不動産投資で赤字決算を避けるには?減価償却・経費・銀行評価の考え方を徹底解説
- MIRAIU

- 8月11日
- 読了時間: 23分
不動産投資で赤字決算を避けるには?減価償却・経費・銀行評価の考え方を徹底解説
不動産投資で物件を増やしていくと、
家賃収入が増える。
所有物件が増える。
総資産も大きくなる。
一見すると、会社は順調に成長しているように見えます。
ところが決算を迎えてみると、
「あれ?赤字になっている……」
ということがあります。
なぜでしょうか。
物件が増えると家賃収入だけでなく、
減価償却費。
支払利息。
固定資産税などの租税公課。
修繕費。
管理費。
保険料。
なども増えていくからです。
特に築古物件を短い期間で減価償却している場合、実際には現金が残っていても、損益計算書では大きな赤字になるケースがあります。
ここで重要なのが、
「税金を減らす決算」と「次の融資につなげる決算」は、必ずしも同じ方向ではない
ということです。
今回は、
不動産投資で赤字決算になる理由。
減価償却と利益の関係。
現金が残っている赤字と資金繰りが苦しい赤字の違い。
融資を受け続けるための決算書の考え方。
そして銀行へ決算内容をどう説明するのか。
まで詳しく解説します。
▪️物件を増やしたのに赤字になるのはなぜ?
例えば、
1棟目。
2棟目。
3棟目。
と順調に収益物件を購入したとします。
当然、家賃収入は増えます。
しかし同時に、
借入金。
支払利息。
減価償却費。
固定資産税。
保険料。
修繕費。
なども増えていきます。
その結果、
売上は過去最高なのに最終利益は赤字
ということも起こります。
不動産賃貸業では、単純に家賃売上だけを見て会社の状態を判断できないということです。
▪️まず「赤字=現金がない」ではない
ここは不動産投資の決算書を理解するうえで非常に重要です。
例えば、
家賃収入1,000万円。
現金支出となる経費600万円。
減価償却費500万円。
とします。
単純化すると、
1,000万円-600万円-500万円
=▲100万円。
決算書上は100万円の赤字です。
しかし減価償却費500万円は、その年度に500万円を現金で支払ったという意味ではありません。
そのため、
決算書では赤字でも、実際の現金収支はプラス
という状態が起こり得ます。
▪️反対に「黒字なのに現金がない」こともある
さらにややこしいのがこちらです。
決算書では利益が出ている。
しかし銀行口座にはほとんど現金が残っていない。
不動産賃貸業では、この状態も起こります。
大きな理由の一つが、
借入元金の返済
です。
ローン返済額のうち支払利息は経費になりますが、元金返済は原則として経費ではありません。
つまり、
利益が出る。
↓
税金を支払う。
↓
さらに借入元金を返済する。
↓
思ったほど現金が残らない。
ということがあります。
だから不動産投資では、
利益とキャッシュフローを両方見る
必要があります。
▪️銀行は赤字決算をどう見る?
融資審査は金融機関によって異なるため、
「赤字なら絶対に融資されない」
とは言えません。
赤字になった理由も重要だからです。
例えば、
大規模修繕による一時的な赤字。
減価償却費による赤字。
創業直後の赤字。
恒常的な空室による赤字。
家賃収入だけでは返済できない赤字。
では、中身がまったく違います。
だから経営者自身が、
「なぜ赤字になったのか」
を説明できることが重要になります。
▪️それでも物件を増やしたいなら黒字は意識したい
今後も継続的に物件を購入していきたいのであれば、
安定して利益を出せる会社を目指す
ことは重要です。
例えば、
1期目▲200万円。
2期目▲300万円。
3期目▲400万円。
と赤字が続けば、
「この会社は本当に借入を返済できるのか?」
という疑問を持たれる可能性があります。
一方、
1期目▲200万円。
2期目+50万円。
3期目+200万円。
と改善していれば、
会社が成長しているストーリー
を説明しやすくなります。
▪️赤字を避けるために最初にやるべきこと
ここで、
「経費を削れば黒字になる」
と考えるのは少し早いです。
まず確認したいのは、
本業で十分な利益を生み出せているか
です。
不動産賃貸業なら、
家賃収入。
入居率。
家賃単価。
滞納。
空室期間。
管理費。
修繕費。
借入条件。
などを確認します。
空室が多いのであれば、会計処理を考える前に、
まず空室を埋める。
家賃収入が低いなら、収益改善を考える。
