不動産投資ローンは借り換えた方がいい?金利・返済期間・諸費用から判断する方法
- MIRAIU

- 8月15日
- 読了時間: 28分
▪️不動産投資ローンは金利が下がったら借り換えた方がいい?
現在の不動産投資ローンが金利3%で、別の金融機関から金利2%の借り換えを提案されたとします。
金利が1%下がるなら、「すぐに借り換えた方が得なのでは」と考える人も多いと思います。
しかし、不動産投資ローンの借り換えは、金利差だけで判断することはできません。
現在のローン残高、残り返済期間、借り換え後の返済期間、毎月返済額、現在のローンを完済するための費用、新しい融資の手数料や登記費用などをまとめて比較する必要があります。
例えば、借り換えによって年間返済額が10万円改善するとします。
一方、借り換えに50万円の費用が必要なら、単純計算では費用を回収するまで5年です。
その物件を10年以上保有する予定なら検討する意味があるかもしれません。
しかし、2年後に売却する予定なら、借り換え費用を回収する前に物件を手放す可能性があります。
不動産投資ローンの借り換えは「金利が何%下がるか」ではなく、「諸費用を払った後に最終的にいくら改善するか」で判断することが重要です。
▪️そもそも不動産投資ローンの借り換えとは?
借り換えとは、現在利用しているローンを新しい金融機関からの融資などで返済し、その後は新しいローンを返済していく方法です。
例えば、現在のローン残高が1,000万円、金利3%、残り返済期間15年だったとします。
別の金融機関から1,000万円を金利2%、15年返済で借り、その資金で現在のローンを完済します。
その後は、新しい金融機関へ返済していくことになります。
金利が下がれば、毎月返済額や支払利息を抑えられる可能性があります。
ただし、実際の借り換えでは新しい金融機関による融資審査や物件評価があり、新しい融資を受けるための費用も発生する場合があります。
借り換えは単純に金利だけを変更する手続きではなく、新しいローンへ組み直すことです。
▪️借り換えを考える理由① 金利を下げたい
借り換えを検討する最も分かりやすい理由が、現在より低い金利へ変更したいというものです。
例えば、借入残高1,500万円、現在金利3.0%、借り換え後2.0%なら、金利差は1.0%です。
残債が大きく、残り返済期間も長い場合は、この1%の差が今後の返済額へ大きく影響する可能性があります。
一方、残債200万円、残り返済期間2年という状態なら、金利が1%下がったとしても効果は限定的になる可能性があります。
つまり、金利差だけを見ても十分ではありません。
「金利差」と同時に、「現在の残債」と「あと何年間返済するのか」を確認することが重要です。
▪️金利差0.5%でも残債が大きければ影響は変わる
例えば現在金利2.5%、借り換え後2.0%なら、金利差は0.5%です。
1%と比べれば小さく見えるかもしれません。
しかし、ローン残債が5,000万円あり、残り返済期間が20年なら、長期間にわたって金利差の影響を受けます。
反対に、残債300万円、残り3年なら、金利が1%下がっても借り換え費用の方が大きくなる場合があります。
そのため、
「金利が1%以上下がったら借り換え」
といった一律の基準だけで判断するのは難しくなります。
借入額が大きいほど小さな金利差でも影響が大きくなる可能性があり、残債が少なく完済が近いほど借り換え効果は小さくなりやすいと考えます。
▪️借り換えを考える理由② 毎月返済額を下げたい
不動産投資では、金利そのものより毎月返済額を下げたいという理由で借り換えを考えることもあります。
例えば、家賃収入が月20万円、現在のローン返済が月12万円だったとします。
ローン返済後に残るのは8万円です。
ここから管理費、固定資産税、保険、修繕などを支払うため、実際のキャッシュフローにはそれほど余裕がないかもしれません。
借り換えによって毎月返済額が10万円まで下がれば、返済後には10万円残ります。
毎月2万円、年間では24万円のキャッシュフロー改善です。
ただし、ここで確認したいのがなぜ返済額が下がったのかです。
金利が下がった結果として返済額が減ったのであれば分かりやすいですが、返済期間を延ばしたことで毎月返済額が小さくなっただけなら、総支払額や将来の残債は増える可能性があります。
毎月返済額が下がっただけで成功と考えず、その理由まで確認することが重要です。
▪️借り換えを考える理由③ キャッシュフローを改善したい
不動産投資では、毎月返済額が1万円、2万円変わるだけでも長期間では大きな差になります。
例えば、現在のローン返済が月10万円なら年間120万円です。
借り換え後に月8万5,000円まで下がれば、年間返済額は102万円になります。
差は年間18万円です。
5年間なら単純計算90万円、10年間なら180万円の差になります。
もちろん、その間には金利変動や売却、繰上返済などがあり、借り換え費用も必要になる場合があるため、この金額がそのまま利益になるわけではありません。
