築古戸建投資は現金購入と融資どちらがいい?自己資金を残して次の物件につなげる資金戦略
- MIRAIU

- 8月13日
- 読了時間: 32分
▪️築古戸建を現金で買えるなら現金購入が正解?
築古戸建投資では、
200万円。
300万円。
500万円。
といった比較的少額の物件が見つかることがあります。
そのため、
「この金額なら現金で買える」
「ローンを組むほどでもない」
「借金は怖いから現金で買おう」
と考える人もいるでしょう。
確かに現金購入には大きなメリットがあります。
毎月のローン返済がない。
金融機関の審査を待たなくていい。
金利を支払わなくていい。
購入後の家賃を残しやすい。
一方で、500万円持っている人が500万円の物件を現金で購入すれば、手元資金は大きく減ります。
その直後に、
リフォーム費100万円。
給湯器交換20万円。
空室。
雨漏り。
その他の修繕。
が発生したらどうするのか。
さらに半年後、非常に条件のいい300万円の戸建が出てきても、現金を使い切っていれば購入できない可能性があります。
つまり築古戸建投資では、
「現金で買えるか」ではなく「現金で買ったあとにいくら残るか」
まで考えることが重要です。
今回は築古戸建投資で、
現金購入。
融資。
どちらを選ぶべきなのか。
手元資金はいくら残すのか。
融資を使う意味は何なのか。
返済が収支へ与える影響。
次の物件購入までどう考えるのか。
を具体的な数字を使って解説します。
▪️現金購入の最大のメリットは毎月返済がないこと
まず現金購入の分かりやすいメリットです。
例えば500万円の築古戸建を現金で購入したとします。
家賃6万円。
年間家賃収入72万円。
ローン返済がなければ、家賃収入から、
固定資産税。
火災保険。
管理費。
修繕費。
募集費用。
などを支払った残りが手元に残ります。
融資を利用している場合は、ここからさらに毎月の返済があります。
そのため一戸単体のキャッシュフローだけを見ると、
現金購入は非常に分かりやすく、資金繰りにも余裕を持ちやすい方法です。
▪️現金購入なら空室でもローン返済は発生しない
築古戸建一戸だけを所有している場合、その物件が空室になると家賃収入は0円です。
家賃6万円。
ローン返済3万円。
入居中なら家賃から返済できます。
しかし退去すれば、
家賃0円。
返済3万円。
になります。
さらに、
固定資産税。
保険。
修繕。
管理に必要な費用。
などは家賃がなくても発生する場合があります。
現金購入なら少なくともローン返済はありません。
これは築古戸建一戸投資では大きな安心材料です。
空室時の資金計画については、クラスター②で詳しく解説しています。
築古戸建投資で空室になったら家賃収入ゼロ?1戸投資の弱点と現金を残す資金計画
▪️現金購入なら金利上昇を気にする必要がない
融資を利用すれば金利が発生します。
借入条件によっては、返済期間中に金利負担が続きます。
一方、現金購入なら借入金そのものがありません。
金利が上昇しても、その物件のローン返済額が増えることはありません。
毎月の返済額を管理する必要もなく、
家賃収入。
維持費。
修繕費。
を中心に収支を考えられます。
初めての一戸で、
「借入をせず、小さく大家業を経験したい」
という考え方もあります。
▪️現金購入なら金融機関の審査に左右されにくい
築古戸建は、物件によって融資を受けにくい場合があります。
築年数。
担保評価。
土地評価。
再建築条件。
物件価格。
借入希望額。
申込者の属性。
既存借入。
金融機関はさまざまな要素から判断します。
自分では、
「家賃6万円で貸せるから良い投資だ」
と思っていても、希望する融資が出るとは限りません。
現金購入なら金融機関の融資承認を購入条件にする必要がないため、購入手続きを進めやすい場合があります。
▪️売主から見ても現金購入が有利になる場合がある
不動産売買では、価格だけでなく取引条件も重要です。
例えば、
Aさん。
500万円で購入希望。
融資利用。
Bさん。
480万円で購入希望。
現金購入。
必ずBさんが選ばれるわけではありません。
しかし売主によっては、
融資結果を待たなくていい。
資金面の不確実性が小さい。
早く決済できる。
といった条件を評価する場合があります。
そのため現金を持っていること自体が、物件取得時の強みになることがあります。
▪️では築古戸建は全部現金で買えばいいのか?
