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相続した山林を国庫帰属できる?境界・危険な樹木・管理負担で断られる土地を解説

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月26日
  • 読了時間: 12分

親から山林を相続した。

場所は山の中で、自分では使う予定がない。

林業をするわけでもなく、不動産会社へ相談しても買主が見つからない。

このような山林でも、一定の条件を満たせば相続土地国庫帰属制度を使って国へ引き取ってもらえる可能性があります。

実際、法務省の2026年7月末時点の速報では、山林の申請は893件。

すでに国庫へ帰属した森林も199件あります。

ただし山林では、

・どこまでが自分の土地か分からない

・急な斜面がある

・倒木リスクのある木がある

・竹が周囲へ広がっている

・通常より管理へ費用がかかる

といった問題が起こりやすくなります。

そして重要なのは、山に木が生えているだけで不承認になるわけではないことです。

この記事では、相続した山林を国庫帰属できる条件と、申請前に売却・活用可能性まで確認する判断順を整理します。

▪️結論|山林も国庫帰属できる。ただし「管理しにくい山ほど通る」制度ではない

使い道のない山林ほど国に引き取ってもらいやすい。

そう考えたくなります。

しかし制度は逆です。

相続土地国庫帰属制度では、国が取得した後に通常より過大な管理費・労力を必要とする土地を除外する仕組みがあります。

そのため、

山奥だから誰も使わない。

急斜面だから売れない。

木が倒れそうで管理できない。

という事情が、そのまま承認されやすさにつながるわけではありません。

山林では特に、

境界

斜面

樹木・竹

森林管理状態

を先に確認します。

詳しくはこちら

▪️山林でも実際に国庫帰属した事例はある

相続土地国庫帰属制度は、宅地や農地だけを対象とする制度ではありません。

森林も対象です。

法務省の2026年7月末速報では、

山林の申請 893件

国庫帰属した森林 199件

となっています。

さらに林野庁によると、国庫帰属した森林については森林管理署などが管理します。

巡視を行い、

倒木。

不法投棄。

境界。

などに異常がないか確認しながら国有財産として管理されます。

つまり山林も制度上だけでなく、実際に国へ移っている土地があります。

▪️最初の壁|山林は「境界が分からない」が起こりやすい

山林相続で特に多い問題が境界です。

例えば、

祖父の代から現地へ行っていない。

境界杭を見たことがない。

公図はあるが山中のどこか分からない。

隣も全部山で目印がない。

というケースです。

国庫帰属の申請では、土地の位置だけでなく、申請者が認識している土地の範囲を現地で確認できる必要があります。

そのため、

「この山のどこかです」

という状態のままでは進めにくくなります。

▪️ただし国庫帰属のために確定測量が必須ではない

ここは誤解しやすいポイントです。

国庫帰属制度では、すべての山林について高額な確定測量や境界確認書の提出まで求められているわけではありません。

必要なのは大きく、

・申請者が認識する境界を現地で表示できる

・隣地所有者が認識している境界と食い違いがなく、争いがない

という状態です。

既存の境界標や道路、地形などで分かるなら利用できます。

何もない場所では、申請者が認識している境界点へ目印を設置することがあります。

測量が必須ではないことと、境界が分からなくてもよいことは別です。

▪️境界写真も必要になるため、現地を全く知らない山林は先に調査する

申請書には、

・土地の位置・範囲を示す図面

・隣地との境界点が分かる写真

・土地の形状が分かる写真

などが必要です。

広い山林だからといって、ドローンで山全体を撮影することまで必須ではありません。

国土地理院の空中写真などを補助資料として使う方法もあります。

一方、自分自身が土地の所在を把握できず、現地の境界写真も用意できない状態なら、申請前に調査が必要です。

土地家屋調査士などへ相談するケースもあります。

詳しくはこちら

▪️山に木が生えているだけなら不承認ではない

山林の記事で特に注意したいのが樹木です。

相続土地国庫帰属制度では、土地の通常管理・処分を妨げる樹木などがある土地は不承認になる場合があります。

しかし、

森林に樹木が存在すること自体は通常の状態です。

したがって、

木が100本ある。

大きな木がある。

