相続した農地は国に引き取ってもらえる?田んぼ・畑の国庫帰属で確認したい条件
- MIRAIU

- 8月26日
- 読了時間: 12分
親から田んぼや畑を相続した。
自分では農業をしない。
不動産会社へ相談しても買主が見つからず、草刈りや管理だけが続いている。
このような場合に検討できるのが、2023年4月27日に始まった相続土地国庫帰属制度です。
この制度は、相続などによって取得した土地について一定の条件を満たせば、負担金を納付して国へ所有権を移すことができる仕組みです。
そして重要なのが、
田んぼや畑も対象になる
ということです。
実際、法務省の2026年7月末時点の速報値では、制度全体の申請5,863件のうち、田・畑は2,278件あります。
また、すでに国庫へ帰属した土地3,008件のうち、農用地は964件です。
ただし、
「農地なら国が20万円で全部引き取ってくれる」
という単純な制度ではありません。
この記事では、相続した農地について、売却・農地バンク・国庫帰属のどれを選ぶべきか判断できるよう整理します。
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▪️結論|農地も国庫帰属できる。ただし最初の出口にはしない
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相続した農地でも相続土地国庫帰属制度を利用できる可能性があります。
ただし、最初から国へ渡すことを前提にする必要はありません。
基本的には、
・農地として売れるか確認する
・農地バンクなどで貸せるか確認する
・転用可能性がある土地なら売却・活用を比較する
・それでも保有負担が残るなら国庫帰属を検討する
という順番です。
なぜなら国庫帰属は、土地を売って代金を受け取る制度ではなく、所有者がお金を負担して土地を手放す制度だからです。
詳しくはこちら
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▪️農地だから国庫帰属できない、は間違い
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農地には農地法があるため、
「農家しか引き取れない」
「国にも渡せない」
と思うかもしれません。
しかし法務省は、農地についても相続土地国庫帰属制度の承認申請ができると明示しています。
国庫へ帰属した農用地は、その後、農林水産省が管理・処分します。
農林水産省も、国庫帰属した農地を含む国有農地について、主に農業利用を目的として農業者へ売却していく仕組みを設けています。
つまり、農地という理由だけで制度対象外になるわけではありません。
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▪️申請できるのは「相続などで取得した人」
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相続土地国庫帰属制度は、誰でも使える土地処分制度ではありません。
基本的に申請できるのは、
・相続によって土地を取得した人
・相続人に対する遺贈によって取得した人
です。
制度開始前に相続した農地でも対象になります。
一方、
自分で安い農地を購入した。
親から生前贈与された。
というだけでは、この制度の申請資格を満たしません。
そのため「格安農地を買って、不要なら後で国へ返す」という使い方はできません。
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▪️共有農地なら共有者全員の申請が必要
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相続によって兄弟姉妹などの共有になった農地もあります。
共有土地について国庫帰属を申請する場合は、原則として共有者全員で申請します。
一人だけが、
「自分の持分だけ国へ渡したい」
と進める制度ではありません。
共有者のうち一人でも同意しなければ、その土地全体について国庫帰属申請を進めることはできません。
複数人で相続した農地なら、制度調査より先に家族間の意思を確認しておきましょう。
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▪️農地で特に確認したいのが「誰かに貸していないか」
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農地では、自分で耕作していなくても他の農家へ貸している場合があります。
また農地バンクを通じて貸し付けている土地もあります。
相続土地国庫帰属制度では、担保権や使用・収益を目的とする権利が設定されている土地は、そのままでは申請できません。
農林水産省も農地について、農地バンクの中間管理権が設定されている土地を注意例として挙げています。
つまり、
農地を貸している。
↓
そのまま国へ渡す。
とは限りません。
現在どのような権利が設定されているかを先に確認します。
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▪️農地特有の壁|土地改良区の賦課金がある
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田んぼでは土地改良区に加入し、水利施設などの維持管理費として賦課金を支払っているケースがあります。
ここは農地の国庫帰属で特に重要です。
国庫へ帰属すると、国がその土地所有者として金銭債務を引き継ぐことになる場合があります。
そのため法務省は、土地改良法に基づく賦課金が課されている土地などについて、金額の大小にかかわらず、そのままでは国庫帰属できない場合があるとしています。
