top of page

表面利回りだけで選ぶと危険?築古アパートと新築アパートの本当の収益差

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月19日
  • 読了時間: 11分

物件情報を見ていると、

築古アパート 利回り10%。

新築アパート 利回り7%。

という数字が並ぶことがあります。

この2つだけを見れば、

「10%の築古を買った方が3%も得」

と思うかもしれません。

しかし、表面利回りは満室家賃と物件価格だけで計算した数字です。

実際のアパート経営では、

・空室

・管理費

・固定資産税

・保険

・修繕

・ローン返済

を差し引いて初めて、手元に残るお金が見えてきます。

つまり、

表面利回りが高い物件と、実際に現金が残る物件は同じとは限りません。

この記事では築古アパートと新築アパートを例に、

表面利回り → 実際の家賃収入 → 運営費 → ローン返済 → 最終手残り

の順番で収益差を確認します。

※本記事には広告・PRを含みます。


▪️結論|比べるのは「10%と7%」ではなく最後に残る現金



築古アパートと新築アパートを比較するとき、表面利回りだけなら築古が高く見えることがあります。

しかし実際には、利回り差の途中に多くの支出があります。

見る順番は、

・満室家賃

・実際の入金家賃

・年間運営費

・修繕

・ローン返済

・返済後キャッシュフロー

です。

さらに長期保有なら、最後に残債と売却価格も確認します。

前回の記事では築古と新築を、融資・修繕・空室・出口まで横断的に比較しました。

今回はそこから一段深く、

「表面利回りの差が、実際の収支ではどう変わるのか」

だけに絞って見ていきます。


▪️表面利回り10%でも年間家賃の10%が利益ではない



表面利回りは一般的に、

年間満室家賃 ÷ 物件価格 × 100

で計算します。

4,000万円のアパートで年間満室家賃が400万円なら、表面利回りは10%です。

しかし400万円がそのまま利益になるわけではありません。

実際には、

・空室期間

・家賃滞納

・管理会社への費用

・共用部費用

・固定資産税

・保険

・修繕

などが発生します。

そのため表面利回りは、

「物件情報を最初に比較する数字」

としては便利ですが、購入後の生活を支えるキャッシュフローそのものではありません。

利回りの基本的な見方はこちらで詳しく整理しています。


▪️まず満室家賃から「実際に入る家賃」へ直す



収支計算で最初に修正したいのが満室想定です。

8戸のアパートで年間満室家賃が400万円でも、1年間すべての部屋が常に満室とは限りません。

たとえば、

年間満室家賃 400万円。

空室・募集期間などを10%と仮定。

すると、実際に計算へ使う家賃は360万円です。

一方、新築で年間満室家賃420万円、空室等を5%と仮定すれば約399万円です。

この段階ですでに、

400万円と420万円

という満室家賃の比較から、

360万円と399万円

という実際の収入想定へ数字が変わります。

もちろん10%、5%は市場平均を示す数字ではありません。

物件ごとに周辺賃貸需要、現在の入居率、退去頻度、募集期間を確認して設定します。


▪️築古は「家賃収入が高い」より「修繕後も残るか」を見る



築古アパートでは、購入価格が低いため表面利回りが高く見えることがあります。

ただし購入後に、

・給湯器

・エアコン

・外壁

・屋根

・防水

・給排水

・室内設備

の修繕が重なる可能性があります。

ここで重要なのは、毎年必ず同じ金額の修繕が発生するという意味ではありません。

修繕が少ない年もあれば、数年分のキャッシュフローを一度に使う年もあります。

だから収支表では、

今年発生した修繕費だけでなく、将来のために確保しておく修繕資金

も考えます。

築古再生やリフォーム費用を確認したい場合はこちら。

修繕内容や費用を比較したい場合はこちら。


▪️新築も利回り7%がそのまま残るわけではない



新築アパートは当初の大規模修繕を読みやすい反面、購入価格が高くなりやすく、表面利回りは築古より低く見えることがあります。

さらに新築でも、

・管理費

・固定資産税

・保険

・共用部費用

・原状回復

・小修繕

は発生します。

つまり、

築古=経費が多い。新築=経費ゼロ。

という比較ではありません。

違うのは、支出の発生タイミングや大きさをどこまで予測しやすいかです。

新築も将来的には設備交換や外壁、防水などの時期を迎えます。


▪️利回り差を大きく変えるのがローン返済



ここからが表面利回りだけでは見えない部分です。

不動産投資では、多くの場合ローンを使います。

このとき見るのは金利だけではありません。

・借入額

・金利

・返済期間

によって年間返済額が決まります。

特に返済期間が違うと、毎年の手残りは大きく変わります。

築古は高利回りでも返済期間が短い。

新築は低利回りでも返済期間を長く取れる。

という条件なら、返済後のキャッシュフローが逆転することがあります。

不動産投資ローンの返済期間はこちら。


▪️築古10%と新築7%を数字で比較してみる



ここでは考え方を分かりやすくするため、単純化した仮定で比較します。

