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戸建賃貸の家賃はいくらが正解?5万円と5.5万円で迷ったときの家賃設定と空室判断

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月13日
  • 読了時間: 26分

▪️家賃5万円と5万5,000円、あなたならどちらで募集する?


 


築古戸建を購入してリフォームも完了。

いよいよ入居者募集です。

 


近隣の戸建を見ると、家賃は5万円前後。

ただ、室内をきれいにしたので5万5,000円でも貸せそうに見える。

 


ここで迷います。

 


5万円なら決まりやすそう。

5万5,000円なら毎月5,000円多く入る。

 


年間では6万円の差です。

10年間なら60万円。

 


こう考えると、5万5,000円で募集したくなります。

でも家賃設定で本当に見るべきなのは、毎月いくら取れるかではなく、最終的にいくら残るかです。

 


5,000円高く募集したことで空室が長引けば、その差は簡単に消えます。

 


今回は地方の築古戸建を想定して、

家賃5万円と5万5,000円ならどちらが有利なのか。

相場をどう調べるのか。

戸建ならではの駐車場・間取り・ペットなどを家賃へどう反映するのか。

値下げするならいつなのか。

そして長期入居まで含めて、どこに家賃を置くべきなのか。

を具体的に考えていきます。

 


▪️5,000円高く貸せれば年間6万円増える


 


まず単純な収入差を見ます。

 


家賃5万円なら、

年間60万円。

 


家賃5万5,000円なら、

年間66万円。

 


差額は年間6万円です。

 


5年間なら30万円。

10年間なら60万円。

 


長期間入居してもらえるなら、月5,000円の違いは小さくありません。

 


だから、

「少しでも高く貸したい」

という大家の考え方自体は間違っていません。

 


問題は、その5,000円によって入居決定までの期間が変わるかどうかです。

 


▪️5万5,000円で一か月長く空いたらどうなる?


 


5万5,000円で募集。

なかなか決まらず、一か月空室。

その後入居。

 


最初の一年の家賃収入は、

5万5,000円×11か月。

60万5,000円です。

 


一方、5万円ですぐ決まって12か月入居なら、

60万円。

 


差はわずか5,000円です。

 


月額では5,000円違ったのに、一か月の空室によって最初の一年ではほぼ同じになりました。

 


では、5万5,000円で二か月空室ならどうでしょう。

 


5万5,000円×10か月。

55万円。

 


5万円ですぐ決まった場合より、年間収入は5万円少なくなります。

 


ここが家賃設定のおもしろいところです。

 


高い家賃=高い収入ではありません。

 


家賃と入居率をセットで考える必要があります。

 


▪️では最初から安く募集すればいいのか


 


これも違います。

 


相場5万5,000円で十分決まる物件を5万円で募集すれば、年間6万円を自分から捨てることになります。

 


しかも3年間入居なら18万円。

5年間なら30万円。

 


戸建賃貸は入居期間が長くなることがあります。

そのため、最初の家賃設定が数年間の収入へ影響します。

 


大切なのは、

高く募集する。

安く募集する。

の二択ではありません。

 


「この条件なら、いくらまでなら入居者が比較対象に残してくれるか」を考えることです。

 


▪️家賃相場は同じ町名だけで決めない


 


家賃相場を調べるとき、

同じ市。

同じ町。

同じ3LDK。

だから家賃も同じ。

とは限りません。

 


戸建では特に条件差が大きくなります。

 


例えば同じ家賃5万5,000円でも、

A物件は駐車場2台。

B物件は1台。

 


A物件は4LDK。

B物件は2LDK。

 


A物件はペット相談可。

B物件は不可。

 


A物件は庭付き。

B物件は庭なし。

 


借りる人から見れば、同じ「築古戸建」でも別の商品です。

 


相場を見るなら、所在地だけでなく入居者が比較しそうな条件の近い物件を探します。

 


▪️地方戸建では駐車場が家賃以上に効くことがある


 


