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賃貸の初期費用はいくらまで下げる?敷金・礼金ゼロと家賃値下げを比較

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 2025年12月7日
  • 読了時間: 17分

更新日:8月22日

▪️家賃は相場なのに、初期費用が高くて決まらない?

地方アパートの募集で、家賃は周辺と大きく変わらない。それでも問い合わせから申込みまで進まないことがあります。

そこで確認したいのが初期費用です。

入居希望者が契約時に必要になるお金には、敷金・礼金だけでなく、保証会社の費用、火災保険、仲介関連費用、鍵交換費などが含まれる場合があります。

例えば家賃5万円の物件でも、入居時に必要な総額が25万円の物件と15万円の物件では、最初に準備する現金が10万円違います。

特に引っ越しでは、家具・家電・引っ越し代など賃貸契約以外の支出も重なります。

だから入居希望者は、

「毎月いくら払うか」だけでなく、「今いくら必要か」

でも物件を比較します。

ただし大家側も、初期費用を何でもゼロにすればいいわけではありません。

敷金をなくすことと礼金をなくすことでは、大家側の意味が違います。

さらに家賃3,000円を下げる方法、礼金5万円をなくす方法、フリーレント1か月を付ける方法では、長期的な収支も変わります。

この記事では、地方賃貸で初期費用を見直すとき、どの費用をどこまで軽くするべきかを家賃5万円の具体例で比較します。

地方アパートの空室対策全体はこちらをご覧ください。

※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。


▪️結論|初期費用は「入居者の負担」と「大家の損失」を分けて見る

初期費用を下げるとき、最初に知っておきたいことがあります。

入居者が払う初期費用が5万円減ったからといって、大家が必ず5万円損するわけではありません。

初期費用の中には、大家が受け取るものもあれば、不動産会社・保証会社・保険会社などへ支払われるものがあります。

また敷金のように、大家が預かるものの、一定の条件で返還する性質のお金もあります。

だから最初に、

入居者はいくら払っているのか。

そして、

そのうち大家の収支へ直接影響するのはいくらなのか。

を分けます。

この二つを混ぜると、

「初期費用を10万円下げたら10万円損する」

と誤解する可能性があります。


▪️まず「入居までに必要な総額」を確認する

例えば家賃5万円の部屋。

募集図面には家賃5万円と大きく表示されています。

しかし契約時には、家賃以外にも複数の費用が必要になる場合があります。

敷金・礼金のほか、保証関連費用、火災保険、仲介関連費用、鍵交換などです。

物件や契約によって必要な項目と金額は異なります。

だから客付け会社へ、

「この部屋に入居するとき、最初に必要な総額はいくらですか?」

と確認します。

大家側が家賃と敷金・礼金だけを見ていても、入居希望者が実際に提示されている総額と違うことがあるからです。

初期費用対策のスタートは、現在の見積書を一度見ること。

ここから始めます。


▪️敷金ゼロと礼金ゼロは、大家にとって同じではない

例えば家賃5万円。

現在、

敷金1か月。

礼金1か月。

で募集しているとします。

入居者から見ると、どちらも5万円なので合計10万円です。

そのため、

「どちらか5万円なくせば同じ」

と考えたくなります。

しかし大家側では性質が違います。

民法第622条の2では、敷金について、賃料債務など賃貸借から生じる借主の金銭債務を担保する目的で交付されるお金と定義されています。

賃貸借が終了して物件の返還を受けた場合などには、借主の債務を差し引いた残額を返還する仕組みです。

つまり敷金5万円は、最初から大家の利益として確定する5万円ではありません。

一方で敷金をゼロにすれば、滞納や借主負担となる費用などに備える担保が一つ減ります。

だから敷金ゼロは、

「5万円の売上を捨てる」

というより、

「入居時の負担を軽くする代わりに、預かっておく担保を減らす」

という判断に近くなります。

敷金の返還についてはこちらでも整理しています。


▪️礼金ゼロは「一度だけの収入を下げる」方法として比較する

礼金については敷金とは違い、通常は返還を前提とした担保ではありません。

