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相続した農地を売る前に何を確認する?地目・農振・青地・白地を調べる順番

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月25日
  • 読了時間: 16分

親から田んぼや畑を相続した。

自分では農業をする予定がないため、

「できれば売却したい」

と考えている方もいるでしょう。

そこで農地転用について調べると、

青地。

白地。

第1種農地。

第2種農地。

第3種農地。

農地法3条。

農地法5条。

と聞き慣れない言葉が次々に出てきます。

しかし、最初からすべての制度を理解する必要はありません。

相続した農地を売りたい場合に重要なのは、調べる順番を間違えないことです。

特に注意したいのが、

「農地はそのままでは売れない」

という説明です。

農地を農地のまま売却する方法はあります。

一方、住宅・駐車場・資材置場など農業以外の用途へ変えて売却するなら、農地転用の確認が必要になります。

この記事では、相続した田んぼ・畑について、

・地目

・農地としての扱い

・農振農用地区域

・青地・白地

・農地区分

・農地のまま売る方法

・転用して売る方法

を、実際に確認する順番で整理します。

▪️結論|売る前は「転用できるか」より先に5つ確認する

相続した農地について最初から、

「宅地に変えられるか」

だけを調べる必要はありません。

まず次の順番で確認します。

・① 土地の地番・登記地目を確認する

・② 現在も農地として扱われているか確認する

・③ 農振農用地区域に入っているか確認する

・④ 農地転用上の農地区分を確認する

・⑤ 農地のまま売るか、転用目的で売るか決める

ここまで分かれば、

農地として買ってくれる人を探すのか。

農地バンクなどで貸すのか。

転用できる可能性を調べるのか。

という次の行動を選びやすくなります。

「売りたい=農地転用」ではありません。

まず農地としての現在地を把握することが先です。

詳しくはこちら

▪️① 最初に地番と登記地目を確認する

まず必要なのは、どの土地について調べているのかを特定することです。

確認したいのは、

・所在地

・地番

・面積

・登記地目

・現在の所有者

などです。

法務局で登記事項証明書を取得すれば、登記上の情報を確認できます。

固定資産税の納税通知書や課税明細書も、所有している土地を探す手掛かりになります。

ただし注意したいのが「地目」です。

固定資産税の課税明細書に記載されている課税上の地目と、登記簿上の地目が必ず同じとは限りません。

そのため、

課税明細に「畑」と書いてあるから確定。

とも、

登記簿が「山林」だから農地ではない。

とも、ここだけでは判断しない方が安全です。

まず地番を特定するための資料として使い、次に農業委員会などで現在の扱いを確認します。

▪️② 登記地目だけで「農地ではない」と決めない

農地法上の農地かどうかは、登記地目だけで決まるものではありません。

例えば登記上は別の地目でも、実際に農地として利用されている土地があります。

反対に、登記上は田・畑でも、長期間の状況変化によって現況が大きく変わっているケースもあります。

だから売却前には、

「登記地目が何か」

と、

「農地法上どのように扱われているか」

を分けて確認します。

土地がある市町村の農業委員会へ地番を伝え、

・農地として扱われているか

・農地台帳上どうなっているか

・売却や転用ならどこへ相談するか

を確認すると次へ進みやすくなります。

特に相続後ほとんど現地を見ていない農地では、登記資料だけで判断しないことが大切です。

▪️相続した農地は相続登記と農業委員会への届出も確認する

売却する前に所有関係も確認します。

2024年4月から相続登記は義務化されています。

親名義のままなら、相続登記の状況を確認しましょう。

さらに農地には、相続登記とは別の手続きがあります。

相続等によって農地の権利を取得した場合は、農地法に基づいて農業委員会へ届出を行う仕組みがあります。

つまり、

法務局で相続登記をした。

だから農地関係の手続きも全部終了。

とは限りません。

売却先を探す前に名義と農地関係の手続きを整理しておくと、その後の交渉を進めやすくなります。

〖PR〗相続手続きそのものから整理できていない場合は、農地売却へ進む前に専門家へ相談する方法もあります。

▪️③ 次に「農業振興地域」と「農用地区域」を確認する

農地転用を考える場合に重要なのが、農業振興地域制度です。

