市街化調整区域の農地に家は建てられる?農家住宅・開発許可・農地転用を整理
- MIRAIU

- 8月25日
- 読了時間: 12分
市街化調整区域にある農地を見つけた。
周辺の宅地よりかなり安いため、
「ここを買って家を建てれば安く済むのでは?」
と考えることがあります。
一方で、
「市街化調整区域の農地には、農家しか家を建てられない」
という説明を聞くこともあるでしょう。
結論から言えば、市街化調整区域だから一般住宅が絶対に建てられない、という説明は正確ではありません。
ただし、市街化調整区域は市街化を抑制する区域です。
さらに土地が農地なら、
・都市計画法
・農地法
という二つの大きな確認が必要になります。
場合によっては農振農用地区域、接道、造成なども関係します。
この記事では、市街化調整区域の農地について、
「家を建てられるのか?」
という疑問を、農家住宅・一般住宅・農地転用・開発許可の順番で整理します。
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▪️結論|「農地転用できる」と「家を建てられる」は別の判断
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市街化調整区域の農地で最初に覚えておきたいのは、この2つを分けることです。
農地法
農地を住宅敷地など農業以外へ利用してよいか。
都市計画法
市街化調整区域で、その住宅を建築してよいか。
例えば農地転用の条件を満たしていても、都市計画法上その住宅を建築できなければ住宅計画は進みません。
反対に都市計画法上の建築可能性があっても、農地転用できなければ農地へ住宅を建てることはできません。
だから、
農地転用→建築
という一本道ではなく、最初から両方を確認します。
詳しくはこちら
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▪️そもそも市街化調整区域とは?
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都市計画区域のうち、区域区分が行われている地域では、
市街化区域。
市街化調整区域。
に分けられています。
市街化区域は、すでに市街地を形成している区域や、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域です。
一方、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域です。
そのため市街化区域と同じ感覚で、
土地を買う。
造成する。
住宅を建てる。
ということはできません。
ただし「何も建てられない区域」でもありません。
都市計画法には、市街化調整区域でも認められる開発・建築の類型があります。
ここが今回の重要なポイントです。
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▪️農家住宅は市街化調整区域でも特別な扱いがある
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市街化調整区域では、農林漁業を営む人の住宅や、一定の農林漁業用建築物について、都市計画法上の開発許可を必要としない仕組みがあります。
例えば、
農業を営む人が、その農業を続けるため生活の本拠として住宅を建てる。
農業に必要な施設を設ける。
といったケースです。
ただし、
農地を1枚買った。
野菜を少し作る予定。
だから農家住宅として家を建てられる。
とは考えない方がよいでしょう。
誰が「農林漁業を営む者」に該当するのか、住宅が本当にその営農に必要なのかなどは、自治体の運用基準も踏まえて確認されます。
「農家住宅」という名前を付ければ使える例外ではありません。
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▪️農家住宅でも農地転用の確認は残る
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ここも混同しやすいところです。
都市計画法上、農家住宅として開発許可が不要となるケースでも、住宅を建てる土地が農地なら農地法の確認は別に必要です。
例えば、自分が所有する畑の一部へ自宅を建てるなら、農地法4条による転用を確認します。
農地を取得して住宅を建てるなら、農地法5条が関係するケースがあります。
さらに青地、つまり農振農用地区域なら、農振除外などが先に問題になることもあります。
つまり、
農家住宅だから農地法も自動的にクリア
ではありません。
都市計画と農地制度は分けて確認します。
詳しくはこちら
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▪️では一般の人は市街化調整区域に家を建てられない?
