不動産投資ローンが通らない7つの理由|年収だけでは決まらない融資審査のポイント
- MIRAIU

- 8月15日
- 読了時間: 9分
▪️不動産投資ローンが通らない理由は「年収が低いから」とは限らない
不動産投資を始めるため、500万円の物件を見つけたとします。家賃は月5万円、自己資金100万円を入れ、残り400万円を融資で購入する計画です。
ところが金融機関へ申し込んだ結果、融資は否決。
このとき、「年収が低かったのか」「勤続年数が短かったのか」「もっと自己資金を入れるべきだったのか」と考える人は多いと思います。
しかし、不動産投資ローンが通らない理由は一つではありません。
金融機関によって審査方針は異なりますが、年収や勤務先、勤続年数だけでなく、金融資産、既存借入、自己資金、これまでの返済状況などが確認される可能性があります。
さらに、不動産投資ローンでは購入する物件も重要です。家賃収入、収益性、築年数、立地、土地や建物の評価などによって、希望する融資額や返済期間にならないこともあります。
申込者には大きな問題がなくても、物件側の評価が低い場合があります。反対に、物件自体は悪くなくても、申込者側の返済余力が小さいケースもあります。
融資が通らなかったときは「自分の年収が足りない」と決めつけず、人・借入・資金・物件・収支のどこに原因がありそうなのかを分けて考えることが重要です。
▪️融資否決は「この物件を絶対に買ってはいけない」という意味でもない
A銀行で融資を断られたからといって、その物件が必ず悪い物件とは限りません。
金融機関によって営業地域や対象とする物件、築年数への考え方、担保評価、融資期間などが異なる場合があります。そのため、一つの金融機関では対象外でも、別の金融機関では相談できることがあります。
ただし、複数の金融機関で希望額まで融資が伸びない場合は、一度立ち止まって理由を考えたいところです。
例えば、購入価格が高すぎないか。家賃に対して借入額が大きすぎないか。物件評価が低くないか。自分の既存借入が多すぎないか。
融資否決は「終わり」ではありませんが、購入計画をもう一度確認する材料にはなります。
金融機関が審査で確認するポイントについてはこちら。
▪️理由① 既存借入が多く返済余力が小さい
例えば、年収700万円の会社員が不動産投資ローンを申し込むとします。
年収だけを見ると一定の収入があります。しかし、住宅ローンを月10万円、自動車ローンを月5万円、その他のローンを月3万円返済していれば、すでに毎月18万円を返済しています。
そこへ新しく月5万円の不動産投資ローンを追加すれば、毎月の返済は合計23万円になります。
金融機関では、新しく申し込むローンだけでなく、すでに抱えている借入も含めて返済能力を判断する場合があります。
同じ年収700万円でも、既存借入がほとんどない人と、大きな住宅ローンやその他の借入を抱えている人では状況が違います。
融資審査では「いくら稼いでいるか」だけでなく、「すでに毎月いくら返しているか」も重要になります。
▪️住宅ローンがあるだけで不動産投資ローンが無理とは限らない
自宅を購入している会社員であれば、住宅ローンがあること自体は珍しくありません。
そのため、「住宅ローンがあるから不動産投資ローンは絶対に借りられない」と一律に考える必要はありません。
例えば、年収800万円で住宅ローン返済が月8万円、金融資産500万円を持っている人。一方で、年収500万円で住宅ローン月15万円、自動車ローン月5万円、その他の借入もある人では、同じ「住宅ローンあり」でも返済余力は大きく違います。
住宅ローン残高や毎月返済額だけでなく、年収、金融資産、その他の借入、購入する物件なども含めて全体を見る必要があります。
借入があるかないかではなく、現在の収入に対してどの程度の返済負担を抱えているのかを整理します。
▪️自動車ローンやカードローンなども含めて整理する
既存借入を確認するときは、住宅ローンだけを見ればよいわけではありません。
自動車ローン、教育ローン、カードローン、リボ払い、すでに所有している不動産の投資ローンなどがあれば、それぞれに返済があります。
一つ一つは月1万円や2万円でも、複数重なれば毎月の返済負担は大きくなります。
また、利用していないカードローン枠などをどのように見るかについても、金融機関によって判断が異なる場合があります。
融資を申し込む前に、現在どこから、いくら借りていて、毎月いくら返しているのかを一度一覧にしておくと、自分自身の返済余力も把握しやすくなります。
▪️理由② 自己資金や購入後の現金が少ない
例えば、500万円の物件を購入するとします。
自己資金0円で500万円すべてを融資で購入する場合と、自己資金100万円を入れて400万円を借りる場合では、借入割合が違います。
金融機関によって自己資金に対する考え方は異なりますが、購入価格や諸費用、申込者の金融資産、購入後にどれだけ現金が残るのかなどが確認される可能性があります。
自己資金が少なければ借入額が大きくなり、毎月返済も増えやすくなります。
ただし、ここで注意したいのは、自己資金が少ないことと、現金を持っていないことは同じではないという点です。
▪️「頭金0円」と「手元現金0円」はまったく違う
例えば、預金500万円を持っている人が500万円のフルローンを利用し、頭金を入れなかったとします。
購入後も一定の現金を手元へ残せるのであれば、給湯器交換や原状回復、空室などが発生したときにも対応しやすくなります。
