不動産投資で法人を複数持つメリット・デメリット|1物件1法人と複数法人戦略を徹底解説
- MIRAIU

- 8月11日
- 読了時間: 28分
不動産投資で法人を複数持つメリット・デメリット|1物件1法人と複数法人戦略を徹底解説
不動産投資を始めると、最初は、
個人で買うべきか。
法人で買うべきか。
という問題に悩むことがあります。
そして物件数が増えてくると、さらに一段進んで、
「法人は1社だけでいいのか?」
という疑問が出てきます。
例えば、
1法人ですべての物件を持つ。
2社に分けて不動産を保有する。
地域ごとに法人を分ける。
事業ごとに法人を分ける。
さらに、
1物件につき1法人
という考え方もあります。
では、法人を複数作れば融資を受けやすくなるのでしょうか。
物件ごとに法人を分ければ、借入やリスクを完全に切り離せるのでしょうか。
結論からいえば、
法人を増やせば自動的に不動産投資が有利になるわけではありません。
法人が増えれば、
決算。
税務申告。
銀行口座。
帳簿。
税理士費用。
登記。
融資管理。
などの負担も増えます。
また、代表者や実質的な経営者が同じ複数法人について、金融機関が関連法人として全体の財務状況を確認することもあります。
だから重要なのは、
「法人を何社持つか」ではなく、「なぜその法人が必要なのか」
です。
今回は、
複数法人を持つメリット。
デメリット。
1物件1法人の考え方。
銀行融資との関係。
法人ごとの決算書。
地域金融機関との付き合い方。
将来的な法人売却という出口戦略。
まで詳しく解説します。
▪️まず不動産投資で法人を作る目的を考える
そもそも不動産投資で法人を作る理由は、人によって違います。
例えば、
不動産賃貸業を事業として拡大したい。
法人名義で融資を受けたい。
利益を法人内に蓄積したい。
他の事業と不動産を組み合わせたい。
将来の事業承継を考えたい。
共同経営をしたい。
などです。
つまり、
法人を作ること自体が目的ではありません。
不動産経営をどう成長させるのか。
そのための一つの「器」が法人です。
だから、
「不動産投資家は法人を作った方がいいらしい」
という理由だけで設立するのではなく、
自分がどこまで規模を拡大したいのか
から逆算して考えることが重要です。
▪️法人1社ですべての物件を持つ方法
最もシンプルなのが、
1法人で複数物件を所有する方法
です。
例えば、
A法人
↓
アパート1棟
↓
戸建3戸
↓
マンション1棟
という形です。
この方法なら、
決算書は1社分。
税務申告も1社分。
銀行口座も比較的整理しやすい。
税理士とのやり取りも一本化しやすい。
というメリットがあります。
特に不動産投資を始めたばかりであれば、
まず1法人をしっかり育てる
という考え方は非常に分かりやすい方法です。
▪️1法人に物件を集めると「決算書」が育つ
1法人で物件を増やしていく場合、
各物件の家賃売上。
利益。
現預金。
借入金。
不動産。
が同じ法人の決算書に積み上がっていきます。
例えば、
1棟目の年間家賃500万円。
2棟目の年間家賃400万円。
3棟目の年間家賃600万円。
なら、
法人全体では年間家賃1,500万円です。
その中で毎年利益を残すことができれば、
利益剰余金や純資産も積み上がっていきます。
つまり、
金融機関へ見せられる「法人としての実績」を一つの会社に集中できる
ということです。
▪️物件数より「会社が強くなっているか」を見る
例えば、
1棟→3棟→5棟。
と物件数が増えたとしても、
それだけで会社が強くなったとは限りません。
借入金だけが増えている。
現預金が減っている。
毎年赤字。
利益剰余金がマイナス。
純資産もマイナス。
となっているなら、物件数は増えていても財務状態は悪化している可能性があります。
逆に、
家賃売上が増える。
利益が出る。
現預金が増える。
借入元金が減る。
利益剰余金が積み上がる。
純資産が増える。
という状態なら、
1棟増えるたびに会社そのものが強くなっている
と考えやすくなります。
▪️融資を受け続けるなら「法人を育てる」という考え方
不動産投資で規模拡大を狙う場合、
目先の1棟だけに融資が出るかを見るのではなく、
その物件を買った後も融資が続く法人を作る
という視点が重要です。
例えば、
家賃売上を伸ばす。
↓
利益を出す。
↓
利益剰余金を積み上げる。
↓
純資産を厚くする。
↓
現預金を増やす。
↓
借入元金も返済する。
↓
金融機関へ説明しやすい決算書になる。
↓
次の融資へ。
この循環を1法人で作ることができれば、その法人自体に実績が蓄積されていきます。
決算書と融資についてはこちら。
不動産投資で融資が続く決算書とは?銀行が見るポイントと財務改善の考え方を徹底解説
▪️では、なぜ複数法人を作る人がいるのか?