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一般の人でも、市街化調整区域で住宅建築が認められるケースはあります。
市街化調整区域では都市計画法34条などに基づき、一定の条件を満たす開発行為が許可対象になります。
さらに自治体によっては条例や開発審査会基準などによって、
既存集落との関係。
土地を取得した時期。
申請者と土地所有者との関係。
既存住宅の状況。
周辺の土地利用。
などから住宅建築を認める仕組みがあります。
いわゆる分家住宅などが代表例の一つです。
ただし、基準は自治体によって異なります。
そのため全国一律に、
「農家以外は無理」
とも、
「集落の中なら誰でも建てられる」
とも言えません。
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▪️市街化調整区域では自治体ごとの差が大きい
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市街化調整区域の土地で特に注意したいのが、インターネット上の他地域の情報です。
都市計画法34条11号・12号などでは、地方公共団体が条例によって一定の区域や建築できる用途などを定める仕組みがあります。
さらに開発審査会基準の運用もあります。
そのため、
愛知県では認められる。
三重県でも同じ。
隣の市で認められたから、この市でも同じ。
とは限りません。
市街化調整区域の土地は、所在地の許可権者へ具体的な地番を示して確認することが重要です。
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▪️「狭い土地だから家は絶対無理」でもない
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今回の元動画では、
道路沿いの広い土地なら大型施設などへ転用できる場合がある。
狭い土地では一般住宅はまったく建てられない。
という趣旨の説明がありました。
しかし、土地面積だけで建築可否が決まるわけではありません。
市街化調整区域では、
・建築する人
・建築物の用途
・土地の位置
・周辺状況
・都市計画法上の許可基準
などを確認します。
もちろん最低敷地面積など地域独自の基準が関係することはあります。
それでも、
広ければ建つ。
狭ければ建たない。
という単純な仕組みではありません。
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▪️青地なら都市計画より先に大きな壁があることも
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市街化調整区域の農地で住宅を考えるなら、農振農用地区域かどうかも重要です。
いわゆる青地は、長期的に農業利用を確保する区域です。
青地を住宅敷地へ変える場合は、農用地区域からの除外を検討することになります。
農振除外には、
・他に利用できる土地がないか
・地域計画へ支障を与えないか
・周辺農地の利用へ影響しないか
・土地改良施設へ支障を与えないか
など複数の要件があります。
つまり、
市街化調整区域でも建築できる例外に該当しそう。
という段階でも、青地なら農振側の確認が残ります。
詳しくはこちら
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▪️白地でも住宅建築が決まったわけではない
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反対に農振農用地区域ではない、いわゆる白地だった場合です。
青地ではないため、
「これなら家が建つ」
と思うかもしれません。
しかし次に農地転用上の農地区分を確認します。
さらに市街化調整区域なら、都市計画法上の建築可能性も確認します。
つまり市街化調整区域の農地では、
農振
↓
農地転用
↓
都市計画法
という複数の制度が関係します。
順番を飛ばさず、一つずつ確認することが重要です。
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▪️農地転用は4条か5条かで申請者も変わる
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住宅計画によって農地転用の条文も変わります。
自分が所有している農地へ自分の家を建てる
農地法4条を確認します。
農地を買って、その土地へ家を建てる
所有権移転と転用を伴うため農地法5条を確認するケースになります。
この違いは、
「誰が転用するのか」
です。
農地を買ってから自由に用途を考えるのではなく、住宅建築という具体的な計画と一緒に手続きを進めます。
詳しくはこちら
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▪️農地転用許可では「家を本当に建てられる見込み」も重要
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農地転用許可では、農地区分だけを見るわけではありません。
転用目的を実現できる可能性も確認します。
住宅を建てる計画なら、
都市計画法上その住宅を建築できるのか。
資金を確保できるのか。
必要な面積なのか。
排水などで周辺農地へ影響を与えないか。
といった点が関係します。
都市計画法上ほぼ実現できない住宅のために、先に農地転用だけ進めることは合理的ではありません。
だから農業委員会だけでなく、開発許可を担当する部署にも早い段階で相談することが重要です。
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▪️接道・造成・上下水道まで確認して初めて「家を建てる土地」になる
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農地転用と開発許可の見込みが確認できたとしても、土地購入判断はまだ終わりではありません。
住宅なら、
・建築基準法上の道路へ接しているか
・土地と道路に大きな高低差がないか