借入金利が高いなら、条件を確認する。
本業そのものを強くすることが基本です。
▪️減価償却費が赤字の原因になることがある
不動産投資では、
減価償却費
が利益に大きな影響を与えることがあります。
例えば年間の実際の現金収支が+300万円でも、
減価償却費が400万円あれば、その他の条件次第で会計上は赤字になる可能性があります。
特に築古物件を複数所有すると、減価償却費が大きくなるケースがあります。
すると、
現金は増えているのに利益はマイナス
という状態になります。
減価償却と融資についてはこちらで詳しく解説しています。
不動産投資の減価償却で融資が不利になる?節税と銀行評価を両立する考え方を徹底解説
▪️法人では減価償却の計上額を検討できる場合がある
法人の減価償却では、税務上の償却限度額まで必ず全額を損金算入しなければならないケースばかりではなく、適用する会計・税務処理を踏まえて計上額を検討する余地がある場合があります。
例えば、
減価償却前利益+300万円。
減価償却限度額400万円。
だった場合。
400万円を計上すれば、
▲100万円。
となります。
仮に適切な処理のもとで200万円を計上するなら、
+100万円。
となります。
つまり、
減価償却費の計上額によって、その期の利益が変わる場合がある
ということです。
ただし、ここは単純な「赤字を黒字にする裏ワザ」として使うべき話ではありません。
会計方針との整合性や継続性、税務上の取扱い、金融機関への説明なども関係します。
実際に採用する場合は、税理士などの専門家へ確認することが重要です。
▪️減価償却を少なくすれば銀行評価が必ず上がるわけではない
ここも重要です。
例えば、
本来大きな減価償却費が発生する会社なのに、毎年極端に少額しか計上していない。
その結果だけを見て、
「黒字だから財務が良い」
とは限りません。
金融機関側も決算書の内容を確認します。
だから、
数字だけ黒字に見せること
を目的にするのは危険です。
大切なのは、
なぜその会計処理をしているのか。
実際のキャッシュフローはいくらなのか。
返済能力は十分なのか。
を経営者自身が説明できることです。
▪️経費を「計上しなければいい」という考え方にも注意
例えば不動産会社との会食。
物件調査の交通費。
不動産投資のための出張。
など、事業に関連する支出が発生することがあります。
ここで、
「赤字になるから全部経費から外せばいい」
と単純に考えるのはおすすめできません。
事業と個人の支出を適切に区分し、実際の取引に基づいて帳簿を作ることが基本です。
また、法人が負担した支出を帳簿から単純に消せるわけではありません。
決算書を良く見せることより、正確な会計処理をすることが前提
です。
▪️経費を削るなら「無駄な支出」を削る
それでも支出を見直すこと自体は重要です。
例えば、
使っていないサービス。
過剰な通信費。
不要な会費。
費用対効果の低い広告。
利益につながっていない支出。
などです。
これらを削減すれば、
利益。
現預金。
の両方を改善できます。
一方で、
入居を決めるための修繕。
必要な設備交換。
物件維持に必要なメンテナンス。
まで削ってしまうと、将来的に家賃収入が減る可能性があります。
だから、
「経費を減らす」のではなく、「利益を生まない支出を減らす」
と考えます。
▪️節税しすぎると次の融資に影響する可能性もある
不動産投資を始めると、
「できるだけ経費を増やして税金を減らしたい」
と考えることがあります。
もちろん適切な税務処理の範囲で税負担を考えることは重要です。
しかし、
毎年利益ゼロ。
毎年赤字。
純資産も増えない。
という決算を続けながら、
「もっと融資してください」
となると、事業拡大との方向性が合わなくなる場合があります。
つまり、
税金を最小化すること
と、
金融機関から継続的に資金調達すること
では、優先順位が異なることがあります。
▪️「税金を払う=損」とは限らない
例えば、
利益500万円。
法人税等を支払う。
残った利益を会社に蓄積する。
これを繰り返せば、
利益剰余金が積み上がり、純資産が厚くなる
方向へ進みます。
税金だけを見ると支出です。
しかし、
利益を出す。
↓
税金を支払う。
↓
税引後利益を残す。
↓
純資産を増やす。
という流れは、会社を育てる基本でもあります。
次の融資を受けながら規模を拡大したいのであれば、
「税金を払わない会社」ではなく「税金を払っても現金が残る会社」