1法人で事業を拡大できるのであれば、
なぜ2社、3社と法人を作る投資家がいるのでしょうか。
理由はいくつか考えられます。
例えば、
地域ごとに事業を分けたい。
本業と不動産事業を分けたい。
共同経営者や出資関係が異なる。
資産管理単位を分けたい。
将来の事業承継を考えたい。
売却単位を分けたい。
地域ごとの事業基盤を作りたい。
などです。
つまり複数法人は、
融資を増やすための魔法ではなく、事業構造を分けるための選択肢
と考えた方が分かりやすいでしょう。
▪️複数法人のメリット① 事業を分けて管理できる
例えば、
A社=不動産賃貸業。
B社=リフォーム・住宅関連事業。
というように事業を分ける方法があります。
あるいは、
A社=関西エリア。
B社=関東エリア。
という地域別の事業展開も考えられます。
事業を明確に分けることで、
どの法人から利益が出ているのか。
どの借入がどの事業に対応しているのか。
どの法人に現預金があるのか。
などを把握しやすくなる場合があります。
▪️複数法人のメリット② 地域ごとの事業基盤を作れる場合がある
地方不動産投資では、
地域金融機関との関係が重要になることがあります。
例えば、
関西を中心に事業を行う法人。
関東を中心に事業を行う法人。
というように、実際の事業展開に合わせて法人を分ける考え方です。
ただし、
その地域に法人を作れば、その地域の銀行から融資を受けられる
という単純な話ではありません。
所在地。
事業実態。
物件所在地。
代表者。
取引実績。
預金取引。
決算内容。
など、さまざまな要素が審査に関係します。
法人だけ作って中身がなければ意味がありません。
重要なのは、
「この地域で本当に事業を行っている会社」として育てること
です。
▪️複数法人のメリット③ 資産と借入を分けて管理できる
例えば、
A法人
総資産1億円
借入7,000万円
B法人
総資産5,000万円
借入2,000万円
というように、法人ごとに資産と負債を管理できます。
これによって、
どの法人が利益を生んでいるのか。
どの法人の借入負担が大きいのか。
どの法人に現金が残っているのか。
が分かりやすくなります。
ただし注意したいのが、
法人を分けたからといって、金融機関から完全に別物として評価されるとは限らない
という点です。
▪️複数法人を作れば借入をリセットできる?
ここは非常に重要です。
例えば、
A法人で借入5,000万円。
さらに物件を買いたい。
そこでB法人を新設する。
そして、
「B法人には借入がないから、ゼロから融資を受けられるのでは?」
と考える。
しかし実際の融資審査では、代表者や関連法人、既存借入、保証状況などについて確認される場合があります。
つまり、
法人を新しく作れば既存借入が消えるわけではありません。
新法人を作ることと、グループ全体の返済能力が高くなることは別問題です。
▪️金融機関に隠す前提で法人を作らない
不動産投資で長期的に融資を受け続けたいのであれば、
金融機関との信頼関係は非常に重要です。
関連法人。
既存借入。
所有不動産。
保証債務。
などについて金融機関から確認された場合は、適切に説明する必要があります。
だから複数法人戦略も、
「銀行に分からないように借入を増やす」
という発想ではなく、
「事業上の明確な理由があるから法人を分ける」
という考え方が基本です。
▪️1物件1法人とは?