そのため家賃5万円で礼金1か月をゼロにすれば、大家側では一度だけ5万円分の収入を減らす形になります。

ここで家賃値下げと比較できます。

現在の条件が、

家賃5万円。

礼金5万円。

だったとします。

空室対策として二つの案を考えます。

A案は、家賃5万円を維持して礼金をゼロにする。

B案は、礼金5万円を維持して家賃を4万7,000円へ下げる。

A案で大家が手放す金額は、一度だけ5万円です。

B案は毎月3,000円減るため、

1年間なら3万6,000円。

2年間なら7万2,000円。

3年間なら10万8,000円。

の減収になります。

5万円 ÷ 3,000円 = 約16.7か月。

つまり単純比較では、約17か月を超えて入居してもらえるなら、礼金5万円を一度なくす方が、毎月3,000円家賃を下げ続けるより減収額は小さくなります。

もちろん礼金ゼロにすれば必ず入居が決まるわけではありません。

それでも、

「家賃を下げる」

だけが空室対策ではないことが分かります。

家賃値下げの損益分岐はこちらで詳しく計算しています。


▪️礼金5万円をなくすか、フリーレント1か月を付けるか

家賃5万円なら、礼金1か月をゼロにする方法と、フリーレント1か月を付ける方法は、大家側の単純な負担ではどちらも5万円として比較できます。

ただし入居希望者から見た意味は少し違います。

礼金ゼロなら、契約時に必要な現金を直接減らせます。

フリーレントなら、契約後の一定期間について家賃負担を軽くできます。

どちらが強いかを全国一律に決めることはできません。

客付け会社へ、

「この物件は入居時の現金負担で断られていますか?」

「フリーレントと礼金ゼロなら、どちらの方が説明しやすいですか?」

と確認します。

同じ5万円を使うなら、入居希望者が実際に困っている場所へ使う。

これまでの空室対策と同じ考え方です。


▪️「敷金・礼金ゼロ」で10万円値引きしたと考えない

ここはかなり重要です。

家賃5万円で、

敷金1か月。

礼金1か月。

から、

敷金ゼロ。

礼金ゼロ。

へ変更したとします。

入居者の契約時負担は、単純化すると10万円軽くなります。

でも大家側で、

「10万円値引きした」

と考えるのは正確ではありません。

礼金5万円は一度の収入をなくすことになります。

一方、敷金5万円は本来、賃貸借上の債務を担保するために預かる性質のお金です。

だから収支判断では、

礼金ゼロによる減収。

敷金ゼロによる担保減少。

を別々に評価します。

入居者の10万円減と、大家の10万円損失は同じではありません。

ここを分けると初期費用対策がかなり考えやすくなります。


▪️敷金ゼロにするなら保証会社なども含めて考える

敷金をなくせば入居時の負担は軽くなります。

一方、大家側では滞納などに備える担保が減ります。

そこで保証会社を利用している物件なら、どこまで保証対象になるのか確認します。

家賃滞納だけなのか、原状回復費などにも一定の保証があるのかは契約内容によって異なります。

保証会社を使っているから敷金は必ず不要。

あるいは敷金があるから保証会社は不要。

と一律には決められません。

物件の入居対象や滞納リスク、保証内容、大家側の資金余力まで含めて判断します。

初期費用を下げるときは、入居しやすさだけでなく、減らした安全性をどう補うかまで見る。

これが実務では重要です。


▪️仲介手数料は大家が自由に決める費用ではない

初期費用の見積もりを見ると、仲介手数料が含まれていることがあります。

ここで大家側が、

「仲介手数料もゼロにして」

と単純に決められるわけではありません。

宅地建物取引業者が賃貸借の媒介で受け取れる報酬には、宅地建物取引業法第46条と国土交通大臣の告示による上限があります。

居住用賃貸の通常の媒介では、貸主・借主双方から受ける報酬の合計額や、一方から受け取れる額についてルールがあります。

また2024年7月からは、一定の「長期の空家等」の賃貸媒介について、貸主側から受け取れる報酬に特例も設けられています。

つまり初期費用一覧に載っているからといって、すべての項目を大家が同じように変更できるわけではありません。

仲介関連費用を調整したい場合は、媒介する宅建業者へ負担方法や契約条件を確認します。


▪️火災保険・保証料・鍵交換も「誰の費用か」を分ける

初期費用が高い物件では、

「全部大家側で安くしよう」