地方でファミリー向け戸建を貸す場合、駐車場はかなり重要です。

 


夫。

妻。

それぞれ車を所有。

 


この世帯が家を探しているとします。

 


家賃5万円。

でも駐車場1台。

 


家賃5万5,000円。

駐車場2台。

 


後者を選ぶ可能性は十分あります。

 


つまり、

「5,000円安ければ勝てる」

とは限りません。

 


入居者にとっては、

家賃。

駐車台数。

間取り。

学校や職場への距離。

ペット。

収納。

などを合わせた生活全体の条件で比較するからです。

 


▪️戸建はアパートと同じ家賃競争をしなくていい場合がある


 


近隣の2LDKアパート。

家賃5万円。

 


だから戸建も5万円。

と合わせる必要はありません。

 


戸建には、

上下階の音を気にしにくい。

独立性が高い。

部屋数が多い。

庭がある。

駐車場を複数確保できる。

収納が多い。

ペット相談がしやすい。

といった特徴があります。

 


特に子どものいる世帯では、

「アパートより少し高くても戸建がいい」

という需要が生まれる可能性があります。

 


競合は家賃だけではなく、入居者が得られる生活まで比較します。

 


▪️戸建の強みが弱いなら家賃を強気にしすぎない


 


反対に、

戸建だから高く貸せる。

とも限りません。

 


駐車場なし。

庭は荒れている。

収納が少ない。

水回りがかなり古い。

駅から遠い。

周辺に安い戸建募集が多い。

 


こうした条件なら、戸建というだけで相場より高く募集しても決まりにくい可能性があります。

 


物件の長所だけではなく、弱点も家賃へ反映します。

 


▪️リフォームに200万円かけたから家賃を上げる、は危険


 


購入300万円。

リフォーム200万円。

 


かなりきれいになった。

 


「これだけお金をかけたから、家賃6万円は欲しい」

と思いたくなります。

 


しかし入居者は、大家がリフォームへいくら使ったかでは判断しません。

 


近隣に、

同程度の戸建5万円。

少し新しい戸建5万5,000円。

があれば、それらと比較します。

 


大家の投資額と市場家賃は別です。

 


だからリフォーム前に、

この地域なら完成後いくらで貸せるのか

を想定しておく必要があります。

 


リフォーム費と家賃のバランスについてはこちらで詳しく解説しています。

築古戸建はリフォームにいくらかける?高利回りを崩さない修繕費と家賃設定の考え方

 


▪️5,000円高い設備を付けても家賃5,000円は上がらない


 


例えば、

新品キッチン。

新品浴室。

高級洗面台。

アクセントクロス。

最新設備。

 


入居者にとって魅力になる可能性はあります。

 


しかしリフォーム50万円追加。

だから家賃5,000円アップ。

とは単純にいきません。

 


家賃5,000円アップなら年間6万円。

50万円を家賃差だけで回収するには約8年4か月です。

 


しかも、その設備がなければ入居者が決まらないのか。

設備を追加すれば本当に5,000円上げられるのか。

まで考える必要があります。

 


家賃アップのためのリフォームと、入居を決めるためのリフォームは分けて考えます。

 


▪️家賃を上げるより長く住んでもらう方が残ることもある


 


家賃5万5,000円。

2年で退去。

 


家賃5万円。

5年間入居。

 


単純な月額だけなら前者が有利です。

 


しかし退去すると、

空室。

清掃。

原状回復。

募集費用。

仲介関連費用。

次の入居までの家賃損失。

などが発生する可能性があります。

 


例えば一度の入れ替えで、

原状回復10万円。

空室2か月10万円。

その他募集関連費用。

となれば、月5,000円の家賃差を簡単に超える場合があります。

 


戸建賃貸では、最高家賃を狙うより、適正家賃で長期入居してもらう方が結果として利益が残るケースがあります。

 


長期入居の考え方はこちらで詳しく解説しています。

戸建賃貸はなぜ長期入居になりやすい?地方で選ばれる物件と空室を減らす大家の戦略

 


