農地法5条の許可を取れば地目変更できる?転用完了・地目変更登記までの正しい順番
- MIRAIU

- 8月25日
- 読了時間: 12分
農地を購入して住宅を建てたい。
田んぼを資材置場へ変えたい。
畑を駐車場として貸したい。
このような農地転用を調べると、
「農地法5条の許可を取れば地目変更できる」
という説明を見かけることがあります。
しかし、この理解では少し足りません。
農地転用の許可と地目変更登記は別の手続きです。
農地法5条の許可を受けたからといって、その瞬間に登記簿の「田」「畑」が自動的に別の地目へ変わるわけではありません。
基本的には、
農地転用の許可・届出
↓
許可された目的に沿って実際に土地を利用
↓
土地の現況が変わる
↓
法務局で地目変更登記
という流れになります。
この記事では、農地法5条と地目変更登記の違い、4条との違い、いつ地目変更できるのか、資材置場・駐車場・住宅では何の地目になるのかを整理します。
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▪️結論|5条許可は「地目を変える許可」ではない
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最初に一番重要な点です。
農地法5条は、農地を農地以外へ転用する目的で、所有権移転や賃借権設定などを行う場合の手続きです。
一方、地目変更登記は法務局で行う不動産登記です。
つまり、
農地法
農地を別用途へ利用してよいかを判断する制度。
不動産登記
実際の土地利用が変わった後、その現況を登記簿へ反映する制度。
という役割の違いがあります。
5条許可書に、
「資材置場として転用を許可する」
と書かれていても、許可を取っただけで現地が田んぼのままなら、直ちに地目が資材置場用の地目へ変わるわけではありません。
詳しくはこちら
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▪️農地転用から地目変更までの基本的な順番
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一般的な流れを整理すると次のようになります。
・① 転用できる農地か確認する
・② 4条・5条の許可申請または届出を行う
・③ 許可・受理後に転用事業を進める
・④ 予定した用途として利用できる状態にする
・⑤ 現況が変わった段階で地目変更登記を申請する
つまり、地目変更は最初ではなく後半です。
例えば農地を資材置場へ転用する計画なら、
許可を取る。
↓
砕石、排水、入口など必要な整備を行う。
↓
実際に資材置場として利用する状態になる。
↓
地目変更登記を行う。
という流れを考えます。
ただし具体的にどの段階で地目が変わったと判断できるかは、土地利用や工事状況によって異なります。
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▪️4条でも5条でも地目変更との関係は同じ
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「地目変更は5条のときだけ必要」
というものでもありません。
例えば自分が所有する畑を、自分の月極駐車場へ転用する場合。
所有権移転を伴わないため、農地法4条を確認します。
一方、別の会社がその農地を購入して駐車場へ転用するなら、5条を確認します。
どちらの場合でも、
農地から別用途へ現況が変われば、地目変更登記を検討する
という点は同じです。
4条・5条は権利移動の有無による違い。
地目変更は実際の土地利用の変化。
この2つを分離すると理解しやすくなります。
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▪️市街化区域なら「許可」ではなく届出でも同じ
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市街化区域内の農地では、農地転用について原則として農業委員会への事前届出で進める仕組みがあります。
この場合も、
届出を出した。
↓
登記地目が自動的に変わった。
とはなりません。
届出は農地転用に関する手続きです。
地目変更は、実際に土地の主な用途が変わった後に法務局へ申請します。
そのため、
許可地域か届出地域か
と、
いつ地目変更するか
は別の問題として整理します。
詳しくはこちら
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▪️地目は「自分が好きな名称」を選ぶわけではない
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ここも重要です。
不動産登記上の地目は、土地の主な用途によって決まります。
現在の不動産登記規則では、田・畑・宅地・山林・原野・雑種地など23種類に区分されています。
つまり、
農地転用したから「原野」にする。
資材置場だから好きな地目を指定する。
というものではありません。
例えば「原野」は、耕作の方法によらず雑草やかん木類が生育する土地として扱われる地目です。
一方、特定の事業用途として利用している土地では、実際の利用状態によって別の地目が判断されます。
申請した用途と、登記上の地目は同じ言葉になるとは限りません。
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▪️資材置場なら必ず「原野」になるわけではない
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例えば、
