不動産投資ローンの元金据置とは?返済開始を遅らせるメリット・デメリットと注意点
- MIRAIU

- 8月15日
- 読了時間: 26分
▪️不動産投資ローンの「元金据置」とは?
3,000万円のアパートを購入し、不動産投資ローンを利用するとします。
通常であれば融資実行後から、元金と利息を合わせた返済が始まります。
しかし融資条件によっては、最初の一定期間について元金の返済を据え置くことがあります。
例えば1年間、元金を返済せず利息のみを支払い、その後に通常の元金返済を始めるという形です。
これが元金据置です。
物件を購入した直後は、入居募集、リフォーム、設備交換、税金、保険などで現金が必要になることがあります。
そのため元金返済を一時的に抑えられれば、購入直後の資金繰りを楽にできる可能性があります。
一方、据置期間中は元金がほとんど減らないため、その分だけローン残高が多く残ります。
さらに、据置終了後の返済条件によっては毎月返済額が大きくなることもあります。
元金据置は「返済しなくていい期間」ではなく、「元金返済を後ろへ動かして、最初のキャッシュフローを確保する方法」と考えることが重要です。
▪️元金据置期間中も利息の支払いは発生することがある
元金据置という言葉を見ると、「最初の1年間はローン返済0円」と思うかもしれません。
しかし、元金だけを据え置き、利息については支払いを続ける条件もあります。
例えば3,000万円を年2.0%で借り、元金返済を1年間据え置き、単純化して利息のみを支払うとします。
年間利息を単純計算すると約60万円です。
月平均では約5万円になります。
つまり、
元金返済は0円でも、ローン支払いそのものが0円になるわけではありません。
実際の支払方法や利息計算、据置期間は融資商品や契約によって異なるため、金融機関へ確認する必要があります。
▪️元金据置と返済期間は別々に確認する
ここは非常に重要です。
例えば「25年融資、元金据置1年」と言われたとします。
このとき、据置期間を含めて全体が25年なのか。据置1年の後に25年間返済するのかによって、その後の毎月返済額や完済時期は変わります。
同じ「1年間据置」でも、実際の返済計画は同じとは限りません。
そのため金融機関へ、
据置期間は全返済期間に含まれるのか。
据置終了後の毎月返済はいくらになるのか。
完済予定日はいつになるのか。
ここまで確認します。
「最初の1年間はいくら払うか」だけではなく、その後の返済予定表まで見て判断することが重要です。
▪️3,000万円を1年間据え置いたらどうなる?
分かりやすくするため、3,000万円を年2.0%で借り、最初の1年間は元金返済を据え置き、利息だけを支払うケースを考えます。
単純化すると、据置期間中の利息は月約5万円です。
一方、3,000万円を年2.0%、25年間の元利均等返済で返す場合、毎月返済額は約12万7,000円になります。
購入直後だけを見ると、
通常返済 約12万7,000円
元金据置中 約5万円
となり、月約7万7,000円の差が生まれます。
1年間なら単純計算で約92万円です。
物件取得直後にこの現金を残せるなら、修繕、入居募集、空室などへ備えやすくなります。
元金据置の大きなメリットは、購入直後のキャッシュフローへ余裕を作れることです。
▪️家賃20万円なら購入直後の手残りが大きく変わる
例えば家賃収入が月20万円のアパートを購入したとします。
通常返済が月約12万7,000円なら、ローン返済後に残るのは約7万3,000円です。
一方、元金据置期間中の支払いが利息約5万円なら、返済後には約15万円残ります。
差は月約7万7,000円です。
もちろん、ここから管理費、固定資産税、保険、修繕などを負担します。
それでも購入直後の1年間で約90万円前後の資金差が出るなら、賃貸経営の立ち上げには大きな違いになります。
特に購入直後に現金支出が多い物件では、元金据置が資金繰りを安定させる可能性があります。
キャッシュフローについてはこちら。
▪️元金据置のメリット① リフォーム期間の返済負担を抑えやすい
購入した瞬間から満室で家賃が入る物件ばかりではありません。
例えば築古アパートを購入し、空室3室をリフォームしてから募集するとします。
工事に2か月、募集から入居までさらに1か月かかれば、購入後3か月ほど満室家賃が入らない可能性があります。
通常返済が月15万円なら、3か月で45万円の返済です。
その間にリフォーム費用も支払います。
一方、元金据置によって購入直後の返済負担を小さくできれば、家賃収入が安定するまでの現金流出を抑えやすくなります。
「買った翌月から満室」という前提ではなく、賃貸経営が立ち上がるまでの時間を確保するために元金据置を使う考え方があります。