▪️「家賃を下げたら負け」ではない


 


5万5,000円で募集開始。

 


二週間。

問い合わせが少ない。

 


一か月。

内見もほとんどない。

 


この状態でも、

「絶対5万5,000円で決める」

と待ち続ける。

 


それが最善とは限りません。

 


一か月空室なら5万5,000円の機会損失です。

 


5,000円値下げして5万円にした場合、その5万5,000円を家賃差だけで取り戻すには11か月かかります。

 


つまり、

一か月空室を延ばして家賃5,000円を守るなら、その後約11か月高い家賃で入居して初めて追いつく

ということです。

 


この計算を知っているだけでも、値下げ判断はかなり変わります。

 


▪️値下げする前に「家賃が原因か」を確認する


 


ただし問い合わせが少ないからといって、すぐ家賃を下げる必要もありません。

 


原因が、

募集写真が暗い。

掲載情報が少ない。

募集開始したばかり。

仲介会社への周知が弱い。

駐車場の説明が分かりにくい。

ペット条件が伝わっていない。

なら、家賃以外を直した方がいい可能性があります。

 


逆に、

閲覧されている。

内見もある。

でも決まらない。

近隣の類似物件より明らかに高い。

なら、家賃や条件を見直す理由になります。

 


▪️問い合わせ数は家賃設定の答え合わせになる


 


募集前に適正家賃を100%当てることは難しいです。

 


だから募集後の反応を見ます。

 


問い合わせが多い。

内見も入る。

すぐ申込み。

 


もしかすると家賃設定は適正、あるいは少し安かった可能性があります。

 


問い合わせ0。

閲覧も弱い。

 


家賃だけでなく、物件条件や募集方法そのものを見直します。

 


内見は多い。

でも申込みがない。

 


現地で何かがネックになっている可能性があります。

 


募集は市場から返ってくる答えでもあります。

 


▪️募集開始時に値下げルールを決めておく


 


空室になると、

もう少し待とう。

来週なら決まるかもしれない。

せっかくリフォームしたから下げたくない。

という感情が入ります。

 


そこで募集前にルールを作ります。

 


例えば、

5万5,000円で開始。

一定期間反響を見る。

問い合わせが極端に少なければ条件確認。

内見が入らなければ写真・募集条件・家賃を再検討。

 


こうしておけば、感情だけで家賃を維持し続けることを避けやすくなります。

 


▪️家賃を下げる以外にも募集条件を変える方法がある


 


5万5,000円から5万円へ下げる。

 


その前に、

ペット相談可。

初期費用の調整。

設備追加。

庭利用可。

入居時期相談。

など、条件を変える方法もあります。

 


もちろん何でも緩和すればいいわけではありません。

 


物件と地域需要に合わせて、

家賃以外で入居者にとっての価値を上げられないか

を考えます。

 


▪️ペット可は家賃アップより入居対象を広げる視点で考える


 


戸建と相性がいい募集条件の一つがペット相談です。

 


集合住宅ではペット不可の物件もあります。

そのため戸建でペット相談が可能なら、差別化になる場合があります。

 


ただし、

臭い。

傷。

退去時修繕。

近隣への影響。

なども考える必要があります。

 


「ペット可だから家賃を5,000円上げる」

だけではなく、

ペットと暮らしたい世帯を募集対象へ加えられる

という視点で考える方が実践的です。

 


▪️家賃保証だけを見て入居者を選ばない


 


高い家賃で申込みが入った。

 


それだけで決めるのではなく、入居審査や保証体制も重要です。

 


家賃5万5,000円で契約しても、滞納が続けば予定していた収入にはなりません。

 


保証会社。

契約条件。

入居審査。

連絡体制。

なども含めて賃貸経営です。

 


高い家賃で契約することより、安定して家賃を受け取れることの方が重要です。

 


▪️家賃を決めるときも手元資金がある大家は強い


 