田を購入。
↓
5条許可を取得。
↓
砕石を敷いて資材置場として利用。
というケースを考えます。
この場合、
「農地ではなくなったから原野」
と自動的に決まるわけではありません。
登記地目は土地の主な用途によって判断されます。
原野は、雑草・かん木類が自然に生育する土地です。
一方、資材置場のように一定の目的で利用されている土地は、他の22種類の地目に該当しなければ「雑種地」と判断されるケースがあります。
実際の土地状況によって判断されるため、地目を決め打ちせず法務局や土地家屋調査士へ確認しましょう。
詳しくはこちら
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▪️住宅を建てる場合も「許可=即宅地」ではない
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農地を購入して住宅を建築するケースでも同じです。
例えば5条許可を取得して所有権を移転しても、その時点で土地がまだ畑の状態なら、許可書だけを理由として現況が宅地になったとは考えません。
造成。
基礎工事。
建築。
などが進み、土地が住宅敷地として利用される状態へ変化します。
その現況を踏まえて地目変更登記を行います。
具体的にどの工事段階で「宅地」と認定できるかについては、一律の日付で判断せず個別に確認しましょう。
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▪️地目変更は現況が変わってから1か月以内が原則
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不動産登記法では、地目または地積に変更があった場合、所有者は変更があった日から1か月以内に変更登記を申請することとされています。
ここで基準になるのは、
5条許可を取得した日。
契約した日。
所有権移転した日。
ではありません。
土地の地目に実際の変更が生じた日です。
例えば許可取得から造成着手まで3か月空いているなら、
「許可から1か月以内に地目変更しなければならない」
という意味ではありません。
土地利用が変わった時期を基準に考えます。
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▪️地目変更登記は「表示に関する登記」
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不動産登記には大きく、
所有者や抵当権などに関する権利の登記。
土地面積・地目など物理的状況を示す表示に関する登記。
があります。
地目変更は後者です。
法務省も、表示に関する登記は不動産の物理的な現況を迅速かつ正確に公示する制度として説明しています。
だから、
許可書には資材置場と書いてある。
しかし現地はまだ田んぼ。
という状態なら、許可内容と登記地目をそのまま同一視できません。
登記簿は土地の実際の姿へ合わせて変更するという考え方です。
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▪️自分でも申請できるが、難しいケースは土地家屋調査士へ
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地目変更登記は所有者自身で申請することもできます。
法務局には地目変更登記の申請書様式があり、オンライン申請の手引きも用意されています。
また地目変更登記自体には登録免許税がかかりません。
ただし、
転用時期が古い。
許可書が見つからない。
一筆の一部だけ用途が変わった。
現況地目の判断が難しい。
という場合は話が複雑になります。
このような土地なら土地家屋調査士へ相談する方法があります。
特に一部だけ転用した土地では、地目変更だけでなく分筆が関係することがあります。
詳しくはこちら
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▪️昔に転用したのに登記が「田」のまま残っているケース
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実際には農地転用を行ったものの、登記簿が何十年も「田」「畑」のまま残っている土地があります。
例えば、
昔の許可を受けて住宅が建っている。
現在は完全に駐車場になっている。
長期間事業用地として使われている。
といったケースです。
この場合、現在の現況だけでなく、
過去の農地転用許可。
建物登記。
課税状況。
現況写真。
などを確認することがあります。
法務局から農業委員会へ照会が行われる場合もあります。
売却直前に初めて気づくと時間がかかる可能性があるため、登記簿を早めに確認しておきましょう。
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▪️非農地証明とはルートが違う
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もう一つ混同しやすいのが非農地証明です。
農地転用は、
現在農地である土地を、これから別用途へ使う
ための仕組みです。
一方、非農地証明などの制度は、長期間の経過や森林化などによってすでに農地として扱えない状態になっている土地について、その現況を確認する場面で利用されます。
そのため、
5条を取る代わりに非農地証明を取る。
という単純な選択ではありません。
現在農地なのか。
すでに農地性を失っているのか。
から整理します。
詳しくはこちら
