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相続不動産を兄弟の共有名義にしても大丈夫?遺産分割前に確認する4つの分け方

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 3月4日
  • 読了時間: 14分

更新日:8月27日

親が残した実家や土地を、兄弟姉妹で相続することになった。

そこで、

「3人とも相続人だから3分の1ずつ共有にすれば公平」

と考えることがあります。

確かに、共有名義も遺産分割の方法の一つです。

しかし、

公平に相続すること。

と、

不動産そのものを同じ割合で共有すること。

は同じではありません。

旧記事では、

共有は「魔の持分」。

一人でも反対すれば土地は完全にロックされる。

時間が経てば必ずきょうだいの意見が揃わなくなる。

共有にしないことが唯一の道。

と強く説明していました。

これは言い過ぎです。

共有名義そのものが間違いなのではありません。

実際に家族で利用する予定があり、管理・費用・将来の売却について考え方が揃っていれば、共有を選ぶ場合もあります。

一方で、

誰も住まない。

誰が固定資産税を払うか決めていない。

将来売るかどうかも決めていない。

という不動産を、

「とりあえず平等だから」

という理由だけで共有にすると、後から判断する人が増えることになります。

この記事では、

まだ遺産分割をしていない段階で、

共有名義にするべきか。

一人が取得するべきか。

売って現金で分けるべきか。

を決める順番を整理します。

▪️結論|共有名義は「悪」ではない。ただし出口まで決めずに選ばない

共有名義にする前に確認したいのは、持分割合だけではありません。

・誰がその不動産を使うのか

・固定資産税や修繕費を誰が負担するのか

・貸す場合に誰が管理するのか

・将来売却する場合にどう判断するのか

・共有者の一人が亡くなった場合にどうするのか

ここまで話してから共有を選びます。

逆に、

「今は決められないから3人名義にしておこう」

だけなら、遺産分割を終わらせたように見えて、不動産をどうするかという判断を共有者全員へ持ち越している可能性があります。

▪️まず「遺産分割前」と「共有名義になった後」を分ける

ここは非常に重要です。

親が亡くなり、まだ遺産分割が終わっていない状態では、原則として遺産は相続人による共有状態になります。

この段階では、

誰が実家を取得するか。

土地を売るか。

別の財産と組み合わせて分けるか。

を決める余地があります。

一方、

遺産分割協議で、

兄2分の1。

弟2分の1。

として取得することを決め、共有名義にした後は、兄弟それぞれが持分を持つ不動産として管理・処分を考えることになります。

つまり、

遺産分割前なら「共有にするかどうか」を選ぶ段階。

共有後なら「共有状態をどう管理・解消するか」を考える段階。

です。

この記事は前者を中心に扱います。

すでに共有名義になった実家の売却については、別記事で整理しています。

詳しくはこちら

▪️「3人だから3分の1ずつ」が唯一の公平ではない

不動産は現金と違い、簡単に3等分できないことがあります。

そのため裁判所も、遺産の分け方として大きく、

・現物分割

・代償分割

・換価分割

・共有分割

という方法を案内しています。

例えば、

兄が実家を取得。

弟は預金を取得。

という形なら現物分割です。

兄が実家を取得し、弟へ代償金を支払うなら代償分割。

実家を売却して、その代金を分けるなら換価分割です。

そして兄弟で不動産を共有して取得するのが共有分割です。

「平等=共有」ではなく、財産全体でどう分けるかを考えます。

▪️誰か一人が住むなら代償分割を比較する

例えば長男が、

「親の家にこのまま住みたい」

と希望している場合があります。

このとき、

兄弟3人で共有。

長男だけ居住。

という形だけが選択肢ではありません。

条件が合えば、住みたい人が不動産を取得し、他の相続人へ代償金を支払う方法があります。

ただし代償分割では、

不動産価値。

代償金。

支払能力。

相続税などの税務。

を確認する必要があります。

特に不動産価格を知らずに、

「実家はたぶん1,000万円くらい」

という感覚だけで代償金を決めるのは避けます。

遺産分割前に現在価格を把握することが重要です。

〖PR〗相続した実家・土地を共有にするか、一人が取得するか、売却して分けるか迷う場合は、まず現在の売却価格を確認しておくと比較しやすくなります。

▪️誰も使わないなら換価分割も比較する

兄も使わない。

弟も使わない。

妹も遠方に住んでいる。

という実家なら、

3人で共有して所有する。

だけでなく、売却して現金を分ける方法も比較します。

不動産のまま共有すると、

管理。

固定資産税。

修繕。

売却判断。

について今後も共有者同士で話す必要があります。

売却して現金になれば、その後の不動産管理は必要ありません。

もちろん、

思い出がある。

将来家族が使う。

値上がりを期待して保有する。

という理由があるなら保有も選択肢です。

