。
例えば築古戸建は15年、一棟アパートは25年、新しい物件は30年というように、物件ごとに異なる融資条件になることがあります。
家賃収入が安定し、利回りが高く、購入価格も小さい戸建なら、比較的短い返済期間でも十分なキャッシュフローが残る可能性があります。
反対に、借入額が大きい一棟物件では、短期返済にすると毎月返済が大きくなりすぎる場合があります。
「自分は25年返済派」と決めるのではなく、その物件の収支に合う返済期間を考えます。
▪️複数物件を持つなら返済期限が集中しないか確認する
物件数が増えてくると、一戸ずつの返済期間だけではなく、所有物件全体のローン構成を見る必要があります。
例えば5棟すべてを15年融資で購入しており、同じ時期に返済が進んでいく状態と、15年・20年・25年に分散している状態では資金の動きが違います。
また、完済が近い物件があれば、その後は毎月返済がなくなり、他の物件の修繕やローン返済へ現金を回しやすくなります。
一方、すべて35年融資で購入していれば毎月のキャッシュフローは作りやすいものの、長期間大きな総借入を抱えることになります。
規模を拡大するほど、一件の返済期間ではなくポートフォリオ全体の借入残高と返済額を見ることが重要です。
▪️法人では返済期間が会社のキャッシュフローへ直接影響する
法人で一棟アパートなどを購入する場合も、返済期間によって会社に残る現金が大きく変わります。
例えば家賃収入月50万円に対してローン返済が月35万円なら、返済後には15万円です。
返済期間を長くして返済額が月25万円なら、返済後には25万円残ります。
差は毎月10万円、年間120万円です。
この120万円を修繕や次の物件購入、法人の運転資金として残せることには大きな意味があります。
一方、長期融資なら法人の貸借対照表には長期間大きな借入が残ります。
法人でも「利益が出ているか」だけでなく、毎月現金がいくら残り、借入がいくら減っているかをセットで確認します。
▪️返済期間を途中で変えたくなったら借り換えという方法もある
購入時は15年返済だったものの、数年後に毎月返済が重くなり、キャッシュフローを改善したいこともあります。
反対に、35年返済で借りたものの、手元現金が増えてきたため、より短い返済へ組み直したい場合もあるかもしれません。
このようなときは、現在の金融機関へ相談したり、別の金融機関への借り換えを検討したりする方法があります。
ただし、借り換えには諸費用が発生し、新しい融資審査も必要になります。
「あとで借り換えればいい」と最初から無理な返済期間を選ぶのではなく、購入時点で無理なく続けられる条件を選ぶことが基本です。
借り換えについてはこちら。
▪️短期融資しか出ない物件を無理に買わない
欲しい物件が見つかると、「融資が出るなら買いたい」と考えやすくなります。
例えば家賃月10万円の物件に対して、希望していた25年ではなく10年融資しか出なかったとします。
毎月返済が8万円なら、返済後に残るのは2万円です。
そこから固定資産税、保険、修繕、空室などを負担すれば、十分なキャッシュフローが残らない可能性があります。
この場合、融資が通ったことと、投資として成立していることは別です。
購入価格を下げる。自己資金を増やす。別の金融機関を探す。物件自体を見送る。
複数の選択肢を考えます。
「何年でも融資が出れば買う」ではなく、その返済期間でも利益と現金が残る物件だけを購入することが重要です。
▪️長期融資が出るから高い物件を買っていいわけではない
反対に35年融資を受けられると、毎月返済額が小さくなり、高い物件でも買いやすく見えることがあります。
例えば3,000万円ではなく3,500万円の物件でも、35年返済なら毎月返済額の増加は一定範囲に収まるかもしれません。
しかし、借入額が500万円増えたことに変わりはありません。
購入価格が上がれば、将来残るローン残高も大きくなります。
返済期間を長くして毎月返済を小さく見せることで、購入価格の高さを見えにくくしないことが重要です。
▪️返済期間を決める前に3つの数字を比べる
返済期間で迷ったら、まず毎月返済額を比較します。
次に、5年後・10年後のローン残高を比較します。
そして最後に、完済まで支払った場合の総返済額を確認します。
例えば15年、25年、35年で迷っているなら、3パターンすべてについて同じ条件で数字を出します。
毎月返済はどれくらい違うのか。
10年後の残債はいくら違うのか。
総支払額はいくら違うのか。
この3つを並べるだけでも、返済期間ごとのメリットとデメリットがかなり見えやすくなります。
▪️さらに空室時の返済余力を確認する
通常時の家賃だけで返済期間を決めると、空室が発生したときに苦しくなることがあります。
例えば満室家賃30万円、返済20万円なら通常時には10万円残ります。
しかし1室5万円が空室になれば、家賃25万円に対して返済20万円です。
返済後には5万円しか残りません。
一方、長期融資によって返済15万円なら、空室後にも10万円残ります。
「満室なら返せる」ではなく、「一定の空室が発生しても返せるか」で返済期間を考えます。