ここまで見ると、
「やっぱり現金購入が一番いい」
と思うかもしれません。
しかしここからが重要です。
現金購入には、
自分のお金を一度に大きく使う
というデメリットがあります。
例えば自己資金1,000万円。
500万円の戸建を購入。
諸費用50万円。
リフォーム150万円。
合計700万円。
残る現金は300万円です。
さらに購入後の修繕や空室に備えて150万円を残すなら、自由に使える資金は150万円になります。
次の物件が500万円で出てきても、すぐには買えません。
▪️物件価格ではなく「賃貸開始までの総額」を見る
築古戸建投資では、
「300万円の物件だから300万円あれば買える」
とは限りません。
例えば、
物件価格300万円。
購入諸費用40万円。
リフォーム180万円。
火災保険など20万円。
募集までのその他費用10万円。
合計550万円です。
さらに購入後の修繕・空室へ備えて150万円残したいなら、
必要な現金は700万円になります。
物件価格300万円に対して、実際には700万円程度の資金余力を考えるケースもあるということです。
前回③で解説したように、築古戸建では購入価格だけでなく、
最初の家賃を受け取れる状態になるまでの総投資額
を見る必要があります。
築古戸建はリフォームにいくらかける?高利回りを崩さない修繕費と家賃設定の考え方
▪️自己資金500万円で500万円の物件を買う怖さ
非常に分かりやすい例で考えます。
自己資金500万円。
物件価格500万円。
現金で買える。
だから購入する。
しかし実際には購入時の諸費用も必要です。
さらにリフォームも必要です。
仮に、
諸費用50万円。
リフォーム150万円。
なら、
合計700万円。
自己資金500万円では足りません。
そこで、
リフォームを削る。
親族から借りる。
別のローンを使う。
手元現金をほぼ0円にする。
となれば、購入後の賃貸経営が苦しくなる可能性があります。
買える価格と、安全に運営できる価格を分けることが重要です。
▪️現金を残すことも不動産投資の一部
不動産投資を始めると、
「現金を遊ばせておくのはもったいない」
と考えることがあります。
500万円あるなら500万円投資したい。
1,000万円あるならできるだけ多く物件へ入れたい。
しかし賃貸経営では突然お金が必要になることがあります。
給湯器。
エアコン。
水漏れ。
雨漏り。
退去。
原状回復。
空室。
税金。
保険。
こうした支出は、
「今月は現金がないから来年まで待とう」
とはできない場合があります。
だから、
使っていない現金=無駄
ではありません。
賃貸経営を安定させるための資金でもあります。
▪️融資を使う最大の意味は手元資金を残せること
融資を利用する理由を、
「お金がないから借りる」
だけで考えないことが重要です。
例えば自己資金1,000万円。
500万円の物件を購入するとします。
現金購入なら、
500万円を物件購入へ使います。
一方、
300万円を融資。
200万円を自己資金。
という購入ができれば、単純比較では300万円多く現金を残せます。
もちろん融資には、
金利。
毎月返済。
融資手数料。
抵当権設定費用など。
が必要になる場合があります。
それでも、
手元資金を残しながら不動産を取得できること
は融資の大きな特徴です。
▪️借金ではなく「資金効率」という考え方
借金はできるだけ少ない方がいい。
これは家計では分かりやすい考え方です。
しかし不動産投資では、
借入金で収益を生む資産を取得する。
家賃収入から返済する。
という考え方があります。
例えば500万円の現金があります。
500万円の戸建を一戸現金購入する。
あるいは条件が合えば、
自己資金250万円ずつ使って二戸取得する。
後者なら所有物件を増やせる可能性があります。
これが不動産投資で融資を利用する理由の一つです。
ただし、
借りられるだけ借りればいいという意味ではありません。
返済できる収支があることが大前提です。
▪️融資を使えばレバレッジをかけられる
不動産投資では、自己資金だけで購入するより、融資を利用することで大きな資産を取得できる場合があります。
例えば自己資金500万円。
現金購入なら500万円まで。
一方で融資を利用して、