市場平均や特定の物件を示す数字ではありません。

まず築古アパートです。

築古アパート

・購入価格 4,000万円

・年間満室家賃 400万円

・表面利回り 10%

・借入額 3,200万円

・金利 2.8%

・返済期間 20年

と仮定します。

さらに年間で、

・空室等 40万円

・管理・税金・保険等 45万円

・修繕資金 60万円

を見込みます。

満室家賃400万円からこれらを差し引くと、ローン返済前は約255万円です。

3,200万円を金利2.8%、20年で元利均等返済する仮定なら、年間返済額は約209万円。

すると簡易計算では、

年間手残りは約46万円

となります。


▪️次に新築7%を同じ方法で見る



新築アパートは、

・購入価格 6,000万円

・年間満室家賃 420万円

・表面利回り 7%

・借入額 4,800万円

・金利 1.8%

・返済期間 30年

と仮定します。

年間では、

・空室等 21万円

・管理・税金・保険等 60万円

・修繕資金 20万円

を見込みます。

420万円からこれらを差し引くと、ローン返済前は約319万円です。

4,800万円を金利1.8%、30年で元利均等返済する仮定なら、年間返済額は約207万円。

すると、

年間手残りは約112万円

になります。

表面利回りだけなら、

築古 10%。

新築 7%。

でした。

ところが今回の仮定では、

築古 約46万円。

新築 約112万円。

と返済後のキャッシュフローは逆転しました。

これは、

新築なら必ず儲かるというシミュレーションではありません。

表面利回りだけでは最終手残りを判断できないことを見るための比較です。


▪️なぜ3%の利回り差が消えたのか



今回の築古は表面利回りが3ポイント高く設定されています。

それでも手残りが逆転した理由は一つではありません。

・空室想定

・修繕資金

・年間運営費

・融資期間

・金利

が同時に違うからです。

特に年間家賃を見ると、

築古 400万円。

新築 420万円。

で大きな差はありません。

つまり築古の10%は、

家賃が圧倒的に高いから10%なのではなく、購入価格が安いから10%

という側面があります。

物件価格が安い理由と、購入後に必要になる支出を確認して初めて、その高利回りに意味があるか判断できます。


▪️逆に「高利回り築古」が本当に強いケースもある



ここまで読むと、

「じゃあ築古は不利なのか」

と思うかもしれません。

そうではありません。

築古でも、

・相場より安く仕入れられた

・大規模修繕がすでに終わっている

・賃貸需要が安定している

・適正家賃で満室に近い

・土地値が強い

・修繕を低コストで管理できる

という物件なら、高い表面利回りを実際の利益につなげられる可能性があります。

つまり築古投資で重要なのは、

高い利回りを見つけることではなく、高い利回りを残せる物件を見つけること

です。


▪️低利回りの新築なら安全という意味でもない



新築にも別の注意点があります。

たとえば、

・土地を高く買う

・建築費が高い

・想定家賃が強気

・完成後に家賃を下げないと決まらない

・借入額が大きすぎる

という計画なら、低い修繕負担だけではカバーできません。

特に新築は総投資額が大きくなるため、家賃が想定より少し下がっただけでも金額への影響が大きくなる場合があります。

だから見るべきなのは、

新築か築古かではなく、その購入価格で事業が成立するか

です。


▪️本当の収益性は「自己資金に対して何円残るか」でも見る



物件を比較するときは、購入価格に対する利回りだけでなく、自分が投入する現金も確認します。

たとえば、

自己資金800万円を入れて年間80万円残る物件。

自己資金1,500万円を入れて年間100万円残る物件。

では、年間手残りだけなら100万円の方が上です。

しかし投入した自己資金に対する効率は別です。

このように、

物件価格に対する利回り

と、

自分の現金に対する収益

は分けて考えます。

自己資金利回りについてはこちら。


▪️キャッシュフローが多ければ、それだけで勝ちでもない



年間キャッシュフローが100万円残る物件と、50万円しか残らない物件。

この数字だけなら100万円を選びたくなります。

しかし長期では、

・借入残高

・将来修繕

・家賃下落

・土地価格

・売却価格

も残ります。

たとえば長期融資で年間返済額を抑えれば、現在のキャッシュフローは増えやすくなります。

一方で同じ時点の残債は多く残る可能性があります。

だから、

毎年いくら残るか

と、

10年後に何が残るか

は別々に確認します。


▪️購入前は7つの数字を同じ条件で並べる



築古と新築を比較するなら、広告に掲載されている利回りだけではなく、同じ条件で数字を作ります。

確認したいのは、

①年間満室家賃

現在の募集条件を確認します。

②現実的な年間家賃

空室や募集期間を反映します。

③年間運営費

・管理

・税金

・保険

・共用部

などを入れます。

④修繕

購入直後と中長期を分けます。

⑤年間返済額

金利だけでなく返済期間も確認します。

⑥返済後キャッシュフロー

実際に毎年残る現金を見ます。

