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退去後の部屋が想像以上に汚い|大家が借主負担・経年劣化を判断する確認順

  • 執筆者の写真: MIRAIU
    MIRAIU
  • 2025年12月11日
  • 読了時間: 16分

更新日:1 日前

入居者が退去した。

管理会社から、

「室内確認が終わりました」

と連絡が来た。

部屋へ入ってみると、

キッチンは油でベタベタ。

壁には黒ずみ。

窓際にはカビ。

水回りには水アカ。

クロスにも汚れが残っている。

そこで大家としては、

「こんな汚かったん?」

「これ全部入居者負担やろ?」

と思うことがあります。

しかし、ここでいきなり、

汚れている=借主負担

と判断するのは注意が必要です。

賃貸住宅の退去時には、

普通に生活していれば生じる通常損耗。

時間の経過による経年変化。

入居者の手入れ不足によって拡大した汚れ。

故意・過失など通常使用を超える損傷。

さらに次の入居者を決めるために大家側で行うリフォーム。

を分ける必要があります。

例えば同じ「壁が黒い」でも、

冷蔵庫裏にできた通常使用による黒ずみ。

と、

長期間の喫煙によって部屋全体へヤニ・臭いが付着した状態。

では考え方が違います。

だから退去後の部屋を見たとき、

「汚いかどうか」ではなく「なぜこの状態になったか」

を見ることが重要です。

この記事では、退去後に想像以上に汚れた部屋を見た大家が、原状回復費を決める前に確認したい順番を整理します。

賃貸管理全体についてはこちらで整理しています。

空き家・築古賃貸・不動産活用全体はこちらから確認できます。

※本記事には広告・PRを含みます。

▪️結論|退去後は「借主負担・大家負担・次の募集」の3つに分ける

退去後の室内がかなり汚れていても、最初から工事費全部を借主負担として考えません。

まず、

借主の使い方・手入れ不足によって生じた部分。

通常使用・経年変化として大家側で考える部分。

次の入居者を決めるために大家が追加する改善部分。

この3つに分けます。

例えばクロスが汚れている場合でも、

入居から長期間経って全体的に古くなったクロス。

経年変化を含む。

タバコによって著しく変色・臭いが付いたクロス。

借主側の負担を検討する。

そのうえで、

「せっかくだからアクセントクロスへ変更しよう」

次の募集のためのグレードアップ。

となります。

原状回復と商品力向上を同じ見積書の中で混ぜない。

これだけでも、大家側の判断がかなりしやすくなります。

原状回復とリフォームの違いはこちらで詳しく整理しています。

▪️「入居前の状態に完全に戻す」が原状回復ではない

大家側で特に注意したいのが、

「貸したときは新品だったんだから新品に戻して」

という考え方です。

居住用賃貸の原状回復は、借りた当時とまったく同じ状態へ戻すことを意味するものではありません。

通常の使用によって生じる損耗。

時間が経てば自然に生じる劣化。

まで借主へ負担させる考え方ではありません。

だから、

10年間入居。

クロス全体が古い。

退去時に一部汚れている。

全室新品クロスの費用をそのまま借主へ請求。

という単純な考え方はしません。

まず、

その汚れがなくても、大家側で交換時期だったのではないか。

まで確認します。

▪️冷蔵庫の後ろが黒い|それだけなら借主負担とは限らない

退去後に家具・家電を撤去すると、

冷蔵庫。

テレビ。

大型家具。

の裏側に黒ずみが見つかることがあります。

部屋に家具が置かれている間は見えないため、

退去後に初めて気づき、

「こんなに汚されていた」

と感じやすい場所です。

しかし冷蔵庫やテレビなどを通常使用することで壁面に生じるいわゆる電気焼け・黒ずみについては、通常の使用によって生じるものとして考えられる場合があります。

