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一般人でも農地は買える?2023年の下限面積廃止と農地法3条の購入条件を解説

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月25日
  • 読了時間: 14分

「農地は農家しか買えない」

「農家資格がない一般人は購入できない」

「まず広い農地を持っていないと農家になれない」

農地について調べると、このような説明を見かけることがあります。

しかし、2026年現在の制度としては少し整理が必要です。

農地を農地のまま購入する場合、原則として農地法3条の許可が必要です。

そのため宅地のように誰でも自由に購入できるわけではありません。

一方で、「農家資格」という免許を持っていなければ絶対に買えない制度でもありません。

さらに2023年4月には、農地取得の大きなハードルだった下限面積要件も廃止されました。

つまり現在は、

「先に何千㎡もの農地を持っていないと、新しく農業を始められない」

という仕組みではありません。

では、農業経験のない人が農地を買いたい場合、何を満たせばよいのでしょうか。

この記事では、

・一般人でも農地を買えるのか

・2023年に何が変わったのか

・農地法3条で何を確認されるのか

・年間150日という基準の意味

・家庭菜園目的でも買えるのか

・最初から買わずに借りる方法

まで整理します。

▪️結論|一般人でも3条の要件を満たせば農地を買える可能性がある

まず結論です。

農業経験がない人でも、農地法3条の許可要件を満たせるのであれば、農地を取得できる可能性があります。

重要なのは、

「現在農家なのか」

という肩書きだけではありません。

取得後に、

・農地を適切に利用できるか

・必要な農作業を行えるか

・周辺農地へ支障を与えないか

を確認します。

つまり、

会社員だから買えない。

定年後から農業を始めるから買えない。

実家が農家ではないから買えない。

という一律の仕組みではありません。

一方、

安いから資産として持っておきたい。

将来値上がりしたら売りたい。

草刈りだけして放置する。

という目的では3条取得の考え方と合いません。

「買える人の資格」より「買った後、本当に農地として使うのか」を見る制度と考えると分かりやすいでしょう。

詳しくはこちら

▪️そもそも「農家資格」という国家資格があるわけではない

農地について、

「農家資格を取る」

という言い方をされることがあります。

しかし、宅建士や建築士のような全国共通の「農家資格」という免許証が存在し、その資格を取れば農地を購入できるという制度ではありません。

農地を農地として売買するときは、売主と買主が原則として農業委員会へ農地法3条の許可を申請します。

そこで買主側の営農計画などを確認します。

もちろん、

認定農業者。

認定新規就農者。

農地所有適格法人。

など、農業制度上の別の名称や仕組みはあります。

しかし、個人が農地法3条で農地を取得するために、

最初から「既存農家」という肩書きが絶対条件になるわけではありません。

▪️2023年4月に「下限面積要件」が廃止された

ここが大きな制度変更です。

以前の農地法3条には、農地取得後の経営面積について一定以上の面積を求める下限面積要件がありました。

都府県では原則50a、つまり5,000㎡という基準があり、地域によって農業委員会が別の面積を設定する仕組みもありました。

そのため以前は、

「農地を買いたいのに、一定面積の農地を確保しなければ許可を受けにくい」

というハードルがありました。

しかし、この下限面積要件は2023年4月1日に廃止されています。

現在は、

5,000㎡持っていない。

小さな畑から始めたい。

という面積だけを理由に3条許可が否定される仕組みではありません。