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▪️「地目を変えれば価値が上がる」と先に考えない
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農地が「田」から「雑種地」や「宅地」へ変わると、
土地価値が上がりそう。
売りやすくなりそう。
と考えることがあります。
しかし地目変更登記は、土地価値を上げるために好きな地目へ変更する制度ではありません。
先に必要なのは、
その用途へ転用できるか。
その場所に需要があるか。
転用費用はいくらか。
です。
例えば300万円かけて資材置場へ転用しても、借主がいなければ投資として成立しません。
地目変更は収益化の原因ではなく、実際に変わった土地利用を登記へ反映する手続きです。
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〖PR〗農地を資材置場・駐車場・賃貸住宅などへ転用する前に、その土地に合う活用方法と収支を比較できます。
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▪️売却目的なら「先に転用して地目変更」が正解とは限らない
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相続した農地を売りたい場合、
先に自分で農地転用する。
造成する。
地目を変える。
その後に売る。
と考えることがあります。
しかし、必ずしもこの順番が有利とは限りません。
買主の予定用途が決まっているなら、買主との売買を伴う5条手続きで進められる場合があります。
所有者が先に高額な造成費を負担しても、その費用分だけ売却価格が上がる保証はありません。
売却なら、
現況での価格。
買主側で転用する場合の価格。
自分で転用してから売る場合の手残り。
を比較します。
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〖PR〗農地転用や造成へ費用をかける前に、現在の状態でどの程度の売却可能性があるか確認する方法もあります。
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▪️地目変更までに確認したい6項目
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農地転用から地目変更へ進むなら、次を整理します。
・農地法4条か5条か
・許可か市街化区域内の届出か
・許可された用途と現在の利用状況
・実際に地目が変化した時期
・現在の主な土地用途は何か
・分筆や他の登記が必要か
この6つが分かれば、
まだ転用工事の段階なのか。
すでに地目変更を申請する段階なのか。
を判断しやすくなります。
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▪️よくある質問|農地転用と地目変更
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Q.農地法5条の許可を取った日に田から宅地へ変更できますか?
許可取得だけで自動的に地目が変わるわけではありません。
土地の現況が実際に宅地などへ変わった段階で地目変更登記を行います。
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Q.5条許可を取れば法務局が自動で地目変更してくれますか?
通常は所有者側で地目変更登記を申請します。
農地転用手続きと法務局の地目変更登記は別の手続きです。
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Q.資材置場へ転用したら地目は原野ですか?
一律に原野になるわけではありません。
地目は土地の主な用途で判断され、利用状況によって雑種地など別の地目になる場合があります。
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Q.地目変更登記には期限がありますか?
土地の地目に実際の変更が生じた場合、原則として変更があった日から1か月以内に申請することとされています。
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▪️まとめ|農地転用と地目変更を1つの手続きだと思わない
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農地法5条の許可は、
「田を雑種地へ変更する許可」
ではありません。
農地を別用途へ転用することと、それに伴って権利を移転・設定するための農地法上の手続きです。
その後、
許可された用途へ実際に転用する。
土地の主な用途が変わる。
地目変更登記を行う。
という流れになります。
そして地目は、
住宅だから宅地。
資材置場だから原野。
と所有者が自由に決めるものでもありません。
実際の主な利用状況をもとに判断します。
農地転用で重要なのは、
許可を取ることをゴールにしないことです。
転用できる。
↓
予定用途として使える。
↓
収益・売却計画が成立する。
↓
現況に合わせて登記を整える。
ここまで一つの流れとして考えます。
特に売却や土地活用を目的としているなら、先に地目を変えることより、最終的に誰が何に使う土地なのかを決めることが先です。
農地転用許可と地目変更登記を分けて理解すれば、不要な工事や手続きへ先にお金を使うリスクを減らせます。
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