更地の固定資産税は本当に6倍?空き家を解体する前に確認したい税金と判断順
- MIRAIU

- 3月3日
- 読了時間: 13分
更新日:8月24日
▪️空き家を解体すると固定資産税は本当に6倍になる?
ㅤ
古くなった実家を解体したい。
倒壊する前に更地にしておきたい。
土地として売るなら、先に建物を壊した方がいいのではないか。
このように考えて調べると、
「家を解体すると固定資産税が6倍になる」
という情報を目にすることがあります。
これだけを見ると、
「税金が上がるなら、古い建物でも残した方が得なのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、実際の判断はそれほど単純ではありません。
正確には、
住宅を解体すると、土地に適用されていた住宅用地特例が外れる可能性があり、土地の固定資産税負担が大きくなる場合があります。
一方で、
建物を解体すれば建物側の固定資産税は将来的になくなります。
解体費も必要です。
更地になった土地がすぐ売れるとも限りません。
つまり比較するべきなのは、
「固定資産税が6倍になるか」
だけではなく、
解体した後に最終的にいくら手元へ残るのかです。
この記事では、
空き家を解体して更地にした場合の固定資産税に絞り、
・なぜ6倍と言われるのか
・実際の税額が6倍とは限らない理由
・1月1日と解体時期の関係
・建替え中でも特例が続くケース
・解体前に確認したい4つの金額
・古家付きと更地のどちらで売るか
まで順番に整理します。
空き家を残している場合の固定資産税や、管理不全空家等との関係については別の記事で詳しく解説しています。
ㅤ
ㅤ
▪️「6倍」の正体は200㎡以下の住宅用地特例
ㅤ
住宅が建っている土地には、
住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例
があります。
住宅1戸につき200㎡以下の部分は、
小規模住宅用地として、
固定資産税の課税標準が価格の6分の1。
200㎡を超える部分は、
一般住宅用地として、
固定資産税の課税標準が価格の3分の1。
となります。
例えば300㎡の一戸建て住宅の敷地なら、
200㎡までが小規模住宅用地。
残り100㎡が一般住宅用地。
という考え方です。
注意したいのは、
300㎡全部が3分の1になるわけではないことです。
また住宅用地として特例を受けられる敷地の範囲にも条件があり、専用住宅では原則として家屋の床面積の10倍までが対象になります。
そして建物を解体し、
翌年1月1日時点で住宅の敷地ではなくなっている場合、
原則として住宅用地特例を受けられなくなります。
この、
6分の1だった課税標準の特例がなくなる
という部分だけを取り出して、
「固定資産税が6倍になる」
と説明されることが多いのです。
ㅤ
ㅤ
▪️実際に支払う固定資産税全体が6倍になるとは限らない
ㅤ
ここが最も誤解されやすいところです。
小規模住宅用地では、
住宅用地特例によって課税標準が6分の1になります。
だからといって、
建物を解体した翌年の納税通知書が、
前年のちょうど6倍になるとは限りません。
理由の一つが、
土地の固定資産税には負担調整措置なども関係するためです。
更地などの非住宅用地になった場合でも、
単純に、
土地の評価額×1.4%
だけで前年との増加額を計算できるとは限りません。
さらに解体前には、
土地の固定資産税だけでなく、
建物の固定資産税も支払っています。
建物を解体し、翌年1月1日時点で家屋が存在しなくなれば、その家屋について翌年度以降の固定資産税は課税されなくなる方向になります。
つまり、
解体前。
土地の税金+建物の税金。
解体後。
住宅用地特例がなくなった土地の税金。
という比較が必要です。
土地税だけを6倍して「年間固定資産税がこれだけ増える」と判断しないことが重要です。
ㅤ
ㅤ
▪️都市計画税がかかる土地は固定資産税だけを見ない
ㅤ
土地によっては、固定資産税とあわせて都市計画税が課税されています。
住宅用地では都市計画税についても特例があり、
200㎡以下の小規模住宅用地は課税標準が3分の1。
200㎡を超える一般住宅用地は3分の2。
となります。
そのため、
住宅を解体した後の負担を確認するときは、
固定資産税だけではなく、都市計画税も含めた年間負担を見る必要があります。
ただし都市計画税は、すべての土地に課税される税金ではありません。
現在の納税通知書を確認し、
自分の土地に都市計画税が課税されているかを先に確認しておきましょう。
ㅤ
ㅤ
▪️固定資産税で重要なのは「解体日」より1月1日時点の状態
