top of page

接道条件が悪い空き家は売れる?道路幅・接道2m・セットバックを分ける7つの確認

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 4月5日
  • 読了時間: 14分

更新日:8月21日

相続した空き家を売却しようとして、不動産会社から、

「前の道路が狭いですね」

「接道条件を確認した方がいいです」

「建て替えできるか役所確認が必要です」

と言われることがあります。

そこで、

「道路が狭い家は売れないのでは?」

と不安になる方もいるでしょう。

しかし、接道条件には複数の問題が混ざっています。

道路幅が狭いこと、車が入れないこと、建築基準法上の道路ではないこと、道路への接し方が不足していることは、それぞれ別の問題です。

さらに幅員4m未満の道路でも、建築基準法42条2項道路として扱われている場合があります。

つまり、

道路が狭い=再建築不可

ではありません。

反対に、現地では幅の広い道路に見えても、建築基準法上の道路として扱われていないケースもあります。

だから空き家を売る前に必要なのは、

「接道が悪い」という一言を、法的な接道条件と実際の使いやすさへ分解すること。

この記事では、接道条件が気になる空き家について、値下げ・解体を決める前に確認したい7つのポイントを整理します。

本記事には広告・PRを含みます。



▪️まず結論|「道路が狭い」と「再建築できない」は別問題


旧記事では、

「道路幅4m未満」

を売れにくい条件としてまとめていました。

しかし、道路幅が4m未満だからといって、それだけで建て替えできないわけではありません。

建築基準法には、幅員4m未満でも一定の条件を満たし、特定行政庁から指定された既存の道を道路として扱う42条2項道路があります。

このような道路では、建替えなどの際に道路後退、いわゆるセットバックが必要になることがあります。

一方、見た目は普通の通路でも、建築基準法上の道路ではない場合があります。

そのため最初に確認するのは、

何mある道路かではなく、「その道路が建築基準法上どう扱われているか」。

ここから始めます。



▪️判断①|前面の道が「建築基準法上の道路」なのか確認する


空き家の前に道路があるからといって、建築基準法上も必ず「道路」として扱われているとは限りません。

建築基準法上の道路には複数の種類があります。

例えば、一般的な道路のほか、位置指定道路や、幅員4m未満の42条2項道路などがあります。

一方で、現地では舗装されていて人や車が通っていても、法上の道路ではなく単なる通路として扱われていることもあります。

ここを確認せず、

「公道だから大丈夫」

「私道だから建てられない」

と判断するのも適切ではありません。

公道・私道という所有関係と、建築基準法上の道路に該当するかは別の確認です。

売却前には、道路種別、幅員、道路境界、敷地との接し方について、土地所在地の建築担当窓口や不動産会社、必要に応じて建築士などへ確認します。

空き家の査定前に道路や境界を確認する考え方はこちらです。



▪️判断②|「接道2mあるか」と「車が入れるか」を分ける


建築基準法の接道規定が適用される区域では、建築物の敷地は原則として、建築基準法上の道路へ2m以上接することが求められます。

ここで注意したいのが、

法的な接道幅と、実際に車が通れる幅は同じではない

ということです。

例えば旗竿地で、道路へ接する部分が2m以上確保されていても、ブロック塀や電柱、敷地形状などによって車の進入が難しいことがあります。

反対に、車が普通に通っている通路でも、その通路自体が建築基準法上の道路ではない場合があります。

だから売却では、

建築できるか

と、

日常生活で使いやすいか

を別々に確認します。

買主が住宅として検討するときには、駐車だけでなく、引っ越し車両や工事車両が入れるかも判断材料になることがあります。

接道2mギリギリの土地について詳しく確認したい場合はこちらです。



▪️「2mある」と書いてあるだけで安心しない


販売資料や古い図面に、

「接道2.0m」

と書いてあることがあります。

しかし売却前には、現況も確認します。

境界標の位置、ブロック塀、門柱、越境物などによって、現地で使える幅が分かりにくくなっていることがあるからです。

また、敷地の一部を隣地所有者と共同で通っている場合には、所有関係や通行に関する権利も確認します。

重要なのは、