つまり、

黒い=借主が掃除を怠った

とは限りません。

まず汚れの原因を確認します。

そして清掃で落ちるのか。

クロス交換が必要なのか。

経年劣化もどれだけ含まれるのか。

を分けます。

▪️キッチンの油汚れ|軽い汚れと放置した汚れを分ける

キッチンは退去後に差が出やすい場所です。

コンロ周辺。

換気扇。

キッチンパネル。

収納扉。

などに油汚れが残ることがあります。

料理をすれば、ある程度の汚れは発生します。

しかし、

長期間清掃していない。

油が大量に固着している。

通常の清掃では落ちない。

設備やクロスまで傷めている。

という状態なら、入居者の手入れ不足が関係する可能性があります。

つまり、

料理をしたから借主負担

でも、

生活汚れだから全部大家負担

でもありません。

どの程度の手入れがされていたか。

汚れがどこまで拡大したか。

を見ることが重要です。

▪️結露・カビは「換気しなかったから借主」と即断しない

旧記事では、

換気をしない生活によって湿気がこもる。

という方向で説明していました。

ここはもっと慎重に分けます。

結露・カビには、

建物の断熱性能。

窓性能。

換気設備。

漏水。

日当たり。

部屋の位置。

生活上の換気・清掃。

など複数の要因があります。

例えば、

構造的に結露しやすい部屋。

なら、入居者だけの問題とは言い切れません。

一方、

結露が発生しているのに長期間放置。

換気や拭き取りなどの手入れをせず、クロス・下地までカビが拡大した。

という場合は、入居者の管理状況が負担判断に関係することがあります。

だから退去後にカビを見つけたら、

カビがある

ではなく、

なぜカビが発生・拡大したのか

まで確認します。

▪️タバコのヤニ・臭いは普通の経年劣化とは分ける

退去後に分かりやすいのがタバコです。

家具がなくなると、

クロスが黄色い。

天井まで色が違う。

エアコンを動かすとタバコ臭がする。

ということがあります。

喫煙などによって居室全体のクロスが著しく変色したり、臭いが付着した場合には、通常使用による損耗とは分けて借主負担を検討することがあります。

ただし、

タバコ汚れがある。

クロスを全部新品にする。

工事費100%を借主請求。

と自動的になるわけではありません。

クロス自体の経過年数も確認します。

汚した原因の話と、いくら負担するかの話は別。

ここが重要です。

▪️クロスは「6年」を知っておくと見積もりを判断しやすい

国土交通省の原状回復ガイドラインでは、壁クロスについて、

6年で残存価値が1円となるように借主負担割合を算定する

という考え方が示されています。

例えば新品クロスの部屋へ入居。

1年で故意・過失による大きな損傷。

というケースと、

長期間使用された古いクロス。

では、同じ張替えでも負担割合を同じにしません。

ただし、

6年経ったら何をしても借主負担0円

という意味でもありません。

汚れの内容。

クリーニング費用。

補修範囲。

契約内容。

などは別に確認します。

6年という数字だけを使って機械的に精算しないことです。

クロスの交換範囲についてはこちらでも整理しています。

▪️水回りの水アカ・カビも「古いから」で終わらせない

浴室。

洗面台。

トイレ。

キッチン。

などは、退去後に汚れが目立ちやすい場所です。

ただし、

パッキン自体の経年劣化。

設備そのものの古さ。

と、

日常的な清掃を怠った結果として蓄積した水アカ・カビ。

は分けます。

例えば、

ゴムパッキンが10年以上経って劣化。

という状態なら、入居者の掃除だけでは解決できない部分があります。

一方、

通常の手入れを長期間行わず、かなり汚れが蓄積している。

という場合には、入居者側の負担を検討することがあります。

つまり築古賃貸では、

汚れ+設備寿命

