top of page

賃貸のADは1か月・2か月どこまで出す?地方アパートで広告料と空室損を比較する判断基準

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月22日
  • 読了時間: 13分

▪️空室が続いたら、ADを1か月から2か月へ増やすべき?

地方アパートの募集をしていると、管理会社や仲介会社から、

「ADをもう1か月増やしましょう」

と提案されることがあります。

家賃5万円なら、

AD1か月で5万円。

AD2か月なら10万円。

大家からすると、決まるか分からない段階で5万円、10万円と払うのは大きな負担です。

そのため、

「AD2か月なんてもったいない」

と感じるかもしれません。

一方、家賃5万円の部屋を3か月空ければ、家賃収入の機会損失は15万円です。

ADを抑えた結果、空室が長引けば、逆に手残りが少なくなることもあります。

だから判断したいのは、

ADが高いか安いかではなく、追加したADによって空室を何か月短縮できれば元が取れるか。

です。

この記事では、AD1か月・2か月の違いを、空室損・家賃値下げ・フリーレント・リフォームと同じ数字で比較します。

地方アパートの空室対策全体はこちらから確認できます。

※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。


▪️結論|ADの損益分岐は「追加AD÷月額家賃」で考える

例えば家賃5万円の部屋。

現在AD1か月で募集しているとします。

管理会社から、

AD2か月へ増やしましょう。

と提案された。

この場合、追加で必要なのは5万円です。

家賃も5万円なので、

5万円 ÷ 5万円 = 1か月。

つまり単純計算では、ADを1か月追加することで空室期間を1か月以上短縮できれば、追加ADを回収できる可能性があります。

ここで重要なのは、

AD2か月=10万円。

だけを見ることではありません。

すでにAD1か月を出す前提なら、比較するのは、

AD1か月のまま

追加5万円を払ってAD2か月へする

の差です。

空室対策では、総額だけでなく追加で払うお金によって何が変わるかを見ます。


▪️家賃5万円ならAD1か月は「空室1か月分」

数字をもう少し単純化します。

家賃5万円なら、

AD1か月=5万円。

AD2か月=10万円。

です。

一方、空室損は、

1か月=5万円。

2か月=10万円。

3か月=15万円。

です。

つまり金額だけで見れば、

AD1か月は空室1か月分。

AD2か月は空室2か月分。

に相当します。

もちろん、

AD1か月を出せば必ず1か月早く決まる。

AD2か月なら必ず2か月早く決まる。

という意味ではありません。

ADによって実際に募集期間が短くなる可能性があるかを、地域の客付け会社へ確認して初めて判断できます。

だから管理会社へ、

「この地域ではAD1か月と2か月で、実際に紹介状況は変わりますか?」

と聞きます。


▪️ADを増やす前に「どこで止まっているか」を確認する

ADは、すべての空室原因を解決するものではありません。

そこで、このクラスターで使っている、

問い合わせ。

内見。

申込み。

の3段階で確認します。

例えば、

問い合わせ自体がほとんどない。

この場合は、募集家賃・掲載状況・写真・客付け会社への情報流通と一緒にADを確認する余地があります。

一方、

問い合わせも内見も十分にある。

でも申込みにならない。

なら、ADを増やして紹介件数だけ増やしても、同じ理由で失注する可能性があります。

におい。

共用部。

駐車場。

室内状態。

初期費用。

など、現地で比較負けしている原因を先に確認します。

ADは「決まらない部屋を決まる部屋へ変える設備」ではありません。

どこで入居希望者が離れているかを確認してから使います。

内見後に決まらない原因はこちらで詳しく整理しています。


▪️AD1か月から2か月へ増やすなら「追加分」だけ比較する

例えば募集開始時から、

AD1か月。

だったとします。

2か月空室が続き、AD2か月への変更を検討します。

家賃5万円なら、

現在のAD1か月=5万円。

変更後AD2か月=10万円。

追加負担=5万円。

です。

だから判断するのは、

「AD2か月で10万円も払うのか」

ではなく、

追加5万円を使うことで、今後の空室を1か月以上短縮できそうか。

です。

例えばAD1か月のままなら、あと2か月空く可能性が高い。

AD2か月なら、客付け会社から紹介が増えて1か月以内に決まりそう。

という地域なら、追加ADを検討する意味があります。

反対に、

すでに内見が毎週入っている。

ADを増やしても仲介会社側の動きはほとんど変わらない。

なら、追加する優先順位は下がります。


▪️AD2か月と家賃3,000円値下げはどちらが得?