空室一か月で資金繰りが苦しい。

 


この状態だと、

早く決めたい。

大幅に家賃を下げる。

条件を必要以上に緩める。

という判断につながる可能性があります。

 


一方、数か月空室でも耐えられる現金があれば、市場反応を見ながら調整できます。

 


家賃設定は募集戦略ですが、実は資金管理ともつながっています。

築古戸建投資で空室になったら家賃収入ゼロ?1戸投資の弱点と現金を残す資金計画

 


▪️家賃5万円で成立しない物件を5万5,000円前提で買わない


 


購入前の収支計算。

 


想定家賃5万5,000円なら利益が出る。

 


5万円なら厳しい。

 


この物件は慎重に見ます。

 


なぜなら、5,000円の家賃差で投資全体が成立しなくなるからです。

 


できれば、

少し家賃が下がる。

空室が出る。

修繕が発生する。

 


それでも耐えられる収支にしておきたいところです。

 


想定家賃を最大値に置かない。

 


これは購入時の重要な安全策になります。

 


▪️購入前は「募集家賃」と「安全家賃」を分けて計算する


 


例えば、

募集予定5万5,000円。

 


でも購入判断では5万円。

 


このように二つの家賃を使います。

 


5万5,000円で決まれば上振れ。

5万円でも投資として成立。

 


この状態なら、募集後の家賃調整にも余裕があります。

 


反対に5万5,000円で決まらないと赤字になる物件は、かなり家賃設定に依存しています。

 


築古戸建を購入するときは、

「いくらで貸したいか」ではなく「いくらでも成立するか」

を見ることが重要です。

 


▪️高い家賃より長く残る家賃を考える


 


家賃設定の目的は、募集サイトで一番高い家賃を付けることではありません。

 


入居が決まる。

家賃が入る。

長く住んでもらう。

退去後も再募集できる。

 


ここまで続いて初めて賃貸経営になります。

 


だから家賃5万円と5万5,000円で迷ったときは、

5,000円だけを見ない。

 


空室一か月。

退去一回。

原状回復一回。

 


これらの方が大きな金額になることがあります。

 


▪️不動産投資では「最大家賃」より「再現できる家賃」が重要


 


一度だけ6万円で決まった。

 


それを、

この物件の家賃相場は6万円。

と考えるのは危険です。

 


次の退去時にも6万円で決まるのか。

周辺相場が変わっても成立するのか。

5年後でも募集できるのか。

 


長期投資では、再現性が重要です。

 


築古戸建だけでなく、不動産投資全体を比較するときも、想定家賃と実際の手残りを分けて考える必要があります。

不動産投資の選択肢を詳しく確認したい方はこちら

 


▪️後半では「5,000円高く貸すべき物件・下げるべき物件」を分ける


 


ここまでで一つ分かるのは、

家賃5万円が正解。

5万5,000円が正解。

という答えはないことです。

 


同じ築古戸建でも、

駐車場2台。

ファミリー向け。

競合が少ない。

問い合わせが多い。

なら、強気の家賃を試せる可能性があります。

 


反対に、

競合多数。

駐車場条件が弱い。

問い合わせがない。

空室が長期化。

なら、5,000円にこだわる方が損失を大きくすることがあります。

 


後半では、

強気で募集できる物件。

早めに調整した方がいい物件。

を具体的に分けます。

 


さらに、

家賃を下げるタイミング。

長期入居との収益比較。

更新時の考え方。

家賃を上げるより効果が出やすい改善。

そして購入時にどこまで家賃下落を想定するか。

まで整理します。

 


最終的には、

「一番高く貸せる家賃」ではなく「一番利益が残る家賃」をどう決めるか。

ここまで数字で答えを出します。



▪️5万5,000円で強気に募集しやすい物件


 


では、どんな戸建なら相場より少し高めの家賃を試しやすいのでしょうか。

例えば、

駐車場2台以上。

ファミリーが使いやすい間取り。

水回りがきれい。

収納が多い。

ペット相談可能。

競合する戸建賃貸が少ない。

 