重要なのは、誰も使わないのに「売る決断ができないから共有」にしないことです。

▪️共有すると「何でも全員同意」になるわけではない

旧記事では、

売却・解体は全員同意。

賃貸・活用は過半数。

と単純な表にしていました。

現在の民法では、もう少し細かく分かれています。

共有物については大きく、

保存行為。

管理行為・軽微な変更。

軽微ではない変更。

で必要な判断が違います。

保存行為は各共有者が単独で行えるものがあります。

管理に関する事項や、形状・効用を著しく変えない軽微な変更は、原則として持分価格の過半数で決められます。

一方、不動産全体の売却など共有物全体を処分する場合や、軽微ではない変更については、基本的に共有者全員の意思が必要になります。

賃貸についても期間・内容によって扱いが異なり、

「貸すなら全部多数決」

と一括りにはできません。

共有名義では、何をするかによって必要な意思決定が変わると理解しておきましょう。

▪️「一人が返事しないと完全に詰む」も現在は正確ではない

旧記事では、

一人でも反対。

一人でも行方不明。

なら土地は完全にロックされる。

としていました。

しかし2023年4月に施行された民法改正では、共有制度自体が見直されています。

例えば、

共有者の所在が分からない。

管理について連絡しても賛否を明らかにしない。

という場合には、一定の条件のもとで裁判所の手続きを利用し、残りの共有者で管理等を進められる仕組みがあります。

所在等不明共有者の持分を取得したり、一定の場合にその持分を含めて第三者へ譲渡したりする制度も整備されました。

つまり、

連絡が取れない共有者が一人いる=永久に何もできない

ではありません。

ただし裁判所への申立て・調査・供託などが必要になる場合があり、簡単な手続きではありません。

だからこそ、最初から共有者を増やさなくて済むなら、その可能性も遺産分割時に比較します。

▪️固定資産税は「自分の3分の1だけ払えば終わり」ではない

共有名義の不動産では、固定資産税も注意が必要です。

地方税法では、共有物に対する地方税について共有者が連帯して納付する義務を負うとされています。

例えば兄弟3人で3分の1ずつ共有しているから、

役所が固定資産税を3分割して、それぞれへ3分の1ずつ課税する。

という仕組みではありません。

一般には共有代表者へ納税通知書が送られ、共有者間で費用を精算することになります。

もちろん家族内で、

3分の1ずつ負担する。

居住者が多めに払う。

などのルールを決めることはできます。

しかし税務上の連帯納税義務と、家族内の費用負担ルールは別です。

共有にするなら、誰が納付して誰が誰へ精算するかまで決めておく方が後から揉めにくくなります。

▪️修繕・草刈り・火災保険なども先に決める

固定資産税だけではありません。

空き家なら、

草刈り。

庭木。

雨漏り修繕。

火災保険。

残置物整理。

などの費用が発生することがあります。

そのたびに、

誰が業者へ連絡するのか。

費用はいくらまでなら事前承認なしで使うのか。

誰が立て替えるのか。

を毎回一から相談すると負担になります。

共有を選ぶなら、少なくとも、

管理窓口と費用負担の基本ルール

は共有者間で決めておきましょう。

▪️共有者が亡くなると、その持分も相続対象になる

共有で最も長期的に考えたいのが、次の相続です。

例えば兄と弟が2分の1ずつ共有している不動産で兄が亡くなれば、兄の持分も相続財産になります。

その結果、兄の配偶者・子などが相続関係に入る可能性があります。

だから旧記事のように、

「10年後には必ず10人になる」

とは言えません。

家族構成や遺産分割によって結果は変わります。

ただし、共有状態を何世代も続ければ、当初話し合っていた兄弟とは別の人が権利関係に入る可能性があることは考えておく必要があります。

共有を長期保有するなら、

「今の兄弟なら話せる」

だけでなく、

共有者の一人に相続が起きた後も管理できるか

まで考えます。

▪️遺産分割そのものを10年以上先送りすることにも注意する

共有名義にするか迷っているうちに、

遺産分割を何年も行わない。

という状態になることもあります。

2023年4月から、相続開始から10年を経過した後の遺産分割については、生前贈与などの特別受益や寄与分を反映する具体的相続分による分割が原則としてできなくなる仕組みが導入されています。

通常は法定相続分または指定相続分を基準に分割することになります。

つまり、

10年間考えればよい。

という意味でもありません。

生前、

自分だけ親の介護をしていた。

兄だけ多額の生前贈与を受けていた。

などを遺産分割で考慮したい場合には、特に長期間放置しないことが重要です。

▪️2026年は相続登記だけでなく住所・名前の変更登記も義務化済み

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。

相続や遺贈によって不動産を取得したことを知った人は、原則としてその取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。