▪️元金据置のメリット② 空室物件の立て直しと相性がいい場合がある
例えば6戸中3戸しか入居していないアパートを購入するとします。
購入時の家賃収入は月12万円ですが、満室になれば月24万円になるとします。
通常返済が月15万円なら、購入直後は家賃だけではローン返済にも足りません。
しかし、元金据置期間中の支払いが月5万円程度まで抑えられる条件なら、その期間に空室をリフォームし、募集を進める時間を作れます。
3室を埋めて家賃24万円まで増えた後に通常返済へ移れば、返済を続けやすくなる可能性があります。
ただし、予定通り満室になる保証はありません。
元金据置は空室を解決する仕組みではなく、空室を改善するための時間を作る仕組みとして考えます。
空室率とキャッシュフローについてはこちら。
▪️元金据置のメリット③ 購入直後の現金を残しやすい
不動産投資では、購入直後ほど現金を減らしすぎないことが重要です。
物件代金だけではなく、仲介手数料、登記、保険、税金、リフォーム、募集などで現金を使うことがあります。
さらに購入直後に給湯器やエアコンが故障する可能性もあります。
例えば購入後の手元現金が300万円だったとします。
通常返済と比べて元金据置によって年間90万円程度の現金流出を抑えられれば、1年後の資金余力には大きな差が出ます。
元金据置によって残った現金を「余ったお金」と考えず、修繕・空室・税金へ備える資金として残すことが重要です。
自己資金と現金余力についてはこちら。
▪️元金据置のメリット④ 新築・完成前後の収入差へ対応しやすい場合がある
新築アパートなどでは、融資が実行された直後から全戸の家賃が入るとは限りません。
建物完成後に入居募集を行い、少しずつ入居者が決まっていく場合もあります。
例えば満室家賃50万円を想定していても、最初の月は20万円、翌月30万円、その次に40万円というように増えていく可能性があります。
その立ち上がり期間に通常の元金返済まで始まると、現金負担が大きくなることがあります。
元金据置を利用できれば、賃貸収入が安定するまで返済負担を抑えられる可能性があります。
家賃が安定してから通常返済へ移るという資金計画を作れることも、元金据置のメリットです。
▪️ただし元金据置中は借金がほとんど減らない
ここからが重要です。
例えば3,000万円を借りて、最初の1年間は元金返済を据え置いたとします。
1年間きちんと利息を支払ったとしても、元金を返済していなければ、1年後にもローン残高は基本的に3,000万円近く残ります。
通常返済なら、その1年間で元金の一部を返済しています。
つまり、元金据置は購入直後の現金を守る代わりに、借入残高を減らすスピードを遅らせています。
キャッシュフローが増えたように見えても、借金が減ったわけではありません。
▪️据置期間中の手残りを利益だと思わない
通常なら月12万円返済するところ、据置期間中は月5万円で済んだとします。
毎月7万円多く銀行口座へ残ります。
半年なら42万円、1年間なら84万円です。
銀行残高が増えるため、「この物件はかなり儲かっている」と感じるかもしれません。
しかし、その一部は元金返済を後ろへ動かしたことで残っている現金です。
賃貸経営そのものの収益力が急に高くなったわけではありません。
元金据置によって増えた手残りと、物件本来の利益を混同しないことが重要です。
▪️据置終了後に返済額が上がることを忘れない
元金据置期間は永遠には続きません。
例えば最初の1年間は月5万円程度だった返済が、据置終了後に月13万円前後へ増えるとします。
毎月8万円近く支出が増えます。
据置期間中に家賃収入を安定させ、修繕を終わらせ、十分な現金を残せていれば対応しやすくなります。
しかし、1年間経っても空室が埋まっていない。リフォーム費用も増えた。手元現金も使ってしまった。
その状態で通常返済が始まれば、資金繰りが急激に厳しくなる可能性があります。
元金据置を使うなら、「据置期間が終わった翌月から返済できる状態を作れるか」が最も重要です。
▪️据置期間終了後の返済額を購入前に確認する
元金据置を提案されたときに確認したいのは、据置中の返済額だけではありません。
むしろ重要なのは、その後です。
例えば、
最初の6か月 月5万円
7か月目以降 月14万円
という返済計画なら、購入判断に使うべき数字は月5万円だけではありません。
月14万円でも空室や修繕へ耐えられるかを確認します。
据置期間中だけ黒字でも、通常返済開始後に毎月赤字になるなら、長期的な資金計画としては問題があります。
物件の収支は「据置中」と「据置終了後」の2段階で計算します。
▪️家賃20万円・据置後返済14万円なら本当に余裕がある?
