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フリーレントは1か月・2か月どこまで付ける?地方賃貸で空室損と家賃値下げを比較

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 7月21日
  • 読了時間: 17分

更新日:8月22日

▪️家賃を下げるくらいなら、1か月無料にした方が得?

地方アパートの空室が続くと、家賃値下げと並んで検討されるのがフリーレントです。

例えば家賃5万円の部屋で、

「最初の1か月は家賃無料」

とする募集方法です。

入居希望者から見れば、引っ越し直後の負担を軽くできます。

大家側も毎月の家賃そのものを下げずに募集できるため、使い方によっては空室対策になります。

ただし、

「1か月無料ならお得そう」

という理由だけで付けるものでもありません。

家賃5万円なら、フリーレント1か月の負担は5万円。

2か月なら10万円です。

その費用を使っても入居時期がほとんど変わらないなら、大家側の手残りだけが減る可能性があります。

反対に、1か月無料にすることで空室を1か月以上短縮できるなら、単純な家賃収入では採算が合う可能性があります。

つまり見るべきなのは、

フリーレントを何か月付けるかではなく、その無料期間によって空室を何か月短縮できそうか。

です。

この記事では、家賃5万円の地方賃貸を例に、フリーレント1か月・2か月と空室損、家賃3,000円値下げ、AD、初期費用、リフォームを同じ数字で比較します。

地方アパートの空室対策全体はこちらをご覧ください。

※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。


▪️結論|フリーレント1か月は「空室1か月分」と考える

家賃5万円なら、フリーレント1か月で大家側が受け取らない家賃は5万円です。

これは空室1か月の家賃5万円と同額です。

つまり単純化すると、

フリーレント1か月によって入居を1か月以上早められるなら、家賃収入では回収できる可能性がある。

ということです。

フリーレント2か月なら10万円。

空室2か月も10万円です。

だから、

1か月無料は高い。

2か月無料はもったいない。

と期間だけで判断するのではありません。

現在のまま募集すると、あと何か月空きそうなのか。

フリーレントを付けると、どれくらい早く決まりそうなのか。

この差を考えます。


▪️1年間で見ると「1か月空室」と「1か月フリーレント」は同じ55万円

もう少し分かりやすく計算します。

家賃5万円の部屋を、今日から1年間で比較します。

A案はフリーレントなし。

ただし入居が1か月後に決まり、その後11か月家賃が入るとします。

年間家賃は、

5万円 × 11か月 = 55万円。

です。

B案は今日すぐ契約。

最初の1か月をフリーレントにして、その後11か月家賃を受け取るとします。

こちらも、

5万円 × 11か月 = 55万円。

です。

単純化すれば、1か月フリーレントで入居を1か月早められれば、1年間の家賃収入は同じです。

これがフリーレントの損益分岐を考える基本になります。

「無料にした5万円」だけを見るのではなく、「その代わり何日早く契約できるのか」を見ます。


▪️2か月フリーレントなら、空室を2か月短縮できるかを見る

家賃5万円でフリーレント2か月なら、大家側の負担は10万円です。

この場合も考え方は同じです。

現在の条件なら、あと3か月空きそう。

フリーレント2か月を付ければ、1か月以内に決まりそう。

という状況なら、2か月程度の空室短縮を期待して10万円を使う考え方があります。

反対に、

すでに毎週内見が入っている。

家賃も競合より安い。

初期費用にも問題がない。

それなのに理由もなく2か月無料にするなら、費用を使う根拠が弱くなります。

2か月フリーレントは強い募集条件だからこそ、最初から機械的に付けない。

地域の競合条件と反響を確認して判断します。


▪️家賃3,000円値下げとフリーレント1か月はどちらが得?

ここで1本目の家賃値下げ記事と比較します。

家賃5万円の部屋。

A案はフリーレント1か月を付け、家賃5万円を維持する。

B案はフリーレントなしで、家賃を4万7,000円へ下げる。

A案の減収は一度だけ5万円です。

B案は毎月3,000円少なくなります。

1年間なら3万6,000円。

2年間なら7万2,000円。

3年間なら10万8,000円です。

5万円 ÷ 3,000円 = 約16.7か月。

つまり単純比較では、約17か月を超えて入居してもらえるなら、フリーレント1か月を一度付けて家賃5万円を維持する方が、3,000円値下げを続けるより減収額は小さくなります。