を目指す考え方も重要です。
▪️黒字でも現金が減っていたら要注意
ここまで黒字決算について説明しましたが、
黒字なら何でも良いわけではありません。
例えば、
利益+100万円。
しかし1年間で現預金▲300万円。
だったら、
なぜ現金が減ったのか
を確認する必要があります。
物件購入。
大規模修繕。
借入元金返済。
など明確な理由があるなら説明できます。
しかし本業そのものから現金が流出しているのであれば、改善が必要です。
だから決算書では、
PLの利益
だけではなく、
実際の現預金増減
まで確認することが重要です。
現預金についてはこちら。
不動産投資で銀行が見る「現預金」はいくら必要?融資を受けやすい大家の決算書を徹底解説
▪️「融資が出るから買う」では危険
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不動産投資を拡大していると、
「この物件なら融資が出ます」
という状況が出てくることがあります。
しかし重要なのは、
融資が出るかではなく、買った後も会社が強くなるか
です。
購入後に、
現預金がほとんどなくなる。
年間現金収支がマイナスになる。
赤字幅が拡大する。
債務超過が悪化する。
返済負担が大きくなる。
のであれば、一度立ち止まって数字を確認する必要があります。
逆に、
家賃売上が増える。
利益が増える。
年間現金収支もプラス。
純資産も増える。
そして次の融資余力も残る。
という物件なら、会社の成長につながる可能性があります。
不動産投資について詳しく確認したい方はこちら。
▪️目指したいのは「融資を受け続けられる会社」
1棟だけ買うのであれば、
その1棟に融資が付くかどうか。
でもいいかもしれません。
しかし、
5棟。
10棟。
20棟。
と増やしていきたいなら、考え方が変わります。
今回の物件に融資が出るか。
だけではなく、
今回の物件を買った後も、次の融資につながる会社でいられるか。
ここまで考える必要があります。
そのためには、
家賃売上を伸ばす。
↓
利益を出す。
↓
利益剰余金を積み上げる。
↓
純資産を厚くする。
↓
現預金を増やす。
↓
借入元金を返済する。
↓
銀行から見ても説明しやすい決算書にする。
↓
次の物件へ。
という循環を作っていくことが重要です。
▪️赤字でも金融機関に説明できるケースはある
赤字決算だからといって、会社の状態がすべて同じとは限りません。
例えば、
A社
本業の賃貸経営そのものが赤字。
空室が多い。
返済負担も重い。
現預金も毎年減っている。
B社
賃貸経営から現金は残っている。
返済も問題なく行えている。
しかし減価償却費が大きく、会計上は赤字。
同じ「赤字決算」でも、中身は大きく違います。
また、
大規模修繕。
物件取得時の一時的な費用。
突発的な支出。
などによって、その期だけ利益が落ちる場合もあります。
だから重要なのは、
赤字か黒字かだけではなく、なぜその数字になったのかを説明できること
です。
▪️銀行に説明したいのは「赤字の原因」
例えば、
当期純損失▲200万円。
という決算だったとします。
これだけを見ると赤字です。
しかし、
減価償却費300万円。
大規模修繕100万円。
そして賃貸経営そのものからは安定した家賃収入が入っている。
という状態なら、
赤字の中身を分解して説明する
ことができます。
「赤字ですが大丈夫です」
では弱い。
それよりも、
何が原因で赤字になったのか。
その原因は翌期も続くのか。
実際の現金収支はどうなっているのか。
まで説明できる状態にしておきます。
▪️キャッシュフローを自分で把握しておく
特に不動産賃貸業では、
実際に1年間で現金がいくら増えたのか
を確認しておきたいところです。
簡単に考えるなら、
年間家賃入金
-ローン返済
-固定資産税
-火災保険
-管理費
-修繕・原状回復
-その他の実支出
=実際の年間手残り
という形で確認します。
もちろん厳密なキャッシュフロー計算書とは異なります。
しかし大家自身が、
「うちの会社は1年間で本当にいくら現金を生んだのか」
を把握するには非常に役立ちます。
▪️「家賃-ローン返済=CF」では足りない
ここは特に注意したいところです。
例えば、
毎月家賃50万円。
ローン返済25万円。
なら、
「毎月25万円儲かっている」
ように見えます。
年間なら300万円です。
しかし実際には、
固定資産税60万円。
火災保険20万円。
修繕100万円。