自己資金500万円。
借入500万円。
合計1,000万円。
の投資ができれば、自己資金以上の資産を運用できます。
これを一般的にレバレッジと呼びます。
うまく使えば資産形成を早められる可能性があります。
しかし逆に、
空室。
家賃下落。
修繕。
金利負担。
が発生しても借入返済は続きます。
レバレッジは利益だけでなくリスクも大きくする可能性があります。
▪️不動産投資は融資条件まで含めて比較する
同じ500万円を借りる場合でも、
金利。
返済期間。
毎月返済額。
諸費用。
条件によってキャッシュフローは変わります。
そのため、
「融資が出たから買う」
ではなく、
その融資条件で賃貸経営が成立するのか
を確認します。
これから不動産投資を検討する場合は、物件価格だけでなく資金調達方法まで含めて比較することが重要です。
不動産投資の選択肢を詳しく確認したい方はこちら
▪️金利1%違うだけでも返済総額は変わる
例えば同じ500万円の借入でも、
金利1%。
金利2%。
金利3%。
では支払う利息が変わります。
さらに返済期間が、
5年。
10年。
15年。
20年。
でも毎月返済額は変わります。
短期間で返済すれば、毎月返済額は大きくなりやすい。
長期間なら毎月返済額は抑えやすい一方、利息を支払う期間は長くなります。
築古戸建投資では、
金利だけを見ず、返済期間と毎月返済額をセットで確認する
ことが重要です。
▪️毎月返済額は家賃から逆算する
例えば、
家賃6万円。
毎月返済4万5,000円。
家賃から返済すると残り1万5,000円です。
ここから、
管理費。
固定資産税。
保険。
修繕。
空室への備え。
を考える必要があります。
これでは余裕が小さい可能性があります。
一方、
家賃6万円。
毎月返済2万5,000円。
なら返済後3万5,000円。
もちろんこれだけで投資の良し悪しは判断できません。
しかし、
家賃に対して返済額が大きすぎないか
は必ず確認したい数字です。
▪️表面利回りが高くても返済後にお金が残るとは限らない
物件価格400万円。
年間家賃72万円。
表面利回り18%。
数字だけを見ると非常に高利回りです。
しかし、
リフォーム200万円。
諸費用50万円。
総投資額650万円。
さらに融資返済。
固定資産税。
保険。
管理。
修繕。
があれば、実際に残るお金は変わります。
高利回り物件=高キャッシュフロー物件ではありません。
購入判断では、
表面利回り。
総投資額。
毎月返済額。
年間経費。
手残り。
まで確認します。
▪️融資を使うなら空室時の返済資金が必要
家賃6万円。
返済3万円。
満室なら問題なく見えます。
しかし退去して3か月空室になれば、
家賃収入0円。
返済9万円。
さらに原状回復15万円。
募集費用5万円。
なら、その期間だけで29万円必要です。
だから融資を使う場合ほど、
購入後に現金を残す意味が大きくなります。
借入を使って現金を残したのに、その現金をすぐ別の物件へ全部投入してしまえば、同じ問題が起きます。
▪️融資を使って二戸買えばリスク分散になる?
例えば一戸だけ所有。
家賃6万円。
退去すれば家賃0円です。
二戸所有。
家賃6万円+6万円。
一戸が退去しても、もう一戸から6万円入ります。
この意味では複数戸所有によって家賃収入源を分散できる可能性があります。
しかし二戸になれば、
修繕する建物も二戸。
固定資産税も二戸。
保険も二戸。
ローンがあれば返済も二戸。
です。
戸数を増やすことは収入源を分散する一方、管理する資産と負債も増やします。
単純に、
「融資で戸数を増やせば安全」
とは考えません。
▪️一戸目で融資を使う目的を決める
一戸目を購入するときは、
なぜ融資を使うのか。
を明確にします。
現金が足りないから。
手元資金を残したいから。
次の物件を買いたいから。
金融機関との取引実績を作りたいから。
資産形成を早めたいから。
目的によって、適切な借入額も変わります。
例えば、
「とにかく借りられるだけ借りたい」
では資金戦略とは言えません。
借入額には目的が必要です。
▪️現金購入と融資の中間もある
現金か融資か。
完全な二択ではありません。
例えば物件価格500万円。
500万円すべて現金。
