空き家の固定資産税はどうなる?「6倍」の正しい意味と管理・解体前の判断
- MIRAIU

- 3月10日
- 読了時間: 11分
更新日:8月24日
▪️空き家になっても固定資産税はなくならない
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親が住んでいた実家を相続した。
転勤や施設入居などで家を使わなくなった。
誰も住んでいないのに、毎年固定資産税の納税通知書だけが届く。
このような状態になると、
「空き家なのに、なぜ税金を払い続けないといけないのか」
と感じる方もいるでしょう。
しかし固定資産税は、
その家に人が住んでいるかではなく、土地や建物を所有していることを基準として課税されます。
そのため空き家になっただけで固定資産税がなくなるわけではありません。
さらに空き家の固定資産税を調べると、
「放置すると6倍になる」
「解体すると6倍になる」
「特定空家に指定されたら6倍になる」
など、似た情報が多く出てきます。
ここで最初に知っておきたいのは、
この3つは同じ話ではないということです。
この記事では、空き家の固定資産税そのものの仕組みを中心に、
・なぜ住宅がある土地は税負担が軽いのか
・「固定資産税6倍」は何を意味するのか
・管理不全空家と税金の関係
・解体すると税金はどう変わるのか
・管理・解体・売却をどう比較するのか
を順番に整理します。
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▪️最初に「土地」と「建物」の固定資産税を分けて考える
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空き家の固定資産税を理解するときに重要なのが、
土地と建物を一緒に考えないことです。
住宅を所有している場合、基本的には、
土地に対する固定資産税。
建物に対する固定資産税。
がそれぞれ課税されます。
空き家になったからといって、建物が存在している間は建物の固定資産税が直ちになくなるわけではありません。
一方で、よく言われる、
「空き家の固定資産税が6倍になる」
という話の中心は、建物ではなく土地に適用されている住宅用地特例です。
ここを混同すると、
「建物を残せば得」
「壊すと必ず大損」
「行政から連絡が来たら税金が6倍」
といった極端な判断につながりやすくなります。
まず、
土地の税金がどう軽減されているのか。
そこから確認します。
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▪️住宅が建っている土地には「住宅用地特例」がある
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住宅の敷地として利用されている土地には、固定資産税の課税標準を軽減する住宅用地特例があります。
固定資産税では、
200㎡以下の小規模住宅用地については課税標準が6分の1。
200㎡を超える部分の一般住宅用地については課税標準が3分の1。
となります。
例えば住宅の敷地全体が200㎡以下で住宅用地特例の対象なら、
土地の評価額そのものを6分の1にするわけではなく、
固定資産税を計算するときの課税標準が6分の1になる
という仕組みです。
都市計画税が課税される地域では、都市計画税にも住宅用地に対する別の軽減があります。
つまり、
住宅が建っている土地には、
「住宅として利用される土地の税負担を軽くする仕組み」
が設けられているわけです。
空き家の税金を考えるときは、この住宅用地特例が今後も適用されるのかが大きなポイントになります。
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▪️「固定資産税が6倍」は税額が必ず6倍になるという意味ではない
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ここは旧記事から特に修正しておきたい部分です。
よく、
「住宅用地特例がなくなると固定資産税が6倍になる」
と説明されます。
しかし、
実際に届く固定資産税の請求額全体が、必ずちょうど6倍になるわけではありません。
6倍という数字は、
200㎡以下の小規模住宅用地について、
課税標準が6分の1に軽減されていることから使われています。
その軽減がなくなれば、
単純な課税標準の比較では6倍になるためです。
一方、
200㎡を超える一般住宅用地部分は3分の1なので、単純比較では3倍です。
さらに実際の固定資産税額には、
土地の評価。
負担調整。
土地の面積。
建物の固定資産税。
自治体ごとの課税状況。
なども関係します。
したがって、
「今5万円だから来年必ず30万円になる」
と一律に計算することはできません。
正確には、
住宅用地特例を失うことで、土地の固定資産税負担が大きく増える可能性がある。
と理解しておく方が適切です。
更地にした場合の「6倍」については、解体後の土地税に絞った記事で詳しく整理しています。
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▪️誰も住んでいないだけなら、すぐ住宅用地特例が外れるわけではない
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ここも誤解されやすいところです。
実家を相続して空き家になった。
数か月誰も住んでいない。
県外に住んでいて、たまにしか帰れない。
このような理由だけで、
直ちに住宅用地特例が外れるわけではありません。
問題になるのは、
住宅としての状態や管理状況がどうなっているかです。
一方で、
「空き家なら永久に住宅用地特例を受けられる」
とも限りません。
建物の状態などから客観的に住宅と認めにくい状態になっていたり、使用の見込みがなく取壊しを予定しているなど、住宅用地として扱えるか別途確認が必要になる場合もあります。
そのため、
「行政から勧告されなければ絶対に特例は残る」
と考えるのも避けた方がいいでしょう。
空き家になった時点ではなく、
建物の状態。
管理状況。
今後利用する予定。
を含めて考える必要があります。
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▪️2023年12月から「管理不全空家」も住宅用地特例に影響する
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空き家の固定資産税で大きく変わったのが、2023年12月13日に施行された改正空家法です。
それまで住宅用地特例との関係で特に注意されていたのは、
周囲へ著しい悪影響を及ぼす特定空家等でした。
改正後は、その前段階として、
管理不全空家等
という仕組みが設けられています。
管理不全空家等とは、
適切な管理が行われておらず、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家です。
市区町村は、必要な管理についてまず指導できます。
その指導を受けても状態が改善せず、放置すれば特定空家等になるおそれが大きいと判断された場合には、勧告を行うことができます。
そして重要なのが、
管理不全空家等でも、法に基づく勧告を受けると住宅用地特例の対象から外れるということです。