不動産投資では、
1つの物件につき1つの法人を作る
という方法が検討されることがあります。
例えば、
Aアパート
↓
A法人
Bマンション
↓
B法人
Cビル
↓
C法人
という形です。
1法人が基本的に1物件だけを所有するため、
資産。
借入。
家賃収入。
修繕費。
利益。
現預金。
などが物件単位で明確になります。
▪️1物件1法人のメリット① 物件単位の成績が分かりやすい
複数物件を1法人で所有していると、
A物件+300万円。
B物件▲200万円。
C物件+100万円。
でも、
法人全体では+200万円。
となります。
これだけを見ると黒字ですが、
B物件が会社全体の利益を大きく削っている
ことが分かります。
1物件1法人なら、
その法人の決算書を見ることで、その物件単体の収益状況を把握しやすくなります。
ただし、物件別会計を適切に行えば、1法人でも物件単位の収支管理は可能です。
そのため、
「物件別収支を把握したい」という理由だけで法人を増やす必要があるとは限りません。
▪️1物件1法人のメリット② 出口戦略が増える可能性がある
通常、不動産を売却するときは、
土地。
建物。
を売却します。
しかし1法人が特定の物件を中心に保有している場合、
理論上は、
その法人の持分や株式等を譲渡することで、法人そのものを承継する
という出口も検討できる場合があります。
つまり、
不動産を売る
だけではなく、
会社そのものを譲渡する
という考え方です。
これは非常に面白い出口戦略ですが、簡単ではありません。
▪️法人ごとの売却には注意点も多い
法人そのものを譲渡する場合、
買主は不動産だけを見るわけではありません。
借入。
保証。
税務。
賃貸借契約。
未払債務。
過去の取引。
簿外債務。
訴訟リスク。
なども確認する必要があります。
さらに融資契約によっては、経営権や持分・株式等の変更について金融機関との調整が必要になる場合もあります。
つまり、
「物件1つしか入っていない法人だから簡単に売れる」
とは限りません。
法人売却を出口として考える場合は、税理士・司法書士・弁護士など専門家への確認も重要になります。
▪️1物件1法人の大きなデメリットは管理コスト
例えば10物件所有していて、
10法人。
となったらどうでしょうか。
10社分の、
決算。
税務申告。
銀行口座。
帳簿。
法人管理。
税理士対応。
登記関係。
各種書類。
が必要になります。
さらに法人ごとに一定の維持費や税負担が発生することもあります。
つまり、
資産・負債を分けやすい代わりに、管理コストは大きくなる
ということです。
▪️法人が増えるほど「全体を見る力」が必要になる
例えば、
A法人 利益+300万円。
B法人 利益▲200万円。
C法人 利益+50万円。
だったとします。
さらに、
A法人 現預金1,000万円。
B法人 現預金100万円。
C法人 現預金500万円。
そして、
B法人では来年500万円の大規模修繕予定。
となれば、単純な利益だけでは判断できません。
法人が増えるほど、
各社の決算書を見る力
と、
グループ全体を見る力
の両方が必要になります。
▪️複数法人でも最終的には純資産を見る
不動産投資を長期間続けるなら、
物件数。
法人の数。
総借入額。
だけではなく、
最終的に純資産が増えているか
を見ることが重要です。
例えば、
不動産評価1億円。
現預金2,000万円。
その他資産500万円。
負債9,000万円。
なら、単純化した実質的な資産余力を考えることができます。
法人が2社、3社になっても、
資産-負債
という基本は変わりません。
▪️債務超過だから新法人を作れば解決する?
