私道の土地は売れる?通行・掘削承諾が得られないトラブルと3つの解決策
- MIRAIU

- 3月18日
- 読了時間: 12分
更新日:8月27日

私道に面した土地を売ろうとすると、
「通行承諾書はありますか?」
「掘削承諾は取れていますか?」
と不動産会社から聞かれることがあります。
そこで、
「承諾書がないから売れない?」
「水道管を通せない?」
「住宅ローンも使えない?」
と不安になる方もいるでしょう。
結論からいうと、私道に面していることや、通行・掘削承諾書がないことだけで売却不能とは決まりません。
特に2023年4月の民法改正により、他人の土地へライフライン設備を設置したり、他人が所有する設備を使用したりするための権利が明文化されています。
一方で、
私道をどのような権利で通っているのか。
建築基準法上どのような道路なのか。
水道・ガスなどをどこから引き込んでいるのか。
は、買主にとって重要です。
だから売却前に必要なのは、
「承諾書がないから終わり」と判断することではなく、現在どの権利で土地を利用できているのか整理すること。
です。
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▪️結論|私道の土地は「承諾書の有無」だけで判断しない
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旧記事では、
通行・掘削承諾書がないと土地価格が半減する。
住宅ローンは利用できない。
ライフライン工事もできない。
と強く説明していました。
ここは修正します。
私道に面した土地では、まず次の5つを確認します。
・① 前面道路の所有者
・② 自分に私道持分があるか
・③ 建築基準法上どの道路として扱われているか
・④ 現在の通行根拠は何か
・⑤ 上下水道・ガスなどの配管位置と利用根拠
この内容によって、
特に問題なく売れる土地。
権利関係の整理が必要な土地。
建築について行政確認が必要な土地。
隣地所有者との協議が必要な土地。
に分かれます。
「私道」という一文字だけで土地価値を決めないことが最初のポイントです。
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▪️私道だから「通る権利が当然にない」とも限らない
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旧記事では、
私道を通って家へ入る権利は当然には認められない。
としていました。
実際には、通行できる根拠はいくつか考えられます。
例えば、
自分が私道の共有持分を持っている。
通行地役権が設定されている。
通行について契約・承諾がある。
土地の成り立ちや過去の合意がある。
民法210条の公道に至るための他の土地の通行権が問題になる。
などです。
特に他の土地に囲まれて公道へ出られない、いわゆる袋地については、民法210条で公道へ至るため他の土地を通行できる場合があります。
ただし、
通れる=車でも自由に通れる。
通れる=建物を再建築できる。
という意味ではありません。
何を根拠に、どの範囲・方法で通れるのかを確認します。
詳しくはこちら
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▪️「私道に面している」と「再建築できる」は別問題
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私道問題では、
道路の所有者。
通行権。
建築基準法。
が混ざりやすくなります。
しかし別々の確認事項です。
建築基準法では、建築物の敷地は原則として、同法上の道路へ2m以上接することが求められます。
そして私有地であっても、例えば建築基準法42条1項5号の位置指定道路として扱われている道路があります。
つまり、
私道=建築基準法上の道路ではない
とは限りません。
反対に、見た目は普通の道路でも建築基準法上の扱いについて確認が必要な場合があります。
土地を売るなら、市区町村などの建築担当窓口で前面道路の扱いを確認しておくと、買主へ説明しやすくなります。
詳しくはこちら
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▪️2023年改正|「掘削承諾がなければ水道を引けない」とは限らない
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今回のリライトで最も重要なのがここです。
2023年4月1日に施行された改正民法では、電気・ガス・水道水などの継続的な供給を受けるため、
他の土地へ設備を設置する必要がある。
または、
他人が所有する設備を使用する必要がある。
場合に、必要な範囲で設備を設置・使用できる権利が民法213条の2に明文化されました。
電話・インターネットなどの電気通信も対象になり得ます。
そのため、
私道所有者から掘削承諾書をもらえなければ、法律上絶対に配管できない。
とは現在は言えません。
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▪️ただし「承諾不要だから勝手に掘っていい」でもない
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ここを逆方向に誤解しないことも重要です。
民法213条の2による設備設置・使用では、
必要な範囲で行う。
他の土地・設備への損害が最も少ない場所・方法を選ぶ。
事前に土地・設備の所有者へ通知する。
損害や土地使用に応じて償金などが問題になる場合がある。
といったルールがあります。
また、相手から現実に工事を妨害されているのに、
「法律で権利があるから」
と強引に私道へ入り、自力で工事することが常に認められるわけではありません。
