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山林なのに農地扱いになる?農地台帳・現況・非農地証明をわかりやすく解説

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月25日
  • 読了時間: 13分

親から相続した土地の登記簿を確認すると、地目は「山林」だった。

それなら農地法は関係ない。

そう考える方もいるでしょう。

反対に、登記地目は「畑」なのに、現地へ行くと何年も耕作されておらず、木が生えて山林のようになっている土地もあります。

このような土地で重要なのは、登記地目だけを見て農地かどうかを決めないことです。

農地法では、土地が農地に該当するかどうかを現況などから判断します。

そのため、

・登記は山林でも現況が農地

・登記は畑でも現況が森林化

・農地台帳には農地として載っている

というように、複数の情報が一致しないケースがあります。

この記事では、相続した土地について、

「これは農地なのか、山林なのか」

と迷ったときの確認方法を、農地台帳・現況・非農地判断・非農地証明まで順番に整理します。

▪️結論|登記地目・農地台帳・現況を分けて確認する

最初に確認したいのは次の3つです。

・登記簿上の地目は何か

・農地台帳上どう扱われているか

・現地が現在どのような状態か

この3つがすべて「畑」で一致していれば分かりやすいでしょう。

問題になるのは情報が食い違っている土地です。

例えば、

登記地目 山林

農地台帳 畑

現況 野菜を栽培している

という土地なら、登記が山林だからという理由だけで農地法を外すことはできません。

逆に、

登記地目 畑

現況 長期間放置され森林のようになっている

という場合も、所有者が自分で「もう山林だから農地ではない」と変更できるわけではありません。

最終的な扱いが分からない土地は、所在地の農業委員会へ地番を伝えて確認する。

ここが基本になります。

詳しくはこちら

▪️登記地目が山林でも農地法が適用されることがある

農地法でいう「農地」は、耕作の目的に供される土地です。

農林水産省も、登記簿地目が原野であっても、現況が農地であれば農地法が適用されると明確にしています。

山林についても考え方は同じです。

例えば昔の登記地目が山林のままでも、その後長年にわたって畑として利用されているなら、現在の利用状況を確認する必要があります。

つまり、

登記簿の「山林」は農地法の対象外であることを保証する表示ではありません。

不動産売買では登記情報が重要ですが、農地法の確認では現況を切り離さずに見ます。

▪️農地台帳は何を確認する資料?

