top of page

相続した実家を売るなら3年以内?空き家3,000万円特別控除と取得費加算の違い

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月18日
  • 読了時間: 10分

親の実家を相続すると、

「3年以内に売った方がいい」

「空き家なら3,000万円控除が使える」

「相続税を払ったなら早く売った方がいい」

という情報を目にすることがあります。

ただし、この「3年」には複数の制度が混ざっています。

代表的なのは、

・被相続人の居住用財産に係る3,000万円特別控除

・相続税額の取得費加算

・相続登記の申請期限

です。

期限の数え方も、対象になる条件も同じではありません。

そのため、

「とにかく3年以内に売れば税金が安くなる」

と覚えるのは危険です。

この記事では、相続した実家を売るときに確認したい税金と期限を整理し、

相続 → 現在価格 → 特例確認 → 売却方法

の順番で解説します。

※本記事には広告・PRを含みます。


▪️相続した実家の「3年以内」は1つの期限ではない



最初に整理しておきたいのが、相続不動産に出てくる3つの期限です。

空き家の3,000万円特別控除

一定の条件を満たす親の自宅を相続して売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。

相続税額の取得費加算

相続税を支払った人が相続財産を一定期間内に売却した場合、相続税額の一部を取得費へ加算できる制度です。

相続登記

相続によって不動産を取得したことを知った日から、原則3年以内に相続登記を申請する必要があります。

同じ「3年」という言葉が出てきますが、別の制度です。

売却期限と登記期限を一緒にしないことが第一歩です。


▪️まず実家を売ったときの税金の基本を知る



相続した不動産を売却して利益が出た場合は、譲渡所得を計算します。

基本的な考え方は、

売却価格-取得費-譲渡費用-適用できる特別控除

です。

取得費には、土地・建物を取得したときの購入代金などが関係します。

ここで重要なのが、

相続したときの相続税評価額が、そのまま取得費になるわけではない

という点です。

相続した土地・建物は、原則として親など被相続人が取得したときの購入代金等を引き継いで計算します。

親がいくらで購入したか分からない場合には、概算取得費として売却価格の5%相当額を使えるケースもあります。

昔の購入価格と現在価格の違いはこちら。


▪️空き家の3,000万円特別控除とは?



