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相続土地国庫帰属制度で引き取ってもらえない土地とは?却下・不承認条件を解説

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月26日
  • 読了時間: 10分

相続した土地を使う予定がない。

売却も難しい。

そこで相続土地国庫帰属制度を使って、国に引き取ってもらいたい。

このように考えても、すべての土地が国庫帰属できるわけではありません。

制度には、

申請そのものができない「却下要件」

と、

審査した結果、国が引き取れない「不承認要件」

があります。

例えば、

建物が残っている。

他人が通路として使っている。

境界でもめている。

危険な崖や工作物がある。

国が取得した後に通常以上の管理費がかかる。

といった土地です。

この記事では、相続土地国庫帰属制度を申請する前に確認したい「引き取ってもらえない土地」の条件を整理します。

▪️結論|却下と不承認は分けて考える

まず二つの違いを理解します。

却下要件

制度上、申請対象として受け付けられない土地。

不承認要件

申請後の審査で、国が通常管理するには過大な費用・労力が必要と判断される土地。

つまり、

建物がある。

境界争いがある。

という問題と、

危険な崖がある。

地下に撤去困難なものがある。

という問題では審査上の位置づけが違います。

申請費用を払ってから問題に気づくのではなく、申請前に土地の状態を一筆ずつ確認することが重要です。

詳しくはこちら

▪️却下① 建物が残っている土地

建物がある土地は、そのままでは国庫帰属の承認申請ができません。

例えば、

古い空き家。

使っていない倉庫。

農業用の建物。

などが残っているケースです。

建物は土地より維持管理や解体に費用がかかるため、制度対象から外されています。

そのため、

土地は国へ渡したい。

建物だけ残しておく。

ということはできません。

建物付き土地なら、売却と解体後の国庫帰属を比較します。

〖PR〗建物付きの相続土地なら、解体費を負担して国庫帰属へ進む前に、現況のまま売却できる可能性も確認できます。

▪️却下② 抵当権・賃借権などが設定されている土地

国が引き取った後も第三者の権利が残る土地は、そのままでは申請できません。

代表的なのが、

・抵当権

・地上権

・地役権

・賃借権

などです。

例えば土地を第三者へ貸している状態なら、国が自由に管理・処分できません。

農地バンクへ貸している農地なども、現在の権利関係を確認する必要があります。

まず登記事項証明書や契約内容を確認し、第三者の権利が残っていないか調べます。

詳しくはこちら

▪️却下③ 他人が通路などとして使っている土地

所有者以外の人が現在利用していて、今後も利用が予定される土地も問題になります。

例えば、

現に通路として利用されている土地。

墓地。

境内地。

水道用地。

用悪水路。

ため池。

などです。

特に注意したいのが、登記上は普通の宅地や雑種地でも、現地では近隣住民の通路として使われているケースです。

登記簿だけでは分からないため、現況確認が必要になります。

▪️却下④ 土壌汚染されている土地

一定の有害物質によって土壌汚染されている土地も、そのまま国庫帰属することはできません。

国が取得した後に、

汚染調査。

土壌除去。

封じ込め。

などの大きな費用負担が発生する可能性があるためです。

昔、

工場。

作業場。

廃棄物置場。

などとして利用されていた土地なら、過去の利用履歴を確認する意味があります。

▪️却下⑤ 境界が分からない・境界争いがある土地

相続土地国庫帰属制度で特に注意したいのが境界です。

2026年7月末までの統計でも、境界が明らかでないことを理由とした却下は23件あります。

ただし、

確定測量をしていない。

境界確認書がない。

というだけで申請できないわけではありません。

必要なのは、

・申請者が認識する境界を現地で示せる

・隣地所有者との境界認識に争いがない

という状態です。

隣の所有者と、

「ここまでが自分の土地だ」

という認識が食い違っている場合は、先に整理する必要があります。

詳しくはこちら

▪️不承認① 危険な崖があり管理負担が大きい土地

崖がある土地はすべて不承認になるわけではありません。

基準になるのは、

勾配30度以上かつ高さ5m以上

の崖があり、さらに通常管理へ過大な費用・労力が必要な場合です。

例えば崖崩れによって、

住宅。

道路。

隣地。

などへ被害が及ぶおそれがあり、擁壁工事などを必要とする土地です。

単に傾斜地というだけではなく、国が取得した後に特別な安全対策を必要とするかがポイントです。

▪️不承認② 工作物・車両・危険木などが管理を邪魔する土地

地上に物があること自体ではなく、通常管理や処分を妨げることが問題です。

例えば、

撤去が必要な古い工作物。

放置車両。

倒木のおそれがある危険木。

周囲へ広がる竹。

などです。

反対に森林に普通の樹木があることや、安全な柵があることだけで直ちに不承認になるわけではありません。

2026年7月末時点では、地上の有体物を理由とした不承認理由が46件確認されています。

申請前に、

撤去すれば解消できる問題なのか。

撤去費まで払って申請する価値があるのか。

を比較しましょう。

▪️不承認③ 地下に撤去が必要なものがある土地

地上だけではなく地下も対象です。

例えば地下に、

大量の廃棄物。

古い基礎。

撤去が必要な設備。

などがあり、それを取り除かないと土地を通常管理できない場合です。