図面上の数字だけで「接道義務を満たしている」と売主側が断定しないこと。

建築可否が売却価格へ大きく影響しそうな物件では、行政確認や測量資料などを使って条件を整理します。



▪️判断③|幅員4m未満なら42条2項道路かを確認する


古い住宅地では、前面道路が4m未満ということがあります。

ここで、

「4mないから再建築不可」

と考えるのは早すぎます。

建築基準法42条2項では、法律の適用時にすでに建築物が立ち並んでいた一定の道について、特定行政庁の指定によって道路として扱う仕組みがあります。

この場合、建て替えなどの際に、原則として道路中心線から一定距離を後退するセットバックが必要になります。

一般的には道路中心線から両側2mとなるよう後退しますが、道路の反対側が川や崖などの場合を含め、具体的な後退位置は道路状況によって異なります。

そのため売却前には、

・42条2項道路に該当するのか


・現在の道路幅は何mか


・道路中心線はどこか


・どの程度のセットバックが必要になりそうか


・後退後も建築計画が成立する敷地なのか

を確認します。

セットバックが必要=売れない

でもありません。

重要なのは、買主が取得後にどの程度土地を利用できるのかを説明できることです。



▪️セットバック部分は「土地が消える」という意味ではない


セットバックについて、

「道路に取られるから土地がなくなる」

と表現されることがあります。

しかし、売却実務ではもう少し丁寧に考えます。

後退部分は建築物や門・塀などを設けられない範囲になるため、建築可能な敷地の使い方へ影響します。

一方で、セットバックが必要だからといって、登記簿上の土地面積がその場で自動的に減るという話ではありません。

自治体によっては、後退部分の整備、寄付、買い取りなどに関する制度を設けている場合もあります。

だから、

登記面積だけではなく、セットバック後に住宅用地としてどの程度使えるか

を買主へ示すことが重要です。



▪️判断④|接道義務を満たさなくても、すぐ「永久に再建築不可」と決めない


前面が建築基準法上の道路ではない、または道路への接し方が不足している場合でも、そこで確認を終わらせないことが重要です。

建築基準法43条2項には、一定の条件を満たす建築物について、接道義務の適用を除外できる認定・許可制度があります。

例えば、敷地周辺の空地や道・通路の状況などを踏まえ、交通上、安全上、防火上、衛生上支障がないかを特定行政庁が判断します。

ただし、

43条2項があるから必ず建て替えできる

という意味ではありません。

敷地条件、周辺状況、建築する建物の用途や規模、自治体の運用などを確認する必要があります。

また以前の建物について認定や許可を受けた履歴があっても、将来どのような建築計画でも同じ結果になると決めつけない方が安全です。

「再建築不可」と言われた空き家について、43条2項を含めて詳しく確認したい場合はこちらです。



▪️隣地から通路を借りれば自動的に再建築可能になるわけではない


接道が不足していると、

「隣の土地を少し通らせてもらえばいい」

「通行承諾を取れば再建築できる」

と考えることがあります。

しかし、民法上や当事者間で通行できることと、建築基準法上の接道義務を満たすことは同じではありません。

接道幅を確保するために隣地の一部を購入する方法が考えられる場合もありますが、

その先にある道自体が建築基準法上の道路なのか

まで確認する必要があります。

また私道の場合には、所有権だけでなく、通行や道路工事、上下水道などの掘削について確認が必要になるケースもあります。

だから隣地交渉を始める前に、

何を改善すれば建築条件が変わるのか

を行政や専門家へ確認してから動きます。



▪️判断⑤|法的に建築できても「生活上の道路条件」が売却を止めることがある


建築基準法上は問題がなくても、買主が道路条件を気にすることがあります。

例えば、車1台が通るのがやっとの道路では、対向車とのすれ違いや毎日の駐車が負担になる場合があります。

道路から敷地まで高低差が大きければ、車庫やアプローチ工事へ費用が必要になることもあります。

また旗竿地では、竿部分の長さや幅、曲がり方によって車両の進入条件が大きく変わります。

つまり、

「建築基準法を満たす土地」と「その買主にとって使いやすい土地」は同じではありません。

だから販売資料では、

「接道あり」