それでも、毎月の返済負担を下げることで手元現金を残しやすくなれば、空室や修繕への耐久力を高められる可能性があります。
借り換えは金利を下げるためだけではなく、賃貸経営のキャッシュフローを改善する方法の一つとして考えることができます。
キャッシュフローについてはこちら。
▪️借り換えを考える理由④ 返済期間を見直したい
現在のローンの残り返済期間が10年で、毎月返済額が高くなっているとします。
借り換えによって返済期間を15年へ延ばせれば、毎月返済額を抑えられる可能性があります。
例えば、現在の返済が月12万円から月9万円へ下がれば、毎月3万円、年間36万円のキャッシュフロー改善です。
空室や修繕がある不動産投資では、毎月3万円の余裕が増えることには大きな意味があります。
しかし、返済期間を5年延ばすということは、ローンを完済する時期も5年遅くなるということです。
条件によっては支払利息の総額が増え、5年後や10年後のローン残高も多く残る可能性があります。
返済期間を延ばす借り換えでは、毎月返済の改善と、完済時期・総支払額・将来の残債をセットで確認します。
▪️返済期間を長くすれば必ず得するわけではない
例えば、現在の残債1,500万円を残り10年で返済する場合と、借り換えて20年で返済する場合を考えます。
20年返済にすれば、一般的には毎月返済額を小さくしやすくなります。
毎月のキャッシュフローだけを見れば非常に魅力的です。
しかし、返済期間が長くなれば元金の減り方も緩やかになり、10年後にもローンが多く残っている可能性があります。
もし10年後に物件を売却する予定なら、売却価格とその時点のローン残高を比較する必要があります。
借り換えでは「今月いくら楽になるか」だけでなく、「将来いくら借金が残るか」まで考えることが重要です。
▪️借り換えを考える理由⑤ 固定金利・変動金利を見直したい
現在は変動金利で借りているものの、今後の金利上昇によって返済負担が増えることを心配し、固定金利への変更を考えることもあります。
反対に、現在は固定金利で借りているものの、残り返済期間や現在の金利条件を踏まえ、別のローンを比較したいケースもあります。
ただし、固定金利だから必ず安全、変動金利だから必ず安いということではありません。
借入残高、残り返済期間、現在と借り換え後の金利差、毎月返済額、手元現金などによって判断は変わります。
例えば、固定金利へ借り換えることで毎月返済額が少し増えても、今後の返済計画を読みやすくしたい人には価値があるかもしれません。
一方、十分な返済余力と現金があり、ある程度の金利上昇へ対応できるなら別の判断もできます。
金利タイプを変える借り換えでは、「今どちらが安いか」ではなく、今後も無理なく返済できるかを考えます。
固定金利と変動金利についてはこちら。
▪️借り換えで最初に確認する数字は「現在のローン残高」
物件を2,000万円で購入したからといって、借り換えも2,000万円を基準に考えるわけではありません。
購入から返済が進み、現在のローン残高が1,200万円なら、まず確認するのはこの1,200万円です。
例えば、購入時に2,000万円を借り、現在の残債が1,200万円なら、新しい金融機関でも現在の残債を基準に借り換えを検討することになります。
一方、同じ2,000万円で購入した物件でも、現在の残債が1,800万円なら借り換える金額も大きくなります。
同じ1%の金利差でも、残債1,200万円と1,800万円では影響が違います。
借り換えの計算は「いくらで買ったか」ではなく、「今いくら借金が残っているか」から始めます。
▪️次に確認するのは残り返済期間
同じローン残高1,000万円、同じ金利差1%でも、残り返済期間20年と3年では意味が大きく違います。
残り20年なら、今後長期間にわたって金利差の影響を受けます。
一方、残り3年なら、借り換え費用を回収する前にローンを完済する可能性があります。
例えば、借り換えによる年間の返済改善額が15万円で、借り換え費用が45万円だったとします。
単純計算では費用回収まで3年です。
残り返済期間が10年なら、その後も改善効果を受けられる可能性があります。
しかし残り返済期間が2年なら、費用を回収する前に完済する可能性があります。
借り換えでは「何%下がるか」と同じくらい、「あと何年間そのローンを返すのか」が重要です。
▪️借り換えでは諸費用を最初から計算に入れる
新しいローンの金利が低くても、借り換えそのものに費用がかかる場合があります。
例えば、新しい融資の事務手数料、現在のローンを完済するときの手数料、抵当権の抹消や新しい抵当権設定に関する費用、司法書士費用、印紙などです。
実際に必要な費用や金額は、金融機関や借入額、契約内容によって異なります。
だからこそ、新しい金利だけを見て借り換えを決めないようにします。
借り換え後にいくら返済が減るのかを見る前に、「借り換えるために総額いくら必要なのか」を確認します。
▪️借り換え費用50万円なら何年で回収できる?