と考える前に、見積書の内訳を確認します。

例えば保証会社の費用は保証サービスの対価です。

火災保険も保険契約に基づく費用です。

鍵交換も、物件や契約によって誰が負担するかが異なります。

だから大家が確認したいのは、

「この初期費用の中で、貸主側の判断で変更できる項目はどれですか?」

ということです。

そこが分かれば、

礼金を減らす。

フリーレントを付ける。

大家側で一部負担する。

別の募集条件を変更する。

といった比較ができます。

初期費用総額を眺めるだけでなく、自分が動かせる費用を特定する。

ここから具体的な対策が始まります。


▪️初期費用25万円と15万円なら、家賃差より大きく見えることがある

例えば二つの物件があります。

A物件は家賃4万8,000円で、入居時に必要な総額が25万円。

B物件は家賃5万円で、入居時の総額が15万円だったとします。

月額家賃だけならA物件が2,000円安くなります。

しかし契約時は、B物件の方が10万円少ない現金で入居できます。

家賃差2,000円で10万円の差が埋まるまでには、

10万円 ÷ 2,000円 = 50か月。

約4年2か月です。

もちろん実際の比較では、敷金の返還可能性や各費用の内容まで確認する必要があります。

それでも入居者から見ると、

「月2,000円安い」より「今10万円少なくて済む」

ことを重視する場合があることは想像できます。

だから競合調査では、募集家賃だけでなく初期費用総額まで確認します。


▪️問い合わせはあるのに内見へ進まないなら初期費用を疑う

初期費用対策が特に効きやすい可能性があるのは、

問い合わせは来ている。

でも内見予約にならない。

という状態です。

募集サイト上では家賃や間取りを見て候補に入った。

しかし不動産会社へ問い合わせ、初期費用を聞いた段階で離脱する。

これなら、内装を10万円変えるより先に契約条件を確認する意味があります。

一方で問い合わせ自体がほとんどないなら、初期費用以前に家賃・写真・掲載状況で候補から外れている可能性があります。

また内見は十分入っているのに申込みがないなら、現地の室内状態や駐車場など別の原因も確認します。

初期費用を下げるかどうかも「問い合わせ→内見→申込み」のどこで止まっているかで判断する。

内見後の失注についてはこちらで詳しく整理しています。


▪️家賃3,000円を下げる前に「一時的な5万円」を比較する

地方賃貸の空室対策では、家賃値下げを最初の選択肢にしない方がいい場合があります。

例えば家賃5万円。

3,000円下げれば4万7,000円です。

2年間なら減収7万2,000円。

3年間なら10万8,000円です。

一方、

礼金1か月をなくす。

フリーレント1か月を付ける。

など、大家側の負担を5万円程度に抑えた一時的な募集条件で決まるなら、長期入居ほど家賃を維持する効果が大きくなります。

だから、

毎月下げる5万円なのか、一度だけ使う5万円なのか。

ではなく、

毎月3,000円を何年間失うのか、一度5万円を使うのか。

で比較します。

こうすると、初期費用対策を家賃値下げと同じ物差しで判断できます。


▪️5万円使うならAD・初期費用・室内改善も横並びで比較する

家賃5万円の空室対策には、5万円前後の選択肢がいくつかあります。

例えばADを1か月追加する方法、礼金を1か月なくす方法、フリーレントを1か月付ける方法があります。

さらに室内の弱点によっては、5万円程度の小規模改善を検討することもあるでしょう。

大切なのは、どれが一般的に一番効くかではありません。

紹介そのものが少ないならAD。

初期費用で離脱しているなら礼金やフリーレント。

内見後に室内で負けているなら修繕や改善。

というように、今の空室原因へ合わせます。

同じ5万円なら、一番困っている場所へ使う。

これがこのクラスター全体の考え方です。

室内改善が必要なら、家賃を下げる前に工事費との比較もしておきましょう。


▪️敷金ゼロでも原状回復ルールがなくなるわけではない

敷金をゼロにすると、

「退去時の修繕費は全部大家負担になる?」

と不安になることがあります。

しかし敷金の有無と、借主が負担するべき損傷の考え方は別です。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常損耗や経年変化と、借主の故意・過失などによる損傷を分けて考える基本が示されています。