相続した親の自宅を売却するときに確認したい制度が、

被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の3,000万円特別控除

です。

一定の条件を満たすと、売却によって生じた譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。

ただし、

「親が住んでいた実家を相続した」

だけで対象になる制度ではありません。

対象となる家屋には基本的に、

・昭和56年5月31日以前に建築されている

・区分所有建物ではない

・相続開始直前に被相続人以外の居住者がいない

という条件があります。

つまり、すべての相続空き家を対象にした控除ではありません。


▪️マンションは空き家3,000万円特別控除の対象外になる



この制度で見落としやすいのが、区分所有建物です。

一般的な分譲マンションは区分所有建物なので、この空き家特例の対象となる被相続人居住用家屋には該当しません。

同じ親の住まいでも、

・一戸建て

・区分所有マンション

では使える制度が変わります。

相続マンションについては、税金だけでなく、

・管理費

・修繕積立金

・管理組合

・長期修繕計画

も確認します。

相続したマンションの管理費についてはこちら。


▪️施設へ入っていた親の実家でも対象になる場合がある



親が亡くなる直前まで自宅で生活していたとは限りません。

高齢になると、

・老人ホーム

・介護施設

・病院

などへ移ることがあります。

一定の要介護認定等を受けて老人ホーム等へ入所していた場合でも、要件を満たせば、入所前まで住んでいた実家が特例の対象になることがあります。

その際には、

・施設入所前まで本人が居住していたか

・入所後に第三者へ貸していないか

・本人の家財等が保管されていたか

などを確認します。

施設に入った時点で、実家に関する税制上の扱いがすべて終わるわけではありません。


▪️空き家3,000万円控除には売却期限がある



この特例で重要なのが売却時期です。

原則として、

相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで

に売却する必要があります。

たとえば単純化すると、親が亡くなってから3年を超えた瞬間に即失効する、という数え方ではありません。

「3年を経過する日の属する年の12月31日」が期限です。

さらに現在の制度では、この特例の対象となる譲渡期間自体が2027年12月31日までとされています。

相続開始日と売却予定日を実際の日付で確認することが重要です。


▪️売却価格1億円以下など他にも条件がある



期限だけ守ればよいわけではありません。

主な確認項目には、

・売却代金が1億円以下

・相続から売却まで事業、賃貸、第三者の居住などに使っていない

・一定の耐震基準を満たす

・家屋を取り壊して土地を売る

などがあります。

2024年以降の譲渡では、一定の要件のもと、売却後に買主側で耐震改修や取り壊しを行う方法も制度上認められています。

その場合も期限や証明書類があるため、

「古い家だから先に自分で解体しておく」

と決める前に確認します。


▪️相続人が3人以上なら控除上限が変わる



2024年1月1日以後の譲渡では、被相続人居住用家屋や敷地を取得した相続人が3人以上いる場合、特別控除の上限は1人あたり2,000万円になります。

そのため、

「空き家特例は必ず3,000万円」

と覚えない方が安全です。

確認するのは、

・誰が実家を取得したか

・取得した相続人は何人か

・誰が売却するか

です。

共有で相続した場合は、税金だけでなく売却意思の調整も必要になります。


▪️相続税を払った人は「取得費加算」も確認する



もう一つ重要なのが、相続税額の取得費加算です。

相続や遺贈で財産を取得し、実際に相続税を負担した人が一定期間内にその財産を売却すると、相続税額の一部を取得費へ加算できる場合があります。

取得費が増えると、

売却価格-取得費-譲渡費用

で計算する譲渡所得が小さくなる可能性があります。

対象となる基本条件は、

・相続や遺贈で財産を取得した

・その財産について相続税が課税されている

・一定期間内に売却した

ことです。

相続税が発生していない人は、この特例の前提が異なります。


▪️取得費加算の期限は「空き家特例の3年」と違う



ここが今回の記事で最も重要なポイントです。

相続税額の取得費加算は、

相続開始日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで

に売却することが要件です。

相続税の申告期限は通常、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。

そのため一般的には、

「相続から約3年10か月」

という説明を見かけます。

しかし、空き家3,000万円特別控除の期限とは計算方法が違います。

同じ「3年」でも期限日は別に確認する。

これが重要です。


▪️空き家3,000万円控除と取得費加算は同じ実家で両方使わない



さらに重要なのが、制度の組み合わせです。

空き家3,000万円特別控除を適用する家屋や敷地については、相続税額の取得費加算の特例を重ねて適用することはできません。

つまり、

「3,000万円控除も使って、さらに相続税も取得費へ足せば最強」

という計算にはなりません。

該当する可能性がある場合は、

・空き家3,000万円控除を使う場合

・取得費加算を使う場合

で譲渡所得を比較します。

相続税額や売却益によって、有利な制度は変わります。

税務判断が必要な場合は税理士等へ確認します。

相続について専門家へ相談したい場合はこちら。


▪️相続登記の「3年」は税金の期限ではない



もう一つ混ざりやすいのが相続登記です。

2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から原則3年以内に申請する必要があります。

これは、

空き家の3,000万円控除。

相続税の取得費加算。

とは別の期限です。