例えば、借り換えに必要な費用が50万円だったとします。
借り換え後、年間返済額が20万円改善するのであれば、単純計算では2年6か月ほどで50万円を回収できます。
その後も10年間保有する予定なら、借り換えを検討する意味は大きくなる可能性があります。
一方、同じ借り換え費用50万円でも、年間改善額が5万円なら回収まで10年です。
3年後に物件を売却する予定なら、費用を回収できない可能性があります。
借り換え費用は「高い・安い」だけで判断せず、その費用を何年で取り戻せるのかまで計算します。
▪️売却予定があるなら借り換えの回収期間と比較する
借り換えでは、今後その物件を何年間持つ予定なのかも重要です。
例えば借り換え費用50万円、年間20万円改善なら、単純な回収期間は約2年6か月です。
今後10年間保有する予定なら、費用回収後も返済改善の効果を受けられる可能性があります。
しかし、1年後や2年後に売却する予定なら、借り換え費用を回収できないままローンを完済する可能性があります。
さらに、売却するときには現在のローンと借り換え後のローンで、繰上返済や完済に関する条件が異なる場合もあります。
借り換えは「これから何年間借りるのか」だけでなく、「この物件をあと何年間持つのか」とセットで判断します。
▪️借り換え後の物件評価が低いと希望額まで借りられないこともある
現在ローン残高が2,000万円あるからといって、新しい金融機関から必ず2,000万円借りられるとは限りません。
新しい金融機関では、借り換え時点の物件について改めて評価する場合があります。
例えば現在の残債が2,000万円でも、新しい金融機関の物件評価が1,700万円程度だった場合、希望する借り換え額まで融資が伸びない可能性があります。
その場合、差額300万円を自己資金で返済しなければ借り換えできないことも考えられます。
借り換えは金利比較だけではなく、新しい金融機関から現在の残債をどこまで借りられるのかも重要です。
融資審査についてはこちら。
▪️自己資金を入れてまで借り換える価値があるか考える
例えば、現在のローン残高2,000万円に対して、新しい金融機関から1,700万円までしか借りられないとします。
借り換えるには、差額300万円を自己資金から準備する必要があります。
300万円を入れることで金利が下がり、毎月返済額も改善するのであれば、一見すると良い借り換えに見えます。
しかし、その300万円を支払った後、法人や個人にいくら現金が残るでしょうか。
手元現金400万円から300万円を使えば、残るのは100万円です。
その直後に大規模修繕や空室が発生すれば、資金繰りが厳しくなる可能性があります。
金利を下げるために現金を使いすぎないことも、借り換えでは重要な判断ポイントです。
自己資金と手元現金についてはこちら。
▪️現在のローンを完済するときの手数料も確認する
借り換えでは、新しい金融機関の条件だけでなく、現在借りている金融機関側の条件も確認します。
現在のローンを予定より早く完済する場合、繰上返済や全額返済に関する手数料が設定されていることがあります。
例えば、新しいローンへ借り換えることで将来の返済負担が60万円改善するとしても、現在のローン完済時に20万円の費用が必要なら、実質的な改善効果は小さくなります。
さらに新しい融資の諸費用も必要です。
「新しい銀行でいくら得するか」だけではなく、「今の銀行を出るためにいくら必要か」まで確認します。
▪️金利が下がっても総支払額が増える場合がある
例えば、現在のローン残高1,000万円を残り10年で返済しているとします。
借り換えによって金利は下がったものの、返済期間を20年へ延ばしたとします。
毎月返済額は大きく下がる可能性があります。