こうした条件が複数そろっている物件です。

 


特に地方では、単純な築年数よりも「家族で実際に暮らしやすいか」が重要になることがあります。

築35年でも駐車場2台、4LDK、室内リフォーム済み。

一方で築25年でも駐車場1台、収納が少ない。

 


家賃差が5,000円程度なら、前者が選ばれることも十分考えられます。

 


強気の家賃を付けるなら、その5,000円を入居者が払う理由が物件側にあるかを考えます。

 


▪️逆に5,000円へこだわらない方がいい物件


 


周辺に戸建募集が多い。

同条件の競合より高い。

駐車場条件が弱い。

設備や内装で大きな差がない。

募集開始後も問い合わせが少ない。

 


こうした状態なら、5,000円を守ることより早く入居を決める方が収益につながる可能性があります。

 


例えば5万5,000円を5万円へ下げると、年間では6万円減ります。

 


しかし5万5,000円のまま二か月空室なら、失う家賃は11万円。

 


値下げした方が必ず得という話ではありません。

それでも、空室期間も家賃設定のコストとして計算する必要があります。

 


▪️5,000円値下げする前に3,000円で反応を見る方法もある


 


家賃設定は、

5万5,000円。

次は5万円。

という二択ではありません。

 


例えば5万5,000円で反響が弱ければ、5万2,000円。

あるいは5万3,000円。

 


競合状況によっては、小幅な調整で検索条件や比較対象が変わることもあります。

 


ただし細かく何度も変更すると、募集期間だけが長くなる可能性があります。

 


大切なのは、値下げ幅そのものより、

「何日待って、どんな反応なら変更するか」を先に決めておくことです。

 


▪️募集開始からの反響を3段階で見る


 


家賃が適正か判断するときは、問い合わせ件数だけを見るより、

掲載されている。

問い合わせが来る。

内見される。

申込みが入る。

という流れで考えると原因を整理しやすくなります。

 


そもそも見られていないなら、募集方法や写真の問題かもしれません。

見られているのに問い合わせがないなら、家賃や条件が比較で負けている可能性があります。

 


内見されるのに決まらないなら、

室内の印象。

臭い。

清掃。

設備。

周辺環境。

駐車のしやすさ。

など、現地で初めて分かる弱点も疑います。

 


家賃を下げる前に、どこで入居希望者が離れているのかを見る。

 


これだけでも不要な値下げを減らせます。

 


▪️写真を変えるだけで家賃を下げずに済むこともある


 


せっかくリフォームしたのに、

暗い写真。

狭く見える写真。

外観一枚だけ。

水回りの写真がない。

 


これでは物件の良さが伝わりません。

 


特に戸建は、

LDK。

各居室。

収納。

浴室。

洗面。

トイレ。

庭。

駐車スペース。

まで見せることで生活を想像しやすくなります。

 


5,000円値下げする前に、募集ページそのものを改善できないか確認します。

 


▪️草や庭の状態も内見成約率に影響する


 


地方戸建では庭付き物件も多くあります。

 


募集写真ではきれいだった。

しかし内見時には草が伸びている。

 


これだけで、

「管理が大変そう」

「入居後も自分で草刈りするのかな」

という印象を与えることがあります。

 


家賃5,000円を下げるより、数千円〜数万円で外回りを整えた方が効果的なケースもあります。

 


戸建賃貸では、室内だけでなく玄関に入るまでの第一印象も商品です。

 


▪️初期費用まで含めると家賃が同じでも選ばれ方は変わる


 


入居者が見るのは月額家賃だけではありません。

 


敷金。

礼金。

保証関連費用。

火災保険。

仲介関連費用。

その他の初期費用。

 


例えば家賃5万円でも初期費用が高い物件と、家賃5万5,000円でも入居時負担を抑えた物件。

 