だけで終わらず、道路幅、間口、駐車方法、現地までの進入状況などを分かりやすく示した方が判断しやすくなります。

道路条件が悪い土地全体の売却方法はこちらでも詳しく整理しています。



▪️判断⑥|「接道が悪いから住宅ローン不可」と断定しない


旧記事では、

「銀行融資が通らない」

と書いていました。

これも一律には言えません。

金融機関は、申込者の返済能力だけでなく、購入する不動産の担保評価や建築条件なども含めて個別に審査します。

そのため、再建築できない可能性が高い物件や、権利関係が複雑な物件では、一般的な住宅より融資を利用しにくくなる場合があります。

一方で、

道路が狭いだけで全国すべての金融機関が融資しない

というルールではありません。

売主側で「ローン不可」と決めるのではなく、まず道路種別と再建築条件を明確にします。

そのうえで購入希望者が融資を利用する場合には、対象金融機関へ物件条件を伝えて確認してもらいます。

道路の法的状態が曖昧なままでは金融機関も判断しにくいため、

価格を下げる前に物件情報を整理すること

が大切です。



▪️判断⑦|接道問題があるほど、解体は最後に判断する


旧記事では、

「解体して土地で売る」

を対策の一つとしていました。

しかし接道に問題がある空き家で、これは特に慎重に考えたい判断です。

現在建物が残っていて利用できる一方、解体後の再建築可否が不明な物件もあります。

その状態で建物を先に壊してしまえば、

「現在ある住宅を使いたい」という買主まで失う可能性があります。

また、更地にしても道路条件そのものは変わりません。

接道不足が原因で建築できない土地なら、建物を壊しただけで普通の住宅用地になるわけではありません。

だから解体前には、

・現在の建物付き査定


・道路種別と接道幅


・建て替えの可否


・43条2項の可能性


・解体後の土地としての査定


・解体費用

を確認します。

解体してから接道問題を調べるのではなく、接道を調べてから解体する。

この順番が重要です。

解体前に査定する理由はこちらです。



▪️接道条件を説明できれば、買主を探しやすくなる場合がある


道路条件が複雑な物件で買主が不安になる理由の一つが、

「結局、この家は将来どうなるのか分からない」

という状態です。

例えば、

前面道路の種別が分からない。

セットバック面積が分からない。

接道幅が資料によって違う。

再建築できるのか回答が曖昧。

という状態では、購入判断をしにくくなります。

反対に、

「42条2項道路で、建替え時にはこの範囲のセットバックが想定される」

「現在の接道幅は確認済み」

「道路ではないため、再建築について行政確認が必要」

というように、分かっていることと未確認事項を整理すれば、買主も検討しやすくなります。

問題のある物件を問題のない物件に見せるのではなく、問題の内容を見えるようにする。

道路条件が複雑な空き家ほど、この考え方が重要です。



▪️価格を下げる前に「法的問題」と「使いにくさ」を分ける


接道条件が悪い空き家を売り出して反応が少ないと、

「道路が悪いから100万円下げよう」

と考えることがあります。

しかし、買主が気にしている理由が、

再建築できない可能性なのか、車が入りにくいことなのか、価格そのものなのかによって対策は違います。

再建築条件が不明なら、まず行政確認を行います。

車の進入が問題なら、現地で駐車方法や進入ルートを確認します。

販売価格が原因なら、周辺相場や道路条件を考慮した査定を比較します。

だから、

「接道が悪い」という一つの言葉で一律に値引きしない。

現在の評価を複数社で確認したい場合はこちらです。



▪️一般の住宅購入者だけで難しい場合は売却ルートを広げる


道路条件を調べた結果、再建築が難しい、車が入れない、土地形状にも制約があると分かることがあります。

その場合でも、

売却できないと決まったわけではありません。

現在の建物を利用する人、リフォームして賃貸運用する投資家、隣地所有者、不動産事業者など、一般的な新築住宅用地とは違う買主を検討できる場合があります。

一般仲介で長期間動かない場合には、現状買取も比較します。

ただし買取なら必ず高くなるわけではありません。

一般仲介で期待できる価格、売却期間、その間の保有費、現状買取価格を比べます。

仲介と買取の違いはこちらです。

接道や再建築などの事情があり、一般市場で扱いにくい空き家を現状のまま相談したい場合はこちらです。



▪️接道条件が悪い空き家はこの順番で調べる