ただし、家賃5万円そのものが相場より高い場合は別です。

価格が原因なのにフリーレントだけ付けても、無料期間終了後は毎月5万円になります。

だから、

一時的な入居負担が原因ならフリーレント。

月額家賃そのものが原因なら家賃設定。

と分けます。

家賃値下げの損益分岐はこちらで詳しく整理しています。


▪️フリーレント2か月と家賃3,000円値下げの分岐は約33か月

今度はフリーレント2か月です。

家賃5万円なら負担は10万円。

家賃3,000円値下げとの損益分岐は、

10万円 ÷ 3,000円 = 約33.3か月。

です。

約2年9か月になります。

例えば3年以上の長期入居を期待できる物件なら、2か月フリーレントを一度使って家賃5万円を維持する方が、毎月3,000円値下げするより単純な減収額は少なくなります。

一方、平均入居期間が短い単身物件なら判断は変わります。

1年程度で退去する可能性が高いのに2か月無料にすれば、年間収入への影響は大きくなります。

フリーレントは無料期間だけではなく、その後何か月家賃を受け取れそうかまで考える。

ここが重要です。


▪️フリーレントは「初期費用が原因」の物件と相性がいい

このクラスターで使っている、

問い合わせ→内見→申込み。

で考えます。

例えば問い合わせはある。

内見も入る。

室内の評価も悪くない。

しかし契約時の初期費用を見て、

「今回はやめます」

となっている。

この場合、フリーレントを比較する意味があります。

入居時は賃貸契約だけでなく、引っ越し代や家具・家電などのお金も必要です。

最初の家賃負担を軽くできることが、入居希望者の判断材料になる可能性があります。

反対に問い合わせ自体が0件なら、フリーレント以前に募集家賃や掲載情報で候補に入っていない可能性があります。

どこで止まっているかを確認してから無料期間を付ける。

これが基本です。

初期費用の見直しはこちらで詳しく整理しています。


▪️礼金ゼロとフリーレント1か月は同じ5万円でも役割が違う

家賃5万円で礼金1か月を設定している物件を考えます。

礼金をゼロにすれば、大家側では一度5万円の収入を減らす形になります。

フリーレント1か月も、家賃5万円なら一度5万円を受け取らない条件です。

大家側の単純な金額は同じです。

しかし入居希望者に伝わるタイミングが違います。

礼金ゼロなら、契約時に準備する現金を直接減らしやすくなります。

フリーレントなら、入居後の一定期間の賃料負担を軽くできます。

競合が敷金・礼金ゼロばかりで、自分だけ礼金1か月なら礼金を見直す方が分かりやすい場合があります。

一方、周辺でも礼金条件に大きな差がなく、「今なら1か月家賃無料」という募集条件を打ち出したいならフリーレントを比較できます。

大家側の5万円だけでなく、入居希望者に何が魅力として伝わる5万円なのかを見る。

これが大切です。


▪️AD1か月とフリーレント1か月も同じ5万円

家賃5万円なら、

AD1か月も5万円。

フリーレント1か月も5万円。

です。

しかしADは募集・紹介側への施策。

フリーレントは入居希望者側への条件です。

例えば客付け会社からほとんど紹介されていないなら、フリーレントを付ける前にADを含めて募集体制を確認する余地があります。

反対に紹介も内見も十分あるのに、入居時の負担で比較負けしているならフリーレントの方が原因に近くなります。

だから、

ADとフリーレント、どっちが強い?