これも注意したい考え方です。
既存法人が債務超過。
↓
新法人を作る。
↓
新法人で次の融資を受ける。
これで既存法人の問題が解決するわけではありません。
代表者や関連法人として既存会社の状況を確認される可能性もあります。
そして何より、
グループ全体の純資産が増えたわけではありません。
既存法人が債務超過なら、
家賃売上を伸ばす。
利益を出す。
利益剰余金を積み上げる。
借入元金を返済する。
などによって、既存法人そのものを改善していくことも重要です。
債務超過について詳しくはこちら。
不動産投資で債務超過になると融資はどうなる?貸借対照表(BS)の見方と改善方法を徹底解説
▪️法人を増やす前に、まず1社目を強くする
不動産投資を始めたばかりなら、
「法人を5社作れば融資先も増えるのでは?」
と考えるより、
まず現在の法人を強くする
という考え方も重要です。
家賃売上を増やす。
↓
利益を出す。
↓
利益剰余金を積み上げる。
↓
純資産を厚くする。
↓
現預金を増やす。
↓
借入元金を返済する。
↓
返済実績を積み上げる。
↓
次の融資へ。
このサイクルができたうえで、
「本当に2社目が必要なのか?」
を考えます。
▪️法人を増やす前に「何のため?」を一行で答える
2社目を作るなら、
なぜ必要なのか?
を一言で説明できる状態にしておきたいところです。
例えば、
「地域ごとに事業を分けるため」
「本業と不動産賃貸業を分離するため」
「共同出資者が異なるため」
「将来の承継単位を分けるため」
「売却単位を明確にするため」
などです。
逆に、
「なんとなく融資が増えそうだから」
だけなら、一度立ち止まって考えた方がいいでしょう。
▪️不動産投資を拡大するなら法人の数より中身を見る
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1法人。
2法人。
5法人。
どれが正解かは投資家によって異なります。
重要なのは法人の数ではなく、
それぞれの法人が利益と現金を生み、借入を返済できているか
です。
物件を買うたびに、
家賃売上が増える。
利益が増える。
現預金が増える。
純資産が厚くなる。
という状態なら、事業として強くなっていきます。
反対に、
物件数だけ増える。
借入だけ増える。
現金が減る。
赤字が続く。
純資産が悪化する。
のであれば、法人を増やしても根本的な解決にはなりません。
法人の数を増やす前に、1社・1物件ごとの収益力を強くする。
これが不動産投資を長く続けるうえで重要です。
不動産投資について詳しく確認したい方はこちら。
▪️複数法人のデメリット① 法人ごとに固定費がかかる
法人を増やすと、当然ながら管理する会社の数も増えます。
例えば、
税理士費用。
決算・申告費用。
法人住民税。
登記関連費用。
銀行口座管理。
会計ソフト。
各種届出。
などです。
仮に1法人あたり年間数十万円の維持コストが発生するとすれば、法人が5社、10社と増えれば無視できない金額になります。
特に小規模な戸建てを1物件1法人で所有する場合、
その物件が生み出す利益に対して法人維持費が重すぎないか
を確認する必要があります。
法人を分けるメリットより、維持コストの方が大きければ本末転倒です。
▪️複数法人のデメリット② お金の管理が複雑になる
法人が別であれば、基本的にはそれぞれ別の会社です。
A法人には現金が1,000万円ある。
しかしB法人には現金が50万円しかない。
そしてB法人で突然300万円の修繕が必要になった。
こうした場合、
「同じ自分の会社だからA社のお金をそのままB社で使えばいい」
というほど単純ではありません。
法人間で資金を移動するなら、その取引の内容に応じて貸付・借入など適切な会計処理が必要になる場合があります。
法人を増やすほど、
どの会社のお金なのか
を明確に管理する必要があります。
▪️複数法人のデメリット③ 決算書も複数になる
1法人なら、基本的には1社の決算書を確認すれば会社全体の状況を把握できます。
しかし3法人になれば、
A社の決算書。
B社の決算書。
C社の決算書。
を確認する必要があります。
さらに経営者としては、
各法人単体だけではなく、
関連法人全体でどれだけ資産・負債・現預金を持っているのか
まで把握しておきたいところです。
法人を増やすほど、経営管理能力も求められます。
▪️銀行は複数法人をどう見る?
