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複数の土地を相続したら全部まとめて国庫帰属できる?一筆ごとの申請・費用・選別方法

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月26日
  • 読了時間: 12分

親が亡くなり、不動産を確認すると、

田んぼが4筆。

山林が3筆。

使っていない宅地が2筆。

というように、多数の土地を相続することがあります。

自分ではどれも使わないため、

「全部まとめて相続土地国庫帰属制度で国へ渡せないか」

と考えるかもしれません。

結論から言えば、複数の土地を国庫帰属の対象として申請することは可能です。

ただし、

全部を一括処分する制度。

10筆まとめれば申請費用が安くなる制度。

ではありません。

相続土地国庫帰属制度では、特定の土地だけを選んで申請できます。

その一方で、審査手数料は一筆ごとに必要です。

さらに土地の種類によって負担金も変わります。

だから複数の土地を相続した場合は、

「全部いらない」から全部申請するのではなく、一筆ずつ出口を選別する

ことが重要です。

この記事では、複数の土地を相続した場合に、売る土地・残す土地・国庫帰属する土地をどう分けるか整理します。

▪️結論|全部相続したから、全部国へ渡す必要はない

相続土地国庫帰属制度の大きな特徴は、相続放棄とは違い、特定の土地だけを手放せることです。

例えば、

土地A 住宅地にある空き地

土地B 山奥の山林

土地C 農家が利用している田んぼ

を相続したとします。

この場合、

土地Aは売却する。

土地Cは農地として貸す。

土地Bだけ国庫帰属を申請する。

という選択ができます。

つまり判断単位は、

「父から相続した不動産全部」

ではありません。

一筆ごとに一番合理的な出口を決めると考えます。

詳しくはこちら

▪️10筆まとめて申請しても審査手数料は10筆分

複数の土地をまとめて承認申請することはできます。

しかし審査手数料は安くなりません。

2026年現在、相続土地国庫帰属制度の審査手数料は一筆14,000円です。

例えば、

3筆なら42,000円。

5筆なら70,000円。

10筆なら140,000円。

になります。

法務省も、10筆をまとめて申請する場合でも、

14,000円 × 10筆

の審査手数料が必要と明示しています。

しかも申請後に取り下げたり、不承認になったりしても原則返還されません。

だから10筆持っているからといって、最初から10筆全部申請する必要はありません。

▪️一番先に「本当に何筆あるのか」を確定する

複数土地の相続で意外に難しいのが、

親がどの不動産を持っていたのか全部分からない

という問題です。

固定資産税の課税明細には土地が7筆しか載っていないのに、別の市町村にも山林があった。

ということもあります。

そこで2026年2月2日から始まったのが、所有不動産記録証明制度です。

この制度では、亡くなった親などが登記簿上の所有者になっている不動産について、全国の登記情報から一覧的に検索し、証明書として取得できます。

以前は一筆ずつ所在を把握して調べる必要がありました。

現在は相続人が、

「そもそも親名義の土地が全国に何件あるのか」

を確認しやすくなっています。

複数土地を整理するなら、処分方法を決める前に所有不動産の全体像を確定することが先です。

▪️2026年開始の所有不動産記録証明制度は登記漏れ防止にも使える

所有不動産記録証明制度は、国庫帰属専用の制度ではありません。

本来は相続登記の際に、亡くなった人が所有していた不動産を把握しやすくし、登記漏れを防ぐために始まった制度です。

全国どこの法務局でも請求でき、オンライン請求にも対応しています。

ただし検索は、登記記録に登録された氏名・住所等を条件に行います。

そのため古い登記で住所表記が異なる場合などには、検索条件を追加する必要がある場合があります。

複数土地を整理するなら、

まず土地を全部見つける。

その後、一筆ごとに出口を決める。

この順番にします。

▪️土地を見つけたら4つに分類する

所有土地が一覧になったら、次の4つへ分類すると分かりやすくなります。

① 売却候補

市場価値があり、買主を探せそうな土地。

② 貸付・活用候補

農地、駐車場候補地など、自分が売らなくても利用者を探せる土地。

③ 国庫帰属候補

売却・活用需要が乏しく、今後も管理負担が続く土地。

④ 問題整理が必要

建物、境界争い、抵当権、危険な工作物などがあり、そのままでは国庫帰属しにくい土地。

この時点では、国庫帰属候補を「価値ゼロ」と決める必要はありません。

単に現在考えられる出口ごとに分類するだけです。