というだけで国庫帰属できないわけではありません。

問題になるのは、その樹木が国の通常管理を大きく妨げる状態かどうかです。

▪️危険な枯木や広がる竹は問題になる可能性がある

法務省は管理を阻害する樹木等の例として、

・民家や公道、線路付近にあり倒木のおそれがある枯木

・枝の落下などを防ぐため定期的な伐採が必要な樹木

・周囲へ侵入するおそれがあり定期的な伐採が必要な竹

などを挙げています。

つまり山の奥に普通に生育する樹木と、

道路脇で倒木リスクが高い枯木。

住宅へ越境する可能性がある危険木。

管理しなければ隣地へ広がり続ける竹林。

は分けて考えます。

申請前に全部伐採すればよいわけではありませんが、問題になる木があるなら法務局へ事前相談した方がよいでしょう。

▪️崖があるだけでも自動的に不承認ではない

山林なら斜面があることは珍しくありません。

制度では、

勾配30度以上。

かつ高さ5m以上。

の崖があり、その崖の通常管理に過分の費用・労力が必要な土地が不承認対象になります。

ここでも、

30度以上の斜面がある。

即不承認。

ではありません。

崖の存在と、国が通常管理する場合に過大な負担が生じるかを合わせて判断します。

一方、崩落防止工事などを継続的に必要とする土地なら、承認が難しくなる可能性があります。

▪️森林では「間伐や造林が不足している状態」も確認される

山林特有でもう一つ重要なのが森林管理です。

国庫帰属後の森林は、国が国有財産として管理することになります。

そのため主に森林として利用されている土地について、市町村森林整備計画に定められた内容へ適合しておらず、国が取得した後に追加的な、

造林。

間伐。

保育。

を行わなければならない状態では、不承認要件になる場合があります。

つまり、

何十年間も放置した人工林だから、国が後で全部整備してくれる。

という制度ではありません。

取得後に国へ特別な森林整備負担を押し付ける状態になっていないかも確認されます。

▪️山へ車で入れないだけで直ちに対象外とは限らない

山林では、

道路がない。

車で入れない。

徒歩でしか行けない。

という土地もあります。

道路条件が悪いという理由だけで、直ちに全国一律で国庫帰属できないと決まるわけではありません。

ただし、

他人の土地を通らなければ管理できない。

その通行権が妨げられている。

隣地所有者との争いを解決しなければ管理できない。

という状態では問題になる場合があります。

また管理のために通常を超える費用・労力が必要な土地についても審査されます。

「道がない=即NG」ではなく、国が取得した後に通常管理できる状態かを見ることが重要です。

▪️野生動物がいるだけでも不承認ではない

山林ならシカやイノシシなどが生息していることもあります。

野生動物がいるというだけで国庫帰属できないわけではありません。

一方、その土地に生息する動物によって、

人の生命・身体。

周辺の農作物。

樹木。

などへ被害が発生し、通常管理を妨げる状態では不承認要件に該当する可能性があります。

ここでも単に、

「イノシシを見たことがある」

という程度ではなく、管理へどの程度の負担が発生するかが問題です。

▪️山林の負担金は20万円固定ではない

農地や一般的な宅地では20万円が基本になる区分があります。

しかし森林は異なります。

森林の負担金は面積に応じて算定されます。

法務省の計算例では、

森林1,500㎡ 約27万円

森林3,000㎡ 約30万円

です。

面積へ単純比例する仕組みではなく、面積が大きくなるほど1㎡当たりの金額は低くなる計算方式です。

そのため、

「国庫帰属=20万円」

と考えず、所有する森林面積で負担金を確認しましょう。

▪️審査手数料は山林でも1筆14,000円

負担金とは別に、申請時には一筆14,000円の審査手数料が必要です。

例えば山林を8筆相続しているなら、

14,000円 × 8筆 = 112,000円

です。

この審査手数料は、申請後に、

取り下げた。

却下された。

不承認になった。

場合でも返金されません。

山林は昔の分筆によって細かく複数筆に分かれているケースがあります。

そのため面積だけでなく筆数も申請費用に影響することを覚えておきましょう。

▪️隣接する山林なら負担金を合算できる場合がある

複数の山林が隣接している場合には、負担金の特例を使える可能性があります。

同じ種目に当たる隣接土地なら、申出によって一つの土地として面積を合算し、負担金を計算できます。