を同時に見ます。

▪️退去後すぐ掃除する前に写真を残す

室内が汚い。

早く募集したい。

すぐ業者を入れる。

気持ちは分かります。

しかしクリーニングしてしまえば、

どの場所が。

どの程度。

どんな状態だったか。

分からなくなります。

原状回復費を整理するなら、

退去確認時の状態を写真・動画で残します。

さらにできれば、

入居時の写真。

入居時チェックリスト。

過去の修繕履歴。

と比較します。

国土交通省も、原状回復トラブルを避けるため、入居時・退去時の状態確認とチェックリスト、写真等による記録を有効な方法として示しています。

退去後の写真だけより、入居前との比較写真が強い。

次の入居者からはここを仕組みにしておきます。

▪️クリーニング特約があっても「何でも借主負担」ではない

賃貸借契約書に、

退去時クリーニング費。

エアコンクリーニング費。

などの特約が設けられていることがあります。

この場合、

「契約書に書いてあるから絶対に全部有効」

とだけ考えるのは注意が必要です。

国土交通省のガイドラインでは、クリーニング特約について、

借主が負担する内容・範囲が示されているか。

通常損耗まで負担する趣旨や範囲を借主が認識しているか。

金額が妥当か。

などを含めて有効性が判断される考え方が示されています。

だから退去後は、

契約書を見ずに汚れだけで請求額を決めない。

まず契約条件も確認します。

原状回復の基本的な負担区分はこちらです。

▪️原状回復見積もりは「誰負担か」と「工事するか」を分ける

例えば管理会社から、

原状回復工事 35万円。

という見積もりが届いた。

ここで、

「借主からいくら取れる?」

だけを見ると判断を間違えやすくなります。

まず、

本当に直す必要がある工事。

大家側で通常修繕する工事。

借主負担を検討する部分。

次の募集のために追加するリフォーム。

に分けます。

例えば、

クロス交換。

床補修。

ハウスクリーニング。

エアコン清掃。

設備交換。

が全部一つの金額になっていたら、どこにいくらかかるのか確認します。

借主負担の話と、大家として次の入居者へどこまで商品化するかは別問題です。

原状回復見積もりの確認はこちらで詳しく整理しています。

▪️借主負担にできない工事でも「やらなくていい」とは限らない

ここも大家側では重要です。

例えばクロスの汚れが経年劣化。

だから借主へ請求できない。

すると、

「じゃあ張り替えない」

となるとは限りません。

次の募集を考えたとき、

黄ばんでいる。

部分補修跡が目立つ。

内見時の印象が悪い。

という状態なら、大家負担でも交換した方が収益上合理的な場合があります。

つまり、

誰がお金を払うか。

と、

次の入居者を決めるために工事するか。

は別です。

借主負担0円でもやる工事はあります。

逆に借主負担を検討できる損傷でも、設備自体を全面交換する必要がないケースもあります。

▪️築古物件ほど「全部新品」にすると大家の持ち出しが増える

築30年。

家賃4万円。

退去した部屋がかなり汚い。

そこで、

クロス全面交換。

床全面交換。

キッチン交換。

洗面台交換。

浴室改修。

エアコン交換。

と全部やる。

確かに室内はきれいになります。

しかし賃貸経営では、

工事費を家賃で回収できるか

まで見ます。

汚れたから交換。

古いから交換。

を繰り返すと、退去のたびに大きな費用が出ます。

まず、

清掃で戻る。

部分補修で戻る。

交換が必要。

募集力を上げるため追加投資する。

を分けます。

複数の設備・内装をまとめて直す場合は、一社の提案だけで決めず工事範囲を比較する方法もあります。

〖PR〗退去後にクロス・床・水回りなど複数箇所の修繕が必要になり、部分補修かまとめてリフォームするか迷う場合は、工事内容と費用を比較してから決める方法があります。