そのためキャッシュフローだけを見ると、非常に良い借り換えに見えます。
しかし返済期間が10年長くなれば、低い金利でも長期間利息を支払い続けることになります。
条件によっては、毎月返済額は下がったのに、最終的な総支払額では思ったほど改善しない場合があります。
借り換え後は「毎月いくら減るか」と「完済まで総額いくら払うか」の両方を確認します。
▪️借り換えでは5年後・10年後の残債も比較する
例えば、現在のローンをそのまま返済した場合、5年後の残債が800万円になるとします。
一方、返済期間を延ばして借り換えると、5年後にも残債1,000万円が残るとします。
毎月返済は借り換え後の方が楽でも、将来売却するときには200万円多くローンが残っています。
物件が1,200万円で売却できれば大きな問題にならないかもしれません。
しかし、売却価格が900万円まで下がっていれば、借り換え後の残債1,000万円を売却代金だけで完済できない可能性があります。
借り換えで返済期間を延ばすなら、将来の売却価格と残債の関係まで見ておきます。
▪️借り換え後すぐ売却すると諸費用が無駄になる可能性がある
借り換えから1年後に「やっぱりこの物件を売りたい」となることもあります。
しかし借り換え時に50万円の諸費用を支払い、年間の改善額が15万円しかなければ、1年間では費用を回収できていません。
さらに新しいローンを完済するときにも、金融機関や契約によって費用が発生する場合があります。
そのため、近いうちに売却する可能性が高い物件では、借り換えをしない方が結果的にシンプルな場合もあります。
「借り換えできるからする」のではなく、そのローンを何年間使う予定なのかを先に考えます。
▪️共同担保が入っているローンの借り換えは特に確認する
現在のローンに購入物件だけでなく、別の戸建や自宅などが共同担保として入っている場合があります。
このようなローンを借り換えることで、現在の借入を完済し、共同担保を整理できる可能性があります。
例えば、アパートAと戸建Bが共同担保になっているものの、新しい金融機関ではアパートAだけを担保として融資できるとします。
借り換え後に戸建Bを無担保へ戻せれば、売却や次の融資へ使いやすくなる可能性があります。
これは金利差だけでは測れないメリットです。
一方、新しい金融機関からも戸建Bを共同担保へ入れるよう求められるなら、資産の自由度は大きく変わりません。
借り換えでは金利だけでなく、「どの不動産が新しいローンの担保になるのか」まで確認します。
共同担保についてはこちら。
共同担保の解除・売却についてはこちら。
▪️法人融資では代表者保証が変わる可能性も確認する
法人名義で不動産投資ローンを利用している場合、借り換えによって代表者保証の条件が変わる可能性もあります。
例えば、現在の融資には代表者個人の保証が付いているものの、新しい金融機関では別の条件で検討される場合があります。
反対に、金利は下がるものの、新しい融資では代表者保証や追加担保を求められることも考えられます。
金利が0.5%下がったからといって、保証や担保条件まで悪化するなら、単純に有利とは言えません。
法人融資の借り換えでは、金利・返済期間・代表者保証・担保をまとめて比較します。
代表者保証についてはこちら。
▪️団信の内容が変わることも確認する
現在のローンに団体信用生命保険が付いている場合、借り換え後もまったく同じ保障が続くとは限りません。
新しいローンでは、新しい金融機関や保険の条件に基づいて団信を確認することになります。
現在は疾病保障付きでも、借り換え後は基本的な保障のみになる場合があります。
反対に、新しい金融機関ではより手厚い保障を選べる可能性もあります。
また、年齢や健康状態などによって加入条件が変わる場合もあります。
