top of page

非農地証明と農地転用は何が違う?荒れた田畑を手放す前に選ぶ2つのルート

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月25日
  • 読了時間: 11分

何年も使っていない田んぼや畑がある。

草だけでなく竹や木まで生えている。

このような土地を整理しようとすると、

「非農地証明を取った方がいい」

「農地転用をすれば売れる」

という二つの話が出てくることがあります。

しかし、非農地証明と農地転用は同じ土地について自由に選ぶ二つの手続きではありません。

考え方はもっとシンプルです。

現在も農地なら、別用途へ変えるために農地転用を考える。

すでに農地として再生・継続利用することが困難な状態なら、非農地判断の対象になる可能性を確認する。

つまり最初に見るのは、

「どちらがお得か」

ではありません。

現在、その土地は農地なのか。

ここを整理する必要があります。

この記事では、荒れた田畑を売却・活用する前に、非農地証明と農地転用のどちらを確認する土地なのかを判断する方法を解説します。

▪️結論|これから用途を変えるなら転用、すでに農地ではない状態なら非農地判断

二つのルートを最初に分けます。

農地転用

現在農地として扱われている土地を、これから住宅・駐車場・資材置場など農業以外へ利用する。

非農地判断・非農地証明

現況が森林のようになっているなど、すでに農地へ復元することが著しく困難な土地について、農業委員会が農地ではないと判断できるか確認する。

この違いです。

したがって、

畑として使える土地だけど駐車場にしたい。

という場合に、非農地証明で農地転用を省略するものではありません。

反対に、何十年も森林化している土地をわざわざ農地へ戻してから転用するとも限りません。

現在の状態によって入口が違います。

▪️既存記事との違い|今回は「非農地証明の取り方」ではなくルート選択

荒れた土地では、

登記は田。

農地台帳にも載っている。

しかし現地は山林のようになっている。

というケースがあります。

このような土地について、農地か非農地かを調べる方法や判断基準は別の記事で詳しく整理しています。

今回はそこを繰り返しません。

この記事の目的は、農地性を確認した後、売却・活用のためにどちらのルートへ進むのかを決めることです。

詳しくはこちら

▪️ルート① 現在も農地なら「農地転用」を確認する

例えば、数年間耕作していない畑があるとします。

草は伸びているものの、

草刈り。

耕起。

簡単な整備。

を行えば再び農業利用できる状態です。

この土地を、

駐車場。

住宅敷地。

資材置場。

店舗用地。

として使いたい場合は、基本的に農地転用の検討です。

農地転用では、

・農振農用地区域か

・第1種、第2種、第3種などの農地区分

・市街化区域か市街化調整区域か

・具体的な転用目的

などを確認します。

「荒れている」ことと「農地ではない」ことは同じではありません。

詳しくはこちら

▪️ルート② 再生利用が困難なら「非農地判断」の可能性を確認する

一方、長期間利用されず、

土地が森林のようになっている。

農地へ戻す物理的条件の整備が著しく困難。

復元できても周囲の状況から継続的な農業利用が難しい。

という土地では、非農地判断の対象になる可能性があります。

農林水産省の現在の運用でも、農業委員会による利用状況調査で再生利用が困難な農地と判断された場合、非農地判断を進める仕組みがあります。

ここで大切なのは、

「10年放置したから非農地」

「木が3本生えたから非農地」

という全国一律の年数・本数基準ではないことです。

土地そのものと周辺状況を確認して判断されます。

▪️「非農地証明」は自治体で名称や手続きが違う

一般には「非農地証明」という言葉が広く使われています。

ただし全国制度として重要なのは、農業委員会による非農地判断です。

自治体によっては、

非農地証明。

現況証明。

農地・非農地証明。

など名称や申請方法が異なる場合があります。

また、所有者から申請して証明を受ける方式だけでなく、農業委員会の利用状況調査に基づいて非農地判断が行われる場合があります。

そのためインターネットで別の自治体の書式を見つけても、そのまま自分の土地へ当てはめません。

所在地の農業委員会へ確認しましょう。

▪️非農地判断は「農地転用の抜け道」ではない

ここは非常に重要です。

例えば現在も十分耕作できる畑を、