ただし審査完了までに債務が消滅すれば、この不承認要件に該当しなくなる場合があります。
農地を申請するなら、
・土地改良区に入っているか
・現在賦課金があるか
・将来の賦課予定があるか
を確認しておきましょう。
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▪️境界が分からない田んぼもそのまま申請できない
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相続した農地では、
父親しか場所を知らなかった。
何十年も現地へ行っていない。
隣の田んぼとの境が分からない。
というケースがあります。
国庫帰属制度では、申請土地の範囲や隣接土地との境界を現地で確認できることが必要です。
必ずしもすべての土地で高額な確定測量が必要という意味ではありません。
しかし、
「この辺りだと思う」
という状態では申請資料を作れない可能性があります。
まず地番、公図、現地状況などから対象土地を整理します。
詳しくはこちら
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▪️国へ渡せない農地には共通する条件がある
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農地に限りませんが、国庫帰属できない土地には一定の条件があります。
申請段階で問題になりやすいものには、
・建物がある
・担保権や使用収益権が設定されている
・現在通路や水路などとして使われている
・境界が明らかでない、または争いがある
などがあります。
さらに審査では、
・危険な崖がある
・管理を妨げる工作物などがある
・地下に除去が必要なものがある
・通常管理に過大な費用や労力が必要
といった土地も不承認になる可能性があります。
この条件は㉓の記事で詳しく深掘りするため、ここでは農地でも無条件に受け取られるわけではないと理解しておけば十分です。
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▪️申請時には1筆14,000円の審査手数料が必要
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国庫帰属制度では、申請時に土地一筆ごとに14,000円の審査手数料が必要です。
例えば田んぼを5筆申請するなら、
14,000円 × 5筆 = 70,000円
です。
重要なのは、この審査手数料は、
申請を取り下げた。
却下された。
不承認になった。
という場合でも返還されないことです。
農地を何筆も相続しているなら、最初から全部申請するのではなく、土地ごとに売却・貸付の可能性を整理してから進めた方がよいでしょう。
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▪️農地の負担金は「必ず20万円」ではない
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国庫帰属が承認された場合は、別に負担金を納付します。
基本額は20万円ですが、農地では土地の場所・区分によって面積に応じて算定される場合があります。
例えば法務省が示している計算例では、一部の市街地や農用地区域等の田・畑について、
500㎡ 約72万円
1,000㎡ 約110万円
となる例があります。
これは全国すべての農地の負担金相場ではありません。
しかし、農地なら面積に関係なく20万円だけ払えばよいとは限らないことは重要です。
申請前に概算負担金を確認しましょう。
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▪️隣接する農地なら負担金をまとめられる場合がある
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田んぼを複数筆相続している場合には、負担金の特例があります。
隣接する2筆以上の土地が同じ土地区分に該当する場合、申出によって一つの土地として負担金を算定できる場合があります。
例えば農用地区域内で隣接する田と畑などでは、筆ごとに計算するより負担金が低くなるケースがあります。
ただし、審査手数料14,000円は一筆ごとです。
審査手数料と負担金を混同しないようにしましょう。
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▪️国庫帰属より先に農地バンクを確認した方がよい理由
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国庫帰属では、所有者がお金を払って土地を手放します。
一方、農地として利用価値があるなら、農地バンクを通じて担い手などへ貸せる可能性があります。
例えば、
周囲が現在も田んぼ。
大型農家が近くで耕作している。
農地がまとまっている。
農機具が入りやすい。
という土地なら、農業利用を続けられる可能性があります。
実際、法務省の2026年7月末時点の統計では、制度全体で571件が「有効活用の見込みが生じた」ことを理由に申請を取り下げています。
その具体例として、農業委員会の調整によって農地として活用される見込みになったケースも挙げられています。
詳しくはこちら
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▪️国へ渡す前に「売れる農地」ではないか確認する
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例えば国庫帰属のために、