借り換えではローン金利だけでなく、現在持っている保障を失わないかも確認します。
団信についてはこちら。
▪️借り換え審査では現在の返済実績も重要になる
借り換えを申し込めば、必ず新しい金融機関から融資を受けられるわけではありません。
現在の年収や資産状況、既存借入、物件評価、賃貸経営の状況などを踏まえて、新しい金融機関が改めて審査します。
そのとき、現在のローンをきちんと返済してきた実績も確認材料の一つになる可能性があります。
毎月の返済を継続し、物件も安定して稼働している状態であれば、購入当初とは違う評価になることも考えられます。
一方、家賃収入が大きく落ちていたり、他の借入が増えていたりすれば、購入当初より借り換えが難しくなる場合もあります。
借り換えは「今の銀行より安い銀行を探す」だけではなく、新しい融資審査を受ける手続きです。
▪️物件価値が上がっていても必ず借り換えできるわけではない
購入時2,000万円だったアパートが、現在は満室になり、周辺相場も上昇して2,500万円程度で売却できそうだとします。
ローン残高は1,500万円です。
物件価値に対して残債が小さくなっているため、借り換えを相談しやすく感じるかもしれません。
しかし、新しい金融機関がどのように物件を評価するかは別です。
売却市場で2,500万円だから、融資評価も必ず2,500万円になるとは限りません。
市場価格と金融機関の担保評価は分けて考えます。
▪️逆に購入時より評価が下がっている場合もある
築年数が進んだ、地域の人口が減った、賃料が下落した、空室が増えた。
このような変化によって、購入時より物件評価が低くなることもあります。
例えば残債1,500万円に対して、新しい金融機関の評価が1,200万円しか出なければ、全額を借り換えられない可能性があります。
その場合、300万円の自己資金を入れる必要が出るかもしれません。
借り換えを検討するときは、「今のローン残高」だけでなく、現在の物件価値も改めて確認します。
▪️フルローンで購入した物件は残債との関係を特に見る
購入時にフルローンやオーバーローンを利用している場合、借り換え時にもローン残高が多く残っていることがあります。
例えば500万円の物件を550万円の借入で購入し、数年後の残債が480万円だとします。
現在の物件評価が400万円なら、新しい金融機関から480万円全額を借りられない可能性があります。
この場合、金利の低い金融機関を見つけても借り換えそのものが成立しないことがあります。
フルローン・オーバーローンでは、借り換え時にも「残債>物件評価」になっていないか確認します。
フルローン・オーバーローンについてはこちら。
▪️借り換えのために自己資金を入れるなら効果を数字で見る
例えば、残債2,000万円に対して新しい金融機関から1,800万円まで融資できるとします。
不足する200万円を自己資金で返済すれば借り換えできます。
その結果、年間返済額が30万円改善するとします。
単純に考えれば、200万円を投入して年間30万円のキャッシュフロー改善です。
しかし、その200万円は手元からなくなります。
空室や修繕のために必要な現金を削ってまで借り換える価値があるのかを考える必要があります。
反対に、十分な現金余力があり、借り換えによって長期間の支払利息や毎月返済を大きく改善できるのであれば、自己資金を使う意味がある場合もあります。
「自己資金を入れれば借り換えできる」ではなく、「その自己資金を使う価値がある借り換えか」で判断します。
▪️繰上返済と借り換えを比較する
金利を下げたい場合、必ずしも借り換えだけが選択肢とは限りません。
例えば、現在のローン残高1,000万円、金利2.5%で、手元に300万円の現金があるとします。