引っ越し時に必要な総額では、差が小さくなることがあります。

 


そのため反響が弱い場合は、家賃だけでなく契約条件全体を確認します。

 


▪️家賃5,000円より退去1回の方が大きい


 


ここは戸建賃貸の収益を考えるうえで重要です。

 


家賃5万円。

5年間入居。

 


家賃収入は単純計算で300万円。

 


家賃5万5,000円。

2年で退去。

原状回復15万円。

空室2か月。

再募集後にさらに3年間入居。

 


5年間という同じ期間でも、途中の退去によって、

原状回復。

空室損。

募集関連費用。

大家の手間。

が増えます。

 


月5,000円なら年間差額は6万円。

 


一方、一度の退去で20万円、30万円単位の影響が出れば、数年分の家賃差が一度に消えることもあります。

 


だから戸建賃貸では、高い家賃を取ることと同じくらい「退去を増やさない家賃」を考える価値があります。

 


▪️長期入居しやすい世帯と家賃設定の相性を考える


 


戸建を選ぶ人の中には、

子どもがいる。

荷物が多い。

車が複数台ある。

ペットと暮らしたい。

集合住宅では手狭。

という世帯があります。

 


こうした世帯は、一度生活基盤ができると簡単には引っ越さない場合があります。

 


学校。

職場。

駐車場。

家具。

家電。

引っ越し費用。

 


住み替える負担が大きいからです。

 


だから戸建では、短期間だけ最大家賃を取るより、

「この家賃なら長く住みたい」と思える水準を狙う

という考え方ができます。

 


▪️家賃を3,000円上げるために30万円使うべきか?


 


ここでも数字で考えます。

 


リフォームを30万円追加。

家賃が3,000円上がるとします。

 


年間増収は3万6,000円。

 


30万円÷3万6,000円。

約8.3年です。

 


しかも本当に3,000円上げられる保証はありません。

 


一方、その30万円によって、

入居が早く決まる。

長期入居につながる。

将来の修繕を減らせる。

のであれば意味が変わります。

 


設備投資は、家賃アップだけで回収を考えない方が実態に近い場合があります。

 


▪️家賃アップにつながりやすい改善と、つながりにくい改善を分ける


 


例えば入居者が明確に比較しやすい、

エアコン。

温水洗浄便座。

モニター付きインターホン。

使いやすい水回り。

駐車スペース。

などは募集上の魅力になる可能性があります。

 


一方、大家の好みで高級な材料を使っても、その費用を家賃へそのまま転嫁できるとは限りません。

 


築古戸建では、

高級にする。

ではなく、

古くても不便なく、清潔に暮らせる状態を作る

という考え方が収支と合わせやすくなります。

 


▪️家賃を上げるなら退去後が判断しやすい


 


長期間入居していた物件が退去。

 


周辺相場を調べると、以前より家賃が上がっている。

リフォームも実施した。

競合戸建も少ない。

 


こうしたタイミングなら、次回募集時の家賃を見直しやすくなります。

 


以前5万円だったから次も5万円。

と固定する必要はありません。

 


反対に周辺相場が下がっているなら、以前の家賃へ固執しない。

 


募集のたびに現在の市場で家賃を決め直すことが重要です。

 


▪️購入時に家賃下落まで入れておく


 


築古戸建を購入するとき、

想定家賃5万5,000円。

 


この数字だけで利回りを計算するのではなく、

5万円ならどうか。

4万5,000円ならどうか。

まで見てみます。

 


例えば総投資額500万円。

 


家賃5万5,000円なら年間66万円。

単純利回り13.2%。

 


5万円なら年間60万円。

12%。

 


4万5,000円なら年間54万円。

10.8%。

 


家賃が1万円下がっても投資として耐えられるのか。

 


この確認をしておけば、購入後に相場と想定が少しズレても慌てにくくなります。

 


▪️家賃設定は利回りだけでなく現金購入・融資にも影響する


 


家賃5万5,000円を前提にローン返済を組む。

 