という話ではありません。

同じ5万円を、募集のどちら側へ使うべきか。

で判断します。

AD1か月・2か月の採算はこちらで詳しく整理しています。


▪️5万円使うなら室内改善とも比較する

フリーレント1か月で5万円。

でも内見者から、

「照明が暗い」

「水回りが汚い」

「クロスがかなり傷んでいる」

と繰り返し言われている。

この状態なら、5万円を無料家賃へ使うより室内の弱点へ使う方が申込みに近い可能性があります。

逆に部屋そのものには大きな問題がなく、競合との違いが初期負担だけなら、5万円の工事をしても効果が薄いかもしれません。

同じ5万円なら、今の失注理由を消せる方へ使う。

この考え方は家賃・AD・リフォームすべて同じです。

室内改善が必要なら、工事費とフリーレントを同じ金額で比較してから判断しましょう。


▪️フリーレント2か月より「半月・1か月」で足りないか考える

管理会社から、

「2か月無料にしましょう」

と提案されたとしても、必ず2か月必要とは限りません。

例えば家賃5万円なら、半月相当は単純化すると約2万5,000円です。

競合との差が小さく、あと一押しの条件として使うなら、1か月やそれ未満の設計で足りる場合もあります。

もちろん実際の募集条件や賃料計算方法は管理会社と確認する必要があります。

重要なのは、

強い条件を最初から最大まで出さないこと。

です。

1か月で反響が変わるのか。

2か月必要な市場なのか。

競合がどこまで出しているのか。

を確認します。

特に繁忙期と閑散期では必要な募集条件が変わる可能性があります。


▪️「1か月無料」と書いても、何が無料かは明確にする

フリーレントを設定する場合、募集表示と契約条件を曖昧にしないことが重要です。

例えば、

家賃だけ無料なのか。

共益費も無料なのか。

駐車場代も対象なのか。

いつから通常家賃が発生するのか。

によって入居者が負担する金額は変わります。

「フリーレント1か月」と大きく書いてあっても、共益費や駐車場代などが必要なら、入居希望者が想像する「完全無料」と違う場合があります。

募集時点で条件を分かりやすくし、契約書でも賃料発生日などを明確にしておきましょう。

無料にすること以上に、何をいつまで無料にするかを明確にすることが重要です。


▪️短期退去されたらフリーレントの負担が重くなる

フリーレントで注意したいのが短期入居です。

家賃5万円。

1か月無料。

その後3か月だけ家賃を払い退去。

となれば、無料期間の割合はかなり大きくなります。

反対に3年間住んでもらえれば、最初の5万円を長期間の家賃収入の中で吸収しやすくなります。

だからフリーレントを使うときは、想定入居期間まで考えます。

また実務では、フリーレントと短期解約時の違約金特約を組み合わせる契約もあります。

ただし、違約金なら自由にいくらでも設定できるというものではありません。

消費者契約に該当する場合、消費者契約法では契約解除に伴う違約金等について、同種契約の解除に伴い事業者に生じる平均的な損害を超える部分を無効とするルールがあります。