例えば満室家賃20万円の物件で、据置期間中の支払いが5万円だったとします。
ローン支払い後には15万円残ります。
かなり余裕があるように見えます。
しかし据置終了後の返済が14万円なら、ローン返済後に残るのは6万円です。
ここから管理費、固定資産税、保険、修繕、空室などを負担します。
1室空いて家賃が16万円になれば、返済後には2万円しか残りません。
元金据置を利用する場合ほど、据置終了後の返済比率を確認することが重要です。
ローン返済比率についてはこちら。
▪️据置期間が長いほど得とは限らない
6か月据置より1年据置。1年より2年据置。
長いほど楽に見えるかもしれません。
確かに元金返済を抑えられる期間が長くなれば、その間のキャッシュフローは確保しやすくなります。
しかし、その分だけ元金が減らない期間も長くなります。
さらに据置後の返済期間が短くなる契約であれば、その後の毎月返済が大きくなる可能性があります。
据置期間は長ければ長いほど有利なのではなく、その時間を何のために使うのかが重要です。
6か月で空室改善できる物件なら、必要以上に長い据置が本当に必要なのか考えます。
反対に、大規模リフォームや新築物件の立ち上げなど時間が必要なら、一定の据置期間に意味がある場合があります。
▪️元金据置は「時間を買う」融資条件
元金据置の本質を一言で考えるなら、時間を買うことです。
購入直後から元金返済を急ぐ代わりに、一定期間は元金を据え置きます。
その時間を使って空室を埋める。修繕を終わらせる。家賃収入を安定させる。現金を積み上げる。
そして通常返済が始まったときには、十分なキャッシュフローを作っておく。
この流れができれば、元金据置を有効に使える可能性があります。
反対に、据置期間中に何も改善せず、残った現金まで使ってしまえば、単に返済開始を遅らせただけになります。
元金据置は問題を解決してくれる制度ではなく、問題を解決するための時間を確保する方法として考えます。
▪️元金据置と長期融資は似ているようで違う
返済負担を小さくする方法として、返済期間を長くする方法もあります。
例えば15年ではなく25年、25年ではなく35年で借りれば、毎月返済額を抑えやすくなります。
これは返済期間全体にわたって元金返済のペースを緩やかにする方法です。
一方、元金据置は最初の一定期間について元金返済を止め、その後に通常返済へ移る考え方です。
つまり、
長期融資=全期間の返済を薄くする
元金据置=最初の返済を後ろへ動かす
という違いがあります。
どちらもキャッシュフローへ影響しますが、残債の減り方や据置終了後の返済額は異なります。
返済期間についてはこちら。
▪️元金据置とフルローンを組み合わせる場合は残債に注意する
例えば3,000万円の物件をフルローンで購入し、さらに最初の1年間を元金据置にしたとします。
購入時の自己資金を抑え、最初の1年間の返済負担も小さくできるため、手元現金をかなり残しやすくなります。
資金繰りだけを見れば魅力的です。
しかし、借入額3,000万円に対して1年間元金をほとんど返済していないため、1年後にも大きな残債が残ります。
その時点で物件を売却しなければならなくなり、売却価格が2,700万円しか付かなければ、売却代金だけではローンを整理できない可能性があります。
借入額を大きくして元金返済まで遅らせる場合ほど、物件価値とローン残高の関係を確認することが重要です。
フルローン・オーバーローンについてはこちら。
▪️元金据置中でも売却を考えるなら残債を見る
「最初の1年間は返済が軽いから、とりあえず買ってみよう」という考え方には注意が必要です。
据置期間中に売却することになった場合、元金がほとんど減っていなければ購入時に近いローン残高が残っています。
例えば3,000万円を借りて半年後に売却することになり、残債もほぼ3,000万円だったとします。
物件が2,800万円でしか売れなければ、単純化すると200万円不足します。
さらに売却費用なども必要になる可能性があります。
据置期間中は毎月返済が小さい一方、出口では大きな残債が残っていることを忘れないようにします。