法務省も、設備設置・使用を拒まれている場合は、一般に自力執行は認められないため、必要に応じて妨害禁止を求める裁判手続きなどを利用する考え方を示しています。
つまり、
承諾書がない=工事不能
でも、
法律が変わった=自由に掘削可能
でもありません。
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▪️買主にとっては今でも「書面で整理されている方が分かりやすい」
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民法上の設備設置権が明文化されたから、
通行・掘削承諾書はもう一切必要ない。
とも言えません。
不動産売買では買主が、
どこを通れるのか。
車両通行できるのか。
工事車両も通れるのか。
既存配管を使用できるのか。
将来工事するときどうなるのか。
を確認します。
その内容が契約書・地役権・私道持分・承諾書などで整理されていれば、買主は判断しやすくなります。
一方、
「昔からみんな通ってるから大丈夫」
だけでは、買主や不動産会社が追加調査を求めることがあります。
重要なのは、
承諾書という紙を絶対条件にすることではなく、通行・設備利用の根拠を説明できる状態にすること
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▪️共有私道も「全員のハンコがないと何もできない」ではない
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旧記事では、
私道が数十人共有なら、全員または過半数のハンコが必要。
一人反対すれば売却計画は頓挫。
としていました。
これも現在は整理が必要です。
2023年施行の改正民法では共有物について、
保存行為。
管理行為。
軽微な変更。
それ以外の変更。
で必要な同意要件が分かれています。
例えば保存行為なら各共有者が単独でできる場合があり、管理や軽微な変更は持分価格の過半数で決められるのが基本です。
一方、大きな変更では全員同意が必要になる場合があります。
さらに法務省の共有私道ガイドラインでは、ライフライン設備について、共有者の過半数同意が得られなくても、条件を満たせば民法213条の2の設備設置・使用権によって対応できる場合があると整理されています。
だから、
共有者が一人行方不明=何もできない。
とは現在は言えません。
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▪️「住宅ローン100%不可」「担保価値ゼロ」とは書けない
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私道の権利関係が複雑なら、金融機関の審査へ影響する可能性はあります。
例えば、
通行根拠が不明確。
建築できるか確認できない。
私道持分がない。
隣人と実際に争っている。
ライフライン経路が不明。
という土地なら、金融機関が慎重になるのは考えられます。
しかし、
通行・掘削承諾書がない。
↓
住宅ローン100%不可。
↓
担保価値ゼロ。
とは一律に決まりません。
融資判断は金融機関ごとに異なり、土地の接道・建築・権利状態によっても変わります。
売却前から、
「ローンが使えない土地だから半額」
と自己判断するのは避けます。
詳しくはこちら
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▪️解決策① まず私道の権利関係を整理する
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私道問題の一つ目の解決策は、すぐ隣人へハンコをもらいに行くことではありません。
まず、
道路の登記事項。
公図。
自分の私道持分。
建築基準法上の道路種別。
過去の売買契約書。
通行・掘削承諾書。
地役権などの登記。
上下水道などの配管経路。
を確認します。
この時点で、
実は私道持分があった。
過去の承諾書が残っていた。
地役権が設定されていた。
建築基準法上の位置指定道路だった。
ということが分かる場合もあります。
何が不足しているか分からないまま交渉を始めない。
これが第一段階です。
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▪️解決策② 必要なら通行・工事条件を書面で整理する
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調査した結果、
通行方法が曖昧。
車両通行について合意がない。
工事方法について事前に整理しておきたい。
という場合は、私道所有者と書面で条件を決める方法があります。
例えば、
人・車の通行範囲。
工事車両の通行。
ライフライン工事。
掘削後の復旧。
維持管理。
費用負担。
将来土地を売却した場合の扱い。
などです。
ただし、実際に争いになっている状態で、
土地家屋調査士へ頼めば全部交渉してもらえる。
というものではありません。
境界・測量なら土地家屋調査士。
登記なら司法書士。
法的な争い・相手方との法律交渉なら弁護士。
など、問題に応じて相談先を分けます。
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▪️解決策③ 権利関係を開示して現況のまま売却する
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すべての私道問題を売主が解決してからでなければ売れないわけではありません。
例えば、
所有者が多い。
昔からトラブルがある。
通行条件の合意まで時間がかかる。
建築用途では使いにくい。
という場合、現況を理解した買主へ売却する方法もあります。
大切なのは、
問題を隠すこと。
ではなく、
現在分かっている権利関係・道路条件を開示したうえで価格と売却方法を比較すること
です。
一般仲介で売却できるか。
隣地所有者に需要があるか。