森林は面積に応じて負担金が変わるため、複数筆を個別計算するより負担を抑えられるケースがあります。

ただし、審査手数料はあくまで一筆ごとです。

負担金をまとめられることと、申請そのものが一筆になることは別です。

▪️国に渡す前に山林として売れないか確認する

山林は、

売れない。

値段が付かない。

と思われやすい土地です。

しかしすべての山林に需要がないわけではありません。

例えば、

道路から入れる。

まとまった面積がある。

林業利用ができる。

隣接所有者が買い増したい。

別荘地や集落に近い。

という土地なら買主が見つかる可能性があります。

国庫帰属なら所有者が審査手数料と負担金を支払います。

売却できれば、逆に売却代金を受け取れる可能性があります。

だから国へお金を払う前に、一度は市場価値を確認する意味があります。

〖PR〗相続した山林を国へ渡す前に、現在の状態で売却できる可能性がないか確認できます。

▪️山林を無理に造成してから売る必要はない

山林が売れないと、

木を切る。

整地する。

駐車場や資材置場へする。

その後に売る。

という方法を考えることがあります。

しかし森林を別用途へ変える場合には、

森林法。

都市計画。

盛土規制法。

造成。

道路。

排水。

など別の確認が必要になることがあります。

土地活用できる可能性があっても、高額な造成費を回収できる需要がなければ意味がありません。

山林だからまず伐採するのではなく、利用可能性と需要を確認してから費用を使うことが重要です。

〖PR〗道路条件や周辺需要があり、山林・土地を売却だけでなく活用できる可能性がある場合は、複数の土地活用案を比較する方法があります。

▪️申請前に山林を4分類すると判断しやすい

相続した山林を整理するなら、次のように分けます。

① 売却可能性がある山林

接道・面積・周辺需要などを確認して売却を優先。

② 隣地所有者へ引き継げそうな山林

単独市場では売りにくくても、隣地と一体なら価値がある可能性を確認。

③ 国庫帰属条件を満たせそうな山林

境界が分かり、管理を阻害する大きな問題がない土地。

④ 国庫帰属でも問題になりそうな山林

境界争い、危険な崖、危険木、管理を阻害する工作物などがある土地。

この分類をすれば、

売却査定する土地。

法務局へ相談する土地。

先に問題を整理する土地。

を分けられます。

▪️よくある質問|山林の相続土地国庫帰属制度

Q.木がたくさん生えている山林でも国庫帰属できますか?

森林に通常存在する樹木だけで不承認になるわけではありません。

倒木リスクのある枯木や定期管理が必要な竹など、通常管理を阻害する状態かどうかが重要です。

Q.山林の境界が分からなければ確定測量が必須ですか?

すべての土地で確定測量が必須ではありません。

ただし申請者が認識する境界を現地で示せ、隣地との争いがない状態が必要です。

Q.急斜面の山はすべて不承認ですか?

すべてではありません。

一定の崖があり、その通常管理に過分な費用・労力が必要な土地が不承認対象になります。

Q.森林の負担金はいくらですか?

森林は面積に応じて算定されます。

法務省の例では1,500㎡約27万円、3,000㎡約30万円ですが、実際の面積で確認する必要があります。

▪️まとめ|山林の国庫帰属は「売れない山を何でも国へ渡す制度」ではない

相続した山林でも、相続土地国庫帰属制度を利用できる可能性があります。

実際に2026年7月末までに森林199件が国庫へ帰属しています。

しかし山林では、

境界が不明。

危険な崖がある。

倒木リスクのある樹木がある。

竹が周囲へ広がる。

追加的な森林整備が必要。

といった特有の問題があります。

一方で、

山に木がある。

斜面になっている。

車で直接入れない。

という理由だけで直ちに不承認になるわけでもありません。

制度が見ているのは、国が取得した後に通常の範囲で管理・処分できる土地かという点です。

そして申請前にはもう一つ確認します。

本当に売れない山林なのか。

隣地所有者へ売れないか。

土地として別の価値がないか。

国庫帰属なら負担金はいくら必要か。

ここまで比較します。

売れるなら売る。

活用できるなら採算を確認する。

それでも長期間の管理負担だけが残る山林なら国庫帰属を検討する。

この順番なら、価値のある山林へ費用を払って国庫帰属させたり、逆に出口のない山林を何十年も持ち続けたりするリスクを減らせます。

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