敷金がある場合は、契約終了後に借主側の債務があれば、その範囲で精算に使われることがあります。

敷金ゼロなら、必要な精算が生じた場合の回収方法を別途考えることになります。

つまり、

敷金ゼロ=退去時費用も全部ゼロ

ではありません。

だから募集力だけでなく、退去時まで含めて契約内容を整えておくことが重要です。


▪️一気に「完全初期費用ゼロ」を目指さなくていい

初期費用が高いと分かったから、

敷金ゼロ。

礼金ゼロ。

フリーレント1か月。

さらに大家負担。

と一気に変更する必要はありません。

これでは入居者には魅力的でも、どの条件が成約へ効いたのか分からなくなります。

例えば競合より礼金だけ5万円高いなら、まずそこを合わせて反響を見る方法があります。

敷金を残す必要性が低いと判断できるなら、次に敷金条件を検討する。

それでも反響が弱ければ、フリーレントなど別の方法を比較する。

競合との差を一つずつ消す。

初期費用も、設備投資や家賃設定と同じです。


▪️初期費用を下げても決まらないなら、原因を次へ進める

礼金をゼロにした。

初期費用も競合並みにした。

それでも決まらない。

そこでさらに初期費用だけを下げ続ける必要はありません。

問い合わせ数。

内見数。

内見後の反応。

を確認します。

問い合わせが増えたなら、初期費用の改善には一定の効果があった可能性があります。

それでも申込みにならないなら、今度は室内や駐車場など別の原因へ進みます。

反対に初期費用を変更しても問い合わせがまったく変わらないなら、そもそも別の条件で候補から外れている可能性があります。

対策をしたら、次の数字を見る。

これを繰り返します。


▪️購入前から「次回募集の初期費用」を確認する

初期費用は、すでに所有している物件の空室対策だけではありません。

築古アパートを購入するときにも確認します。

例えば現在は満室。

でも各部屋の契約条件を見ると、

高い礼金。

周辺より重い初期費用。

前の管理会社だから成立していた条件。

になっている可能性があります。

次回退去時に同じ条件では決まらず、礼金をなくす、ADを増やす、家賃を調整する必要が出れば、購入時の想定収入とは変わります。

だから購入前から、

現在の家賃だけでなく、次回募集時に現実的な条件で収支が成立するか確認します。

満室だから安心ではなく、退去した一室を同じ条件で埋め直せるかを見る。

これが重要です。

収益物件を検討するときは、満室家賃だけでなく空室・修繕・募集費まで含めて比較しましょう。


▪️複数戸あるなら「入居1件あたりの募集コスト」を残す

アパート経営では、入居が決まったら終わりではありません。

例えば今回の募集で、

礼金5万円をなくした。

AD5万円を使った。

フリーレントはなし。

という条件で決まった。

この場合、次回の募集でも同じ条件が必要なのか記録しておきます。

別の部屋では礼金ありでも決まった。

ある部屋だけ初期費用を下げないと決まらない。

という差が出るかもしれません。

戸数が増えるほど、

「この地域は初期費用が安い方がいいらしい」

という感覚ではなく、自分の物件で1件決めるために実際いくら使ったのかが重要になります。

大家自身が収支・空室・募集費を把握する考え方はこちらでも整理しています。


▪️よくある質問|敷金ゼロと礼金ゼロならどちらを先にする?

一律には決められません。

礼金をゼロにすると大家側では一度の収入を減らす形になりますが、敷金をゼロにする場合は担保として預かる金額を減らす意味があります。

現在の保証内容、競合物件の募集条件、入居希望者からの反応を確認して判断します。

Q. 初期費用が高ければ家賃を下げた方が早い?

必ずしもそうではありません。

家賃3,000円の値下げは入居期間中ずっと続きますが、礼金やフリーレントの調整は一度の負担にできる場合があります。

長期入居を想定するなら、一時的な条件変更と継続的な家賃値下げを比較しましょう。

Q. 敷金ゼロなら退去時に修繕費を請求できない?

敷金の有無だけで決まるものではありません。

原状回復の負担は契約内容や損傷原因などによって判断されます。

敷金ゼロの場合は、借主負担となる債務が生じた際の精算・回収方法も含めて考えておく必要があります。


▪️まとめ|初期費用は「何万円下げるか」ではなく、何を下げるかで考える

地方賃貸で空室が続くと、

敷金ゼロ。

礼金ゼロ。

フリーレント。

家賃値下げ。

と、いろいろな方法が出てきます。

しかし大家側では、それぞれ意味が違います。

礼金5万円をなくせば、一度の収入が5万円減ります。

一方、敷金5万円をなくす場合は、本来預かっていた担保を減らす判断です。

そして家賃を3,000円下げる場合は、2年間で7万2,000円、3年間で10万8,000円の減収になります。

家賃5万円なら、

礼金1か月ゼロと家賃3,000円値下げの単純な損益分岐は約17か月です。

17か月を超える長期入居なら、礼金を一度なくして家賃を維持する方が、減収額を抑えられる可能性があります。

だから、

毎月の家賃を下げる前に、一度だけ軽くできる初期費用がないか確認する。

この考え方が重要です。

ただし、何でもゼロにする必要はありません。

まず入居時に必要な総額を確認し、その中から大家側で変更できる項目を特定します。

次に競合物件と比較し、問い合わせから内見までのどこで入居希望者が離れているのかを確認します。

そこで初期費用が原因だと分かれば、礼金・敷金・フリーレントなどを収支とリスクの両方から比較します。

入居者にとっての「最初の10万円」と、大家にとっての「10万円の損失」は同じではありません。

ここを分けて考えることが、地方賃貸で初期費用を下げすぎず空室を改善するための基本です。


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