そのため短期解約条項を設ける場合は、期間や金額を管理会社・宅建業者等と確認し、契約内容を借主へ明確に説明することが重要です。

無料期間を取り戻すために、過大な違約金を設定するという考え方は避けます。


▪️契約条件は標準契約書をそのままコピーすればいいわけではない

国土交通省は、賃貸借をめぐる紛争防止などを目的として「賃貸住宅標準契約書」を公開しています。

ただし、この標準契約書の使用が法律で義務づけられているわけではありません。

物件ごとの契約条件に応じて、必要な特約などを検討することになります。

フリーレントを設定するなら、無料期間や通常賃料の開始時期などが契約内容と矛盾しないよう確認します。

募集広告だけ、

「1か月無料」

となっている。

契約書を見ると家賃発生日が違う。

という状態は避けたいところです。

募集条件と契約条件を一致させる。

当たり前ですが、空室対策を強くするほど重要になります。


▪️空室1か月経過後にフリーレントを付けるなら「追加1か月」を見る

例えば家賃5万円で募集開始。

1か月決まらなかった。

ここからフリーレント1か月を付けるとします。

大家側からすると、

すでに5万円失った。

さらに5万円無料。

合計10万円。

と考えたくなります。

しかし、過去1か月の空室損は戻りません。

判断するのは今日から先です。

このままなら、さらに2か月空く可能性がある。

1か月フリーレントなら今月中に決まる可能性が高い。

という状況なら、追加5万円と今後の空室損を比較します。

過去にいくら失ったかではなく、今日から何円使えば今後何円を守れるか。

11本目の空室期間記事と同じ考え方です。

空室1か月・2か月・3か月で確認する場所はこちらで整理しています。


▪️フリーレントを付けても問い合わせが増えない場合

1か月無料にした。

それでも問い合わせがほとんど増えない。

この場合、さらに2か月無料へ増やす前に別の原因を確認します。

例えば競合より月額総負担が高い。

駐車場条件で負けている。

募集写真が弱い。

そもそも地域需要に対して家賃設定が高い。

といった問題です。

反対に問い合わせは増えたものの内見後に決まらないなら、無料期間より現地での失注原因へ移ります。

対策をしたら、

問い合わせが動いたのか。

内見が動いたのか。

申込みが動いたのか。

を確認します。

フリーレントを付けた事実ではなく、どの数字が変わったかを見る。

これを記録しておくと次回募集でも判断しやすくなります。


▪️競合の「家賃5万円」だけでなく成約条件を見る

競合調査をすると、

周辺も家賃5万円だから、自分も5万円でいい。

と思うことがあります。

しかし競合は、

家賃5万円。

フリーレント1か月。

礼金ゼロ。

AD2か月。

という条件で決まっているかもしれません。

つまり募集サイトに表示されている月額家賃だけでは、実際の成約条件を判断できません。

可能なら客付け会社へ、

「最近5万円で決まった物件は、フリーレントも付いていましたか?」

と聞きます。

家賃が同じでも、実際に入居者と大家が負担している条件は違う。

この視点が競合調査では重要です。

ライバル物件の比較方法はこちらで詳しく整理しています。


▪️購入前はフリーレントまで入れた年間収入で計算する

地方の築古アパートを購入するときにもフリーレントは無視できません。

例えば売却資料では、

家賃5万円。

年間60万円。

として収支が作られている。

しかし実際の市場では、退去のたびに1か月フリーレントを付けないと決まりにくい物件かもしれません。

その場合、募集年には実際に受け取る家賃が満額60万円にならない可能性があります。

さらに、

空室期間。

原状回復。

AD。

フリーレント。

まで重なると、退去1回の収支への影響は大きくなります。

購入前は「現在満室か」だけでなく、次の空室を埋めるためにどんな募集条件が必要なのかを確認します。

満室想定家賃だけで利回りを作らないことが重要です。

収益物件を検討するときは、空室・修繕・募集費を含めた収支で比較しましょう。


▪️空室対策費を合計して「1回の退去コスト」を見る

フリーレントだけを見ると5万円でも、退去全体ではほかの費用も発生します。

例えば家賃5万円の部屋で、

空室2か月で10万円。

原状回復20万円。

AD1か月で5万円。

フリーレント1か月で5万円。

なら、単純化した退去後の影響は40万円です。

だから、

「フリーレントはたった5万円だから大丈夫」

とも言い切れません。

年間で何室退去するのかによって、募集費全体は大きくなります。

物件数が増えたら、1件の入居を決めるために平均いくら使っているかを確認します。

そして高額な原状回復や設備改善が続いているなら、工事内容自体も見直します。

満室になったかだけでなく、満室へ戻すためにいくら使ったかを見る。

ここまで確認すると、本当の手残りが分かりやすくなります。


▪️よくある質問|フリーレントは1か月と2か月どちらがいい?

一律には決められません。

家賃5万円なら1か月で5万円、2か月で10万円の負担になるため、その条件によって空室を何か月短縮できそうかで判断します。

まず1か月で競争力が出るのか、競合が2か月まで付けているのかを客付け会社へ確認すると判断しやすくなります。

Q. フリーレントと家賃値下げならどちらが得?

入居期間によって変わります。

家賃5万円で3,000円値下げと比較すると、フリーレント1か月5万円との単純な損益分岐は約17か月です。

長期入居なら家賃を維持するメリットが大きくなる一方、月額家賃そのものが高ければフリーレントだけでは解決しません。

Q. フリーレント中は共益費や駐車場も無料?

必ずしもそうではありません。

どの費用を無料対象にするかは契約条件によります。

募集時と契約時に、無料になる項目と通常賃料の開始日を明確にしておきましょう。


▪️まとめ|フリーレントは「無料サービス」ではなく空室短縮投資

フリーレント1か月。

と聞くと、

家賃を丸々1か月捨てる。

という印象があります。

でも家賃5万円なら、1か月フリーレントは5万円。

空室1か月も5万円です。

だから、1か月無料にすることで入居が1か月以上早くなるなら、単純な家賃収入では回収できる可能性があります。

2か月無料なら、空室を2か月短縮できるかが一つの比較になります。

さらに家賃値下げとも比較します。

家賃5万円から3,000円下げれば、2年間で7万2,000円、3年間で10万8,000円の減収です。

一方、フリーレント1か月なら5万円を一度負担して家賃5万円を維持できます。

単純な損益分岐は約17か月です。

ただし、フリーレントがすべての空室に効くわけではありません。

紹介されていないならAD。

家賃そのものが高いなら家賃設定。

室内で負けているなら改善。

初期負担が障害ならフリーレント。

というように、原因に合わせます。

またフリーレントを設定するなら、何が無料なのか、通常家賃はいつから発生するのか、短期解約時の条件はどうするのかまで契約上明確にしておく必要があります。

一番長く無料にした物件が勝つわけではありません。

必要最小限の無料期間で入居を早め、毎月の家賃を守れるなら、それが大家にとって使いやすいフリーレントです。

家賃5万円を4万7,000円へずっと下げる前に、

「5万円を一度使って5万円の家賃を残せないか」

を比較してみましょう。


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