ここで1本目の記事と接続します。

家賃5万円。

AD1か月で募集中。

とします。

案A。

家賃を4万7,000円へ3,000円下げる。

案B。

家賃5万円を維持して、ADを1か月追加する。

案Aの値下げ総額は、

1年間なら3万6,000円。

2年間なら7万2,000円。

3年間なら10万8,000円。

です。

案Bの追加ADは、一度だけなら5万円です。

仮に2年間住んでもらえるなら、

家賃を3,000円下げ続けるより、ADを1か月追加して家賃を維持した方が支出は2万2,000円少ない計算になります。

3年間なら差はさらに広がります。

ただし、ADを増やしても入居が決まらなければ5万円だけ追加で支払うことになります。

だから、

家賃が原因なのか。

仲介会社への募集力が原因なのか。

を先に確認します。

入居者側の価格が問題なら家賃。

募集・紹介側の弱さが問題ならAD。

同じ5万円前後を使うとしても、狙っている場所が違います。

家賃値下げの損益分岐はこちらで詳しく計算しています。


▪️AD1か月とフリーレント1か月は金額が同じでも役割が違う

家賃5万円なら、

AD1か月=5万円。

フリーレント1か月=5万円。

です。

大家側の単純な金額負担だけなら同じです。

でも使う目的は違います。

ADは、仲介・募集側へ働きかける費用として設定されるケースがあります。

フリーレントは、入居者側の初期負担を下げる方法です。

例えば、

仲介会社からの紹介そのものが少ない。

ならADを検討する。

問い合わせは多い。

でも初期費用で離脱している。

ならフリーレントなど入居者側の条件を比較する。

こう分けることができます。

同じ5万円でも、空室原因に合っていなければ効果は出にくい。

金額ではなく、どこへ効かせる費用なのかを見ることが重要です。


▪️ADを増やすより3万円の現地改善が効くこともある

例えば内見は5件入った。

でも申込み0件。

仲介会社から、

「水回りの古さを気にされています」

と何度も言われている。

この場合、

追加AD5万円。

より、

水回りや清掃など3万円の改善。

の方が申込みに近い可能性があります。

一方、部屋は十分きれい。

家賃も相場内。

でも客付け会社からほとんど紹介されていない。

という状況ならADを比較します。

2本目の記事で整理したように、

設備・家賃・募集条件・ADを全部同じ「空室を何か月短縮できるか」で比較する。

これが基本です。

大きなリフォームが必要なら、工事費と値下げ・ADを同じ数字で比較します。

募集条件と設備投資の順番はこちらで詳しく整理しています。


▪️地方では「AD相場」も地域によって違う

ADについて、

1か月なら普通。

2か月は高い。

と全国一律で判断することはできません。

地域。

物件種別。

繁忙期・閑散期。

家賃帯。

空室状況。

によって募集条件は変わります。

同じ地方でも、

賃貸需要が強い駅周辺。

新築供給が多いエリア。

工場・企業の入退去に左右される地域。

郊外の築古物件。

では状況が違います。

だから客付け会社へ、

「このエリアの同じくらいの築年数・家賃帯ではAD何か月で決まっていますか?」

と聞きます。

できれば一社だけではなく、複数社へ確認します。

大家が出したいADではなく、その市場で実際に決まっている募集条件を見る。

ここが重要です。


▪️ADを増やしても「駐車場不足」は解決しない

地方賃貸で特に注意したいのが駐車場です。

例えば2LDK。

ファミリー向け。

周辺競合は駐車場2台。

自分の物件だけ1台。

この状態でADを1か月から2か月へ増やしても、車2台の世帯にとっては住めないままです。

仲介会社が紹介してくれても、

「2台目ないなら無理です」

で終わります。

つまり、