農業委員会は農地に関する情報を農地台帳で管理しています。

全国農地ナビである「eMAFF農地ナビ」でも、公開対象となっている農地について、

・所在・地番

・農地台帳上の現況地目

・面積

・農振法区分

・遊休農地に関する情報

などを確認できます。

自宅から土地の概要を調べる入口として便利です。

ただし、農地ナビだけで売買や転用の可否を確定させるものではありません。

情報更新の時期や公開範囲もあるため、実際に処分・売却・転用を進める段階では農業委員会へ確認します。

「農地ナビで調べる→地番を持って農業委員会へ確認する」

という使い方が分かりやすいでしょう。

▪️農地台帳に載っているから絶対に農地、でもない

ここも整理しておきたい部分です。

農地台帳は重要な確認資料ですが、農地法上の農地かどうかは土地の客観的な状態を踏まえて判断されます。

長期間の耕作放棄によって土地の状態が大きく変化し、農地として復元することが著しく困難になっている土地では、農業委員会による非農地判断が行われる場合があります。

非農地と判断された場合には、農地台帳の整理なども行われます。

つまり、

農地台帳に載っている。

永久に農地。

という仕組みではありません。

反対に、所有者が、

「もう農業をしていないから農地台帳から消してほしい」

と言うだけで消えるものでもありません。

現地の状態を農業委員会が確認して判断します。

▪️木が生えただけでは自動的に「山林」にはならない

何十年も耕作していない畑には、草だけでなく竹や雑木が生えていることがあります。

見た目だけなら山林にしか見えない土地もあります。

しかし、

木が生えた。

草刈りしていない。

数年間耕作していない。

というだけで自動的に非農地になるわけではありません。

農林水産省が示す非農地判断では、例えば森林の様相を呈し、農地へ復元するための物理的な条件整備が著しく困難な土地などが対象になります。

具体的には、農地として利用するために、

伐採。

抜根。

切土・盛土。

整地。

客土。

土壌改良。

など、開墾に匹敵するような整備を総合的に行う必要がある状態です。

国の考え方では、伐採や抜根だけで農地へ戻せる程度なら、それだけでこの基準に該当するわけではないことも示されています。

そのため「木が3本生えたから山林」というような判断はできません。

▪️非農地判断にはもう一つ「周辺環境」という基準がある

土地そのものだけでなく、周囲の状況が問題になる場合もあります。

例えば農地へ復元できたとしても、

周囲がすでに山林化している。

土砂や水が継続的に流れ込む。

日照などの条件から農業利用の継続が難しい。

といった状況です。

このように、復元しても継続的な農業利用が難しいと見込まれる土地も非農地判断の対象になり得ます。

一方で、集団的な農地の中にある荒廃農地や、今後農業利用するための基盤整備が計画されている土地などは別に考える必要があります。

つまり非農地判断は、

「今、作物が作られているか」だけを見る制度ではありません。

土地そのものと周囲を合わせて判断します。

▪️「非農地証明」と「非農地判断」は同じ言葉として扱わない

インターネットでは、

「非農地証明を取れば農地ではなくなる」

という説明を見ることがあります。

ここは少し注意が必要です。

国の農地制度では、農業委員会が現地などを確認して「農地に該当しない」と判断し、所有者や関係機関へ通知する非農地判断の仕組みがあります。

一方、所有者からの申請を受けて「非農地証明書」などを交付する制度を設けている農業委員会もあります。

名称。

申請方法。

必要書類。

判断基準。

手数料。

などの取扱いは自治体によって異なります。

そのため、

「全国共通の非農地証明を申請すれば終わり」

とは考えず、土地がある市町村の農業委員会へ確認しましょう。

▪️非農地になれば登記地目も自動的に変わる?

