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親が「田舎に農地がある」と言い出したら?相続前に確認する地番・現況・耕作者・権利関係

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 8月27日
  • 読了時間: 16分

親から突然、

「そういえば田舎に田んぼがある」

「昔、親から畑を相続した」

「今は近所の人に使ってもらっている」

と言われたら、どうすればよいのでしょうか。

家族としては、

「売っておいた方がいい?」

「相続することになったら困る?」

「そもそも場所はどこ?」

と考えるかもしれません。

結論からいうと、最初に売却方法を決める必要はありません。

親が元気なうちに確認したいのは、

・どの土地なのか

・現在どうなっているのか

・誰が使っているのか

・どんな権利関係があるのか

・親自身は将来どうしたいのか

です。

この5つが分かっていなければ、

売る。

貸す。

自分で使う。

相続後に整理する。

という次の判断ができません。

逆に、生前にここまで整理できていれば、相続が発生したあと家族が、

「田んぼがあるらしい。でも場所も状況も分からない」

というところから始めずに済みます。

この記事では、親から農地の存在を聞いたとき、相続前に家族で確認しておきたい順番を整理します。

▪️結論|まず「処分方法」ではなく農地の一覧を作る

田舎の農地があると聞くと、

売れるのか。

農地バンクへ貸せるのか。

国へ返せるのか。

と出口を探したくなります。

しかし、その前に必要なのが所有農地の棚卸しです。

例えば親が、

「実家の裏に田んぼが3枚ある」

と言っていても、それだけでは将来の手続きには使いにくいでしょう。

最低限、一筆ごとに、

・市町村

・大字・字

・地番

・登記地目

・面積

・現在の利用状況

を残します。

できれば、

現在誰が耕作しているか。

年間で何か費用を払っているか。

親が今後どうしたいか。

まで記録します。

「田舎に田んぼがある」から「○○市○○字123番の田を所有している」へ変える。

これが最初の作業です。

▪️① 最初に確認するのは住所ではなく「地番」

農地を整理するときに最初につまずきやすいのが、土地の場所です。

土地を登記上特定するときには、一般的な住所ではなく地番を使います。

地番と住居表示は一致しないことがあります。

親が、

「あの神社の向こう」

「実家から少し山側へ行ったところ」

と覚えていても、将来の登記や農業委員会への相談には十分ではありません。

まず手元にある、

固定資産税の課税明細書。

登記識別情報通知。

昔の権利証。

売買契約書。

相続関係の書類。

などを確認します。

固定資産税の課税明細書にも地番が記載されていることがあります。

ただし、課税明細だけを現在の権利関係の証明として扱わないことも大切です。

地番が分かったら、必要に応じて法務局で登記事項証明書を確認します。

▪️「親の土地」と聞いても登記名義まで確認する

ここは意外と重要です。

親が、

「自分の田んぼ」

と思っていても、登記を確認すると、

亡くなった祖父名義のまま。

兄弟との共有。

親は一部の持分だけ所有。

というケースがあります。

つまり、

親が管理している土地=親の単独所有

とは限りません。

登記事項証明書では、現在の登記名義や持分などを確認できます。

また、抵当権など登記されている権利があれば、その内容も確認できます。

相続前にここを把握しておけば、

親が亡くなったあと、

「実は祖父の相続から整理しなければならなかった」

という状態に気付きやすくなります。

まず親本人がどの立場でその農地を持っているのかを確認しましょう。

詳しくはこちら

▪️② 登記地目が「田・畑」でも現地を確認する

地番が分かったら、次は現在の状態です。

例えば登記事項証明書では「田」となっていても、