物件そのものに明確な弱点がある場合、ADはその弱点を消してくれません。

先に駐車場・設備・募集条件を確認します。

地方賃貸の駐車場についてはこちらで詳しく整理しています。


▪️ADという名前なら、いくらでも別料金にできるわけではない

ここは制度面で注意したいところです。

宅地建物取引業者が賃貸の媒介・代理で受け取れる報酬には、宅地建物取引業法第46条と国土交通大臣の報酬告示によるルールがあります。

さらに国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、

通常の広告や物件調査などの費用は宅地建物取引業者の負担。

一方、依頼者から特別に広告の依頼を受けた場合などは、事前に費用の見積りを説明したうえで実施する考え方。

が示されています。

つまり、

「ADという名目なら、通常の媒介報酬とは別に何でも自由に請求できる」

という整理ではありません。

実務上「AD」「広告料」と呼ばれる費用でも、契約内容や何に対する支払いなのかは確認する必要があります。

大家側も、

何に対する費用なのか。

いつ発生するのか。

成約時だけなのか。

税込・税別はいくらか。

どの会社へ支払われるのか。

を管理会社へ確認しておきましょう。

個別の契約や報酬の適法性について疑問がある場合は、宅建業法に詳しい専門家や行政窓口へ確認する方が安全です。


▪️「ADを出したから決まった」のか記録しておく

空室が決まると、

よかった。

で終わりがちです。

でも次回募集のために数字を残します。

例えば、

募集開始。

AD1か月。

30日間で問い合わせ3件。

内見1件。

その後、

AD2か月へ変更。

20日後に申込み。

という記録です。

これだけで、

少なくとも自分の物件ではAD変更後にどう動いたか。

を確認できます。

ただし、ADだけが原因とは限りません。

繁忙期に入った。

写真も変更した。

家賃も変えた。

という可能性があります。

だから一度に全部変えるより、変更日と反響数を記録することが重要です。

物件が増えるほど、自分の過去データが次の空室対策の判断材料になります。


▪️購入前から「AD2か月でも黒字か」を計算する

ADは空室になってから考える費用ではありません。

地方の築古アパートを購入するときにも想定します。

例えば、

家賃5万円。

8戸。

満室家賃40万円。

表面利回りだけを見ると魅力的でも、退去のたびに、

原状回復。

空室2か月。

AD2か月。

が必要なら、実際の収支はかなり変わります。

購入前に、

AD0か月。

AD1か月。

AD2か月。

で収支を分けてみます。

それでも十分なキャッシュフローが残るなら、経営には余裕があります。

反対にAD1か月増えただけで年間利益がほとんどなくなるなら、購入価格や想定家賃が強気なのかもしれません。

満室時の利回りではなく、入れ替え費用まで含めて買える価格を決める。

ここまで考えておきましょう。

これから収益物件を検討する場合は、空室・融資・修繕まで含めて比較します。


▪️ADを増やす前に管理会社へ聞きたいこと

AD2か月を提案されたとき、

「分かりました」

だけで決める必要はありません。

まず、

現在の問い合わせ件数。

内見件数。

申込み件数。

競合物件のAD。

客付け会社から言われている弱点。

ADを増やした場合に期待している変化。

を確認します。

特に最後が重要です。

「AD2か月にすると、何が変わる想定ですか?」

と聞きます。

紹介会社が増える。

営業担当へ周知する。

競合と募集条件を合わせる。

など、理由が具体的なら判断材料になります。

反対に、

「とりあえず2か月にしましょう」

だけなら、ほかの空室原因も一度確認した方がいいでしょう。


▪️よくある質問|AD2か月は出しすぎ?