管理・維持費40万円。
などが発生していたとします。
年間220万円。
すると、
300万円-220万円
=80万円。
単純化すれば、
本当に残った現金は年間80万円
です。
だから物件を増やすときには、表面的な月間CFだけで判断しないことが重要です。
▪️固定資産税・保険・修繕まで払ってプラスなのか
不動産賃貸業では、
固定資産税。
保険。
大規模修繕。
退去時の原状回復。
設備交換。
などが毎月均等に発生するわけではありません。
そのため、
1月+30万円。
2月+30万円。
3月+30万円。
と順調に見えても、
4月に固定資産税。
6月に火災保険。
8月に給湯器交換。
10月に退去修繕。
となれば、年間ではほとんど現金が増えていないことがあります。
だから、
月次CFではなく12ヶ月で確認する。
これが重要です。
▪️次の物件を買う前に「年間現金収支」を確認する
今後も物件を増やすのであれば、次の購入前に一度、
既存物件だけで年間現金収支がプラスなのか
を確認してみましょう。
もし、
年間家賃収入1,000万円。
年間ローン返済500万円。
固定資産税100万円。
保険50万円。
修繕150万円。
管理・その他100万円。
なら、
単純化すると、
1,000万円-500万円-100万円-50万円-150万円-100万円
=100万円。
年間100万円のプラスです。
これなら少なくとも、既存物件全体から現金を生み出していることが確認できます。
▪️年間現金収支がマイナスなら規模拡大は慎重に
反対に、
既存物件だけで毎年▲200万円。
そこへ新しい借入をして物件を追加する。
新しい物件でも思ったほど現金が残らない。
さらに修繕が発生する。
こうなると、
物件を増やすほど資金繰りが苦しくなる
可能性があります。
総家賃収入は増えている。
総資産も増えている。
所有戸数も増えている。
しかし銀行口座の現金は減っている。
これは注意したい状態です。
だから、
「次を買えるか」より先に「今の物件で現金を生めているか」
を確認することが重要です。
▪️黒字化の第一歩は既存物件の収益改善
赤字決算を改善するなら、
会計処理だけで黒字を作ることより、
既存物件の収益力を改善する
ことを優先したいところです。
例えば、
空室を埋める。
滞納を減らす。
家賃設定を見直す。
不要な支出を削減する。
管理費を確認する。
修繕方法を見直す。
借入条件を確認する。
などです。
これによって家賃収入と実際のキャッシュフローが改善すれば、
決算書と現預金の両方が強くなる
方向へ進みます。
▪️リフォームは「経費」ではなく収益改善から考える
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築古物件ではリフォーム費用が大きな負担になることがあります。
しかし、
「100万円かかるからやめよう」
だけでは判断できません。
例えば100万円の工事によって、
半年空室だった部屋が決まる。
家賃5万円を維持できる。
長期入居につながる。
のであれば、将来的な収益改善につながる可能性があります。
重要なのは、
いくら使うかではなく、その支出によってどれだけ家賃を生み出せるか
です。
築古物件のリフォームを検討している方はこちら。
▪️決算前だけ数字を確認するのでは遅い
決算月になってから、
「今年赤字になりそう」
と気付くより、
毎月あるいは数ヶ月ごとに、
売上。
利益。
現預金。
借入残高。
空室。
修繕費。
などを確認しておく方が経営判断をしやすくなります。
例えば半年経過時点で、
家賃売上は予定通り。
しかし修繕費が予算より200万円多い。
ということが分かれば、残り半年の収支を予測できます。
つまり決算書は、
完成してから見るものではなく、完成する前から予測するもの
という考え方も重要です。
▪️決算前に最低限確認したい数字
不動産賃貸業なら、少なくとも、
①家賃売上
②営業利益・経常利益などの利益状況
③減価償却費
④現預金
⑤借入残高
⑥年間元利返済額
⑦修繕費
⑧固定資産税・保険などの年間支出
⑨純資産
⑩利益剰余金
は確認しておきたいところです。
そして前年と比較します。
売上は増えたのか。
利益は改善したのか。
現金は増えたのか。
残債は減ったのか。
純資産は増えたのか。
この変化を見ることで、会社が強くなっているのかが分かりやすくなります。
▪️赤字から黒字になった「理由」を説明できるようにする
例えば前期▲200万円。