最初に、前面の道が建築基準法上どのような道路なのか確認します。

次に、敷地がその道路へ何m接しているのか、境界や現況を確認します。

幅員4m未満なら、42条2項道路なのか、セットバックがどの程度必要になるのかを調べます。

通常の接道条件を満たさない場合には、43条2項の認定・許可を含め、建築できる可能性が残っていないかを確認します。

その後に、

車の進入、駐車、工事車両など実際の使いやすさ

を見ます。

ここまで分かった状態で査定を取り、一般仲介、現状買取、建物付き売却、必要なら解体を比較します。

この順番なら、

道路が狭いという理由だけで「再建築不可」と決めたり、建物を先に壊したりする判断

を避けやすくなります。



▪️まとめ|接道が悪い家は「道路の正体」が分かると売り方が変わる


接道条件が悪い空き家でも、必ず売れないわけではありません。

そして、

道路幅4m未満=再建築不可

でもありません。

幅員4m未満でも42条2項道路として扱われている場合があり、建替え時などにセットバックを行うことで建築できるケースがあります。

反対に、見た目では十分な幅がある通路でも、建築基準法上の道路ではない場合があります。

また接道が原則の条件を満たしていなくても、43条2項の認定・許可を検討できるケースがあります。

だから確認するのは、

・前面道路の法的な種類


・道路幅


・接道幅


・セットバック


・再建築可否


・車の進入や駐車


・売却方法

です。

旧記事のように、

「道路が狭いから候補から外される」

「接道が悪いから銀行融資が通らない」

「改善できないなら解体して土地で売る」

と一つの流れにはしません。

特に解体は、再建築条件が不明な物件ほど先に決めないことが重要です。

法的に建てられるのか。

そして、

実際に住みやすいのか。

この二つを分けて確認し、その条件を理解する買主へ届けます。

それが、接道条件の悪い空き家を必要以上に安く手放さないための基本です。



▪️関連記事


再建築不可の家は売れる?接道義務・43条2項と売却方法


接道2mギリギリの土地はなぜ売れない?


道路に面していない土地は売れない?接道条件が悪い土地の売却方法


再建築不可の土地は売れない?売却できるケースと手放す方法


再建築不可の土地はなぜ売れない?買主が慎重になる理由


桑名市の狭い道路沿いの空き家は売れる?再建築・セットバックの確認


空き家を売る前に知っておきたい現地調査とは?


空き家を解体する前に査定するべき理由


空き家を解体せず古家付き土地として売る方法


空き家を売るなら仲介と買取どちら?


空き家の査定額が会社によって違うのはなぜ?


何年も売れない空き家はどうすればいい?


最新記事

すべて表示
空き家はなぜ増え続ける?900万戸時代に実家が放置される5つの理由と相続後の判断

日本の空き家は、2023年時点で900万戸を超えています。 ニュースなどで、 「7軒に1軒が空き家」 「これから相続でさらに増える」 と聞くと、 「自分の実家もいずれ空き家になるのでは?」 と不安になる人もいるでしょう。 ただし、900万戸すべてが、 相続後に放置された戸建て住宅 というわけではありません。 賃貸募集中のアパート・マンション。 売却中の住宅。 別荘。 長期間使われていない実家。 な

 
 
地方で「管理してるつもり」が危険になるケース

■地方で「管理してるつもり」が危険になるケース 地方の空き家や土地では、 「ちゃんと管理しているつもりだった」 というケースがかなり多くあります。 特に多いのが、 ・たまに見に行く ・草刈りだけしている ・換気だけしている という状態です。 ただ実際には、 “管理しているつもり”でも、 問題が進行しているケースがあります。 今回は、地方で「管理してるつもり」が危険になりやすい理由を実務目線で整理し

 
 
空き家を見に行くだけで疲れる理由

■空き家を見に行くだけで疲れる理由 地方の空き家相談では、 「見に行くだけでしんどい」 という声がかなり多くあります。 最初は、 「たまに確認すればいい」 と思っていても、 数年後には精神的にも体力的にも重くなるケースがあります。 今回は、空き家を見に行くだけで疲れる理由を実務目線で整理します。 --- ■“何か悪くなっている気がする”が続く 空き家を見る時、 多くの人は無意識に緊張しています。

 
 
miramaru kusakari 3.png
bottom of page