500万円すべて融資。
だけではなく、
200万円現金。
300万円融資。
250万円現金。
250万円融資。
400万円現金。
100万円融資。
などの方法も考えられます。
自己資金。
毎月返済額。
手元に残したい現金。
次の投資計画。
によってバランスを決めます。
▪️自己資金を入れるほど安全とは限らない
借入を減らすために自己資金を多く入れる。
これは毎月返済を小さくする意味では安全性を高める可能性があります。
しかし、
自己資金1,000万円。
物件購入・リフォームへ950万円。
残金50万円。
ならどうでしょうか。
返済は少なくても、給湯器や雨漏りなど大きな修繕が重なれば資金不足になる可能性があります。
一方、
借入を一部利用して300万円残していれば対応しやすくなります。
つまり、
借入が少ない=必ず安全
ではありません。
借入額と手元資金の両方を見る必要があります。
▪️築古戸建では融資期間にも注意する
築古物件では、新しい物件と同じ条件で長期間の融資を利用できるとは限りません。
融資期間が短くなれば、毎月返済額は大きくなります。
例えば家賃6万円の戸建でも、
返済期間が長く月2万円。
返済期間が短く月4万円。
ではキャッシュフローが大きく違います。
だから、
「金利が低い金融機関を探す」
だけでは足りません。
実際の毎月返済額がいくらになるのか
まで確認します。
▪️融資で買える物件と投資として買うべき物件は違う
金融機関から、
「この金額まで融資できます」
と言われると、その金額まで物件を探したくなることがあります。
しかし融資可能額は、
投資として安全な購入額を保証する数字ではありません。
借りられる。
返済できる。
利益が残る。
この3つは別です。
銀行が貸してくれるから買うのではなく、自分の収支基準に合うから買う。
この順番を崩さないことが重要です。
▪️次の物件を買いたいなら一戸目で現金を使い切らない
築古戸建投資を一戸で終える予定なら、現金購入を選びやすい場合があります。
しかし、
一戸目。
二戸目。
三戸目。
と増やしていきたい場合は、一戸目で自己資金を使い切ると次へ進みにくくなります。
例えば自己資金1,000万円。
一戸目に800万円使う。
残り200万円。
一戸目に500万円使う。
残り500万円。
次の投資機会への対応力は大きく違います。
不動産投資では、一戸目の利益だけではなく二戸目を買える状態を残すことも資金戦略です。
▪️ただし「次を買うため」に一戸目を危険にしない
ここも重要です。
次の物件を買いたい。
だから一戸目は自己資金をほとんど入れない。
できるだけ融資を使う。
その結果、
返済比率が高い。
毎月ほとんど現金が残らない。
少し空室になるだけで赤字。
これでは一戸目が不安定になります。
拡大するための融資で、一戸目の経営を壊してはいけません。
まず一戸目が安定して運営できること。
そのうえで次を考えます。
▪️現金か融資かの答えは「残る現金」と「返済後CF」で決める
築古戸建を現金で買うべきか。
融資を使うべきか。
この答えを考えるときに見たいのが、
購入後に残る現金。
そして、
融資を使った場合の返済後キャッシュフロー。
です。
現金購入しても十分な現金が残る。
次の投資予定もない。
借入リスクを取りたくない。
なら現金購入は有力です。
一方、
現金購入すると手元資金がほとんどなくなる。
次の物件も購入したい。
融資返済後も十分な収支が残る。
なら融資を検討する意味があります。
▪️一戸の利回り最大化より資産全体を見る
現金購入ならローン返済がないため、一戸から残る現金は大きくなりやすいです。
しかし投資家全体で考えると、
現金を一戸へ集中させる。
複数物件へ分ける。
一部を現金として残す。
融資を組み合わせる。
など複数の方法があります。
そのため築古戸建投資では、
一戸だけの数字を最大化するのではなく、自分の資産全体をどう作るか
まで考えることが重要です。
ここから後半では、現金購入と融資を具体的な3パターンで比較し、返済比率、金利上昇、繰上返済、金融機関との付き合い方、何戸目まで増やすのか、そして最終的に「どちらを選ぶべきか」の判断基準まで掘り下げます。
▪️自己資金1,000万円なら現金購入と融資でどう変わる?