▪️元金据置を使うなら出口戦略まで一緒に作る
元金据置は購入直後のキャッシュフローを改善しやすい方法です。
しかし不動産投資では、購入時だけではなく保有中と売却時まで考える必要があります。
例えば1年間据え置き、その間に満室化する。
2年目以降は通常返済を続ける。
5年後には残債がいくらになっているか確認する。
10年後に売却するとしたら、想定売却価格でローンを完済できるかを見る。
このように、据置期間だけを切り取らず、返済全体の中で考えます。
元金据置を使うなら「最初は楽になる」ではなく、「その後どう返し、最後どう終わるか」まで資金計画へ入れることが重要です。
▪️据置終了後の返済額が高すぎるなら使わない方がいい
元金据置は購入直後の資金繰りを楽にできますが、その後の返済額が物件収支に合っていなければ意味がありません。
例えば据置期間中は月5万円、据置終了後は月16万円になるとします。
満室家賃が20万円なら、通常返済開始後に残るのは4万円です。
そこから管理費、固定資産税、保険、修繕などを負担します。
空室が発生して家賃が16万円へ下がれば、家賃収入だけでローン返済がほぼ消えてしまいます。
この場合、最初の1年間が楽だったとしても、長期的には厳しい資金計画になる可能性があります。
元金据置を使えるかではなく、据置が終わった後も無理なく返済できるかで判断します。
▪️据置期間中に家賃を上げる計画は慎重に考える
例えば現在の家賃収入が月15万円で、据置終了後の返済が月14万円だったとします。
「1年以内にリフォームして家賃20万円まで上げれば大丈夫」と考えるかもしれません。
しかし、家賃を上げれば必ず入居者が決まるとは限りません。
周辺相場が18万円なら、20万円の想定自体が強気である可能性もあります。
また、リフォーム後すぐ満室になる保証もありません。
元金据置後の収支は、理想的な家賃ではなく、現実的な賃料と空室を含めて計算することが重要です。
▪️据置期間中に満室にならなかった場合も計算しておく
例えば6戸中3戸空室のアパートを購入し、1年間で満室にする予定だったとします。
しかし1年後にも1室空いている可能性はあります。
それでも据置期間は終了し、通常返済が始まります。
満室なら家賃24万円、1室空室なら20万円。通常返済が15万円なら、ローン返済後に残る金額は9万円から5万円へ減ります。
この5万円からその他の経費を支払うことになります。
元金据置を利用するときは、「予定通り改善したケース」だけでなく、「少し改善が遅れたケース」でも返済できるか確認します。
▪️据置中に積み上げた現金は通常返済開始後まで残しておく
元金据置によって毎月7万円多く現金が残り、1年間で84万円積み上がったとします。
この84万円をそのまま使ってしまうのではなく、通常返済が始まった後の安全資金として残す考え方があります。
例えば据置終了後に毎月返済が8万円増えるなら、84万円あれば単純計算で約10か月分の差額に相当します。
もちろん、その間にも修繕や空室が発生する可能性があります。
だからこそ、据置期間中は現金が増えたように見えても安心しすぎないことが重要です。
元金据置で生まれた余裕を、据置終了後の返済へ備えるクッションとして残します。
▪️元金据置中に次の物件を急いで買わない
据置期間中は毎月のローン支払いが小さいため、キャッシュフローが非常に良く見えることがあります。
例えば家賃20万円に対して利息支払い5万円なら、ローン支払い後には15万円残ります。
この数字だけを見て、「かなり余裕があるから2戸目を買おう」と考えると注意が必要です。
1年後には返済が14万円へ増えるかもしれません。
そのタイミングで2戸目のローン返済まで始まれば、資金繰りは大きく変わります。
次の物件を検討するときは、据置中の返済額ではなく、通常返済開始後の数字で判断します。
2戸目へ進むタイミングについてはこちら。
▪️元金据置を使った物件のキャッシュフローは二つに分けて管理する
元金据置を利用するなら、収支表も一つではなく二つ作ると分かりやすくなります。