農業委員会が非農地と判断しても、登記簿に「畑」と記載されたままでは登記上の表示と現況が一致しないことがあります。

そのため、非農地判断後は地目変更登記が関係します。

国も、非農地判断した土地について農業委員会から所有者や法務局などへ通知し、地目変更登記を円滑に進める仕組みを示しています。

ただし、

非農地判断された瞬間に登記地目が必ず自動で山林へ変わる。

という意味ではありません。

現況が山林なら山林。

原野なら原野。

宅地として利用されているなら別の地目。

というように、地目は土地の利用状態によって判断されます。

売却を予定しているなら、非農地判断後の登記までどのように整理するかも確認しておきましょう。

▪️「農地を勝手に山林化した」ケースは別問題

ここは非常に重要です。

農地を長期間耕作できず、自然に森林化してしまった土地と、

農地転用の許可を取らずに、

駐車場にした。

資材置場にした。

建物を建てた。

大量の土砂を入れた。

という土地は同じではありません。

無許可で農地を農業以外へ利用した場合は、違反転用となる可能性があります。

農業委員会が違反転用と認める土地については、国の非農地判断の取扱いでも、単純に非農地判断を行うものとはされていません。

場合によっては是正指導や原状回復命令などの対象になります。

つまり、

無許可で別用途へ変える→非農地証明を取れば解決

という制度ではありません。

過去の利用経緯が分からない相続土地なら、現況とあわせて農業委員会へ説明しましょう。

▪️農地なのか分からない土地は売却前に順番を整理する

相続した土地を売却する場合、農地か非農地かによって手続きが変わります。

最初に、

・登記事項証明書などで地番と地目を確認する

・現地写真や現在の利用状態を確認する

・農地台帳上の扱いを確認する

・農業委員会へ地番を伝える

という順番で整理します。

その結果によって出口が分かれます。

農地として扱われる

農地として売却・貸付する、または農地転用を検討します。

非農地判断の対象になり得る

農業委員会へ必要な手続きを確認し、判断後に登記や売却を進めます。

違反転用の可能性がある

売却を急がず、まず行政へ現在の扱いと必要な是正手続きを確認します。

最初にこの分類をするだけで、相談先を間違えにくくなります。

詳しくはこちら

▪️農地のままなら「転用しない出口」もある

確認した結果、

現在も農地として扱われる。

農地へ戻して利用できる。

という場合でも、所有者自身が農業を再開する必要はありません。

例えば、

・近隣農家へ売却する

・農業者へ貸す

・農地バンクを利用する

という方法があります。

山林化が進むまで何年も放置してから出口を探すより、農地として利用できる段階で次の利用者へ引き継げる方が選択肢を残しやすい場合があります。

特に自分も家族も農業をする予定がないなら、

「いつか考える」

ではなく、農地として使えるうちに今後の方向を確認する意味があります。

詳しくはこちら

▪️非農地になったから高く売れるわけではない

非農地判断を受ければ、

農地法の制約がなくなるから宅地として高く売れる。

と考えるかもしれません。

しかし、非農地と判断されたことと、宅地として利用価値があることは別です。

もともと森林化するほど利用されていなかった土地なら、

・道路に接していない

・急傾斜地である

・上下水道がない

・造成費が高い

・災害リスクがある

・住宅需要が弱い

といった条件があるかもしれません。

例えば地目を山林へ変更できても、住宅を建てられる土地になるとは限りません。

非農地判断後は、

何という地目になるかより、実際に誰が何に使える土地なのか

を確認することが重要です。

▪️山林として売る場合も「現況のまま」で価格を確認する

長期間放置されて木が生えた土地を見ると、

全部伐採する。

整地する。

境界を完全に出す。

その後で査定する。

と考えがちです。

しかし、売却可能性を確認するだけなら、先に大きな費用をかける必要がない場合があります。

特に、

農地へ戻すのか。

山林として整理するのか。

そもそも買主がいるのか。

が決まっていない段階で伐採や造成を行うと、使った費用を回収できない可能性があります。

まず行政上の土地の扱いを整理する。

その後、現況で売却価格を確認する。

必要なら整備費と売却価格を比較する。

この順番が安全です。

〖PR〗相続した農地・山林について、大きな伐採や整備へ費用をかける前に現在の売却可能性を確認する方法もあります。

▪️相続土地なら名義も一緒に確認する

親や祖父母名義のまま長期間放置されている土地では、農地か山林かという問題と相続登記が同時に残っていることがあります。

2024年4月から相続登記は義務化されています。

売却する場合にも、誰が現在の所有者なのかを整理する必要があります。

さらに農地を相続した場合には、農業委員会への届出が関係します。

そのため古い相続土地では、

農地・非農地の確認。

相続人の確認。

相続登記。

売却方法。

を別々に放置しないことが重要です。

〖PR〗相続人や名義から整理できていない土地なら、農地・山林の処分とあわせて相続の専門家へ相談する方法もあります。

▪️よくある質問|山林・農地台帳・非農地証明

Q.登記地目が山林なら農地法は関係ありませんか?

登記地目だけでは判断できません。

現況が農地なら農地法が適用される場合があるため、現在の利用状態を確認します。

Q.登記地目が畑ですが、木がたくさん生えています。山林ですか?

木が生えているだけで自動的に山林になるわけではありません。

農地への復元可能性や周辺状況などを農業委員会が確認して非農地判断を行う場合があります。

Q.農地ナビに載っていれば絶対に農地ですか?

農地ナビは農地台帳の情報を確認する有効な資料ですが、具体的な売却・転用を進める場合は所在地の農業委員会へ確認しましょう。

Q.非農地証明を取れば農地転用は不要になりますか?

現在の土地が正式に農地ではないと判断されたケースと、転用許可が必要な農地をこれから別用途へ変えるケースは別です。

特に無許可で転用された土地は、非農地証明で解決するとは限りません。

▪️まとめ|「山林に見える」ではなく土地の現在地を確定する

相続した土地が何年も放置されていると、

登記は山林。

農地台帳は畑。

現地は森林。

というように情報が食い違うことがあります。

このとき、どれか一つだけを見て売却方法を決めないことが重要です。

農地法では現況が重要になるため、登記地目が山林でも農地として扱われるケースがあります。

反対に、登記が田・畑でも、農地へ戻すことが著しく困難な状態なら農業委員会が非農地判断を行う場合があります。

だから最初にすることは、

「非農地証明を取ること」ではありません。

地番を確認し、現況を確認し、農業委員会で現在の扱いを確認することです。

農地なら、農地として売る・貸す出口を考える。

非農地判断の対象なら、登記まで整理して次の用途を考える。

売却するなら、その状態でいくらの価値があるのかを確認する。

農地か山林かを曖昧なまま何年も持ち続けない。

土地の現在地を一度確定させることが、相続した農地・山林を手放すための最初の一歩になります。

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