現金購入する投資家がいるか。
訳あり不動産を扱う会社なら買えるか。
を比較します。
先に大きな承諾料や測量・工事費を払うより、現況査定してから整理する範囲を決める方法もあります。
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〖PR〗私道に面している土地でも、権利関係を整理したうえで現在の状態でどれくらい売却可能性があるか査定を比較できます。
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▪️すでに隣人と揉めているなら通常売却だけにこだわらない
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この記事は、
私道に面した土地を売る前に何を確認するか
を整理する記事です。
一方、
私道所有者から明確に通行を拒否されている。
工事を妨害されている。
高額な金銭を求められて交渉が止まっている。
という状態なら、通常の売却とは別に考えます。
必要に応じて法律の専門家へ相談したり、権利関係を理解して買い取れる会社へ査定を依頼したりする方法があります。
買取なら必ず高く売れるわけではありません。
しかし、
隣人と完全に解決してからでなければ売却できない
とも限りません。
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▪️私道の土地を売る前に6項目を確認する
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売却前は次の順番で整理します。
・① 前面道路が公道か私道か確認する
・② 私道の所有者と自分の持分を確認する
・③ 建築基準法上の道路種別を確認する
・④ 通行できる法的・契約上の根拠を確認する
・⑤ 上下水道・ガスなどの配管と設備利用条件を確認する
・⑥ 不足する部分だけ協議・書面化・売却条件へ反映する
この順番なら、
承諾書がない。
↓
売れない。
↓
住宅ローンも無理。
↓
100万円払ってでもハンコをもらう。
という短絡的な判断を避けられます。
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▪️よくある質問|私道の通行・掘削承諾
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Q.通行承諾書がない私道の土地は売れませんか?
売却不能とは限りません。
私道持分、地役権、契約、民法上の通行権など、現在の通行根拠を確認して判断します。
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Q.掘削承諾書がないと水道管を通せませんか?
必ずしもそうではありません。
2023年施行の改正民法213条の2では、条件を満たす場合に他人の土地へライフライン設備を設置・使用できる権利が明文化されています。
ただし事前通知、場所・方法、償金などのルールがあり、相手が妨害している場合に強引な自力工事をしてよいという制度ではありません。
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Q.私道所有者全員の承諾がないと工事できませんか?
工事内容や私道の所有形態によって異なります。
共有物の保存・管理・変更で必要な同意要件が異なり、ライフラインについては民法213条の2が利用できる場合もあります。
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Q.私道なら家を建てられませんか?
私道だから建築不可とは限りません。
位置指定道路など建築基準法上の道路として扱われる私道もあります。前面道路の種別と接道状態を自治体の建築担当窓口で確認します。
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Q.承諾書がなければ住宅ローンは使えませんか?
一律には決まりません。
権利関係・建築可能性・担保評価などを踏まえて各金融機関が判断します。
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▪️まとめ|「ハンコがないから売れない」ではなく権利を一つずつ確認する
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私道に面した土地では、
通行承諾。
掘削承諾。
私道持分。
建築基準法。
ライフライン。
という複数の問題が一緒に語られがちです。
しかし、全部同じ問題ではありません。
まず、
誰の道路なのか。
自分に持分があるのか。
建築基準法上どんな道路なのか。
何を根拠に現在通っているのか。
配管はどこを通っているのか。
を確認します。
そのうえで不足しているものだけを整理します。
2023年の民法改正では、ライフラインについて他人の土地へ設備を設置・使用する権利が明文化されました。
だから旧記事のように、
掘削承諾がない=水道を引けない。
承諾書がない=住宅ローン不可。
価値は半減。
共有者が一人反対=すべて終了。
とは現在は言えません。
一方で、
民法改正があるから何も確認しなくていい。
承諾なしで自由に掘れる。
というわけでもありません。
売却時に重要なのは、
買主へ「この土地はどう通り、どう建築し、どうライフラインを使えるのか」を説明できる状態にすること。
です。
承諾書があるなら確認する。
なければ通行・設備利用の別の根拠を確認する。
不足しているなら必要な範囲だけ整理する。
解決に時間や費用がかかりすぎるなら現況売却も比較する。
私道の土地は、ハンコの枚数ではなく、現在の権利関係を整理するところから売却を考えましょう。
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