新しい金融機関へ借り換える方法もあれば、現在のローンへ一部繰上返済をして残債を700万円まで減らす方法もあります。
借り換えなら金利を下げられる可能性がありますが、諸費用が必要です。
繰上返済なら借り換え費用を抑えられる場合がありますが、手元現金は減ります。
どちらが適しているかは、現在の金利、残債、返済期間、手元現金、金融機関の条件によって変わります。
「借り換える・そのまま返す・一部繰上返済する」の3つを比較すると判断しやすくなります。
▪️現在の金融機関へ金利相談する方法もある
借り換えを検討しているなら、現在の金融機関へ相談してみる方法もあります。
返済実績や取引状況などによっては、現在の融資条件について相談できる場合があります。
もし現在の金融機関で条件を見直してもらえれば、新しいローンへの借り換えに伴う登記や諸費用を抑えられる可能性があります。
もちろん、相談すれば必ず金利が下がるわけではありません。
ただし、いきなり借り換えを決める前に、現在の金融機関を含めて選択肢を比較する意味はあります。
借り換えの目的は銀行を変えることではなく、融資条件を改善することです。
▪️借り換えで浮いたキャッシュを使い切らない
借り換えによって毎月返済が2万円減ったとします。
年間では24万円のキャッシュフロー改善です。
この24万円をすべて生活費や次の投資へ使ってしまうのではなく、修繕積立や現金余力の強化へ回す方法もあります。
例えば年間24万円を5年間残せば、単純計算120万円です。
給湯器、外壁、屋根、原状回復などの修繕へ備えやすくなります。
借り換えの効果を「毎月使えるお金が増えた」と考えるのではなく、賃貸経営の安全性を高める資金として残すことも大切です。
▪️借り換えで次の融資へ進みやすくなる場合もある
毎月返済額が下がり、物件のキャッシュフローが改善すれば、次の投資を考えるうえでプラスになる可能性があります。
例えば、家賃20万円に対して返済12万円だったものが、借り換え後10万円になれば返済負担は小さくなります。
さらに共同担保を外せるのであれば、無担保不動産を一つ確保できる可能性もあります。
ただし、新しいローンの返済期間を大きく延ばした結果、借入が長期間残る状態になっていれば、別の見方も必要です。
次の融資へ進むための借り換えでも、現在の物件を無理なく維持できることが前提です。
2戸目へ進むタイミングについてはこちら。
▪️借り換え後の返済比率を確認する
例えば家賃収入月20万円、現在のローン返済月12万円なら、返済比率は60%です。
借り換え後に返済が月9万円まで下がれば、返済比率は45%になります。
ローン返済後に残る金額は8万円から11万円へ増えます。
毎月3万円、年間36万円の改善です。
こうした借り換えなら、空室や修繕への耐久力を高められる可能性があります。
ただし、その3万円の改善が返済期間を大幅に延ばした結果なら、将来の残債も確認します。
返済比率を改善しながら、将来の借入残高も無理のない範囲にできるかを見ることが重要です。
ローン返済比率についてはこちら。
▪️借り換え前後を同じ条件で比較する
借り換えを比較するときは、条件をバラバラにしないことが大切です。
現在のローンは残り10年なのに、新しいローンは20年。その状態で「新しい方が毎月4万円安い」と比べても、単純比較にはなりません。
まず現在のローンをそのまま返した場合の総返済額、毎月返済額、5年後の残債を確認します。
次に借り換え後についても、同じ項目を確認します。
さらに借り換え諸費用を足します。
金利だけではなく、同じ基準で現在と借り換え後を並べることで、本当に改善しているかが見えやすくなります。
▪️借り換えを判断する簡単な考え方
例えば、借り換え諸費用が60万円だったとします。