将来住宅にしたい。

数年間放置する。

荒れたから非農地証明を取る。

という考え方は適切ではありません。

農林水産省の非農地判断に関する運用でも、所有者等が意図的に農地を荒廃させ、非農地判断を求めることへの懸念が示されています。

農地を別用途へ変えたいなら、原則として農地転用制度の中で判断します。

「転用が難しいから荒らして非農地にする」というルートではありません。

▪️非農地になれば何でも建てられるわけでもない

非農地判断を受けると、

農地法上の農地ではない。

自由な土地になった。

住宅でも店舗でも建てられる。

と考えたくなります。

しかし、農地法以外の規制は別です。

例えば、

都市計画法。

建築基準法。

接道条件。

農振制度。

森林関係の規制。

災害リスク。

などが関係する場合があります。

非農地になったことは、建築可能証明でも高値売却保証でもありません。

最終用途まで確認してから土地価値を判断します。

▪️農地転用できても「地目変更」は別手続き

農地転用ルートを選んだ場合も注意点があります。

例えば農地法5条の許可を受けたからといって、その瞬間に登記地目が田から雑種地などへ変わるわけではありません。

基本的には、

許可・届出。

実際の転用。

土地の現況変更。

地目変更登記。

という流れです。

非農地判断を受けた土地でも、登記地目が田・畑のままなら地目変更登記を確認します。

つまり、農地法上の扱いと登記簿の地目は別々に整理する必要があります。

詳しくはこちら

▪️売却目的なら2ルートで「手残り」が変わる

例えば相続した土地が荒れていて、売却したいとします。

ケースA|まだ農地として利用できる

農地として売る。

転用可能性を調べて売る。

という比較になります。

ケースB|再生利用が困難な状態

非農地判断の対象になるか確認。

その後、現在の土地利用規制を確認して売却。

という流れを検討します。

この二つでは必要な費用が違います。

農地転用なら、申請・測量・造成などが必要になる場合があります。

非農地判断ルートなら、農地へ戻す工事を先に行う必要がない場合があります。

ただしどちらも、最終的な売却価格から必要費用を引いた手残りで比較することが重要です。

▪️「きれいにしてから相談」が逆効果になることもある

荒れた農地を相続すると、

まず木を全部切る。

草を刈る。

整地する。

それから農業委員会へ相談する。

という順番を考えることがあります。

しかし、現在の状態そのものが非農地判断を検討する重要な材料になっている場合があります。

大規模に整備してしまえば、元の状態を確認しにくくなる可能性もあります。

反対に再利用可能な農地なら、必要以上の伐採・造成をしても売却価格へ反映されるとは限りません。

先に、

現況写真。

農地台帳。

地番。

過去の土地利用。

などを整理して相談します。

詳しくはこちら

▪️転用ルートなら「何に使うか」を先に決める

農地転用では、単に、

農地ではなくしたい。

という申請ではありません。

具体的な転用目的が必要です。

例えば、

資材置場。

駐車場。

住宅。

事業用地。

によって、必要な面積や造成内容、別の許認可も変わります。

そのため、

農地転用する。

何に使うか考える。

ではなく、

使いたい用途を決める。

その用途へ転用できるか調べる。

という順番です。

用途が決まらない段階で高額な測量・造成へ進まないようにしましょう。

〖PR〗農地転用の可能性があり、駐車場・賃貸住宅・その他の土地活用を比較したい場合はこちら。

▪️非農地ルートでも「売却需要」を先に調べる

非農地判断が可能だったとしても、

地目を変えれば高く売れる。

とは限りません。

例えば山間部で、

道路が細い。

上下水道がない。

急傾斜地。

周辺需要がほとんどない。

という土地なら、農地ではなくなっても利用者が見つかりにくい場合があります。

逆に市街地に近く、道路条件が良い土地なら、農地ではなくなった後に土地利用の選択肢が増える可能性があります。

だから手続き前に、

非農地になった後、誰が何に使う土地なのか

を考えます。

〖PR〗非農地判断や農地転用へ費用をかける前に、現在の状態で土地の売却可能性を確認して比較する方法もあります。

▪️迷ったときは5項目でルートを分ける

荒れた田畑についてどちらを確認すべきか迷ったら、次を見ます。

・現在、通常の農作業へ戻せる状態か

・森林のような状態まで進んでいるか

