空き家の固定資産税は本当に6倍?管理不全空家・特定空家と住宅用地特例を解説
- MIRAIU

- 3月28日
- 読了時間: 10分
更新日:8月19日
「空き家を放置すると固定資産税が6倍になる」
こんな話を聞いて、
「実家が空き家になっただけでも税金が上がる?」
「市役所から連絡が来たら、もう6倍?」
「古い家を解体すると固定資産税が上がるなら、残しておいた方がいい?」
と不安になっている方もいるでしょう。
最初に結論を整理します。
住宅が空き家になっただけで、固定資産税が自動的に6倍になるわけではありません。
問題になるのは、住宅用地に適用されている固定資産税の特例と、空家法に基づく「管理不全空家」「特定空家」への行政措置です。
また、よく使われる「6倍」という表現も、すべての空き家の実際の納税額が突然きっちり6倍になるという意味ではありません。
ここを理解しないまま、
「税金が怖いから急いで売る」
「更地になると税金が上がるから危険な家でも残す」
と判断するのは避けたいところです。
この記事では、住宅用地特例の仕組み、管理不全空家・特定空家との関係、解体した場合の考え方、実際に行政から連絡を受けたときの対応まで整理します。
※本記事には広告・PRを含みます。
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▪️まず結論|「空き家になった=固定資産税6倍」ではない
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親が亡くなり実家へ誰も住まなくなった。
転勤して自宅を空けている。
相続した住宅をまだ売却していない。
このように、人が住んでいない状態になっただけで、直ちに住宅用地特例が解除される仕組みではありません。
空家法で税負担が問題になる代表的な場面は、適切に管理されていない空き家について市区町村から改善を求められ、管理不全空家または特定空家として「勧告」を受けるケースです。(国土交通省)
したがって、
空き家 → 即6倍
という理解は正確ではありません。
重要なのは「空いているか」だけではなく、建物や敷地がどのように管理されているかです。
空き家を相続したばかりで何から始めればよいか分からない方はこちら。
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▪️「6倍」の正体は固定資産税の住宅用地特例
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なぜ「固定資産税が6倍」という話が出てくるのでしょうか。
その理由が住宅用地の特例措置です。
住宅の敷地として利用されている土地では、一定の要件を満たすことで土地の固定資産税の課税標準が軽減されています。
小規模住宅用地、つまり住宅1戸につき200㎡までの部分については、固定資産税の課税標準が価格の6分の1になります。
200㎡を超える一般住宅用地部分では3分の1です。(国土交通省)
つまり「6倍」という言葉は、
6分の1まで軽減されていた小規模住宅用地の特例が外れる
ことから使われています。
ここで注意したいのは、課税標準の特例が外れることと、実際の納税額が必ずぴったり6倍になることは同じではない点です。
土地の固定資産税には負担調整措置などもあるため、実際の税額は土地ごとの課税状況によって変わります。(横浜市公式サイト)
「最大6倍になる可能性がある」という言葉だけを見て、自分の納税額を単純に6倍するのは避けましょう。
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▪️200㎡を超える土地や都市計画税は倍率が違う
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さらに、「全部6倍」と言えない理由があります。
住宅用地特例は土地の面積によって違います。
固定資産税では、
・小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 課税標準1/6
・一般住宅用地(200㎡を超える部分) 課税標準1/3
となります。
都市計画税が課税される地域では、
・小規模住宅用地 課税標準1/3
・一般住宅用地 課税標準2/3
という別の特例があります。(横浜市公式サイト)
そのため、土地全体について、
「今の固定資産税・都市計画税を全部6倍すれば将来の税額」
という計算はできません。
実際の影響を知りたい場合は、自治体から届いている固定資産税・都市計画税の課税明細書を確認し、必要に応じて土地所在地の市区町村へ確認するのが確実です。
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▪️税負担が変わる重要なポイントは「指定」より勧告
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もう一つ誤解されやすいのが行政手続きです。
「管理不全空家に指定されたら翌日から固定資産税6倍」
という単純な流れではありません。
改正空家法では、適切な管理が行われず、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある空き家について、市区町村が「管理不全空家」として所有者へ指導できます。
そこで必要な改善が行われず、さらに勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から除外される仕組みです。(国土交通省)
ここは実務上かなり重要です。
自治体から最初の連絡や指導が来た段階と、住宅用地特例に影響する勧告まで進んだ段階を混同しないことです。
だからといって、指導段階なら無視してよいという意味でもありません。
初期段階で必要な管理を行えば、状態悪化と勧告への進行を防げる可能性があります。
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▪️2023年改正で「特定空家になる前」から対象になった
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以前の空き家対策では、倒壊のおそれがあるなど周囲へ著しい悪影響を与える「特定空家」が大きく注目されていました。
しかし2023年12月施行の改正空家法で、新たに管理不全空家という段階が設けられました。(国土交通省)
つまり現在は、
「まだ倒壊寸前ではないから大丈夫」
とは言い切れません。
国土交通省が2025年12月に公表した調査では、改正法施行から2025年3月31日までに、管理不全空家に対して全国で、
・指導 3,211件
・勧告 378件
の措置が実際に行われています。(国土交通省)
制度があるだけで使われていないわけではありません。
一方で、すべての空き家が管理不全空家になるわけでもありません。
重要なのは、所有している空き家の状態を確認することです。
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▪️どんな状態になると管理不全を疑われやすいのか
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管理不全空家かどうかは、単に築年数が古いという理由だけで判断されるものではありません。