市町村は、将来にわたって農業の振興を図る地域を農業振興地域として定め、その中でも農業上の利用を確保すべき土地を「農用地区域」として設定しています。

この農用地区域内の農地は、原則として農地転用が厳しく制限されています。

農地を住宅や駐車場などへ転用するためには、農用地区域から外す手続きが必要になる場合があります。

ここでよく使われるのが、

「青地」

という言葉です。

一般的に、農業振興地域内の農用地区域に入っている農地を実務上「青地」と呼ぶことがあります。

まず自分の農地がここに入っているか確認します。

▪️「青地」「白地」は法律上の正式名称ではない

農地について調べると、

青地なら転用できない。

白地なら転用できる。

という説明を見かけます。

ただし「青地」「白地」は、農地法に書かれている正式な農地区分の名称ではありません。

一般的には、

青地

農業振興地域の中にある農用地区域。

白地

農業振興地域内ではあるものの、農用地区域には入っていない土地。

という意味で使われます。

青地の農地は農用地区域として農業利用を確保する土地なので、原則としてそのまま農地転用することはできません。

一方、白地だからといって、

「住宅にできる」

「駐車場にできる」

と確定するわけでもありません。

ここが非常に重要です。

青地・白地を確認したあと、さらに農地転用上の農地区分を確認します。

▪️青地と第1種・第2種・第3種農地は別の分類

農地転用を調べると混乱しやすいのがここです。

青地・白地と、

第1種農地。

第2種農地。

第3種農地。

は、まったく同じ分類ではありません。

農地転用許可制度では農地の優良性や周辺土地利用などから、

・農用地区域内農地

・甲種農地

・第1種農地

・第2種農地

・第3種農地

などに区分して転用の可否を判断します。

つまり、

「白地だったから転用できる」

ではありません。

農用地区域から外れていても、第1種農地などであれば転用は原則不許可を基本として例外要件を確認します。

一方、第3種農地は市街地などにある農地で、転用は原則許可という位置付けです。

それでも、他の許可条件や都市計画などの確認は残ります。

農振の青・白と、農地法上の農地区分を二段階で見る。

これを覚えておくと制度を整理しやすくなります。

詳しくはこちら

▪️④ 青地だったら「農振除外できるか」を確認する

農用地区域内の農地を農業以外の用途へ使いたい場合は、農用地区域から除外できるかを確認することになります。

いわゆる「農振除外」です。

ただし、

申請すれば青地から白地になる。

という制度ではありません。

農用地区域からの除外には、複数の条件があります。

例えば、

・農用地区域外に代替できる土地がない

・地域計画の達成に支障を及ぼさない

・農地の集団化や効率的利用へ支障を与えない

・農地の利用集積へ支障を与えない

・土地改良施設の機能へ支障を与えない

・一定の土地改良事業について工事完了後8年を経過している

などを確認します。

さらに、農振除外の受付時期や具体的な手続きは自治体によって異なります。

全国一律に、

「年2回だけ」

「必ず1年以上かかる」

とは言えません。

地番と具体的な利用目的を用意して、市町村の農政担当部署へ確認します。

▪️「売りたいから農振除外したい」だけでは進まない

農振除外で特に重要なのが、具体的な土地利用計画です。

例えば、

いつか宅地として売りたい。

転用できれば価格が上がりそう。

というだけではなく、

誰が。

何の用途に。

どの範囲を。

なぜその土地で利用するのか。

を具体化する必要があります。

農林水産省の現行ガイドラインでも、農用地区域からの除外では具体的な転用計画があり、他法令の許認可を受けられる見込みなどを確認する考え方が示されています。

つまり農振除外は、売却価格を上げるために先に取っておく資格のようなものではありません。

買主や利用目的が具体化してから進めるケースが中心になります。

▪️⑤ 農地を「農地のまま売る」なら農地法3条を確認する

ここで重要な選択があります。

転用せず、田や畑として次の人へ売る方法です。

農地を農地として売買する場合は、農地法3条による許可などを確認します。

普通の宅地のように、

お金を払える人なら誰でも買える。

という土地ではありません。

買主側についても、

取得後に農地を効率的に利用できるか。

農作業へ適切に従事できるか。

周辺の農地利用へ支障を与えないか。

などの要件を確認します。

なお、以前あった農地取得の下限面積要件は2023年4月に廃止されています。