借り換えによって年間返済額が24万円改善するなら、単純な費用回収期間は約2年6か月です。
その物件を今後10年間保有する予定であれば、回収後の期間が長く残ります。
一方、年間改善額が6万円しかなければ、60万円を回収するまで10年です。
5年後に売却する予定なら、借り換えによる効果より費用負担の方が大きくなる可能性があります。
まず「借り換え費用÷年間改善額」で、おおまかな回収期間を見ると分かりやすくなります。
ただし、実際には金利条件や返済方法などによって返済額は変わるため、正式な返済予定表などで確認します。
▪️借り換えを検討しやすいケース
現在の残債が大きく、残り返済期間も長い場合は、借り換えによる金利差の影響が大きくなる可能性があります。
現在より低い金利で借りられ、借り換え費用を比較的短期間で回収できる場合も検討しやすくなります。
さらに毎月返済額を下げながら、返済期間を必要以上に延ばさず、共同担保や保証条件も改善できるのであれば、借り換えのメリットは大きくなる可能性があります。
複数の条件が同時に改善する借り換えほど検討する意味があります。
▪️借り換えを慎重に考えたいケース
残債が少なく完済まで数年しかない場合は、借り換え費用を回収できない可能性があります。
近いうちに物件を売却する予定がある場合も同じです。
新しい金融機関から残債全額を借りられず、多額の自己資金を入れなければならないケースも慎重に考えます。
毎月返済は下がるものの、返済期間が大幅に長くなり、将来の残債が多く残る場合にも注意が必要です。
さらに金利は下がるものの、共同担保や代表者保証などの条件が重くなる場合もあります。
一つの条件だけ良くなって、別の条件が大きく悪化する借り換えは全体で判断します。
▪️借り換え前に確認したい7つのポイント
まず、現在のローン残高を確認します。
次に残り返済期間、現在の金利、毎月返済額を確認します。
新しい金融機関から提示された金利、返済期間、毎月返済額と比較します。
さらに借り換えに必要な諸費用を合計し、何年で回収できるのかを計算します。
5年後・10年後の残債も比較します。
共同担保、代表者保証、団信など、金利以外の条件が変わらないかも確認します。
そして最後に、
「この物件をあと何年間持つ予定なのか。」
ここまで考えてから判断します。
▪️Q&A|不動産投資ローンの借り換えでよくある疑問
Q. 金利が1%下がれば必ず借り換えた方がいいですか?
必ずではありません。残債、残り返済期間、借り換え費用、保有予定期間などによって効果は変わります。金利差だけでなく総額で比較します。
Q. 借り換えれば毎月返済額は必ず下がりますか?
新しい金利や返済期間によって異なります。金利が下がっても返済期間を短くすれば、毎月返済額が増える場合もあります。
Q. 借り換えに自己資金は必要ですか?
新しい金融機関から現在の残債全額を借りられない場合や、諸費用を融資で賄えない場合などには自己資金が必要になる可能性があります。
Q. 共同担保を外すために借り換えることはできますか?
新しい金融機関が購入物件だけを担保として融資できれば、現在のローンを完済して共同担保を整理できる可能性があります。実際の条件は金融機関によって異なります。
Q. 借り換えをすると団信も変わりますか?
新しい融資では団信の条件も新たに確認する必要があります。現在と同じ保障内容になるとは限らず、健康状態や年齢などによって加入条件が変わる場合もあります。
▪️借り換えは「金利を下げる作業」ではなく融資全体の組み直し
不動産投資ローンの借り換えでは、どうしても金利へ目が向きます。
3%から2%になる。2.5%から1.8%になる。
数字だけを見れば大きなメリットに感じます。