相続登記を3年以内にしたから税制特例が使える、という関係ではありません。

逆に、売却予定だからといって相続登記を放置するものでもありません。

登記・税金・売却を別々に期限管理します。


▪️特例が使えるか分からなくても先に査定していい



税金を調べている途中でも、実家の現在価格を確認することはできます。

むしろ売却価格が分からなければ、

・譲渡益が出そうか

・保有を続けるか

・仲介で売るか

・買取も比較するか

を判断しにくくなります。

査定は、

売却契約ではなく、現在価格を知るための情報収集

として使えます。

現在の実家の売却価格を確認したい場合はこちら。


▪️税金を確認する前に解体費を使わない



相続した実家が古いと、

「更地の方が売りやすそうだから壊そう」

と考えることがあります。

しかし、先に確認したいのは、

・現状での査定価格

・古家付きで売る場合

・解体して売る場合

・特例の適用条件

です。

空き家3,000万円特別控除では、耐震改修や取り壊しが制度要件に関係します。

売却後に買主側で対応できる制度もあるため、解体費を払ってから調べる順番にはしません。

まず査定と税制を確認し、その後で工事を判断します。


▪️相続した実家を売るときの6つの確認順



相続後に「3年以内」という言葉を見つけたら、次の順番で整理します。

①相続開始日

親が亡くなった日を確認します。

②不動産の種類

・戸建て

・マンション

・土地

を確認します。

③建物条件

・建築時期

・耐震性

・相続直前の居住者

・施設入所の有無

を確認します。

④相続税

相続税を負担しているか確認します。

⑤現在価格

査定を取り、売却した場合の金額を確認します。

⑥使える制度と売却期限

・空き家3,000万円特別控除

・取得費加算

・相続登記

をそれぞれ別に確認します。

この順番なら、

「3年以内らしいから、とにかく急いで安く売る」

という判断を避けられます。


▪️よくある質問



Q. 相続した実家は3年を過ぎたら売れませんか?

売却自体はできます。3年という期限は、税制特例や相続登記など個別制度の期限として確認します。


Q. 相続した実家なら3,000万円控除を使えますか?

対象となる建築時期、建物種類、相続前後の利用状況、売却期限など複数の要件があります。


Q. 相続したマンションでも空き家3,000万円控除は使えますか?

被相続人居住用家屋の要件では区分所有建物が除かれているため、一般的な分譲マンションは対象外です。


Q. 相続税を払ったら取得費加算を使えますか?

一定期間内の売却など要件があります。実際に負担した相続税額と売却財産をもとに確認します。


Q. 空き家3,000万円控除と取得費加算は両方使えますか?

同じ家屋・敷地について空き家3,000万円特別控除と取得費加算を重ねて適用することはできません。


▪️まとめ|「3年以内に売る」ではなく3つの期限を分けて確認する



相続した実家の売却では、

「3年以内」

という言葉が何度も出てきます。

しかし実際には、

・空き家3,000万円特別控除

・相続税額の取得費加算

・相続登記

という別々の制度があります。

特に空き家3,000万円特別控除は、

・建築時期

・建物種類

・相続直前の居住状態

・相続後の利用

・売却価格

・売却期限

などを確認する必要があります。

一方、相続税を実際に負担している場合には取得費加算も比較対象になります。

大切なのは、

税制の期限だけを見て、売却価格を確認せずに急いで処分しないことです。

まず実家の現在価格を把握する。

使える特例を確認する。

年間の維持費も見る。

そのうえで、

・保有

・仲介売却

・買取

を比較します。

相続した実家の売却では、

「いつまでに売るか」と「いくらなら売るか」の両方を確認すること。

この2つを整理してから出口を決めるのが基本です。


▪️関連記事



親の家はいくらで売れる?評価額と査定価格の違い


親が認知症になったら実家は売れない?


二次相続で実家が空き家になる?


相続したマンションを放置するとどうなる?


相続した空き家をどうする?


相続した空き家を売る方法


空き家を売るなら仲介と買取どちら?


空き家を解体する前に査定する理由


空き家を解体せず古家付きで売る方法

 
 

最新記事

すべて表示
不動産投資は総資産より純資産を見る?物件価格・ローン残高から本当の資産額を計算する方法

「不動産を1億円分持っています」 と聞くと、 「資産1億円の人なんだ」 と思うかもしれません。 しかし、その物件を買うために1億2,000万円のローンが残っていたらどうでしょうか。 反対に、 物件価値1億円。 ローン残高3,000万円。 なら、同じ「1億円の物件を持っている人」でも状態は大きく違います。 不動産投資では、 何億円の物件を持っているか だけでは、資産形成がどこまで進んでいるのか分かり

 
 
賃貸管理会社を契約前に見極めるには?管理物件・募集図面・報告体制の確認方法

不動産投資で管理会社を探している。 何社か問い合わせて、 管理料。 入居率。 管理戸数。 募集方法。 などを聞いた。 候補は2〜3社まで絞れた。 それでも最後に、 「結局どこへ任せればいい?」 と迷うことがあります。 A社は大手。 B社は地場。 C社は管理専門。 どの会社もホームページを見ると、 「高い入居率」 「迅速な対応」 「オーナー目線」 と書かれている。 説明を聞いても、どこも良さそうに感

 
 
管理会社の入居率98%・99%は高い?契約前に確認したい空室実績の見方

不動産投資で管理会社を探している。 ホームページを見ると、 「入居率98%」 「入居率99%以上」 「高稼働を維持」 という実績が掲載されている。 大家としては、 「99%ならほとんど空室ないやん」 「この会社に任せればすぐ決まりそう」 と思うでしょう。 確かに入居率は、管理会社を比較するときの重要な数字の一つです。 しかし、 入居率99%だから、自分の物件も99%で運営できる とは限りません。

 
 
miramaru kusakari 3.png
bottom of page