審査手数料 14,000円
負担金 数十万円以上
を支払う予定だとします。
一方、その農地を近隣農家や農業法人へ50万円で売却できるなら、収支はまったく違います。
国庫帰属は便利な制度ですが、売却できる土地をお金を払って国へ渡す必要はありません。
特に、
市街化区域にある。
道路条件が良い。
周囲に住宅や事業所がある。
農地として使いやすい。
という土地なら、国庫帰属申請前に市場価値を確認する意味があります。
詳しくはこちら
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〖PR〗国へ負担金を払って農地を渡す前に、現在の土地として売却可能性がないか確認できます。
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▪️転用できる農地なら土地活用との比較もできる
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農地だからといって、出口が農地売却か国庫帰属だけとは限りません。
市街化区域内の農地や、第3種農地など転用可能性を検討しやすい土地なら、
駐車場。
資材置場。
事業用貸地。
などの活用候補があります。
もちろん、転用・造成費をかければ必ず儲かるわけではありません。
重要なのは、
国庫帰属で支払う金額。
現在売却した場合の手残り。
転用して活用した場合の手残り。
を比較することです。
国庫帰属は「土地の価値がゼロ」と確認してから選ぶ制度ではありませんが、価値を調べず選ぶ必要もありません。
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〖PR〗転用可能性がある農地なら、国庫帰属を決める前に駐車場・賃貸住宅など複数の土地活用案を比較できます。
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▪️農地を手放すなら3つの出口を同時に比較する
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農地を相続して自分では使わない場合、次の3つを並べます。
① 売る
農業者・農業法人、転用可能性がある場合は一般土地としての需要まで確認する。
② 貸す
農地バンクや周辺農業者による利用を確認する。
③ 国へ渡す
売却・貸付が難しく、長期的な管理負担を終わらせたい場合に国庫帰属を検討する。
大切なのは、
一番高く売る。
だけでも、
一番早く手放す。
だけでもありません。
今後10年、20年管理する場合の負担まで含めて判断することです。
詳しくはこちら
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▪️よくある質問|農地の相続土地国庫帰属制度
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Q.田んぼや畑でも国に引き取ってもらえますか?
一定の要件を満たせば申請可能です。
2026年7月末時点でも、農用地の国庫帰属実績があります。
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Q.農地なら負担金は20万円ですか?
20万円が基本ですが、一部の市街地や農用地区域等の田・畑では面積に応じて20万円を超える場合があります。
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Q.農地バンクで貸している農地もそのまま申請できますか?
農地バンクの中間管理権など、使用・収益を目的とする権利が設定されている土地はそのまま申請できない場合があります。
現在の権利関係を確認してください。
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Q.国庫帰属と売却ならどちらを先に調べるべきですか?
売却・貸付によって利用者が見つかる可能性があるなら、国庫帰属申請前に確認する価値があります。
国庫帰属には審査手数料と負担金が必要だからです。
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▪️まとめ|農地の国庫帰属は「最後まで持つ」以外の現実的な出口
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相続した田んぼや畑を自分で使わなくても、永遠に所有し続けなければならないわけではありません。
農地でも相続土地国庫帰属制度を利用できる可能性があります。
実際に農用地が国へ帰属した実績も積み上がっています。
ただし申請前には、
・相続などで取得した土地か
・共有者全員が同意しているか
・第三者へ貸していないか
・土地改良区の賦課金がないか
・土地の範囲や境界を確認できるか
・審査手数料と負担金はいくらか
を確認します。
そして、もう一つ重要なのが、
本当に国へ渡すことが一番合理的なのか
という比較です。
農地として売れる。
農地バンクで利用者が見つかる。
転用可能性があり土地として価値がある。
その可能性が残っているなら、先に確認します。
それでも、
買主がいない。
借り手もいない。
今後も管理だけが続く。
という場合には、相続土地国庫帰属制度が現実的な出口になります。
売る → 貸す → 活用可能性を確認する → それでも残る土地を国庫帰属へ。
農地を相続したからといって一つの方法に決めず、この順番で出口を比較することが重要です。
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