・周囲で農業利用が継続しているか

・これから農業以外へ使いたいのか

・すでに長期間、農地として利用できない状態なのか

例えば草刈りと耕起だけで戻せるなら、非農地判断を前提にしません。

一方、森林化し、物理的にも周辺条件からも継続的な農業利用が困難なら、農業委員会へ非農地判断について相談する余地があります。

▪️売却までの順番はこのように整理する

荒れた農地を手放したい場合は、次の流れで進めます。

・地番と現在地を確認する

・農地台帳と現況を確認する

・農地として再生利用できるか確認する

・農地なら農地売却または転用を検討する

・再生困難なら非農地判断について相談する

・最終用途と売却価格を確認する

この順番なら、

本当は農地転用が必要なのに非農地証明ばかり探す。

非農地判断の可能性がある土地へ高額な農地再生費をかける。

というミスマッチを避けやすくなります。

詳しくはこちら

▪️よくある質問|非農地証明と農地転用

Q.長期間耕作していなければ非農地になりますか?

年数だけで自動的に非農地になるわけではありません。

農業委員会が現況や復元可能性、周辺状況などを確認します。

Q.非農地証明を取れば農地転用許可は不要ですか?

現在すでに農地ではないと判断される土地と、現在の農地をこれから転用する土地では前提が異なります。

まず現在の土地が農地かどうかを確認します。

Q.農地転用が難しければ非農地になるまで放置してもいいですか?

非農地判断は転用規制を回避するために土地を意図的に荒廃させる制度ではありません。

現在農地なら農地転用制度の中で可能性を確認します。

Q.非農地になれば宅地として売れますか?

必ずではありません。

都市計画、接道、建築条件、需要など別の条件を確認する必要があります。

▪️まとめ|「どちらが簡単か」ではなく現在の土地状態から選ぶ

非農地証明と農地転用は、

簡単な方を選ぶ。

安い方を選ぶ。

という二択ではありません。

現在も農地として利用できる土地を別用途へ変えるなら、農地転用を確認します。

一方、

森林のような状態になっている。

農地への復元が著しく困難。

復元しても周囲の状況から継続利用が難しい。

という土地なら、非農地判断の対象になる可能性を確認します。

そして、どちらのルートでも最後に必要なのは出口です。

農地転用できる。

非農地判断を受けられる。

だけでは収益にも売却にもなりません。

その後、

誰が買うのか。

何に使うのか。

いくら費用がかかるのか。

を確認します。

非農地証明か農地転用かを決める前に、まず現在の土地が本当に農地なのかを確認する。

これが、荒れた田畑を余計な費用をかけず整理するための最初の分岐点です。

▪️関連記事

 
 

最新記事

すべて表示
不動産投資は総資産より純資産を見る?物件価格・ローン残高から本当の資産額を計算する方法

「不動産を1億円分持っています」 と聞くと、 「資産1億円の人なんだ」 と思うかもしれません。 しかし、その物件を買うために1億2,000万円のローンが残っていたらどうでしょうか。 反対に、 物件価値1億円。 ローン残高3,000万円。 なら、同じ「1億円の物件を持っている人」でも状態は大きく違います。 不動産投資では、 何億円の物件を持っているか だけでは、資産形成がどこまで進んでいるのか分かり

 
 
賃貸管理会社を契約前に見極めるには?管理物件・募集図面・報告体制の確認方法

不動産投資で管理会社を探している。 何社か問い合わせて、 管理料。 入居率。 管理戸数。 募集方法。 などを聞いた。 候補は2〜3社まで絞れた。 それでも最後に、 「結局どこへ任せればいい?」 と迷うことがあります。 A社は大手。 B社は地場。 C社は管理専門。 どの会社もホームページを見ると、 「高い入居率」 「迅速な対応」 「オーナー目線」 と書かれている。 説明を聞いても、どこも良さそうに感

 
 
管理会社の入居率98%・99%は高い?契約前に確認したい空室実績の見方

不動産投資で管理会社を探している。 ホームページを見ると、 「入居率98%」 「入居率99%以上」 「高稼働を維持」 という実績が掲載されている。 大家としては、 「99%ならほとんど空室ないやん」 「この会社に任せればすぐ決まりそう」 と思うでしょう。 確かに入居率は、管理会社を比較するときの重要な数字の一つです。 しかし、 入居率99%だから、自分の物件も99%で運営できる とは限りません。

 
 
miramaru kusakari 3.png
bottom of page