新規就農者など多様な人が農業へ参入しやすくする方向へ制度が変更されています。

▪️ただし「1㎡でも自由に買えるようになった」わけではない

下限面積がなくなった。

だから誰でも好きな農地を買える。

という意味ではありません。

廃止されたのは、あくまで一定面積以上を持たなければならないという要件です。

それ以外の3条許可要件は残っています。

個人が農地を取得する場合、特に重要なのは、

・取得する農地を含め、農地を効率的に利用すること

・必要な農作業に常時従事すること

・周辺農地の効率的・総合的な利用へ支障を生じさせないこと

です。

つまり制度変更は、

「農地を資産商品として自由化した」

のではなく、

小さな面積からでも本当に農業を始めたい人が参入しやすくなった

と理解する方が正確です。

▪️条件① 買った農地を本当に利用できるか

3条許可では、取得する農地を適切に利用できるか確認します。

例えば、

農機具を用意できるのか。

必要な労働力があるのか。

その作物を育てられる営農計画になっているのか。

現在すでに所有・借用している農地がある場合、それらも適切に利用されているか。

といった点です。

農地を買ったものの、

仕事が忙しいから何年も放置。

遠すぎてほとんど行かない。

実際には耕作する予定がない。

では、農地を取得する制度の趣旨と合いません。

農業経験がないから即不許可なのではなく、未経験でも実行できる計画になっているかが重要になります。

▪️条件② 「年間150日」は絶対的な足切りではない

農地法3条では、個人について必要な農作業へ常時従事することが要件になります。

この説明でよく出てくるのが、

「年間150日以上農作業をしないと農地を買えない」

という話です。

農林水産省の事務処理基準では、年間150日以上農作業へ従事する場合は原則として「常時従事」と認める考え方が示されています。

しかし、150日未満なら自動的に不許可になるわけではありません。

栽培する作物などから必要な農作業日数が150日未満でも、必要な農作業があるときに取得者等がきちんと従事できるのであれば、常時従事と認められる場合があります。

例えば農作物によって、

毎日作業が必要なのか。

特定時期に作業が集中するのか。

必要な作業日数は変わります。

「150」という数字だけで農業参入を諦めず、具体的な営農計画を農業委員会へ相談することが重要です。

▪️条件③ 周辺農家と無関係に好きな農業をすればよいわけではない

農地は一筆だけ独立して存在しているとは限りません。

周囲の農地と、

農業用水。

排水。

農道。

共同防除。

などを共有している場合があります。

そのため3条許可では、周辺の農地利用へ支障を生じさせないことも確認します。

例えば、

地域で共同利用している農業用水の調整へ参加しない。

まとまって利用されている農地を分断する。

周囲の農業へ重大な影響を与える方法で利用する。

といったケースは問題になります。

農地購入では、自分の一筆だけを見るのではなく、地域の農業の中で利用する土地という視点も必要です。

▪️「最初から農地を持っていないと買えない」という矛盾はなくなった

以前の下限面積要件を前提にすると、

農業を始めたい。

農地が必要。

しかし一定面積の農地がないと取得しにくい。

という、新規就農者には分かりにくい状態がありました。

2023年の改正では、この面積要件が削除されています。

そのため現在は、

農地を一切所有していない人。

小さな農地から農業を始めたい人。

新しく地域へ移住して農業を始めたい人。

にも取得の可能性があります。

もちろん、取得する農地を適切に利用できることなど他の要件は必要です。

制度上は、

「農地を持っていないから農地を買えない」

という循環は解消されています。

▪️家庭菜園をしたいだけでも農地を買える?

例えば、

「老後に野菜を作りたいので100坪の畑が欲しい」

というケースです。

下限面積要件がなくなったため、100坪という小ささだけで3条許可が否定されるわけではありません。

ただし重要なのは、その土地を農地として継続的に利用する意思と計画です。

一方、

年に数回だけ遊びに行く。

管理できなければ草地のままでもいい。

将来値上がりしたら売る。

という実態なら話は変わります。

小規模農業と、単なる土地所有は別です。

小さな面積で始める場合ほど、

何を作るのか。

どの程度通えるのか。

農機具や水をどう確保するのか。

を具体化しておくと相談しやすくなります。

▪️売買契約をしただけでは農地の所有権を取得できない

農地を見つけ、

売主と100万円で合意した。

契約書にも署名した。

これだけで普通の土地と同じように所有権を取得できるわけではありません。

農地を農地として売買する場合、原則として農地法3条の許可が必要です。

許可を受けずに行った農地の権利移転は、農地法上その効力を生じません。

そのため実際の売買では、3条許可を前提とした契約条件や決済スケジュールを整理します。

「安い農地を見つけたから、とりあえず買ってから農業委員会へ相談する」

という順番ではなく、購入前に農業委員会へ相談する方が安全です。

詳しくはこちら

▪️転用目的なら「一般人でも3条で買える?」という話ではなくなる

ここは非常に重要です。

例えば、

農地が安いから買う。

購入後に駐車場へ変える。

月極駐車場として収益化する。

という目的なら、農地を農地のまま取得する3条とは別の話になります。

最初から農業以外へ利用する目的で権利を取得するなら、農地法5条による転用目的の権利移転などを確認します。

さらに、

農振農用地区域。

農地区分。

都市計画。

開発許可。

などが関係する場合があります。

「一般人でも農地を買えるようになった」=転用目的で安い農地を自由に仕入れられる

ではありません。

投資目的なら、取得方法と最終用途を最初からセットで確認します。

詳しくはこちら

▪️農業を始めたいなら「買う」より先に「借りる」方法もある

農地を取得できる可能性があっても、最初から購入する必要はありません。

特に新しく農業を始める場合は、

・本当に継続できるか

・その土地で予定した作物を作れるか

・農業収入がどの程度になるか

をまだ判断できないことがあります。

この場合、農地を借りて始める方法もあります。

2025年4月以降、農地貸借については農地バンクを経由する仕組みへの一本化が進んでいます。

農地法3条許可による貸借も引き続き利用可能です。

まず借りて農業を始める。

経営が安定する。

必要性が確認できたら取得を検討する。

という順番なら、最初の資金負担を抑えることもできます。

詳しくはこちら

▪️農地購入前に確認したい5つの項目

一般の人が農地購入を考えるなら、価格交渉より先に次を整理しておきましょう。

・農地として何を栽培するのか

・自分や世帯員等が必要な農作業を行えるか

・農機具、水、進入路などを確保できるか

・周辺農地との利用関係に問題がないか

・農地として使うのか、転用したいのか

特に最後は重要です。

農業をしたい人と、

駐車場を作りたい人と、

将来の値上がりを期待している人では、使う制度が違います。

農地法3条は農業利用を続けるための取得と考えましょう。

▪️安い農地を買って土地活用したいなら、購入前に事業費まで出す

農地の購入目的が将来の土地活用なら、

購入価格だけを見ると判断を誤ります。

例えば土地が100万円でも、

農地転用。

測量。

造成。

排水。

進入路。

などに数百万円かかる可能性があります。

さらに予定している活用が法令上実現できなければ、その計画自体を変更する必要があります。

だから、

農地を買ってから活用方法を考える。

のではなく、

やりたい活用を決めてから、その農地を取得できる方法を確認する。

この順番が重要です。

〖PR〗農地を転用して駐車場・賃貸住宅などの土地活用を検討している場合は、一つの方法へ決める前に複数の活用案を比較する方法もあります。

▪️売る側も「一般人には売れない」と決めつけない

相続した小さな畑について、

「近所の農家しか買えないから、ほとんど価値がない」

と考えている所有者もいるでしょう。

しかし2023年の下限面積要件廃止によって、小規模な農地でも新規就農者などが取得を検討できる制度になっています。

もちろん具体的な買主は3条要件を満たす必要があります。

それでも、

大規模農家しか買えない。

という前提だけで売却可能性を諦める必要はありません。

近隣農家。

新規就農者。

農業法人。

農地バンクによる貸付。

など、土地条件に応じた出口を確認します。

詳しくはこちら

〖PR〗相続した農地を持っていて、農地のまま売るか別の方法を考えるか迷っている場合は、現在の土地としての売却可能性を確認する方法もあります。

▪️よくある質問|一般人の農地購入と農地法3条

Q.農家ではない会社員でも農地を買えますか?

会社員という理由だけで一律に購入できないわけではありません。

取得後に農地を適切に利用し、必要な農作業へ従事できるかなど3条の要件を確認します。

Q.農地を一切持っていなくても買えますか?

2023年4月に下限面積要件が廃止されているため、先に一定面積の農地を所有していること自体は現在の必須条件ではありません。

Q.年間150日農作業できなければ許可されませんか?

年間150日以上は常時従事と判断する原則的な目安です。

150日未満でも、その農業に必要な作業があるときに適切に従事できる場合は認められることがあります。

Q.安い農地を買って将来まで持っておくことはできますか?

農地法3条は農地を適切に農業利用することを前提としています。

値上がり待ちや単純な資産保有を目的とした取得とは分けて考える必要があります。

▪️まとめ|2023年から「面積」より「本当に農業をするか」が重要になった

以前の農地取得では、一定以上の経営面積を求める下限面積要件が大きなハードルでした。

しかし2023年4月、この要件は廃止されました。

そのため現在は、

小さな畑から始めたい。

農地をまだ所有していない。

新しく農業へ参入したい。

という人にも農地取得の可能性があります。

一方で、農地法3条そのものがなくなったわけではありません。

現在も、

・農地を効率的に利用する

・必要な農作業へ従事する

・周辺農地へ支障を与えない

という基本的な条件を確認します。

つまり制度変更によって、

「広い農地をすでに持っている人しか買えない」から、「面積に関係なく、本当に農業をできる人かを見る」方向へ変わった

と考えると分かりやすいでしょう。

一般人でも農地を買える可能性はあります。

しかし、

安いから。

将来上がりそうだから。

何となく畑を持ってみたいから。

という理由だけで普通の土地と同じように購入できるわけではありません。

まず、

何を作るのか。

誰が作業するのか。

継続できるのか。

農地を買う必要があるのか。

を決めます。

そのうえで地番と営農計画を持って農業委員会へ相談する。

「農家資格を取る」ことより、農地をどう使うかを具体化する。

これが、2026年現在の農地購入を理解するうえで最も重要なポイントです。

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