実際は5万円でしか決まらない。

 


月5,000円の差でも、年間6万円。

10年間なら単純計算で60万円です。

 


さらに空室や修繕が重なれば、資金繰りへの影響は大きくなります。

 


融資を使う物件ほど、

高めの想定家賃。

満室前提。

修繕ほぼなし。

という楽観的な計算を避けます。

 


現金と融資の考え方についてはこちらでも詳しく整理しています。

築古戸建投資は現金購入と融資どちらがいい?自己資金を残して次の物件につなげる資金戦略

 


▪️安い物件でも家賃が取れなければ投資にならない


 


購入価格200万円。

 


安い。

 


しかし周辺の戸建需要が弱く、家賃3万円でもなかなか決まらない。

 


一方、

購入価格500万円。

家賃6万円。

問い合わせもある。

長期入居が期待できる。

 


どちらが良い投資なのかは購入価格だけでは決まりません。

 


前回の記事でも解説したように、安い物件では再建築・接道・土地値だけでなく、実際に貸せる家賃と需要まで確認する必要があります。

安い築古戸建ほど危険?再建築不可・接道・土地価値を購入前に確認する方法

 


▪️管理会社や仲介会社の意見は「答え」ではなく材料にする


 


購入前や募集前に、

「この家ならいくらで貸せますか?」

と聞くことは有効です。

 


ただ、一社から6万円と言われたから6万円で確定。

とは考えません。

 


別の会社では5万5,000円。

近隣募集は5万円台前半。

実際の成約感は5万円程度。

ということもあります。

 


複数の意見。

現在の募集物件。

物件の条件。

自分の収支。

 


これらを合わせて判断します。

 


大家自身が家賃の根拠を説明できる状態にしておくことが大切です。

 


▪️家賃5万円でも十分利益が残る物件は強い


 


例えば総投資額400万円。

 


家賃5万円。

年間60万円。

 


固定資産税。

保険。

修繕積立。

空室。

管理関連費用。

 


これらを入れても十分に利益が残る。

 


さらに5万5,000円で決まれば上振れです。

 


このような物件は家賃設定に余裕があります。

 


反対に、

家賃6万円で決まらなければ収支が成立しない。

という物件は、募集時の選択肢が狭くなります。

 


投資の安全性は「最大家賃」ではなく「少し条件が悪くても成立するか」で見ることができます。

 


▪️空室一か月を取り戻すには意外と時間がかかる


 


家賃5万円。

 


一か月空室。

損失5万円。

 


家賃を2,000円高くして取り戻すなら、

5万円÷2,000円。

25か月。

 


家賃3,000円高くしても、

約17か月。

 


5,000円高くして、

10か月です。

 


一か月の空室は、想像以上に重い。

 


だから、

「あと3,000円高く貸したい」

という判断をするときは、

その3,000円のために空室が何か月延びてもいいのか

まで計算します。

 


▪️逆に一週間待つだけなら強気募集が成功することもある


 


ここまで読むと、

安くしてすぐ決めた方がいい。

と感じるかもしれません。

 


そうとも限りません。

 


5万円なら即決。

5万5,000円でも一週間後に決まる。

 


これなら5万5,000円の方が有利になる可能性があります。

 


問題は、募集開始時には結果が分からないことです。

 


だからこそ、

相場を調べる。

反響を見る。

期限を決める。

必要なら調整する。

 


この流れが重要になります。

 


▪️家賃設定は一発で正解を当てるゲームではない


 


募集開始前に、

絶対5万3,000円が正解。

と断定することは難しいです。

 


相場を調べて仮説を立てる。

募集する。

反響を見る。

調整する。

 


この繰り返しです。

 


例えば最初は5万5,000円。

反響が十分なら維持。

反響が弱ければ募集内容を改善。

それでも弱ければ家賃調整。

 


この方が、最初から必要以上に安く募集するより合理的な場合があります。

 


▪️戸建賃貸では家賃以外の満足度も長期収益につながる


 