つまり現在は、
「まだ倒壊寸前ではないから大丈夫」
とは言えなくなっています。
ただし、
草が少し伸びた。
換気していない。
外壁が少し汚れている。
というだけで、自動的に住宅用地特例が解除されるわけでもありません。
管理状態を踏まえ、市区町村が法律に基づいて段階的に対応します。
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▪️税金が変わるポイントは「特定空家に指定された瞬間」ではない
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もう一つ重要な整理があります。
よく、
「特定空家に指定されると固定資産税が6倍になる」
と言われます。
しかし税制上の重要なポイントは、
単に名前が付いた瞬間ではなく、
法律に基づく「勧告」を受けることです。
管理不全空家等では、
指導。
勧告。
という流れがあります。
特定空家等では、
助言・指導。
勧告。
命令。
代執行。
と、さらに重い措置へ進む可能性があります。
住宅用地特例との関係では、
勧告が大きな分岐点になります。
そのため自治体から連絡や指導があった段階で、
「もう税金が6倍になった」
と慌てる必要はありません。
反対に、
通知を放置して勧告まで進むことも避ける必要があります。
特定空家等に指定された後の行政手続や売却判断については、こちらの記事に役割を分けています。
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▪️解体すると「建物の税金」と「土地の税金」が逆方向へ動くことがある
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老朽化した空き家を所有していると、
「固定資産税が上がるなら、建物を残しておいた方がいい」
と考えることがあります。
しかし判断はそれほど単純ではありません。
建物を解体すれば、
その建物について将来の固定資産税負担がなくなる方向になります。
一方で住宅がなくなれば、
土地が住宅用地特例の対象から外れ、土地側の固定資産税負担が増える可能性があります。
固定資産税は原則として毎年1月1日の状態を基準に課税されるため、
解体する時期も翌年度以降の税負担に関係します。
つまり比較すべきなのは、
「解体すると土地税が上がるか」
だけではありません。
・建物を残した場合の固定資産税
・土地の固定資産税
・解体費
・今後の管理費
・修繕費
・売却できる価格
まで並べる必要があります。
税金を守るためだけに危険な建物を残し続けると、
結果として修繕・管理・売却の負担が大きくなる場合もあります。
解体するか古家付きで売るかについては、別の記事で比較しています。
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▪️「固定資産税が安いから保有」は5年間の総負担で考える
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空き家を残す理由が、
「解体すると固定資産税が上がるから」
だけになっている場合は、一度計算をやり直した方がいいでしょう。
例えば空き家を5年間保有すると、
固定資産税だけではなく、
・火災保険
・草刈り
・庭木管理
・建物点検
・修繕
・遠方なら交通費
・管理サービス
などが発生する可能性があります。
固定資産税が年間数万円安くても、
管理や修繕にそれ以上の費用がかかるなら、
「税金を抑えるために建物を残していること」が最も安いとは限りません。
MIRAIUでは空き家を考えるとき、
単年度の税額だけではなく、
数年間で実際にいくら持ち出すのか
を見ることをおすすめします。
自分で管理できない場合の費用やサービス内容はこちらで整理しています。
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▪️固定資産税を見たら「この家を何年持つのか」まで決める
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固定資産税の納税通知書が届いたときは、
税額だけを見るのではなく、
その空き家をあと何年持つ予定なのかも考えてみてください。
例えば、
数年後に自分や家族が住む
のであれば、適切に管理しながら保有する理由があります。
賃貸や別荘として使う予定がある
のであれば、修繕費と活用後の収入を比較します。
利用予定がなく売却できそう
なのであれば、固定資産税や管理費を払い続ける前に売却を比較します。
建物の傷みが激しい
のであれば、古家付き売却と解体後売却の両方を確認します。
大切なのは、
「税金がかかるからどうするか」ではなく、「この不動産を持ち続ける理由があるか」で判断することです。
相続した実家の選択肢を広く比較したい方はこちらをご覧ください。
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▪️解体を決める前に、今の状態で売れる価格も確認する
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古い空き家を見ると、
「売るなら先に解体しないといけない」
と思うことがあります。
しかし解体は、一度行えば元に戻せません。
さらに、
解体費を支払った。
土地の住宅用地特例がなくなった。
それでも希望価格では売れなかった。
となれば、所有者の負担が増える可能性があります。
そのため、
解体前に「古家付きならいくらで売れそうか」を確認しておくことには意味があります。
例えば、
古家付き価格。
更地として売れる想定価格。
解体費。
解体後の年間固定資産税。
を並べれば、判断しやすくなります。
空き家売却前に確認しておきたい項目はこちらで詳しく解説しています。
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▪️まとめ|空き家の固定資産税は「6倍」だけで判断しない
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空き家の固定資産税を考えるとき、
最も注意したいのは、
「6倍」という数字だけを見て判断してしまうことです。
住宅用地では、
200㎡以下の部分は固定資産税の課税標準が6分の1。
200㎡を超える部分は3分の1。
という住宅用地特例があります。
管理不全空家等や特定空家等について法に基づく勧告を受けると、この住宅用地特例から外れる可能性があります。
しかし、
実際の固定資産税の請求額全体が必ず6倍になるわけではありません。
また、
空き家になっただけで直ちに特例がなくなるわけでもありません。
反対に、
税金を抑えることだけを目的として古い建物を残し続けることが、必ず有利とも限りません。
固定資産税。
建物の状態。
管理費。
解体費。
売却価格。
今後利用する予定。
これらを一緒に考えることが重要です。
「今年の税金をどう下げるか」ではなく、「この空き家をあと何年、何のために持つのか」。
そこまで整理できれば、
管理する。
売却する。
活用する。
解体する。
という次の判断がしやすくなります。
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