現在も水田として使われている。

何年も耕作されていない。

草木が伸びている。

別の用途で使われている。

など、現場の状態は土地ごとに違います。

農地法では農地を「耕作の目的に供される土地」としています。

そのため、登記地目だけを見て農地法上の扱いを最終判断しないことが重要です。

一方で、

何年も使っていないから自動的に農地ではなくなる。

とも限りません。

農地として扱われるか判断が必要な場合は、農地所在地の農業委員会へ確認します。

生前の段階ではまず、

「現在も田として使っている」

「5年以上行っていない」

「近所の人が耕している」

という程度でも構いません。

親の記憶を残しておきましょう。

▪️遠方なら親と一緒に一度だけ現地を確認する価値がある

農地が実家から遠い場合、

「場所はだいたい分かっているから大丈夫」

と後回しになることがあります。

しかし親しか現地を特定できない土地なら、元気なうちに一度確認しておく価値があります。

例えば、

どの道路から入るのか。

どこまでが自分の土地だと思っているのか。

隣は誰の農地なのか。

誰が耕作しているのか。

水路はどこにあるのか。

などは、書類だけでは分からない場合があります。

スマートフォンで、

入口。

土地全体。

周辺道路。

目印。

を撮影し、地番と一緒に保存しておくと後から確認しやすくなります。

ただし写真や親の説明だけで、法的な境界が確定するわけではありません。

ここでは将来家族が土地を探せる状態にすることを目的にします。

詳しくはこちら

▪️③ 「誰が耕しているか」は必ず聞いておく

親から農地について話を聞くと、

「近所の○○さんが使ってる」

「昔から親戚に作ってもらっている」

という話が出てくることがあります。

ここは重要です。

親本人が耕作していない農地なら、

誰が使っているのか。

いつから使っているのか。

賃料を受け取っているのか。

米などを受け取っているのか。

何も受け取っていないのか。

だけでも確認しておきます。

ただし、この段階で、

口約束だから無効。

書面がないからいつでも返してもらえる。

と家族だけで判断しません。

農地の貸借には農地法などが関係し、現在の権利関係はケースによって異なります。

この記事では貸借制度そのものには踏み込みません。

まずは、

「所有者と実際の耕作者が同じなのか違うのか」

を把握するところまでで十分です。

▪️農業委員会では農地台帳の情報も確認できる

親の説明だけでは、

誰が使っているか分からない。

昔の話なので記憶が曖昧。

という場合もあります。

農業委員会では農地台帳が整備されています。

インターネットでは「eMAFF農地ナビ」を使い、

所在。

地目。

面積。

農振法上の区分。

利用状況など。

一定の農地情報を確認できます。

ただし公開情報だけで所有者や耕作者の氏名が表示されるわけではありません。

農地を特定したうえで農業委員会の窓口で閲覧申請をすると、所有者や耕作者の氏名を含む情報を確認できる場合があります。

また、eMAFF農地ナビの情報は必ずしも最新ではなく、表示される位置も境界を確定するものではありません。

オンライン地図だけで権利関係を確定せず、必要なら農業委員会へ確認する。

この使い分けが大切です。

▪️④ 水路・土地改良区・年間費用も親に聞いておく

農地には、固定資産税以外の負担がある場合があります。

例えば水田では、

水路。

農道。

土地改良施設。

などを地域で共同利用しているケースがあります。

農林水産省も、相続農地について水路などの共同利用施設に関する賦課金が必要になる場合があるとして、農業委員会・市町村・土地改良区等への確認を案内しています。

そこで親には、

毎年どこかへお金を払っているか。

土地改良区から書類が届いていないか。

水路の掃除へ参加しているか。

地域の農家から連絡が来ることがあるか。

を聞いておきます。

年間数千円でも、相続人が存在を知らなければ、

「これは何の請求?」