そのため、

「農家ではないから絶対に買えない」

という説明も正確ではありません。

新規就農者などが取得できる可能性もあります。

ただし、誰でも自由に農地を取得できるようになったわけではありません。

詳しくはこちら

▪️農地として売れる可能性を転用より先に確認する

相続した農地を手放したい場合、

農地転用して宅地にする。

という方法だけを考えない方がよいでしょう。

例えば隣接する農家にとっては、自分がすでに耕作している田畑と連続する農地に価値がある場合があります。

また、

・近隣農家

・農業法人

・規模拡大を考えている農業者

・新規就農希望者

などが候補になる可能性があります。

農地として需要があるなら、大きな転用費用や造成費を使わずに土地を引き継いでもらえる可能性があります。

まず農地のままの出口を確認する。

そこで難しい場合に転用の可能性を調べる。

この順番の方が、余計な投資を避けやすくなります。

詳しくはこちら

▪️住宅・駐車場として売るなら農地法5条が中心になる

農地を買主へ売却し、その買主が住宅・駐車場・資材置場など農業以外に利用する場合は、農地法5条による転用目的の権利移転などを確認します。

この場合、

土地だけ先に普通の宅地として売る。

買主が後から自由に用途を考える。

という流れではありません。

売却と転用計画をセットで進めることになります。

確認されるのは農地区分だけではありません。

・転用目的

・必要な面積

・資金計画

・事業実施の確実性

・周辺農地への影響

・他法令の許認可を受けられる見込み

などがあります。

そのため、

「第3種農地だったから売れる」

だけでは判断できません。

▪️一筆全部を転用できるとは限らない

例えば2,000㎡ある農地について、買主が事業で必要とする面積が1,000㎡だったとします。

事業に必要な面積以上を、

「せっかくだから全部転用したい」

と考えても、計画上必要な面積なのかを確認されます。

一筆のうち一部だけを売却・転用する計画になる場合は、分筆などが必要になることもあります。

すると、

測量。

分筆登記。

境界確認。

などの追加費用が発生する可能性があります。

さらに残った部分が農地のまま所有者に残れば、その農地の管理も続きます。

だから売却価格だけでなく、

最終的に何㎡手放せて、何㎡残るのか

まで確認することが大切です。

▪️農地転用できても家が建つとは限らない

農地転用で非常に多い誤解です。

農地法上、転用できる可能性があっても、

その土地へ予定している建物を建てられるとは限りません。

例えば、

・市街化調整区域

・接道条件

・用途地域

・開発許可

・上下水道

・造成や排水

など、別の条件があります。

つまり、

農振除外できた。

農地転用もできそう。

だから住宅地として売れる。

とはまだ決まりません。

転用後の利用目的まで実現可能か確認して、初めて売却計画になります。

詳しくはこちら

▪️転用前に売却価格と造成費を同時に確認する

農地を転用すれば宅地より高く売れるように見えることがあります。

しかし比較するのは販売価格だけではありません。

例えば完全な仮定として、

農地のまま売却 200万円。

転用後の想定売却価格 700万円。

だったとします。

差額は500万円です。

一見すると転用した方が大きく得するように見えます。

しかし転用するために、

・測量・分筆等 50万円

・申請や関連手続き 50万円

・造成・排水 250万円

・上下水道等 100万円

・その他保有・売却費 50万円

かかれば、追加費用は500万円です。

これは相場を示す数字ではなく考え方の例です。

転用後の価格だけを見るのではなく、売れる状態になるまでの総費用を差し引いて手残りを比較します。

土地によっては農地のまま売った方が合理的な場合もあります。

〖PR〗相続した農地について、転用や整備へ費用をかける前に不動産としての売却可能性を確認したい場合はこちら。

▪️地目が山林でも「農地ではない」と決めない

相続した土地を調べたところ、登記地目が山林だった。

これなら農地法は関係ない。

と考えることがあります。

しかし農地法上の農地かどうかは、登記地目だけでは判断できません。

過去の利用状況や現在の土地状態などによって確認が必要になるケースがあります。

また、長年耕作されず森林のような状態になっている土地では、自治体によって非農地判断や非農地証明などの取扱いを確認する場合があります。

ここも、

木が生えたから自動的に農地ではなくなった。