⑦10年後の残債と出口

保有終了時まで確認します。

ここまで揃えて初めて、

築古10%。

新築7%。

という数字を同じ土俵で比較できます。

収益物件そのものを比較したい場合はこちら。


▪️高利回り物件を見つけたら「なぜ高いのか」を先に考える



利回り12%、15%という数字を見ると魅力的に感じます。

ただし、数字が高いこと自体が問題なのではありません。

確認するのは、

・価格が安い理由

・家賃が維持できるか

・空室が長期化していないか

・大きな修繕を控えていないか

・融資条件がどうなるか

・売却時に次の買主が融資を使えるか

です。

これらを確認してもなお高い収益が残るなら、その利回りは投資上の強みになります。

高利回りだから避けるのでも、高利回りだから買うのでもありません。

数字の中身を確認します。


▪️よくある質問



Q. 表面利回り10%なら実際には何%くらい残りますか?

一律には決まりません。空室、管理費、税金、保険、修繕、融資条件によって手残りは大きく変わります。


Q. 築古10%と新築7%なら、どちらを先に検討しますか?

まず両方の返済後キャッシュフローを同じ条件で作ります。そのうえで修繕、残債、売却まで比較します。


Q. 実質利回りだけ見れば大丈夫ですか?

経費を反映した利回りは表面利回りより判断材料が増えますが、ローン返済後の現金や出口までは別途確認する必要があります。


Q. 築古は修繕費を毎年いくら見ればいいですか?

築年数だけで固定額を決めるのではなく、建物状態、過去の修繕履歴、設備交換時期を確認して資金を見込みます。


Q. 新築なら利回りが低くても問題ありませんか?

低ければ安全という意味ではありません。総投資額、実際の家賃、融資、将来の売却を含めて成立するか判断します。


▪️まとめ|表面利回りは入口、最後に見るのは手残りと出口



築古アパート10%。

新築アパート7%。

この2つを見て、

築古の方が3%儲かる

とは判断できません。

表面利回りから、

・空室

・年間運営費

・修繕

・ローン返済

を引けば、見えてくる数字は大きく変わります。

今回の仮定では、

築古10% 年間手残り約46万円。

新築7% 年間手残り約112万円。

となりました。

もちろん条件を変えれば結果も変わります。

築古を安く取得し、修繕を抑え、長期入居を維持できれば築古側が大きく上回ることもあります。

反対に、新築を高く買いすぎれば、低い修繕負担だけでは利益を作れません。

だから見る順番は、

表面利回り → 実際の家賃 → 運営費 → 修繕 → 返済 → 手残り → 出口

です。

表面利回りは物件を探すための入口。

返済後キャッシュフローは保有中の結果。

残債と売却価格は最後の結果です。

高い利回りを買うのではなく、最後まで利益が残る物件を買う。

築古と新築を比べるときは、この考え方を基準にすると数字の見え方が大きく変わります。


▪️関連記事



築古アパートと新築アパートはどっちが儲かる?


不動産投資の利回りは何%あればいい?


不動産投資は利回りだけ見たら危険?


不動産投資でキャッシュフローはいくら残ればいい?


不動産投資で空室率は何%まで耐えられる?


不動産投資ローンの返済期間は何年がいい?


不動産投資で金利が上がったら赤字になる?


不動産投資は立地と利回りどちらが重要?


不動産投資で失敗する人は購入前に何を見落とす?


地方不動産投資完全ガイド

 
 

最新記事

すべて表示
オーナーチェンジ物件を買ったら敷金は誰が返す?買主が決済前に確認する5項目

オーナーチェンジ物件を買うとき、 家賃。 利回り。 入居率。 ローン。 には目が向きやすいです。 でも決済前に確認しておきたいものがあります。 入居者から預かっている敷金です。 例えば6戸のアパート。 各入居者から敷金5万円。 合計30万円。 物件を買ったあと入居者が退去したら、 「この30万円、売主が預かったんやから売主が返すんやろ?」 と思うかもしれません。 しかし、そう単純ではありません。

 
 
オートロック付きなら家賃を上げられる?不動産投資で設備プレミアムを買う前の5確認

不動産投資の物件を探していると、 「オートロック付きの方が入居者に選ばれやすい。」 「単身向けならオートロックは欲しい。」 と言われることがあります。 確かに、 同じようなマンション。 同じような1K。 なら、 オートロックがあることは募集時の条件の一つになります。 そこで気になるのが、 「オートロック付きなら家賃を高く取れる?」 ということです。 さらに投資物件を買う側なら、 「オートロック付き

 
 
22㎡以上なら空室に強い?不動産投資で単身向けの「広さ」だけで買わない5つの確認ポイント

不動産投資で単身向け物件を探していると、 「できれば22㎡以上を選んだ方がいい。」 「20㎡以下は狭いから空室になりやすい。」 と言われることがあります。 確かに、 18㎡。 22㎡。 25㎡。 30㎡。 では、室内の広さが違います。 でも、 22㎡を超えた瞬間に入居が決まりやすくなる。 という全国共通の境界線があるわけではありません。 大切なのは、 その5㎡に入居者がどれだけ価値を感じるのか。

 
 
miramaru kusakari 3.png
bottom of page