一律には決められません。

家賃5万円ならAD2か月で10万円ですが、3か月・4か月空室が続けば、それ以上の家賃収入を失う可能性があります。

地域の成約条件と、AD追加によって空室がどの程度短くなりそうかを確認して判断します。

Q. ADを増やすのと家賃値下げならどちらが先?

空室原因によります。

入居者から「家賃が高い」と比較負けしているなら家賃。

客付け会社からの紹介自体が弱いならADを比較する余地があります。

どちらも金額を1年・2年の収支へ置き換えて比較しましょう。

Q. ADを出せば必ず優先して紹介してもらえる?

保証はありません。

ADが募集活動へ影響する場合はありますが、入居者の希望条件、物件状態、家賃、地域需要なども成約へ影響します。

ADだけで空室原因を解決できるとは考えない方がいいでしょう。


▪️まとめ|ADは「広告料」ではなく空室短縮投資として採算を見る

地方アパートの空室が続くと、

AD1か月。

AD2か月。

という数字だけが気になります。

でも見るべきなのは、

何か月分出すか。

ではありません。

追加したADによって、空室を何か月短縮できれば元が取れるか。

です。

家賃5万円で、

AD1か月から2か月へ増やす。

なら、追加負担は5万円。

家賃1か月分です。

単純計算では、その追加によって空室が1か月以上短くなれば回収できる可能性があります。

一方、すでに内見が十分入っているのに申込みがないなら、ADより室内・駐車場・初期費用などを先に直す方が合理的な場合があります。

家賃3,000円値下げ。

追加AD5万円。

フリーレント5万円。

現地改善3万円。

リフォーム10万円。

全部を別の話にしないことです。

それぞれ何円かかり、空室を何か月短縮できそうなのか。

同じ物差しで比較します。

そしてADについては、名目だけで判断せず、何に対する費用なのか、いつ発生するのかも管理会社へ確認します。

空室対策で一番避けたいのは、

何となく家賃を下げる。

何となくADを増やす。

何となくリフォームする。

ことです。

空室原因を診断してから、その原因へ一番安く効くお金を使う。

これが地方賃貸でAD1か月・2か月を判断するときの基本です。


▪️関連記事

 
 

最新記事

すべて表示
不動産投資は総資産より純資産を見る?物件価格・ローン残高から本当の資産額を計算する方法

「不動産を1億円分持っています」 と聞くと、 「資産1億円の人なんだ」 と思うかもしれません。 しかし、その物件を買うために1億2,000万円のローンが残っていたらどうでしょうか。 反対に、 物件価値1億円。 ローン残高3,000万円。 なら、同じ「1億円の物件を持っている人」でも状態は大きく違います。 不動産投資では、 何億円の物件を持っているか だけでは、資産形成がどこまで進んでいるのか分かり

 
 
賃貸管理会社を契約前に見極めるには?管理物件・募集図面・報告体制の確認方法

不動産投資で管理会社を探している。 何社か問い合わせて、 管理料。 入居率。 管理戸数。 募集方法。 などを聞いた。 候補は2〜3社まで絞れた。 それでも最後に、 「結局どこへ任せればいい?」 と迷うことがあります。 A社は大手。 B社は地場。 C社は管理専門。 どの会社もホームページを見ると、 「高い入居率」 「迅速な対応」 「オーナー目線」 と書かれている。 説明を聞いても、どこも良さそうに感

 
 
管理会社の入居率98%・99%は高い?契約前に確認したい空室実績の見方

不動産投資で管理会社を探している。 ホームページを見ると、 「入居率98%」 「入居率99%以上」 「高稼働を維持」 という実績が掲載されている。 大家としては、 「99%ならほとんど空室ないやん」 「この会社に任せればすぐ決まりそう」 と思うでしょう。 確かに入居率は、管理会社を比較するときの重要な数字の一つです。 しかし、 入居率99%だから、自分の物件も99%で運営できる とは限りません。

 
 
miramaru kusakari 3.png
bottom of page