という仕組みではありません。

具体的な土地について農業委員会へ確認します。

この論点は別記事で詳しく整理します。

▪️調べるときは「地番」と「何に使いたいか」を用意する

農地について役所へ電話するとき、

「親から畑を相続したんですが、売れますか?」

だけでは具体的な回答を得にくい場合があります。

先に用意したいのは、

・土地の地番

・登記地目

・面積

・現在の利用状態

・農地のまま売りたいのか

・住宅や駐車場などへ転用したいのか

です。

特に農振除外や農地転用は、具体的な利用目的によって判断が変わります。

まず農業委員会や農政担当部署で農地の区分を確認する。

そのうえで不動産会社や専門家へ売却相談する。

この順番なら、

「売却活動を始めてから転用できないことが分かった」

という行き違いを減らせます。

▪️売却前チェック|ここまで確認できれば次へ進みやすい

相続農地を売却する前に、次の項目を整理してみましょう。

・地番と面積が分かっている

・現在の所有名義を確認した

・農地として扱われているか確認した

・農用地区域内か確認した

・青地・白地の位置付けを確認した

・農地区分を確認した

・農地のまま売る可能性を確認した

・転用する場合の用途を決めた

・都市計画など他法令も確認した

・転用費用と売却価格を比較した

全部を所有者一人で判断する必要はありません。

重要なのは、

何が分からないのかを分かる状態にすることです。

ここまで整理できれば、相談先にも具体的な質問をしやすくなります。

▪️よくある質問|相続した農地を売る前の確認

Q.農地はそのまま売れないのですか?

農地を農地として売却する方法があります。

農地法3条の許可要件などを確認し、農地として利用する買主へ引き継ぎます。

農業以外に利用する買主へ売却する場合は、農地法5条など転用関係の確認が必要になります。

Q.青地なら絶対に売れませんか?

農地として売却することまで禁止されているわけではありません。

一方、農業以外へ転用する場合は農用地区域からの除外など厳しい条件を確認する必要があります。

Q.白地なら家を建てられますか?

白地というだけでは決まりません。

農地転用上の農地区分、都市計画、接道、開発許可など別の条件を確認する必要があります。

Q.第3種農地なら必ず転用できますか?

第3種農地は転用について原則許可という区分ですが、事業実施の確実性や周辺農地への影響、他法令の許認可なども確認されます。

必ず転用できるという意味ではありません。

Q.農振除外してから買主を探した方がいいですか?

農振除外では具体的な土地利用計画などが必要になります。

売却価格を上げるためだけに先に除外しておく制度とは考えない方がよいでしょう。

具体的な用途と買主候補を踏まえて相談します。

Q.相続した農地を使わないなら、まず何をすればいいですか?

まず地番と現在の農地としての扱いを確認します。

そのうえで農地として貸す・売る、転用して売るなどの出口を比較します。

▪️まとめ|農地売却は「青地か白地か」だけで決めない

相続した田んぼや畑を売却しようとすると、

青地なら無理。

白地なら売れる。

第3種なら宅地にできる。

という分かりやすい説明に目が向きます。

しかし実際には、もう少し順番を分けて考える必要があります。

まず、

・地番と登記情報を確認する

・農地としての現在の扱いを確認する

・農用地区域か確認する

・農地区分を確認する

・農地としての売却需要を確認する

・転用するなら具体的な用途を決める

・都市計画など他法令を確認する

・最終的な手残りを比較する

という順番です。

特に覚えておきたいのは、

青地・白地と、第1種・第2種・第3種農地は別の分類

ということです。

そして、

農地は農地のまま売却する方法もある

ということです。

相続したから。

自分では農業をしないから。

という理由だけで、すぐ農地転用へ進む必要はありません。

農地として次の人へ引き継げるなら、大きな造成費をかけずに手放せる可能性があります。

転用した方が合理的なら、具体的な買主や利用計画をもとに手続きを確認します。

一番避けたいのは、

何となく転用できそう。

宅地にすれば高く売れそう。

という段階で先にお金をかけることです。

まず土地の区分を確認する。

次に売り方を決める。

最後に必要な手続きへ進む。

この順番で整理することで、相続した農地を「使わないけれど何年も持ち続ける土地」にしないための判断がしやすくなります。

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