相続土地国庫帰属制度を申請する前に売却査定すべき?20万円以上払って国へ渡す前の判断順
- MIRAIU

- 8月26日
- 読了時間: 12分
相続した土地を使う予定がない。
草刈りや固定資産税だけが続いている。
不動産会社へ相談したこともないまま、
「相続土地国庫帰属制度で国へ渡そう」
と考えている方もいるでしょう。
相続土地国庫帰属制度は、一定の条件を満たす土地を国へ引き取ってもらえる有効な制度です。
しかし、この制度は土地を売ってお金を受け取る制度ではありません。
申請時には一筆14,000円の審査手数料が必要です。
さらに承認された場合は、原則として10年分の土地管理費相当額として負担金を納めます。
負担金は20万円が基本となる土地もありますが、農地や森林などでは20万円を超えるケースもあります。
つまり、
「売れないと思っていた土地を、20万円以上払って国へ渡した。しかし実は売却できた」
という判断は避けたいところです。
この記事では、相続土地国庫帰属制度を申請する前に、売却・貸付・活用とどのように比較すればよいのかを整理します。
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▪️結論|国庫帰属は「売れないと確認した後」の有力な出口
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相続土地国庫帰属制度を利用する前に、最低でも次の3つを比較します。
・現在の状態で売却できないか
・貸付や土地活用ができないか
・国庫帰属すると総額いくら必要か
そのうえで、
売却需要がない。
貸す相手もいない。
土地活用も採算が合わない。
今後も管理費だけが続く。
という土地なら、国庫帰属の価値が高くなります。
国庫帰属制度が悪いのではなく、最初から国庫帰属だけに決めないことが重要です。
詳しくはこちら
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▪️国庫帰属では土地を手放す側がお金を支払う
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一般的な不動産売却では、
土地を渡す。
↓
買主から売却代金を受け取る。
という流れです。
相続土地国庫帰属制度では反対に、
申請する。
↓
審査を受ける。
↓
承認される。
↓
負担金を納付する。
↓
土地が国庫へ帰属する。
という流れになります。
国が土地を買い取ってくれる制度ではありません。
そのため、申請前には現在の土地価値との比較が必要です。
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▪️最低でも「14,000円+負担金」で考える
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国庫帰属を申請すると、一筆ごとに14,000円の審査手数料が必要です。
例えば1筆なら14,000円。
5筆なら70,000円。
10筆なら140,000円です。
さらに承認後は負担金を納めます。
一般的な宅地、田畑、雑種地・原野などでは20万円が基本となる区分があります。
つまり1筆について負担金20万円のケースなら、
審査手数料14,000円
+
負担金200,000円
=
少なくとも214,000円
が制度上の直接費用になります。
これに境界確認や建物撤去などが必要なら、さらに費用が増えます。
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▪️農地なら負担金が100万円を超える例もある
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「国庫帰属は20万円」
と覚えてしまうのは危険です。
一部の市街地や農用地区域等にある田・畑は、面積に応じて負担金が算定されます。
法務省の計算例では、
500㎡の農地 約72万円。
1,000㎡の農地 約110万円。
となるケースがあります。
森林も面積による計算です。
だから土地ごとに、
国へ渡すために最終的にいくら必要なのか
を確認してから売却と比較します。
詳しくはこちら
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▪️国庫帰属前に売却査定する意味は「高く売るため」だけではない
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売却査定というと、
できるだけ高く売りたい人がするもの。
と思うかもしれません。
しかし国庫帰属を考えている場合は違います。
確認したいのは、
この土地に買主が存在する可能性があるか
です。
例えば査定額が50万円だったとしても、
国庫帰属へ30万円支払う。
土地を50万円で売却する。
では、単純な資金差は80万円になります。
売却には仲介費用や登記など別の費用が発生する場合がありますが、方向性は大きく違います。
だから国庫帰属を決める前に、一度土地市場から評価してもらう意味があります。
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▪️「一社に断られた=売却価値ゼロ」ではない
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以前、不動産会社へ相談して、
「この土地は扱えません」
と言われた経験がある方もいるでしょう。
しかし一社に断られただけでは、
市場価値がゼロ。