ここからは、具体的な数字で比較してみます。
自己資金は1,000万円。
購入を検討している築古戸建は、
物件価格400万円。
購入諸費用50万円。
リフォーム費150万円。
合計600万円。
想定家賃6万円。
年間家賃収入72万円。
とします。
まずは分かりやすく、
現金購入。
一部融資。
融資を使って複数戸。
の3つに分けて考えます。
▪️パターン①600万円をすべて現金で支払う
総投資額600万円をすべて現金で支払います。
自己資金1,000万円から600万円を使うため、
手元に残る現金は400万円です。
家賃6万円。
年間家賃72万円。
ローン返済0円。
単純な表面利回りは、
72万円÷600万円×100。
12%です。
ここから固定資産税、保険、管理費、修繕費などを支払いますが、ローン返済はありません。
大きなメリットは、
毎月返済がない。
空室になってもローン返済がない。
金利上昇の影響を受けない。
という点です。
さらに400万円の現金が残っているため、修繕や空室にもある程度備えられます。
この条件なら、
「現金購入=現金を使い切る」わけではありません。
十分な余力が残るのであれば、現金購入は非常にシンプルな選択肢です。
▪️パターン②300万円だけ融資を利用する
次に、
自己資金300万円。
融資300万円。
合計600万円。
で取得したとします。
自己資金1,000万円から300万円しか使わないため、
手元には700万円残ります。
現金購入との差は300万円です。
ただし融資300万円には毎月返済があります。
仮に返済額が月2万円なら、
年間返済24万円。
年間家賃72万円から返済すると、
48万円。
ここから、
固定資産税。
保険。
管理費。
修繕費。
などを支払います。
一戸単体のキャッシュフローは現金購入より小さくなります。
しかし、
300万円多く現金を残した状態で不動産を所有できる
という違いがあります。
▪️残した300万円には選択肢がある
この300万円をどう使うのか。
ここが重要です。
修繕に備える。
空室に備える。
生活防衛資金として残す。
次の物件購入資金にする。
リフォーム費へ使う。
現金を残すことで選択肢が増えます。
逆に融資を利用して300万円残したのに、
すぐ車を買う。
生活費で使う。
投資と関係ない支出へ使う。
のであれば、融資を利用した意味は変わってきます。
借りることより、残した現金をどう管理するかの方が重要です。
▪️パターン③融資を使って2戸取得する
さらに積極的なケースを考えます。
同程度の戸建を2戸購入。
一戸あたり総投資額600万円。
2戸で1,200万円。
自己資金600万円。
融資600万円。
と仮定します。
家賃6万円×2戸。
月12万円。
年間144万円。
一方で融資返済もあります。
仮に600万円の借入に対して毎月返済が合計4万円なら、
年間返済48万円。
年間家賃144万円-年間返済48万円。
返済後96万円。
ここから2戸分の、
固定資産税。
保険。
管理費。
修繕。
空室。
などを考えます。
一戸現金購入より家賃収入は大きくなります。
しかし、
リスクも管理対象も2戸になります。
▪️2戸なら一戸空室でも家賃収入が完全にはゼロにならない
一戸だけ所有。
家賃6万円。
退去すると、
家賃0円。
二戸所有。
それぞれ家賃6万円。
一戸退去しても、もう一戸が入居していれば家賃6万円があります。
この意味では、複数戸所有によって収入源を分散できる可能性があります。
ただし、
二戸同時に修繕が発生する。
二戸とも退去する。
固定資産税も増える。
保険料も増える。
借入返済も増える。
という可能性もあります。
戸数を増やすこと自体がリスク対策になるわけではありません。
収入源と支出の両方が増えると考えます。
▪️3つのパターンで重要なのは「どれが一番儲かるか」だけではない
現金購入。
一部融資。
融資を使って複数戸。
どれが正解かは、投資家によって違います。
例えば、
借入をできるだけ持ちたくない。
一戸ずつ確実に増やしたい。
本業収入が不安定。
なら、現金比率を高くする考え方があります。
一方、
本業収入が安定している。
十分な現金がある。
複数戸へ拡大したい。
返済後もキャッシュフローが残る。
なら、融資を利用する意味が大きくなる場合があります。
重要なのは、自分がどこまでリスクを取るのかを決めることです。
▪️返済比率を見ると融資の余裕が分かりやすい
融資を使う場合は、
家賃に対して毎月返済がどれくらいあるのか。
を確認します。
例えば家賃6万円。
返済2万円なら、
家賃に対する返済は約33%。
返済3万円なら50%。
返済4万円なら約67%。
同じ家賃6万円でも、返済後に残る金額は大きく違います。
もちろん、この比率だけで安全性を判断することはできません。
固定資産税。
管理費。
保険。
修繕。
空室。
その他経費。
もあります。
それでも、
毎月の家賃の大半が返済へ消える物件は、想定外の支出に弱くなりやすい
ということは理解しておきたいところです。
▪️家賃6万円・返済4万円なら本当に高利回り?