から調べることになります。

金額の大小より、農地にどんな管理関係が付いているのかを残すことが目的です。

▪️⑤ 親が農地を今後どうしたいかを聞く

土地の情報がそろったら、最後に本人の意向を確認します。

ここで重要なのは、家族が先に結論を決めないことです。

例えば親は、

まだ自分で耕したい。

近所の人へ使ってもらいたい。

できれば生前に売りたい。

子どもへ残したい。

もう誰も使わないので整理したい。

と考えているかもしれません。

同じ農地でも、親の希望によって次に確認する制度が変わります。

農地をそのまま売買・貸借する場合は、原則として農業委員会の許可など農地法上の手続きが関係します。

一方、自分の農地だからといって自由に宅地・駐車場などへ変更できるわけでもありません。

だから、

「とりあえず不動産会社へ売りに出す」

ではなく、

土地情報を整理→親の意向確認→必要な制度確認

の順番にします。

詳しくはこちら

▪️貸したいなら「誰か探しておいて」だけで終わらせない

親が、

「自分ではもう作れないから誰かに貸したい」

と考えている場合もあります。

現在は農地バンクを活用して、地域計画などに沿って農地を担い手へつなぐ仕組みがあります。

2025年4月からは、従来の市町村による農用地利用集積計画から、農地バンクを経由する農用地利用集積等促進計画へ制度が一本化されています。

ただし農地法3条による貸借・売買の方法がなくなったわけではありません。

ここでも、

農地バンクへ出せば必ず借りてもらえる。

とは考えません。

農地の位置・状態・地域の担い手などによって変わります。

親が「貸したい」と言っているなら、所有農地を整理したあと農業委員会や農地バンクへ相談します。

詳しくはこちら

▪️売りたいなら「農地だから売れない」と決めない

親が、

「もう使わないから売っておきたい」

と言うケースもあります。

ここで、

農地は一般人に売れない。

だから売却できない。

と決める必要はありません。

農地を農地として売る場合には農地法3条の許可などが関係しますが、条件を満たす買主へ売買できる制度があります。

一方で、

宅地のように誰へでも自由に売れる。

わけでもありません。

だから売却を考えるなら、

地番。

現況。

農地法上の扱い。

農振法上の区分。

周辺の耕作者。

などを順番に確認します。

詳しくはこちら

〖PR〗親が生前に農地を整理したい場合、まず地番や現況を確認したうえで、農地を含む土地について相談・査定できる会社があるか確認する方法があります。農地のままでは査定対象外となる会社もあるため、対象可否を確認してください。

▪️「宅地にして使えばいい」は農地を確認してから

使っていない農地を見て、

駐車場にすればいい。

アパートを建てればいい。

資材置場にすればいい。

と考えることもあります。

しかし農地を農地以外に利用する場合は、農地転用の許可・届出や農振法など別の確認が必要になる場合があります。

農地の場所によっては転用が難しいケースもあります。

だから、

土地活用プランを先に作る。

ではなく、

まず農業委員会等で転用可能性を確認する。

その後で活用方法を比較します。

〖PR〗農地転用の可能性を行政窓口等で確認し、土地活用を検討できる状態になった場合は、複数の活用プランを比較する方法もあります。

▪️相続が起きてから初めて探すと手続きが増える

親が元気なうちは、

「まだ先の話」

と思うかもしれません。

しかし相続が発生すると、農地についても手続きがあります。

相続などによって農地の権利を取得した場合は、農地所在地の農業委員会へ農地法3条の3に基づく届出が必要です。

農林水産省は、相続発生からおおむね10か月以内の届出を案内しています。

これは法務局への相続登記とは別です。

また相続登記についても、現在は相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が原則として義務化されています。