問題なのは、何かが埋まっていること自体ではなく、国が取得後に撤去費を負担しなければ管理できない状態かです。

過去に建物や事業施設があった土地なら、履歴も確認します。

▪️不承認④ 通行や土地利用をめぐるトラブルがある土地

例えば袋地で、法律上は隣地を通行できるとしても、

隣地所有者が通行を認めない。

通路を塞いでいる。

という状態では、国が取得後に争いを解決しなければ管理できません。

また、

不法占拠されている。

隣地から継続的に排水が流れ込んでいる。

土地利用を第三者が妨害している。

といった土地も問題になります。

国が引き取る制度だから、現在のトラブルまで国へ引き継げるわけではありません。

▪️不承認⑤ 通常以上の管理費が必要な土地

最後が広い意味での管理負担です。

例えば、

・災害防止のため大きな工事が必要

・鳥獣や病害虫への継続的対策が必要

・国が追加的に造林・間伐する必要がある森林

・国庫帰属後に法令上の金銭債務が発生する

といった土地です。

農地なら土地改良区の賦課金。

森林なら追加的な森林整備。

など、土地種別によって問題が変わります。

だから国庫帰属では、土地の見た目だけでなく国が取得した後の10年、20年の管理負担まで審査されると考えると分かりやすいでしょう。

▪️実際には「問題が分かったので取り下げる」ケースも多い

法務省の2026年7月末速報では、

申請 5,863件。

国庫帰属 3,008件。

一方、取下げは1,102件あります。

そのうち392件は、審査を進める中で却下・不承認要件があることが分かり、申請者が取り下げたケースです。

逆に571件は、隣接所有者から引取りの申出があったなど、土地を有効活用できる見込みが出たため取り下げています。

つまり国庫帰属を検討したこと自体が、

売却。

隣地への譲渡。

農地利用。

など別の出口を見つけるきっかけになる場合もあります。

▪️申請前に問題を直せば対象になる土地もある

現在要件に引っかかっていても、すべてが永久に国庫帰属できないわけではありません。

例えば、

建物を解体する。

抵当権を抹消する。

土地を貸している契約を整理する。

境界問題を解決する。

不要な工作物を撤去する。

ことで、申請可能な状態になる場合があります。

ただし問題は費用です。

100万円かけて土地を整備し、さらに審査手数料と負担金を払って国へ渡すなら、先に売却できないか確認した方が合理的な場合があります。

〖PR〗国庫帰属の条件を整えるために解体・撤去・測量などへ費用をかける前に、現在の状態で売却できる可能性を確認できます。

▪️活用できる土地なら国庫帰属より収益化が有利な場合もある

国庫帰属を検討する土地でも、

道路条件が良い。

市街地に近い。

まとまった面積がある。

転用可能性がある。

という土地なら、活用できる可能性があります。

例えば、

駐車場。

資材置場。

事業用貸地。

などです。

もちろん活用には初期投資もあるため、何でも収益化すればよいわけではありません。

国庫帰属に必要な費用と、売却・土地活用した場合の手残りを比較してから決めることが重要です。

〖PR〗売れないと思っている土地でも、条件によっては駐車場・賃貸住宅など複数の土地活用案を比較できます。

▪️申請前チェックは7項目で十分

国庫帰属を考えたら、まず次を確認します。

・建物が残っていないか

・抵当権や賃借権がないか

・第三者が通路などとして使っていないか

・境界を現地で示せるか

・危険な崖や工作物がないか

・隣地とのトラブルがないか

・国が取得後に特別な管理費を負担する土地ではないか

ここで問題が見つかったら、

解消費はいくらか。

売却・譲渡できないか。

国庫帰属まで進める価値があるか。

を判断します。

▪️よくある質問|国庫帰属で引き取ってもらえない土地

Q.空き家がある土地でも申請できますか?

建物がある土地は、そのままでは申請できません。

解体後に土地のみとなった状態で条件を確認します。

Q.境界確定測量をしていなければ申請できませんか?

確定測量そのものが必須ではありません。

ただし申請者が認識する境界を現地で表示でき、隣地所有者との争いがないことが必要です。

Q.崖があれば必ず不承認ですか?

必ずではありません。

一定規模の崖があり、通常管理に過大な費用・労力を必要とする場合が対象です。

Q.申請後に不承認になったら審査手数料は戻りますか?

戻りません。

取り下げ・却下・不承認の場合でも、一筆14,000円の審査手数料は返還されません。

▪️まとめ|国庫帰属は「不要な土地なら何でも国へ渡せる制度」ではない

相続土地国庫帰属制度は、使わない土地を手放せる重要な制度です。

しかし国が、

建物の解体。

境界紛争の解決。

危険な崖の補修。

放置された工作物の撤去。

森林の大規模整備。

まで引き受ける制度ではありません。

そのため、

申請できない「却下要件」。

審査後に問題となる「不承認要件」。

を分けて確認します。

そして要件に引っかかった場合も、すぐ諦める必要はありません。

問題を解消する。

隣地所有者へ譲る。

売却する。

活用する。

という別の出口があります。

実際、2026年7月末までに国庫帰属申請を取り下げた土地の中には、隣地所有者などによる有効活用の見込みが生まれたケースも多数あります。

国庫帰属をゴールにしない。

申請条件を確認する過程で、その土地に一番負担の少ない出口を探す。

それが、相続した不要土地を整理するうえで重要な考え方です。

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