例えば400万円で購入した戸建。
家賃6万円。
年間家賃72万円。
購入価格だけなら表面利回り18%です。
しかし毎月返済4万円なら、
年間返済48万円。
家賃72万円-返済48万円。
残り24万円。
月平均では2万円です。
さらに、
固定資産税。
火災保険。
管理費。
修繕費。
を考えれば、手残りはさらに小さくなります。
退去して数か月空室になれば、その間も返済は続きます。
「利回り18%」という数字だけを見ていては、この資金繰りは分かりません。
▪️築古戸建は火災保険も収支へ入れる
築古戸建を購入するときは、ローン返済だけではなく保有中の固定費も確認します。
その一つが火災保険です。
築年数。
建物。
補償内容。
地域。
契約条件。
などによって保険料は変わります。
物件価格が安いからといって、保険料や修繕費まで比例して安くなるとは限りません。
融資返済後のキャッシュフローを見るときは、
家賃-ローン返済だけで終わらせないこと
が重要です。
築古戸建の保険については、このクラスター⑦で詳しく解説します。
▪️金利が上がった場合も考えておく
融資条件によっては、将来的な金利変動が返済へ影響する可能性があります。
現在の返済額なら余裕がある。
しかし金利条件が変わると余裕が小さくなる。
こうした可能性も考えておきます。
重要なのは、
「金利は絶対上がる」
「絶対上がらない」
と予想することではありません。
返済条件が多少変わっても耐えられる収支にしておくことです。
家賃6万円に対して返済5万5,000円。
この状態では少し条件が変わるだけでも資金繰りが厳しくなります。
最初から余裕を持たせます。
▪️低金利でも借りすぎれば危険
金利が低い。
だからたくさん借りる。
これも注意が必要です。
借入額が大きければ、金利が低くても元本返済があります。
不動産投資では、
金利が何%か。
だけではなく、
借入総額。
返済期間。
毎月返済額。
家賃。
空室率。
修繕費。
を合わせて考えます。
低金利=安全な融資ではありません。
▪️繰上返済はした方がいい?
融資を利用して賃貸経営が順調になると、
現金が貯まってきた。
ローンを早く返したい。
と考えることがあります。
繰上返済をすれば、
借入残高を減らす。
将来の利息負担を減らす。
返済期間を短くする。
といった効果が期待できます。
一方で、繰上返済へ現金を使えば手元資金は減ります。
例えば現金300万円。
100万円を繰上返済。
残金200万円。
その直後に、
大規模修繕100万円。
次の物件購入チャンス。
が来る可能性もあります。
だから、
現金が余ったら全部返済する
ではなく、
返済するメリット。
残しておくメリット。
を比較します。
▪️借金を減らすことと純資産を増やすことはつながっている
融資を利用して不動産を購入すると、最初は借入残高があります。
しかし毎月返済を続ければ、通常は借入元本が少しずつ減っていきます。
例えば、
不動産価値600万円。
ローン残高400万円。
なら、単純な差額は200万円。
数年後、
不動産価値600万円。
ローン残高300万円。
なら差額は300万円。
もちろん実際の不動産価値は変動しますし、売却費用などもあります。
それでも、
家賃を受け取りながら借入元本を減らしていく
というのは、不動産投資の特徴の一つです。
▪️ただし「ローンが減るから大丈夫」とは限らない
築古戸建では建物がさらに古くなっていきます。
ローン残高が減っていても、
建物状態が悪化。
大規模修繕が必要。
土地需要が弱い。
売却しにくい。
となれば、思ったような資産価値が残らない可能性があります。
だから購入時から、
土地として価値があるのか。
再建築できるのか。
売却需要があるのか。
出口をどうするのか。
を確認します。
借入残高だけではなく、その借入の裏側にどんな資産が残っているのかを見ることが重要です。
▪️融資を使うなら出口戦略まで考える
例えば15年融資で築古戸建を購入。
15年後。
ローン完済。
そこで、
まだ賃貸できる。
売却できる。
土地として活用できる。
なら選択肢があります。
一方、
建物は使えない。
土地も売りにくい。
解体費が必要。
となれば、ローンを完済していても新たな支出が発生する可能性があります。
そのため、
融資期間と物件の残存価値をセットで考えること
が重要です。
築古戸建投資の出口戦略については、クラスター⑩で詳しく解説します。
▪️安い物件ほど「融資が出ない理由」も考える
非常に安い築古戸建があります。
価格200万円。
家賃5万円。
年間60万円。
購入価格だけなら表面利回り30%。
数字だけなら魅力的です。