一方、預金が10万円しかなく、自己資金を出せないために500万円全額を借りたいという場合は状況が違います。
購入直後に30万円の修繕が発生しただけでも、資金不足になる可能性があります。
どちらも「頭金0円」ですが、購入後の安全性は大きく違います。
自己資金を見るときは、頭金としていくら入れるかだけではなく、現在の金融資産と購入後に残る現金を分けて考えることが重要です。
自己資金と手元現金についてはこちら。
▪️自己資金を増やせば必ず融資が通るわけでもない
融資が否決されたから、頭金を100万円増やす。
それだけで必ず結果が変わるとは限りません。
例えば否決の主な原因が、購入価格に対して物件評価が低いことや、収益性の弱さ、再建築に関する問題、既存借入の多さにある場合、自己資金だけ増やしても根本的な問題が残ります。
もちろん、借入額を減らすことで条件が改善する場合はあります。
しかし大切なのは、「否決されたからとにかく現金を入れる」ではなく、どの部分を見直す必要があるのかを考えることです。
▪️理由③ 返済比率が高く、物件から現金が残りにくい
例えば、500万円の物件を家賃5万円で貸し、毎月のローン返済が4万円だったとします。
家賃に対するローン返済の割合は80%です。家賃5万円から返済4万円を差し引けば、残るのは月1万円しかありません。
しかも、この1万円がそのまま利益になるわけではありません。
固定資産税、火災保険、管理費、修繕費などが必要です。退去して空室になれば、その期間は家賃収入そのものがなくなる可能性もあります。
融資期間が短い、借入額が大きい、金利が高いといった条件では、毎月返済額が大きくなりやすくなります。
高利回りに見える物件でも、ローン返済後に現金が残らなければ賃貸経営は苦しくなります。
ローン返済比率についてはこちら。
▪️物件価格が安くても返済比率が高くなることはある
例えば、300万円の築古戸建を家賃5万円で貸せれば、年間家賃は60万円です。表面利回りだけを見ると20%になります。
かなり高い利回りに見えます。
しかし築年数などの理由で融資期間が短くなり、毎月返済が4万円になれば、家賃5万円から残るのは1万円です。
築古物件では設備交換や修繕が必要になることもあります。退去後に数か月空室になる可能性も考えなければなりません。
「物件価格が安い」「表面利回りが高い」という数字だけでは、融資を利用した後のキャッシュフローまでは分かりません。
▪️理由④ 購入価格に対して金融機関の物件評価が低い
販売価格500万円の物件だから、金融機関から500万円借りられるとは限りません。
例えば、売主の販売価格は500万円でも、金融機関がその物件を300万円程度と評価する場合があります。
この場合、希望していた500万円全額ではなく、300万円程度までしか融資を検討できず、差額200万円を自己資金で準備する必要が出る可能性があります。
金融機関では、土地や建物、築年数、構造、立地、接道、権利関係、家賃収入、収益性などから独自に物件を評価する場合があります。
販売価格は売主が設定する価格です。一方、金融機関は融資する立場から物件を見ます。
売買価格と金融機関が考える物件評価額は、同じ数字とは限りません。
▪️物件評価が低いなら「もっと貸してくれる銀行」を探す前に考える
例えば、周辺では300万円程度で取引されている物件が500万円で販売されているとします。
金融機関から「評価は300万円程度」と見られた場合、別の銀行なら500万円貸してくれるかもしれないと考えることもできます。
しかし、その前に確認したいのが、そもそも500万円で購入することが適正なのかという点です。
物件評価が低い理由が、金融機関独自の融資方針だけなら別の金融機関で状況が変わる場合があります。
一方、土地価値が低い、建物状態が悪い、周辺相場より購入価格が高いなど、物件そのものに理由があるなら、融資額が伸びなかったことは購入価格を見直す材料になります。
「満額貸してくれる銀行を探す」ことと、「適正価格で良い物件を買う」ことは別です。
▪️理由⑤ 築年数や建物状態が融資条件に合わない
築50年、価格300万円、家賃5万円。年間家賃60万円なら表面利回りは20%です。
数字だけを見ると魅力的ですが、築年数が古いことで希望する融資期間を取れなかったり、建物評価や担保評価が伸びなかったりする場合があります。
例えば、購入前は20年返済を想定していたものの、実際に提示された条件が10年返済だったとします。
同じ借入額でも返済期間が短くなれば、毎月返済額は増えます。その結果、購入前の計算では十分な黒字だったのに、実際の融資条件ではほとんど現金が残らないことも考えられます。
築古物件では「融資が出るか」だけでなく、「何年間で返済する条件になるのか」まで確認することが重要です。
▪️築古物件は建物だけでなく土地や接道も見る
築古戸建を検討すると、室内の状態やリフォーム費用に目が向きやすくなります。
しかし、不動産には土地があります。
接道状況や再建築の可否、土地形状、権利関係などによっては、物件評価へ影響する可能性があります。
建物は古くても土地に一定の価値がある物件もあれば、建物はまだ利用できても土地条件が弱い物件もあります。
融資額が思ったほど伸びなかったときは、築年数だけを見るのではなく、土地を含めた不動産全体の条件を確認します。
不動産投資ローンでは、建物の古さだけで物件評価が決まるわけではありません。

