空き家の相続放棄は受理されないことがある?3か月・財産処分・放棄後の保存義務を解説
- MIRAIU

- 3月28日
- 読了時間: 12分
更新日:8月26日
親が亡くなり、実家の空き家を相続することになった。
建物は古い。
売れるか分からない。
固定資産税や草刈り、修繕まで負担したくない。
そこで、
「空き家だけ相続放棄すればいいのでは」
と考えることがあります。
しかし相続放棄は、不要な空き家だけを選んで手放す制度ではありません。
相続放棄をすると、原則として預貯金や他の不動産、借金なども含め、その相続についての権利・義務を一切承継しないことになります。
さらに、
3か月の熟慮期間。
相続財産の処分。
家庭裁判所への申述。
放棄後の空き家の保存。
など、空き家特有の注意点があります。
この記事では、空き家を相続放棄するときに「受理されないかもしれない」と不安になるポイントを、現在の制度に沿って整理します。
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▪️結論|空き家がいらないだけなら、相続放棄を急いで決めない
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相続放棄を考えるときは、まず被相続人の財産全体を確認します。
例えば、
古い実家 査定100万円。
預貯金 800万円。
借金 0円。
という相続なら、
「空き家がいらない」
という理由だけで相続放棄すると、預貯金も含めて相続しないことになります。
反対に、
売れない空き家。
多額の借金。
その他に大きな資産がない。
という場合には、相続放棄が有力な選択肢になることがあります。
つまり最初に考えるのは、
空き家が欲しいかどうかではなく、相続財産全体を引き継ぐべきか
です。
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▪️相続放棄は「空き家だけ」を選んで放棄できない
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相続放棄が受理されると、その相続について初めから相続人ではなかったものとみなされます。
そのため、
空き家だけ放棄。
借金だけ放棄。
山林だけ放棄。
という選択はできません。
例えば、
自宅。
農地。
山林。
預貯金。
借金。
が一緒にあるなら、原則として全部を含めて相続するか、全部について相続放棄するかを判断します。
特定の土地だけを手放したい場合は、相続土地国庫帰属制度など別の制度と役割が違います。
詳しくはこちら
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▪️「死亡から3か月」で機械的に数えるわけではない
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相続放棄についてよく聞くのが、
「亡くなってから3か月以内」
という説明です。
より正確には、
自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内
が原則です。
例えば疎遠だった親族について、
亡くなったことをかなり後になって知った。
先順位の相続人が相続放棄したことで、自分が相続人になったことを後から知った。
というケースでは、単純に死亡日だけから3か月を計算するとは限りません。
まず、
いつ亡くなったことを知ったか。
いつ自分が相続人になったことを知ったか。
を整理します。
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▪️3か月を過ぎたら「絶対に相続放棄できない」とも限らない
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ここも旧記事で強く断定しやすい部分です。
原則は3か月ですが、裁判所も、
相続財産が全くないと信じていた。
そのように信じる相当な理由があった。
後になって初めて相続財産の存在を知った。
といった場合には、その財産の存在を認識した時から3か月以内の申述が受理されることがあると案内しています。
ただし、
「知らなかったと言えば必ず通る」
という意味ではありません。
死亡から長期間経過している場合には、債権者・自治体などから届いた通知書など、いつ相続の開始を知ったか分かる資料の提出を求められる場合があります。
3か月を過ぎているなら、自分で無理だと決めず早めに専門家や家庭裁判所へ確認しましょう。
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▪️3か月で調査が終わらないなら「期間伸長」がある
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空き家相続では、
親の借金が分からない。
他県にも土地がありそう。
通帳や契約書が大量に残っている。
ということがあります。
3か月以内に財産調査をしても、相続するか放棄するか判断できない場合には、家庭裁判所へ相続の承認または放棄の期間伸長を申し立てることができます。
家庭裁判所が認めれば、熟慮期間を延ばすことができます。
つまり、
期限が来そう。
↓
よく分からないからとりあえず相続する。
と急ぐ必要はありません。
重要なのは、3か月が過ぎてから慌てるのではなく、期限内に調査状況を確認することです。
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▪️相続放棄は家庭裁判所で手続きする
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兄弟へ、
「私は実家はいらないから相続しません」
と伝えるだけでは法律上の相続放棄になりません。
相続放棄をするには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述します。