しかし、
接道。
再建築。
土地形状。
建物状態。
権利関係。
需要。
などに問題があり、金融機関が担保として評価しにくい可能性もあります。
もちろん融資が出ない物件がすべて悪いわけではありません。
現金購入だから成立する投資もあります。
ただし、
「銀行が分かっていないから自分だけ得をする」と簡単に考えないこと
が重要です。
なぜ安いのか。
なぜ融資が難しいのか。
理由を確認します。
この点はクラスター⑧の「安い築古戸建ほど危険?」で詳しく整理します。
▪️金融機関との付き合いは一戸目だけで終わらない
一戸目。
二戸目。
三戸目。
と不動産を増やしていくなら、金融機関との関係も重要になってきます。
どんな物件を購入したのか。
家賃はいくら入っているのか。
返済状況はどうなのか。
確定申告や決算はどうなっているのか。
自己資金はいくら残っているのか。
こうした積み重ねが次の融資判断へ影響する場合があります。
だから一戸目で、
無理な借入。
ギリギリの返済。
現金不足。
にならないようにします。
一戸目は一戸目だけの投資ではなく、次の融資へつながる実績になる可能性があります。
▪️融資を使うなら収支を数字で説明できるようにする
金融機関へ相談するとき、
「この物件は絶対儲かります」
では十分ではありません。
物件価格。
リフォーム費。
想定家賃。
年間家賃。
固定資産税。
保険。
管理費。
返済額。
修繕への備え。
こうした数字を整理します。
大家自身にとっても、この作業は重要です。
数字を整理してみたら、
思ったより返済後に残らない。
リフォーム費が高すぎる。
自己資金を使いすぎる。
と気付くことがあります。
融資資料を作ることは、自分の投資判断を確認することでもあります。
▪️現金を残して次の物件へ進むという考え方
築古戸建投資の魅力の一つは、比較的少額から一戸ずつ増やせる可能性があることです。
一戸目から家賃。
二戸目から家賃。
三戸目から家賃。
物件数が増えれば、家賃収入も積み上がります。
ただし、毎回自己資金を使い切っていては拡大に時間がかかります。
そのため、
融資を一部使う。
購入価格を抑える。
リフォーム費を管理する。
家賃を積み立てる。
という方法で次の自己資金を作っていきます。
「一戸でいくら儲けるか」から「次の一戸をどう買うか」まで考えると、不動産投資の見え方が変わります。
▪️ただし戸数を増やすこと自体を目的にしない
10戸持っている。
20戸持っている。
50戸持っている。
戸数は分かりやすい数字です。
しかし、
家賃収入が多い。
借入も多い。
修繕費も多い。
空室も多い。
手元現金が少ない。
なら、戸数だけでは経営状態は判断できません。
反対に戸数が少なくても、
借入が少ない。
高稼働。
修繕余力がある。
毎月現金が残る。
なら安定している場合があります。
目標にするのは戸数ではなく、長期的に資産とキャッシュフローが残る状態です。
▪️現金購入が向いている人
現金購入を検討しやすいのは、
購入後も十分な現金が残る。
借入を増やしたくない。
一戸ずつゆっくり増やしたい。
毎月返済のない経営をしたい。
融資が付きにくい少額物件を狙っている。
といった場合です。
特に初めての不動産投資で、
まず大家業そのものを経験したい。
という人にとっては、返済のない状態で始める安心感があります。
ただし、
現金購入するために手元資金をほぼ0円にするなら話は別です。
▪️融資が向いている人
融資を検討する意味が大きいのは、
手元現金を残したい。
複数物件へ拡大したい。
返済後も十分なキャッシュフローがある。
本業収入などを含め資金余力がある。
融資条件が投資計画に合っている。
といった場合です。
ただし、
「早く増やしたい」
という理由だけで借入を大きくするのは危険です。
融資は拡大速度を上げられる可能性がある一方で、返済義務も増やします。
▪️迷ったら「最悪の1年間」を計算する
現金か融資か迷ったときに、考えてほしい方法があります。
順調な1年間ではなく、
少し悪い1年間を想定することです。
例えば、
3か月空室。
給湯器交換20万円。
原状回復15万円。
固定資産税。
火災保険。
ローン返済。
これが同じ年に重なったらどうなるのか。
それでも手元現金で対応できる。
生活へ影響しない。
次の返済もできる。
なら、資金計画には一定の余裕があります。
反対に、
一度退去しただけで返済が苦しい。
給湯器が壊れたらカードローンが必要。
という状態なら、借入額や購入価格を見直す必要があります。
▪️融資を使う前に投資全体を比較する
築古戸建。
一棟アパート。
区分マンション。
その他の不動産投資。