一つ目は据置期間中です。
家賃収入から利息、管理費、税金、修繕などを引き、いくら現金が残るのかを確認します。
二つ目は据置終了後です。
元金返済を含む通常のローン返済額で再計算します。
例えば据置中は毎月10万円残るものの、通常返済後は3万円しか残らないのであれば、その物件の長期的なキャッシュフローは3万円を基準に考えます。
元金据置中の数字を、その物件本来のキャッシュフローだと思わないことが重要です。
▪️元金据置中でも固定資産税や修繕は待ってくれない
ローン元金を据え置いても、その他の支出まで止まるわけではありません。
固定資産税、火災保険、管理費、共用部の電気代、清掃費、修繕などは通常どおり発生します。
空室があれば、その部屋からの家賃収入もありません。
例えば元金据置で毎月7万円の返済負担を抑えられても、その年に100万円の外壁修繕が必要なら、現金は大きく減ります。
元金据置は一部の支出を後ろへ動かすだけで、賃貸経営に必要なすべての支出を軽くする仕組みではありません。
▪️据置期間中の金利負担も確認する
元金返済を据え置いている間でも、利息を支払う条件なら借入残高に応じた金利負担が続きます。
例えば3,000万円を年2%で1年間据え置けば、単純化すると年間約60万円の利息負担です。
その1年間で元金はほとんど減らない一方、利息は支払っています。
そのため、「元金を払わなくて済んだから60万円得した」という話ではありません。
返済のタイミングを後ろへずらしながら、その間も借入コストを負担していると考えます。
据置期間を利用する価値が、その期間に支払う利息以上にあるのかを見ることが重要です。
▪️金利が高い融資ほど据置コストも大きくなりやすい
同じ3,000万円を借りても、金利1.5%と3.0%では据置期間中の利息負担が変わります。
単純計算なら、年1.5%では年間約45万円、年3.0%では約90万円です。
差は年間約45万円です。
元金据置によって最初の資金繰りを楽にできても、そのために高い金利を長期間負担するなら、本当に有利なのか確認する必要があります。
元金据置の有無だけではなく、金利・返済期間・据置後の返済額をまとめて比較します。
金融機関の選び方についてはこちら。
▪️変動金利なら据置終了後の返済条件にも注意する
変動金利を利用する場合は、据置期間中だけでなく通常返済が始まった後の金利変動にも注意が必要です。
例えば購入時は年2%だったとしても、将来も同じ条件が続くとは限りません。
据置終了時やその後に金利条件が変われば、想定していた返済額より負担が増える可能性があります。
特に元金据置中は元本があまり減っていないため、大きな借入残高を持ったまま通常返済へ移ります。
元金据置と変動金利を組み合わせるなら、据置後に返済負担が増えた場合まで計算しておきます。
固定金利と変動金利についてはこちら。
▪️法人で元金据置を使う場合もキャッシュを残す意味は大きい
法人でアパートや一棟物件を購入する場合、購入直後に会社の現金を減らしすぎたくないことがあります。
例えば法人に500万円の現金があり、物件購入後に300万円しか残らなかったとします。
そこからリフォーム、税金、保険、設備交換などが発生すれば、運転資金はさらに減ります。
元金据置によって最初の1年間に100万円程度のキャッシュ流出を抑えられるなら、会社の資金繰りを安定させる効果が期待できます。
一方、1年後には通常返済が始まります。
法人でも元金据置期間を「現金を使える期間」ではなく、「運転資金を厚くする期間」として使うことが重要です。
▪️法人融資なら代表者保証や担保条件も一緒に確認する
法人融資で元金据置が付いているからといって、他の融資条件まで有利とは限りません。
例えば元金据置1年がある代わりに、代表者保証や共同担保を求められる場合も考えられます。
A金融機関では元金据置あり・金利2.5%・共同担保あり。
B金融機関では据置なし・金利2.0%・購入物件だけの担保。
この場合、最初の返済額だけでAを選ぶことはできません。
元金据置も融資条件の一つとして、金利・保証・担保・返済期間とセットで比較します。
