空き家の相続放棄は受理されないことがある?3か月・財産処分・放棄後の保存義務を解説

更新日:10月1日
相続放棄を出せば、それで全部終わり? 逆に、実家の片付けや草刈りをしたらもう放棄できない? この二つは、どちらも一律には言えません。
相続放棄では、3か月の熟慮期間、相続財産の処分と法定単純承認、申述が受理された後の管理が別の論点です。順番を分けて見ると、必要以上に怖がらず整理できます。
▪️1 最初に見るのは「いつ相続を知ったか」
相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。
亡くなった日から必ず3か月、とだけ覚えると事情によってはズレる。裁判所も、相続人になったことを知った時を基準に案内しています。
まず死亡日、相続人になったことを知った日、財産を知った時期をメモ。期限の起点を曖昧にしないことが第一歩です。
▪️2 3か月で判断できないなら「期間の伸長」という手続きがある
借金や不動産が多く、3か月では財産全体を調べきれないことがあります。
裁判所には、相続の承認・放棄の熟慮期間を伸ばしてもらう手続きがあります。何もしないまま期限を過ぎる前に検討したい制度です。
財産調査に時間がかかるなら、放棄するか承認するかを急いで決めるより、まず期限管理。ここを先に整えます。
▪️3 家財を触ったら即アウト、とは決めない
民法には、相続財産を処分した場合に単純承認とみなされる規定があります。一方、保存行為などは同じ扱いではありません。
だから片付け・売却・解体・預金の引出しなどを全部ひと括りにして『触ったら放棄できない』とは言えない。
何をしたのか、相続財産を減らす行為なのか、保存のための行為なのか。迷う作業は実行前に専門家へ確認します。
▪️4 申述が受理されても「実体上の争い」が絶対なくなるわけではない
家庭裁判所が相続放棄の申述を受理したことと、後から債権者などとの間で法的な争いが一切起きないことは同じではありません。
財産処分など法定単純承認が問題になる事情があると、別の場面で相続放棄の効力が争点になる可能性があります。
受理通知書を受け取ったから過去の行為を気にしなくてよい、と決めつけない。気になる事情は記録を残して相談します。
▪️5 放棄後の保存義務は「永遠に続く」ではない
現行民法940条では、相続放棄時に相続財産を現に占有している人について、次の相続人などが管理を始められるまで保存に関する義務が残る場合があります。
以前の情報では『放棄しても全員がずっと管理義務を負う』ように見える説明もありますが、現行法は条件を分けて確認する必要があります。
誰が現に占有しているか、次順位相続人がいるか、相続財産清算人が必要か。放棄後の管理はこの順で整理します。
▪️6 空き家があるなら「放棄する前」と「放棄した後」を混ぜない
放棄前は、自分が相続人として何をしてよいかを慎重に確認する段階です。売却や解体のような処分行為は特に注意が必要になります。
放棄後は、次の相続人や管理の引継ぎがどうなるかが中心。庭木や建物が危険な場合も、勝手に大きな処分へ進むより法的立場を確認します。
空き家の管理と相続放棄は別の担当者へ丸投げせず、同じ時系列で整理。いつ、誰が、何をしたかを残すと判断しやすくなります。
▪️7 確認する順番
①相続開始を知った日、②3か月の期限、③財産・債務の調査状況、④期間伸長が必要か、⑤すでに行った財産処分の有無、⑥放棄時に現に占有している財産、⑦次の相続人・管理引継ぎの順で確認します。『受理されるか』だけで終わらせないことが基本です。
最初は期限と財産調査を別々に。分からない財産が多いなら、熟慮期間の伸長も選択肢です。
次に、すでに何をしたかを一覧へ。売却・解体・預金移動などがあるなら、自己判断で大丈夫と決めない方が安全です。
最後に放棄後の管理を確認します。現に占有しているか、次の相続人が管理を始められるかで見るポイントが変わります。
▪️⑧ Q&A
Q. 相続放棄は死亡から必ず3か月以内?
A. 原則は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です。事情により熟慮期間の伸長を申し立てられる場合もあります。
Q. 実家を片付けたら相続放棄できない?
A. 行為の内容で判断が変わります。財産の処分が法定単純承認に当たる可能性もあるため、大きな処分は事前に専門家へ確認してください。
Q. 相続放棄したら空き家の管理義務は一切ない?
A. 一律ではありません。現行民法940条では、放棄時に財産を現に占有している場合などに保存義務が問題になります。
▪️⑨ まとめ
相続放棄は、3か月・財産処分・受理後の管理を分けて考えると整理しやすくなります。
期限が迫っている、すでに財産を動かした、空き家を現に占有している。こうした事情があるなら、一般論だけで決めず家庭裁判所の手続案内や専門家へ確認しましょう。