投資方法によって、
必要な自己資金。
融資条件。
空室リスク。
管理負担。
出口。
は違います。
築古戸建が安いからという理由だけで決めるのではなく、自分の資金状況に合う方法を比較することが重要です。
不動産投資の選択肢を詳しく確認したい方はこちら
▪️自己資金を増やしてから買うという選択肢もある
現金購入するには少し足りない。
融資を使うと返済が重い。
この場合、
今すぐ買う。
だけが選択肢ではありません。
半年。
1年。
と自己資金を増やしてから購入する方法もあります。
物件を逃したくない気持ちは分かります。
しかし不動産は購入後に長期間所有する資産です。
数百万円、数千万円の判断を、
「今買わないともったいない」
だけで決める必要はありません。
買わないことも投資判断です。
▪️築古戸建投資では資産形成の目的を決めておく
なぜ築古戸建を買うのか。
毎月5万円の副収入を作りたい。
老後の家賃収入を作りたい。
10戸まで増やしたい。
土地を残したい。
将来法人化したい。
本業以外の収入源を作りたい。
目的によって、現金と融資の使い方は変わります。
例えば一戸だけ所有して毎月安定した収入を得たいなら、無理に融資を使って拡大する必要はありません。
一方、複数戸へ増やして資産形成したいなら、自己資金だけでは時間がかかる場合があります。
融資は目的ではなく、目的を達成するための手段です。
▪️現金購入と融資を組み合わせる考え方も強い
実際の不動産投資では、
全部現金。
全部融資。
と決める必要はありません。
一戸目は現金。
二戸目は融資。
あるいは、
購入価格は融資。
リフォーム費は現金。
物件価格の半分だけ融資。
状況に応じて組み合わせる方法があります。
重要なのは、
常に一定額の現金を残しながら、返済可能な範囲で資産を増やすことです。
▪️築古戸建の資金戦略は「買ったあと」から始まる
現金購入。
融資。
どちらを選んでも、購入した瞬間に資金戦略が終わるわけではありません。
家賃が入る。
その一部を修繕用に残す。
借入を返済する。
現金を積み上げる。
次の物件を検討する。
この繰り返しです。
例えば毎月3万円ずつ残せれば、
年間36万円。
5年間で180万円。
もちろん実際には修繕などで支出する年もあります。
それでも、
家賃を使い切らず次の資産へつなげる
という考え方が重要です。
▪️まとめ|現金か融資かではなく「購入後に何が残るか」で判断する
築古戸建投資では、
現金購入。
融資。
どちらにもメリットとデメリットがあります。
現金購入なら、
ローン返済がない。
金利負担がない。
空室時の固定返済がない。
収支が分かりやすい。
という強みがあります。
一方で、
一度に大きな自己資金を使う。
次の物件購入資金が減る。
修繕余力が小さくなる可能性がある。
という面があります。
融資なら、
手元現金を残せる。
自己資金以上の資産を取得できる可能性がある。
次の物件へ進みやすくなる場合がある。
という強みがあります。
一方で、
毎月返済。
金利。
融資費用。
空室時の返済。
借入残高。
というリスクがあります。
だから、
現金購入と融資のどちらが絶対に正解ということではありません。
見るべきなのは、
購入後の現金。
毎月の返済額。
返済後キャッシュフロー。
空室時の資金。
将来の修繕費。
次の物件購入計画。
出口戦略。
です。
例えば自己資金1,000万円ある人が、総投資額600万円の戸建を現金購入しても400万円残る。
これなら現金購入に十分な余裕があるかもしれません。
一方、自己資金600万円で総投資額600万円の物件を現金購入する。
残金0円。
同じ600万円の現金購入でも、意味はまったく違います。
逆に融資を使って300万円残しても、
返済後に毎月ほとんどお金が残らない。
なら、その融資条件が本当に適切なのかを考える必要があります。
築古戸建投資では、
「借金が少ない方が正解」でも「融資を最大限使った方が正解」でもありません。
最も大切なのは、
物件を買ったあとも賃貸経営を続けられること。
そして、
次の選択肢を残しておくことです。
現金を残す。
返済余力を残す。
修繕余力を残す。
次の物件を買える余力を残す。
この「余力」が、長く不動産投資を続けるための重要な資産になります。
現金で買えるから現金で買う。
銀行が貸してくれるから借りる。
ではなく、
「この物件を買ったあと、自分の手元に何が残るのか?」
から逆算する。
それが、築古戸建投資で現金購入と融資を選ぶときの基本的な考え方です。
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