誰も買わない。
と確定したわけではありません。
例えば、
農地。
山林。
市街化調整区域。
狭小地。
などは、不動産会社によって取扱経験が大きく違います。
土地条件に合う相談先へ変えるだけで、出口が見つかるケースがあります。
詳しくはこちら
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▪️実際に「国庫帰属をやめて有効活用」に変わった土地も多い
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法務省の2026年7月末時点の統計では、相続土地国庫帰属制度の取下げは1,102件あります。
そのうち571件は土地の有効活用の見込みが生じたことによる取下げです。
例えば、
隣接土地の所有者から引取りの申出があった。
農業委員会の調整によって農地として使われる見込みができた。
自治体や国の機関による有効活用が決まった。
といった事例が示されています。
つまり国庫帰属を検討するような土地でも、調べてみると別の利用者が見つかる可能性があります。
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▪️隣地所有者なら価値を感じる土地もある
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一般市場ではほとんど売れない土地でも、隣地所有者にとっては価値がある場合があります。
例えば、
細長い土地。
接道のない土地。
小さな山林。
農地の一画。
などです。
隣地と一体になれば、
敷地が広がる。
土地形状が良くなる。
農作業がしやすくなる。
管理境界が減る。
というメリットが生まれることがあります。
国庫帰属を申請する前に、隣地所有者への売却・譲渡が可能か確認する価値があります。
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▪️農地なら売却だけでなく「貸す」を先に確認する
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農地の場合は、売却価格が低いから国庫帰属という判断だけではありません。
周辺で農業が続いているなら、
近隣農家。
農業法人。
農地バンク。
などを通じて利用してもらえる可能性があります。
所有権は残っても、誰かが耕作することで草刈りなどの管理負担を減らせる場合があります。
将来売却できるまでの間だけ貸す方法もあります。
詳しくはこちら
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▪️活用できる土地を国へ渡す前に収支を比較する
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例えば住宅地や幹線道路に近い土地なら、
月極駐車場。
資材置場。
事業用貸地。
などへ利用できる可能性があります。
土地活用なら初期投資が必要になるため、
「使えるなら全部活用」
ということではありません。
比較するのは、
国庫帰属で支払う総額。
今売却した場合の手残り。
活用した場合の初期投資。
年間の想定手残り。
です。
例えば200万円の投資が必要なのに年間10万円しか残らない土地なら、20年単純回収になります。
それなら売却や国庫帰属の方が合理的かもしれません。
逆に小さな投資で継続収入が見込めるなら、急いで手放す必要がない場合もあります。
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▪️逆に「売れない土地を無理に活用」はしない
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国庫帰属に費用がかかると知ると、
それなら何とか収益化しよう。
と考えることがあります。
しかし、
周辺需要がない。
転用できない。
進入路がない。
造成費が高い。
という土地へ投資すると、さらに費用を増やす可能性があります。
売却査定が低い。
土地活用も採算が合わない。
管理負担だけが続く。
このような土地こそ、国庫帰属制度の価値があります。
制度を使わないために無理な投資をする必要もありません。
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▪️国庫帰属の条件を整える費用も計算に入れる
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土地がそのまま国庫帰属条件を満たさない場合があります。
例えば、
建物を解体する。
不要な工作物を撤去する。
抵当権を整理する。
境界問題を解決する。
といった対応が必要です。
仮に、
建物解体 150万円。
境界関係 30万円。
審査手数料 1.4万円。
負担金 20万円。
なら、合計は説明上201.4万円です。
そこまで支払って国へ渡す前に、
建物付き現況で売れないか。
隣地所有者が引き取らないか。
を確認する意味は大きくなります。
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▪️毎年の管理費と比較すると国庫帰属が得になるケースもある
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一方、国庫帰属へお金を払う方が合理的なケースもあります。
例えば説明用として、
国庫帰属総費用 30万円。
年間の草刈り・管理・税負担 6万円。
とします。
土地をこのまま10年間持てば、