代表者保証についてはこちら。
共同担保についてはこちら。
▪️借り換え時に元金据置を提案される場合も全体で判断する
現在のローン返済が重く、借り換え先から「最初の一定期間は元金据置にできます」と提案されることも考えられます。
最初の返済額が下がれば、資金繰りは一時的に改善します。
しかし根本的な物件収支が悪い場合、据置期間が終われば再び返済負担が重くなる可能性があります。
借り換えによって金利そのものが下がるのか。返済期間はどうなるのか。据置終了後の返済はいくらなのか。
ここまで確認します。
返済を一時的に軽くするだけの借り換えになっていないかを見ることが重要です。
借り換えについてはこちら。
▪️元金据置を使うなら「据置終了日」を忘れない
元金据置期間が1年あると、毎月の低い支払いに慣れてしまうことがあります。
そして通常返済開始直前になって、「来月から返済が8万円増える」と気づく。
この状態は避けたいところです。
融資実行時点で、据置終了年月、通常返済開始日、開始後の予定返済額を確認しておきます。
法人や複数物件を持っている場合は、資金繰り表や返済一覧へ入れておくと分かりやすくなります。
元金据置は期間限定の条件であることを最初から資金計画へ組み込みます。
▪️元金据置期間が終わる半年前に収支を再確認する
据置終了直前ではなく、少し早めに物件状況を確認する方法もあります。
例えば1年間の据置なら、6か月程度経過した時点で入居率、家賃収入、修繕状況、手元現金を確認します。
満室化が予定より遅れているなら、募集条件を見直す時間があります。
修繕費が想定より増えているなら、通常返済開始までに現金を積み上げる必要があります。
据置期間を「何もしなくてよい1年間」にせず、通常返済へ移るための準備期間として管理します。
▪️元金据置が向いていると考えやすいケース
購入直後に一定の空室があり、リフォームや募集によって収入改善を見込める物件では、元金据置を検討しやすい場合があります。
新築や大規模リフォームなど、家賃収入が安定するまで一定期間必要な場合も同じです。
さらに購入後の手元現金を厚くし、修繕や空室へ備える目的が明確なら、据置期間を有効に使える可能性があります。
ただし、据置終了後の通常返済でも十分なキャッシュフローが残ることが前提です。
元金据置は「最初だけ赤字を隠すため」ではなく、「収益が安定するまでの時間を確保するため」に使う考え方が基本です。
▪️元金据置を慎重に考えたいケース
据置期間が終わると毎月返済だけで家賃の大部分がなくなる物件は慎重に考えます。
据置中に空室が埋まることを前提にしなければ収支が成立しないケースも同じです。
また、据置期間中に残る現金を生活費や次の投資へ使わなければ成立しないような資金計画にも注意が必要です。
購入価格が高く、売却価格よりローン残高が大きくなりやすい場合も確認します。
元金据置がなければ買えない物件ではなく、据置がなくても長期的には成立する物件へ補助的に使う方が安全性を考えやすくなります。
▪️元金据置を検討するときに確認したい7つのポイント
まず、据置期間が何か月・何年なのかを確認します。
次に、据置期間中はいくら支払うのか。利息のみなのか、別の返済方法なのかを確認します。
据置期間が全返済期間に含まれるのかも重要です。
そして据置終了後の毎月返済額を確認します。
通常返済開始後でも、空室や修繕を含めてキャッシュフローが残るかを計算します。
5年後・10年後のローン残高も確認します。
最後に、
据置期間中に何を改善するのか。
これを明確にしておきます。
満室化する。リフォームを終える。現金を積み上げる。
具体的な目的がなければ、元金返済を遅らせるメリットを十分に生かせない可能性があります。
▪️Q&A|不動産投資ローンの元金据置でよくある疑問
Q. 元金据置期間中はローン返済0円ですか?
必ずではありません。元金返済を据え置き、利息などを支払う条件もあります。実際の支払い方法は金融機関や融資商品によって異なります。
Q. 元金据置は長いほど得ですか?