ㅤ
固定資産税は、
毎年1月1日時点の所有・利用状況を基準として課税されます。
例えば、
1月1日時点では住宅が建っている。
その後、春に建物を解体する。
という場合、
その年の固定資産税は1月1日時点の状態を基準として計算されます。
一方、
年内に解体を終え、
翌年1月1日時点で更地になっている場合は、
翌年度から土地の住宅用地特例が適用されなくなる可能性があります。
旧記事では、
「1月2日以降に解体すれば特例を最大1年維持できる」
という考え方を強く出していました。
しかし、
解体日だけをずらせば得をする、と考えるのは危険です。
1月1日に建物が残っていれば、その年度は建物についても固定資産税が課税されます。
そして翌年1月1日まで土地を所有し続け、更地の状態なら、その後は住宅用地特例のない土地として課税される可能性があります。
重要なのは、
「いつ壊すか」ではなく、「壊した後いつまで土地を持つのか」まで一緒に考えることです。
ㅤ
ㅤ
▪️建替えなら「1月1日に更地=必ず特例なし」とも限らない
ㅤ
もう一つ知っておきたい例外があります。
古い住宅を解体して新しい住宅へ建て替える場合です。
通常、
1月1日時点で住宅が建っていない土地は、その年に住宅を建てる予定であっても住宅用地とは扱われないのが基本です。
しかし、
前年から住宅用地として利用されており、住宅の建替え中であるなど一定の要件を満たす土地については、住宅用地特例を継続できる場合があります。
ここで重要なのは、
「新築予定だから自動的に大丈夫」
ではないことです。
以前の住宅の所有者。
土地の所有者。
建替えの状況。
工事時期。
申告。
などの条件があります。
自治体によって必要な提出書類や確認方法もあるため、
建替え目的で解体する場合は、
解体前に土地所在地の市区町村の固定資産税担当へ確認する。
これが安全です。
ㅤ
ㅤ
▪️売却目的なら「とりあえず解体」が最も危険
ㅤ
空き家を売却するとき、
「古い建物があると売れないから、先に更地にしよう」
と考えることがあります。
しかし、
建物を壊した。
解体費を支払った。
住宅用地特例もなくなった。
それでも土地が売れなかった。
となれば、
解体前より持ち出しが増える可能性があります。
特に、
・人口が減っている地域
・土地取引が少ない地域
・再建築に条件がある土地
・前面道路が狭い土地
・変形地や狭小地
・需要そのものが少ない土地
では、
建物をなくせば必ず売りやすくなるとは限りません。
そのため解体前に、
古家付きの現在価格と、更地にした場合の価格を両方確認することが重要です。
解体前に査定する理由についてはこちらで詳しく解説しています。
ㅤ
ㅤ
▪️再建築できる土地なのかも解体前に確認する
ㅤ
建物が古い場合、
「土地として売ればいい」
と思うかもしれません。
しかし、その土地に新しい住宅を建てられるかどうかは別の問題です。
例えば、
道路との接し方。
接道幅。
土地の形状。
用途地域。
市街化調整区域。
建築基準法上の道路。
などによっては、新築住宅を建てるために条件整理が必要な場合があります。
既存建物がある状態では一定の利用価値が残っていても、
解体した後に再建築が難しいことが分かれば、
買主の選択肢がさらに狭くなる可能性があります。
建物の価値が低いことと、建物を壊した方が土地の価値が高くなることは同じではありません。
売却目的なら、
査定。
再建築可否。
解体見積もり。
この順番を意識してください。
ㅤ
ㅤ
▪️解体する前に4つの数字を並べる
ㅤ
更地にするべきか迷ったら、
感覚ではなく数字で比較します。
最低限確認したいのは、
①現在の固定資産税・都市計画税
納税通知書を見て、
土地分。
建物分。
を分けて確認します。
②解体後の土地税の見込み
市区町村の固定資産税担当へ、
住宅を解体した場合に翌年度の土地税がどの程度になる可能性があるのか確認します。
正確な翌年度税額がまだ決まっていなくても、判断材料を確認できる場合があります。
③解体費
建物本体だけでなく、
残置物。
ブロック塀。
庭木。
浄化槽。
基礎。
アスベスト調査や除去。
など、どこまで見積もりへ含まれているか確認します。
解体費用が変わる理由についてはこちらで整理しています。
④古家付き価格と更地価格
ここが最後の比較です。
例えば、
古家付きなら800万円。
更地なら1,000万円。
だったとしても、
解体費が250万円かかるなら、
単純に更地売却の方が得とは言えません。
実際には、
売却費用。
固定資産税。
管理期間。
境界や測量。
なども関係します。