例えば、管理されない状態が続き、
・屋根や外壁などが損傷している
・窓などに破損がある
・立木や雑草の管理がされていない
・衛生上問題となる状態が続いている
・周辺へ悪影響を及ぼすおそれが高まっている
といった状態では、自治体による確認や指導につながる可能性があります。(国土交通省)
ここで、
「雑草が少し伸びただけで6倍」
と考える必要はありません。
空き家の状態や周辺への影響などを自治体が確認したうえで、法に基づく措置が行われます。
ただ、遠方の実家を何年も見ていない場合は、所有者自身が現在の状態を把握できていないことがあります。
税金を心配する前に、まず建物と敷地の状態を確認する方が先です。
空き家管理全体を整理したい方はこちら。
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▪️空き家を解体した場合も住宅用地特例に注意する
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固定資産税を考えるうえで、空家法とは別に重要なのが建物を解体した場合です。
土地に対する固定資産税は、原則として毎年1月1日の状態を基準に課税されます。
住宅を解体して住宅用地ではなくなれば、住宅用地特例が適用されなくなることがあります。一定の建替え中の土地などについては例外的な取扱いがありますが、単純な更地化とは分けて確認が必要です。(東京税務署)
ここで注意したいのが、
「危険な空き家でも、税金が上がるから絶対に解体しない方が得」
と考えることです。
老朽化した建物を残せば、
・修繕費
・火災保険等
・草木や建物の管理費
・倒壊や部材落下への対応
・将来の解体費
など別の負担が残ります。
税金だけを見て建物を残すか決めるのではなく、現状売却・修繕・解体後売却を比較してから判断することが大切です。
解体を決める前に確認したいことはこちら。
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▪️「税金が上がるから放置」が一番危ない判断になる
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古い空き家を持つと、
「家を壊したら土地の税金が高くなる」
という理由で、そのまま残したくなることがあります。
住宅用地特例だけを見れば、その考え方が出てくること自体は理解できます。
しかし現在は、管理されていない状態が続けば、建物を残していても管理不全空家・特定空家への勧告によって特例を受けられなくなる可能性があります。(国土交通省)
つまり、
「建物さえ残しておけば住宅用地特例が永久に続く」
という前提では判断できません。
残すなら管理する。
直して使うなら修繕する。
不要なら売却や解体も比較する。
税金対策のためだけに危険な建物を放置するのではなく、建物の状態と今後の利用目的を合わせて考える必要があります。
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▪️自治体から通知が来たら、まず文書の段階を確認する
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市区町村から空き家について連絡が届いた場合、最初にすることはパニックになって売却することではありません。
通知の内容を確認します。
特に見るのは、
・単なる現状確認や連絡なのか
・指導なのか
・勧告まで進んでいるのか
・何を改善するよう求められているのか
・対応期限が示されているか
です。
そして、指摘されている箇所を現地で確認します。
屋根や外壁なら修繕業者。
樹木や雑草なら管理業者。
建物自体を今後使わないなら、不動産会社へ売却可能性を確認する。
というように、問題ごとに対応を分けます。
税金だけを止めようとするのではなく、行政から指摘された管理状態を改善することが基本です。
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▪️売却するか迷うなら「現在の税額」より今後の総負担を見る
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相続した空き家の場合、
「今の固定資産税は年間数万円だから、とりあえず持っておこう」
と判断することがあります。
しかし空き家の保有負担は固定資産税だけではありません。
管理。
草刈り。
修繕。
火災保険。
遠方なら交通費。
将来必要になる解体。
こうした費用があります。
反対に、現在の固定資産税が多少高くても、立地が良く売却や賃貸の可能性が高い住宅なら、すぐ処分することが正解とも限りません。
大切なのは、
「固定資産税が6倍になるか」だけでなく、この空き家をあと何年、何のために持つのか
を考えることです。
仲介と買取の違いはこちら。
空き家バンクで動いていない場合はこちらも参考になります。
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▪️売却を考える場合も、慌てて解体・値下げしない
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固定資産税のリスクを知ると、
「すぐ売らないとまずい」
と考えやすくなります。
しかし、管理不全空家の指導を受けたからといって、必ず売却しなければならないわけではありません。
今後利用するなら必要な管理・修繕を行う方法があります。
使わないのであれば、現状のまま売れるのかを確認してから、
・現状売却
・仲介
・買取
・解体後売却
などを比較します。
先に大きな解体費を払ったり、根拠なく販売価格を下げたりする必要はありません。
まず現在の売却可能性を確認したい場合はこちら。
一般的な仲介で扱いにくい空き家や土地について、専門買取を比較したい場合はこちら。
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▪️まとめ|怖いのは「6倍」という数字ではなく、状態を知らないまま放置すること
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空き家の固定資産税について最も誤解しやすいのが、
「空き家になれば固定資産税が自動的に6倍になる」
という説明です。
実際には、住宅用地には固定資産税の課税標準を軽減する特例があります。
そして管理不全空家・特定空家について市区町村から勧告を受けると、その敷地が住宅用地特例の対象から外れることがあります。
また、小規模住宅用地と一般住宅用地では特例率が違い、都市計画税の仕組みも異なります。
そのため、「現在の税額×6」で将来の納税額を判断することはできません。
空き家を持っているなら、
今の建物状態を確認する。
行政から通知が来ていれば内容と段階を確認する。
今後使うのか、管理するのか、売却するのかを決める。
この順番で十分です。
「6倍になる前に何でもいいから処分する」のでもなく、
「税金が上がるから危険な家でも残す」のでもありません。
住宅用地特例を正しく理解したうえで、空き家そのものを今後どうするか決める。
それが、固定資産税だけに振り回されない空き家管理の考え方です。
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