2024年4月より前に発生した相続についても対象で、原則として2027年3月31日までが一つの期限になります。

さらに2026年4月1日からは、不動産所有者の住所・名前の変更登記も義務化されました。

住所・名前が変わった場合は、原則として変更日から2年以内に変更登記を行います。

旧記事では、

共有者全員が住所変更登記をしなければならず、放置すれば全員が過料対象。

という書き方でした。

正確には、各共有者について、自分自身の住所・氏名等に変更が生じた場合にその人の登記義務が問題になります。

一人の住所変更未登記によって、他の共有者全員が自動的に義務違反になるという意味ではありません。

詳しくはこちら

▪️すでに共有で揉めているなら「共有にするべきか」の段階ではない

すでに、

兄は売りたい。

弟は残したい。

もう一人は連絡を返さない。

という状態なら、今回の記事で扱う「共有にするかどうか」の段階は過ぎています。

その場合は、

不動産全体を売却できないか。

共有者間で持分を整理できないか。

自分の持分をどうするか。

共有物分割を検討する必要があるか。

を整理します。

共有者は原則として共有物の分割を求める制度もあります。

ただし最初から裁判を前提にする必要はありません。

まず現在の登記・持分・不動産価値・共有者それぞれの希望を整理します。

詳しくはこちら

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▪️共有名義にする前に6項目だけ決める

遺産分割協議で共有を選ぶなら、少なくとも次を確認します。

・① 今後5年程度、誰が利用するのか

・② 固定資産税・管理費・修繕費を誰が負担するのか

・③ 賃貸・修繕など日常管理の窓口を誰にするのか

・④ 将来売る場合、どのタイミングで話し合うのか

・⑤ 一人が共有から抜けたい場合にどうするのか

・⑥ 次の相続が起きた場合に共有状態を続けるのか

ここまで話したうえで、

共有が一番合っている。

という結論なら共有を選べばよいでしょう。

逆にこの6項目を何も決められないなら、

現物分割。

代償分割。

換価分割。

も比較した方がよい状態です。

▪️よくある質問|相続不動産の共有名義

Q.兄弟3人なら実家を3分の1ずつ共有するのが一番公平ですか?

一概には言えません。

不動産以外の預金なども含めて現物分割・代償分割・換価分割・共有分割を比較できます。

Q.共有名義にすると、何をするにも全員の同意が必要ですか?

すべてではありません。

保存行為、管理行為、軽微な変更、軽微ではない変更などで必要な意思決定が異なります。

Q.兄弟の一人と連絡が取れなくなったら何もできませんか?

必ずしもそうではありません。

2023年施行の改正民法では、所在等不明共有者などがいる場合の裁判所手続が整備されています。ただし要件・手続があるため、早い段階で共有関係を整理する方が簡単な場合があります。

Q.共有名義なら固定資産税も持分ごとに請求されますか?

原則として持分ごとの分割課税ではありません。

共有者には連帯納税義務があり、共有者間で実際の負担方法を決めます。

Q.誰も実家を使わない場合はどうすればよいですか?

共有で保有する方法だけでなく、売却して代金を分ける換価分割も比較できます。

まず現在価値と売却可能性を確認すると判断しやすくなります。

▪️まとめ|「平等に分ける」と「共有する」を同じにしない

親の不動産を兄弟で相続すると、

3人だから3分の1ずつ。

という分け方は分かりやすく見えます。

しかし、不動産の相続方法は共有だけではありません。

現物分割。

代償分割。

換価分割。

共有分割。

という選択肢があります。

共有分割が悪いわけではありません。

兄弟で共同利用する。

長期保有する目的がある。

費用負担も決まっている。

将来の売却方針も共有できている。

という場合には、共有する理由があります。

一方で、

誰も使わない。

管理者も決まっていない。

税金の負担方法も決まっていない。

いつ売るかも分からない。

という不動産を、

「とりあえず公平だから共有」

とする場合は、一度考え直す余地があります。

共有後は、

売却。

管理。

修繕。

賃貸。

固定資産税。

次の相続。

について複数人で判断する場面が出てきます。

ただし旧記事のように、

共有した瞬間に土地が動かなくなる。

一人が行方不明なら永久に詰む。

共有は家族を壊す。

と考える必要もありません。

2023年の民法改正で、所在等不明共有者や賛否を明らかにしない共有者がいる場合の制度も整備されています。

だから大切なのは、

「共有は危険だから絶対やめる」

でも、

「兄弟だから共有しておけば大丈夫」

でもありません。

まず、

誰が使うか。

現在いくらの不動産か。

誰が管理するか。

費用をどう分けるか。

いつ手放すか。

を確認する。

そのうえで、

一人が取得する。

売って分ける。

別の遺産と組み合わせる。

共有する。

を比較します。

公平な相続とは、持分を同じ数字にすることだけではありません。

相続した後も、それぞれが納得して管理・利用・処分できる形にすること。

そこまで考えて遺産分割を決めることが、相続不動産を「とりあえず共有」にしないための最も重要なポイントです。

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