「高く売れる方」ではなく、「最終的な手残りが多い方」を選ぶことが重要です。
更地と古家付きの比較はこちらで詳しく整理しています。
ㅤ
ㅤ
▪️売却方法は3パターンに分けると判断しやすい
ㅤ
解体するか迷ったときは、
売却方法を3つに分けます。
古家付きのまま売却する
先に解体費を支払わずに済みます。
買主がリフォームするのか、解体するのかを選べるため、建物状態や地域によってはこちらの方が売りやすいこともあります。
買主を見つけてから更地渡しにする
古家付きの状態で売買契約を行い、
売主が引渡しまでに建物を解体する方法です。
先に買主を確保してから解体できるため、
「解体したのに土地が売れない」
という期間を短くできる可能性があります。
ただし解体条件や引渡し時期は、売買契約で明確にしておく必要があります。
先に解体して更地として売り出す
土地の形状を確認しやすく、新築目的の買主には分かりやすい方法です。
一方で、
売れるまでの期間が長くなれば、
住宅用地特例のない土地を保有し続ける可能性があります。
つまり、
売れる時期が読めない土地ほど、先行解体の判断は慎重に行うべきです。
古家付きのまま売却する方法はこちらで解説しています。
ㅤ
ㅤ
▪️相続した実家は固定資産税だけで解体時期を決めない
ㅤ
相続した実家を売却する場合は、
もう一つ確認したい税金があります。
それが、
被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除です。
一定の条件を満たす相続空き家については、
2027年12月31日までの売却で、
譲渡所得から最高3,000万円を控除できる可能性があります。
2024年1月1日以後の譲渡では、
一定の要件を満たせば、
売却後、翌年2月15日までに買主側で家屋を取り壊す方法でも対象になる可能性があります。
つまり、
「特例を使うには必ず売主が先に解体して更地にしなければならない」
とも限りません。
一方で対象家屋の築年数。
相続後の利用状況。
売却期限。
売却価格。
相続人の人数。
など細かな条件があります。
そのため相続した空き家では、
固定資産税だけを見て解体日を決めるのではなく、
売却時の譲渡所得税まで含めて順番を決める必要があります。
相続した実家の売却期限と税制についてはこちらで詳しく整理しています。
ㅤ
ㅤ
▪️更地にして長期間持ち続けるなら「年間負担」を計算する
ㅤ
解体後すぐ売却できるのであれば、
固定資産税増加の影響を受ける期間は限定される可能性があります。
しかし、
「とりあえず壊して、いつか売る」
という状態は注意が必要です。
更地になっても、
固定資産税。
都市計画税。
草刈り。
不法投棄対策。
境界管理。
などの負担は続きます。
例えば年間の維持負担が小さく見えても、
3年。
5年。
10年。
と所有すれば合計額は大きくなります。
だからこそ、
解体費だけではなく、売却までの想定保有期間も計算へ入れることが重要です。
土地を持ち続けるか手放すかは、
「いつか使うかもしれない」
ではなく、
具体的な利用予定と年間負担を並べて判断してください。
ㅤ
ㅤ
▪️まとめ|更地の固定資産税は「6倍」より解体後の手残りを見る
ㅤ
空き家を解体すると、
住宅用地として受けていた固定資産税の特例が外れる可能性があります。
200㎡以下の小規模住宅用地では、
固定資産税の課税標準が6分の1。
200㎡を超える一般住宅用地部分では、
3分の1。
となっているため、
解体後に土地の税負担が大きく増える場合があります。
しかし、
実際に支払う固定資産税全体が必ず6倍になるわけではありません。
建物の固定資産税がなくなること。
土地には負担調整措置があること。
都市計画税の有無。
解体した時期。
翌年1月1日時点の状態。
建替え特例の可能性。
なども関係します。
そして売却目的なら、
税金以上に重要なのが、
解体した後に土地がいくらで、いつ売れるのかです。
解体前には、
現在の土地・建物税。
解体後の土地税。
解体費。
古家付き価格と更地価格。
この4つを確認してください。
そのうえで、
古家付きで売る。
買主を決めてから更地渡しにする。
先に更地にする。
という方法を比較します。
「固定資産税が上がるから壊さない」でも、「古いからとりあえず壊す」でもありません。
解体費と税金と売却価格。
この3つを数字で並べ、
最終的な手残りで決めることが、後悔しにくい判断につながります。
ㅤ
ㅤ
▪️関連記事
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ

