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接道義務を満たさない空き家はそのまま使える?既存不適格・改修・売却の7つの確認

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 4月6日
  • 読了時間: 13分

更新日:8月21日


古い実家や空き家を売ろうとして調査したところ、

「接道義務を満たしていない可能性があります」

「今の建物はありますが、建て替えは確認が必要です」

と言われることがあります。

そこで、

「建て替えできないなら、今ある家も使えないのでは?」

と不安になる方もいるでしょう。

しかし、

現在建っている建物を利用できるかという問題と、将来その建物を解体して新築できるかという問題は同じではありません。

さらに、接道義務を満たしていない古い建物でも、その建物が「既存不適格建築物」なのか、もともと法令に適合せず建てられた「違反建築物」なのかによって考え方が変わります。

大規模なリフォームを考える場合にも、建築確認が必要になる工事と、比較的小規模な修繕では手続きが異なります。

この記事では、

接道義務に問題がある空き家を、壊す・直す・売る前に確認したい7つの判断

を整理します。

本記事には広告・PRを含みます。



▪️まず結論|接道問題がある家ほど「建物が残っている意味」を先に確認する


旧記事では、

「接道NG=建て替え不可予備軍」

「銀行NG」

「一気に不良資産化」

という流れで書いていました。

しかし、これでは現在ある建物と将来の建て替えを一緒にしています。

接道に問題がある住宅では、まず、

・現在の建物はどのような経緯で建てられたのか


・今のまま利用できる状態なのか


・どの程度の修繕を予定しているのか


・建て替える場合には何が必要なのか

を分けて確認します。

特に注意したいのが、

「どうせ再建築できないなら壊して土地にしよう」

と先に解体することです。

現在の建物を利用できる物件なら、解体することでその選択肢まで失う可能性があります。

だから接道条件に問題がある空き家ほど、

建物を残した状態で調査と査定を行う

ことが重要です。



▪️判断①|まず「既存不適格」と「違反建築」を分ける


古い建物が現在の接道基準を満たしていないからといって、すべて違反建築物になるわけではありません。

例えば、建築された当時は適法だったものの、その後の法改正や都市計画区域への編入などによって現在の基準へ合わなくなった建物があります。

このような建物は、一定の場合に既存不適格建築物として扱われます。

一方、建築された時点から必要な基準を満たさず、必要な許可も得ずに建てられていたのであれば、同じ扱いにはなりません。

ここを確認せず、

「古いから既存不適格だろう」

と決めるのは避けます。

確認したいのは、

・建築時期


・当時の道路状況


・建築確認や検査の記録


・過去の増改築履歴


・43条関係の認定や許可履歴

です。

古い資料が残っていない場合もあるため、行政の建築担当窓口や建築士、不動産会社などと確認します。

接道そのものの基本的な確認はこちらで詳しく整理しています。



▪️判断②|「現在住める」と「建て替えできる」を分ける


接道義務を満たしていない住宅でも、現在建っている建物をそのまま使っているケースがあります。

そこで売却時には、

今の建物を利用すること

と、

将来解体して新しい建物を建てること

を分けて説明します。

買主が現在の建物を修繕しながら使いたいのであれば、建物状態や予定している工事内容が重要です。

一方、取得後すぐ解体して新築したい買主なら、道路種別、接道幅、43条2項の認定・許可など、再建築に関する条件が重要になります。

つまり、

同じ物件でも買主の利用目的によって確認するポイントが変わります。

「再建築に確認が必要だから誰も買えない」のではなく、現在の建物を利用する買主と、新築を前提にする買主を分けて考えます。



▪️判断③|接道義務を満たさない既存住宅でも改修できる場合がある


接道条件に問題があると、

「リフォームもできないのでは?」

と思うことがあります。

しかし、接道義務を満たしていない建物だから、クロスの張り替えや設備交換を含めたすべての改修が禁止されるわけではありません。

重要なのは、

どの程度の工事を行うのか

です。

キッチンやトイレなどの設備交換、内装の一部修繕と、主要構造部へ大きく手を入れる工事では法的な扱いが違います。

また既存不適格建築物については、一定の条件を満たす大規模修繕・大規模模様替えについて、接道義務などを現在の基準へ全面的に合わせることを求めない仕組みがあります。

ただし、

接道を満たさない古い家なら自由に大規模改修できる

という制度ではありません。

現在の建物が既存不適格なのか、予定している工事がどの範囲なのか、利用者の増加を伴う用途変更がないかなどを確認する必要があります。

大きなリフォームを前提に売却するなら、買主へ「リフォーム可能」と断定する前に建築士や行政へ相談します。



▪️判断④|2025年4月以降は大規模リフォームの建築確認にも注意する


中古住宅を購入して、

「柱や屋根まで含めて大きく直したい」

という買主もいます。

ここで現在の制度として確認したいのが、木造戸建ての大規模リフォームです。

2025年4月以降、2階建て木造一戸建て住宅などについて、主要構造部の過半を修繕・模様替えするような大規模工事では、新たに建築確認手続きが必要になる範囲が広がっています。