6万円 × 10年 = 60万円
です。
さらに将来も管理は続きます。
売却・貸付・活用の見込みがないなら、30万円を払って所有負担を終わらせた方が合理的という判断もできます。
つまり国庫帰属は、
お金を払うから損
とも限りません。
将来の保有コストまで比較します。
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▪️判断するなら「10年間の手残り」で比べる
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土地の出口を比較するときは、現在の金額だけでなく一定期間の負担も見ます。
例えば、
売却
売却代金 − 売却費用。
土地活用
10年間の収入 − 初期費用 − 維持費。
保有継続
将来価値 − 10年間の管理費・税負担。
国庫帰属
0円 − 審査手数料 − 負担金 − 条件整備費。
このように同じ時間軸へそろえると判断しやすくなります。
国庫帰属制度の負担金自体も、土地の性質に応じた10年分の標準的な管理費用を考慮して設定されている制度です。
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▪️複数土地なら価値のある土地だけ売る方法もある
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田んぼ。
山林。
宅地。
原野。
を複数相続している場合、全部同じ出口にする必要はありません。
例えば、
住宅地の土地は売却。
使いやすい農地は貸付。
条件の良い土地は活用。
本当に出口のない山林だけ国庫帰属。
という組み合わせもできます。
売却で得た資金を、別の土地の国庫帰属負担金へ使う方法もあります。
詳しくはこちら
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▪️国庫帰属前の判断順は5ステップ
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迷ったら次の順番で確認します。
・① 現在の売却可能性を確認する
・② 隣地所有者や利用者候補を確認する
・③ 貸付・土地活用の採算を確認する
・④ 今後10年間の保有負担を計算する
・⑤ 国庫帰属の総費用と比較する
この5つを確認したうえで、
国へ渡すのが最も損失を小さくできる
と判断した土地なら、安心して制度利用を進めやすくなります。
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▪️よくある質問|国庫帰属前の売却査定
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Q.国庫帰属する予定でも売却査定した方がいいですか?
売却可能性が全く分からない土地なら、一度確認する意味があります。
国庫帰属には審査手数料と負担金が必要だからです。
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Q.不動産会社に一度断られています。それでも確認する意味がありますか?
土地種別によって得意な会社が異なります。
一社の取扱不可だけで市場全体に買主がいないとは限りません。
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Q.国庫帰属の負担金は必ず20万円ですか?
必ずではありません。
森林や、一部の市街地・農用地区域等の田畑などでは面積に応じて算定され、20万円を超える場合があります。
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Q.売却も土地活用も難しければ国庫帰属は有効ですか?
承認要件を満たし、今後も管理費だけが続く土地なら、有力な出口になります。
将来の保有コストと国庫帰属費用を比較しましょう。
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▪️まとめ|国へ渡せる土地ほど「渡す前の査定」が重要
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相続土地国庫帰属制度は、売却できない土地を永遠に持ち続けるしかなかった所有者にとって重要な選択肢です。
だから制度を使うこと自体に問題はありません。
ただし申請前には一度、
売れるのか。
貸せるのか。
活用できるのか。
を確認します。
国庫帰属では一筆14,000円の審査手数料が必要です。
承認後には負担金も支払います。
土地によっては条件を整えるための解体・撤去・境界整理など、さらに費用が必要になることもあります。
一方で法務省の統計では、国庫帰属を申請した後に隣地所有者から引取りの申出があるなど、有効活用の見込みが生じて申請を取り下げた事例も多数あります。
つまり、
「国へ渡そうと思った土地=価値がない土地」ではありません。
売却査定する。
利用者を探す。
土地活用を数字で比較する。
10年間持った場合の負担を計算する。
それでも国へ渡す方が合理的なら、国庫帰属を選ぶ。
この順番です。
土地を手放す目的は、
一番高く売ること。
国庫帰属制度を使うこと。
ではありません。
今後その土地に使うお金と時間を最も小さくできる出口を選ぶことです。
その結果として国庫帰属が一番合理的なら、費用を払ってでも所有負担を完全に終わらせる価値があります。
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