▪️返済期間を選ぶときの一番危険な考え方
最も避けたいのは、
「毎月返済が一番安いから35年」
だけで決めることです。
反対に、
「借金は早く返した方がいいから15年」
だけで決めることも同じです。
35年ならキャッシュフローは残りやすいものの、将来残債が大きくなりやすい。
15年なら残債は早く減るものの、毎月の資金繰りは厳しくなりやすい。
どちらにもメリットとデメリットがあります。
返済期間は思想で決めるのではなく、自分の物件収支と現金余力を数字で見て決めます。
▪️Q&A|不動産投資ローンの返済期間でよくある疑問
Q. 不動産投資ローンは35年で借りるのが一番いいですか?
一概には言えません。35年なら毎月返済を抑えやすい一方、ローン残高が長期間多く残り、総支払額も大きくなりやすくなります。保有期間や売却予定、現金余力を含めて判断します。
Q. 返済期間は短いほど安全ですか?
残債を早く減らせるメリットはありますが、毎月返済額が大きくなります。空室や修繕が発生したときに資金繰りが厳しくなるなら、短い返済期間が必ず安全とは言えません。
Q. 築古物件でも30年や35年で借りられますか?
金融機関や融資商品、建物構造、築年数、審査結果などによって異なります。希望する長期融資が利用できない場合もあるため、実際の融資条件を確認する必要があります。
Q. 35年で借りて途中で繰上返済できますか?
繰上返済が可能な融資もありますが、手数料や最低返済額、その後の返済方法などは金融機関や契約によって異なります。実行前に条件を確認します。
Q. 10年後に売却するなら何年ローンがいいですか?
一律には決められません。10年後の想定売却価格と、その時点のローン残高を比較しながら、保有中に必要なキャッシュフローも確認して決めます。
▪️長期融資・短期融資を比較するときの考え方
例えば同じ物件について、15年・25年・35年の融資案が出たとします。
15年なら毎月返済は高いものの、10年後の残債はかなり減ります。
25年ならキャッシュフローと残債減少の中間になりやすくなります。
35年なら毎月返済は低く、現金を残しやすい一方、10年後にも大きな残債が残ります。
ここで重要なのは、「どれが一番得か」を一つの数字だけで決めないことです。
毎月返済・10年後の残債・総支払額・空室時の資金余力、この4つを比較すると判断しやすくなります。
▪️不動産投資の物件・融資条件を合わせて比較する
返済期間だけを考えても、不動産投資全体の安全性は分かりません。
購入価格はいくらか。家賃はいくら入るのか。修繕はいくら必要か。自己資金はいくら使うのか。
そのうえで、15年・25年・35年のどの返済期間なら無理なく現金が残るのかを考えます。
融資条件だけでなく、物件そのものの収益性と合わせて判断することが重要です。
不動産投資の物件・運用方法を比較したい方はこちら
▪️まとめ|返済期間は「毎月CF」と「将来残債」のバランスで決める
不動産投資ローンでは、返済期間を長くするほど毎月返済額を抑えやすくなります。
3,000万円、年2.0%の例では、15年返済なら毎月約19万3,000円、35年返済なら約9万9,000円です。
毎月約9万円の差があるため、長期融資はキャッシュフローを作りやすくなります。
空室や修繕が発生したときにも、毎月返済額が小さい方が資金繰りに余裕を持ちやすくなります。
一方、10年後の残債を見ると違う景色になります。
同じ条件なら15年返済では約1,101万円、35年返済では約2,345万円です。
10年後に物件を売却するなら、この約1,200万円以上の差が出口へ大きく影響する可能性があります。
さらに、長期融資では借入残高が長く残るため、同じ金利が続く前提なら総支払額も大きくなりやすくなります。
だからといって短期融資が正解でもありません。
毎月返済額が大きすぎて、空室や修繕が一度発生しただけで資金繰りが厳しくなるなら、残債を早く減らせるメリットを十分に生かせません。
不動産投資で重要なのは、早く返すことではなく、最後まで返し続けられることです。
そのため返済期間を決めるときは、まず毎月返済額を確認します。
次に、空室や家賃下落があっても返済できるかを確認します。
そして5年後・10年後のローン残高を確認し、その時点の想定売却価格と比較します。
完済まで保有するのであれば総支払額も確認します。
さらに、自分がその物件を何年間持ちたいのかも考えます。
長期融資は「返済を先送りする方法」ではなく、現在のキャッシュフローを確保する方法として使う。
短期融資は「借金を急いでなくす方法」ではなく、十分な返済余力がある中で残債を早く減らす方法として使う。
このように考えると、15年・20年・25年・30年・35年のどれが正解かではなく、自分の賃貸経営に合う返済期間が見えてきます。
そして迷ったときは、
毎月いくら残るか。
10年後にいくら借金が残るか。
この二つを必ず並べて確認します。
不動産投資ローンの返済期間は、このバランスを作るための重要な資金戦略です。
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