▪️土地の種類によって国庫帰属の難しさも違う

例えば10筆を相続していても、条件は同じではありません。

農地なら、

農地バンク。

土地改良区の賦課金。

農地としての売却需要。

などを確認します。

山林なら、

境界。

危険木。

崖。

森林管理。

が重要です。

宅地なら、

建物が残っていないか。

第三者が利用していないか。

接道や売却需要がないか。

を確認します。

つまり、筆数だけを見てまとめて判断できないということです。

詳しくはこちら

▪️農地は国庫帰属より貸した方が合理的な場合もある

例えば田んぼを3筆相続したとします。

自分では農業をしないとしても、

隣接農家が利用している。

地域で農地集積が進んでいる。

農地バンクへ相談できる。

という土地なら、すぐ国庫帰属へ進む必要はありません。

農地は売却価格が低くても、耕作者へ貸すことで管理負担を減らせる可能性があります。

さらに国庫帰属には審査手数料と負担金が必要です。

お金を払って手放す前に、農地として利用者がいないか確認する。

これが基本です。

詳しくはこちら

▪️山林は「隣の山の所有者」が買主候補になることもある

単独ではほとんど需要がない山林でも、隣地所有者にとっては事情が違う場合があります。

例えば、

自分の山と一体的に管理できる。

林道へのアクセスが改善する。

境界が整理できる。

という理由です。

実際、法務省の国庫帰属制度の統計でも、申請後に隣接地所有者から引取りの申出があり、有効活用の見込みが生じて申請を取り下げた例が示されています。

国庫帰属申請をする前に、

隣接所有者なら欲しい土地ではないか

を一度確認する意味があります。

詳しくはこちら

▪️隣接する土地なら負担金をまとめられる特例がある

ここは複数土地ならではの重要ポイントです。

国庫帰属の審査手数料は一筆ごとに14,000円必要ですが、負担金には合算特例があります。

隣接する2筆以上の土地があり、一定の条件を満たす場合には、一つの土地とみなして負担金を計算するよう申し出ることができます。

例えば法務省の資料では、

市街化区域外の宅地100㎡が2筆ある場合、

通常なら20万円+20万円=40万円。

合算特例を使えば、一つの土地として20万円。

という例があります。

つまり負担金を20万円減らせるケースがあります。

▪️農地でも隣接していれば負担金が下がるケースがある

合算特例は宅地だけではありません。

例えば農用地区域にある隣接した、

田100㎡。

畑200㎡。

について法務省が示す計算例では、

別々なら、

329,000円+450,000円=779,000円。

合算すると、

300㎡として553,000円。

となり、226,000円軽減される例があります。

この数字はすべての農地へ当てはまる金額ではありません。

しかし、複数筆を申請するなら、隣接しているかどうかが負担金へ影響する場合があることは重要です。

▪️合算できるのは「同じ土地区分」が基本

隣接していれば何でも一つにできるわけではありません。

例えば、

宅地+宅地。

農用地区域の田+畑。

など、負担金算定上同じ土地区分なら合算できる場合があります。

一方、

宅地+森林。

のように土地区分が違う土地は、隣接していても同じ負担金として合算できません。

また合算する土地の所有者が違う場合でも、一定の場合には所有者同士が共同して申し出る仕組みがあります。

複数土地なら、申請前に地番・隣接関係・土地区分を並べておきましょう。

▪️審査手数料と負担金は別物と考える

複数筆では特に混乱しやすいところです。

例えば5筆すべてについて負担金の合算特例を使えるケースだったとしても、

審査手数料まで一筆分になるわけではありません。

5筆なら、

14,000円 × 5筆=70,000円

の審査手数料が必要です。

合算できるのは承認後に納付する負担金です。

そのため複数土地の費用比較では、

申請する筆数。

一筆ごとの審査手数料。

土地ごとの負担金。

合算特例の有無。

を分けて計算します。

▪️例えば8筆相続したら、こう選別する

説明用として、次の8筆を相続したとします。

・住宅地の空き地 1筆

・市街化区域の畑 1筆

・農用地区域の田 2筆

・山林 3筆

・接道のない原野 1筆

この8筆をすべて国庫帰属へ出すとは限りません。

住宅地の空き地は売却査定。

市街化区域の畑は農地売却と転用可能性を比較。

田2筆は農地バンクや隣接農家を確認。

山林は売却可能性と国庫帰属条件を確認。

原野は国庫帰属候補。

というように分けます。

8筆あるなら、8種類の出口を選んでも問題ありません。

重要なのは「まとめて処分すること」ではなく、全体として管理負担と支出を減らすことです。

