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親が認知症になったら実家は売れない?成年後見・任意後見と売却前の確認順

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月18日
  • 読了時間: 10分

親が高齢になり、

「最近、物忘れが増えてきた」

「施設へ入ることになったら実家はどうする?」

「認知症になったあとでも家を売れる?」

と心配になることがあります。

特に注意したいのが、

親名義の実家を将来どうするか何も決めないまま、親の判断能力が低下することです。

ただし、

認知症と診断された。

その瞬間から不動産を売れない。

という単純な話でもありません。

不動産売買では、契約時に本人がその法律行為を理解して判断できる状態かが重要です。

親が元気なうちなら、

・このまま住む

・施設入所後も残す

・貸す

・売却する

・将来の財産管理に備える

といった選択肢を本人の意思を確認しながら整理できます。

この記事では、

意思能力 → 現在価格 → 売却 → 成年後見 → 任意後見 → 相続

の順番で、親の実家をどう考えるか整理します。

※本記事には広告・PRを含みます。


▪️認知症の診断だけで実家が自動的に売れなくなるわけではない



民法では、法律行為をした時点で意思能力がなかった場合、その法律行為は無効とされています。

そのため不動産売買で見るべきなのは、診断名だけではありません。

本人が、

・何を売るのか

・いくらで売るのか

・売却すると所有権を失うこと

・売却代金を受け取ること

など、契約内容を理解して判断できる状態なのかが重要になります。

判断能力は個別事情によるため、認知症という言葉だけで売却可否を決めません。

一方、契約内容を理解して意思決定することが難しい状態なら、本人がそのまま売買契約を進めることには問題があります。


▪️親名義の実家を子どもが勝手に売ることはできない



親が実家の所有者なら、基本となる売主は親です。

子どもが、

・固定資産税を払っている

・家を管理している

・施設の手続きをしている

・唯一の相続予定者である

という事情があっても、それだけで所有者になるわけではありません。

「将来どうせ自分が相続するから」

という理由で、親名義の不動産を子どもの判断だけで売却することはできません。

まず登記上の所有者を確認し、誰に売却の意思決定権があるのかを整理します。


▪️親が元気なうちに5つだけ確認しておく



将来の実家について、最初から難しい相続対策を全部決める必要はありません。

まず家族で確認したいのは、

・今後も親が住み続けたいか

・施設へ入った場合に戻る予定があるか

・誰か家族が使う予定があるか

・売却してもよいと考えているか

・現在どのくらいの価値があるか

です。

これだけでも、

「親が判断できなくなってから家族だけで初めて考える」

状態を避けやすくなります。

本人の希望を聞かず、子ども側だけで「売る」「残す」を先に決めないことも大切です。


▪️売却を決める前に現在の価格を確認する



親から、

「この家は昔4,000万円で買った」

と言われることがあります。

しかし、昔の購入価格と現在の売却価格は別です。

現在価格には、

・土地需要

・接道

・築年数

・建物状態

・周辺取引

・法令上の条件

などが関係します。

そのため、売却すると決める前でも現在価格を確認する意味があります。

親の家にある複数の価格の違いはこちら。

親御さん本人が売却を検討しており、現在価格を確認したい場合はこちら。


▪️施設へ入るから必ず実家を売る必要もない



施設入所が決まると、

「誰も住まなくなるからすぐ売ろう」

という話になることがあります。

しかし確認したいのは、

・本人が自宅へ戻る可能性

・施設費用に売却代金が必要か

・空き家として管理できるか

・賃貸利用できるか

・家族が将来使う予定

です。

売却は有力な選択肢の一つですが、本人の生活計画と切り離して決めません。

特に長年住んだ自宅は、本人の生活基盤でもあります。

家を処分することと、親の今後の住まいを決めることを同時に整理します。


▪️判断能力が低下したあとには成年後見制度を確認する



認知症などによって判断能力が不十分になり、自分で財産管理や契約をすることが難しくなった場合には、成年後見制度があります。

法定後見制度には、判断能力の程度に応じて、

・後見

・保佐

・補助

があります。

家庭裁判所が本人に必要な支援内容を確認し、成年後見人・保佐人・補助人を選任します。

成年後見人は本人の財産を自由に使える人ではありません。

本人の財産と権利を守るために財産管理等を行う立場です。


▪️「子どもを後見人にすればいい」と先に決めない



成年後見制度の申立てでは、家族を候補者として記載することはできます。

ただし、最終的に誰を後見人等へ選任するかは家庭裁判所が判断します。

事情によっては、

・弁護士

・司法書士

・社会福祉士

などの専門職が選任されることもあります。

また、裁判所の案内では申立てから審判までおおむね1〜2か月程度とされ、鑑定が必要な場合はさらに期間が必要です。

専門職の後見人・監督人等には、家庭裁判所の判断により本人の財産から報酬が支払われる場合があります。

「実家を売りたいからすぐ後見人を付ける」という単発の売却手続きとして考えないことが重要です。


▪️後見人がいても居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要



成年後見人が本人に代わって財産管理を行う場合でも、本人の居住用不動産を自由に売却できるわけではありません。

居住用不動産について、