金融機関によって審査方法は異なりますが、代表者が複数法人を経営している場合、関連会社の状況を確認されることがあります。
例えば、
A法人は黒字。
B法人は赤字。
C法人は債務超過。
という状態だったとします。
新しくA法人で融資を申し込んだからといって、
A法人だけを完全に切り離して評価されるとは限りません。
代表者個人の資産・負債。
他法人の借入。
保証債務。
関連会社の決算。
所有不動産。
などを含めて確認される場合があります。
▪️「別法人だから関係ない」は通用しないことがある
例えば、
A法人で5,000万円。
B法人で3,000万円。
C法人で2,000万円。
借りていたとします。
法人単体では借入額が分散されています。
しかし実質的に同じ経営者がすべての法人を運営しているのであれば、
グループ全体では1億円の借入
があります。
もちろん実際の金融機関評価はもっと複雑ですが、経営者自身は少なくとも、
法人単体とグループ全体の両方を見る
ことが重要です。
▪️関連法人の決算書を自分で説明できるようにする
金融機関から、
「B社はなぜ赤字なのですか?」
「C社の借入は何の物件ですか?」
「グループ全体の年間返済額はいくらですか?」
と聞かれたとします。
そのとき、
「税理士に聞かないと分かりません」
ではなく、
自分の言葉で説明できる状態
を目指したいところです。
例えば、
B社は前年に大規模修繕300万円が発生したため一時的に赤字。
ただし家賃収入は安定。
修繕後は満室。
今期は黒字見込み。
というように説明できれば、数字の背景が伝わります。
決算書を銀行へ説明する考え方はこちら。
不動産投資の決算書を銀行にどう説明する?融資を受けやすい経営者になるためのポイント
▪️2社目を検討するタイミングはいつ?
では、どのタイミングで2社目を考えるのでしょうか。
絶対的な基準はありません。
ただ、
現在の法人では実現しにくい明確な目的が出てきたとき
が一つの検討タイミングです。
例えば、
新しい地域で別事業を展開する。
共同出資者が変わる。
本業と不動産事業を明確に分けたい。
将来の承継単位を分けたい。
特定事業のリスクを切り分けたい。
将来的な売却単位を分けたい。
などです。
逆に、
「融資が止まりそうだから新法人を作る」
だけなら、既存法人の財務状態を先に確認した方がいい場合があります。
▪️2社目の前に1社目の健康診断をする
2社目を設立する前に、まず現在の法人について、
家賃売上。
利益。
現預金。
借入残高。
年間返済額。
純資産。
利益剰余金。
空室率。
修繕予定。
を確認してみましょう。
例えば、
毎年赤字。
現預金も減少。
債務超過。
年間現金収支もマイナス。
という状態なら、新法人を作ることより、
既存法人の収益改善が先
かもしれません。
▪️利益剰余金を積み上げてから次へ進む
不動産賃貸業で法人を育てるなら、
家賃売上を増やす。
↓
利益を出す。
↓
税引後利益を残す。
↓
利益剰余金を積み上げる。
↓
純資産を厚くする。
という流れが重要です。
毎年の利益を会社に残していけば、貸借対照表の改善につながります。
反対に赤字を繰り返せば、利益剰余金が減り、純資産も悪化する可能性があります。
赤字決算と融資についてはこちら。
不動産投資で赤字決算を避けるには?減価償却・経費・銀行評価の考え方を徹底解説
▪️現預金を減らしすぎない
複数法人を作る場合、会社設立費用や維持費も増えます。
さらに新しい物件を購入すれば、
頭金。
諸費用。
不動産取得税。
火災保険。
修繕費。
設備交換。
などの支出も発生します。
そのため、
物件は増えたけれど現預金がほとんどなくなった
という状態には注意が必要です。
現預金についてはこちら。
不動産投資で銀行が見る「現預金」はいくら必要?融資を受けやすい大家の決算書を徹底解説
▪️1物件1法人を検討する前のチェックポイント