▪️売れる土地までお金を払って国へ渡さない

複数土地を相続すると、

手続きが面倒だから全部国へ渡したい。

と思うこともあります。

しかし例えば8筆のうち1筆だけでも500万円で売却できる土地があれば、話は変わります。

その500万円を、

他の土地の測量。

建物解体。

国庫帰属負担金。

などへ充てることもできます。

価値のある土地を売り、その資金で負担土地を整理する。

複数不動産を相続した場合には、この全体最適の考え方が使えます。

〖PR〗複数の相続土地を国へ渡す前に、売却できる土地が混ざっていないか一筆ずつ査定して比較できます。

▪️活用できる一筆があれば「保有する土地」を作る選択もある

すべての土地を手放す必要もありません。

例えば駅や住宅地に近い土地があり、

駐車場。

賃貸住宅。

事業用地。

などの需要が見込めるなら、その土地だけ保有して収益化する方法があります。

そこで得た収入によって、他の土地の管理負担を補うこともできます。

もちろん土地活用には投資リスクがあります。

だから、

全部売る。

全部国へ渡す。

全部持つ。

の三択ではなく、

売る土地・活用する土地・国へ渡す土地を混在させる

という考え方を持ちましょう。

〖PR〗相続土地の中に道路条件や周辺需要の良い土地がある場合は、売却だけでなく複数の土地活用プランも比較できます。

▪️複数土地なら「管理費の高い順」から整理する

どの土地から手を付けるか迷ったら、現在の負担が大きい順に並べます。

例えば、

・毎年草刈りが必要

・遠方まで管理へ行っている

・危険木の管理が必要

・固定資産税や土地改良区の費用が続いている

といった土地です。

売却価格が低くても、年間10万円の管理負担がなくなる土地なら整理する効果は大きくなります。

反対にほとんど費用がかからず、将来利用価値がありそうな土地なら急いで国庫帰属しない選択もあります。

土地価格ではなく、今後持ち続けた場合の総負担で優先順位を付けることが重要です。

詳しくはこちら

▪️申請する土地を決める7ステップ

複数土地を相続したら、次の順番で整理します。

・① 所有している不動産を全部把握する

・② 一筆ごとに現況と管理費を確認する

・③ 売却可能性を調べる

・④ 貸付・活用できる土地を分ける

・⑤ 国庫帰属の却下・不承認条件を確認する

・⑥ 審査手数料と負担金を計算する

・⑦ 合算特例を使える隣接土地がないか確認する

ここまでできれば、

とりあえず全部申請。

ではなく、

本当に国庫帰属する価値のある土地だけを申請できます。

▪️よくある質問|複数土地の相続土地国庫帰属制度

Q.10筆の土地をまとめて国庫帰属申請できますか?

複数の土地をまとめて申請することは可能ですが、審査手数料は一筆ごとに14,000円必要です。

10筆なら140,000円です。

Q.10筆相続したら全部申請しなければいけませんか?

いいえ。

相続土地国庫帰属制度では、条件を満たす特定の土地だけを選んで申請できます。

Q.隣接する2筆なら審査手数料も一筆分になりますか?

なりません。

一定の場合に合算できるのは負担金です。

審査手数料は一筆ごとに必要です。

Q.親が全国に何筆持っていたか分かりません。

2026年2月2日に開始された所有不動産記録証明制度を利用すると、一定の検索条件に基づき、亡くなった人が登記簿上所有していた全国の不動産を一覧的に確認できます。

▪️まとめ|複数土地の相続は「全部処分」ではなく一筆ずつ出口を変える

土地を5筆、10筆と相続すると、

全部使わない。

全部面倒。

だから全部国へ渡したい。

と思うかもしれません。

しかし、土地条件は一筆ずつ違います。

売却できる宅地。

農家へ貸せる農地。

隣地所有者なら欲しい山林。

本当に利用者が見つからない原野。

が同じ相続財産に混在していることがあります。

2026年からは所有不動産記録証明制度も始まり、相続人が亡くなった人の不動産を全国的に把握しやすくなりました。

まず所有土地を全部把握する。

そのうえで一筆ずつ、

売る。

貸す。

活用する。

国庫帰属する。

に分けます。

また国庫帰属する土地が複数隣接しているなら、負担金の合算特例を使える可能性があります。

一方、審査手数料は一筆ごとに必要です。

だから重要なのは、

「何筆国へ渡せるか」ではなく、「何筆なら国へ渡すのが一番合理的か」

を考えることです。

価値のある土地は売却する。

収入を生める土地は残す。

利用者がいる土地は次の人へ引き継ぐ。

それでも管理負担だけが残る土地を国庫帰属へ回す。

このように一筆ずつ出口を変えることが、複数の相続土地を最も効率よく整理する方法です。

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