▪️原状回復を長引かせると空室期間も延びる

費用負担でもめる。

見積もりを何度も取り直す。

工事発注が遅れる。

その間、部屋は募集できる状態にならない。

こうなると、

原状回復費を3万円削減できても、

空室が1か月長引いて家賃5万円を失う。

ということもあります。

だから、

借主負担部分は根拠を整理する。

大家負担部分は早く判断する。

必要な工事は発注する。

募集準備も進める。

というように、精算と次の募集を完全に止めないことが重要です。

退去後の商品化についてはこちらで整理しています。

▪️退去後に大家が一度だけ確認する6項目

室内が想像以上に汚れていたら、工事発注前に次を確認します。

・清掃前の室内写真・動画を残したか

・入居時写真と比較できるか

・通常損耗・経年変化・手入れ不足を分けたか

・賃貸借契約書と退去時特約を確認したか

・クロスや設備の経過年数を確認したか

・原状回復と次回募集用リフォームを見積書で分けたか

この6つを一度整理してから、

誰が負担するか。

どこを直すか。

いくらかけるか。

を決めます。

「汚かった」という印象だけで精算しない。

これが基本です。

▪️次の入居では「退去時」ではなく入居時から準備する

原状回復トラブルは退去日に突然始まるように見えます。

しかし本当は、

次の入居日から始まっています。

新しい入居者が入る前に、

クロス。

床。

キッチン。

浴室。

トイレ。

窓。

エアコン。

建具。

などを写真で残します。

日付も分かるよう管理します。

さらに既に傷があるなら、

「入居前からあった傷」

として記録します。

これがあれば数年後の退去時に、

「この傷は最初からあった?」

という記憶勝負を減らせます。

大家が毎回現地へ行けないなら、管理会社に入居前・退去後の写真報告方法を確認しておくとよいでしょう。

管理会社を選ぶ際の報告体制についてはこちらでも整理しています。

▪️毎回原状回復費が大きいなら「その部屋だけ」の問題ではない

1回だけ退去修繕30万円。

なら偶発的な損傷かもしれません。

しかし、

退去するたび30万円。

40万円。

設備故障も続く。

そのうえ空室期間も長い。

となれば、一回の原状回復判断だけではなく賃貸経営全体を見ます。

例えば、

築年数。

家賃。

年間修繕費。

ローン返済。

空室期間。

今後交換予定の設備。

まで含めて、

この物件へ今後どこまで費用を入れるか。

を判断します。

賃貸経営では、

一つの退去工事を安くすることより、年間で手残りを残すこと

の方が重要です。

〖PR〗築古物件で退去のたびに高額修繕が発生し、家賃収入に対して工事費が大きくなっている場合は、保有継続・修繕・売却まで含めて収支を整理する方法もあります。

▪️よくある質問|退去後の汚れと原状回復

Q.退去後、部屋がかなり汚かったら全部入居者負担ですか?

汚れているという理由だけでは決まりません。

通常損耗・経年変化なのか、入居者の故意過失や手入れ不足によって発生・拡大したものなのか、契約内容などを確認します。

Q.冷蔵庫の後ろが真っ黒です。クロス代を請求できますか?

冷蔵庫等を通常使用したことによる壁面の黒ずみは、通常使用によるものとして扱われる場合があります。

原因と状態を確認して判断します。

Q.結露のカビは借主負担ですか?

一律ではありません。

建物側の原因もあれば、発生した結露を放置して損傷を拡大させたことが借主側の管理状況として関係する場合もあります。

Q.タバコでクロスが黄色くなっています。請求できますか?

喫煙によってクロスが著しく変色したり臭いが付着した場合、通常使用を超える損耗として借主負担を検討することがあります。

ただしクロスの経過年数なども含めて負担額を考えます。

Q.クロスは6年経てば借主に何も請求できませんか?

6年という数字は、ガイドラインでクロスの残存価値を考える際の基準です。

6年経過=どのような損傷でもすべて借主負担0円、と単純化するものではありません。

Q.退去時クリーニング特約があれば必ず借主負担ですか?

特約の内容・説明・金額などによって判断されます。

「契約書に一行あるから必ず有効」とだけ考えず、内容を確認します。

Q.大家負担の汚れなら直さなくても大丈夫ですか?

費用負担と次の募集判断は別です。

借主負担にならなくても、内見・募集へ影響するなら大家側で清掃・補修・交換を行う意味があります。

▪️まとめ|「汚い」ではなく原因・年数・契約・次の募集で判断する

退去した部屋へ入った瞬間、

「うわ、めちゃくちゃ汚い」

と思う。

大家としては、

「全部入居者に直してもらおう」

と思いたくなるかもしれません。

しかし原状回復は、

見た目の汚さだけで負担を決めるものではありません。

普通に生活して生じた黒ずみ。

時間とともに古くなったクロス。

設備そのものの経年劣化。

一方で、

長期間清掃しなかった油汚れ。

放置によって拡大したカビ。

著しいタバコのヤニ・臭い。

などでは判断が変わることがあります。

さらに借主側に原因がある損傷でも、クロスなどは経過年数を考慮します。

そして、

借主へ請求できるか。

と、

次の入居者のために直すべきか。

も分けます。

原状回復で一番避けたいのは、

「汚かったから全部交換」

と、

「借主負担じゃないから何もしない」

の両極端です。

退去した瞬間の状態を写真に残す。

入居時と比較する。

原因を分ける。

契約内容を見る。

経過年数を見る。

そのうえで次の募集に必要な工事を決める。

これができれば、

退去後の原状回復費を抑えるだけでなく、次の空室期間まで短くできる可能性があります。

退去後に見るべきなのは「どれだけ汚いか」ではありません。

「なぜ汚れたのか」と「次にどこまで直すのか」。

大家として判断したいのは、この2つです。

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