1物件1法人を検討するなら、少なくとも次のような点を整理しておきたいところです。
①なぜ1物件1法人にするのか
明確な目的があるか。
②法人維持費はいくらか
物件利益に対して負担が大きすぎないか。
③融資する金融機関はどう考えるか
新法人だから有利になると決めつけていないか。
④関連法人全体の借入はいくらか
グループ全体の返済負担を把握しているか。
⑤各法人に十分な現預金を残せるか
突発修繕に対応できるか。
⑥出口はどうするか
不動産として売るのか、法人単位の承継も検討するのか。
⑦管理できるか
複数の決算書・口座・契約を適切に管理できるか。
ここまで考えたうえで、
本当に法人を分けるメリットがあるのか
を判断します。
▪️1物件1法人より「物件別会計」で十分な場合もある
「物件ごとの利益を知りたい」
という目的だけなら、必ずしも1物件1法人にする必要はありません。
1法人の中でも、
Aアパート。
B戸建。
Cマンション。
それぞれの、
家賃収入。
管理費。
修繕費。
固定資産税。
保険。
ローン返済。
などを物件別に管理できます。
すると、
どの物件が本当に現金を生んでいるのか
を確認できます。
法人を増やす前に、まず物件別収支管理を徹底する方法もあります。
▪️「高利回り物件=法人を強くする物件」とは限らない
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例えば表面利回り15%の築古物件。
数字だけを見ると魅力的です。
しかし、
空室が多い。
修繕費が高い。
固定資産税が高い。
管理費がかかる。
融資期間が短い。
年間返済額が大きい。
購入後の現預金が減る。
となれば、法人全体の資金繰りを苦しくする可能性があります。
だから、
利回りではなく「購入後に会社が強くなるか」
まで見ることが重要です。
不動産投資について詳しく確認したい方はこちら。
▪️複数法人でも年間キャッシュフローを確認する
例えば3法人を持っているなら、
A法人 年間CF+300万円。
B法人 年間CF+100万円。
C法人 年間CF▲200万円。
なら、単純化すると全体では+200万円です。
しかし翌年にA法人で300万円の大規模修繕が予定されていれば、資金余力は変わります。
だから、
毎月の家賃-ローン返済
だけではなく、
固定資産税。
火災保険。
管理費。
修繕。
空室損。
その他維持費。
まで含めて年間で確認することが重要です。
▪️ローン元金返済で借入残高は減っていく
毎月ローンを返済すれば、そのうち元金部分について借入残高は減っていきます。
これは法人の利益そのものではありません。
しかし不動産の価値が大きく下落しなければ、
不動産価値と残債の差が広がる
可能性があります。
例えば、
不動産時価5,000万円。
残債4,500万円。
なら差額500万円。
数年後、
不動産時価4,800万円。
残債3,500万円。
なら差額1,300万円。
というように、返済によって実質的な資産余力が増えることがあります。
ただし、同時に建物価値が下落したり、大規模修繕が必要になったりする可能性もあるため、残債だけを見て判断しないことが重要です。
▪️簿価と時価は分けて考える
決算書に記載されている不動産価格は、必ずしも現在売却できる価格と同じではありません。
決算書では取得価額を基礎として減価償却などが反映されます。
一方、市場では、
立地。
土地価格。
賃料。
利回り。
建物状態。
需要。
などによって価格が決まります。
だから経営者自身は、
決算書上の純資産
と、
不動産を時価で考えた実質的な純資産
の両方を把握しておくと、会社の状態を理解しやすくなります。
詳しくはこちら。
不動産投資の決算書にある「不動産価格」は本当の資産価値?簿価・時価・銀行評価の違いを徹底解説
▪️法人ごと売却する出口戦略とは?