つまり相続後は、

相続人を決める。

登記する。

農業委員会へ届ける。

今後の管理方法を決める。

という作業が発生します。

そのときに、

地番不明。

現地不明。

耕作者不明。

親の意向不明。

まで重なると、確認することが一気に増えます。

だから生前に必要なのは、難しい法律の勉強ではありません。

土地情報を家族へ渡せる状態にしておくことです。

▪️親に聞いておきたい質問はこの6つ

農地の話が出たら、いきなり、

「それ売ろう」

「相続放棄した方がいい」

と話を進めなくて構いません。

まず次の6つを聞きます。

・① どこにある農地なのか

・② 何筆くらいあるのか

・③ 今は誰が使っているのか

・④ 毎年何か費用や収入があるのか

・⑤ 書類はどこに保管しているのか

・⑥ 将来その農地をどうしたいのか

全部その場で答えられなくても問題ありません。

「分からない」という回答も重要な情報です。

分からない部分だけ、

課税明細。

登記事項証明書。

農業委員会。

現地確認。

で補います。

▪️農地1筆ごとに一枚のメモを作る

農地が複数ある家庭ほど、一覧表だけでなく一筆ごとの情報を残しておくと整理しやすくなります。

例えば、

地番:○○市○○字123番

登記地目:田

面積:850㎡

現在:近所のAさんが耕作

契約:詳細不明・要確認

年間費用:土地改良区から請求あり

親の希望:できれば生前に貸付先を整理

現地写真:2026年8月撮影

という程度です。

これだけでも、

「どこの何か分からない田んぼ」

から、

次に何を調べればいい農地なのか

へ変わります。

この段階では、売却価格まで確定させる必要はありません。

まず情報を消さないことを優先します。

▪️すでに相続後で場所が分からない場合は別の順番になる

この記事は、

親が生きている間に農地の存在が分かった家族

を対象にしています。

すでに親が亡くなっていて、

農地を相続したらしい。

でも場所が分からない。

地番も分からない。

という場合は、確認方法が変わります。

その場合は、

固定資産税資料。

登記情報。

名寄帳。

農業委員会。

現地確認。

などから農地を特定していきます。

詳しくはこちら

▪️相続前は5ステップで整理する

親から農地の存在を聞いたら、次の順番です。

・① 課税明細や権利証から地番を拾う

・② 登記名義・持分を確認する

・③ 現地の状態と耕作者を確認する

・④ 費用・貸借など現在の関係を確認する

・⑤ 親が今後どうしたいかを聞く

この5つまでできれば、

売却。

貸付。

保有。

転用。

相続後の処分。

のどれを検討する場合でも、次の相談へ進みやすくなります。

逆に、

農地バンクがいい。

国庫帰属がいい。

売却した方がいい。

と出口から決めても、土地の状態が分からなければ進められません。

最初に出口を選ばず、農地を特定する。

これが生前整理の基本です。

▪️よくある質問|親が所有している農地の生前確認

Q.親が「田んぼを持っている」と言っています。最初に何を見ればいいですか?

固定資産税の課税明細書や権利証などから地番を確認します。

その後、必要に応じて登記事項証明書で現在の名義や持分を確認します。

Q.場所は分かりますが地番が分かりません。

住所と地番は異なる場合があります。

法務局の地図、登記情報提供サービスの地番検索、固定資産税資料などから確認します。

Q.親が「近所の人に貸している」と言っています。契約書がありません。

契約書がないという理由だけで権利関係を自己判断しない方がよいでしょう。

まず誰がいつからどのように利用しているのかを聞き、必要に応じて農業委員会へ現在の農地台帳や手続きを確認します。

Q.何年も放置している田はもう農地ではありませんか?

放置期間だけでは判断できません。

登記地目と現況が異なる場合もあるため、農地法上の扱いが不明なら農業委員会へ確認します。

Q.相続する前に売った方がいいですか?

一律には決まりません。

農地の位置・利用状況・権利関係・親の希望を整理してから、売却・貸付・保有を比較します。

Q.農地を相続すると農業をしなければなりませんか?

相続した農地で自分が農業を始めなければならないという意味ではありません。

自分で利用しない場合は、貸付・売却など今後の利用方法を検討できますが、それぞれ農地法等の確認が必要です。

▪️まとめ|親が元気なうちに「土地の場所」を家族の情報に変える

親から、

「田舎に田んぼがある」

と言われても、すぐ困る必要はありません。

まず確認するのは、

売れるか。

国へ返せるか。

いくらになるか。

ではありません。

その農地が何なのか。

です。

地番。

登記名義。

現況。

耕作者。

年間費用。

親の意向。

を一つずつ確認します。

特に親しか場所を知らない農地なら、元気なうちに現地へ行き、

入口。

周辺道路。

目印。

現在の状態。

を写真に残しておく意味があります。

また、

「近所の人が昔から作っている」

という話が出たら、それも重要な情報です。

契約があるのか。

農地バンクを利用しているのか。

どのような経緯なのか。

を後から確認できるよう、少なくとも相手の名前や連絡先を残します。

そして最後に、

親自身がその農地をどうしたいのかを聞きます。

売りたいのか。

貸したいのか。

まだ使いたいのか。

子どもへ残したいのか。

ここまで分かれば、初めて次の制度を選べます。

相続が起きたあと、

「農地を相続したけど、どこか分からない」

から始めるのと、

「この5筆が親の農地で、2筆は貸付中、3筆は休耕している」

から始めるのでは大きく違います。

親が元気な今だからできるのは、処分を急ぐことではありません。

親だけが知っている農地情報を、家族も分かる情報へ変えておくこと。

それが田舎の農地を相続する前にできる、最も現実的な準備です。

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