2026年現在、裁判所が案内する基本的な費用は、
申述人1人につき収入印紙800円
に加えて、連絡用郵便料です。
また、
相続放棄申述書。
被相続人の住民票除票または戸籍附票。
戸籍関係書類。
などが必要になります。
必要な戸籍は、申述人が子なのか、親なのか、兄弟姉妹なのかによって変わります。
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▪️注意|放棄する前に空き家を勝手に売却しない
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相続放棄を考えている段階で特に慎重にしたいのが、相続財産の処分です。
民法では、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合、一定の場合を除き、単純承認したものとみなされる規定があります。
例えば相続放棄を検討しているのに、
空き家を売却する。
土地を第三者へ譲渡する。
相続財産を自分のために処分する。
といった行為は問題になる可能性があります。
一方、財産を守るための保存行為まで一律に禁止されているわけではありません。
何をしたら単純承認になるかは個別事情によるため、放棄を考えているなら高額な処分・売却・解体へ進む前に確認するのが安全です。
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▪️空き家を解体してから相続放棄、は特に慎重に考える
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老朽化した実家を見ると、
危険だから先に解体しよう。
↓
その後に相続放棄しよう。
と考えることがあります。
しかし建物そのものを取り壊す行為は、相続財産の状態を大きく変える行為です。
状況によっては財産の処分と評価され、相続放棄に影響する可能性があります。
そのため、
相続放棄するか迷っている。
↓
とりあえず自費で解体。
という順番は避けた方がよいでしょう。
先に相続するか放棄するかを決め、その後の所有者が空き家の処分方法を判断するのが基本です。
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▪️相続放棄すれば「空き家を永遠に管理する義務」が残るわけではない
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ここは2023年4月施行の民法改正で重要な変更がありました。
以前は、
「相続放棄しても次の相続人が管理を始めるまで管理義務が残る」
という説明が広く使われていました。
現在は規定が整理され、相続放棄をした人が放棄時に相続財産を現に占有している場合に、その財産を引き渡すまで保存義務を負う仕組みになっています。
つまり、
遠方に住み、親の空き家を現実に占有していなかった人まで、
相続放棄後も必ず空き家を管理し続ける。
とは一律に言えません。
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▪️親と同居していた空き家なら保存義務が残る場合がある
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一方、相続放棄すればその瞬間から何をしてもよいわけでもありません。
例えば、
親と同じ家に住んでいた。
親の死亡後もその家を使用している。
放棄時点で家を現に占有している。
という場合には、民法940条の保存義務が関係する可能性があります。
法務省も、親と一緒に暮らしていた子が相続放棄したケースについて、建物を現に占有していたと評価される場合には保存義務を負う可能性があると説明しています。
この義務は、
次の相続人。
または相続財産清算人。
へ財産を引き渡すまでの保存が基本です。
「放棄したのに永久管理」でも、「放棄した瞬間に完全放置してよい」でもありません。
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▪️相続人全員が放棄しても空き家がすぐ国のものになるわけではない
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もう一つ多い誤解があります。
家族全員が相続放棄。
↓
翌日から空き家は国有地。
という流れではありません。
相続人全員が相続放棄し、結果として相続する人がいなくなった場合には、家庭裁判所への申立てによって相続財産清算人を選任する仕組みがあります。
相続財産清算人は、
被相続人の債務を支払う。
財産を換価する。
必要な清算を行う。
といった手続きを進めます。
その清算を経て残った財産が、最終的に国庫へ帰属する仕組みです。
つまり、相続放棄と国庫帰属は同じ手続ではありません。
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▪️「相続放棄」と「相続土地国庫帰属制度」は使う場面が違う
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二つの違いを整理します。
相続放棄
被相続人の財産・債務を原則すべて承継しない。
相続土地国庫帰属制度
相続などで土地を取得した後、条件を満たす特定の土地だけを国へ帰属させる。
例えば、
預貯金は相続したい。
駅前の土地も残したい。
山奥の土地だけ手放したい。
という場合、相続放棄では目的を実現できません。
一方、
借金も空き家も含めて何も承継したくない。
という場合には相続放棄を検討する意味があります。
詳しくはこちら
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▪️相続放棄する前に「本当に負動産なのか」を確認する