1物件1法人の考え方で注目されることがあるのが、
法人そのものを譲渡する出口
です。
例えばA法人が、
収益マンション1棟。
その物件に対応する借入。
賃貸借契約。
預金。
などを中心に保有しているとします。
通常ならマンションを売却します。
しかし条件が整えば、法人の持分・株式等を譲渡して会社そのものを承継する方法が検討されることもあります。
▪️法人売却なら不動産取得税などが必ず不要になる、とは考えない
法人そのものの譲渡と不動産そのものの売買では、法務・税務上の構造が異なります。
ただし、
「法人ごと売れば必ず税金が安くなる」
と単純に考えるべきではありません。
売主側。
買主側。
法人。
借入。
不動産。
それぞれで税務・法務上の論点があります。
さらにスキームの内容によって取り扱いも変わります。
法人売却を実際に検討する場合は、税理士や弁護士などの専門家へ確認することが重要です。
▪️買主は会社の過去まで引き継ぐ
不動産だけを買う場合と違い、法人そのものを取得する場合には、その会社が持つ権利や義務を含めて引き継ぐことになります。
そのため買主側は、
過去の税務申告。
未払債務。
契約。
保証。
訴訟。
修繕問題。
入居者とのトラブル。
などを慎重に確認します。
だから法人売却を将来の出口にしたいのであれば、
設立時からきれいな会社を作っておく
ことが重要になります。
▪️「売れる法人」を作るなら決算書も重要
毎年赤字。
帳簿が整理されていない。
法人と個人のお金が混ざっている。
契約書が残っていない。
税金の未納がある。
こうした法人を、
「物件ごと買ってください」
と言っても買主は慎重になります。
逆に、
毎年決算書が整理されている。
家賃収入が安定。
現預金が明確。
借入状況が明確。
契約書が整理されている。
税務申告も適切。
なら、買主側も調査しやすくなります。
つまり法人売却を考える場合でも、
普段の経営管理そのものが出口戦略につながる
ということです。
▪️地方不動産投資で法人を使う場合も収益力が基本
地方物件は価格が安く、高利回りに見える物件もあります。
しかし、
法人で買った。
融資が出た。
というだけでは成功ではありません。
購入後に、
空室。
修繕。
固定資産税。
保険。
管理。
草刈り。
設備交換。
などを支払って、
最終的に現金が残るか
が重要です。
地方不動産投資の基本はこちら。
地方不動産投資完全ガイド
▪️築古物件では修繕費まで法人計画に入れる
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築古物件では、購入直後だけでなく数年後に大きな修繕が発生することがあります。