・上下水道を引き込めるか
・雨水や生活排水を処理できるか
・擁壁や造成が必要か
などを確認します。
特に市街化調整区域の農地は、もともと住宅地として整備されていない土地もあります。
土地が安くても、
造成500万円。
給排水300万円。
進入路整備。
擁壁工事。
などが必要になれば、最終的な土地取得費は大きく変わります。
数字は土地によって異なりますが、考え方は同じです。
土地価格ではなく、家を建てられる状態までの総額を見る。
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▪️「坪3万円の農地」と「坪15万円の宅地」は総額で逆転することもある
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例えば説明用として比較します。
A|市街化調整区域の農地
土地 300万円
農地転用・測量等 100万円
造成・排水等 500万円
給排水・その他 300万円
合計 1,200万円
B|すでに住宅用地として利用できる土地
土地 900万円
追加整備 100万円
合計 1,000万円
購入価格だけならAの方が600万円安い。
しかし建築できる状態まで比較するとBの方が安くなる例です。
もちろん実際の費用は土地ごとに異なります。
だから、
「農地なら安く家を建てられる」
ではなく、
住宅完成までの土地関連費で比較する
ことが重要です。
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▪️買付や契約より前に確認したい5項目
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市街化調整区域の農地を住宅目的で検討するなら、価格交渉より先に次を確認します。
・農振農用地区域か
・農地転用できる見込みがあるか
・都市計画法上どの建築許可基準を使うのか
・道路、排水、造成など住宅敷地として成立するか
・建築までの総費用はいくらか
特に、
「市街化調整区域ですが家は建ちますか?」
だけでは行政側も判断しにくい場合があります。
地番。
建築する人。
予定している住宅。
土地所有者との関係。
などを整理して相談します。
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▪️売主側も「調整区域の農地だから価値ゼロ」と決めない
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相続した市街化調整区域の農地を持つ人にとっても、この制度理解は重要です。
一般住宅を自由に建築できないからといって、土地の出口がなくなるわけではありません。
例えば、
農地として利用する人へ売る。
農地バンクなどで貸す。
一定の開発許可基準を満たす買主を探す。
隣地所有者へ売る。
といった可能性があります。
逆に、
「将来宅地になるかもしれない」
という期待だけで長期間保有するのも慎重に考えたいところです。
まず現在の条件で誰が利用できる土地なのか確認します。
詳しくはこちら
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▪️よくある質問|市街化調整区域の農地と住宅
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Q.市街化調整区域の農地には農家しか家を建てられませんか?
農家住宅以外にも、都市計画法34条や自治体の条例・許可基準などによって住宅建築が認められるケースがあります。
具体的な土地と申請者の条件で確認します。
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Q.農家ならどこの農地でも家を建てられますか?
農林漁業従事者の住宅には都市計画法上の特例がありますが、農地転用、農振、接道、建築基準法など別の条件があります。
農家というだけで自由に建築できるわけではありません。
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Q.農地転用が許可されれば家を建てられますか?
農地転用とは別に、市街化調整区域では都市計画法上の開発・建築条件を確認します。
両方の見込みを確認してから住宅計画を進めましょう。
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Q.市街化調整区域の農地は安ければ買っておいた方が得ですか?
利用できる用途、開発許可、農地転用、造成費、将来の売却先によって判断が変わります。
購入価格だけではなく利用開始までの総額と出口を確認します。
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▪️まとめ|市街化調整区域の農地は「建つ・建たない」を一つの制度で決めない
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市街化調整区域の農地について、
農家なら建つ。
一般人なら建たない。
と二つに分けると制度を誤解しやすくなります。
確認するのは、
・農振農用地区域か
・農地転用できる土地か
・誰が何の住宅を建てるのか
・都市計画法上どの基準に該当するのか
・接道や造成など住宅敷地として成立するか
です。
農林漁業従事者の住宅には、市街化調整区域でも都市計画法上特別な取扱いがあります。
一方、一般住宅でも自治体の基準などによって建築が認められるケースがあります。
だから、
「市街化調整区域だから絶対無理」
で終わらせる必要はありません。
しかし、
「農地が安いから、とりあえず買って後から家を建てる」
という順番も危険です。
先に建築可能性を確認する。
次に農地転用を確認する。
造成やインフラ費を出す。
最後に土地価格と総額を比較する。
この順番なら、坪単価だけでは分からない市街化調整区域の農地を、住宅用地として本当に買う価値があるのか判断しやすくなります。
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