一概には言えません。据置期間が長ければ最初の資金繰りは楽になりますが、その間は元金が減りにくくなります。据置終了後の返済額や残債も確認する必要があります。
Q. 元金据置中に物件を売却できますか?
売却自体を検討できる場合はありますが、元金があまり減っていないため、売却価格よりローン残高が大きい可能性があります。売却時には残債と完済条件を確認します。
Q. 元金据置は築古物件でも利用できますか?
金融機関や融資商品、物件、審査条件などによって異なります。据置制度そのものがない融資もあるため、金融機関へ確認が必要です。
Q. 元金据置終了後に返済が苦しくなったらどうすればいいですか?
まず金融機関へ早めに相談することが重要です。借り換えなどを検討できる場合もありますが、条件や審査によって異なります。最初から通常返済開始後でも無理のない収支を作っておくことが基本です。
▪️元金据置を比較するときは「最初の返済額」だけを見ない
A金融機関は金利2.0%、据置なし。
B金融機関は金利2.3%、元金据置1年。
Bは最初の1年間の支払いを抑えられるため魅力的に見えるかもしれません。
しかし、2年目以降の返済額、総支払額、10年後の残債まで比べるとAの方が合っている可能性もあります。
反対に、購入直後に大規模リフォームが必要で、現金を残す価値が大きいならBを選ぶ理由があるかもしれません。
元金据置は単独で良い・悪いを決めず、融資全体の中で価値を判断します。
▪️不動産投資の物件・融資方法を合わせて比較する
元金据置を使える物件だからといって、その物件自体が良い投資になるとは限りません。
購入価格、家賃、空室、リフォーム費用、通常返済開始後のローン返済額まで確認します。
元金据置ありなら購入できる物件と、据置なしでも十分なキャッシュフローが残る物件。
どちらが自分の資金状況に合うのかを比較します。
不動産投資の物件・運用方法を比較したい方はこちら
▪️まとめ|元金据置は「返済を免除する仕組み」ではなく時間を作る融資条件
不動産投資ローンでは、融資条件によって最初の一定期間、元金返済を据え置ける場合があります。
例えば3,000万円を借り、最初の1年間について元金を据え置き、利息のみを支払う条件なら、通常返済と比べて購入直後の現金流出を抑えられる可能性があります。
これは空室物件の立て直しや、新築・リフォーム後の入居募集など、賃貸経営が安定するまで時間が必要な物件で役立つ場合があります。
購入直後の手元現金を厚くできることもメリットです。
しかし、元金据置期間中は借金がほとんど減りません。
1年間返済を続けたように感じても、元金を据え置いていれば1年後にも購入時に近いローン残高が残っています。
そして据置期間が終われば、通常の元金返済が始まります。
元金据置で最も重要なのは、据置期間中ではなく据置終了後です。
据置中は月5万円、通常返済では月14万円になるのであれば、物件購入の判断は月14万円でも成立する収支で行います。
据置中の余裕を本来の利益だと考えず、修繕や空室、通常返済開始後へ備える現金として残します。
また、据置期間が長ければ長いほど良いわけではありません。
半年で満室化できる物件なら、必要以上に長い据置が本当に必要なのか考えます。
一方、改修や入居募集に一定期間必要なら、その時間を確保する意味があります。
元金据置の本質は、
返済をなくすことではなく、元金返済を後ろへ動かして時間を作ることです。
その時間に空室を改善する。
リフォームを終える。
家賃収入を安定させる。
手元現金を積み上げる。
そして通常返済が始まっても無理なく賃貸経営を続けられる状態を作ります。
元金据置を利用するときは、
据置中の返済額
据置終了後の返済額
購入後の手元現金
通常返済後のキャッシュフロー
5年後・10年後の残債
この数字をまとめて確認します。
「最初の1年が楽だから買える」ではなく、「1年後に通常返済が始まっても持ち続けられるから買う」。
この考え方が、元金据置を不動産投資で有効に使うための基本です。
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