今期+100万円。
になったとします。
銀行へは、
「黒字になりました」
だけで終わらせるより、
空室3室を満室化。
年間家賃+180万円。
不要経費▲30万円。
一時的修繕費が減少。
結果として黒字化。
と説明できた方が、会社の改善内容が伝わりやすくなります。
重要なのは、
偶然黒字になったのではなく、経営改善によって黒字になった
と説明できることです。
▪️減価償却を調整した場合も説明できる状態にする
仮に専門家と相談したうえで、法人の減価償却について限度額まで計上しない処理を採用した場合、
銀行から、
「減価償却が少ないですね」
と確認される可能性も考えておきます。
そのとき、
「税理士がやりましたので分かりません」
ではなく、
なぜその処理を採用したのか。
実際のキャッシュフローはいくらなのか。
今後どのような会計方針を取るのか。
を説明できる状態にしておくことが重要です。
税理士任せにせず、経営者自身が自社の決算書を理解する。
これは融資を受け続けるうえでも重要な力になります。
▪️黒字化だけを目的にしてはいけない
ここまで黒字決算の重要性を説明しましたが、
黒字なら何でもいい
という意味ではありません。
例えば、
必要な修繕を先送りする。
必要な広告を止める。
設備故障を放置する。
空室対策をしない。
こうすれば短期的には費用が減って利益が増えるかもしれません。
しかし翌年、
大規模修繕。
長期空室。
家賃下落。
につながれば逆効果です。
だから目指すのは、
数字だけの黒字ではなく、継続して現金を生み出せる黒字
です。
▪️債務超過なら利益を積み上げる意味はさらに大きい
純資産がマイナスの債務超過状態なら、利益を積み上げる意味はさらに大きくなります。
例えば、
純資産▲300万円。
今期利益+100万円。
なら、単純化すれば純資産は▲200万円方向へ改善します。
翌期も+150万円。
さらに翌期+100万円。
と利益を積み上げれば、債務超過解消へ近づきます。
つまり、
黒字を積み重ねることがB/S改善につながる
ということです。
債務超過について詳しくはこちら。
不動産投資で債務超過になると融資はどうなる?貸借対照表(BS)の見方と改善方法を徹底解説
▪️ローン元金返済も会社の実態を見るうえでは重要
毎月のローン元金返済は経費ではありません。
そのため、
元金返済=そのまま利益増加
ではありません。
しかし元金を返済すれば、貸借対照表上の借入金は減っていきます。
さらに不動産の市場価値が維持されているなら、
時価-残債
の差は大きくなっていく可能性があります。
いわゆる、
コンクリート貯金
です。
ただし現預金が減り続けている状態で、
「残債が減っているから大丈夫」
と考えるのも危険です。
現預金と不動産純資産。
両方を見る必要があります。
簿価・時価・銀行評価についてはこちら。
不動産投資の決算書にある「不動産価格」は本当の資産価値?簿価・時価・銀行評価の違いを徹底解説
▪️次の物件は「買った後の決算書」まで予測する
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
次の物件を検討するときは、
利回り。
価格。
融資条件。
だけではなく、
購入後の決算書を簡単に予測する
方法もあります。
例えば、
年間家賃+600万円。
支払利息+100万円。
固定資産税+50万円。
管理・修繕等+150万円。
減価償却費+200万円。
と予測します。
さらに、
年間ローン返済はいくらか。
購入後の現預金はいくら残るか。
既存物件と合わせた年間現金収支はいくらになるか。
まで確認します。
すると、
買った後に利益が増えるのか。
現金が増えるのか。
財務が強くなるのか。
が見えやすくなります。
不動産投資について詳しく確認したい方はこちら。
▪️「買える物件」より「買った後も融資が続く物件」
不動産投資を拡大するなら、ここが非常に重要です。
融資承認が出た。
だから買う。
ではありません。
購入後、
現預金は十分残るか。
年間現金収支はプラスか。
利益を出せるか。
純資産は改善するか。
返済負担は重すぎないか。
次の金融機関へ説明できる決算になるか。
まで考えます。
目先の1棟を買うこと以上に、
買った後も融資を受け続けられる法人を育てる。
この考え方が、長期的な規模拡大では重要になります。
▪️売却によって財務を改善する方法もある
すべての物件を永久に保有する必要はありません。
例えば、
収益力が低い。