しかし、実際には返済期間、諸費用、毎月返済額、残債、担保、保証、団信など、複数の条件が同時に変わる可能性があります。
そのため、
金利は下がったけれど返済期間が10年延びた。
毎月返済は下がったけれど共同担保が増えた。
金利は下がったけれど300万円の自己資金が必要になった。
ということもあります。
一つの数字だけを見れば良い借り換えでも、全体ではそれほど有利ではない場合があります。
借り換えはローン全体をもう一度設計し直す作業として考えます。
▪️金融機関を比較するときは借り換え後の収支まで見る
A銀行は金利1.8%、B信用金庫は2.0%だったとします。
金利だけならA銀行が有利です。
しかしA銀行では返済期間10年、B信用金庫では15年。さらにA銀行では共同担保が必要で、B信用金庫は購入物件だけでよいとします。
この場合、どちらが自分に合うかは簡単には決まりません。
毎月返済、総支払額、将来の残債、担保の自由度などを比較する必要があります。
最も低い金利ではなく、賃貸経営全体にとって最も使いやすい融資条件を探します。
金融機関の選び方についてはこちら。
▪️不動産投資の物件・運用方法も合わせて比較する
借り換えによって毎月返済が改善しても、物件そのものの収支が悪ければ根本的な問題が解決しないことがあります。
家賃が相場より高い前提になっていないか。空室が続いていないか。大規模修繕が近づいていないか。
場合によっては借り換えて長期保有するより、売却して別の物件へ資金を移す方が合っていることもあります。
借り換える、繰上返済する、そのまま保有する、売却する。
複数の選択肢を比較して判断することが重要です。
不動産投資の物件・運用方法を比較したい方はこちら
▪️まとめ|借り換えは「金利差」ではなく最終的な手残りで判断する
不動産投資ローンの借り換えでは、現在より低い金利へ変更することで返済負担を抑えられる可能性があります。
例えば金利3%から2%へ下がり、毎月返済が2万円減れば、年間24万円のキャッシュフロー改善です。
10年間なら単純計算240万円の差になります。
しかし、借り換えに60万円の費用が必要なら、その費用を差し引いて考える必要があります。
さらに返済期間を延ばしているなら、将来のローン残高や総支払額も変わります。
金利が下がった=得した、ではありません。
借り換えを判断するときは、まず現在の残債を確認します。
次に残り返済期間、現在の毎月返済額、新しい金利と返済期間を確認します。
借り換え諸費用を含めて年間いくら改善するのか計算し、その費用を何年で回収できるのかを見ます。
そして、その物件をあと何年間保有する予定なのかを考えます。
5年後・10年後の残債も重要です。
現在のローンなら5年後700万円、借り換え後なら900万円残るのであれば、毎月返済が下がる代わりに200万円多く借金が残っています。
将来売却する場合には、この差が出口へ影響します。
また、共同担保や代表者保証、団信などの条件も確認します。
金利が少し下がっても、自宅を新しく共同担保へ入れなければならないのであれば、その条件を受け入れる価値があるか考えます。
借り換えの目的は、金融機関を変えることではありません。
賃貸経営の返済負担を改善し、より多くの現金を安全に残せる融資へ組み直すことです。
現在のローンをそのまま返す。一部繰上返済する。借り換える。物件を売却する。
この4つを比べてみると、借り換えが本当に必要なのかが見えやすくなります。
そして借り換えるのであれば、
「何%下がったか」ではなく、「諸費用を払っても、最終的にいくら現金が残るようになったか」。
この数字で判断することが大切です。
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