一方、

キッチンやトイレ、浴室の交換。

壁紙や床材などの仕上げ改修。

手すりの設置。

といった工事まで、すべて同じ手続きになるわけではありません。

だから接道問題のある築古住宅を、

「フルリノベーション向き物件」

として販売する場合には注意が必要です。

買主が予定する工事内容によっては、接道や既存建物の法的状態を含めた確認が必要になります。

売主側で、

「建て替えは無理だけどリノベーションなら何でもできます」

とは説明しない方が安全です。



▪️判断⑤|建て替えを考えるなら43条2項の可能性を別に確認する


現在の建物を使う方法とは別に、将来の再建築可能性も整理します。

建築基準法では、接道規定が適用される区域では、敷地は原則として幅員4m以上の建築基準法上の道路へ2m以上接する必要があります。

しかし原則の接道条件を満たしていない土地でも、一定の場合には建築基準法43条2項による認定・許可を検討できることがあります。

特定行政庁が周辺の道や空地、交通、安全、防火、衛生などを踏まえて個別に判断する制度です。

そのため、

接道義務を満たしていない=将来永久に建築できない

と売主側だけで決めません。

一方で、過去に同じ敷地で認定や許可を受けていたとしても、将来の建築でも必ず同じ判断になるとは限りません。

再建築不可と言われた後の43条2項や売却方法はこちらで詳しく整理しています。



▪️過去の許可履歴は重要だが「次も絶対」ではない


古い住宅では、

「昔、但し書きで建てたらしい」

という話が家族に残っていることがあります。

以前は43条但し書きという表現が使われていましたが、現在の制度では43条2項の認定・許可として整理されています。

過去の許可書、建築確認概要書、配置図などが残っているなら、売却前に確認する価値があります。

買主から見ても、

どのような条件で現在の建物が建てられたのか

を知る材料になるからです。

ただし、過去の許可実績を根拠に、

「次の建て替えも問題ありません」

と保証することは避けます。

新しい建築計画については、その時点の制度と敷地条件で改めて確認します。



▪️判断⑥|接道不足を解決するために先に隣地を買わない


接道幅が足りないと、

「隣から30cm買えば2mになる」

「通路を広げれば売りやすくなる」

と考えることがあります。

実際に接道幅不足だけが問題で、建築基準法上の道路へ必要な接道を確保できるのであれば、隣地取得などで条件が改善する可能性があります。

しかし、

前面通路自体が建築基準法上の道路でない場合は、接道部分を広げるだけでは解決しないことがあります。

さらに隣地購入には、土地代、登記、測量などの費用も必要になります。

だから先に隣地所有者へ、

「少し売ってください」

と交渉するのではなく、

現在何が原因で建築条件を満たしていないのか

を確認します。

費用を使うのは、その対策で本当に再建築条件が改善することを確認してからです。



▪️判断⑦|接道問題がある家ほど解体前に「既存建物の価値」を査定する


接道義務を満たしていない家が古くなっていると、

「建物に価値はないから壊した方がいい」

と思うかもしれません。

しかし接道問題がある土地では、この判断は特に慎重に行います。

現在の建物を利用できる一方、解体後の再建築が難しい土地なら、

建物そのものが利用可能性を残している

からです。

解体して更地にしても、前面道路や接道幅は変わりません。

そのため、

・現在の建物付きでの査定


・現在の建物状態


・必要な修繕費


・再建築の可能性


・更地にした場合の査定


・解体費

を比較します。

建物付きで購入する人がいるなら、売主が解体費を負担せず売却できる可能性があります。

解体前に査定する理由はこちらです。



▪️「リフォームしてから売る」も先に決めない


既存建物を残す価値がありそうだと、

「それなら売主が全面リフォームすれば高く売れるのでは?」

と考えることがあります。

しかし接道条件が特殊な住宅では、買主が限定されやすく、大きなリフォーム費を価格で回収できるとは限りません。

さらに工事内容によっては、建築確認や既存不適格部分の確認も必要になります。

そこで、

現状査定と修繕後の想定価格を先に比較します。

雨漏りや設備故障など、最低限直した方が利用しやすい部分だけ修繕する方法もあります。

反対に買主が自分で改修したい物件なら、売主側で全面リフォームしない方が合う場合もあります。

現在の家を「残せる」ことと、

売主が費用をかけて残すべきことは別

です。



▪️買主へ伝えるのは「再建築不可」という一言だけではない


接道条件が複雑な住宅を販売するとき、

「再建築不可」

とだけ書かれている物件があります。

しかし買主が知りたいのは、その言葉の理由です。

例えば、

・道路へ接していないのか


・接道幅が不足しているのか


・前面が法上の道路ではないのか


・43条2項を検討できるのか


・現在建物をどこまで利用できるのか


・過去の許可記録があるのか

によって判断は変わります。

確認できた内容を整理し、

分かっていることと、今後個別確認が必要なことを分ける

方が、買主も検討しやすくなります。

空き家を売る前の現地・資料確認はこちらです。



▪️融資は「接道NGだから銀行全部ダメ」と断定しない


旧記事では、

「銀行NG」

と短く結論づけていました。

接道や再建築に制約がある物件では、一般住宅より担保評価や融資審査が慎重になり、利用できる金融機関が限られる可能性があります。

しかし審査は、物件価格、買主の属性、担保条件、利用目的、金融機関ごとの基準などによって変わります。

したがって売主側で、

「住宅ローンは使えません」

と一律に決めるのではなく、道路・建築条件を整理して買主側から金融機関へ確認してもらいます。

売主ができることは、融資結果を予想することより、

金融機関が判断できるだけの物件情報を整理すること

です。



▪️一般の住宅購入者だけで難しければ現状買取も比較する


現在建物が利用できても、接道条件が複雑で一般の買主が判断しにくいケースがあります。

さらに建物の老朽化、遠方管理、相続などが重なれば、売主自身で行政確認や改修まで進めることが負担になることもあります。

その場合は、

一般仲介と現状買取を同時に比較します。

一般仲介では、現在の建物を使いたい買主へ時間をかけて売却できる可能性があります。

一方、不動産事業者の買取では、接道や改修条件を事業者側で確認したうえで現状評価してもらえる場合があります。

比較するのは、

・仲介で想定される売却価格


・売れるまでの期間


・その間の固定資産税や管理費


・売主が負担する修繕費


・現状買取価格

です。

仲介と買取の違いはこちらです。

接道や再建築の事情がある空き家を現状のまま相談したい場合はこちらです。



▪️接道義務を満たさない家はこの順番で判断する


最初に、現在の建物がどのような経緯で建築されたのかを調べます。

次に、現在の道路種別、接道幅、過去の認定・許可記録を確認します。

そこで現在の建物が既存不適格なのか、別の問題があるのかを整理します。

現在建物を利用する予定なら、必要な修繕内容を確認し、大規模な工事になる場合には建築確認や既存不適格に関する扱いを専門家へ確認します。

将来建て替える可能性があるなら、43条2項なども含めて再建築の可能性を別に調べます。

ここまで確認してから、

現状売却・最低限の修繕・一般仲介・現状買取・必要なら解体

を比較します。

この順番なら、

接道義務を満たしていない


→ 再建築不可


→ 建物は無価値


→ 解体

と一気に結論を出すことを避けやすくなります。



▪️まとめ|接道問題のある家は「建て替え」だけで価値を判断しない


接道義務を満たしていない空き家でも、

現在の建物がすぐ使えないと決まったわけではありません。

まず確認したいのは、その建物がどのような経緯で現在の状態になったのかです。

建築当時は適法で、後から基準に合わなくなった既存不適格建築物と、違反建築物は同じではありません。

また既存不適格建築物については、一定の大規模修繕・模様替えで接道義務などの遡及適用を合理化する仕組みがあります。

一方、2025年4月以降は木造2階建て住宅などの大規模リフォームで建築確認が必要になる範囲も広がっています。

だから、

「建て替えできないならリフォームすればいい」

とも、

「接道を満たさないから何もできない」

とも決めません。

確認するのは、

・建築当時の状態


・既存不適格かどうか


・現在の建物状態


・予定する改修内容


・接道と道路種別


・43条2項の可能性


・解体前の建物付き価値

です。

旧記事のように、

接道義務を満たさない家=将来性がない家

と一言で評価する必要はありません。

むしろ接道に問題がある物件ほど、

現在ある建物をどこまで利用できるのかを確認してから、建て替え・改修・売却・解体を分けて考える。

これが、既存建物の選択肢を失わずに出口を決めるための基本です。



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