外壁。
屋根。
給湯器。
水回り。
エアコン。
給排水。
共用部。
などです。
年間CF+100万円の法人でも、突然500万円の修繕が発生すれば資金繰りは大きく変わります。
だから物件購入時から、
将来の修繕費まで含めて現預金を残しておく
ことが重要です。
築古物件のリフォームを検討している方はこちら。
▪️保有し続けるだけが正解ではない
法人で購入した物件でも、
収益力が落ちた。
修繕負担が増えた。
残債が減った。
売却すればまとまった現金が残る。
という状況なら、売却を検討することもできます。
売却。
↓
借入返済。
↓
現預金確保。
↓
法人の財務改善。
↓
次の投資。
という選択肢もあります。
買うことだけではなく、売ることも経営です。
▪️売却しにくい空き家・訳あり物件なら出口を比較する
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地方の築古物件では、
長期空室。
建物劣化。
残置物。
再建築上の問題。
権利関係。
などによって一般的な売却が難しくなることがあります。
維持するだけで、
固定資産税。
保険。
草刈り。
修繕。
管理費。
が出ていくのであれば、保有だけにこだわる必要はありません。
空き家・訳あり不動産の買取を検討する方はこちら。
▪️最終的に見るのは「法人の数」ではなく純資産
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1法人で10棟。
5法人で10棟。
どちらが優れているとは一概に言えません。
重要なのは、
最終的にどれだけ資産が残っているか
です。
例えば、
不動産。
現預金。
その他資産。
から、
借入金などの負債を差し引く。
さらに不動産については簿価だけではなく、実際の市場価値も確認する。
そうすることで、自分がどれだけの純資産を形成できているのかが見えてきます。
資産形成について詳しく確認したい方はこちら。
▪️法人を増やすより「強い法人」を作る
不動産投資を拡大すると、
所有戸数。
総資産。
家賃年収。
法人の数。
借入総額。
など、大きな数字に目が向きやすくなります。
しかし、
法人5社、50戸、総資産3億円
でも、
現金がない。
赤字。
返済が苦しい。
純資産が少ない。
のであれば、経営は安定しているとは限りません。
反対に、
法人1社でも、
満室。
利益が出る。
現金が残る。
借入残高が減る。
純資産が増える。
という状態なら、毎年会社は強くなっていきます。
だから、
法人の数を競う必要はありません。
▪️よくある質問
Q. 不動産投資では法人を複数作った方が融資を受けやすいですか?
法人を増やしただけで融資を受けやすくなるとは限りません。
金融機関によっては代表者や関連法人、既存借入などを含めて審査します。
法人設立より、事業実態・返済能力・決算内容などが重要です。
Q. 1物件1法人にすれば借入を分散できますか?
法人単位では借入を分けられますが、同一代表者の関連法人として全体の借入状況を確認される場合があります。
「法人を分ければ既存借入が見えなくなる」と考えるべきではありません。
Q. 1物件1法人のメリットは何ですか?
物件単位で資産・負債・収益を管理しやすいことや、将来的な承継・売却単位を分けやすくなる可能性があります。
一方で法人維持費や会計管理の負担は増えます。
Q. 物件ごとの利益を知るために法人を分けるべきですか?
必ずしも必要ありません。
1法人でも物件別に家賃収入や経費を管理すれば、物件単位の収支を把握できます。
Q. 債務超過になったら新法人を作った方がいいですか?
新法人を作るだけでは既存法人の債務超過は解消しません。
まず既存法人の収益力、利益、現預金、借入、純資産を確認し、財務改善を検討することが重要です。
Q. 法人ごと物件を売却できますか?
不動産そのものではなく法人の持分・株式等を譲渡する方法が検討できるケースはあります。
ただし税務・法務・融資契約・簿外債務など多くの論点があるため、専門家への確認が必要です。
Q. 2社目を作るタイミングはいつですか?
明確な事業上の目的が生まれたときが一つの判断材料です。
融資だけを目的にするのではなく、既存法人の財務状態や将来の事業計画まで含めて判断しましょう。
▪️まとめ|法人を増やす前に「強い会社」を作る
不動産投資では、
1法人で複数物件を所有する。
複数法人へ物件を分ける。
1物件1法人にする。
さまざまな方法があります。
どれか一つが絶対的な正解というわけではありません。
重要なのは、
なぜ法人を分ける必要があるのか
を明確にすることです。
そして、物件拡大を目指すのであれば、
家賃売上を伸ばす。
↓
利益を出す。
↓
利益剰余金を積み上げる。
↓
純資産を厚くする。
↓
現預金を増やす。
↓
借入元金を返済する。
↓
金融機関との実績を積み上げる。
↓
次の物件へ進む。
この循環を作ることが基本です。
法人を増やすこと自体を目的にするのではなく、
1棟増えるたびに法人が強くなる。
1年経過するたびに残債が減り、純資産が増える。
利益と現金の両方が残る。
その状態を作った先に、必要であれば2社目、3社目を検討する。
不動産投資で本当に大切なのは、
「何法人持っているか」ではなく、「その法人がどれだけ強いか」
です。
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▪️不動産投資を検討している方へ
法人の数や表面利回りだけではなく、
購入後の利益・現預金・借入・純資産まで確認することが重要です。
不動産投資について詳しく確認したい方はこちら。
▪️築古物件の収益改善を検討している方へ
空室や修繕負担によって法人全体の利益が落ちている場合は、
既存物件の収益改善も重要です。
リフォームについて詳しく確認したい方はこちら。
▪️空き家・訳あり不動産の出口を検討している方へ
保有を続けることで固定資産税・管理・修繕などの負担が続く場合は、
売却を含めて出口を比較する方法もあります。
空き家・訳あり不動産の買取を検討する方はこちら。
▪️資産形成全体を考えたい方へ
法人の数ではなく、
現預金・不動産・借入・純資産まで含めて資産形成を考えることが重要です。
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