・売却

・賃貸

・賃貸借契約の解除

・抵当権設定

・取り壊し

などを行う場合には、家庭裁判所の許可が必要になることがあります。

売却の場合には、

・不動産の評価資料

・査定書

・売買契約書案

などが必要資料として案内されています。

これは、本人にとって大切な住居を不利益な条件で処分しないための仕組みです。


▪️施設に入って空き家になっていても「居住用不動産」になる場合がある



ここは特に注意したいところです。

家庭裁判所がいう居住用不動産には、現在本人が住んでいる家だけでなく、

・施設入所前まで住んでいた家

・病院入院前まで住んでいた家

・将来戻って住む可能性がある家

なども含まれる場合があります。

つまり、

「もう施設に入ったから普通の空き家」

として処分手続きを進めるとは限りません。

成年後見制度を利用している本人の元自宅を売却する場合は、居住用不動産処分許可が必要かを確認します。


▪️判断能力があるうちなら任意後見制度も検討できる



将来の判断能力低下へ備える制度として、任意後見制度があります。

任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、

・誰へ任せるか

・どの財産管理を任せるか

・どのような代理権を与えるか

などをあらかじめ契約で決めておく制度です。

契約は公正証書で作成します。

その後、本人の判断能力が不十分になり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると契約の効力が生じます。

つまり、

判断能力が低下してから初めて選択肢を探す制度ではなく、元気なうちに将来へ備える制度

です。


▪️認知症対策と相続対策は同じではない



実家の話では、

「認知症になったらどうするか」

と、

「亡くなったあと誰が相続するか」

が混ざりやすくなります。

認知症対策は、本人が存命中の財産管理・契約の問題です。

相続対策は、死亡後に、

・誰が相続人になるか

・実家を誰が取得するか

・相続税

・売却

などを整理する問題です。

二次相続まで考えた実家の整理はこちら。

相続全体について専門家へ相談したい場合はこちら。


▪️「実家を残す」場合も管理方法まで決める



親が、

「できればこの家は残したい」

と希望することもあります。

残すこと自体が問題なのではありません。

その場合は、

・誰が定期的に確認するか

・固定資産税をどう払うか

・草刈りや庭木を誰が管理するか

・修繕費をどうするか

・施設入所後も火災保険をどうするか

まで整理します。

誰も住まない家を残すなら、保有という選択に必要な管理まで決めることが重要です。

相続後の空き家の選択肢はこちら。


▪️親の実家は6つの順番で整理する



認知症や将来の実家が気になったら、次の順番で確認します。

①所有者

土地・建物が誰名義か確認します。

②本人の希望

・住み続けたい

・売ってもよい

・家族に残したい

などを確認します。

③現在価格

査定や周辺相場から現在の価値を把握します。

④将来の住まい

・自宅

・子どもとの同居

・施設

などを整理します。

⑤財産管理

判断能力が低下した場合に必要となる制度や支援を確認します。

⑥相続後の出口

・家族が使う

・貸す

・保有する

・売却する

を比較します。

この順番なら、認知症という言葉だけで慌てて実家を処分せず、本人の生活と財産を一緒に整理できます。


▪️よくある質問



Q. 親が認知症と診断されたら家は売れませんか?

診断名だけで一律には決まりません。売買契約時に本人が契約内容を理解して判断できる意思能力があるかが重要です。


Q. 子どもなら親の代わりに実家を売れますか?

親名義の不動産を親族という理由だけで売却することはできません。本人の意思や適切な代理権などを確認する必要があります。


Q. 成年後見人になれば実家を自由に売れますか?

本人の居住用不動産を処分する場合は、家庭裁判所の許可が必要です。


Q. 親が施設へ入った後の実家も居住用不動産ですか?

施設入所前まで住んでいた家や将来戻る可能性のある家も、居住用不動産として扱われる場合があります。


Q. 親が元気なうちに何から始めればいいですか?

本人の希望、実家の現在価格、将来の住まい、財産管理、相続後の使い道を順番に確認します。


▪️まとめ|認知症になる前に「売る」ではなく実家の選択肢を整理する



親の認知症が心配になると、

「今のうちに実家を売った方がいい」

と考えることがあります。

しかし目的は、急いで売却することではありません。

重要なのは、

・誰が所有しているか

・親本人はどうしたいか

・実家はいくらなのか

・今後どこに住むのか

・判断能力が低下した場合どう管理するか

・相続後に誰が使うのか

を整理することです。

親に十分な判断能力がある段階なら、本人の意思を確認しながら選択肢を比較できます。

一方、判断能力が低下した後には成年後見制度などの仕組みが関係し、居住用不動産の売却では家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。

だからこそ、

「認知症になったら売れなくなるから急げ」ではなく、「元気なうちに家と財産の方針を共有する」

という考え方が重要です。

現在価格を知る。

住まいを決める。

必要なら専門家へ相談する。

そのうえで、

住む。

貸す。

残す。

売る。

を選びます。

本人が自分の意思で選択できるうちに、実家の将来について話し合っておく。

それが、親の財産を守りながら実家を整理する第一歩です。


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