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空き家が古いから、
絶対に売れない。
価値はゼロ。
と考えて相続放棄するのも注意が必要です。
例えば、
建物は古いが土地に需要がある。
古家付き土地として売れる。
隣地所有者が欲しがる。
現況買取できる。
という可能性があります。
相続放棄をすると、価値のある財産も含めて承継しません。
3か月の期限があるため悠長にはできませんが、財産調査の一環として不動産の市場価値を把握することには意味があります。
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〖PR〗相続放棄を決める前に、空き家・土地に売却価値があるのか確認できます。
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▪️すでに相続したなら「放棄」ではなく出口を比較する
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3か月の熟慮期間が過ぎ、すでに相続を承認している。
相続登記をして空き家を所有している。
このような場合には、
相続放棄できるか。
だけにこだわるより、今の所有者として出口を考えた方がよいケースがあります。
例えば、
現況売却。
古家付き土地として売却。
解体後に売却。
賃貸・土地活用。
相続土地国庫帰属制度。
などです。
特に土地条件がよいなら、解体や国庫帰属へ費用を使う前に活用可能性も比較できます。
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〖PR〗相続した土地を残す場合は、売却だけでなく賃貸住宅・駐車場など複数の土地活用案を比較できます。
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▪️空き家の相続放棄で確認する6項目
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相続放棄を考えたら、次の順番で整理します。
・被相続人の預貯金・不動産・借金を確認する
・自分が相続人になったことを知った日を確認する
・3か月以内に判断できなければ期間伸長を検討する
・放棄前に相続財産を処分しない
・空き家を現に占有しているか確認する
・放棄と売却・国庫帰属のどれが目的に合うか比較する
この6つを確認すれば、
空き家が嫌だからと慌てて放棄する。
反対に何もしないまま3か月が過ぎる。
という両方を避けやすくなります。
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▪️よくある質問|空き家と相続放棄
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Q.空き家だけ相続放棄できますか?
できません。
相続放棄は原則として、その被相続人の財産・債務について一切相続しないための手続です。
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Q.親が亡くなって3か月を過ぎたら絶対に無理ですか?
死亡日から3か月という単純な基準ではありません。
また、相続財産がないと信じる相当な理由があった場合など、事情によって受理されることもあります。早めに家庭裁判所や専門家へ確認してください。
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Q.相続放棄前に空き家を売っても大丈夫ですか?
相続財産の処分は法定単純承認につながる可能性があります。
放棄を検討しているなら、売却・解体などを進める前に確認しましょう。
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Q.相続放棄後も草刈りや修繕を一生続けますか?
一律ではありません。
2023年施行の改正民法では、放棄時にその相続財産を現に占有している場合の保存義務として整理されています。
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▪️まとめ|空き家の相続放棄は「家がいらない」だけで決めない
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相続した実家が古く、
管理費がかかる。
固定資産税も払いたくない。
売却も難しそう。
となれば、相続放棄を考えるのは自然です。
しかし相続放棄は、不要な空き家を処分するためだけの制度ではありません。
預貯金。
他の不動産。
借金。
その他の権利義務。
を含めて、その相続全体を承継しないための制度です。
さらに期限は原則として、自己のために相続開始があったことを知った時から3か月です。
判断できないなら期間伸長の制度があります。
放棄を検討している間は、相続財産の売却・解体などの処分にも注意が必要です。
そして2023年の民法改正後は、
相続放棄した人全員に空き家の管理義務が永遠に残る
という説明も正確ではありません。
放棄時に財産を現に占有している場合には、次の相続人や相続財産清算人へ引き渡すまで保存義務が問題になります。
最後に重要なのは、
相続放棄すること自体をゴールにしないこと。
財産全体を調べる。
空き家の市場価値を確認する。
借金を確認する。
期限を確認する。
そのうえで、
相続する。
相続放棄する。
相続後に売却・国庫帰属を検討する。
のどれが最も合理的かを決めます。
「古い空き家が一つある」という理由だけで数百万円の預貯金まで手放してしまうことも、
逆に何も調べず借金まで相続することも避けたいところです。
空き家ではなく、相続財産全体を見る。
それが、相続放棄で後悔しないための最初の判断です。
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