修繕負担が大きい。
残債が十分減った。
売却するとまとまった現金が残る。
といった物件なら、売却を検討することもできます。
売却。
↓
借入返済。
↓
現預金確保。
↓
財務改善。
↓
次の優良物件へ再投資。
という流れです。
つまり不動産投資は、
買うだけではなく、売ることでも会社を強くできる
場合があります。
▪️売却が難しい空き家・訳あり物件なら出口を比較する
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地方の築古物件などでは、
建物状態が悪い。
長期間空室。
再建築などに問題がある。
残置物が多い。
一般市場では買い手が見つかりにくい。
といった物件もあります。
保有しているだけで、
固定資産税。
草刈り。
修繕。
管理。
などの支出が続くなら、保有だけにこだわる必要はありません。
空き家・訳あり不動産の買取を検討する方はこちら。
▪️資産形成では「利益・現金・純資産」を同時に見る
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会社を大きくすることだけが目的ではありません。
最終的には、
自分の純資産が増えているか
を見ることも重要です。
家賃収入が増える。
利益が増える。
現金が増える。
残債が減る。
純資産が増える。
この状態を長期間続けられれば、資産形成は進んでいきます。
逆に、
物件数は増える。
借入も増える。
現金は減る。
利益も出ない。
となれば、一度立ち止まって財務を確認する必要があります。
資産形成全体について確認したい方はこちら。
▪️よくある質問
Q. 不動産投資では赤字決算になると融資は受けられませんか?
赤字だけで融資可否が決まるわけではありません。
赤字の理由、キャッシュフロー、現預金、純資産、既存借入、返済状況、所有不動産などを含めて金融機関ごとに判断されます。
Q. 減価償却費で赤字になっている場合は問題ありませんか?
必ず問題ないとはいえません。
減価償却費を加味した返済能力を見る場合もありますが、金融機関によって審査方法は異なります。
赤字の原因と実際の現金収支を説明できるようにしておきましょう。
Q. 法人なら減価償却をしなくてもいいのですか?
法人税務では減価償却費について損金算入限度額の範囲で扱いが異なる場合がありますが、会計上の適正な処理や継続性、金融機関への説明なども関係します。
黒字化だけを目的に自己判断せず、税理士などの専門家へ確認しましょう。
Q. 経費を減らせば銀行評価は良くなりますか?
単純ではありません。
不要な支出を削減して利益や現金が増えることは財務改善につながります。
一方、必要な修繕や空室対策まで削ると将来の収益力を落とす可能性があります。
Q. 黒字とキャッシュフローならどちらを優先すべきですか?
どちらか一方ではありません。
利益は純資産を積み上げるために重要で、キャッシュフローは事業を継続するために重要です。
利益も出て、現金も増える状態
を目指すことが基本です。
Q. いつ次の物件を買ってもいいのでしょうか?
絶対的な基準はありません。
ただし既存物件の年間現金収支、購入後の現預金、利益、純資産、返済余力などを確認し、
購入後も財務状態を維持・改善できるか
を検討することが重要です。
▪️まとめ|目標は「黒字」ではなく融資を受け続けられる会社
不動産投資で物件を増やすと、
減価償却。
支払利息。
租税公課。
修繕費。
なども増えていきます。
その結果、家賃収入が増えていても赤字になる場合があります。
しかし重要なのは、
数字だけを無理に黒字へ持っていくことではありません。
まず、
家賃売上を伸ばす。
↓
空室を減らす。
↓
利益を出す。
↓
年間現金収支をプラスにする。
↓
現預金を増やす。
↓
利益剰余金を積み上げる。
↓
純資産を厚くする。
↓
借入元金を返済する。
↓
金融機関に改善内容を説明できるようにする。
↓
次の物件へ進む。
この循環を作ることです。
そして次の物件を購入するときには、
「この物件に融資が付くか?」
だけではなく、
「この物件を買った後も融資が続く会社でいられるか?」
まで考える。
物件数を増やすことそのものではなく、
1棟増えるたびに会社が強くなる不動産投資
を目指していきましょう。
▪️関連記事|不動産投資・決算書シリーズ
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