入居後、

設備故障へ早く対応する。

連絡が取れる。

必要な修繕を放置しない。

 


こうした管理も長期入居に関係します。

 


家賃5万円で募集したから終わりではありません。

 


入居期間が長くなれば、

空室回数。

原状回復回数。

募集回数。

を減らせる可能性があります。

 


自主管理と管理会社の役割についてはこちらで詳しく解説しています。

戸建賃貸は自主管理できる?管理会社へ任せる範囲と大家が自分で見るべきポイント

 


▪️最終的に見るのは「家賃×入居月数-入れ替えコスト」


 


家賃設定を考えるとき、シンプルに整理すると分かりやすくなります。

 


見るのは、

毎月の家賃。

だけではありません。

 


家賃×実際に入居している月数。

 


そこから、

空室損。

原状回復。

募集関連費用。

修繕。

管理費。

などを引きます。

 


例えば高い家賃でも毎年のように退去する。

 


それより少し安くても5年間入居。

 


後者の方が最終的な手残りが大きいことは十分あります。

 


▪️不動産投資では家賃以外の収益構造も比較する


 


築古戸建は少額から始めやすい一方、一戸が空室になれば家賃収入が止まります。

 


一棟物件。

区分マンション。

その他の不動産投資。

では、家賃設定や空室リスクの考え方も変わります。

 


自分の資金や目標に合う投資方法を比較しておくことも大切です。

不動産投資の選択肢を詳しく確認したい方はこちら

 


▪️家賃設定で迷ったときの判断順序


 


最後に、家賃を決める順番を整理します。

 


まず周辺の競合を見る。

 


次に、

駐車場。

間取り。

設備。

ペット。

収納。

立地。

など、自分の戸建との差を確認する。

 


そのうえで募集家賃を決めます。

 


募集開始後は、

問い合わせ。

内見。

申込み。

のどこで止まっているのかを見る。

 


反響が弱ければ、写真や条件を改善。

それでも動かなければ家賃を調整。

 


そして最終的には、

家賃の高さではなく、年間でいくら残るか

で判断します。

 


▪️まとめ|正解は「一番高い家賃」ではなく「一番利益が残る家賃」


 


家賃5万円。

家賃5万5,000円。

 


月額差は5,000円。

年間では6万円です。

 


決して小さな金額ではありません。

 


しかし5万5,000円にこだわって一か月空室が延びれば、最初の一年の差はほとんどなくなります。

二か月延びれば、5万円ですぐ決まった方が年間家賃は多くなります。

 


反対に5万5,000円でもすぐ決まる物件なら、わざわざ5万円へ下げる必要はありません。

 


だから家賃設定で重要なのは、

高く貸す。

安く貸す。

という二択ではありません。

 


物件の強み。

競合。

問い合わせ。

空室期間。

入居期間。

退去コスト。

 


これらをまとめて考えます。

 


特に戸建賃貸では、一度入居すると長期間住んでもらえる可能性があります。

 


そのため月5,000円の家賃差だけでなく、

一回の退去。

一回の原状回復。

一か月の空室。

の方が収益へ大きく影響する場合があります。

 


購入時も同じです。

 


想定家賃5万5,000円でしか成立しない物件より、

5万円でも成立する。

4万5,000円まで下がっても致命傷にならない。

 


そんな余裕のある物件の方が、募集時の選択肢を持てます。

 


そして募集後は市場の反応を見る。

 


決まらないから即値下げ。

でもない。

 


絶対に家賃を下げない。

でもない。

 


写真を変える。

条件を見直す。

仲介会社へ確認する。

反響を分析する。

それでも弱ければ家賃を調整する。

 


家賃設定は、一度決めて終わる数字ではありません。

 


市場の反応を見ながら、

「最も高く貸せる家賃」ではなく「長期的に最も利益が残る家賃」を探す。

 


これが地方の築古戸建で家賃を決めるときの基本です。

 


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